Death's Messengers(死神の使い)の挿絵

Death's Messengers

死神の使い

  • 📖 585 words
  • ⏱ 約5分
  • YL 5.0+
  • 英検1級・ネイティブ目安
  • 📝 全訳つき

あらすじ大男との戦いに負けて、道ばたにたおれていた死神。通りかかった若者がやさしく助け起こすと、死神はお礼に、ある約束をします。

グリム兄弟『子どもと家庭のメルヒェン集(グリム童話)』マーガレット・ハント英訳(1884年)原文。底本: Project Gutenberg eBook #5314

キーワード(12語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • highway街道
  • crushおしつぶす
  • upper hand優勢
  • compassionatelyかわいそうに思って
  • draught一飲み・飲み物
  • flask水筒
  • messengers使いの者
  • tormented苦しめた
  • fever熱
  • dizzinessめまい
  • gout痛風
  • yielded従った・身をゆだねた

🔊 音声は準備中です。もうしばらくお待ちください。

In ancient times a giant was once travelling on a great highway, when suddenly an unknown man sprang up before him, and said, "Halt, not one step farther!" "What!" cried the giant, "a creature whom I can crush between my fingers, wants to block my way? Who art thou that thou darest to speak so boldly?" "I am Death," answered the other. "No one resists me, and thou also must obey my commands." But the giant refused, and began to struggle with Death. It was a long, violent battle, at last the giant got the upper hand, and struck Death down with his fist, so that he dropped by a stone. The giant went his way, and Death lay there conquered, and so weak that he could not get up again. "What will be done now," said he, "if I stay lying here in a corner? No one will die in the world, and it will get so full of people that they won't have room to stand beside each other."

むかし、一人の大男が広い街道を旅していると、いきなり見知らぬ男が目の前に飛び出してきて、言いました。「止まれ。それ以上一歩も進むな!」「なんだと!」と大男は叫びました。「指でひねりつぶせるようなちっぽけなやつが、おれの行く手をふさごうというのか。そんな大きな口をきくおまえは、何者だ?」「わたしは死神だ」ともう一人は答えました。「わたしに逆らえる者はいない。おまえも、わたしの命令に従わなければならないのだ」けれども大男は断って、死神と取っ組み合いをはじめました。長い、激しい戦いでしたが、とうとう大男が勝ち、こぶしで死神をなぐり倒しました。死神は石のそばに倒れこみました。大男は行ってしまいました。死神は負けてそこに横たわったまま、すっかり弱って、起き上がることもできませんでした。「このまま、すみっこで寝ていたら、どうなるだろう」と死神は言いました。「世の中でだれも死ななくなって、人間があふれかえり、となり合って立つ場所もなくなってしまうぞ」

In the meantime a young man came along the road, who was strong and healthy, singing a song, and glancing around on every side. When he saw the half-fainting one, he went compassionately to him, raised him up, poured a strengthening draught out of his flask for him, and waited till he came round. "Dost thou know," said the stranger, whilst he was getting up, "who I am, and who it is whom thou hast helped on his legs again?" "No," answered the youth, "I do not know thee." "I am Death," said he. "I spare no one, and can make no exception with thee, but that thou mayst see that I am grateful, I promise thee that I will not fall on thee unexpectedly, but will send my messengers to thee before I come and take thee away." "Well," said the youth, "it is something gained that I shall know when thou comest, and at any rate be safe from thee for so long."

そうしているうちに、一人の若者が道をやってきました。強くて健康な若者で、歌を歌いながら、あたりをきょろきょろながめていました。気を失いかけている死神を見ると、若者はかわいそうに思ってそばへ行き、助け起こしました。そして、水筒から元気の出る飲み物をついでやり、死神が元気を取りもどすまで待っていました。「おまえは知っているか」と、見知らぬ男は立ち上がりながら言いました。「わたしがだれか、おまえが助け起こしたのがだれなのか」「いいえ」と若者は答えました。「あなたのことは知りません」「わたしは死神だ」と男は言いました。「わたしはだれも見のがさない。おまえだけを特別あつかいすることもできない。だが、恩を感じていることを分かってもらうために、約束しよう。不意におまえのもとへ行ったりはしない。おまえを連れにいく前に、使いの者たちを送ってやろう」「よかった」と若者は言いました。「あなたが来るときが分かるだけでも、ありがたいことです。少なくとも、それまでは安心していられますから」

Then he went on his way, and was light-hearted, and enjoyed himself, and lived without thought. But youth and health did not last long, soon came sicknesses and sorrows, which tormented him by day, and took away his rest by night. "Die, I shall not," said he to himself, "for Death will send his messengers before that, but I do wish these wretched days of sickness were over." As soon as he felt himself well again he began once more to live merrily.

それから若者は旅を続けました。心は軽く、楽しく暮らして、何も考えずに生きていました。けれども、若さと健康は長くは続きませんでした。まもなく病気や悩みがやってきて、昼は若者を苦しめ、夜は眠りを奪いました。「死にはしないさ」と若者は独り言を言いました。「その前に、死神が使いをよこすはずだからな。でも、このみじめな病気の日々が早く終わってくれればいいのに」そして、体がよくなったと感じると、すぐにまた陽気に暮らしはじめました。

Then one day some one tapped him on the shoulder. He looked round, and Death stood behind him, and said, "Follow me, the hour of thy departure from this world has come." "What," replied the man, "wilt thou break thy word? Didst thou not promise me that thou wouldst send thy messengers to me before coming thyself? I have seen none!" "Silence!" answered Death. "Have I not sent one messenger to thee after another? Did not fever come and smite thee, and shake thee, and cast thee down? Has dizziness not bewildered thy head? Has not gout twitched thee in all thy limbs? Did not thine ears sing? Did not tooth-ache bite into thy cheeks? Was it not dark before thine eyes? And besides all that, has not my own brother Sleep reminded thee every night of me? Didst thou not lie by night as if thou wert already dead?" The man could make no answer; he yielded to his fate, and went away with Death.

ある日、だれかが男の肩をたたきました。ふり返ると、うしろに死神が立っていて、言いました。「ついてこい。おまえがこの世を去るときが来た」「なんだって」と男は言い返しました。「約束を破るつもりか。自分で来る前に、使いをよこすと約束したじゃないか。使いなんて、一人も見ていないぞ!」「だまれ!」と死神は答えました。「わたしは、次から次へと使いを送ったではないか。熱がやってきて、おまえを打ち、ゆさぶり、倒したではないか。めまいがおまえの頭をくらくらさせたではないか。痛風が、手足のあちこちをずきずき痛めつけたではないか。耳鳴りがしたではないか。歯痛がほおにかみついたではないか。目の前が暗くなったではないか。それだけではない。わたしの兄弟の『眠り』が、毎晩おまえにわたしのことを思い出させてやったではないか。おまえは夜ごと、もう死んでいるかのように横たわっていたではないか」男は何も答えられませんでした。そして自分の運命を受け入れ、死神と一緒に行ってしまいました。

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むかし、一人の大男が広い街道を旅していると、いきなり見知らぬ男が目の前に飛び出してきて、言いました。「止まれ。それ以上一歩も進むな!」「なんだと!」と大男は叫びました。「指でひねりつぶせるようなちっぽけなやつが、おれの行く手をふさごうというのか。そんな大きな口をきくおまえは、何者だ?」「わたしは死神だ」ともう一人は答えました。「わたしに逆らえる者はいない。おまえも、わたしの命令に従わなければならないのだ」けれども大男は断って、死神と取っ組み合いをはじめました。長い、激しい戦いでしたが、とうとう大男が勝ち、こぶしで死神をなぐり倒しました。死神は石のそばに倒れこみました。大男は行ってしまいました。死神は負けてそこに横たわったまま、すっかり弱って、起き上がることもできませんでした。「このまま、すみっこで寝ていたら、どうなるだろう」と死神は言いました。「世の中でだれも死ななくなって、人間があふれかえり、となり合って立つ場所もなくなってしまうぞ」

そうしているうちに、一人の若者が道をやってきました。強くて健康な若者で、歌を歌いながら、あたりをきょろきょろながめていました。気を失いかけている死神を見ると、若者はかわいそうに思ってそばへ行き、助け起こしました。そして、水筒から元気の出る飲み物をついでやり、死神が元気を取りもどすまで待っていました。「おまえは知っているか」と、見知らぬ男は立ち上がりながら言いました。「わたしがだれか、おまえが助け起こしたのがだれなのか」「いいえ」と若者は答えました。「あなたのことは知りません」「わたしは死神だ」と男は言いました。「わたしはだれも見のがさない。おまえだけを特別あつかいすることもできない。だが、恩を感じていることを分かってもらうために、約束しよう。不意におまえのもとへ行ったりはしない。おまえを連れにいく前に、使いの者たちを送ってやろう」「よかった」と若者は言いました。「あなたが来るときが分かるだけでも、ありがたいことです。少なくとも、それまでは安心していられますから」

それから若者は旅を続けました。心は軽く、楽しく暮らして、何も考えずに生きていました。けれども、若さと健康は長くは続きませんでした。まもなく病気や悩みがやってきて、昼は若者を苦しめ、夜は眠りを奪いました。「死にはしないさ」と若者は独り言を言いました。「その前に、死神が使いをよこすはずだからな。でも、このみじめな病気の日々が早く終わってくれればいいのに」そして、体がよくなったと感じると、すぐにまた陽気に暮らしはじめました。

ある日、だれかが男の肩をたたきました。ふり返ると、うしろに死神が立っていて、言いました。「ついてこい。おまえがこの世を去るときが来た」「なんだって」と男は言い返しました。「約束を破るつもりか。自分で来る前に、使いをよこすと約束したじゃないか。使いなんて、一人も見ていないぞ!」「だまれ!」と死神は答えました。「わたしは、次から次へと使いを送ったではないか。熱がやってきて、おまえを打ち、ゆさぶり、倒したではないか。めまいがおまえの頭をくらくらさせたではないか。痛風が、手足のあちこちをずきずき痛めつけたではないか。耳鳴りがしたではないか。歯痛がほおにかみついたではないか。目の前が暗くなったではないか。それだけではない。わたしの兄弟の『眠り』が、毎晩おまえにわたしのことを思い出させてやったではないか。おまえは夜ごと、もう死んでいるかのように横たわっていたではないか」男は何も答えられませんでした。そして自分の運命を受け入れ、死神と一緒に行ってしまいました。

日本語訳:多読ベスト

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理解度チェック Quick Quiz

読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. Who beat Death in a fight?

Q2. What did Death promise the young man?

Q3. According to Death, which of these was one of his messengers?

この読み物の使い方 3ステップ

  1. 聞きながら読む 音声に合わせて光る文を目で追う(聞き読み)。わからない語は飛ばしてOK。
  2. 音声なしで読む ⏱計測ボタンで読む速さ(WPM)を測ってみる。
  3. 耳だけで聞く 🎧聞くだけモードで、文字を見ずに内容がわかるか試す。🔁1文リピートで音読・シャドーイングも。

聞き読みの効果とやり方/多読三原則

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