The Stag in the Ox-Stall(牛小屋にかくれたシカ)の挿絵
Level 3 Pre-Intermediateイソップ物語

The Stag in the Ox-Stall

牛小屋にかくれたシカ

  • 📖 624 words
  • ⏱ 約6分
  • 🔊 3:18
  • YL 1.5–2.4
  • 英検準2級目安
  • 📝 全訳つき

あらすじ猟犬に追われたシカが、農場の牛小屋のわらの中にかくれます。牛たちは「ここは危ないよ」と言いますが……。

イソップ寓話(タウンゼンド英訳 1867年)をもとに再話

キーワード(8語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • stag雄ジカ
  • oxen雄牛(oxの複数形)
  • strawわら
  • herdsman牛飼い
  • cattle牛(全体)
  • racksえさ入れの棚
  • manager管理人
  • antlersシカの角
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Google Cloud TTS(Chirp 3 HD・アメリカ英語・Charon)

A young stag was running through the forest as fast as he could. Behind him he could hear the barking of hunting dogs, and it was getting closer and closer. His legs were tired, and his heart was full of fear. He did not think about where he was going. He only wanted to hide.

一頭の若い雄ジカが、全速力で森の中を走っていました。うしろから猟犬のほえ声が聞こえ、それがどんどん近づいてきます。脚は疲れ、心は恐怖でいっぱいでした。シカはどこへ向かっているかなど考えていませんでした。ただ隠れたい一心だったのです。

At the edge of the forest he saw a farm. Without stopping to think, he jumped over the fence and ran into a long, dark building where the oxen were kept. He pushed himself deep into a pile of straw in the corner. A few moments later, the dogs ran past the farm and disappeared into the hills.

森のはずれに、農場が見えました。シカは立ち止まって考えることもせずに、柵を飛び越え、雄牛たちが飼われている細長い暗い小屋の中へ駆けこみました。そして、隅にあるわらの山の奥深くにもぐりこみました。少しして、犬たちは農場のそばを走り過ぎ、丘のほうへ消えていきました。

The oxen looked at the stag with surprise. One old ox, who was lying nearby, shook his large head.

雄牛たちは驚いてシカを見ました。近くに寝そべっていた年老いた雄牛が、大きな頭を振りました。

"Poor creature," he said. "What have you done? You have run away from the dogs, but you have run straight into the house of your enemy. This farm belongs to a man, and men hunt deer like you. You are in more danger here than you were in the forest."

「かわいそうに」と、その雄牛は言いました。「なんということをしたんだ。おまえは犬からは逃げたが、まっすぐ敵の家に飛びこんでしまったんだよ。この農場は人間のもので、人間はおまえのようなシカを狩るんだ。森にいたときより、ここにいるほうがずっと危ないんだぞ」

"Please, let me stay," the stag whispered. "Only until it is dark. If you do not tell anyone, I will find a chance to escape tonight."

「お願いです、ここにいさせてください」と、シカはささやきました。「暗くなるまででいいんです。誰にも言わないでいてくれたら、今夜、逃げ出すすきを見つけますから」

The oxen looked at each other. They did not want to cause trouble, so they said nothing more.

雄牛たちは顔を見合わせました。もめごとは起こしたくなかったので、それ以上は何も言いませんでした。

In the evening, the herdsman came in to feed the cattle. He was singing a song and thinking about his supper. He threw some hay into the racks and left again without looking around. Then the farm manager walked through the building with several workers. They were talking about the weather and the price of wheat. Not one of them noticed the stag under the straw.

夕方になると、牛飼いが家畜にえさをやりに入ってきました。歌を歌いながら、晩ごはんのことを考えています。牛飼いは干し草を飼い葉おけに放りこむと、あたりを見回しもせずにまた出ていきました。続いて、農場の監督が何人かの作男を連れて小屋の中を通っていきました。みんなは天気や小麦の値段の話をしていました。わらの下のシカに気づいた者は、ひとりもいませんでした。

When they had all gone, the stag let out a long breath. "I am safe!" he said happily. "Thank you, my friends. You have been so kind to me. I will never forget this."

みんながいなくなると、シカは長い息を吐きました。「助かった!」と、シカはうれしそうに言いました。「ありがとう、みなさん。本当に親切にしてくれましたね。このご恩は決して忘れません」

But the old ox did not look happy. "We wish you well," he said, "but the danger is not over yet. There is one more person who has not come in. He is the master of this farm. The workers only see what they want to see, but the master sees everything. It is as if he has a hundred eyes. Until he has come and gone, you are still in danger."

けれども、年老いた雄牛はうれしそうな顔をしませんでした。「無事を祈ってはいるがね」と、雄牛は言いました。「危険はまだ去っていないよ。まだ入ってきていない人がひとりいるんだ。この農場の主人さ。作男たちは見たいものしか見ないが、主人は何でも見ている。まるで目が百もあるみたいにね。主人が来て、出ていくまでは、おまえはまだ危ないんだよ」

Just then the door opened, and the master himself walked in. He was a tall man with sharp eyes, and he did not look pleased.

ちょうどそのとき戸が開いて、主人その人が入ってきました。背の高い、鋭い目をした男で、機嫌が悪そうでした。

"Look at this!" he said angrily. "Why is there so little hay in the racks? My oxen have not been fed properly. And there is not enough straw for them to lie on. Those lazy workers have not even cleaned away the spider webs!"

「なんだ、これは!」と、主人は怒って言いました。「どうして飼い葉おけにこんなに干し草が少ないんだ? 牛たちにちゃんとえさをやっていないじゃないか。それに、寝わらも足りない。あの怠け者どもときたら、クモの巣さえ払っていないぞ!」

He walked slowly along the building. He checked every rack and every corner. He kicked the old straw and looked up at the roof. The stag lay as still as a stone and hardly dared to breathe.

主人は小屋の中をゆっくりと歩いていきました。飼い葉おけをひとつひとつ調べ、小屋の隅々まで見て回りました。古いわらをけとばし、屋根を見上げました。シカは石のようにじっとして、息をするのも怖いほどでした。

The master came closer and closer. Then he stopped. Something was sticking out of the straw in the corner. It looked like the branches of a small tree. But they were not branches. They were the tips of the stag's antlers.

主人はどんどん近づいてきました。そして立ち止まりました。隅のわらから何かが突き出ていたのです。それは小さな木の枝のように見えました。けれども、それは枝ではありませんでした。シカの角の先だったのです。

"What is this?" the master shouted. "Men, come here at once!"

「これは何だ?」と、主人は叫びました。「おい、みんな、すぐに来い!」

The workers came running. The stag jumped up and tried to run for the door, but it was too late. He was caught before he could reach it, and his short adventure on the farm came to an end.

作男たちが走ってきました。シカは飛び起きて戸口へ逃げようとしましたが、もう手遅れでした。戸口にたどり着く前に捕まってしまい、農場でのつかのまの冒険は終わりました。

Later that night, the old ox sighed in the darkness. "Many eyes can miss a thing," he said to the others, "but the eyes of the master miss nothing."

その夜遅く、年老いた雄牛は暗闇の中でため息をつきました。「目がたくさんあっても、見落とすことはある」と、雄牛はほかの牛たちに言いました。「だが、主人の目は何ひとつ見落とさないのだ」

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一頭の若い雄ジカが、全速力で森の中を走っていました。うしろから猟犬のほえ声が聞こえ、それがどんどん近づいてきます。脚は疲れ、心は恐怖でいっぱいでした。シカはどこへ向かっているかなど考えていませんでした。ただ隠れたい一心だったのです。

森のはずれに、農場が見えました。シカは立ち止まって考えることもせずに、柵を飛び越え、雄牛たちが飼われている細長い暗い小屋の中へ駆けこみました。そして、隅にあるわらの山の奥深くにもぐりこみました。少しして、犬たちは農場のそばを走り過ぎ、丘のほうへ消えていきました。

雄牛たちは驚いてシカを見ました。近くに寝そべっていた年老いた雄牛が、大きな頭を振りました。

「かわいそうに」と、その雄牛は言いました。「なんということをしたんだ。おまえは犬からは逃げたが、まっすぐ敵の家に飛びこんでしまったんだよ。この農場は人間のもので、人間はおまえのようなシカを狩るんだ。森にいたときより、ここにいるほうがずっと危ないんだぞ」

「お願いです、ここにいさせてください」と、シカはささやきました。「暗くなるまででいいんです。誰にも言わないでいてくれたら、今夜、逃げ出すすきを見つけますから」

雄牛たちは顔を見合わせました。もめごとは起こしたくなかったので、それ以上は何も言いませんでした。

夕方になると、牛飼いが家畜にえさをやりに入ってきました。歌を歌いながら、晩ごはんのことを考えています。牛飼いは干し草を飼い葉おけに放りこむと、あたりを見回しもせずにまた出ていきました。続いて、農場の監督が何人かの作男を連れて小屋の中を通っていきました。みんなは天気や小麦の値段の話をしていました。わらの下のシカに気づいた者は、ひとりもいませんでした。

みんながいなくなると、シカは長い息を吐きました。「助かった!」と、シカはうれしそうに言いました。「ありがとう、みなさん。本当に親切にしてくれましたね。このご恩は決して忘れません」

けれども、年老いた雄牛はうれしそうな顔をしませんでした。「無事を祈ってはいるがね」と、雄牛は言いました。「危険はまだ去っていないよ。まだ入ってきていない人がひとりいるんだ。この農場の主人さ。作男たちは見たいものしか見ないが、主人は何でも見ている。まるで目が百もあるみたいにね。主人が来て、出ていくまでは、おまえはまだ危ないんだよ」

ちょうどそのとき戸が開いて、主人その人が入ってきました。背の高い、鋭い目をした男で、機嫌が悪そうでした。

「なんだ、これは!」と、主人は怒って言いました。「どうして飼い葉おけにこんなに干し草が少ないんだ? 牛たちにちゃんとえさをやっていないじゃないか。それに、寝わらも足りない。あの怠け者どもときたら、クモの巣さえ払っていないぞ!」

主人は小屋の中をゆっくりと歩いていきました。飼い葉おけをひとつひとつ調べ、小屋の隅々まで見て回りました。古いわらをけとばし、屋根を見上げました。シカは石のようにじっとして、息をするのも怖いほどでした。

主人はどんどん近づいてきました。そして立ち止まりました。隅のわらから何かが突き出ていたのです。それは小さな木の枝のように見えました。けれども、それは枝ではありませんでした。シカの角の先だったのです。

「これは何だ?」と、主人は叫びました。「おい、みんな、すぐに来い!」

作男たちが走ってきました。シカは飛び起きて戸口へ逃げようとしましたが、もう手遅れでした。戸口にたどり着く前に捕まってしまい、農場でのつかのまの冒険は終わりました。

その夜遅く、年老いた雄牛は暗闇の中でため息をつきました。「目がたくさんあっても、見落とすことはある」と、雄牛はほかの牛たちに言いました。「だが、主人の目は何ひとつ見落とさないのだ」

日本語訳:多読ベスト

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このお話の教訓 Moral

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Nobody watches over things as carefully as the owner does.

持ち主の目ほど、よく行き届くものはない。

理解度チェック Quick Quiz

読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. Where did the stag hide?

Q2. Who did NOT notice the stag?

Q3. How did the master find the stag?

この読み物の使い方 3ステップ

  1. 聞きながら読む 音声に合わせて光る文を目で追う(聞き読み)。わからない語は飛ばしてOK。
  2. 音声なしで読む ⏱計測ボタンで読む速さ(WPM)を測ってみる。
  3. 耳だけで聞く 🎧聞くだけモードで、文字を見ずに内容がわかるか試す。🔁1文リピートで音読・シャドーイングも。

聞き読みの効果とやり方/多読三原則

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