Narcissus and Echo(ナルキッソスとエコー)の挿絵
Level 3 Pre-Intermediate神話と伝説

Narcissus and Echo

ナルキッソスとエコー

  • 📖 693 words
  • ⏱ 約6分
  • 🔊 4:03
  • YL 1.5–2.4
  • 英検準2級目安
  • 📝 全訳つき

あらすじおしゃべりが大好きな森の妖精エコーは、女神ヘラの怒りにふれ、人の言葉のくり返ししか言えなくなってしまいます。そんな彼女が恋をしたのは、だれも愛さない美しい若者ナルキッソスでした。

ギリシャ神話(オウィディウス『変身物語』)

キーワード(7語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • nymphニンフ(森や泉の妖精)
  • echoこだま
  • handsomeハンサムな
  • reflection水にうつった姿
  • pool泉;水たまり
  • fade消えていく
  • daffodilスイセン
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Google Cloud TTS(Chirp 3 HD・アメリカ英語・Leda)

In the green mountains of ancient Greece, there lived a nymph named Echo. Nymphs were young spirits of nature who lived in the forests, rivers, and hills. Echo was pretty and full of life, and she loved to talk. In fact, she talked more than anyone else. She always had to have the last word.

古代ギリシャの緑の山々に、エコーという名のニンフが住んでいました。ニンフというのは、森や川や丘に住む、若い自然の精霊のことです。エコーはかわいらしく、元気いっぱいで、おしゃべりが大好きでした。実のところ、だれよりもよくしゃべりました。そしていつも、最後のひとことは自分が言わなければ気がすまないのでした。

One day, Hera, the queen of the gods, came down to the forest. She was looking for her husband, Zeus, who was playing with some of the other nymphs. Echo knew this, and she wanted to help her friends. So she ran to Hera and began to talk. She talked about the weather, the flowers, and the birds. She talked and talked, and while she did, the other nymphs ran away and hid.

ある日、神々の女王ヘラが森に降りてきました。夫のゼウスを探していたのです。ゼウスはほかのニンフたちと遊んでいました。エコーはそれを知っていて、友だちを助けたいと思いました。そこでヘラのもとへ駆け寄り、話しかけはじめました。天気のこと、花のこと、鳥のことを話しました。しゃべってしゃべって、しゃべりつづけました。そのあいだに、ほかのニンフたちは逃げて隠れてしまいました。

When Hera understood the trick, she was furious. "You love to talk, little nymph?" she said. "Then from now on, you will never speak first again. You will only repeat the last words that other people say."

そのたくらみに気づくと、ヘラはかんかんに怒りました。「おしゃべりが好きなのかい、小さなニンフよ」と、ヘラは言いました。「それなら、これからは二度と自分から話しかけることはできない。人が言った最後の言葉をくり返すことしかできないのだ」

From that day, Echo could not start a conversation. She could only wait for others to speak and then say their final words again.

その日から、エコーは自分から話を始めることができなくなりました。ほかの人が話すのを待って、その最後の言葉をもう一度言うことしかできなかったのです。

Not long after, Echo saw a young hunter walking through the forest. His name was Narcissus, and he was the most handsome young man anyone had ever seen. Many girls and nymphs had fallen in love with him, but he did not care about any of them. He thought that nobody was good enough for him.

それから間もなく、エコーは一人の若い狩人が森を歩いているのを見かけました。その名はナルキッソス。だれも見たことがないほど美しい若者でした。たくさんの娘やニンフがナルキッソスに恋をしましたが、ナルキッソスはだれのことも気にかけませんでした。自分にふさわしい相手などいないと思っていたのです。

Echo fell in love with him the moment she saw him. She followed him quietly through the trees. She wanted to call his name and tell him how she felt, but she could not speak first.

エコーはひと目見た瞬間に、ナルキッソスに恋をしました。エコーは木々の間を、ナルキッソスの後からそっとついていきました。名前を呼んで、自分の気持ちを伝えたいと思いました。けれども、自分から話しかけることはできませんでした。

Then Narcissus got separated from his friends. "Is anyone here?" he called.

やがてナルキッソスは仲間とはぐれてしまいました。「だれか、ここにいるのか?」と、ナルキッソスは呼びかけました。

"Here!" said Echo.

「ここに!」と、エコーは言いました。

Narcissus looked around but saw nobody. "Come!" he shouted.

ナルキッソスはあたりを見回しましたが、だれも見えませんでした。「出てこい!」と、ナルキッソスはさけびました。

"Come!" Echo answered.

「出てこい!」と、エコーは答えました。

"Why are you running away from me? Let us meet!"

「どうしてぼくから逃げるんだ? 会おうじゃないか!」

"Let us meet!" cried Echo happily, and she ran out of the trees with her arms open.

「会おうじゃないか!」とエコーはうれしそうにさけび、両腕を広げて木々のあいだからかけ出しました。

But Narcissus stepped back. "Don't touch me!" he said coldly. "I would rather die than love you."

けれどもナルキッソスはあとずさりしました。「さわるな!」と、ナルキッソスは冷たく言いました。「死んだほうがましだ、おまえを愛するくらいなら」

"Love you," Echo whispered sadly.

「……おまえを、愛する」と、エコーは悲しげにささやきました。

Narcissus laughed and walked away. Echo was so ashamed that she ran into the mountains and hid in the caves. Her sadness never left her. Day by day, she grew thinner and paler. At last her body faded away completely. Only her voice was left. Even now, if you shout in the mountains, Echo will answer you with your own last words.

ナルキッソスは笑って立ち去りました。エコーは恥ずかしさのあまり山へ逃げこみ、洞窟の中に隠れました。悲しみは決して消えませんでした。日に日にエコーはやせ、青白くなっていきました。そしてついに、体はすっかり消えてしまいました。残ったのは声だけでした。今でも山でさけぶと、エコーがあなた自身の最後の言葉で答えてくれます。

But the gods had seen how cruelly Narcissus treated Echo and so many others. Nemesis, the goddess of punishment, decided that he should learn what it feels like to love without being loved.

けれども神々は、ナルキッソスがエコーやほかの多くの者たちをどれほどひどく扱ったかを見ていました。罰の女神ネメシスは、愛されることなく愛するのがどんな気持ちか、ナルキッソスに思い知らせるべきだと決めました。

One hot afternoon, Narcissus came to a clear, quiet pool in the forest. No animal had ever drunk from it, and no leaf had ever fallen on it. The water was as smooth as glass. Narcissus bent down to drink, and he saw a face in the water. It was the most beautiful face he had ever seen.

ある暑い午後、ナルキッソスは森の中の、澄みきった静かな泉にやって来ました。その泉の水を飲んだ動物は一匹もおらず、木の葉が一枚落ちたこともありませんでした。水面はガラスのようになめらかでした。ナルキッソスが水を飲もうとかがむと、水の中に一つの顔が見えました。それは今まで見た中でいちばん美しい顔でした。

He did not know that it was his own reflection. He fell in love at once. He smiled, and the face smiled back. He reached out to touch it, but when his hand touched the water, the face broke into pieces and disappeared. When the water was still again, the face came back.

ナルキッソスは、それが水に映った自分の姿だとは知りませんでした。そしてたちまち恋に落ちました。ほほえむと、その顔もほほえみ返しました。手をのばしてふれようとすると、手が水にふれたとたん、顔はばらばらにくずれて消えてしまいました。水面が静まると、顔はまたもどってきました。

"Why do you run from me?" he cried. "I can see that you love me too!"

「どうしてぼくから逃げるんだ?」と、ナルキッソスはさけびました。「きみもぼくを愛しているのは分かっているのに!」

Narcissus could not leave the pool. He did not eat. He did not sleep. He only looked at the face in the water, day after day. Slowly, he too began to fade away. Far away in the mountains, Echo still loved him. When he sighed, "Goodbye, my love," a soft voice answered, "Goodbye, my love."

ナルキッソスは泉からはなれられなくなりました。食べることもせず、眠ることもしませんでした。来る日も来る日も、ただ水の中の顔を見つめていました。そしてゆっくりと、ナルキッソスもまた消えていきました。遠い山の中で、エコーはまだナルキッソスを愛していました。ナルキッソスが「さようなら、愛しい人」とため息をつくと、やさしい声が「さようなら、愛しい人」と答えました。

When the other nymphs came to find him, there was no young man beside the pool. In his place they found a lovely flower with white petals and a yellow center, bending over the water. Today we call this flower the narcissus, a kind of daffodil, and it still grows beside quiet water, looking down at its own reflection.

ほかのニンフたちが探しに来たとき、泉のそばに若者の姿はありませんでした。そのかわりに、白い花びらと黄色いまん中をもつかわいらしい花が、水の上に身をかがめるように咲いていました。今では、この花はナルシス(スイセン)とよばれています。ラッパズイセンの仲間で、今でも静かな水辺に咲き、自分の姿を見下ろしているのです。

📖 全訳をまとめて読む 読み終わってからの答え合わせに

古代ギリシャの緑の山々に、エコーという名のニンフが住んでいました。ニンフというのは、森や川や丘に住む、若い自然の精霊のことです。エコーはかわいらしく、元気いっぱいで、おしゃべりが大好きでした。実のところ、だれよりもよくしゃべりました。そしていつも、最後のひとことは自分が言わなければ気がすまないのでした。

ある日、神々の女王ヘラが森に降りてきました。夫のゼウスを探していたのです。ゼウスはほかのニンフたちと遊んでいました。エコーはそれを知っていて、友だちを助けたいと思いました。そこでヘラのもとへ駆け寄り、話しかけはじめました。天気のこと、花のこと、鳥のことを話しました。しゃべってしゃべって、しゃべりつづけました。そのあいだに、ほかのニンフたちは逃げて隠れてしまいました。

そのたくらみに気づくと、ヘラはかんかんに怒りました。「おしゃべりが好きなのかい、小さなニンフよ」と、ヘラは言いました。「それなら、これからは二度と自分から話しかけることはできない。人が言った最後の言葉をくり返すことしかできないのだ」

その日から、エコーは自分から話を始めることができなくなりました。ほかの人が話すのを待って、その最後の言葉をもう一度言うことしかできなかったのです。

それから間もなく、エコーは一人の若い狩人が森を歩いているのを見かけました。その名はナルキッソス。だれも見たことがないほど美しい若者でした。たくさんの娘やニンフがナルキッソスに恋をしましたが、ナルキッソスはだれのことも気にかけませんでした。自分にふさわしい相手などいないと思っていたのです。

エコーはひと目見た瞬間に、ナルキッソスに恋をしました。エコーは木々の間を、ナルキッソスの後からそっとついていきました。名前を呼んで、自分の気持ちを伝えたいと思いました。けれども、自分から話しかけることはできませんでした。

やがてナルキッソスは仲間とはぐれてしまいました。「だれか、ここにいるのか?」と、ナルキッソスは呼びかけました。

「ここに!」と、エコーは言いました。

ナルキッソスはあたりを見回しましたが、だれも見えませんでした。「出てこい!」と、ナルキッソスはさけびました。

「出てこい!」と、エコーは答えました。

「どうしてぼくから逃げるんだ? 会おうじゃないか!」

「会おうじゃないか!」とエコーはうれしそうにさけび、両腕を広げて木々のあいだからかけ出しました。

けれどもナルキッソスはあとずさりしました。「さわるな!」と、ナルキッソスは冷たく言いました。「死んだほうがましだ、おまえを愛するくらいなら」

「……おまえを、愛する」と、エコーは悲しげにささやきました。

ナルキッソスは笑って立ち去りました。エコーは恥ずかしさのあまり山へ逃げこみ、洞窟の中に隠れました。悲しみは決して消えませんでした。日に日にエコーはやせ、青白くなっていきました。そしてついに、体はすっかり消えてしまいました。残ったのは声だけでした。今でも山でさけぶと、エコーがあなた自身の最後の言葉で答えてくれます。

けれども神々は、ナルキッソスがエコーやほかの多くの者たちをどれほどひどく扱ったかを見ていました。罰の女神ネメシスは、愛されることなく愛するのがどんな気持ちか、ナルキッソスに思い知らせるべきだと決めました。

ある暑い午後、ナルキッソスは森の中の、澄みきった静かな泉にやって来ました。その泉の水を飲んだ動物は一匹もおらず、木の葉が一枚落ちたこともありませんでした。水面はガラスのようになめらかでした。ナルキッソスが水を飲もうとかがむと、水の中に一つの顔が見えました。それは今まで見た中でいちばん美しい顔でした。

ナルキッソスは、それが水に映った自分の姿だとは知りませんでした。そしてたちまち恋に落ちました。ほほえむと、その顔もほほえみ返しました。手をのばしてふれようとすると、手が水にふれたとたん、顔はばらばらにくずれて消えてしまいました。水面が静まると、顔はまたもどってきました。

「どうしてぼくから逃げるんだ?」と、ナルキッソスはさけびました。「きみもぼくを愛しているのは分かっているのに!」

ナルキッソスは泉からはなれられなくなりました。食べることもせず、眠ることもしませんでした。来る日も来る日も、ただ水の中の顔を見つめていました。そしてゆっくりと、ナルキッソスもまた消えていきました。遠い山の中で、エコーはまだナルキッソスを愛していました。ナルキッソスが「さようなら、愛しい人」とため息をつくと、やさしい声が「さようなら、愛しい人」と答えました。

ほかのニンフたちが探しに来たとき、泉のそばに若者の姿はありませんでした。そのかわりに、白い花びらと黄色いまん中をもつかわいらしい花が、水の上に身をかがめるように咲いていました。今では、この花はナルシス(スイセン)とよばれています。ラッパズイセンの仲間で、今でも静かな水辺に咲き、自分の姿を見下ろしているのです。

日本語訳:多読ベスト

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このお話の教訓 Moral

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Loving only yourself leaves no room for anyone else.

自分だけを愛していると、ほかのだれも入る場所がなくなってしまう。

理解度チェック Quick Quiz

読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. Why could Echo only repeat other people's words?

Q2. What happened to Echo in the end?

Q3. Who did Narcissus fall in love with?

この読み物の使い方 3ステップ

  1. 聞きながら読む 音声に合わせて光る文を目で追う(聞き読み)。わからない語は飛ばしてOK。
  2. 音声なしで読む ⏱計測ボタンで読む速さ(WPM)を測ってみる。
  3. 耳だけで聞く 🎧聞くだけモードで、文字を見ずに内容がわかるか試す。🔁1文リピートで音読・シャドーイングも。

聞き読みの効果とやり方/多読三原則

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