Don Quixote(ドン・キホーテ)の挿絵
Level 3 Pre-Intermediate名作文学

Don Quixote

ドン・キホーテ

  • 📖 758 words
  • ⏱ 約7分
  • 🔊 4:26
  • YL 1.5–2.4
  • 英検準2級目安
  • 📝 全訳つき

あらすじ騎士物語を読みすぎて、自分を騎士だと思いこんだスペインの老紳士。農夫サンチョ・パンサを連れて冒険の旅に出ます。有名な風車の場面を中心に、物語の始まりから終わりまでを短くまとめた再話です。

ミゲル・デ・セルバンテス『ドン・キホーテ』(1605〜1615年)をもとに再話

キーワード(9語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • knights騎士
  • armorよろい
  • squire従者(騎士のお供)
  • governor総督、知事
  • windmills風車
  • sails(風車の)羽根
  • lanceやり
  • magician魔法使い
  • faithful忠実な
音声に合わせて文が光ります0:00 / 4:26

Google Cloud TTS(Chirp 3 HD・アメリカ英語・Leda)

In a village in La Mancha, in Spain, there lived a thin gentleman of about fifty. His name was Alonso Quixano. He had an old horse, a thin dog, and a great love of books. Day and night he read stories about knights who fought giants, saved beautiful ladies, and won great battles. He read so much and slept so little that he lost his good sense. He began to believe that every story in his books was true.

スペインのラ・マンチャ地方のある村に、五十歳ぐらいのやせた郷士が住んでいました。名前は、アロンソ・キハーノといいます。年をとった馬と、やせた犬を飼っていて、何よりも本が大好きでした。昼も夜も読みふけるのは、騎士の物語です。巨人と戦い、美しい姫君を救い、大きな戦いに勝つ騎士たちのお話でした。あまりに本ばかり読んで、ろくに眠らなかったので、とうとう頭がおかしくなってしまいました。本に書いてあることは何もかも本当なのだと、信じこむようになったのです。

"I will become a knight," he decided. "I will travel the world and fight against evil." He found his great-grandfather's old armor and cleaned it. He named his thin old horse Rocinante, and he gave himself a grand new name, Don Quixote de la Mancha. Every knight needed a lady to love, so he chose a farm girl from the next village. He called her the Lady Dulcinea of Toboso. She never knew about it.

「わしは騎士になるぞ」と、この人は心に決めました。「世界じゅうを旅して、悪と戦うのだ」そして、ひいおじいさんの古いよろいを引っぱり出して、ぴかぴかに磨きました。やせた老馬にはロシナンテという名前をつけ、自分には「ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ」という堂々とした新しい名前をつけました。騎士には、心をささげる姫君がいなくてはなりません。そこで、隣の村の農家の娘を選んで、「トボーソの姫君ドゥルシネーア」と呼ぶことにしました。娘本人は、そんなことは少しも知りませんでした。

Next he needed a squire to help him. He asked a poor, simple farmer named Sancho Panza. "Come with me," said Don Quixote, "and someday I will win an island and make you its governor." Sancho liked that idea very much. So one night, without telling his wife, he rode away with Don Quixote on his little donkey.

次に必要なのは、身の回りの世話をしてくれる従者です。ドン・キホーテは、サンチョ・パンサという、貧しくてお人よしの農夫に声をかけました。「わしと一緒に来るがよい」とドン・キホーテは言いました。「いつか島を手に入れたら、おまえをその島の総督にしてやろう」サンチョは、この話がすっかり気に入りました。そこである夜、おかみさんにも言わずに、小さなロバに乗って、ドン・キホーテと一緒に旅に出たのです。

Soon they saw thirty or forty windmills on a wide plain. "Look, Sancho!" cried Don Quixote. "There are terrible giants! I will fight them all." "What giants?" asked Sancho. "Those over there, with the long arms," said his master. "Sir, those are not giants," said Sancho. "They are windmills. The things that look like arms are their sails. The wind turns them."

まもなく二人は、広い平原に、風車が三十か四十立っているのを見つけました。「見よ、サンチョ!」とドン・キホーテは叫びました。「恐ろしい巨人どもがおるぞ! 一人残らず退治してくれよう」「巨人って、どこにです?」とサンチョはたずねました。「あそこにおる、長い腕をしたやつらだ」と主人は答えました。「旦那さま、あれは巨人じゃありませんよ」とサンチョは言いました。「風車です。腕みたいに見えるのは、羽根ですよ。風が吹くと回るんです」

"It is clear that you know nothing about adventures," said Don Quixote. "If you are afraid, go away and pray." He shouted at the windmills, "Do not run, you cowards! Only one knight is attacking you!" At that moment a little wind began to blow, and the great sails began to move.

「おまえは冒険のことを何も知らんようだな」とドン・キホーテは言いました。「怖いのなら、下がってお祈りでもしておれ」そして風車に向かって叫びました。「逃げるでないぞ、臆病者ども! 相手は、たった一人の騎士だ!」ちょうどそのとき、少し風が吹いてきて、大きな羽根が回り始めました。

Don Quixote held his lance forward and galloped at the first windmill. His lance went into the sail. The wind turned the sail with great force, and the lance broke into pieces. Horse and rider were thrown far across the field.

ドン・キホーテは槍を前に構えて、最初の風車めがけて馬を走らせました。槍は羽根に突き刺さりました。ところが、風が羽根をものすごい力で回したので、槍はこなごなに折れてしまいました。馬も乗り手も、野原のずっと向こうまで、はね飛ばされてしまいました。

Sancho ran to help him. "Oh, sir! Didn't I tell you? They were only windmills!" "Be quiet, friend Sancho," said Don Quixote from the ground. "An evil magician has turned the giants into windmills. He wanted to take my glory away. But in the end, his tricks will not win against my good sword."

サンチョが助けに駆けつけました。「ああ、旦那さま! だから言ったじゃありませんか。ただの風車だったんですよ!」「黙れ、わが友サンチョ」と、ドン・キホーテは地面に倒れたまま言いました。「悪い魔法使いが、巨人どもを風車に変えてしまったのだ。わしの手柄を横取りしようとしたのだよ。だが最後には、やつのたくらみも、わしのよき剣にはかなうまい」

That was only the first of many adventures. Once Don Quixote saw two big clouds of dust on the road. "Two great armies are going to fight!" he cried. They were really two large groups of sheep. He rode into the middle and attacked them, and the angry shepherds threw stones at him until he fell. Another time, he decided that a barber's brass bowl was a famous golden helmet, and he wore it proudly on his head.

これは、数えきれない冒険の、ほんの始まりにすぎませんでした。あるとき、ドン・キホーテは、道の先に大きな砂ぼこりが二つ立っているのを見ました。「二つの大軍が、今まさに戦おうとしておるぞ!」とドン・キホーテは叫びました。本当は、二つの大きな羊の群れでした。ドン・キホーテはその真ん中に馬で乗りこんで、羊たちに襲いかかりました。怒った羊飼いたちが石を投げつけ、ドン・キホーテはとうとう馬から落ちてしまいました。また別のときには、床屋の真ちゅうの洗面器を、名高い黄金のかぶとだと思いこみ、得意そうに頭にかぶりました。

People laughed at him everywhere. But Sancho stayed with him. Sancho complained, and he was often hungry and tired. Yet he grew to love his strange master. Don Quixote was foolish about knights, but about other things he spoke with wisdom and kindness. He always wanted to help the weak.

どこへ行っても、人々はドン・キホーテを笑いました。それでもサンチョは、そばを離れませんでした。サンチョは文句ばかり言っていましたし、おなかをすかせたり、くたびれたりするのもしょっちゅうでした。それでも、この風変わりな主人のことが、だんだん好きになっていったのです。ドン・キホーテは、騎士のこととなると愚かでしたが、ほかのことでは、賢くやさしい言葉を口にしました。そして、いつも弱い者を助けたいと願っていたのです。

At last, a young man from his village dressed as a knight. He called himself the Knight of the White Moon. He fought Don Quixote on a beach and knocked him down. "You must go home and stay there for one year," he said. Don Quixote was a knight who kept his word, so he went home sadly.

とうとう、同じ村の若者が、騎士の格好をしてやって来ました。若者は「白月の騎士」と名のりました。そして浜辺でドン・キホーテと戦い、打ち負かしました。「家に帰って、一年間そこから出てはならぬ」と若者は言いました。ドン・キホーテは約束を守る騎士でしたから、肩を落として家に帰りました。

At home he became ill with a fever. He slept for a long time, and when he woke up, his mind was clear. "My friends," he said, "I am not Don Quixote de la Mancha. I am Alonso Quixano. Those silly books were all lies. I can see that now."

家に帰ると、ドン・キホーテは熱を出して寝こんでしまいました。長いあいだ眠り続け、目を覚ましたときには、頭がすっかりはっきりしていました。「みなさん」とこの人は言いました。「わしはドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャではありません。アロンソ・キハーノです。あのばかげた本は、みんなうそでした。今になって、それがよくわかりました」

Sancho cried by his bed. "Don't die, master!" he said. "Get up, and let's go out into the fields together. Perhaps we will find the Lady Dulcinea there. If you fell off your horse, say it was my fault." Don Quixote smiled at his faithful friend. "Forgive me, Sancho," he said. "I made you as foolish as I was."

サンチョはベッドのそばで泣きました。「死なないでください、旦那さま!」とサンチョは言いました。「起きて、また一緒に野原へ出かけましょう。そこでドゥルシネーア姫に会えるかもしれませんよ。馬から落ちたのは、わたしのせいだってことにしてください」アロンソは、忠実な友にほほえみかけました。「許しておくれ、サンチョ」とアロンソは言いました。「わしは、おまえまで、わしと同じ愚か者にしてしまった」

A few days later, the good gentleman died quietly with his friends around him. People had laughed at him all his life. But Sancho never forgot him. He had been a brave and kind man, and a true knight in his heart.

数日後、この善良な郷士は、友人たちに見守られながら、静かに息を引き取りました。人々は一生のあいだ、この人を笑い続けました。けれどもサンチョは、決して主人のことを忘れませんでした。勇敢で、やさしい人でした。そして心の中では、本物の騎士だったのです。

📖 全訳をまとめて読む 読み終わってからの答え合わせに

スペインのラ・マンチャ地方のある村に、五十歳ぐらいのやせた郷士が住んでいました。名前は、アロンソ・キハーノといいます。年をとった馬と、やせた犬を飼っていて、何よりも本が大好きでした。昼も夜も読みふけるのは、騎士の物語です。巨人と戦い、美しい姫君を救い、大きな戦いに勝つ騎士たちのお話でした。あまりに本ばかり読んで、ろくに眠らなかったので、とうとう頭がおかしくなってしまいました。本に書いてあることは何もかも本当なのだと、信じこむようになったのです。

「わしは騎士になるぞ」と、この人は心に決めました。「世界じゅうを旅して、悪と戦うのだ」そして、ひいおじいさんの古いよろいを引っぱり出して、ぴかぴかに磨きました。やせた老馬にはロシナンテという名前をつけ、自分には「ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ」という堂々とした新しい名前をつけました。騎士には、心をささげる姫君がいなくてはなりません。そこで、隣の村の農家の娘を選んで、「トボーソの姫君ドゥルシネーア」と呼ぶことにしました。娘本人は、そんなことは少しも知りませんでした。

次に必要なのは、身の回りの世話をしてくれる従者です。ドン・キホーテは、サンチョ・パンサという、貧しくてお人よしの農夫に声をかけました。「わしと一緒に来るがよい」とドン・キホーテは言いました。「いつか島を手に入れたら、おまえをその島の総督にしてやろう」サンチョは、この話がすっかり気に入りました。そこである夜、おかみさんにも言わずに、小さなロバに乗って、ドン・キホーテと一緒に旅に出たのです。

まもなく二人は、広い平原に、風車が三十か四十立っているのを見つけました。「見よ、サンチョ!」とドン・キホーテは叫びました。「恐ろしい巨人どもがおるぞ! 一人残らず退治してくれよう」「巨人って、どこにです?」とサンチョはたずねました。「あそこにおる、長い腕をしたやつらだ」と主人は答えました。「旦那さま、あれは巨人じゃありませんよ」とサンチョは言いました。「風車です。腕みたいに見えるのは、羽根ですよ。風が吹くと回るんです」

「おまえは冒険のことを何も知らんようだな」とドン・キホーテは言いました。「怖いのなら、下がってお祈りでもしておれ」そして風車に向かって叫びました。「逃げるでないぞ、臆病者ども! 相手は、たった一人の騎士だ!」ちょうどそのとき、少し風が吹いてきて、大きな羽根が回り始めました。

ドン・キホーテは槍を前に構えて、最初の風車めがけて馬を走らせました。槍は羽根に突き刺さりました。ところが、風が羽根をものすごい力で回したので、槍はこなごなに折れてしまいました。馬も乗り手も、野原のずっと向こうまで、はね飛ばされてしまいました。

サンチョが助けに駆けつけました。「ああ、旦那さま! だから言ったじゃありませんか。ただの風車だったんですよ!」「黙れ、わが友サンチョ」と、ドン・キホーテは地面に倒れたまま言いました。「悪い魔法使いが、巨人どもを風車に変えてしまったのだ。わしの手柄を横取りしようとしたのだよ。だが最後には、やつのたくらみも、わしのよき剣にはかなうまい」

これは、数えきれない冒険の、ほんの始まりにすぎませんでした。あるとき、ドン・キホーテは、道の先に大きな砂ぼこりが二つ立っているのを見ました。「二つの大軍が、今まさに戦おうとしておるぞ!」とドン・キホーテは叫びました。本当は、二つの大きな羊の群れでした。ドン・キホーテはその真ん中に馬で乗りこんで、羊たちに襲いかかりました。怒った羊飼いたちが石を投げつけ、ドン・キホーテはとうとう馬から落ちてしまいました。また別のときには、床屋の真ちゅうの洗面器を、名高い黄金のかぶとだと思いこみ、得意そうに頭にかぶりました。

どこへ行っても、人々はドン・キホーテを笑いました。それでもサンチョは、そばを離れませんでした。サンチョは文句ばかり言っていましたし、おなかをすかせたり、くたびれたりするのもしょっちゅうでした。それでも、この風変わりな主人のことが、だんだん好きになっていったのです。ドン・キホーテは、騎士のこととなると愚かでしたが、ほかのことでは、賢くやさしい言葉を口にしました。そして、いつも弱い者を助けたいと願っていたのです。

とうとう、同じ村の若者が、騎士の格好をしてやって来ました。若者は「白月の騎士」と名のりました。そして浜辺でドン・キホーテと戦い、打ち負かしました。「家に帰って、一年間そこから出てはならぬ」と若者は言いました。ドン・キホーテは約束を守る騎士でしたから、肩を落として家に帰りました。

家に帰ると、ドン・キホーテは熱を出して寝こんでしまいました。長いあいだ眠り続け、目を覚ましたときには、頭がすっかりはっきりしていました。「みなさん」とこの人は言いました。「わしはドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャではありません。アロンソ・キハーノです。あのばかげた本は、みんなうそでした。今になって、それがよくわかりました」

サンチョはベッドのそばで泣きました。「死なないでください、旦那さま!」とサンチョは言いました。「起きて、また一緒に野原へ出かけましょう。そこでドゥルシネーア姫に会えるかもしれませんよ。馬から落ちたのは、わたしのせいだってことにしてください」アロンソは、忠実な友にほほえみかけました。「許しておくれ、サンチョ」とアロンソは言いました。「わしは、おまえまで、わしと同じ愚か者にしてしまった」

数日後、この善良な郷士は、友人たちに見守られながら、静かに息を引き取りました。人々は一生のあいだ、この人を笑い続けました。けれどもサンチョは、決して主人のことを忘れませんでした。勇敢で、やさしい人でした。そして心の中では、本物の騎士だったのです。

日本語訳:多読ベスト

押すと、この端末の読書記録(100万語メーター)に語数が加わります。

理解度チェック Quick Quiz

読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. What did Don Quixote think the windmills were?

Q2. What did Don Quixote promise Sancho?

Q3. What happened when Don Quixote woke up from his fever?

この読み物の使い方 3ステップ

  1. 聞きながら読む 音声に合わせて光る文を目で追う(聞き読み)。わからない語は飛ばしてOK。
  2. 音声なしで読む ⏱計測ボタンで読む速さ(WPM)を測ってみる。
  3. 耳だけで聞く 🎧聞くだけモードで、文字を見ずに内容がわかるか試す。🔁1文リピートで音読・シャドーイングも。

聞き読みの効果とやり方/多読三原則

次に読む

Level 3 の読み物をもっと見る →