The Purloined Letter(盗まれた手紙)の挿絵
Level 3 Pre-Intermediate名作文学

The Purloined Letter

盗まれた手紙

  • 📖 653 words
  • ⏱ 約6分
  • 🔊 3:25
  • YL 1.5–2.4
  • 英検準2級目安
  • 📝 全訳つき

あらすじ王家の女性の大切な手紙が、ずる賢い大臣に盗まれました。パリ警察が三か月も大臣の家を調べつくしたのに、どうしても見つかりません。名探偵デュパンは、この「簡単すぎる」謎をどう解くのでしょうか。

エドガー・アラン・ポー「盗まれた手紙」(1844年)をもとに再話

キーワード(9語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • royal family王家、王族
  • Minister大臣
  • searched捜索した
  • microscope顕微鏡
  • check小切手
  • card rack名刺差し
  • inside out裏返しに
  • seal封印
  • snuff boxかぎたばこ入れ
音声に合わせて文が光ります0:00 / 3:25

Google Cloud TTS(Chirp 3 HD・アメリカ英語・Leda)

One windy evening in Paris, my friend Auguste Dupin and I were sitting in the dark in his little library, smoking our pipes. Suddenly the door opened, and in came Monsieur G., the head of the Paris police. "I have a problem," he said. "It is very simple, but also very strange."

パリの、風の強いある晩のことだった。私は友人のオーギュスト・デュパンと、その小さな書斎で、明かりもつけずにパイプをくゆらせていた。とつぜん扉が開き、パリ警視総監のG氏が入ってきた。「困ったことになってね」とG氏は言った。「ごく単純な話なんだが、どうにも奇妙なんだ」

"Perhaps it is a little too simple," said Dupin. G. laughed loudly. "Ha! What a funny idea!"

「ひょっとすると、少々単純すぎるのかもしれませんね」とデュパンは言った。G氏は大声で笑った。「はっ! なんておかしなことを言うんだ!」

Then he explained. A very important letter had been stolen from a lady of the royal family. The thief was Minister D., a clever and dangerous man. The lady was reading the letter in her room when the Minister came in. She could not hide it, so she left it on the table. The Minister saw it and understood its secret at once. He took out a letter of his own, put it next to hers, talked for a while, and then picked up her letter instead of his. She saw him do it, but she could not say anything, because another person was in the room.

それからG氏は説明した。王家のある婦人のもとから、きわめて大切な手紙が盗まれた。盗んだのはD大臣で、頭の切れる危険な男だった。婦人が部屋でその手紙を読んでいたところへ、大臣が入ってきた。婦人は手紙を隠すひまがなく、テーブルの上に置いたままにした。大臣はそれを見て、手紙の秘密をたちどころに見ぬいた。そこで自分の手紙を一通取り出して、婦人の手紙のとなりに置いた。しばらく世間話をしたあと、自分の手紙ではなく、婦人の手紙のほうを取りあげた。婦人はそれを見ていたが、何も言えなかった。部屋には、もうひとり別の人物がいたからだ。

"As long as the Minister has the letter, he has power over the lady," said G. "She has asked me to get it back quietly."

「あの手紙を持っているかぎり、大臣はその婦人を意のままにできる」とG氏は言った。「婦人からは、表ざたにせずに取りもどしてほしいとたのまれているんだ」

"Where is it?" asked Dupin. "It must be in his house," said G., "because he must be able to use it at any time. For three months, my men and I have searched his house every night while he was out. We looked in every drawer and every book. We looked under the carpets and inside the legs of the chairs. We even used a microscope! Twice we had men stop him in the street and search his pockets. But we found nothing."

「手紙はどこにあるのです?」とデュパンはたずねた。「大臣の屋敷の中にあるはずだ」とG氏は言った。「いつでも使えるようにしておかなければならないからね。この三か月、わたしと部下は、大臣の留守をねらって毎晩屋敷をさがした。引き出しも本も、ひとつ残らず調べた。じゅうたんの下も、いすの脚の中までもだ。顕微鏡まで使ったんだぞ! 二度は、通りで部下に大臣を呼び止めさせて、ポケットの中まで調べた。それでも何も見つからない」

"Then search the house again," said Dupin.

「では、もう一度屋敷をおさがしなさい」とデュパンは言った。

A month later, G. came back, looking very unhappy. "I searched again, and found nothing. I would pay fifty thousand francs to anyone who could help me." "Then," said Dupin calmly, "write me a check for that amount. When you have signed it, I will give you the letter." G. could not speak. He wrote the check, and Dupin took a letter from his desk and gave it to him. G. read it, and then ran out of the room without a word.

ひと月後、G氏はひどくしょげかえってやって来た。「もう一度さがしたが、やはり何も出てこない。助けてくれる者がいたら、五万フラン払ったっていいくらいだ」「それなら」とデュパンは落ち着きはらって言った。「その額の小切手を書いてください。署名がすんだら、手紙をお渡ししましょう」G氏は口もきけなかった。小切手を書くと、デュパンは机から一通の手紙を取り出して渡した。G氏はそれを読むなり、ひと言も言わずに部屋をとびだしていった。

Then Dupin explained everything to me. "The police are good at searching, but they think every thief is like them. They look only in secret places. But the Minister is a poet and also a mathematician. He knew the police would search his house. So he did not hide the letter at all. He put it where everyone could see it."

それからデュパンは、私にすべてを話してくれた。「警察はさがしものは得意だ。だが、泥棒はみんな自分たちと同じように考えるものと思いこんでいる。だから、秘密の隠し場所ばかりさがすのさ。ところが大臣は詩人で、しかも数学者でもある。警察に屋敷をさがされることは、わかっていた。だから手紙を、まったく隠さなかったんだ。誰の目にもつくところに置いておいたのさ」

"I visited him, wearing dark green glasses, so that he could not see where my eyes were looking. On a cheap card rack hanging over the fireplace, there was a dirty, torn letter. It looked unimportant. But it was the same size as the stolen letter. The Minister had turned it inside out, written a new address on it, put a different seal on it, and left it out in the open."

「ぼくは濃い緑色のめがねをかけて、大臣をたずねた。こちらの目がどこを見ているか、相手にわからないようにね。暖炉の上に、安っぽい状差しがかかっていた。そこに、汚れて破れた手紙が一通さしてあった。いかにもつまらないものに見えた。だが、大きさは盗まれた手紙と同じだった。大臣は手紙を裏返して、新しいあて名を書き、ちがう封印をおして、誰にでも見えるところに出しておいたんだよ」

"When I left, I forgot my gold snuff box on his table on purpose. The next day I went back for it. While we were talking, there was a loud shot in the street. I had paid a man to fire a gun there. The Minister ran to the window. Then I quickly took the letter and put a copy in its place."

「帰りぎわに、ぼくはわざと金のかぎたばこ入れを大臣のテーブルに置き忘れた。次の日、それを取りにもどった。話をしていると、通りで大きな銃声がした。ぼくが金をやって、男にそこで鉄砲を撃たせたんだ。大臣は窓にかけよった。そのすきに、ぼくはすばやく手紙を抜きとり、かわりに写しを置いてきたのさ」

"Why did you leave a copy?" I asked. "If he found it gone, he might hurt me," said Dupin. "And now he still thinks he has power over the lady. One day he will try to use it, and he will fall. Once, in Vienna, he did me a bad turn, and I told him I would remember it. So inside the copy I wrote a few lines from an old French play. He knows my handwriting. He will understand who did it."

「どうして写しなんか置いてきたんだい?」と私はたずねた。「手紙がなくなったと気づいたら、大臣はぼくに危害を加えるかもしれないからね」とデュパンは言った。「それに大臣は、いまだに婦人を意のままにできると思っている。いつか手紙を使おうとして、自滅するだろう。昔ウィーンで、大臣にひどい目にあわされたことがあってね。このことは忘れないぞと言っておいたんだ。だから写しの中に、フランスの古い芝居の文句を何行か書いておいた。大臣はぼくの筆跡を知っている。誰のしわざか、わかるはずさ」

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パリの、風の強いある晩のことだった。私は友人のオーギュスト・デュパンと、その小さな書斎で、明かりもつけずにパイプをくゆらせていた。とつぜん扉が開き、パリ警視総監のG氏が入ってきた。「困ったことになってね」とG氏は言った。「ごく単純な話なんだが、どうにも奇妙なんだ」

「ひょっとすると、少々単純すぎるのかもしれませんね」とデュパンは言った。G氏は大声で笑った。「はっ! なんておかしなことを言うんだ!」

それからG氏は説明した。王家のある婦人のもとから、きわめて大切な手紙が盗まれた。盗んだのはD大臣で、頭の切れる危険な男だった。婦人が部屋でその手紙を読んでいたところへ、大臣が入ってきた。婦人は手紙を隠すひまがなく、テーブルの上に置いたままにした。大臣はそれを見て、手紙の秘密をたちどころに見ぬいた。そこで自分の手紙を一通取り出して、婦人の手紙のとなりに置いた。しばらく世間話をしたあと、自分の手紙ではなく、婦人の手紙のほうを取りあげた。婦人はそれを見ていたが、何も言えなかった。部屋には、もうひとり別の人物がいたからだ。

「あの手紙を持っているかぎり、大臣はその婦人を意のままにできる」とG氏は言った。「婦人からは、表ざたにせずに取りもどしてほしいとたのまれているんだ」

「手紙はどこにあるのです?」とデュパンはたずねた。「大臣の屋敷の中にあるはずだ」とG氏は言った。「いつでも使えるようにしておかなければならないからね。この三か月、わたしと部下は、大臣の留守をねらって毎晩屋敷をさがした。引き出しも本も、ひとつ残らず調べた。じゅうたんの下も、いすの脚の中までもだ。顕微鏡まで使ったんだぞ! 二度は、通りで部下に大臣を呼び止めさせて、ポケットの中まで調べた。それでも何も見つからない」

「では、もう一度屋敷をおさがしなさい」とデュパンは言った。

ひと月後、G氏はひどくしょげかえってやって来た。「もう一度さがしたが、やはり何も出てこない。助けてくれる者がいたら、五万フラン払ったっていいくらいだ」「それなら」とデュパンは落ち着きはらって言った。「その額の小切手を書いてください。署名がすんだら、手紙をお渡ししましょう」G氏は口もきけなかった。小切手を書くと、デュパンは机から一通の手紙を取り出して渡した。G氏はそれを読むなり、ひと言も言わずに部屋をとびだしていった。

それからデュパンは、私にすべてを話してくれた。「警察はさがしものは得意だ。だが、泥棒はみんな自分たちと同じように考えるものと思いこんでいる。だから、秘密の隠し場所ばかりさがすのさ。ところが大臣は詩人で、しかも数学者でもある。警察に屋敷をさがされることは、わかっていた。だから手紙を、まったく隠さなかったんだ。誰の目にもつくところに置いておいたのさ」

「ぼくは濃い緑色のめがねをかけて、大臣をたずねた。こちらの目がどこを見ているか、相手にわからないようにね。暖炉の上に、安っぽい状差しがかかっていた。そこに、汚れて破れた手紙が一通さしてあった。いかにもつまらないものに見えた。だが、大きさは盗まれた手紙と同じだった。大臣は手紙を裏返して、新しいあて名を書き、ちがう封印をおして、誰にでも見えるところに出しておいたんだよ」

「帰りぎわに、ぼくはわざと金のかぎたばこ入れを大臣のテーブルに置き忘れた。次の日、それを取りにもどった。話をしていると、通りで大きな銃声がした。ぼくが金をやって、男にそこで鉄砲を撃たせたんだ。大臣は窓にかけよった。そのすきに、ぼくはすばやく手紙を抜きとり、かわりに写しを置いてきたのさ」

「どうして写しなんか置いてきたんだい?」と私はたずねた。「手紙がなくなったと気づいたら、大臣はぼくに危害を加えるかもしれないからね」とデュパンは言った。「それに大臣は、いまだに婦人を意のままにできると思っている。いつか手紙を使おうとして、自滅するだろう。昔ウィーンで、大臣にひどい目にあわされたことがあってね。このことは忘れないぞと言っておいたんだ。だから写しの中に、フランスの古い芝居の文句を何行か書いておいた。大臣はぼくの筆跡を知っている。誰のしわざか、わかるはずさ」

日本語訳:多読ベスト

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理解度チェック Quick Quiz

読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. How did the Minister steal the letter?

Q2. Where did Dupin find the letter?

Q3. Why did Dupin wear dark green glasses?

この読み物の使い方 3ステップ

  1. 聞きながら読む 音声に合わせて光る文を目で追う(聞き読み)。わからない語は飛ばしてOK。
  2. 音声なしで読む ⏱計測ボタンで読む速さ(WPM)を測ってみる。
  3. 耳だけで聞く 🎧聞くだけモードで、文字を見ずに内容がわかるか試す。🔁1文リピートで音読・シャドーイングも。

聞き読みの効果とやり方/多読三原則

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