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英語のマジか!?ホント

エプロンは昔「ナプロン」。a napron を an apron と区切りなおして n が消えた

エプロンは昔「ナプロン」。a napron を an apron と区切りなおして n が消えた

読む前に予想してみよう!

apron(エプロン)は、昔は napron というつづりだった

研究カード(どんな研究?)
対象
中英語の文献に残るつづり
規模
1300年ごろ〜1500年ごろの用例
研究の種類
辞書の語源記述(文献にもとづく調査)
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

apron は昔 napron。a napron を an apron と区切りなおして n が消えた。adder・umpire も同じ。逆に n が増えた語もある。

ひとことで言うとエプロンは昔「ナプロン」。a と an の区切りまちがいで n が消えた!

もくじ
  1. エプロンの語源は? apron の元は「テーブルクロス」の仲間
  2. 犯人は「a」と「an」
  3. ヘビの adder、審判の umpire も同じ
  4. どんでん返し:n をもらった単語もある
  5. まとめ

料理のときにつける apron(エプロン)。600年以上前のイングランドでは、これを napron(ナプロン) と呼んでいました。

頭の n はどこへ行ったのでしょう?

じつは、前にある冠詞 a のほうへ引っ越しました。a napron(ア・ナプロン)が、いつのまにか an apron と区切りなおされたのです。英語には、こうして n が消えた単語や、逆に n が増えた単語がいくつもあります。

01エプロンの語源は? apron の元は「テーブルクロス」の仲間

まずは apron の家系図から。

アメリカの辞書『アメリカン・ヘリテージ英語辞典』(AHD)によると、apron のもとは古フランス語の naperon。これは nape(テーブルクロス) に「小さい」を表す語尾がついた形で、さらにさかのぼるとラテン語の mappa(ナプキン、布) に行き着きます。

つまり、apron は「小さな布」。親戚には、こんな単語がいます。

  • napkin(ナプキン):nape(テーブルクロス)+ -kin(小さいもの)(AHD)
  • map(地図):ラテン語の mappa(ナプキン、布)から。地図が布にかかれていたことによる、と AHD は説明しています

エプロンとナプキンと地図が、じつは同じ「布」から生まれた親戚なのです。いまのフランス語にも napperon という語が残っていて、家具の上に敷く敷物(テーブルマットなど)を指します(メリアム・ウェブスター)。フランス語のほうは、n がちゃんと残っているわけです。

02犯人は「a」と「an」

英語では、次の語が母音の音で始まると a が an になります。a book、an egg のように。

ここで、ふつうの速さで言ってみてください。

  • a name(名前)
  • an aim(目標)

どちらも「アネイム」と聞こえませんか。n が前の語のおしりにつくのか、後ろの語の頭につくのか、耳ではほとんど区別できないのです。

この2つは、メリアム・ウェブスターが挙げている例です。同辞書は、話し言葉ではこの区別がむずかしいため、英語では n で始まる語の「区切りまちがい」がいちばん多いと説明しています。a napron と an apron も、このパターンでした。

03ヘビの adder、審判の umpire も同じ

apron だけではありません。同じ仕組みで n を失った単語は、ほかにもあります。

adder(クサリヘビ)古英語では nǣdre、中英語では naddre。a naddre が an addre になりました(AHD)。メリアム・ウェブスターによると、オックスフォード英語辞典の記録では、1400年代半ばには n があるつづりとないつづりが両方使われ、1500年ごろからは n のない形が主流になりました。親戚の言葉には、古高ドイツ語の nātara や、ラテン語の natrix(水ヘビ)があり、こちらは n で始まります。

umpire(審判)もとは古フランス語の nonper。non(〜でない)+ per(等しい、同等の)でできた語です。AHD によると、争う二人のどちらとも同じ立場に立たず、どちらの味方もしない人、つまり公平に裁く人を指しました。AHD は、もし n が残っていたら、スポーツの観客の怒りのヤジ「Kill the ump!」は「Kill the nump!」だったかもしれない、と冗談めかして書いています。

auger(大工道具のきり)古英語の nafogār から。a nauger が an auger になりました(AHD)。

「a napron」の n が、となりの冠詞へ移って「an apron」に(AHD・メリアム・ウェブスター)
「a napron」の n が、となりの冠詞へ移って「an apron」に(AHD・メリアム・ウェブスター)

04どんでん返し:n をもらった単語もある

ここまで読むと、「英語では n は消えるもの」と思いたくなります。でも、じつは逆向きの変化も起きています。

nickname(あだ名)中英語では an eke name。eke は「追加」という意味で、「追加の名前」でした。これが a neke name と区切りなおされて、nickname になりました(AHD)。メリアム・ウェブスターも、nick という語に意味はなく、an ekename を区切りまちがえてできた語だと説明しています。

newt(イモリ)もとは an eute(AHD)。メリアム・ウェブスターは an ewt というつづりで説明しています。これが a newt になりました。古い形の流れをくむ eft という語は、いまも「陸で暮らす時期の、子どものイモリ」の意味で残っています(AHD)。

つまり、a と an の境目では、n はどちらの向きにも移ったのです。n が消えた語も、n が増えた語も、仕組みは同じ「区切りなおし」です。

もうひとつ。orange(オレンジ) も n を失った語だという説明があります。メリアム・ウェブスターは、もとのアラビア語 nāranj の n が、フランス語の冠詞 un・une とまぎれて消えたとし、スペイン語では naranja と n が残っていることを挙げています。ただ AHD の語源欄では、n はアラビア語から古イタリア語の arancio になった段階ですでに消えていて、フランス語の冠詞の話は出てきません(AHD が挙げるフランスの町 Orange の影響は、a が o に変わったことの説明です)。辞書によって説明がちがうので、どの語でも同じように言い切れるわけではないのです。

05まとめ

apron は昔の napron。a napron と an apron が同じに聞こえたせいで、n が冠詞のほうへ移りました。adder・umpire・auger も同じ道をたどり、反対に nickname と newt は n をもらいました。

日本語の「エプロン」も、英語の apron から来た言葉です。もし n が残っていたら、私たちは今ごろ「ナプロン」をつけて料理していたかもしれません。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerBefore you start cooking, you might put on an apron. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Before you start cooking, you might put on an apron. Six hundred years ago, you might have put on "a napron." The word came from French "naperon," a small cloth, and it is related to "napkin." At normal speed, "a napron" and "an apron" were hard to tell apart.

Many speakers began to hear the n as the end of "an," and over time the n moved from the noun to the article. Other words went the same way. The snake called an adder was once a nadder, and an umpire was once a noumpere.

But the n did not always disappear. "Nickname" comes from "an ekename," meaning "an extra name," so this word actually gained an n.

118 words ・ CEFR B1

和訳を見る

料理を始める前に、エプロンをつけるかもしれない。600年前なら、「a napron」をつけていたかもしれない。この語はフランス語の「naperon(小さな布)」から来ていて、「napkin」と親戚だ。ふつうの速さで話すと、「a napron」と「an apron」は聞き分けにくかった。

多くの話し手が n を「an」の終わりとして聞くようになり、時がたつにつれて n は名詞から冠詞へと移った。ほかの語も同じ道をたどった。adder と呼ばれるヘビは昔は nadder で、umpire(審判)は昔は noumpere だった。

しかし n がいつも消えたわけではない。「nickname」は「追加の名前」を意味する「an ekename」から来ているので、この語は実際には n を得たのだ。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the main idea of the passage?

Q2. Which word was once "noumpere"?

Q3. Why does the writer say "nickname" is different from "apron"?

重要単語

  • apronA2
    名詞エプロン、前掛け;(空港の)エプロンPut on an apron before you start cooking. 発音は「エイプロン」。昔は napron。空港で飛行機が止まる場所も apron。
  • adderC1
    名詞クサリヘビ(ヨーロッパの毒ヘビ)We saw an adder lying in the sun on a rock. 古英語の nǣdre から。a nadder が an adder になった。
  • umpireB2
    名詞(野球・テニスなどの)審判The umpire called the runner out. 古フランス語 nonper(non+per=等しくない)から。per は peer(仲間)・pair(対)と同じ「等しい」。
  • nicknameB1
    名詞あだ名、愛称His nickname at school was "Professor." an ekename(追加の名前)が a neke name になった。nick 自体に意味はない。
  • articleB1
    名詞(文法の)冠詞;記事"A" and "an" are indefinite articles. indefinite article=不定冠詞(a / an)、definite article=定冠詞(the)。
  • napkinA2
    名詞(食卓用の)ナプキンShe wiped her mouth with a paper napkin. 古フランス語 nape(テーブルクロス)+ -kin(小さいもの)。apron の親戚。
  • borderB1
    名詞境界、境目;国境The n moved across the border between the two words. on the border「境目に」。国と国の境にも、語と語の境にも使える。

4コマでわかる

エプロンは昔「ナプロン」。a napron を an apron と区切りなおして n が消えたの4コマ漫画
apron(エプロン)は昔 napron。a napron を an apron と区切りなおして、n が冠詞へ移った。ヘビの adder、審判の umpire も同じ。逆に nickname は、an ekename の冠詞から n をもらった語。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. The American Heritage Dictionary of the English Language, 5th ed.「umpire」(Word History)ahdictionary.com
  2. The American Heritage Dictionary of the English Language, 5th ed.「apron」ahdictionary.com
  3. Merriam-Webster「apron」(Etymology)merriam-webster.com
  4. Merriam-Webster「9 Words Formed by Mistakes」merriam-webster.com
  5. Dictionary.com(Random House Unabridged)「apron」dictionary.com

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