アバターは「神さまが地上に降りること」、カーキは「ほこり色」。インドから来た英単語

読む前に予想してみよう!
ゲームやSNSの「アバター(avatar)」は、もともとインドの宗教で神が姿を変えて地上に現れることを指す言葉だった
サンスクリット語の avatāra(神が天から降りること)から。英語では18世紀後半から記録がある。
- 対象
- 英語の辞書の語源欄
- 規模
- 17〜20世紀に英語に入った語
- 研究の種類
- 歴史言語学(辞書の語源記述)
- 確かさ
- ★★★★☆
SNSのアバターは、サンスクリット語で「神が天から降りること」。カーキは「ほこりっぽい」。飲み物のパンチは数字の「5」から。英語にはインドから入った言葉が多い。
ひとことで言うとゲームの「アバター」は、もとはインドの神さまが地上に降りてくることだった!
もくじ
ゲームやSNSで使う自分の分身、「アバター」。英語の avatar です。
この言葉、もとはインドの古い言葉サンスクリット語で、「神が天から地上に降りてくること」という意味でした。ヒンドゥー教の神さまが、人や動物の姿になってこの世に現れる。それがアバターです。
画面の向こうの世界に「自分の姿で降りていく」と考えると、ぴったりの名前かもしれません。英語には、こんなふうにインドの言葉から来た単語がたくさんあります。
01アバターは「神さまが降りてくること」
アメリカの辞書『アメリカン・ヘリテージ英語辞典(AHD)』で avatar を引くと、意味の1番目は「ヒンドゥー教の神、特にヴィシュヌ神が、人や動物の姿で現れたもの(化身)」。ゲームやネットで自分を表す画像の意味は、4番目に出てきます。
英語に入って240年ほど。神さまの化身を表していた言葉が、今ではSNSのプロフィール画像の名前になりました。
02カーキは「ほこり色」、バンダナは「しぼり染め」
服や布の言葉にも、インドから来たものが多くあります。
- khaki(カーキ):ウルドゥー語(パキスタンやインドで話される言葉)の khākī「ほこりっぽい」から。さらにもとはペルシャ語の khāk「ほこり」(AHD)。英語では1855〜1860年ごろから(Dictionary.com)。オックスフォード学習辞典はウルドゥー語の意味を「ほこり色の」と書いています。カーキ色は、そのまま訳せば「ほこり色」なのです
- bandanna(バンダナ):ヒンディー語の bāndhnū「しぼり染め」から。もとの動詞は bāndhnā「しばる」。ポルトガル語を通って英語に入ったらしい(AHD)
- dungarees(ダンガリー):ヒンディー語の duṅgrī から(AHD・オックスフォード学習辞典)。Dictionary.com によると、もとは「目の粗い布の一種」。今のイギリス英語で dungarees(複数形)といえば、オーバーオールのことです(オックスフォード学習辞典)
ちなみに、寝るときに着る pajamas(パジャマ)も、ヒンディー語・ウルドゥー語の「ゆったりしたズボン」から来た言葉です(AHD)。

03飲み物のパンチは数字の「5」から
パーティーで出てくる、果物のジュースなどを混ぜた飲み物「パンチ」。英語では punch です。
オックスフォード学習辞典によると、この punch はサンスクリット語の pañca「5、5種類の」から来たらしい言葉です。理由は「材料が5つだったから」。英語では17世紀半ばから使われています。
ところが AHD は、少し違う説明をしています。もとはヒンディー語の pañc-「5」ですが、たぶん pañcāmṛt という言葉の中の「5」だろう、というのです。pañcāmṛt はヒンドゥー教の儀式で使う、牛乳・ヨーグルト・ギー(バターを煮つめた油)・砂糖・はちみつの5つを混ぜたものです。
「5」から来たという点は、2つの辞書で同じ。でも、なぜ「5」なのかの説明は違うのです。
なお、げんこつで殴る「パンチ」は、まったく別の単語です。AHD では、こちらは古いフランス語から来た言葉として、飲み物とは別の見出しになっています。
04チーターは「まだらの体」、カタマランは「しばった丸太」
動物や乗り物、家具にも、インドの言葉が隠れています。
- cheetah(チーター):ヒンディー語の cītā から。AHD によると、もとはサンスクリット語の citrakāyaḥ(トラ、ヒョウ)で、分けると citra-(まだらの)+ kāyaḥ(体)。オックスフォード学習辞典は「たぶんサンスクリット語の citraka(ヒョウ)から」と、少し慎重に書いています
- catamaran(カタマラン、船体が2つ並んだ双胴船):南インドのタミル語 kaṭṭumaram から。意味は「しばった木」(オックスフォード学習辞典)。AHD には今も「丸太をしばって作ったいかだ」という意味が載っています
- cot(コット):ヒンディー語の khāṭ「寝台」から。17世紀半ば、インドにいたイギリス人の言葉として使われはじめた(オックスフォード学習辞典)。キャンプで使う折りたたみベッドの「コット」です
- cushy(楽な):ヒンディー語・ウルドゥー語の khuš「よい」から(AHD)。a cushy job で「楽な仕事」
インドには、ヒンディー語だけでなく、タミル語やウルドゥー語など、たくさんの言葉があります。英語はそのいろいろな言葉から、少しずつ単語を受け取ってきました。
05イギリス兵は、故郷を「外国」と呼んだ
イギリス英語には Blighty(ブライティ) という言葉があります。オックスフォード学習辞典によると、意味は「イギリス(本国)」。特に第一次・第二次世界大戦の兵士たちが使い、今もときどき、おどけた言い方で使われます。
その語源は、ウルドゥー語の bilāyatī / wilāyatī「外国の、ヨーロッパの」。最初にこの言葉を使ったのは、インドの軍隊にいた兵士たちでした(オックスフォード学習辞典)。
インドの人から見れば、イギリスは「外国」。その言葉を、イギリス兵たちが「ふるさと」の呼び名として使うようになったわけです。なお Dictionary.com は、もとのヒンディー語 bilāyatī を「その国(つまりイギリス)」と説明していて、辞書によって訳し方が少し違います。
06どんでん返し:juggernaut の「恐ろしい話」は大げさだった
最後は juggernaut(ジャガーノート)。今の英語では「止められない巨大な力」という意味です。
もとはヒンディー語の Jagannāth。サンスクリット語で「世界の主」という意味で、ヒンドゥー教の神クリシュナの呼び名です(AHD)。
AHD の解説によると、インドのオディシャ州の町プリーでは、何百年も前から毎年、このクリシュナをたたえる祭りが行われてきました。クリシュナと、そのきょうだい2人の像は、高さ約45フィート(約14メートル)、車輪がたくさんついた塔のような3台の山車に乗せられ、何千人もの信者が綱で引きます。見物する巡礼者は100万人を超えます。その綱にふれてご利益を得ようと人が押し寄せ、人ごみに押しつぶされたり、車輪の下に倒れこんだりした人もいました。
ところが、植民地時代のインドにいた初期の西洋人は、この死者の数を大幅に大げさに伝えました。その刺激的な報告がもとになって、juggernaut は「犠牲者をひきつぶしながら進む、止められない力」という意味の英語になった、と AHD は書いています。Dictionary.com によると、英語での記録は、祭りの山車の神像の意味が1630〜1640年ごろ、「止められない力」の意味が1840〜1845年ごろからです。
英語の「恐ろしい意味」は、外から見た誇張がつくったものだったのです。
07まとめ
アバターは「神さまが降りてくること」、カーキは「ほこり色」、パンチは「5」、そして Blighty は「外国」。インドの言葉は、意味を少しずつ変えながら、英語の毎日の中に入りこんでいます。
次にアイコンを変えるときは、思い出してみてください。あなたのアバターも、画面の世界に「降りてきた」分身なのです。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerWhen you pick an avatar for a game, you are using a word from Sanskrit.
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4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
Do you have an avatar in a game or on social media? The word "avatar" comes from Sanskrit, an old language of India. There, it meant a god coming down from the sky to the earth.
Many other English words also came from India. "Khaki" first meant "dusty." The drink "punch" may come from the word for "five." English took in these words between the 1600s and the 1800s.
69 words ・ CEFR A2
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あなたはゲームやSNSでアバターを持っていますか?「avatar」という単語は、インドの古い言語であるサンスクリット語から来ています。そこでは、神が空から地上に降りてくることを意味していました。
ほかにも多くの英単語がインドから来ました。「khaki」は最初「ほこりっぽい」という意味でした。飲み物の「punch」は、「5」を表す言葉から来ているのかもしれません。英語がこれらの単語を取り入れたのは、1600年代から1800年代にかけてです。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
avatar・khaki・punch など、インドから来た英単語の話なので B。
Q2. What did "avatar" mean in Sanskrit?
it meant a god coming down from the sky to the earth とあるので C。
Q3. In the passage, what does "dusty" mean?
dusty は dust(ほこり)+-y で「ほこりっぽい、ほこりをかぶった」。A。
When you pick an avatar for a game, you are using a word from Sanskrit. It meant the descent of a god from heaven, and in English it first described a Hindu god, such as Vishnu, taking a human or animal form. The computer meaning came much later. English borrowed many other words from the languages of India.
"Khaki" came from an Urdu word meaning "dusty," and "bandanna" from a Hindi word for tie-dyeing. The party drink "punch" seems to come from the word for "five." One dictionary says the first punch had five ingredients, but another links it to a five-part mixture used in Hindu ceremonies.
107 words ・ CEFR B1
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ゲームのアバターを選ぶとき、あなたはサンスクリット語から来た単語を使っている。それは神が天から降りることを意味し、英語では最初、ヴィシュヌ神のようなヒンドゥー教の神が人や動物の姿をとることを表していた。コンピューターの意味はずっと後になって生まれた。英語はインドの言語から、ほかにも多くの単語を取り入れた。
「khaki」は「ほこりっぽい」を意味するウルドゥー語から、「bandanna」はしぼり染めを表すヒンディー語から来た。パーティーの飲み物の「punch」は、「5」を表す言葉から来たらしい。ある辞書は最初のパンチには材料が5つあったと言うが、別の辞書はヒンドゥー教の儀式で使う5つを混ぜたものと結びつけている。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the main idea of the passage?
avatar をはじめ、インドの言語から英語に入った単語を紹介しているので A。
Q2. Where did the word "bandanna" come from?
"bandanna" from a Hindi word for tie-dyeing とあるので C。
Q3. What does the passage suggest about the word "punch"?
どちらの辞書も「5」から来たとしているが、材料が5つ・儀式の5つの混ぜ物と理由が違う。B。
The word "juggernaut" now means a huge force that nothing can stop, but its story began at a religious festival. In the Indian city of Puri, devotees of Krishna, worshiped there as Jagannath, "Lord of the World," pull his image and those of his brother and half-sister through the streets on three towering chariots, each about 45 feet high.
Some people have been crushed in the crowds or have fallen under the wheels. According to the American Heritage Dictionary, early Western visitors greatly exaggerated the number of deaths, and their dramatic reports gave English its sense of a force that rolls over its victims. Other borrowings from India changed in quieter ways. "Avatar" meant the descent of a god from heaven before it became a profile picture.
"Khaki" meant "dusty." "Blighty," the old soldiers' name for Britain, came from an Urdu word meaning "foreign" or "European." Dictionaries do not always agree on the details. Another one says the Hindi source of "Blighty" simply meant "the country," that is, Britain. As for the drink "punch," two dictionaries both trace it to "five" but give different reasons.
185 words ・ CEFR B2
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「juggernaut」という単語は、今では何物にも止められない巨大な力を意味するが、その物語は宗教の祭りから始まった。インドの町プリーでは、「世界の主」を意味するジャガンナートとしてまつられるクリシュナの信者たちが、クリシュナとその兄弟と異母妹の像を、それぞれ高さ約45フィートのそびえ立つ3台の山車に乗せて通りを引いていく。
人ごみで押しつぶされたり、車輪の下に倒れたりした人もいた。アメリカン・ヘリテージ英語辞典によると、初期の西洋からの訪問者は死者の数を大きく誇張し、その劇的な報告が、英語に「犠牲者をひきつぶして進む力」という意味をもたらした。インドから入ったほかの言葉は、もっと静かに変化した。「avatar」はプロフィール画像になる前、神が天から降りることを意味していた。
「khaki」は「ほこりっぽい」という意味だった。兵士たちがイギリスを呼んだ昔の呼び名「Blighty」は、「外国の」「ヨーロッパの」を意味するウルドゥー語から来た。辞書の細かい説明はいつも一致するわけではない。別の辞書は、「Blighty」のもとになったヒンディー語は単に「その国」、つまりイギリスを意味したと言っている。飲み物の「punch」については、2つの辞書はどちらも「5」にさかのぼらせているが、挙げる理由は別々だ。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
誇張された報告から意味ができた juggernaut を中心に、インド由来の英単語の意味の成り立ちを説明しているので B。
Q2. According to the passage, what did early Western visitors do?
early Western visitors greatly exaggerated the number of deaths とあるので C。
Q3. What can be inferred about the English meaning of "juggernaut"?
西洋人の誇張した劇的な報告が英語の意味をつくったとあるので、祭りそのものより外からの描き方を反映していると推測できる。A。
重要単語
- avatarB2名詞(ゲームやSNSの)分身の画像;(ヒンドゥー教の)神の化身I changed my avatar to a picture of my cat.
サンスクリット語 avatāra(神が天から降りること)から。発音は「アヴァター」、強勢は最初。 - khakiB2名詞・形容詞カーキ色(の)、カーキ色の布He was wearing khaki shorts.
ウルドゥー語 khākī(ほこりっぽい)から。アメリカ英語の khakis は「カーキ色の綿のズボン」。 - ingredientB1名詞(料理の)材料This drink has only five ingredients.
飲み物の punch は「材料が5つだったから」という説がある。比喩で「(成功の)要素」の意味にも使う。 - borrowA2動詞借りる;(他の言語から語を)取り入れるEnglish has borrowed many words from Hindi.
他の言語から入った語は loanword(借用語)。borrow from ~ の形で使う。 - exaggerateB1動詞大げさに言う、誇張するThe newspapers exaggerated the number of deaths.
つづりは g が2つ。juggernaut の怖い意味は、西洋人の誇張した報告から生まれた。 - cushyC1形容詞(仕事などが)楽なHe has a cushy job at his uncle's company.
ヒンディー語・ウルドゥー語の khuš(よい)から。くだけた言い方で、a cushy job の形でよく使う。 - devoteeC1名詞信者;熱心な愛好者Thousands of devotees pulled the ropes.
devote(ささげる)+-ee。a devotee of jazz「ジャズの大ファン」のようにも使う。
公式・一次情報をチェック
- avatar(Oxford Learner's Dictionaries)oxfordlearnersdictionaries.com
- juggernaut(Dictionary.com)dictionary.com
- catamaran(Oxford Learner's Dictionaries)oxfordlearnersdictionaries.com
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SNSの「アバター」は、サンスクリット語で「神が天から降りること」。カーキは「ほこりっぽい」、飲み物のパンチは数字の「5」から。イギリス兵が故郷を呼んだ Blighty は、インドの言葉で「外国の」。どれもインドから英語に入った言葉。
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出典・参考文献(5件)タップで表示
- The American Heritage Dictionary of the English Language, 5th ed.「avatar」ahdictionary.com
- The American Heritage Dictionary「juggernaut」(Word History)ahdictionary.com
- Oxford Learner's Dictionaries「punch」(Word Origin)oxfordlearnersdictionaries.com
- Oxford Learner's Dictionaries「Blighty」(Word Origin)oxfordlearnersdictionaries.com
- The American Heritage Dictionary「khaki」「punch」「cheetah」ahdictionary.com
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。
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