The Five Orange Pips(オレンジの種五つ)の挿絵
Level 3 Pre-Intermediate名作文学

The Five Orange Pips

オレンジの種五つ

  • 📖 686 words
  • ⏱ 約6分
  • 🔊 3:57
  • YL 1.5–2.4
  • 英検準2級目安
  • 📝 全訳つき

あらすじ嵐の夜、ベイカー街にやって来た青年。おじと父のもとに届いたのは、オレンジの種が五つ入っただけの不気味な手紙でした。そして今、同じ手紙が彼のところにも……。ホームズが「自分の負け」と認める事件です。

アーサー・コナン・ドイル「オレンジの種五つ」(1891年、『シャーロック・ホームズの冒険』所収)をもとに再話

キーワード(9語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • storm嵐
  • pips(果物の)種
  • envelope封筒
  • sundial日時計
  • chalk pit白亜(チョーク)の採掘穴
  • Ku Klux Klanクー・クラックス・クラン(白人至上主義の秘密結社)
  • seaports港町
  • sailing ship帆船
  • prideプライド、誇り
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It was late September, and a terrible storm was blowing over London. Sherlock Holmes and I, Dr. Watson, were sitting by the fire at Baker Street when the doorbell rang. A young man came in. His coat was wet, and his face was pale with fear.

九月の末のことで、ロンドンにはものすごい嵐が吹き荒れていた。シャーロック・ホームズと私、医師のワトスンが、ベイカー街の部屋で暖炉にあたっていると、玄関のベルが鳴った。入ってきたのは若い男だった。コートはずぶぬれで、顔は恐怖で青ざめていた。

"My name is John Openshaw," he said. "I have heard that you are never beaten." Holmes smiled. "I have been beaten four times, three times by men and once by a woman. Sit down and tell me your story."

「ジョン・オープンショーと申します」と青年は言った。「あなたは一度も負けたことがないとうかがいました」ホームズはほほえんだ。「四度負けていますよ。三度は男に、一度は女にね。さあ、おかけになって、お話をうかがいましょう」

"My uncle Elias lived in America for many years," the young man began. "He had a farm in Florida and fought in the Civil War. Then he came back to England and lived quietly in a big house in Horsham. He was a strange, angry man, but he was kind to me. In 1883, a letter came for him from Pondicherry in India. When he opened it, five little dried orange pips fell out. Inside the envelope were three letters, K. K. K. My uncle's face went white. 'Death!' he cried."

「おじのイライアスは、長いことアメリカで暮らしていました」と青年は話しはじめた。「フロリダに農園を持ち、南北戦争でも戦いました。そのあとイギリスにもどり、ホーシャムの大きな屋敷でひっそりと暮らしていました。変わり者で怒りっぽい人でしたが、わたしにはやさしくしてくれました。一八八三年のことです。インドのポンディシェリから、おじあてに手紙が届きました。おじが封を切ると、乾いた小さなオレンジの種が五つ、ころがり出てきたのです。封筒の内側には、K・K・Kという三つの文字が書いてありました。おじの顔は真っ白になりました。『死だ!』とおじはさけびました」

"He burned some papers from a locked box. A few weeks later, he was found dead in a small pond in the garden. The police said he had killed himself. My father got the house. In 1885, a letter came to him from Dundee in Scotland, with five orange pips, the same three letters, and the words 'Put the papers on the sundial.' My father laughed at it. Three days later, he fell into a deep chalk pit and died."

「おじは、鍵のかかった箱から書類を出して燃やしました。数週間後、おじは庭の小さな池で死んでいるのが見つかりました。警察は自殺だと言いました。屋敷は父がつぎました。一八八五年、こんどはスコットランドのダンディーから、父あてに手紙が来ました。中にはオレンジの種が五つと、同じ三つの文字、それに『書類を日時計の上に置け』という言葉が入っていました。父は笑いとばしました。ところが三日後、父は深い白亜の採掘穴に落ちて死んだのです」

The young man took out an envelope with shaking hands. "And yesterday, this came to me, from London." Five dried pips fell on the table. "I went to the police," he said, "but they laughed. They think it is a joke."

青年はふるえる手で封筒を取り出した。「そして昨日、これがわたしのところに来ました。ロンドンからです」乾いた種が五つ、テーブルの上にころがった。「警察にも行きました」と青年は言った。「でも、笑われてしまいました。ただのいたずらだと思っているんです」

Holmes jumped up. "You must act at once! Is there anything else?" John gave him an old page from a diary. It said things like "Sent the pips to McCauley." Holmes said, "Put this page in the box, put the box on the sundial, and write that all the other papers were burned. Go home now, and be very careful." John promised, and went out into the dark storm.

ホームズはとびあがった。「すぐに手を打たなければいけません! ほかに何かありませんか?」ジョンは、古い日記帳の一ページをわたした。そこには「マコーリーに種を送った」といったことが書かれていた。ホームズは言った。「このページを例の箱に入れ、箱を日時計の上に置きなさい。そして、ほかの書類はすべて焼いてしまったと書きそえるのです。さあ、すぐにお帰りなさい。くれぐれも用心して」ジョンはそうすると約束し、暗い嵐の中へ出ていった。

When he was gone, Holmes thought for a long time. "K. K. K. is the Ku Klux Klan," he said at last. "After the Civil War, it was a secret group in the southern United States. Its members used terror against Black people and against anyone who helped them. They often sent a warning first, such as orange pips. I think Elias Openshaw was a member, and he ran away with their secret papers."

青年が帰ったあと、ホームズは長いあいだ考えこんでいた。「K・K・Kというのは、クー・クラックス・クランのことだ」と、やがてホームズは言った。「南北戦争のあと、アメリカ南部にできた秘密結社だよ。黒人や、黒人に味方する人々を、暴力でおびえさせた。まず警告を送りつけることが多かったんだ。たとえば、オレンジの種のようなものをね。イライアス・オープンショーはその一員で、結社の秘密の書類を持って逃げたのだろう」

"But why did the letters come from Pondicherry, Dundee and London?" I asked. "They are all seaports," said Holmes. "The killers live on a ship. Each letter came by a fast mail boat, and some days later the killers arrived in their slow sailing ship."

「でも、どうして手紙はポンディシェリやダンディーやロンドンから来たんだい?」と私はたずねた。「どこも港町だ」とホームズは言った。「犯人たちは船で暮らしているのさ。手紙は足の速い郵便船で届き、その何日かあとに、犯人たちが足の遅い帆船でやって来たというわけだ」

The next morning I opened the newspaper and cried out. John Openshaw was dead. He had fallen into the river near Waterloo Bridge on that stormy night. The police thought it was an accident.

翌朝、新聞を開いた私は思わず声をあげた。ジョン・オープンショーが死んだのだ。あの嵐の夜、ウォータールー橋の近くで川に落ちたのだという。警察は事故だと見ていた。

Holmes was silent for a long time. He was deeply hurt. "He came to me for help, and I sent him away to his death," he said at last. "That hurts my pride, Watson. Now this is my own fight."

ホームズは長いあいだ、だまりこんでいた。ひどくこたえていたのだ。「あの青年はぼくに助けを求めてきた。それなのに、ぼくは彼を死の待つ外へ送り出してしまった」と、やがてホームズは言った。「ぼくの誇りが許さないよ、ワトスン。これからは、ぼく自身の戦いだ」

He spent the whole day studying old records of ships. In the evening, he came home tired, took an orange from the table, and put five of its pips into an envelope. On it he wrote, "S. H. for J. O." "This is for Captain James Calhoun of the ship Lone Star," he said. "He and his two men are sailing back to America now. When they arrive, they will find this letter, and the police will be waiting for them."

ホームズはまる一日かけて、船の古い記録を調べた。夕方、疲れた顔で帰ってくると、テーブルの上のオレンジをひとつ取り、種を五つ封筒に入れた。封筒には「J・Oにかわり、S・Hより」と書いた。「これは、ローン・スター号のジェイムズ・カルフーン船長あてだ」とホームズは言った。「船長と二人の手下は、今アメリカへもどる船の上にいる。着いたら、この手紙が待っている。そして、警察もね」

But the killers never reached America. A great storm came in the Atlantic. Long afterward, a piece of a broken boat was seen in the sea with the letters "L. S." on it. That is all we ever knew about the end of the Lone Star.

だが、犯人たちがアメリカに着くことはなかった。大西洋で大きな嵐が起きたのだ。ずっとあとになって、「L・S」という文字のついた船の残骸が、海の上をただよっているのが目撃された。ローン・スター号の最期について、私たちにわかったのはそれだけだった。

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九月の末のことで、ロンドンにはものすごい嵐が吹き荒れていた。シャーロック・ホームズと私、医師のワトスンが、ベイカー街の部屋で暖炉にあたっていると、玄関のベルが鳴った。入ってきたのは若い男だった。コートはずぶぬれで、顔は恐怖で青ざめていた。

「ジョン・オープンショーと申します」と青年は言った。「あなたは一度も負けたことがないとうかがいました」ホームズはほほえんだ。「四度負けていますよ。三度は男に、一度は女にね。さあ、おかけになって、お話をうかがいましょう」

「おじのイライアスは、長いことアメリカで暮らしていました」と青年は話しはじめた。「フロリダに農園を持ち、南北戦争でも戦いました。そのあとイギリスにもどり、ホーシャムの大きな屋敷でひっそりと暮らしていました。変わり者で怒りっぽい人でしたが、わたしにはやさしくしてくれました。一八八三年のことです。インドのポンディシェリから、おじあてに手紙が届きました。おじが封を切ると、乾いた小さなオレンジの種が五つ、ころがり出てきたのです。封筒の内側には、K・K・Kという三つの文字が書いてありました。おじの顔は真っ白になりました。『死だ!』とおじはさけびました」

「おじは、鍵のかかった箱から書類を出して燃やしました。数週間後、おじは庭の小さな池で死んでいるのが見つかりました。警察は自殺だと言いました。屋敷は父がつぎました。一八八五年、こんどはスコットランドのダンディーから、父あてに手紙が来ました。中にはオレンジの種が五つと、同じ三つの文字、それに『書類を日時計の上に置け』という言葉が入っていました。父は笑いとばしました。ところが三日後、父は深い白亜の採掘穴に落ちて死んだのです」

青年はふるえる手で封筒を取り出した。「そして昨日、これがわたしのところに来ました。ロンドンからです」乾いた種が五つ、テーブルの上にころがった。「警察にも行きました」と青年は言った。「でも、笑われてしまいました。ただのいたずらだと思っているんです」

ホームズはとびあがった。「すぐに手を打たなければいけません! ほかに何かありませんか?」ジョンは、古い日記帳の一ページをわたした。そこには「マコーリーに種を送った」といったことが書かれていた。ホームズは言った。「このページを例の箱に入れ、箱を日時計の上に置きなさい。そして、ほかの書類はすべて焼いてしまったと書きそえるのです。さあ、すぐにお帰りなさい。くれぐれも用心して」ジョンはそうすると約束し、暗い嵐の中へ出ていった。

青年が帰ったあと、ホームズは長いあいだ考えこんでいた。「K・K・Kというのは、クー・クラックス・クランのことだ」と、やがてホームズは言った。「南北戦争のあと、アメリカ南部にできた秘密結社だよ。黒人や、黒人に味方する人々を、暴力でおびえさせた。まず警告を送りつけることが多かったんだ。たとえば、オレンジの種のようなものをね。イライアス・オープンショーはその一員で、結社の秘密の書類を持って逃げたのだろう」

「でも、どうして手紙はポンディシェリやダンディーやロンドンから来たんだい?」と私はたずねた。「どこも港町だ」とホームズは言った。「犯人たちは船で暮らしているのさ。手紙は足の速い郵便船で届き、その何日かあとに、犯人たちが足の遅い帆船でやって来たというわけだ」

翌朝、新聞を開いた私は思わず声をあげた。ジョン・オープンショーが死んだのだ。あの嵐の夜、ウォータールー橋の近くで川に落ちたのだという。警察は事故だと見ていた。

ホームズは長いあいだ、だまりこんでいた。ひどくこたえていたのだ。「あの青年はぼくに助けを求めてきた。それなのに、ぼくは彼を死の待つ外へ送り出してしまった」と、やがてホームズは言った。「ぼくの誇りが許さないよ、ワトスン。これからは、ぼく自身の戦いだ」

ホームズはまる一日かけて、船の古い記録を調べた。夕方、疲れた顔で帰ってくると、テーブルの上のオレンジをひとつ取り、種を五つ封筒に入れた。封筒には「J・Oにかわり、S・Hより」と書いた。「これは、ローン・スター号のジェイムズ・カルフーン船長あてだ」とホームズは言った。「船長と二人の手下は、今アメリカへもどる船の上にいる。着いたら、この手紙が待っている。そして、警察もね」

だが、犯人たちがアメリカに着くことはなかった。大西洋で大きな嵐が起きたのだ。ずっとあとになって、「L・S」という文字のついた船の残骸が、海の上をただよっているのが目撃された。ローン・スター号の最期について、私たちにわかったのはそれだけだった。

日本語訳:多読ベスト

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理解度チェック Quick Quiz

読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. What was inside the letters?

Q2. Why did Holmes think the killers lived on a ship?

Q3. What did Holmes send to Captain Calhoun?

この読み物の使い方 3ステップ

  1. 聞きながら読む 音声に合わせて光る文を目で追う(聞き読み)。わからない語は飛ばしてOK。
  2. 音声なしで読む ⏱計測ボタンで読む速さ(WPM)を測ってみる。
  3. 耳だけで聞く 🎧聞くだけモードで、文字を見ずに内容がわかるか試す。🔁1文リピートで音読・シャドーイングも。

聞き読みの効果とやり方/多読三原則

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