How Habits Work: The Science of Doing Things Without Thinking(習慣のしくみ 考えずにできることの科学)の挿絵
Level 4 Intermediateノンフィクション

How Habits Work: The Science of Doing Things Without Thinking

習慣のしくみ 考えずにできることの科学

  • 📖 884 words
  • ⏱ 約8分
  • 🔊 4:45
  • YL 2.5–3.4
  • 英検2級目安
  • 📝 全訳つき

あらすじ歯みがきも、スマホを見るのも、気づけば自動的にやっていること。習慣は脳の中でどうやって作られるのでしょう。「21日で身につく」は本当なのかも、研究から見ていきます。

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キーワード(10語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • automatic自動的な
  • exhaustingひどく疲れさせる
  • maze迷路
  • basal ganglia大脳基底核(脳の深い部分)
  • chunkひとかたまり
  • cueきっかけ
  • routine決まった行動
  • rewardごほうび
  • surgeon外科医
  • environment環境
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Google Cloud TTS(Chirp 3 HD・アメリカ英語・Fenrir)

This morning, you probably brushed your teeth, put on your shoes and maybe checked your phone, all without really deciding to do any of it. Your body seemed to know what to do by itself. These automatic actions are habits, and they make up a surprisingly large part of our lives. In one well-known study, people kept diaries of what they were doing and thinking during the day. The researchers found that more than forty percent of their actions were repeated almost every day in the same situation, often while the people were thinking about something else.

あなたは今朝、たぶん歯をみがき、靴をはき、もしかするとスマートフォンを見たでしょう。どれも、わざわざやろうと決めたわけではないはずです。体が、何をすればいいかをひとりでに知っていたようなものです。こうした自動的な行動が、習慣です。そして習慣は、わたしたちの生活の、驚くほど大きな部分をしめています。ある有名な研究では、参加者に、1日のあいだに何をして何を考えていたかを日記につけてもらいました。すると、行動の40パーセント以上が、ほぼ毎日、同じ場面でくり返されていました。しかも、そのあいだ本人は、別のことを考えていることが多かったのです。

Habits are not a sign of laziness. They are one of the brain's best tricks for saving energy. Thinking carefully about every action would be exhausting. Imagine having to decide how to hold your toothbrush every single morning! By turning repeated actions into habits, the brain frees up attention for new problems.

習慣があるのは、なまけているからではありません。習慣は、エネルギーを節約するために脳が使う、いちばんうまい工夫のひとつなのです。どんな行動も、いちいちよく考えてからしていたら、くたくたになってしまいます。毎朝毎朝、歯ブラシをどう持つか考えなければならないとしたら、どうでしょう! くり返す行動を習慣に変えることで、脳は、新しい問題のために注意力をとっておけるのです。

The American psychologist William James wrote about this in 1890. He described living creatures as bundles of habits, and he pointed out that the more of our daily life we can hand over to automatic habits, the more our minds are free for more important work.

アメリカの心理学者ウィリアム・ジェームズは、1890年にこのことを書いています。ジェームズは、生き物を「習慣のかたまり」と呼びました。そして、毎日の生活のうち、自動的な習慣にまかせられる部分が多ければ多いほど、頭をもっと大切な仕事に自由に使えるようになる、と指摘しました。

Scientists have studied how habits form in the brain. In experiments in the United States, researchers trained rats to run through a simple maze to find a piece of chocolate. At first, the rats' brains were very active the whole time as they explored. But as they repeated the task again and again, the brain activity changed. A deep part of the brain called the basal ganglia became most active at the beginning and the end of the run, while the activity in between became much quieter. The run had become a habit, a single chunk of behavior that the brain could perform almost automatically.

科学者たちは、習慣が脳の中でどのようにできていくのかを研究してきました。アメリカでのある実験では、簡単な迷路を走りぬけてチョコレートのかけらを見つけるよう、ネズミを訓練しました。初めのうち、ネズミがあちこち探しているあいだ、脳はずっとさかんに働いていました。ところが、同じことを何度もくり返すうちに、脳の働き方が変わっていきました。大脳基底核と呼ばれる脳の奥の部分が、走りはじめと走り終わりにだけ強く働き、そのあいだはずっと静かになったのです。走ることが、習慣になったのです。つまり、脳がほとんど自動的にこなせる、ひとまとまりの行動になったわけです。

Many researchers describe a habit as a loop with three parts. First comes a cue, something that triggers the behavior, such as a time, a place, a feeling or another action. Then comes the routine, which is the behavior itself. Finally comes a reward, something that makes the brain want to repeat the loop. For example, the cue might be finishing dinner, the routine might be eating a snack in front of the TV, and the reward might be a pleasant, relaxed feeling. Over time, the cue alone is enough to start the routine.

多くの研究者は、習慣を、三つの部分がぐるぐる回る輪(ループ)として説明しています。まず、「きっかけ」があります。行動を始める引き金になるもので、時間や場所、気分、ほかの行動などです。次に「ルーティン」、つまり行動そのもの。最後に「ごほうび」です。このループをまたくり返したい、と脳に思わせるものです。たとえば、夕食を食べ終えることがきっかけになり、テレビの前でおやつを食べるのがルーティン、ほっとくつろいだ気分になるのがごほうび、というぐあいです。これが続くと、やがて、きっかけだけでルーティンが始まるようになります。

How long does it take to form a new habit? You may have heard that it takes twenty-one days. This number seems to come from a popular book published in 1960 by a surgeon named Maxwell Maltz, who wrote that people needed a minimum of about twenty-one days to get used to a change. But his book was not based on a scientific study of habits.

新しい習慣を身につけるには、どのくらいかかるのでしょう。21日かかる、と聞いたことがあるかもしれません。この数字は、1960年にマクスウェル・モルツという外科医が出した人気の本から来ているようです。モルツは、人が変化に慣れるには、少なくとも21日ほどかかると書きました。けれども、この本は、習慣についての科学的な研究にもとづいたものではありませんでした。

In a study published in 2009, researchers at University College London actually tried to measure it. They asked volunteers to choose a new healthy behavior, such as eating a piece of fruit with lunch or going for a run before dinner, and to do it every day in the same situation. Each day, the volunteers reported how automatic the behavior felt. On average, it took about sixty-six days for the behavior to become as automatic as it was going to get. But the differences between people were huge, from eighteen days to, according to the researchers' estimates, more than eight months. Simple habits, like drinking a glass of water, became automatic faster than difficult ones, like doing exercise.

2009年、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの研究者たちが、それを実際にはかってみた研究を発表しました。ボランティアに、新しい健康的な行動をひとつ選んでもらい、毎日同じ場面でやってもらったのです。たとえば、昼食のときに果物を一切れ食べる、夕食の前に走りに行く、といった行動です。ボランティアは毎日、その行動がどのくらい自動的にできるようになったかを報告しました。平均すると、その行動がそれ以上は自動的にならないところまで達するのに、約66日かかりました。ただし、人によるちがいがとても大きく、早い人は18日、遅い人は、研究者たちの見積もりでは8か月以上かかりました。コップ1杯の水を飲むといった簡単な習慣は、運動のような難しい習慣よりも早く自動的になりました。

The study also found some good news. Missing one day did not seriously damage the process. What mattered most was repeating the behavior often, in the same situation. So if you miss a day, there is no need to give up. Just start again the next day.

この研究では、うれしいことも分かりました。1日休んでも、習慣づくりが大きくくずれることはなかったのです。いちばん大事なのは、同じ場面で、その行動を何度もくり返すことでした。ですから、1日できなかったからといって、あきらめることはありません。次の日にまた始めればいいのです。

Research suggests several ways to make building a habit easier. One is to connect the new behavior to a clear cue. Psychologists have found that making a specific plan, such as "When I get on the train in the morning, I will read one chapter," makes people much more likely to follow through than simply saying "I will read more." Another is to start small. A tiny habit that you actually do every day is better than a big one that you give up after a week. A third is to change your environment. If you want to read more, put a book on your pillow or on your desk. If you want to use your phone less, leave it in another room.

研究によると、習慣を身につけやすくする方法がいくつかあります。ひとつは、新しい行動を、はっきりしたきっかけと結びつけることです。ただ「もっと本を読もう」と言うよりも、「朝、電車に乗ったら1章読む」のように具体的な計画を立てたほうが、実際にやりとげる人がずっと多くなる。心理学者たちは、そう突きとめています。ふたつ目は、小さく始めることです。1週間でやめてしまう大きな習慣より、毎日本当に続けられる小さな習慣のほうがいいのです。三つ目は、まわりの環境を変えることです。もっと本を読みたいなら、まくらの上や机の上に本を置いておきましょう。スマートフォンを使う時間を減らしたいなら、別の部屋に置いておきましょう。

Breaking a bad habit is often harder than making a new one, because the old loop remains in the brain even after we stop. That is why people who quit a habit can easily slip back into it when they meet the old cue again. Instead of just trying hard to stop, it often works better to avoid the cue, or to replace the old routine with a new one that gives a similar reward.

悪い習慣をやめるのは、新しい習慣を作るよりも難しいことがよくあります。やめたあとも、古いループが脳の中に残っているからです。習慣をやめた人が、昔のきっかけにまた出会うと、あっさりもとにもどってしまうのはそのためです。ただがんばってやめようとするより、きっかけを避けるほうが、うまくいくことが多いのです。あるいは、古いルーティンを、似たようなごほうびが得られる新しいルーティンに置きかえるのも効果的です。

Habits are powerful because they are small and repeated. One page a day does not feel like much. But one page a day for a year is more than three hundred pages, enough for several easy English books. In the end, the small things we repeat every day may shape our lives more than the big decisions we make only once.

習慣に大きな力があるのは、小さくて、くり返されるものだからです。1日1ページなら、たいしたことには思えません。けれども、1日1ページを1年続ければ300ページ以上になります。やさしい英語の本が何冊も読める量です。結局のところ、わたしたちの人生をつくっているのは、一度きりの大きな決断よりも、毎日くり返している小さなことなのかもしれません。

📖 全訳をまとめて読む 読み終わってからの答え合わせに

あなたは今朝、たぶん歯をみがき、靴をはき、もしかするとスマートフォンを見たでしょう。どれも、わざわざやろうと決めたわけではないはずです。体が、何をすればいいかをひとりでに知っていたようなものです。こうした自動的な行動が、習慣です。そして習慣は、わたしたちの生活の、驚くほど大きな部分をしめています。ある有名な研究では、参加者に、1日のあいだに何をして何を考えていたかを日記につけてもらいました。すると、行動の40パーセント以上が、ほぼ毎日、同じ場面でくり返されていました。しかも、そのあいだ本人は、別のことを考えていることが多かったのです。

習慣があるのは、なまけているからではありません。習慣は、エネルギーを節約するために脳が使う、いちばんうまい工夫のひとつなのです。どんな行動も、いちいちよく考えてからしていたら、くたくたになってしまいます。毎朝毎朝、歯ブラシをどう持つか考えなければならないとしたら、どうでしょう! くり返す行動を習慣に変えることで、脳は、新しい問題のために注意力をとっておけるのです。

アメリカの心理学者ウィリアム・ジェームズは、1890年にこのことを書いています。ジェームズは、生き物を「習慣のかたまり」と呼びました。そして、毎日の生活のうち、自動的な習慣にまかせられる部分が多ければ多いほど、頭をもっと大切な仕事に自由に使えるようになる、と指摘しました。

科学者たちは、習慣が脳の中でどのようにできていくのかを研究してきました。アメリカでのある実験では、簡単な迷路を走りぬけてチョコレートのかけらを見つけるよう、ネズミを訓練しました。初めのうち、ネズミがあちこち探しているあいだ、脳はずっとさかんに働いていました。ところが、同じことを何度もくり返すうちに、脳の働き方が変わっていきました。大脳基底核と呼ばれる脳の奥の部分が、走りはじめと走り終わりにだけ強く働き、そのあいだはずっと静かになったのです。走ることが、習慣になったのです。つまり、脳がほとんど自動的にこなせる、ひとまとまりの行動になったわけです。

多くの研究者は、習慣を、三つの部分がぐるぐる回る輪(ループ)として説明しています。まず、「きっかけ」があります。行動を始める引き金になるもので、時間や場所、気分、ほかの行動などです。次に「ルーティン」、つまり行動そのもの。最後に「ごほうび」です。このループをまたくり返したい、と脳に思わせるものです。たとえば、夕食を食べ終えることがきっかけになり、テレビの前でおやつを食べるのがルーティン、ほっとくつろいだ気分になるのがごほうび、というぐあいです。これが続くと、やがて、きっかけだけでルーティンが始まるようになります。

新しい習慣を身につけるには、どのくらいかかるのでしょう。21日かかる、と聞いたことがあるかもしれません。この数字は、1960年にマクスウェル・モルツという外科医が出した人気の本から来ているようです。モルツは、人が変化に慣れるには、少なくとも21日ほどかかると書きました。けれども、この本は、習慣についての科学的な研究にもとづいたものではありませんでした。

2009年、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの研究者たちが、それを実際にはかってみた研究を発表しました。ボランティアに、新しい健康的な行動をひとつ選んでもらい、毎日同じ場面でやってもらったのです。たとえば、昼食のときに果物を一切れ食べる、夕食の前に走りに行く、といった行動です。ボランティアは毎日、その行動がどのくらい自動的にできるようになったかを報告しました。平均すると、その行動がそれ以上は自動的にならないところまで達するのに、約66日かかりました。ただし、人によるちがいがとても大きく、早い人は18日、遅い人は、研究者たちの見積もりでは8か月以上かかりました。コップ1杯の水を飲むといった簡単な習慣は、運動のような難しい習慣よりも早く自動的になりました。

この研究では、うれしいことも分かりました。1日休んでも、習慣づくりが大きくくずれることはなかったのです。いちばん大事なのは、同じ場面で、その行動を何度もくり返すことでした。ですから、1日できなかったからといって、あきらめることはありません。次の日にまた始めればいいのです。

研究によると、習慣を身につけやすくする方法がいくつかあります。ひとつは、新しい行動を、はっきりしたきっかけと結びつけることです。ただ「もっと本を読もう」と言うよりも、「朝、電車に乗ったら1章読む」のように具体的な計画を立てたほうが、実際にやりとげる人がずっと多くなる。心理学者たちは、そう突きとめています。ふたつ目は、小さく始めることです。1週間でやめてしまう大きな習慣より、毎日本当に続けられる小さな習慣のほうがいいのです。三つ目は、まわりの環境を変えることです。もっと本を読みたいなら、まくらの上や机の上に本を置いておきましょう。スマートフォンを使う時間を減らしたいなら、別の部屋に置いておきましょう。

悪い習慣をやめるのは、新しい習慣を作るよりも難しいことがよくあります。やめたあとも、古いループが脳の中に残っているからです。習慣をやめた人が、昔のきっかけにまた出会うと、あっさりもとにもどってしまうのはそのためです。ただがんばってやめようとするより、きっかけを避けるほうが、うまくいくことが多いのです。あるいは、古いルーティンを、似たようなごほうびが得られる新しいルーティンに置きかえるのも効果的です。

習慣に大きな力があるのは、小さくて、くり返されるものだからです。1日1ページなら、たいしたことには思えません。けれども、1日1ページを1年続ければ300ページ以上になります。やさしい英語の本が何冊も読める量です。結局のところ、わたしたちの人生をつくっているのは、一度きりの大きな決断よりも、毎日くり返している小さなことなのかもしれません。

日本語訳:多読ベスト

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理解度チェック Quick Quiz

読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. Why does the brain form habits?

Q2. What did the University College London study find?

Q3. According to the reading, what is one good way to break a bad habit?

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この読み物の使い方 3ステップ

  1. 聞きながら読む 音声に合わせて光る文を目で追う(聞き読み)。わからない語は飛ばしてOK。
  2. 音声なしで読む ⏱計測ボタンで読む速さ(WPM)を測ってみる。
  3. 耳だけで聞く 🎧聞くだけモードで、文字を見ずに内容がわかるか試す。🔁1文リピートで音読・シャドーイングも。

聞き読みの効果とやり方/多読三原則

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