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英語のマジか!?ウソ

テニスの0点「ラブ」は卵から? 辞書は「証拠なし」。tennis の名前は「受けてみろ!」から?

テニスの0点「ラブ」は卵から? 辞書は「証拠なし」。tennis の名前は「受けてみろ!」から?

読む前に予想してみよう!

テニスで0点を love と言うのは、フランス語で卵を意味する l'œuf がなまったものだと、辞書で確かめられている

研究カード(どんな研究?)
対象
英語の辞書の語源の説明と辞書編集部の解説記事
規模
英語の辞書4種
研究の種類
辞書の記述の比較
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

0点の love が「フランス語の卵」から来たという説は証拠なし。有力なのは「好きでやる(for love)」から来たという説。tennis の名前は、サーブのときのかけ声 tenez(受けてみろ)から来たらしい。

ひとことで言うとテニスの「ラブ」は卵じゃなかった。「好きでやってる」のラブらしい!

もくじ
  1. テニスの0点は love
  2. 有名な「卵説」は、証拠がなかった
  3. 有力なのは「好きでやってる」の love
  4. どんでん返し:「好きでやる」説も、決まりではない
  5. tennis の名前は「受けてみろ!」のかけ声から来たらしい
  6. racket は「手のひら」、deuce は「2」
  7. まとめ
  8. よくある質問

テニスで、ゲームの最初の1点をサーブ側が取ると、審判はこう言います。

Fifteen-love.(フィフティーン・ラブ)

0点のことを、テニスでは love(ラブ) と言います。なぜ「愛」が「0」なのか。よく聞くのが、「0 の形が卵に似ているから、フランス語の l'œuf(ルフ、卵)と呼ばれ、それが英語でなまって love になった」という説です。

ところが、アメリカの辞書メリアム・ウェブスターの編集部は、この説を「証拠のない俗説」とはっきり書いています。そのうえ、tennis という競技の名前そのものも、サーブする人のかけ声から来たらしいのです。

01テニスの0点は love

まず、辞書で love のテニスの意味を確かめておきましょう。

  • Oxford の学習辞典:(テニスで)0点(ポイントやゲームが0)。例 40–love! / She won the first set six–love.(彼女は第1セットを6対0で取った)
  • American Heritage Dictionary:(スポーツ)テニスなどの0点

試合の最初、0対0のときは love-all(ラブ・オール)と言います。メリアム・ウェブスターによると、テニスで love を0点の意味で使うようになったのは1800年代の後半から。ただし、なぜ love が0になったのかは、はっきり分かっていません。

02有名な「卵説」は、証拠がなかった

よく知られているのが、フランス語の「卵」説です。メリアム・ウェブスターの解説記事は、この説を次のように紹介しています。

  • テニスがイギリスからフランスに伝わったとき、フランス人は「卵」が数字の 0 に似ているので、0点を l'œuf(卵)と呼んだ
  • イギリスの選手がそれをうまく発音できず、love になった

もっともらしい話です。でも、記事はこれを folk etymology(民間語源) だと書いています。民間語源とは、それらしい由来話が後から作られて広まったもののことです。

「0=卵」のたとえは英語にはあります。けれども、フランス語の側に証拠がないのです。

03有力なのは「好きでやってる」の love

では、もっと有力な説は何でしょう。メリアム・ウェブスターによると、ずっと広く受け入れられているのは、to play for love(好きでやる)という言い回しから来たという説です。

0点の人は、勝つためやお金をかけてプレーしているのではなく、試合が好きだからプレーしている。だから0点でも続けられる。そんな考え方です。

英語の for love という言い方は、今も辞書に載っています。Oxford の学習辞典は、(just) for love を「お金やほかの見返りを受け取らずに」と説明しています。

  • They're all volunteers, working for the love of it.(みんなボランティアで、好きでやっている)

メリアム・ウェブスターは、amateur(アマチュア)も同じ考え方の言葉だと書いています。American Heritage Dictionary によると、amateur はラテン語の amātor(愛する人)から来た語で、もとをたどると amāre(愛する)です。お金のためでなく、好きでやる人。それがアマチュアです。

「0=love」はテニスより前、18世紀のトランプのゲームの本にすでに出てくる(メリアム・ウェブスターによる)
「0=love」はテニスより前、18世紀のトランプのゲームの本にすでに出てくる(メリアム・ウェブスターによる)

04どんでん返し:「好きでやる」説も、決まりではない

ここで話は終わりません。

メリアム・ウェブスターによると、ゲームの得点で love を使った記録は1700年代からあり、早い例はトランプのゲームです。たとえば1742年、イギリスのトランプのゲームの解説書を書いたエドモンド・ホイルは、ホイスト(whist)というゲームの説明で、相手が「6 or 7 Love」のとき、つまり相手が6点か7点で、こちらが0点のときの作戦を書いています。

テニスで love が使われるようになる、100年以上も前のことです。

この古い例について、メリアム・ウェブスターは次のように書いています。

  • テニスより前のトランプの例があるので、卵説はますます成り立たない
  • でも、だからといって「好きでやる」説が証明されたわけでもない
  • 分かるのは、love が「0」の意味で書かれはじめたのがいつごろか、ということだけ

つまり、卵説は否定されたけれど、正解もまだ決まっていません。辞書の言い方を借りれば、「いちばんありそうな説」が for love だ、というところまでです。

05tennis の名前は「受けてみろ!」のかけ声から来たらしい

love の次は、tennis という名前そのものです。3冊の辞書が、同じ方向の説明をしています。

サーブの前の「受けてみろ!」というかけ声が、競技の名前になったと考えられています。

ただし、Oxford の学習辞典と Dictionary.com は apparently(どうやら) と書いていて、American Heritage Dictionary はかけ声のことには触れていません。かけ声説は有力ですが、断定はされていません。

もう一つ大事なのは、このころの tennis が、今の芝やハードコートのテニスとは別物だったことです。Oxford の学習辞典は tenetz, tenes を real tennis(リアルテニス) と説明しています。リアルテニスは「建物の中で、かたいボールを使う古い形のテニス」。アメリカ英語では court tennis と言います。

06racket は「手のひら」、deuce は「2」

テニスの言葉には、ほかにも語源の話があります。

  • racket(ラケット):American Heritage Dictionary によると、古フランス語の rachette(手のひら、ラケット)から。さらにさかのぼると、アラビア語の rāḥa(手のひら)。Oxford の学習辞典も、イタリア語を通ってアラビア語の rāḥa「手のひら」から来たとしています
  • deuce(デュース):40対40の同点。American Heritage Dictionary と Oxford の学習辞典によると、古フランス語の deus「2」から。さらにさかのぼると、ラテン語の duo(2)です。サイコロやトランプの「2」も deuce と言います

デュースになると、そこから2点続けて取らないとゲームを取れません。ただ、deuce が「2」から来たことと、このルールとの関係は、今回調べた辞書には書かれていませんでした。

07まとめ

テニスの0点「love」は、フランス語の卵から来たという話が有名です。でも、メリアム・ウェブスターは「証拠なし」。いちばんありそうなのは「好きでやる(for love)」から来たという説ですが、これも決まりではありません。

そして tennis の名前は、サーブする人の「tenez(受けてみろ)」というかけ声だったらしい。次にテニスを見るときは、Fifteen-love のコールの中に、数百年分の言葉の歴史が詰まっていると思って聞いてみてください。

よくある質問

テニスで0点を「ラブ」と言うのはなぜですか?

はっきりとは分かっていません。メリアム・ウェブスターによると、いちばん広く受け入れられているのは、to play for love(好きでやる)から来たという説です。0点の人は勝つためではなく、試合が好きでプレーしている、という考え方です。

ラブの由来はフランス語の卵(l'œuf)ですか?

証拠のない俗説です。メリアム・ウェブスターは、フランス語で l'œuf を「0」の意味で使った証拠がないとして、この説を民間語源(後から作られて広まった由来話)としています。フランス語で0は zéro です。

テニスで love を0点の意味で使うのはいつからですか?

1800年代の後半からです(メリアム・ウェブスター)。ゲームの得点で love を使った記録はもっと古く、1742年にエドモンド・ホイルが、トランプのゲーム、ホイストの解説で「6 or 7 Love」と書いています。

「love-all」とはどういう意味ですか?

0対0のことです。テニスの試合の最初、両方が0点のときに言います。得点は love, fifteen, thirty, forty と数え、Thirty-love! は「30対0」という意味です。

tennis の語源は何ですか?

古フランス語の tenez(取れ、受けろ)から来たとされます。Oxford の学習辞典と Dictionary.com は、サーブする人が相手に言ったかけ声だったらしいと説明していますが、どちらも apparently(どうやら)と書いていて、断定はしていません。

英語で0点を卵にたとえる言い方はありますか?

あります。アメリカ英語の goose egg(ガチョウの卵)、イギリス英語の duck's egg(アヒルの卵)です。クリケットで打者の0点を言う duck も、duck's egg を短くした形です(Oxford の学習辞典)。

デュース(deuce)の語源は何ですか?

古フランス語の deus「2」です(American Heritage Dictionary・Oxford の学習辞典)。さかのぼるとラテン語の duo(2)。サイコロやトランプの「2」も deuce と言います。

ラケット(racket)の語源は何ですか?

古フランス語の rachette(手のひら、ラケット)で、さかのぼるとアラビア語の rāḥa(手のひら)です(American Heritage Dictionary)。Oxford の学習辞典も、イタリア語を通ってアラビア語の rāḥa から来たとしています。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerWhen a tennis player has no points, the umpire says "love." A popular story says the word comes from French. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

When a tennis player has no points, the umpire says "love." A popular story says the word comes from French. The French word for "egg" is "l'oeuf," and an egg looks like a zero, so English players are said to have turned "l'oeuf" into "love." Merriam-Webster calls this a folk etymology, a story made up later to explain a word.

There is no evidence that French speakers ever used "l'oeuf" to mean zero. A more widely accepted idea is that a player with zero points is still playing for love of the game. Even this has not been proven. The word "tennis" probably comes from "tenez," Old French for "take this," which the server seems to have called out before hitting the ball.

123 words ・ CEFR B1

和訳を見る

テニスの選手が0点のとき、審判は「love(ラブ)」と言う。よく知られた話では、この言葉はフランス語から来たという。フランス語で「卵」は「l'oeuf(ルフ)」で、卵は0のように見えるので、イギリスの選手が「l'oeuf」を「love」に変えてしまった、と言われている。メリアム・ウェブスターはこれを民間語源、つまり言葉を説明するために後から作られた話だとしている。

フランス語を話す人が「l'oeuf」を0の意味で使った証拠はない。より広く受け入れられているのは、0点の選手も試合が好きだからプレーを続けている、という考えだ。だが、これも証明されたわけではない。「tennis」という語は、おそらく古フランス語で「これを受けろ」を意味する「tenez」から来ていて、サーブする人がボールを打つ前にかけ声として言っていたらしい。

4択リーディングクイズ

Q1. What is a "folk etymology," according to the passage?

Q2. Why does Merriam-Webster reject the egg story?

Q3. What does the writer suggest about the "for love" idea?

重要単語

  • scoreA2
    名詞得点、スコアThe score was forty-love when it started to rain. テニスの得点は love, fifteen, thirty, forty と数える。動詞 score は「得点する」。
  • serveB1
    動詞(テニスなどで)サーブするIt's your turn to serve. サーブする人は server。料理を「出す」も同じ serve。
  • folk etymologyC1
    名詞民間語源(後から作られた、それらしい由来話)The egg story about "love" is a folk etymology. etymology は「語源」。folk は「民間の、ふつうの人々の」。
  • amateurB2
    名詞アマチュア、好きでやる人She plays tennis as an amateur, just for fun. ラテン語 amator(愛する人)から。反対は professional。
  • deuceC1
    名詞(テニスで)40対40の同点、デュースThe game went to deuce three times. 古フランス語 deus(2)から。サイコロやトランプの「2」も deuce。
  • racketB1
    名詞ラケットI left my racket on the bus. もとはアラビア語の「手のひら」。racquet とつづることもある。
  • theoryB1
    名詞説、理論There are several theories about where the word came from. a popular theory「よく知られた説」。発音は「シオリー」に近い。
テニスで0点を「ラブ」と言うのはフランス語の「卵(l'œuf)」から、という有名な説。米国の辞書メリアム・ウェブスターは「0の意味で使った証拠がない」と否定。tennis の名前も、サーブのかけ声 tenez(受けてみろ)から来たらしい。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. Merriam-Webster「Why 'Love' Means "Nothing" in Tennis」(Wordplay)merriam-webster.com
  2. Oxford Advanced Learner's Dictionary「love」「goose egg」「duck」(Oxford University Press)oxfordlearnersdictionaries.com
  3. Oxford Advanced Learner's Dictionary「tennis」「real tennis」(Oxford University Press)oxfordlearnersdictionaries.com
  4. The American Heritage Dictionary of the English Language, 5th ed.「tennis」「deuce」「racket」(HarperCollins, 2022)ahdictionary.com
  5. Dictionary.com「tennis」(Origin of tennis)dictionary.com

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