Pan, Tycoon and Tsunami: How Japanese and English Borrow Words(パン、タイクーン、ツナミ 日本語と英語の言葉の貸し借り)の挿絵
Level 4 Intermediateノンフィクション

Pan, Tycoon and Tsunami: How Japanese and English Borrow Words

パン、タイクーン、ツナミ 日本語と英語の言葉の貸し借り

  • 📖 873 words
  • ⏱ 約8分
  • 🔊 5:36
  • YL 2.5–3.4
  • 英検2級目安
  • 📝 全訳つき

あらすじ「パン」はどこの国の言葉? 英語の tycoon のもとになった日本語は? 日本語と英語のあいだを行き来してきた言葉たちの、ちょっと意外な旅の話。

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キーワード(10語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • linguists言語学者
  • loanwords借用語・外来語
  • missionaries宣教師
  • origin起源
  • scholars学者
  • consonant子音
  • diplomats外交官
  • savoryうま味のある
  • spoilだめにする
  • trapわな・落とし穴
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Walk into a Japanese convenience store, and you will be surrounded by foreign words written in katakana, from coffee and beer to sandwiches and ice cream. Walk through a big city in America or Britain, and you will see Japanese words on signs everywhere: sushi, ramen, karaoke. When languages meet, they share many things, and one of the things they share most is words. Linguists call these borrowed words "loanwords," although, of course, nobody ever gives them back.

日本のコンビニに入ると、コーヒーやビールから、サンドイッチやアイスクリームまで、カタカナで書かれた外国の言葉に囲まれます。アメリカやイギリスの大都市を歩けば、すし、ラーメン、カラオケといった日本語が、あちこちの看板に見つかります。言葉と言葉が出会うと、いろいろなものが行き来します。中でもいちばんよく行き来するのが、単語です。言語学者は、こうした借りてきた言葉を「借用語(ローンワード)」と呼びます。借りた、とはいっても、もちろんだれも返したりはしないのですが。

Japan's first contact with European languages came in the sixteenth century, when Portuguese traders and missionaries arrived. They brought new things, and new things needed names. The Japanese word pan, meaning bread, comes from Portuguese. So does tabako, from the Portuguese word for tobacco, and karuta, the card game, from the Portuguese word for a card. Many people believe that tempura also came from Portuguese, although experts do not completely agree about its origin.

日本がヨーロッパの言葉に初めてふれたのは、16世紀のことです。ポルトガルの商人や宣教師がやって来たのです。彼らは新しい品物を持ちこみ、新しい品物には名前が必要でした。日本語の「パン」は、ポルトガル語から来ています。「タバコ」もポルトガル語のタバコを表す言葉から、カード遊びの「カルタ」もポルトガル語のカードを表す言葉から来ています。「てんぷら」もポルトガル語から来たと考えている人は多いのですが、語源については専門家の意見がすっかり一致しているわけではありません。

During most of the Edo period, Japan strictly limited its contact with Europe. The only Europeans allowed to trade were the Dutch, on a small island called Dejima in Nagasaki. Japanese scholars studied Dutch books on medicine and science, a field known as rangaku, or Dutch learning. As a result, many Dutch words entered Japanese, including the words for beer, coffee, glass and rubber. Even the randoseru, the leather backpack that Japanese elementary school children carry, gets its name from ransel, a Dutch word for a soldier's backpack.

江戸時代のほとんどのあいだ、日本はヨーロッパとのつき合いを厳しく制限していました。貿易を許されたヨーロッパ人はオランダ人だけで、場所も長崎の出島という小さな島にかぎられていました。日本の学者たちは、医学や科学について書かれたオランダ語の本を学びました。この学問を「蘭学」、つまりオランダの学問といいます。その結果、ビール、コーヒー、ガラス、ゴムなど、たくさんのオランダ語が日本語に入りました。小学生が背負う革のかばん「ランドセル」も、兵士の背のうを意味するオランダ語「ランセル」からきた名前なのです。

After Japan opened to the world in the 1850s and 1860s, new languages arrived. Japanese doctors studied German medicine, so a medical record became karute, from the German word Karte. A part-time job became arubaito, from Arbeit, the German word for work. But English soon became the most important foreign language, and since then, thousands of English words have entered Japanese, from the words for television and computer to the newest words about the internet.

1850年代から1860年代にかけて日本が国を開くと、ほかの国の言葉も入ってきました。日本の医者たちはドイツの医学を学んだので、患者の記録はドイツ語の Karte から「カルテ」になりました。パートタイムの仕事は、仕事を意味するドイツ語の Arbeit から「アルバイト」になりました。けれども、まもなく英語が最も大切な外国語になります。それ以来、テレビやコンピューターから、インターネットの最新の言葉まで、何千もの英単語が日本語に入ってきました。

Borrowed words rarely stay the same. First, their sounds change to fit Japanese, which usually puts a vowel after each consonant. So the short English word "strike" becomes sutoraiku, with five beats instead of one. Second, long words are often shortened. "Personal computer" became pasokon, "convenience store" became konbini, and "smartphone" became sumaho. Third, the meaning can change. In Japanese, a manshon is usually an ordinary apartment building, not a huge and expensive house as "mansion" means in English.

借りてきた言葉が、もとのままでいることはめったにありません。まず、音が日本語に合うように変わります。日本語では、ふつう子音のあとに母音がつくからです。そのため、英語では短い strike という単語も、1拍ではなく5拍の「ストライク」になります。次に、長い言葉はよく短くされます。「パーソナルコンピューター」は「パソコン」に、「コンビニエンスストア」は「コンビニ」に、「スマートフォン」は「スマホ」になりました。さらに、意味が変わることもあります。日本語の「マンション」は、たいていふつうの集合住宅のことです。英語の mansion のような、広くて豪華な大邸宅のことではありません。

Japanese has also created many words that look English but were actually made in Japan. These are called wasei-eigo, or "Japan-made English." A gas station is a gasorin sutando, an office worker is a sarariiman, and a baseball game played at night is a naitaa. An English speaker might be able to guess some of these words, but most of them are not used in English.

日本語はまた、英語のように見えて、じつは日本で作られた言葉もたくさん生み出してきました。これを「和製英語」、つまり「日本で作られた英語」といいます。ガソリンを売る店は「ガソリンスタンド」、会社員は「サラリーマン」、夜にする野球の試合は「ナイター」です。英語を話す人なら、いくつかは意味を想像できるかもしれません。でも、そのほとんどは英語では使われていないのです。

Words have traveled the other way too. Some Japanese words entered English long ago. In the 1850s and 1860s, foreign diplomats in Japan called the shogun the "tycoon," from the Japanese word taikun, meaning "great lord." Today in English, a tycoon is a very rich and powerful businessperson, and most people who use the word have no idea that it came from Japan. After World War II, American soldiers in Japan and Korea picked up the word hancho, meaning the leader of a small group, and turned it into "honcho." In American English, "the head honcho" means the boss.

反対に、日本から英語へ旅をした言葉もあります。中には、ずいぶん昔に英語に入った日本語もあります。1850年代から1860年代、日本にいた外国の外交官たちは、将軍のことを tycoon と呼びました。「偉大な君主」という意味の日本語「大君(たいくん)」からとった呼び名です。今の英語で tycoon といえば、大金持ちで力のある実業家のことです。この言葉を使うほとんどの人は、それが日本から来たとは夢にも思っていません。また、第二次世界大戦のあと、日本や朝鮮にいたアメリカ兵は、小さなグループのリーダーを指す「班長(はんちょう)」という言葉を覚え、honcho に変えました。アメリカ英語で the head honcho といえば、親分、ボスのことです。

Other Japanese words came together with things that the world found interesting. Food words such as sushi, tofu, wasabi, edamame and ramen are now common in English. So are words from Japanese culture, such as manga, anime, origami and karaoke. Some words come from science. "Tsunami" is used by scientists around the world, partly because Japan has such long experience with these giant waves. "Umami," the savory taste of foods like dashi, was named by the Japanese scientist Kikunae Ikeda in 1908, and it is now widely recognized as one of the basic tastes. More recently, "emoji" has become an everyday word for people everywhere.

世界の人々が興味をもった品物と一緒に、英語に入った日本語もあります。すし、豆腐、わさび、枝豆、ラーメンといった食べ物の言葉は、今では英語でもふつうに使われています。マンガ、アニメ、折り紙、カラオケといった日本の文化の言葉も同じです。科学の分野から入った言葉もあります。「津波」は世界中の科学者に使われています。日本がこの巨大な波と長くつき合ってきたことも、その理由のひとつです。だしのような食べ物の、あのうまい味を表す「うま味」は、1908年に日本の科学者・池田菊苗が名づけた言葉で、今では基本の味のひとつとして広く認められています。さらに最近では、「絵文字」が、世界中の人がふつうに使う日常の言葉になりました。

Just like English words in Japan, Japanese words often change in English. In America, a "futon" is often a kind of sofa that can be turned into a bed, which is quite different from a futon spread on tatami. Many English speakers pronounce "karaoke" in a way that sounds like "carry-okie," and "tycoon" no longer has anything to do with shoguns.

日本に入った英語と同じように、英語に入った日本語も、よく姿を変えます。アメリカで futon といえば、たいていはベッドにもなるソファのことです。畳の上に敷く布団とは、ずいぶんちがいます。英語を話す人の多くは、カラオケを「キャリオーキー」のように発音しますし、tycoon はもう将軍とは何の関係もありません。

Some people worry that too many loanwords will spoil their language. In Japan, people sometimes complain about government documents full of difficult katakana words. In English, too, there have long been arguments about borrowing. But history shows that borrowing is completely natural. English has borrowed from French, Latin, Norse and hundreds of other languages, and Japanese built a large part of its vocabulary on words from Chinese long before any European arrived.

借用語が増えすぎると自分たちの言葉がだめになる、と心配する人もいます。日本では、難しいカタカナ語だらけの役所の文書に文句が出ることがあります。英語でも、ほかの言葉から単語を借りることについては、昔から議論が続いてきました。けれども歴史を見れば、言葉を借りるのはごく自然なことだと分かります。英語は、フランス語、ラテン語、ノルド語、そのほか何百もの言葉から単語を借りてきました。日本語も、ヨーロッパ人がやって来るずっと前から、語彙の大きな部分を中国から来た言葉で築いてきたのです。

For Japanese learners of English, loanwords are both a gift and a trap. They are a gift because you already know thousands of words that are related to English, from "table" to "energy." They are a trap because the meanings and sounds have often changed. So when you meet a familiar katakana word in English, enjoy the connection, but check whether it still means the same thing. Words, like travelers, often come home a little different.

英語を学ぶ日本人にとって、借用語はありがたい贈り物でもあり、落とし穴でもあります。贈り物だというのは、「テーブル」から「エネルギー」まで、英語とつながりのある単語を、すでに何千も知っているからです。落とし穴だというのは、意味や音が変わってしまっていることが多いからです。ですから、英語の中でなじみのあるカタカナ語に出会ったら、そのつながりを楽しみながらも、今も同じ意味なのかどうか、たしかめてみましょう。言葉も旅人と同じで、ふるさとに帰ってくるときには、少し変わっていることが多いのです。

📖 全訳をまとめて読む 読み終わってからの答え合わせに

日本のコンビニに入ると、コーヒーやビールから、サンドイッチやアイスクリームまで、カタカナで書かれた外国の言葉に囲まれます。アメリカやイギリスの大都市を歩けば、すし、ラーメン、カラオケといった日本語が、あちこちの看板に見つかります。言葉と言葉が出会うと、いろいろなものが行き来します。中でもいちばんよく行き来するのが、単語です。言語学者は、こうした借りてきた言葉を「借用語(ローンワード)」と呼びます。借りた、とはいっても、もちろんだれも返したりはしないのですが。

日本がヨーロッパの言葉に初めてふれたのは、16世紀のことです。ポルトガルの商人や宣教師がやって来たのです。彼らは新しい品物を持ちこみ、新しい品物には名前が必要でした。日本語の「パン」は、ポルトガル語から来ています。「タバコ」もポルトガル語のタバコを表す言葉から、カード遊びの「カルタ」もポルトガル語のカードを表す言葉から来ています。「てんぷら」もポルトガル語から来たと考えている人は多いのですが、語源については専門家の意見がすっかり一致しているわけではありません。

江戸時代のほとんどのあいだ、日本はヨーロッパとのつき合いを厳しく制限していました。貿易を許されたヨーロッパ人はオランダ人だけで、場所も長崎の出島という小さな島にかぎられていました。日本の学者たちは、医学や科学について書かれたオランダ語の本を学びました。この学問を「蘭学」、つまりオランダの学問といいます。その結果、ビール、コーヒー、ガラス、ゴムなど、たくさんのオランダ語が日本語に入りました。小学生が背負う革のかばん「ランドセル」も、兵士の背のうを意味するオランダ語「ランセル」からきた名前なのです。

1850年代から1860年代にかけて日本が国を開くと、ほかの国の言葉も入ってきました。日本の医者たちはドイツの医学を学んだので、患者の記録はドイツ語の Karte から「カルテ」になりました。パートタイムの仕事は、仕事を意味するドイツ語の Arbeit から「アルバイト」になりました。けれども、まもなく英語が最も大切な外国語になります。それ以来、テレビやコンピューターから、インターネットの最新の言葉まで、何千もの英単語が日本語に入ってきました。

借りてきた言葉が、もとのままでいることはめったにありません。まず、音が日本語に合うように変わります。日本語では、ふつう子音のあとに母音がつくからです。そのため、英語では短い strike という単語も、1拍ではなく5拍の「ストライク」になります。次に、長い言葉はよく短くされます。「パーソナルコンピューター」は「パソコン」に、「コンビニエンスストア」は「コンビニ」に、「スマートフォン」は「スマホ」になりました。さらに、意味が変わることもあります。日本語の「マンション」は、たいていふつうの集合住宅のことです。英語の mansion のような、広くて豪華な大邸宅のことではありません。

日本語はまた、英語のように見えて、じつは日本で作られた言葉もたくさん生み出してきました。これを「和製英語」、つまり「日本で作られた英語」といいます。ガソリンを売る店は「ガソリンスタンド」、会社員は「サラリーマン」、夜にする野球の試合は「ナイター」です。英語を話す人なら、いくつかは意味を想像できるかもしれません。でも、そのほとんどは英語では使われていないのです。

反対に、日本から英語へ旅をした言葉もあります。中には、ずいぶん昔に英語に入った日本語もあります。1850年代から1860年代、日本にいた外国の外交官たちは、将軍のことを tycoon と呼びました。「偉大な君主」という意味の日本語「大君(たいくん)」からとった呼び名です。今の英語で tycoon といえば、大金持ちで力のある実業家のことです。この言葉を使うほとんどの人は、それが日本から来たとは夢にも思っていません。また、第二次世界大戦のあと、日本や朝鮮にいたアメリカ兵は、小さなグループのリーダーを指す「班長(はんちょう)」という言葉を覚え、honcho に変えました。アメリカ英語で the head honcho といえば、親分、ボスのことです。

世界の人々が興味をもった品物と一緒に、英語に入った日本語もあります。すし、豆腐、わさび、枝豆、ラーメンといった食べ物の言葉は、今では英語でもふつうに使われています。マンガ、アニメ、折り紙、カラオケといった日本の文化の言葉も同じです。科学の分野から入った言葉もあります。「津波」は世界中の科学者に使われています。日本がこの巨大な波と長くつき合ってきたことも、その理由のひとつです。だしのような食べ物の、あのうまい味を表す「うま味」は、1908年に日本の科学者・池田菊苗が名づけた言葉で、今では基本の味のひとつとして広く認められています。さらに最近では、「絵文字」が、世界中の人がふつうに使う日常の言葉になりました。

日本に入った英語と同じように、英語に入った日本語も、よく姿を変えます。アメリカで futon といえば、たいていはベッドにもなるソファのことです。畳の上に敷く布団とは、ずいぶんちがいます。英語を話す人の多くは、カラオケを「キャリオーキー」のように発音しますし、tycoon はもう将軍とは何の関係もありません。

借用語が増えすぎると自分たちの言葉がだめになる、と心配する人もいます。日本では、難しいカタカナ語だらけの役所の文書に文句が出ることがあります。英語でも、ほかの言葉から単語を借りることについては、昔から議論が続いてきました。けれども歴史を見れば、言葉を借りるのはごく自然なことだと分かります。英語は、フランス語、ラテン語、ノルド語、そのほか何百もの言葉から単語を借りてきました。日本語も、ヨーロッパ人がやって来るずっと前から、語彙の大きな部分を中国から来た言葉で築いてきたのです。

英語を学ぶ日本人にとって、借用語はありがたい贈り物でもあり、落とし穴でもあります。贈り物だというのは、「テーブル」から「エネルギー」まで、英語とつながりのある単語を、すでに何千も知っているからです。落とし穴だというのは、意味や音が変わってしまっていることが多いからです。ですから、英語の中でなじみのあるカタカナ語に出会ったら、そのつながりを楽しみながらも、今も同じ意味なのかどうか、たしかめてみましょう。言葉も旅人と同じで、ふるさとに帰ってくるときには、少し変わっていることが多いのです。

日本語訳:多読ベスト

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理解度チェック Quick Quiz

読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. Which language gave Japanese the word pan?

Q2. What does "tycoon" mean in English today?

Q3. Why are loanwords both a gift and a trap for learners?

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この読み物の使い方 3ステップ

  1. 聞きながら読む 音声に合わせて光る文を目で追う(聞き読み)。わからない語は飛ばしてOK。
  2. 音声なしで読む ⏱計測ボタンで読む速さ(WPM)を測ってみる。
  3. 耳だけで聞く 🎧聞くだけモードで、文字を見ずに内容がわかるか試す。🔁1文リピートで音読・シャドーイングも。

聞き読みの効果とやり方/多読三原則

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