The Moon(お月さま)の挿絵

The Moon

お月さま

  • 📖 779 words
  • ⏱ 約7分
  • YL 5.0+
  • 英検1級・ネイティブ目安
  • 📝 全訳つき

あらすじむかし、夜がいつもまっ暗な国がありました。旅に出た四人の若者は、よその国で、カシの木の上に光る玉がかけられているのを見つけます。

グリム兄弟『子どもと家庭のメルヒェン集(グリム童話)』マーガレット・ハント英訳(1884年)原文。底本: Project Gutenberg eBook #5314

キーワード(12語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • obscurity暗やみ
  • globe玉・球
  • thalersターラー(昔のドイツの銀貨)
  • mayor村長
  • theft盗み
  • wick(ランプの)芯
  • hedge-shears生け垣用の大ばさみ
  • coffin棺
  • lanternsちょうちん・手さげランプ
  • cudgelsこん棒
  • revolt反乱
  • subjection服従

🔊 音声は準備中です。もうしばらくお待ちください。

In days gone by there was a land where the nights were always dark, and the sky spread over it like a black cloth, for there the moon never rose, and no star shone in the obscurity. At the creation of the world, the light at night had been sufficient. Four young fellows once went out of this country on a travelling expedition, and arrived in another kingdom, where, in the evening when the sun had disappeared behind the mountains, a shining globe was placed on an oak-tree, which shed a soft light far and wide. By means of this, everything could very well be seen and distinguished, even though it was not so brilliant as the sun. The travellers stopped and asked a countryman who was driving past with his cart, what kind of a light that was. "That is the moon," answered he; "our mayor bought it for three thalers, and fastened it to the oak-tree. He has to pour oil into it daily, and to keep it clean, so that it may always burn clearly. He receives a thaler a week from us for doing it."

むかし、夜がいつもまっ暗な国がありました。空は黒い布のように国の上に広がっていました。その国では月がのぼることはなく、暗やみの中で光る星も一つもなかったのです。世界がつくられたころは、夜の明かりは少しあれば十分でした。あるとき、四人の若者がこの国を出て旅に出かけ、よその国にやってきました。その国では、夕方、お日さまが山の向こうに沈むと、光る玉が一つ、カシの木の上に置かれました。玉はやわらかな光を、遠くまで広げていました。お日さまほど明るくはありませんでしたが、その光で、何でもよく見えて、見分けることができました。旅人たちは立ち止まり、荷車を走らせて通りかかったお百姓に、あれは何の明かりかと尋ねました。「あれは月だよ」とお百姓は答えました。「村長さんが三ターラーで買って、カシの木にくくりつけたのさ。村長さんは毎日油をつぎたして、いつも明るく燃えるように、きれいにしておかなきゃならない。そのお礼に、わしらから週に一ターラーもらっているんだよ」

When the countryman had driven away, one of them said, "We could make some use of this lamp, we have an oak-tree at home, which is just as big as this, and we could hang it on that. What a pleasure it would be not to have to feel about at night in the darkness!" "I'll tell you what we'll do," said the second; "we will fetch a cart and horses and carry away the moon. The people here may buy themselves another." "I'm a good climber," said the third, "I will bring it down." The fourth brought a cart and horses, and the third climbed the tree, bored a hole in the moon, passed a rope through it, and let it down. When the shining ball lay in the cart, they covered it over with a cloth, that no one might observe the theft. They conveyed it safely into their own country, and placed it on a high oak. Old and young rejoiced, when the new lamp let its light shine over the whole land, and bed-rooms and sitting-rooms were filled with it. The dwarfs came forth from their caves in the rocks, and the tiny elves in their little red coats danced in rings on the meadows.

お百姓が行ってしまうと、若者の一人が言いました。「このランプは使えるぞ。おれたちの国にも、ちょうどこれと同じくらい大きなカシの木がある。あれにつるせばいい。夜、暗やみの中を手さぐりで歩かなくてすんだら、どんなにいいだろう!」「こうしよう」と二人目が言いました。「荷車と馬を持ってきて、月を運んでいくんだ。ここの人たちは、また別のを買えばいいさ」「おれは木登りが得意だ」と三人目が言いました。「おれが下ろしてやるよ」四人目が荷車と馬を連れてきました。三人目は木に登って、月に穴をあけ、綱を通して下ろしました。光る玉が荷車の上におさまると、だれにも盗んだことを気づかれないように、布をかぶせました。四人は月を無事に自分たちの国へ運び、高いカシの木の上に取りつけました。新しいランプが国じゅうに光を投げかけ、寝室も居間も明かりでいっぱいになると、年寄りも若者も大喜びしました。小人たちは岩のほら穴から出てきて、小さな赤い上着を着た妖精たちは、牧場で輪になって踊りました。

The four took care that the moon was provided with oil, cleaned the wick, and received their weekly thaler, but they became old men, and when one of them grew ill, and saw that he was about to die, he appointed that one quarter of the moon, should, as his property, be laid in the grave with him. When he died, the mayor climbed up the tree, and cut off a quarter with the hedge-shears, and this was placed in his coffin. The light of the moon decreased, but still not visibly. When the second died, the second quarter was buried with him, and the light diminished. It grew weaker still after the death of the third, who likewise took his part of it away with him; and when the fourth was borne to his grave, the old state of darkness recommenced, and whenever the people went out at night without their lanterns they knocked their heads together.

四人は月に油をつぎ、しんをきれいにして、週に一ターラーずつ受け取っていました。けれども、四人もやがて年をとりました。一人が病気になり、もうすぐ死ぬと分かると、自分の持ち分として、月の四分の一を一緒にお墓に埋めてほしいと言い残しました。その人が死ぬと、村長は木に登り、生け垣用の大ばさみで月を四分の一切り取りました。そしてそれを、その人の棺に入れました。月の光は弱まりましたが、まだ目に見えるほどではありませんでした。二人目が死ぬと、二つ目の四分の一が一緒に埋められ、光は弱くなりました。三人目が死んで、やはり自分の分を持っていくと、光はさらに弱まりました。そして四人目がお墓に運ばれると、またむかしのような暗やみがもどってきました。夜にちょうちんを持たずに出かけると、人々は頭と頭をごつんとぶつけ合うのでした。

When, however, the pieces of the moon had united themselves together again in the world below, where darkness had always prevailed, it came to pass that the dead became restless and awoke from their sleep. They were astonished when they were able to see again; the moonlight was quite sufficient for them, for their eyes had become so weak that they could not have borne the brilliance of the sun. They rose up and were merry, and fell into their former ways of living. Some of them went to the play and to dance, others hastened to the public-houses, where they asked for wine, got drunk, brawled, quarreled, and at last took up cudgels, and belabored each other. The noise became greater and greater, and at last reached even to heaven.

ところが、月のかけらは、ずっと暗やみだった死者の国で、またひとつにくっつきました。すると、死んだ人たちが落ち着かなくなって、眠りから覚めてしまいました。死んだ人たちは、また目が見えるようになったのでびっくりしました。月の光は、死んだ人たちにはちょうどよい明るさでした。目がすっかり弱っていたので、お日さまのまぶしさには、とても耐えられなかったでしょう。死んだ人たちは起き上がって陽気になり、生きていたころの暮らしにもどりました。芝居を見に行ったり踊りに行ったりする者もいれば、酒場へ駆けつけて、ワインをたのんで酔っぱらい、大声で騒ぎ、けんかをして、しまいにはこん棒を持ち出してなぐり合う者もいました。騒ぎはどんどん大きくなり、とうとう天国にまで届きました。

Saint Peter who guards the gate of heaven thought the lower world had broken out in revolt and gathered together the heavenly troops, which are to drive back the Evil One when he and his associates storm the abode of the blessed. As these, however, did not come, he got on his horse and rode through the gate of heaven, down into the world below. There he reduced the dead to subjection, bade them lie down in their graves again, took the moon away with him, and hung it up in heaven.

天国の門を守っている聖ペテロは、下の世界で反乱が起きたのだと思いました。そこで、天の軍勢を呼び集めました。この軍勢は、悪魔が手下を連れて天国に攻めこんできたときに、追い返すためのものです。けれども悪魔たちがやってこないので、聖ペテロは馬に乗って天国の門を出て、下の世界へ下りていきました。そこで死んだ人たちをおとなしくさせ、またお墓の中で横になるように言いつけました。それから月を持ち帰って、天にかけたのでした。

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むかし、夜がいつもまっ暗な国がありました。空は黒い布のように国の上に広がっていました。その国では月がのぼることはなく、暗やみの中で光る星も一つもなかったのです。世界がつくられたころは、夜の明かりは少しあれば十分でした。あるとき、四人の若者がこの国を出て旅に出かけ、よその国にやってきました。その国では、夕方、お日さまが山の向こうに沈むと、光る玉が一つ、カシの木の上に置かれました。玉はやわらかな光を、遠くまで広げていました。お日さまほど明るくはありませんでしたが、その光で、何でもよく見えて、見分けることができました。旅人たちは立ち止まり、荷車を走らせて通りかかったお百姓に、あれは何の明かりかと尋ねました。「あれは月だよ」とお百姓は答えました。「村長さんが三ターラーで買って、カシの木にくくりつけたのさ。村長さんは毎日油をつぎたして、いつも明るく燃えるように、きれいにしておかなきゃならない。そのお礼に、わしらから週に一ターラーもらっているんだよ」

お百姓が行ってしまうと、若者の一人が言いました。「このランプは使えるぞ。おれたちの国にも、ちょうどこれと同じくらい大きなカシの木がある。あれにつるせばいい。夜、暗やみの中を手さぐりで歩かなくてすんだら、どんなにいいだろう!」「こうしよう」と二人目が言いました。「荷車と馬を持ってきて、月を運んでいくんだ。ここの人たちは、また別のを買えばいいさ」「おれは木登りが得意だ」と三人目が言いました。「おれが下ろしてやるよ」四人目が荷車と馬を連れてきました。三人目は木に登って、月に穴をあけ、綱を通して下ろしました。光る玉が荷車の上におさまると、だれにも盗んだことを気づかれないように、布をかぶせました。四人は月を無事に自分たちの国へ運び、高いカシの木の上に取りつけました。新しいランプが国じゅうに光を投げかけ、寝室も居間も明かりでいっぱいになると、年寄りも若者も大喜びしました。小人たちは岩のほら穴から出てきて、小さな赤い上着を着た妖精たちは、牧場で輪になって踊りました。

四人は月に油をつぎ、しんをきれいにして、週に一ターラーずつ受け取っていました。けれども、四人もやがて年をとりました。一人が病気になり、もうすぐ死ぬと分かると、自分の持ち分として、月の四分の一を一緒にお墓に埋めてほしいと言い残しました。その人が死ぬと、村長は木に登り、生け垣用の大ばさみで月を四分の一切り取りました。そしてそれを、その人の棺に入れました。月の光は弱まりましたが、まだ目に見えるほどではありませんでした。二人目が死ぬと、二つ目の四分の一が一緒に埋められ、光は弱くなりました。三人目が死んで、やはり自分の分を持っていくと、光はさらに弱まりました。そして四人目がお墓に運ばれると、またむかしのような暗やみがもどってきました。夜にちょうちんを持たずに出かけると、人々は頭と頭をごつんとぶつけ合うのでした。

ところが、月のかけらは、ずっと暗やみだった死者の国で、またひとつにくっつきました。すると、死んだ人たちが落ち着かなくなって、眠りから覚めてしまいました。死んだ人たちは、また目が見えるようになったのでびっくりしました。月の光は、死んだ人たちにはちょうどよい明るさでした。目がすっかり弱っていたので、お日さまのまぶしさには、とても耐えられなかったでしょう。死んだ人たちは起き上がって陽気になり、生きていたころの暮らしにもどりました。芝居を見に行ったり踊りに行ったりする者もいれば、酒場へ駆けつけて、ワインをたのんで酔っぱらい、大声で騒ぎ、けんかをして、しまいにはこん棒を持ち出してなぐり合う者もいました。騒ぎはどんどん大きくなり、とうとう天国にまで届きました。

天国の門を守っている聖ペテロは、下の世界で反乱が起きたのだと思いました。そこで、天の軍勢を呼び集めました。この軍勢は、悪魔が手下を連れて天国に攻めこんできたときに、追い返すためのものです。けれども悪魔たちがやってこないので、聖ペテロは馬に乗って天国の門を出て、下の世界へ下りていきました。そこで死んだ人たちをおとなしくさせ、またお墓の中で横になるように言いつけました。それから月を持ち帰って、天にかけたのでした。

日本語訳:多読ベスト

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理解度チェック Quick Quiz

読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. Where was the moon placed in the other kingdom?

Q2. What happened each time one of the four men died?

Q3. Who finally hung the moon up in heaven?

この読み物の使い方 3ステップ

  1. 聞きながら読む 音声に合わせて光る文を目で追う(聞き読み)。わからない語は飛ばしてOK。
  2. 音声なしで読む ⏱計測ボタンで読む速さ(WPM)を測ってみる。
  3. 耳だけで聞く 🎧聞くだけモードで、文字を見ずに内容がわかるか試す。🔁1文リピートで音読・シャドーイングも。

聞き読みの効果とやり方/多読三原則

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