Theseus and the Minotaur(テセウスとミノタウロス)の挿絵
Level 4 Intermediate神話と伝説

Theseus and the Minotaur

テセウスとミノタウロス

  • 📖 892 words
  • ⏱ 約8分
  • YL 2.5–3.4
  • 英検2級目安
  • 📝 全訳つき

あらすじ9年ごとに、7人の若者と7人の娘をクレタ島の怪物ミノタウロスへさし出さなければならないアテネ。王子テセウスは、自分からその一人になると名のり出ます。待っていたのは、二度と出られない迷宮でした。

ギリシャ神話

キーワード(8語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • Minotaurミノタウロス(牛の頭をもつ怪物)
  • Labyrinthラビュリントス(迷宮)
  • tributeみつぎもの
  • thread糸
  • sword剣
  • sail帆
  • mourning喪(死を悲しむこと)
  • roarうなり声;ほえる

🔊 音声は準備中です。もうしばらくお待ちください。

Many years ago, the city of Athens was ruled by King Aegeus. Athens was a proud city, but it carried a terrible sadness. Long before, it had lost a war to King Minos of Crete, a powerful island kingdom to the south. As a punishment, Minos demanded a tribute. Every nine years, Athens had to send seven young men and seven young women to Crete. None of them ever came back.

何年も前のこと、アテナイの都はアイゲウス王が治めていました。アテナイは誇り高い都でしたが、恐ろしい悲しみを抱えていました。ずっと以前、アテナイは、南にある強い島国クレタのミノス王との戦に敗れていたのです。その罰として、ミノスは貢ぎ物を求めました。九年ごとに、アテナイは七人の若者と七人の娘をクレタへ送らなければなりませんでした。そして、だれ一人として帰ってくることはありませんでした。

They were sent to the Minotaur. This creature lived in the center of the Labyrinth, a great maze built by the inventor Daedalus. The Minotaur had the body of a huge man and the head of a bull, with sharp horns and burning red eyes. The Labyrinth was so confusing that anyone who went inside was lost forever, and sooner or later the Minotaur found them.

若者と娘たちは、ミノタウロスのもとへ送られたのです。この怪物は、発明家ダイダロスが作った巨大な迷宮、ラビリンスの中心にすんでいました。ミノタウロスは、大男の体に牛の頭をもち、鋭い角と、燃えるような赤い目をしていました。ラビリンスはあまりに入り組んでいて、中に入った者は二度と出られなくなりました。そして、おそかれ早かれミノタウロスに見つかってしまうのでした。

King Aegeus had a son named Theseus, who had grown up far away and had only recently come to Athens. He was strong, clever, and fearless. When the time came to choose the next fourteen young people, Theseus saw the mothers and fathers crying in the streets. He went to his father.

アイゲウス王には、テセウスという息子がいました。テセウスは遠い土地で育ち、ついこのあいだアテナイにやって来たばかりでした。テセウスは強く、賢く、おそれを知りませんでした。次の十四人の若者を選ぶ時が来ると、テセウスは町の通りで母親や父親たちが泣いているのを見ました。テセウスは父親のもとへ行きました。

"Let me go as one of the fourteen," he said. "I will kill the Minotaur and end this tribute forever."

「わたしを十四人の一人として行かせてください」と、テセウスは言いました。「ミノタウロスを殺して、この貢ぎ物を永遠に終わらせてみせます」

The old king held his son's hands. "I have only just found you," he said. "I cannot lose you." But Theseus would not change his mind.

年老いた王は、息子の両手をにぎりました。「おまえとは、やっと会えたばかりなのだ」と、王は言いました。「おまえを失うわけにはいかない」けれども、テセウスは決心を変えようとしませんでした。

At last, the king agreed. "The ship that takes you to Crete has black sails, because it is a ship of mourning," he said. "If you live, change them to white sails on the way home. Every day I will stand on the cliff and watch the sea. When I see white sails, I will know that you are alive."

とうとう、王は承知しました。「おまえたちをクレタへ運ぶ船は、黒い帆を張っている。喪に服す船だからだ」と、王は言いました。「もしおまえが生きていたら、帰り道で帆を白いものに取りかえておくれ。わたしは毎日がけの上に立って、海を見ていよう。白い帆が見えたら、おまえが生きていると分かるように」

"I promise, Father," said Theseus.

「約束します、父上」と、テセウスは答えました。

When the ship arrived in Crete, King Minos came down to look at the young people from Athens. Next to him stood his daughter, Princess Ariadne. As soon as she saw Theseus, standing tall and calm in front of her cruel father, she fell in love with him. She could not let him die.

船がクレタに着くと、ミノス王がアテナイから来た若者たちを見にやって来ました。そのとなりには、王の娘アリアドネ姫が立っていました。残酷な父親の前で、背すじをのばし、落ち着きはらって立っているテセウスを見たとたん、アリアドネはテセウスに恋をしてしまいました。この人を死なせるわけにはいかない、とアリアドネは思いました。

That night, Ariadne went secretly to the place where the Athenians were kept. "I can help you," she whispered to Theseus. "But you must take me away from Crete with you and make me your wife."

その夜、アリアドネは、アテナイの若者たちが閉じこめられている場所へこっそりと出かけていきました。「あなたを助けることができます」と、アリアドネはテセウスにささやきました。「でも、わたしを一緒にクレタから連れ出して、妻にしてくださらなければなりません」

"I will," said Theseus.

「そうしよう」と、テセウスは答えました。

She gave him two things. The first was a short sword, which she had hidden under her cloak. The second was a ball of red thread. "Daedalus himself told me this secret," she said. "Tie one end of the thread to the door when you go in. Let it out as you walk. When your work is done, follow the thread back, and it will lead you out."

アリアドネはテセウスに二つのものをわたしました。一つは、マントの下にかくしてきた短い剣でした。もう一つは、赤い糸の玉でした。「この秘密は、ダイダロスその人がわたしに教えてくれたのです」と、アリアドネは言いました。「入るときに、糸のはしを扉に結びつけてください。歩きながら、糸をくり出していくのです。仕事が終わったら、糸をたどってもどれば、外へ出られます」

The next morning, the guards pushed the fourteen Athenians into the Labyrinth. Theseus quickly tied the thread to the door. "Stay here, close to the entrance," he told the others. "I will go on alone." Then he walked into the darkness.

次の朝、番兵たちは十四人のアテナイの若者たちをラビリンスの中へおしこみました。テセウスはすばやく糸を扉に結びつけました。「きみたちはここ、入り口の近くにいてくれ」と、テセウスはほかの者たちに言いました。「わたしはひとりで先へ進む」そして、テセウスは暗やみの中へと歩いていきました。

The passages turned left and right, up and down, again and again. Some ended in stone walls. Some went around in circles. The air was cold and smelled of animals. Theseus walked for hours, letting out the red thread behind him. Then he heard it: a deep, angry roar that shook the walls.

通路は何度も何度も、右へ左へ、上へ下へと曲がっていました。石のかべで行き止まりになっている道もありました。ぐるぐる同じところを回っている道もありました。空気は冷たく、けもののにおいがしました。テセウスは赤い糸を後ろにくり出しながら、何時間も歩きました。そのとき、それが聞こえたのです。かべをゆるがすほどの、低く、怒りに満ちたうなり声が。

The Minotaur came around the corner. It was even bigger than the stories said. It lowered its horns and ran at him. Theseus jumped aside, and the monster crashed into the wall. Again and again it attacked, and again and again Theseus moved away. At last, when the beast was tired, Theseus caught one of its horns, pulled its head down, and struck with Ariadne's sword. The great creature fell to the ground and did not get up.

ミノタウロスが角を曲がってあらわれました。それは言い伝えよりも、さらに大きな怪物でした。ミノタウロスは角を低くかまえて、テセウスめがけて突進してきました。テセウスが横へとびのくと、怪物はかべにぶつかりました。何度も何度も怪物はおそいかかり、そのたびにテセウスは身をかわしました。とうとう、けものが疲れてきたところで、テセウスはその角の一本をつかみ、頭を引き下げて、アリアドネの剣で打ちかかりました。巨大な怪物は地面にたおれ、二度と起き上がりませんでした。

Theseus stood in the silence, breathing hard. Then he picked up the red thread and followed it, turn after turn, all the way back to the door. The young Athenians cried with joy when they saw him. With Ariadne, they ran down to the harbor in the dark, made holes in the bottoms of the Cretan ships so nobody could follow, and sailed away.

テセウスは、荒い息をつきながら、静けさの中に立っていました。それから赤い糸を拾い上げ、角を一つまた一つと曲がりながら、それをたどって扉までもどりました。アテナイの若者たちは、テセウスの姿を見ると、うれし泣きに泣きました。一行はアリアドネと一緒に、暗やみの中を港へかけ下り、だれも追ってこられないようにクレタの船の底に穴をあけてから、船出しました。

On the way home, they stopped at the island of Naxos. What happened there is told in different ways. Some say that Theseus left Ariadne sleeping on the beach. Others say that the god Dionysus fell in love with her and took her to be his own wife. Either way, Theseus sailed on without her, sad and lost in his thoughts.

帰りの途中、一行はナクソス島に立ち寄りました。そこで起きたことについては、いろいろな言い伝えがあります。テセウスは、浜辺で眠っているアリアドネを置き去りにしたのだという人もいます。また、ディオニュソスという神がアリアドネに恋をして、自分の妻として連れていったのだという人もいます。いずれにしても、テセウスはアリアドネを乗せずに、悲しみ、もの思いにしずみながら航海を続けました。

Perhaps that is why he forgot his promise. As the ship came near Athens, its sails were still black.

だからこそ、テセウスは約束を忘れてしまったのかもしれません。船がアテナイに近づいたとき、その帆はまだ黒いままでした。

On the high cliff, old King Aegeus was watching the sea, as he had every day. When he saw the black sails, his heart broke. He believed his son was dead. In his great sorrow, he threw himself from the cliff into the sea below.

高いがけの上で、年老いたアイゲウス王は、毎日そうしてきたように海を見つめていました。黒い帆を見たとき、王の胸ははりさけました。息子は死んだのだと思いこんだのです。深い悲しみのあまり、王はがけから下の海へと身を投げてしまいました。

When Theseus landed, the people of Athens met him with both joy and tears. The Minotaur was dead and the tribute was over, but the king was gone. Theseus became the new king of Athens, and he ruled wisely for many years. But he never forgot the price of the one promise he did not keep. And the sea where his father died is still called the Aegean Sea.

テセウスが上陸すると、アテナイの人々は喜びながらも涙を流して、テセウスを迎えました。ミノタウロスは死に、貢ぎ物は終わりましたが、王はもういませんでした。テセウスはアテナイの新しい王となり、長年にわたって賢く国を治めました。けれども、守らなかったたった一つの約束がどれほど高くついたかを、テセウスは決して忘れませんでした。そして、テセウスの父が身を投げた海は、今でもエーゲ海とよばれています。

📖 全訳をまとめて読む 読み終わってからの答え合わせに

何年も前のこと、アテナイの都はアイゲウス王が治めていました。アテナイは誇り高い都でしたが、恐ろしい悲しみを抱えていました。ずっと以前、アテナイは、南にある強い島国クレタのミノス王との戦に敗れていたのです。その罰として、ミノスは貢ぎ物を求めました。九年ごとに、アテナイは七人の若者と七人の娘をクレタへ送らなければなりませんでした。そして、だれ一人として帰ってくることはありませんでした。

若者と娘たちは、ミノタウロスのもとへ送られたのです。この怪物は、発明家ダイダロスが作った巨大な迷宮、ラビリンスの中心にすんでいました。ミノタウロスは、大男の体に牛の頭をもち、鋭い角と、燃えるような赤い目をしていました。ラビリンスはあまりに入り組んでいて、中に入った者は二度と出られなくなりました。そして、おそかれ早かれミノタウロスに見つかってしまうのでした。

アイゲウス王には、テセウスという息子がいました。テセウスは遠い土地で育ち、ついこのあいだアテナイにやって来たばかりでした。テセウスは強く、賢く、おそれを知りませんでした。次の十四人の若者を選ぶ時が来ると、テセウスは町の通りで母親や父親たちが泣いているのを見ました。テセウスは父親のもとへ行きました。

「わたしを十四人の一人として行かせてください」と、テセウスは言いました。「ミノタウロスを殺して、この貢ぎ物を永遠に終わらせてみせます」

年老いた王は、息子の両手をにぎりました。「おまえとは、やっと会えたばかりなのだ」と、王は言いました。「おまえを失うわけにはいかない」けれども、テセウスは決心を変えようとしませんでした。

とうとう、王は承知しました。「おまえたちをクレタへ運ぶ船は、黒い帆を張っている。喪に服す船だからだ」と、王は言いました。「もしおまえが生きていたら、帰り道で帆を白いものに取りかえておくれ。わたしは毎日がけの上に立って、海を見ていよう。白い帆が見えたら、おまえが生きていると分かるように」

「約束します、父上」と、テセウスは答えました。

船がクレタに着くと、ミノス王がアテナイから来た若者たちを見にやって来ました。そのとなりには、王の娘アリアドネ姫が立っていました。残酷な父親の前で、背すじをのばし、落ち着きはらって立っているテセウスを見たとたん、アリアドネはテセウスに恋をしてしまいました。この人を死なせるわけにはいかない、とアリアドネは思いました。

その夜、アリアドネは、アテナイの若者たちが閉じこめられている場所へこっそりと出かけていきました。「あなたを助けることができます」と、アリアドネはテセウスにささやきました。「でも、わたしを一緒にクレタから連れ出して、妻にしてくださらなければなりません」

「そうしよう」と、テセウスは答えました。

アリアドネはテセウスに二つのものをわたしました。一つは、マントの下にかくしてきた短い剣でした。もう一つは、赤い糸の玉でした。「この秘密は、ダイダロスその人がわたしに教えてくれたのです」と、アリアドネは言いました。「入るときに、糸のはしを扉に結びつけてください。歩きながら、糸をくり出していくのです。仕事が終わったら、糸をたどってもどれば、外へ出られます」

次の朝、番兵たちは十四人のアテナイの若者たちをラビリンスの中へおしこみました。テセウスはすばやく糸を扉に結びつけました。「きみたちはここ、入り口の近くにいてくれ」と、テセウスはほかの者たちに言いました。「わたしはひとりで先へ進む」そして、テセウスは暗やみの中へと歩いていきました。

通路は何度も何度も、右へ左へ、上へ下へと曲がっていました。石のかべで行き止まりになっている道もありました。ぐるぐる同じところを回っている道もありました。空気は冷たく、けもののにおいがしました。テセウスは赤い糸を後ろにくり出しながら、何時間も歩きました。そのとき、それが聞こえたのです。かべをゆるがすほどの、低く、怒りに満ちたうなり声が。

ミノタウロスが角を曲がってあらわれました。それは言い伝えよりも、さらに大きな怪物でした。ミノタウロスは角を低くかまえて、テセウスめがけて突進してきました。テセウスが横へとびのくと、怪物はかべにぶつかりました。何度も何度も怪物はおそいかかり、そのたびにテセウスは身をかわしました。とうとう、けものが疲れてきたところで、テセウスはその角の一本をつかみ、頭を引き下げて、アリアドネの剣で打ちかかりました。巨大な怪物は地面にたおれ、二度と起き上がりませんでした。

テセウスは、荒い息をつきながら、静けさの中に立っていました。それから赤い糸を拾い上げ、角を一つまた一つと曲がりながら、それをたどって扉までもどりました。アテナイの若者たちは、テセウスの姿を見ると、うれし泣きに泣きました。一行はアリアドネと一緒に、暗やみの中を港へかけ下り、だれも追ってこられないようにクレタの船の底に穴をあけてから、船出しました。

帰りの途中、一行はナクソス島に立ち寄りました。そこで起きたことについては、いろいろな言い伝えがあります。テセウスは、浜辺で眠っているアリアドネを置き去りにしたのだという人もいます。また、ディオニュソスという神がアリアドネに恋をして、自分の妻として連れていったのだという人もいます。いずれにしても、テセウスはアリアドネを乗せずに、悲しみ、もの思いにしずみながら航海を続けました。

だからこそ、テセウスは約束を忘れてしまったのかもしれません。船がアテナイに近づいたとき、その帆はまだ黒いままでした。

高いがけの上で、年老いたアイゲウス王は、毎日そうしてきたように海を見つめていました。黒い帆を見たとき、王の胸ははりさけました。息子は死んだのだと思いこんだのです。深い悲しみのあまり、王はがけから下の海へと身を投げてしまいました。

テセウスが上陸すると、アテナイの人々は喜びながらも涙を流して、テセウスを迎えました。ミノタウロスは死に、貢ぎ物は終わりましたが、王はもういませんでした。テセウスはアテナイの新しい王となり、長年にわたって賢く国を治めました。けれども、守らなかったたった一つの約束がどれほど高くついたかを、テセウスは決して忘れませんでした。そして、テセウスの父が身を投げた海は、今でもエーゲ海とよばれています。

日本語訳:多読ベスト

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このお話の教訓 Moral

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Courage wins battles, but kindness and keeping promises matter too.

勇気は戦いに勝つ。けれど、思いやりと約束を守ることも同じくらい大切だ。

理解度チェック Quick Quiz

読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. Why did Athens send young people to Crete?

Q2. How did Theseus find his way out of the Labyrinth?

Q3. What did Theseus forget to do on the way home?

この読み物の使い方 3ステップ

  1. 聞きながら読む 音声に合わせて光る文を目で追う(聞き読み)。わからない語は飛ばしてOK。
  2. 音声なしで読む ⏱計測ボタンで読む速さ(WPM)を測ってみる。
  3. 耳だけで聞く 🎧聞くだけモードで、文字を見ずに内容がわかるか試す。🔁1文リピートで音読・シャドーイングも。

聞き読みの効果とやり方/多読三原則

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