Clever Grethel(かしこいグレーテル)の挿絵

Clever Grethel

かしこいグレーテル

  • 📖 919 words
  • ⏱ 約8分
  • YL 5.0+
  • 英検1級・ネイティブ目安
  • 📝 全訳つき

あらすじ赤いばら飾りの靴が自慢の料理番グレーテルは、ワインと味見が大好き。ある晩、主人からお客さんのためにニワトリを二羽焼くように言いつけられますが、お客さんはなかなかやって来ません。

グリム兄弟『子どもと家庭のメルヒェン集(グリム童話)』マーガレット・ハント英訳(1884年)原文。底本: Project Gutenberg eBook #5314

キーワード(11語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • rosettesばら飾り
  • draughtひと飲み
  • fowlsニワトリ・鶏肉
  • scalded熱湯につけた
  • spit焼き串
  • cellar地下室
  • basted焼き汁をかけた
  • glee大喜び
  • carve切り分ける
  • courteouslyていねいに
  • lamented嘆いた・惜しんだ

🔊 音声は準備中です。もうしばらくお待ちください。

There was once a cook named Grethel, who wore shoes with red rosettes, and when she walked out with them on, she turned herself this way and that, and thought, "You certainly are a pretty girl!" And when she came home she drank, in her gladness of heart, a draught of wine, and as wine excites a desire to eat, she tasted the best of whatever she was cooking until she was satisfied, and said, "The cook must know what the food is like."

むかし、グレーテルという料理番の女の人がいました。グレーテルは赤いばら飾りのついた靴をはいていました。その靴をはいて出かけると、あっちを向いたりこっちを向いたりしてみては、心の中で思いました。「あんたって、本当にきれいな娘ね!」そして家に帰ってくると、うれしい気持ちのまま、ワインをぐいと一杯飲みました。ワインを飲むとおなかがすくものですから、料理しているものの中から一番おいしいところを、満足するまで味見しました。そして言いました。「料理番は、料理の味を知っていなくちゃね」

It came to pass that the master one day said to her, "Grethel, there is a guest coming this evening; prepare me two fowls very daintily." "I will see to it, master," answered Grethel. She killed two fowls, scalded them, plucked them, put them on the spit, and towards evening set them before the fire, that they might roast. The fowls began to turn brown, and were nearly ready, but the guest had not yet arrived. Then Grethel called out to her master, "If the guest does not come, I must take the fowls away from the fire, but it will be a sin and a shame if they are not eaten directly, when they are juiciest." The master said, "I will run myself, and fetch the guest." When the master had turned his back, Grethel laid the spit with the fowls on one side, and thought, "Standing so long by the fire there, makes one hot and thirsty; who knows when they will come? Meanwhile, I will run into the cellar, and take a drink." She ran down, set a jug, said, "God bless it to thy use, Grethel," and took a good drink, and took yet another hearty draught.

ある日、主人がグレーテルに言いました。「グレーテル、今晩お客さんが来るから、ニワトリを二羽、うまく料理しておくれ」「かしこまりました、だんなさま」とグレーテルは答えました。グレーテルはニワトリを二羽しめて、湯につけ、羽をむしって、串に刺しました。そして夕方近くになると、火の前に置いて焼きはじめました。ニワトリはこんがりと色づきはじめ、もうすぐ焼きあがりそうになりましたが、お客さんはまだ来ませんでした。そこでグレーテルは主人に呼びかけました。「お客さんが来ないなら、ニワトリを火からおろさなければなりません。でも、一番汁けの多い今すぐに食べなかったら、罰当たりで、もったいないことですよ」主人は言いました。「わたしが自分で走っていって、お客さんを連れてこよう」主人が背中を向けて出ていくと、グレーテルはニワトリの串をわきへ置いて、考えました。「こんなに長いこと火のそばに立っていると、暑くてのどがかわくわ。あの人たち、いつ来るかわかったもんじゃない。その間に地下室へ行って、一杯飲んでこよう」グレーテルは駆けおりると、ジョッキを口にあてて、「グレーテル、神さまのお恵みがありますように」と言って、ぐいっと飲みました。そしてもう一杯、たっぷり飲みました。

Then she went and put the fowls down again to the fire, basted them, and drove the spit merrily round. But as the roast meat smelt so good, Grethel thought, "Something might be wrong, it ought to be tasted!" She touched it with her finger, and said, "Ah! how good fowls are! It certainly is a sin and a shame that they are not eaten directly!" She ran to the window, to see if the master was not coming with his guest, but she saw no one, and went back to the fowls and thought, "One of the wings is burning! I had better take it off and eat it." So she cut it off, ate it, and enjoyed it, and when she had done, she thought, "the other must go down too, or else master will observe that something is missing." When the two wings were eaten, she went and looked for her master, and did not see him.

それからグレーテルは戻ってきて、ニワトリをまた火にかけ、焼き汁をかけながら、串を元気よくくるくる回しました。ところが焼き肉があんまりいいにおいなので、グレーテルは思いました。「どこか具合の悪いところがあるかもしれないわ。味見をしなくちゃ!」そして指でちょっとさわってみて、言いました。「ああ、ニワトリってなんておいしいんでしょう!今すぐ食べないなんて、本当に罰当たりで、もったいないわ!」グレーテルは窓に駆けよって、主人がお客さんを連れて来ないかと見ましたが、だれの姿も見えませんでした。そこでニワトリのところへ戻って考えました。「片方の手羽が焦げてるわ!取って食べてしまったほうがいいわね」そこで手羽を切りとって食べ、じっくり味わいました。食べおわると、グレーテルは考えました。「もう片方も食べなくちゃ。でないと、何か足りないって、だんなさまに気づかれてしまうもの」両方の手羽を食べてしまうと、グレーテルは主人を探しに行きましたが、姿は見えませんでした。

It suddenly occurred to her, "Who knows? They are perhaps not coming at all, and have turned in somewhere." Then she said, "Hallo, Grethel, enjoy yourself, one fowl has been cut into, take another drink, and eat it up entirely; when it is eaten you will have some peace, why should God's good gifts be spoilt?" So she ran into the cellar again, took an enormous drink and ate up the one chicken in great glee. When one of the chickens was swallowed down, and still her master did not come, Grethel looked at the other and said, "Where one is, the other should be likewise, the two go together; what's right for the one is right for the other; I think if I were to take another draught it would do me no harm." So she took another hearty drink, and let the second chicken rejoin the first.

ふいに、グレーテルは思いつきました。「わかったもんじゃないわ。もしかしたら、あの人たちは来ないのかもしれない。どこかに寄り道しているのよ」そこでグレーテルは言いました。「さあ、グレーテル、楽しみなさい。一羽はもう手をつけちゃったんだから、もう一杯飲んで、これをすっかり食べてしまいなさい。食べてしまえば、落ちつけるわ。神さまのくださったおいしいものを、どうしてむだにすることがあるの?」そこでグレーテルはまた地下室に駆けおりて、ものすごくたくさん飲み、ニワトリを一羽、大喜びでたいらげました。一羽をすっかりのみこんでしまっても、まだ主人は帰ってきません。グレーテルはもう一羽を見て言いました。「一羽があるところには、もう一羽もなくちゃ。二羽はいつも一緒なんだから。一羽にいいことは、もう一羽にもいいことよ。もう一杯飲んでも、別にどうってことないと思うわ」そこでグレーテルは、もう一杯たっぷり飲んで、二羽目のニワトリにも、一羽目のあとを追わせてやりました。

While she was just in the best of the eating, her master came and cried, hurry up, "Haste thee, Grethel, the guest is coming directly after me!" "Yes, sir, I will soon serve up," answered Grethel. Meantime the master looked to see that the table was properly laid, and took the great knife, wherewith he was going to carve the chickens, and sharpened it on the steps. Presently the guest came, and knocked politely and courteously at the house-door. Grethel ran, and looked to see who was there, and when she saw the guest, she put her finger to her lips and said, "Hush! hush! get away as quickly as you can, if my master catches you it will be the worse for you; he certainly did ask you to supper, but his intention is to cut off your two ears. Just listen how he is sharpening the knife for it!" The guest heard the sharpening, and hurried down the steps again as fast as he could.

ちょうどグレーテルが一番おいしく食べているところへ、主人が帰ってきて、急げと叫びました。「急いでくれ、グレーテル、お客さんがすぐあとから来るぞ!」「はい、だんなさま、すぐにお出しします」とグレーテルは答えました。その間に主人は、食卓がきちんと用意されているか見てまわりました。そして、ニワトリを切り分けるのに使う大きな包丁を手に取って、戸口の石段でとぎはじめました。まもなくお客さんがやって来て、礼儀正しく、ていねいに玄関の戸をたたきました。グレーテルは走っていって、だれが来たのか見ました。そしてお客さんだとわかると、指を口にあてて言いました。「しっ!しっ!できるだけ早く逃げてください。だんなさまにつかまったら、ひどい目にあいますよ。だんなさまは、たしかにあなたを夕食に招きました。でも本当は、あなたの両方の耳を切り落とすつもりなんです。ほら、そのために包丁をといでいる音が聞こえるでしょう!」お客さんは包丁をとぐ音を聞くと、大急ぎで石段を駆けおりて、逃げていきました。

Grethel was not idle; she ran screaming to her master, and cried, "You have invited a fine guest!" "Eh, why, Grethel? What do you mean by that?" "Yes," said she, "he has taken the chickens which I was just going to serve up, off the dish, and has run away with them!" "That's a nice trick!" said her master, and lamented the fine chickens. "If he had but left me one, so that something remained for me to eat." He called to him to stop, but the guest pretended not to hear. Then he ran after him with the knife still in his hand, crying, "Just one, just one," meaning that the guest should leave him just one chicken, and not take both. The guest, however, thought no otherwise than that he was to give up one of his ears, and ran as if fire were burning under him, in order to take them both home with him.

グレーテルはぼんやりしてはいませんでした。叫びながら主人のところへ駆けていって、言いました。「なんてお客さんを招いたんですか!」「えっ、どうしてだい、グレーテル。どういうことだ」「だって」とグレーテルは言いました。「わたしがちょうどお出ししようとしていたニワトリを、お皿から取って、持って逃げてしまったんですよ!」「なんてひどいことを!」と主人は言って、りっぱなニワトリを惜しみました。「せめて一羽でも残していってくれたら、わたしの食べる分があったのに」主人はお客さんに、待ってくれと呼びかけましたが、お客さんは聞こえないふりをしました。そこで主人は、包丁を手に持ったまま、「一つだけ、一つだけ!」と叫びながら、お客さんを追いかけました。ニワトリを二羽とも持っていかずに、一羽だけでも残してくれ、という意味でした。ところがお客さんは、耳を一つよこせと言っているのだとばかり思いこみました。そこで、両方の耳を持って家に帰れるように、まるで足の下で火が燃えているかのように、必死で走っていきました。

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むかし、グレーテルという料理番の女の人がいました。グレーテルは赤いばら飾りのついた靴をはいていました。その靴をはいて出かけると、あっちを向いたりこっちを向いたりしてみては、心の中で思いました。「あんたって、本当にきれいな娘ね!」そして家に帰ってくると、うれしい気持ちのまま、ワインをぐいと一杯飲みました。ワインを飲むとおなかがすくものですから、料理しているものの中から一番おいしいところを、満足するまで味見しました。そして言いました。「料理番は、料理の味を知っていなくちゃね」

ある日、主人がグレーテルに言いました。「グレーテル、今晩お客さんが来るから、ニワトリを二羽、うまく料理しておくれ」「かしこまりました、だんなさま」とグレーテルは答えました。グレーテルはニワトリを二羽しめて、湯につけ、羽をむしって、串に刺しました。そして夕方近くになると、火の前に置いて焼きはじめました。ニワトリはこんがりと色づきはじめ、もうすぐ焼きあがりそうになりましたが、お客さんはまだ来ませんでした。そこでグレーテルは主人に呼びかけました。「お客さんが来ないなら、ニワトリを火からおろさなければなりません。でも、一番汁けの多い今すぐに食べなかったら、罰当たりで、もったいないことですよ」主人は言いました。「わたしが自分で走っていって、お客さんを連れてこよう」主人が背中を向けて出ていくと、グレーテルはニワトリの串をわきへ置いて、考えました。「こんなに長いこと火のそばに立っていると、暑くてのどがかわくわ。あの人たち、いつ来るかわかったもんじゃない。その間に地下室へ行って、一杯飲んでこよう」グレーテルは駆けおりると、ジョッキを口にあてて、「グレーテル、神さまのお恵みがありますように」と言って、ぐいっと飲みました。そしてもう一杯、たっぷり飲みました。

それからグレーテルは戻ってきて、ニワトリをまた火にかけ、焼き汁をかけながら、串を元気よくくるくる回しました。ところが焼き肉があんまりいいにおいなので、グレーテルは思いました。「どこか具合の悪いところがあるかもしれないわ。味見をしなくちゃ!」そして指でちょっとさわってみて、言いました。「ああ、ニワトリってなんておいしいんでしょう!今すぐ食べないなんて、本当に罰当たりで、もったいないわ!」グレーテルは窓に駆けよって、主人がお客さんを連れて来ないかと見ましたが、だれの姿も見えませんでした。そこでニワトリのところへ戻って考えました。「片方の手羽が焦げてるわ!取って食べてしまったほうがいいわね」そこで手羽を切りとって食べ、じっくり味わいました。食べおわると、グレーテルは考えました。「もう片方も食べなくちゃ。でないと、何か足りないって、だんなさまに気づかれてしまうもの」両方の手羽を食べてしまうと、グレーテルは主人を探しに行きましたが、姿は見えませんでした。

ふいに、グレーテルは思いつきました。「わかったもんじゃないわ。もしかしたら、あの人たちは来ないのかもしれない。どこかに寄り道しているのよ」そこでグレーテルは言いました。「さあ、グレーテル、楽しみなさい。一羽はもう手をつけちゃったんだから、もう一杯飲んで、これをすっかり食べてしまいなさい。食べてしまえば、落ちつけるわ。神さまのくださったおいしいものを、どうしてむだにすることがあるの?」そこでグレーテルはまた地下室に駆けおりて、ものすごくたくさん飲み、ニワトリを一羽、大喜びでたいらげました。一羽をすっかりのみこんでしまっても、まだ主人は帰ってきません。グレーテルはもう一羽を見て言いました。「一羽があるところには、もう一羽もなくちゃ。二羽はいつも一緒なんだから。一羽にいいことは、もう一羽にもいいことよ。もう一杯飲んでも、別にどうってことないと思うわ」そこでグレーテルは、もう一杯たっぷり飲んで、二羽目のニワトリにも、一羽目のあとを追わせてやりました。

ちょうどグレーテルが一番おいしく食べているところへ、主人が帰ってきて、急げと叫びました。「急いでくれ、グレーテル、お客さんがすぐあとから来るぞ!」「はい、だんなさま、すぐにお出しします」とグレーテルは答えました。その間に主人は、食卓がきちんと用意されているか見てまわりました。そして、ニワトリを切り分けるのに使う大きな包丁を手に取って、戸口の石段でとぎはじめました。まもなくお客さんがやって来て、礼儀正しく、ていねいに玄関の戸をたたきました。グレーテルは走っていって、だれが来たのか見ました。そしてお客さんだとわかると、指を口にあてて言いました。「しっ!しっ!できるだけ早く逃げてください。だんなさまにつかまったら、ひどい目にあいますよ。だんなさまは、たしかにあなたを夕食に招きました。でも本当は、あなたの両方の耳を切り落とすつもりなんです。ほら、そのために包丁をといでいる音が聞こえるでしょう!」お客さんは包丁をとぐ音を聞くと、大急ぎで石段を駆けおりて、逃げていきました。

グレーテルはぼんやりしてはいませんでした。叫びながら主人のところへ駆けていって、言いました。「なんてお客さんを招いたんですか!」「えっ、どうしてだい、グレーテル。どういうことだ」「だって」とグレーテルは言いました。「わたしがちょうどお出ししようとしていたニワトリを、お皿から取って、持って逃げてしまったんですよ!」「なんてひどいことを!」と主人は言って、りっぱなニワトリを惜しみました。「せめて一羽でも残していってくれたら、わたしの食べる分があったのに」主人はお客さんに、待ってくれと呼びかけましたが、お客さんは聞こえないふりをしました。そこで主人は、包丁を手に持ったまま、「一つだけ、一つだけ!」と叫びながら、お客さんを追いかけました。ニワトリを二羽とも持っていかずに、一羽だけでも残してくれ、という意味でした。ところがお客さんは、耳を一つよこせと言っているのだとばかり思いこみました。そこで、両方の耳を持って家に帰れるように、まるで足の下で火が燃えているかのように、必死で走っていきました。

日本語訳:多読ベスト

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理解度チェック Quick Quiz

読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. Why did the master go out of the house?

Q2. What did Grethel tell the guest that the master wanted to do?

Q3. When the master cried "Just one, just one," what did he mean?

この読み物の使い方 3ステップ

  1. 聞きながら読む 音声に合わせて光る文を目で追う(聞き読み)。わからない語は飛ばしてOK。
  2. 音声なしで読む ⏱計測ボタンで読む速さ(WPM)を測ってみる。
  3. 耳だけで聞く 🎧聞くだけモードで、文字を見ずに内容がわかるか試す。🔁1文リピートで音読・シャドーイングも。

聞き読みの効果とやり方/多読三原則

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