pineapple は元は「松ぼっくり」の名前だった。果物の意味になったのは1600年代

読む前に予想してみよう!
英語の pineapple は、もともと松ぼっくり(松かさ)を指す言葉だった
中英語の pinappel は「松かさ」の意味。パイナップルを指す例は、メリアム・ウェブスターでは1624年が最初。見た目が松かさに似ていたため。
- 対象
- 英語・スペイン語・日本語の辞書の語源欄
- 規模
- 1350〜1400年ごろ以降の記録
- 研究の種類
- 辞書の語源・初出の記述(文献にもとづく調査)
- 確かさ
- ★★★★☆
中英語(中世の英語)の pinappel は「松ぼっくり」のこと。見た目が似ていて1600年代に果物の名前になり、松ぼっくりは pine cone と呼ばれるようになった。
ひとことで言うとpineapple は、もともと松ぼっくりの名前だったんだって!
もくじ
pineapple を分解すると、pine(松)+ apple(りんご)。「松のりんご」?
でも、パイナップルは松の木にはなりません。りんごの仲間でもありません。
じつは pineapple の語源をたどると、もともとは松ぼっくり(松かさ)の呼び名でした。南国の果物は、あとから松ぼっくりの名前を借りた側なのです。
01パイナップルの語源は? 1300年代の pinappel は「松ぼっくり」
アメリカの辞書『アメリカン・ヘリテージ英語辞典』(AHD)によると、pineapple のもとは中英語(中世の英語)の pinappel。意味は pine cone(松かさ) でした。つくりは pine(松)+ appel(りんご)です。
パイナップルは熱帯アメリカ原産の植物です(AHD)。英語を話す人たちは、この見なれない果物に、形のよく似た松ぼっくりの名前をあてたわけです。
たしかに、パイナップルの皮は小さなこぶがびっしり並んでいて、松ぼっくりのうろこにそっくりです。
02名前を取られた松ぼっくりは pine cone に
では、果物が pineapple になったあと、本物の松ぼっくりは何と呼ばれたのでしょう。
答えは pine cone(pinecone とも書く)。cone は「円すい形のもの」です。この語の最初の記録は、Dictionary.com では1685〜95年ごろ、メリアム・ウェブスターでは1724年です。
年代を並べてみましょう。
- 1350〜1400年ごろ:pinappel = 松かさ
- 1600年代:pineapple = 果物のパイナップル
- 1600年代末〜1700年代:pine cone = 松かさ
辞書は「名前を取られたから新しい名前ができた」とまでは書いていません。それでも、名前が果物に“引っ越し”したあとに、松ぼっくりの新しい名前が記録されるという順番になっています。
いまの辞書を引くと、pineapple の意味は「パイナップル(植物・果物)」と、俗語の「手りゅう弾(hand grenade)」だけ。AHD やメリアム・ウェブスターの意味の欄に、松ぼっくりはもう出てきません。
03なぜ apple? 昔の apple は「くだもの全般」
もうひとつのナゾは、なぜ「りんご」なのか。
古英語(1000年ほど前の英語)の辞書『ボズワース&トラー古英語辞典』を見ると、æppel(apple のご先祖)の意味は「りんご」と並んで fruit generally(くだもの全般) と書かれています。
つまり pinappel は、「松になる“実”」くらいの意味だったと考えられます。
この「apple = くだもの・丸いもの」のなごりは、いまの英語にも残っています。
- pomegranate(ザクロ):古フランス語の pome(りんご)+ grenate(種がたくさんある)。「種だらけのりんご」です(AHD)
- Adam's apple(のどぼとけ):もとをたどるとフランス語の pomme d'Adam(アダムのりんご)を訳したもの(AHD)
- the apple of someone's eye(目に入れても痛くないほど大切な人):His youngest daughter was the apple of his eye.(末の娘は彼の自慢の宝物だった)。ケンブリッジ英語辞典では「古風」の注記つき

04スペイン語でも piña は「松かさ」で「パイナップル」
同じ発想は英語だけではありません。
スペイン王立アカデミーの辞書(RAE)で piña を引くと、1番目の意味は「松などの木の実(松かさ)」、2番目の意味が「パイナップル」です。スペイン語では、いまでも同じ一語で両方を指せるのです。
いっぽう、スペイン語にはパイナップルを表す ananás という語もあります。RAE によると、ポルトガル語の ananás から入った語で、もとは南米の先住民の言葉グアラニー語の naná です。ドイツ語の Ananas も同じ流れだと、ドイツの辞書ドゥーデンは書いています。
日本語の「パイナップル」は英語から来た言葉です。『日本国語大辞典』によると、パイナップルは1845年(弘化2年)にオランダ人が日本に伝えました。この辞書が挙げる日本語の最も古い例は、1860年の『航米日録』の「パイナープル」です。
しかも日本語の辞書にも、「パイナップル爆弾」の略という意味が載っています。英語でも日本語でも、パイナップルは手りゅう弾のあだ名になっているのです。
05どんでん返し:似ているのは「らせん」だけ
ここで、ひとつ注意があります。名前は同じでも、パイナップルと松ぼっくりは、植物としてはまったく別物です。
- 松ぼっくり:AHD によると、針葉樹などがつくる、種のもとをのせたうろこが、軸のまわりにらせん状に重なったもの。果物ではありません
- パイナップル:『日本国語大辞典』によると、150ほどの小さな花が集まってでき、表面の六角形のこぶの一つひとつが一個の実にあたります(集合果)
ただ、どちらも「小さな部品がらせん状にびっしり並ぶ」という点は同じです。『日本国語大辞典』も、パイナップルの花の集まりを「松毬(まつかさ)状」、こぶの並び方を「螺旋(らせん)状」と説明しています。昔の人がこの果物に松ぼっくりの名前をあてたのも、無理はなかったのかもしれません。
もうひとつ。「パイナップルの意味は1624年から」「pine cone は1724年から」といった年は、辞書によって少しずつちがいます。初出の年は、もっと古い文献が見つかると書きかえられます。「1600年代」「1700年前後」くらいの幅で覚えておくのが安全です。
06まとめ
pineapple は、もともと松ぼっくりの名前でした。1600年代、見た目がよく似た南国の果物がその名前を受けつぎ、松ぼっくりは pine cone と呼ばれるようになりました。
apple が「くだもの全般」を指した時代のなごりは、ザクロやのどぼとけの名前にも残っています。次にパイナップルを食べるときは、皮のらせん模様をながめて、「元祖 pineapple」の松ぼっくりを思い出してみてください。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerCut the word "pineapple" in half and you get "pine" and "apple." But the fruit does not grow on pine trees,…
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原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
Do pineapples grow on pine trees? No, and they are not a kind of apple either. But the name makes sense when you know its history. More than 600 years ago, the English word "pinappel" meant a pine cone.
In the 1600s, people started to use the name for a sweet tropical fruit, because it looks like a big pine cone. Later, people began to call the cone a "pine cone." Long ago, "apple" could mean almost any fruit.
79 words ・ CEFR A2
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パイナップルは松の木になるのでしょうか?いいえ。それに、りんごの仲間でもありません。でも、その歴史を知ると名前の意味が分かります。600年以上前、英語の「pinappel」という言葉は松ぼっくりを意味していました。
1600年代に、人々はこの名前を甘い熱帯の果物に使い始めました。大きな松ぼっくりのように見えるからです。のちに、人々は松ぼっくりを「pine cone」と呼ぶようになりました。昔は「apple」が、ほとんどどんな果物も意味することができました。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
pineapple という名前の歴史(昔は松ぼっくりの意味だった)を説明しているので B。
Q2. What did "pinappel" mean more than 600 years ago?
the English word "pinappel" meant a pine cone とあるので C。
Q3. In the passage, what does "tropical" mean?
tropical は「熱帯の」。a sweet tropical fruit は暑い地域の甘い果物のことなので A。
Cut the word "pineapple" in half and you get "pine" and "apple." But the fruit does not grow on pine trees, and it is not related to apples.
So where does the name come from? In Middle English, "pinappel" was the word for a pine cone, and records of this use go back to the late 1300s. The fruit comes from tropical America.
Its rough skin, covered in small bumps, looks a lot like a giant pine cone, and in the 1600s "pineapple" became the name of the fruit. The cone itself came to be called a "pine cone," a name first recorded around 1700. And why "apple"? In Old English, the word for apple could also mean fruit in general.
121 words ・ CEFR B1
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「pineapple」という語を半分に切ると「pine」と「apple」になる。しかし、この果物は松の木にはならないし、りんごの仲間でもない。
では、この名前はどこから来たのだろうか。中英語では「pinappel」は松かさを表す語で、この使い方の記録は1300年代後半にさかのぼる。この果物は熱帯アメリカが原産だ。
小さなこぶにおおわれたごつごつした皮は巨大な松かさによく似ていて、1600年代に「pineapple」はこの果物の名前になった。松かさのほうは「pine cone」と呼ばれるようになり、この名前は1700年ごろに初めて記録されている。では、なぜ「apple」なのか。古英語では、りんごを表す語が果物全般を意味することもあった。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the main point of the passage?
"pinappel" was the word for a pine cone から始まり、名前が果物に移った話なので B。
Q2. When was the name "pine cone" first recorded?
a name first recorded around 1700 とあるので C。1300年代後半は pinappel(松かさ)の記録。
Q3. Why did people probably give the fruit the name "pineapple"?
Its rough skin ... looks a lot like a giant pine cone とあるので、見た目が似ていたからだと分かる。C。
The word "pineapple" did not start out as the name of a fruit. In Middle English, "pinappel" meant the cone of a pine tree, a sense recorded from the late 1300s. When English speakers came across a tropical American fruit with a rough, bumpy skin, they gave it the old name, and in the 1600s the word came to mean the fruit.
Merriam-Webster's earliest record for the plant is from 1624, while Dictionary.com dates the fruit sense to between 1655 and 1665, so the exact year depends on which records a dictionary has. The cone itself later came to be called a "pine cone," a phrase first recorded around 1700. The "apple" part is less strange than it looks. In Old English, the word could mean almost any fruit, and a blackberry was a "bramble-apple."
Spanish did something similar: "piña" still means both a pine cone and a pineapple. In botany, the two have little in common. A pine cone is a set of overlapping scales that hold a conifer's seeds, while a pineapple grows from about 150 small flowers that join into one fruit. What they share is a spiral pattern on the surface.
195 words ・ CEFR B2
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「pineapple」という語は、果物の名前として始まったわけではない。中英語では「pinappel」は松の木の球果(松かさ)を意味し、この意味は1300年代後半から記録されている。英語を話す人たちが、ごつごつとこぶのある皮をした熱帯アメリカの果物に出会ったとき、彼らはその古い名前を与え、1600年代にこの語はその果物を意味するようになった。
メリアム・ウェブスターでは植物を指す最も古い記録が1624年、Dictionary.com では果物の意味が1655年から1665年のあいだとなっているので、正確な年はその辞書がどんな記録を持っているかによって変わる。松かさのほうはのちに「pine cone」と呼ばれるようになり、この語句は1700年ごろに初めて記録されている。「apple」の部分も、見た目ほど奇妙ではない。古英語では、この語はほとんどどんな果物も意味することができ、ブラックベリーは「いばらのりんご」だった。スペイン語でも似たことが起きた。
「piña」はいまでも松かさとパイナップルの両方を意味する。植物学では、この二つに共通点はほとんどない。松かさは針葉樹の種をのせた、重なり合ったうろこの集まりであるのに対し、パイナップルは約150の小さな花が合わさって一つの果実になったものだ。両者に共通しているのは、表面のらせん模様である。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
pinappel(松かさ)の名前が果物に移った経緯を中心に説明しているので B。
Q2. According to the passage, why do the dictionaries give different dates?
the exact year depends on which records a dictionary has とあるので C。
Q3. What can be inferred about the word "bramble-apple"?
the word could mean almost any fruit, and a blackberry was a "bramble-apple" とあるので、apple の意味が昔は今より広かったと推測できる。A。
重要単語
- pine coneB1名詞松かさ、松ぼっくりMy little brother collects pine cones in the park.
pinecone と1語でも書く。cone は「円すい形のもの」で、ice cream cone の cone と同じ。 - tropicalB1形容詞熱帯のMangoes and pineapples are tropical fruits.
the tropics(熱帯地方)の形容詞。tropical rainforest「熱帯雨林」は入試の長文でもよく出る。 - resembleB2動詞〜に似ているThe fruit resembles a large pine cone.
resemble to 〜 とはしない(他動詞)。進行形にもしない。look like とほぼ同じ意味。 - pomegranateC1名詞ザクロA pomegranate is full of tiny red seeds.
古フランス語の pome(りんご)+ grenate(種の多い)から。「種だらけのりんご」。 - originB1名詞起源、由来The origin of this word surprised me.
形容詞は original(最初の、独創的な)。word origin で「語源」。 - recordA2名詞・動詞記録;記録するThe word was first recorded in the 1600s.
名詞は前、動詞は後ろを強く読む(RE-cord / re-CORD)。first recorded「最初に記録された」は語源の説明の決まった言い方。 - the apple of someone's eyeC1熟語目に入れても痛くないほど大切な人Their only grandson is the apple of their eye.
やや古風な言い方。古英語でも目のひとみを æppel と呼んだ。
公式・一次情報をチェック
- pine cone(Merriam-Webster)merriam-webster.com
- パイナップル(精選版 日本国語大辞典/コトバンク)kotobank.jp
- Ananas(Duden)duden.de
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pineapple は「松のりんご」…ではなく、もとは松ぼっくりの名前。中英語の pinappel は松かさのことで、果物の意味が記録されるのは1600年代から。松ぼっくりはその後 pine cone に。
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出典・参考文献(5件)タップで表示
- The American Heritage Dictionary of the English Language, 5th ed.「pineapple」ahdictionary.com
- Merriam-Webster「pineapple」(Etymology / First Known Use)merriam-webster.com
- Dictionary.com(Random House Unabridged)「pineapple」dictionary.com
- Bosworth & Toller, An Anglo-Saxon Dictionary Online(カレル大学)「æppel」bosworthtoller.com
- Real Academia Española, Diccionario de la lengua española「piña」dle.rae.es
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。
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