The Trojan Horse(トロイの木馬)の挿絵
Level 3 Pre-Intermediate神話と伝説

The Trojan Horse

トロイの木馬

  • 📖 864 words
  • ⏱ 約8分
  • 🔊 4:43
  • YL 1.5–2.4
  • 英検準2級目安
  • 📝 全訳つき

あらすじ10年たっても終わらない、ギリシャ軍とトロイの町の戦い。高い城壁を前に疲れはてたギリシャ軍に、知恵者オデュッセウスがとんでもない作戦を思いつきます。

ギリシャ神話(トロイア戦争)

キーワード(8語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • siege包囲(町をとりかこんで攻めること)
  • wall城壁
  • wooden木でできた
  • gift贈り物
  • trick計略;たくらみ
  • priest神官
  • prophetess予言者(女性)
  • gates城門
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For ten long years, the Greeks had been fighting against the city of Troy. The war had started when Paris, a prince of Troy, took the beautiful Helen away from her husband, a Greek king. All the kings of Greece had sailed to Troy with a thousand ships to bring her back.

十年もの長いあいだ、ギリシャ軍はトロイアの町と戦いつづけていました。戦争が始まったのは、トロイアの王子パリスが、ギリシャのある王の妻である美しいヘレネを連れ去ったからでした。ギリシャじゅうの王たちが、ヘレネを取りもどすために、千隻の船でトロイアへ渡ってきたのです。

But Troy was protected by enormous stone walls. They were so high and strong that no army could climb them or break them down. Year after year, the Greeks camped on the beach outside the city. Many great heroes on both sides had died, and the Greek soldiers were tired and homesick. They wanted to go back to their families.

けれどもトロイアは、巨大な石の城壁に守られていました。その壁はとても高くがんじょうで、どんな軍隊もよじ登ることも打ち破ることもできませんでした。来る年も来る年も、ギリシャ軍は町の外の浜辺に陣を張っていました。両軍で多くの偉大な英雄たちが命を落とし、ギリシャの兵士たちは疲れ果て、故郷を恋しがっていました。家族のもとへ帰りたかったのです。

Then Odysseus, the cleverest of all the Greek kings, had an idea. "We cannot break the walls," he said. "So we must find a way to make the Trojans open their gates for us."

そのとき、ギリシャの王たちの中でいちばん知恵のあるオデュッセウスが、ある考えを思いつきました。「城壁をこわすことはできない」と、オデュッセウスは言いました。「だから、トロイア人に自分から門を開けさせる方法を見つけなければならない」

He explained his plan to the other kings. They looked at each other in surprise, but they agreed. A skilled builder named Epeius was given the job. With his men, he cut down trees and worked day and night. Slowly, a huge horse made of wood rose up on the beach. It was taller than a house, and it stood on wheels. Its body was hollow, and on one side there was a secret door that nobody could see from outside.

オデュッセウスはほかの王たちに自分の計画を説明しました。王たちはおどろいて顔を見合わせましたが、賛成しました。エペイオスという腕のいい大工がその仕事をまかされました。エペイオスは部下たちと木を切りたおし、昼も夜も働きました。少しずつ、木でできた巨大な馬が浜辺にそびえ立っていきました。それは家よりも高く、車輪の上に立っていました。胴体の中は空っぽで、片側には外からはだれにも見えない秘密の扉がありました。

One night, Odysseus and about thirty of the bravest Greek soldiers climbed into the horse with their swords and shields. The door was shut behind them. Then the rest of the Greeks burned their camp, got into their ships, and sailed away. But they did not go home. They hid their ships behind a small island not far away, and they waited.

ある夜、オデュッセウスと、ギリシャでもっとも勇敢な兵士およそ三十人が、剣と盾を持って馬の中に乗りこみました。扉はそのうしろで閉じられました。それから残りのギリシャ軍は陣地を焼きはらい、船に乗りこんで去っていきました。けれども、故郷には帰りませんでした。少しはなれた小さな島のかげに船をかくし、待っていたのです。

In the morning, the Trojans looked out from their walls. They could not believe their eyes. The beach was empty. The Greek ships were gone. Only the great wooden horse was standing there in the sand.

朝になって、トロイア人たちは城壁から外を見ました。自分の目が信じられませんでした。浜辺には何もありません。ギリシャの船は消えていました。ただ大きな木の馬だけが、砂の上に立っていました。

The people of Troy ran out of the city, shouting and singing. "The war is over!" they cried. "The Greeks have gone home!" They gathered around the horse and stared at it. "What is it?" they asked. "Why did they leave it here?"

トロイアの人々はさけんだり歌ったりしながら、町からかけ出してきました。「戦争は終わった!」と、人々はさけびました。「ギリシャ人は国へ帰ったぞ!」 人々は馬のまわりに集まって、じっと見つめました。「これは何だろう?」「どうしてこれをここに置いていったのだろう?」

Just then, some Trojan soldiers found a young Greek man hiding in the grass. His name was Sinon, and he had stayed behind on purpose, as part of Odysseus's plan. He pretended to be frightened. "Please don't kill me," he cried. "The Greeks wanted to kill me, but I ran away from them."

ちょうどそのとき、トロイアの兵士たちが、草むらにかくれていたギリシャの若者を見つけました。その名はシノン。オデュッセウスの計画の一部として、わざとあとに残っていたのです。シノンはおびえているふりをしました。「どうか殺さないでください」と、シノンはさけびました。「ギリシャ人たちはわたしを殺そうとしたのです。でも、わたしは逃げてきたのです」

"What is this horse?" asked Priam, the old king of Troy.

「この馬は何なのだ?」と、トロイアの老王プリアモスがたずねました。

"It is a gift for the goddess Athena," said Sinon. "The Greeks built it to ask her to give them a safe journey home. They made it very large so that you could not take it into your city. If the horse enters Troy, the goddess will protect your city forever."

「女神アテナへのささげ物です」と、シノンは答えました。「ギリシャ人たちは、無事に故郷へ帰れるよう女神に願うために、これを作りました。あなたがたが町の中へ運び入れられないように、とても大きく作ったのです。もしこの馬がトロイアに入れば、女神があなたがたの町を永遠に守ってくださるでしょう」

Many Trojans believed him. But not everyone. A priest named Laocoon came running from the city. "Are you crazy?" he shouted. "Do you really believe that the Greeks have gone? This is a trick of Odysseus! I fear the Greeks most when they bring gifts." He threw his spear at the horse, and it stuck in the wooden side with a hollow sound.

多くのトロイア人はシノンの話を信じました。けれども、全員ではありませんでした。ラオコーンという神官が町から走ってきました。「気でもちがったのか!」と、ラオコーンはさけびました。「ギリシャ人が本当にいなくなったと信じているのか? これはオデュッセウスのたくらみだ! わたしは、贈り物を持ってくるときのギリシャ人こそいちばん恐ろしい」 ラオコーンが槍を馬に投げつけると、槍は木の胴体につきささり、うつろな音を立てました。

Then something terrible happened. Two great sea serpents came out of the water and attacked Laocoon and his two sons. They were never seen again. The Trojans were filled with fear. "Laocoon hurt the goddess's gift," they said, "and the gods have punished him."

そのとき、恐ろしいことが起こりました。二匹の巨大な海ヘビが海からあらわれて、ラオコーンと二人の息子におそいかかったのです。三人の姿は二度と見られませんでした。トロイア人たちは恐ろしさでいっぱいになりました。「ラオコーンが女神の贈り物を傷つけたから、神々が罰したのだ」と、人々は言いました。

King Priam had a daughter named Cassandra, who could see the future. Long ago, the god Apollo had given her this gift, but he had also cursed her, so that nobody ever believed her words. "Do not take this horse into the city!" she cried. "It will bring fire and death to Troy!" But the people only laughed at her, as they always did.

プリアモス王には、未来を見ることのできるカッサンドラという娘がいました。ずっと前に、アポロン神が与えた力です。けれどもアポロンは同時に呪いもかけたので、だれもカッサンドラの言葉を信じませんでした。「この馬を町に入れてはなりません!」と、カッサンドラはさけびました。「トロイアに炎と死をもたらします!」 けれども人々は、いつものようにカッサンドラを笑うばかりでした。

So the Trojans tied ropes to the horse and pulled it toward the city. The horse was so big that they had to break part of their own wall to bring it inside. They pulled it into the center of Troy and put flowers around it. That night, the whole city had a great party. People danced, sang, and drank wine until late. At last, everyone fell asleep, happy and safe, they thought, for the first time in ten years.

こうしてトロイア人たちは馬に綱を結び、町のほうへ引いていきました。馬はとても大きかったので、中に入れるために自分たちの城壁の一部をこわさなければなりませんでした。人々は馬をトロイアの中心まで引いていき、まわりを花でかざりました。その夜、町じゅうで盛大な宴が開かれました。人々は夜おそくまで踊り、歌い、ぶどう酒を飲みました。ついに、だれもが眠りにつきました。十年ぶりに、これでもう幸せで安全だと思いながら。

In the middle of the night, when the streets were dark and quiet, the secret door of the horse opened. One by one, Odysseus and his men climbed down a rope. Silently, they ran to the city gates, overcame the sleepy guards, and opened the gates wide. At the same time, Sinon lit a fire on the beach as a signal. The Greek ships had already sailed back in the darkness, and now the whole Greek army marched into the city.

真夜中、通りが暗く静まりかえったころ、馬の秘密の扉が開きました。一人、また一人と、オデュッセウスと部下たちは綱をつたって降りてきました。兵士たちは音もなく町の門へと走り、眠そうな見張りをたおして、門を大きく開けはなちました。同じころ、シノンは合図として浜辺で火をたきました。ギリシャの船はすでに暗やみにまぎれてもどってきており、今やギリシャの全軍が町へとなだれこみました。

By the morning, the great city of Troy had fallen. After ten years of war, it was finished in one night, not by strength, but by a clever trick. Even today, people use the words "Trojan horse" for something that looks like a gift but hides a danger inside.

朝までに、偉大なトロイアの町は落ちていました。十年続いた戦争は、力ではなく、たった一つのたくみな計略によって、ひと晩で終わったのです。今でも人々は、贈り物のように見えて中に危険をかくしているもののことを「トロイの木馬」とよんでいます。

📖 全訳をまとめて読む 読み終わってからの答え合わせに

十年もの長いあいだ、ギリシャ軍はトロイアの町と戦いつづけていました。戦争が始まったのは、トロイアの王子パリスが、ギリシャのある王の妻である美しいヘレネを連れ去ったからでした。ギリシャじゅうの王たちが、ヘレネを取りもどすために、千隻の船でトロイアへ渡ってきたのです。

けれどもトロイアは、巨大な石の城壁に守られていました。その壁はとても高くがんじょうで、どんな軍隊もよじ登ることも打ち破ることもできませんでした。来る年も来る年も、ギリシャ軍は町の外の浜辺に陣を張っていました。両軍で多くの偉大な英雄たちが命を落とし、ギリシャの兵士たちは疲れ果て、故郷を恋しがっていました。家族のもとへ帰りたかったのです。

そのとき、ギリシャの王たちの中でいちばん知恵のあるオデュッセウスが、ある考えを思いつきました。「城壁をこわすことはできない」と、オデュッセウスは言いました。「だから、トロイア人に自分から門を開けさせる方法を見つけなければならない」

オデュッセウスはほかの王たちに自分の計画を説明しました。王たちはおどろいて顔を見合わせましたが、賛成しました。エペイオスという腕のいい大工がその仕事をまかされました。エペイオスは部下たちと木を切りたおし、昼も夜も働きました。少しずつ、木でできた巨大な馬が浜辺にそびえ立っていきました。それは家よりも高く、車輪の上に立っていました。胴体の中は空っぽで、片側には外からはだれにも見えない秘密の扉がありました。

ある夜、オデュッセウスと、ギリシャでもっとも勇敢な兵士およそ三十人が、剣と盾を持って馬の中に乗りこみました。扉はそのうしろで閉じられました。それから残りのギリシャ軍は陣地を焼きはらい、船に乗りこんで去っていきました。けれども、故郷には帰りませんでした。少しはなれた小さな島のかげに船をかくし、待っていたのです。

朝になって、トロイア人たちは城壁から外を見ました。自分の目が信じられませんでした。浜辺には何もありません。ギリシャの船は消えていました。ただ大きな木の馬だけが、砂の上に立っていました。

トロイアの人々はさけんだり歌ったりしながら、町からかけ出してきました。「戦争は終わった!」と、人々はさけびました。「ギリシャ人は国へ帰ったぞ!」 人々は馬のまわりに集まって、じっと見つめました。「これは何だろう?」「どうしてこれをここに置いていったのだろう?」

ちょうどそのとき、トロイアの兵士たちが、草むらにかくれていたギリシャの若者を見つけました。その名はシノン。オデュッセウスの計画の一部として、わざとあとに残っていたのです。シノンはおびえているふりをしました。「どうか殺さないでください」と、シノンはさけびました。「ギリシャ人たちはわたしを殺そうとしたのです。でも、わたしは逃げてきたのです」

「この馬は何なのだ?」と、トロイアの老王プリアモスがたずねました。

「女神アテナへのささげ物です」と、シノンは答えました。「ギリシャ人たちは、無事に故郷へ帰れるよう女神に願うために、これを作りました。あなたがたが町の中へ運び入れられないように、とても大きく作ったのです。もしこの馬がトロイアに入れば、女神があなたがたの町を永遠に守ってくださるでしょう」

多くのトロイア人はシノンの話を信じました。けれども、全員ではありませんでした。ラオコーンという神官が町から走ってきました。「気でもちがったのか!」と、ラオコーンはさけびました。「ギリシャ人が本当にいなくなったと信じているのか? これはオデュッセウスのたくらみだ! わたしは、贈り物を持ってくるときのギリシャ人こそいちばん恐ろしい」 ラオコーンが槍を馬に投げつけると、槍は木の胴体につきささり、うつろな音を立てました。

そのとき、恐ろしいことが起こりました。二匹の巨大な海ヘビが海からあらわれて、ラオコーンと二人の息子におそいかかったのです。三人の姿は二度と見られませんでした。トロイア人たちは恐ろしさでいっぱいになりました。「ラオコーンが女神の贈り物を傷つけたから、神々が罰したのだ」と、人々は言いました。

プリアモス王には、未来を見ることのできるカッサンドラという娘がいました。ずっと前に、アポロン神が与えた力です。けれどもアポロンは同時に呪いもかけたので、だれもカッサンドラの言葉を信じませんでした。「この馬を町に入れてはなりません!」と、カッサンドラはさけびました。「トロイアに炎と死をもたらします!」 けれども人々は、いつものようにカッサンドラを笑うばかりでした。

こうしてトロイア人たちは馬に綱を結び、町のほうへ引いていきました。馬はとても大きかったので、中に入れるために自分たちの城壁の一部をこわさなければなりませんでした。人々は馬をトロイアの中心まで引いていき、まわりを花でかざりました。その夜、町じゅうで盛大な宴が開かれました。人々は夜おそくまで踊り、歌い、ぶどう酒を飲みました。ついに、だれもが眠りにつきました。十年ぶりに、これでもう幸せで安全だと思いながら。

真夜中、通りが暗く静まりかえったころ、馬の秘密の扉が開きました。一人、また一人と、オデュッセウスと部下たちは綱をつたって降りてきました。兵士たちは音もなく町の門へと走り、眠そうな見張りをたおして、門を大きく開けはなちました。同じころ、シノンは合図として浜辺で火をたきました。ギリシャの船はすでに暗やみにまぎれてもどってきており、今やギリシャの全軍が町へとなだれこみました。

朝までに、偉大なトロイアの町は落ちていました。十年続いた戦争は、力ではなく、たった一つのたくみな計略によって、ひと晩で終わったのです。今でも人々は、贈り物のように見えて中に危険をかくしているもののことを「トロイの木馬」とよんでいます。

日本語訳:多読ベスト

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このお話の教訓 Moral

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Be careful of gifts from an enemy.

敵からの贈り物には気をつけよ。

理解度チェック Quick Quiz

読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. How long had the Greeks been fighting Troy?

Q2. What did Sinon tell the Trojans?

Q3. Who warned the Trojans about the horse?

この読み物の使い方 3ステップ

  1. 聞きながら読む 音声に合わせて光る文を目で追う(聞き読み)。わからない語は飛ばしてOK。
  2. 音声なしで読む ⏱計測ボタンで読む速さ(WPM)を測ってみる。
  3. 耳だけで聞く 🎧聞くだけモードで、文字を見ずに内容がわかるか試す。🔁1文リピートで音読・シャドーイングも。

聞き読みの効果とやり方/多読三原則

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