Orpheus and Eurydice(オルフェウスとエウリュディケ)の挿絵
Level 3 Pre-Intermediate神話と伝説

Orpheus and Eurydice

オルフェウスとエウリュディケ

  • 📖 707 words
  • ⏱ 約6分
  • 🔊 3:60
  • YL 1.5–2.4
  • 英検準2級目安
  • 📝 全訳つき

あらすじ歌と竪琴で、動物も木も石さえも動かした音楽家オルフェウス。愛する妻エウリュディケを失った彼は、だれも生きては帰れない冥界へと、竪琴ひとつで下りていきます。

ギリシャ神話

キーワード(7語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • lyre竪琴
  • snakeヘビ
  • underworld冥界(死者の国)
  • ferryman渡し守
  • Cerberusケルベロス(頭が3つある冥界の番犬)
  • path小道
  • condition条件
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There was once a young man named Orpheus, and he was the greatest musician who ever lived. When he played his golden lyre and sang, the whole world stopped to listen. Wild animals lay down quietly at his feet. Birds stopped singing so they could hear him. It was even said that trees bent their branches toward him and stones rolled closer to hear his songs.

むかし、オルフェウスという若者がいました。オルフェウスは、これまでこの世に生きただれよりも、すぐれた音楽家でした。オルフェウスが金の竪琴を奏でて歌うと、世界中が動きを止めて聞き入りました。野生の動物たちはその足もとにおとなしく横たわりました。鳥たちはその歌を聞くために、さえずるのをやめました。木々が枝をオルフェウスのほうへ曲げ、石までがその歌を聞こうと転がって近づいてきた、とさえ言われていました。

Orpheus fell in love with a beautiful young woman named Eurydice, and she loved him too. On their wedding day, the sun was shining and all their friends were singing. Eurydice ran through the tall grass with her friends, laughing. But she did not see a snake lying hidden in the grass. She stepped on it, and it bit her foot. A few moments later, she fell to the ground. By the time Orpheus reached her, she was gone.

オルフェウスはエウリュディケという美しい娘に恋をし、エウリュディケもオルフェウスを愛しました。結婚式の日、太陽は輝き、友人たちはみな歌っていました。エウリュディケは友だちと笑いながら、背の高い草の中を走っていました。けれども、草の中にひそんでいる一匹のヘビに気づきませんでした。エウリュディケがそのヘビをふむと、ヘビは足にかみつきました。少しして、エウリュディケは地面にたおれました。オルフェウスがかけつけたときには、もう息絶えていました。

Orpheus was so sad that he could not stop playing sad songs. His music made the whole world cry. Even the gods on Mount Olympus felt his pain. At last, he made a decision. "I will go down to the underworld," he said. "I will ask Hades, the king of the dead, to give her back to me."

オルフェウスはあまりに悲しくて、悲しい歌を奏でずにはいられませんでした。その音楽は世界中を泣かせました。オリュンポス山の神々でさえ、その痛みを感じました。ついにオルフェウスは決心しました。「冥界へ降りていこう」と、オルフェウスは言いました。「死者の王ハデスに、エウリュディケを返してくれるようたのむのだ」

Everyone told him it was impossible. No living person could enter the land of the dead and return. But Orpheus did not care. He took his lyre and walked into a deep, dark cave at the end of the world.

だれもが、そんなことは無理だと言いました。生きている人間が死者の国に入って、もどってきたことはなかったのです。けれどもオルフェウスは気にしませんでした。竪琴を持ち、世界の果てにある深く暗い洞窟へと入っていきました。

The path went down and down. Soon he came to a black river. Here waited Charon, the old ferryman who carried the dead across the water in his boat. "You are alive," said Charon. "I do not carry the living." Orpheus did not argue. He began to play. His song was so sweet and so sad that the old ferryman forgot his rule. Without a word, he rowed Orpheus across the river.

道はどこまでも下へ下へと続いていました。やがてオルフェウスは黒い川にたどり着きました。そこには、死者を舟に乗せて向こう岸へ運ぶ年老いた渡し守カロンが待っていました。「おまえは生きている」と、カロンは言いました。「生きている者は運ばぬ」 オルフェウスは言い争いませんでした。竪琴を奏ではじめたのです。その歌はあまりに美しく、あまりに悲しかったので、年老いた渡し守は自分のおきてを忘れてしまいました。カロンはひとことも言わずに、オルフェウスを乗せて川を渡りました。

On the other side, there was a huge dog with three heads. This was Cerberus, who guarded the gates of the underworld. All three heads showed their teeth and began to bark. Orpheus played again, softly and slowly. One by one, the three heads closed their eyes, and the great dog fell asleep.

向こう岸には、三つの頭をもつ巨大な犬がいました。冥界の門を守るケルベロスです。三つの頭がそろって歯をむき出し、ほえはじめました。オルフェウスはもう一度、静かにゆっくりと竪琴を奏でました。一つ、また一つと三つの頭は目を閉じ、巨大な犬は眠りこみました。

At last, Orpheus stood in front of the dark throne of Hades and his queen, Persephone. He did not speak. He sang about Eurydice, about their love, and about the wedding day that ended in tears. Everyone in the underworld stopped to listen. The ghosts of the dead cried. Even the cold eyes of Hades became wet, and Persephone took her husband's hand.

ついにオルフェウスは、ハデスとその妃ペルセポネの暗い玉座の前に立ちました。オルフェウスは語りませんでした。エウリュディケのこと、二人の愛のこと、そして涙で終わった結婚式の日のことを歌ったのです。冥界のすべての者が足を止めて聞き入りました。死者の亡霊たちは泣きました。ハデスの冷たい目さえうるみ、ペルセポネは夫の手を取りました。

"Your music has moved us," said Hades. "You may take Eurydice back to the world of the living. But there is one condition. She will walk behind you. You must not look back at her until you both are out in the light of the sun. If you look back, even once, she will stay here forever."

「おまえの音楽はわれらの心を動かした」と、ハデスは言いました。「エウリュディケを生者の世界へ連れ帰ってよい。ただし、一つ条件がある。エウリュディケはおまえのうしろを歩く。二人とも太陽の光の中へ出るまで、決してふり返ってはならぬ。一度でもふり返れば、エウリュディケは永遠にここにとどまることになる」

"I understand," said Orpheus. "Thank you."

「分かりました」と、オルフェウスは答えました。「ありがとうございます」

So Orpheus began the long walk back up the dark path. He could not hear anything behind him, because the dead make no sound when they walk. Was she really there? Was Hades playing a trick on him? With every step, his worry grew bigger. He wanted to turn, just for a moment, but he kept walking.

こうしてオルフェウスは、長く暗い帰り道を歩きはじめました。うしろからは何の音も聞こえません。死者は歩いても音を立てないからです。エウリュディケは本当にそこにいるのだろうか。ハデスが自分をだましているのではないか。一歩進むごとに、不安はどんどん大きくなりました。ほんの一瞬だけでもふり返りたいと思いましたが、オルフェウスは歩きつづけました。

At last he saw daylight ahead. He ran the last few steps and came out of the cave into the warm sunshine. Full of joy, he turned around to see his wife.

ついに前のほうに日の光が見えました。オルフェウスは最後の数歩を走り、洞窟を出て暖かい日ざしの中へ出ました。喜びでいっぱいになって、オルフェウスは妻を見ようとふり返りました。

But Eurydice was still inside the cave, just one step from the light. For a moment, their eyes met. She reached out her hand to him, and he reached out to her. "Goodbye," she whispered. Then she faded away like smoke and was pulled back down into the darkness.

けれどもエウリュディケは、まだ洞窟の中にいました。光まであとほんの一歩のところでした。一瞬、二人の目が合いました。エウリュディケはオルフェウスに手をのばし、オルフェウスもエウリュディケに手をのばしました。「さようなら」と、エウリュディケはささやきました。そして煙のように消え、暗やみの中へ引きもどされていきました。

Orpheus tried to go back, but this time the ferryman would not carry him. For the rest of his life, he played only sad songs, and he never loved another woman. Some people say that when he died, at last he went down to the underworld for the last time. There he found Eurydice again, and now they can walk together, side by side, and he can look at her as often as he likes.

オルフェウスはもどろうとしましたが、今度は渡し守が運んでくれませんでした。それから一生、オルフェウスは悲しい歌しか奏でず、二度とほかの女性を愛することはありませんでした。ある人たちによれば、オルフェウスは死ぬと、最後にもう一度、冥界へ降りていったのだそうです。そこでオルフェウスはエウリュディケにまた会えたのです。今では二人は並んで一緒に歩き、オルフェウスは好きなだけ妻を見つめていられるのだといいます。

📖 全訳をまとめて読む 読み終わってからの答え合わせに

むかし、オルフェウスという若者がいました。オルフェウスは、これまでこの世に生きただれよりも、すぐれた音楽家でした。オルフェウスが金の竪琴を奏でて歌うと、世界中が動きを止めて聞き入りました。野生の動物たちはその足もとにおとなしく横たわりました。鳥たちはその歌を聞くために、さえずるのをやめました。木々が枝をオルフェウスのほうへ曲げ、石までがその歌を聞こうと転がって近づいてきた、とさえ言われていました。

オルフェウスはエウリュディケという美しい娘に恋をし、エウリュディケもオルフェウスを愛しました。結婚式の日、太陽は輝き、友人たちはみな歌っていました。エウリュディケは友だちと笑いながら、背の高い草の中を走っていました。けれども、草の中にひそんでいる一匹のヘビに気づきませんでした。エウリュディケがそのヘビをふむと、ヘビは足にかみつきました。少しして、エウリュディケは地面にたおれました。オルフェウスがかけつけたときには、もう息絶えていました。

オルフェウスはあまりに悲しくて、悲しい歌を奏でずにはいられませんでした。その音楽は世界中を泣かせました。オリュンポス山の神々でさえ、その痛みを感じました。ついにオルフェウスは決心しました。「冥界へ降りていこう」と、オルフェウスは言いました。「死者の王ハデスに、エウリュディケを返してくれるようたのむのだ」

だれもが、そんなことは無理だと言いました。生きている人間が死者の国に入って、もどってきたことはなかったのです。けれどもオルフェウスは気にしませんでした。竪琴を持ち、世界の果てにある深く暗い洞窟へと入っていきました。

道はどこまでも下へ下へと続いていました。やがてオルフェウスは黒い川にたどり着きました。そこには、死者を舟に乗せて向こう岸へ運ぶ年老いた渡し守カロンが待っていました。「おまえは生きている」と、カロンは言いました。「生きている者は運ばぬ」 オルフェウスは言い争いませんでした。竪琴を奏ではじめたのです。その歌はあまりに美しく、あまりに悲しかったので、年老いた渡し守は自分のおきてを忘れてしまいました。カロンはひとことも言わずに、オルフェウスを乗せて川を渡りました。

向こう岸には、三つの頭をもつ巨大な犬がいました。冥界の門を守るケルベロスです。三つの頭がそろって歯をむき出し、ほえはじめました。オルフェウスはもう一度、静かにゆっくりと竪琴を奏でました。一つ、また一つと三つの頭は目を閉じ、巨大な犬は眠りこみました。

ついにオルフェウスは、ハデスとその妃ペルセポネの暗い玉座の前に立ちました。オルフェウスは語りませんでした。エウリュディケのこと、二人の愛のこと、そして涙で終わった結婚式の日のことを歌ったのです。冥界のすべての者が足を止めて聞き入りました。死者の亡霊たちは泣きました。ハデスの冷たい目さえうるみ、ペルセポネは夫の手を取りました。

「おまえの音楽はわれらの心を動かした」と、ハデスは言いました。「エウリュディケを生者の世界へ連れ帰ってよい。ただし、一つ条件がある。エウリュディケはおまえのうしろを歩く。二人とも太陽の光の中へ出るまで、決してふり返ってはならぬ。一度でもふり返れば、エウリュディケは永遠にここにとどまることになる」

「分かりました」と、オルフェウスは答えました。「ありがとうございます」

こうしてオルフェウスは、長く暗い帰り道を歩きはじめました。うしろからは何の音も聞こえません。死者は歩いても音を立てないからです。エウリュディケは本当にそこにいるのだろうか。ハデスが自分をだましているのではないか。一歩進むごとに、不安はどんどん大きくなりました。ほんの一瞬だけでもふり返りたいと思いましたが、オルフェウスは歩きつづけました。

ついに前のほうに日の光が見えました。オルフェウスは最後の数歩を走り、洞窟を出て暖かい日ざしの中へ出ました。喜びでいっぱいになって、オルフェウスは妻を見ようとふり返りました。

けれどもエウリュディケは、まだ洞窟の中にいました。光まであとほんの一歩のところでした。一瞬、二人の目が合いました。エウリュディケはオルフェウスに手をのばし、オルフェウスもエウリュディケに手をのばしました。「さようなら」と、エウリュディケはささやきました。そして煙のように消え、暗やみの中へ引きもどされていきました。

オルフェウスはもどろうとしましたが、今度は渡し守が運んでくれませんでした。それから一生、オルフェウスは悲しい歌しか奏でず、二度とほかの女性を愛することはありませんでした。ある人たちによれば、オルフェウスは死ぬと、最後にもう一度、冥界へ降りていったのだそうです。そこでオルフェウスはエウリュディケにまた会えたのです。今では二人は並んで一緒に歩き、オルフェウスは好きなだけ妻を見つめていられるのだといいます。

日本語訳:多読ベスト

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このお話の教訓 Moral

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Trust is the hardest and most important part of love.

信じることは、愛のなかでいちばんむずかしく、いちばん大切なことだ。

理解度チェック Quick Quiz

読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. What happened to Eurydice on her wedding day?

Q2. How did Orpheus get past the ferryman and Cerberus?

Q3. What was the one condition Hades gave Orpheus?

この読み物の使い方 3ステップ

  1. 聞きながら読む 音声に合わせて光る文を目で追う(聞き読み)。わからない語は飛ばしてOK。
  2. 音声なしで読む ⏱計測ボタンで読む速さ(WPM)を測ってみる。
  3. 耳だけで聞く 🎧聞くだけモードで、文字を見ずに内容がわかるか試す。🔁1文リピートで音読・シャドーイングも。

聞き読みの効果とやり方/多読三原則

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