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英語のマジか!?ホント

girl は昔「男の子」にも使えた。中英語では男女どちらの子どもも girl

girl は昔「男の子」にも使えた。中英語では男女どちらの子どもも girl

読む前に予想してみよう!

英語の girl は、生まれたときからずっと「女の子」だけを指す言葉だった

研究カード(どんな研究?)
対象
中英語の文献
規模
辞書の語源欄と用例
研究の種類
歴史言語学(辞書・文献にもとづく)
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

中英語の girl は男女を問わず「子ども、若者」の意味だった。チョーサーも若者たちを girles と呼んだ。boy はもと「男の召使い」。語源はともに不明。

ひとことで言うとgirl は昔、男の子も女の子もふくめた「子ども」という意味だったんだ!

もくじ
  1. girl の本来の意味は? 中英語では「子ども」
  2. チョーサーの「若い girles」
  3. boy は「男の召使い」だった
  4. 子どもと召使いの言葉は、意味が動きやすい
  5. 語源はいまも「不明」
  6. どんでん返し:「girl=男の子」ではない
  7. まとめ

girl と boy。英語を習いはじめて、すぐに覚える単語ですね。girl は女の子、boy は男の子。

ところが、昔の英語の girl は、男の子にも使える言葉でした。イギリスの Oxford Learner's Dictionaries の語源欄には、中英語(およそ1500年ごろまでの英語)の girl は「男女どちらの子どもや若者も指した」と書かれています。

では boy は? こちらは、もともと「男の召使い」の意味でした。毎日のように使う2つの単語には、意外な過去があったのです。

01girl の本来の意味は? 中英語では「子ども」

アメリカの Dictionary.com(ランダムハウス辞典)によると、girl が記録に現れるのは1250〜1300年ごろ。つづりは gurle、girle、gerle などいろいろで、意味は「子ども、若者」でした。

Oxford Learner's Dictionaries はさらにはっきり、中英語の girl は「男女どちらの子どもや若者」も指した、と説明しています。いまの英語で言えば、girl はもともと child や young person に近い言葉だったわけです。

02チョーサーの「若い girles」

その使い方は、14世紀の終わりごろの文学にも見られます。

イギリスの詩人チョーサーの『カンタベリー物語』(1385年ごろ〜1400年ごろ。未完)は、巡礼の旅に出た人たちが順番に物語を語る作品です。最初の「総序の歌」では、旅の仲間が一人ずつ紹介されます。その中の一人が、教会の裁判所に人を呼び出す役人、召喚吏(サモナー)です。赤ら顔で、ニンニクと強いワインが大好きという、あまり感じのよくない人物として描かれています。

その召喚吏について、チョーサーはこう書いています。

「The yonge girles of the diocise」(664行目)

ハーバード大学のチョーサー・サイトの現代英語訳では、この行は The young people of the diocese(その教区の若者たち)。diocese は、司教が受け持つ地域のことです。召喚吏は教区の若者たちを思いのままにしていた、という場面です。ここでの girles は、女の子だけではなく、若者たち全体を指していると読まれているのです。

チョーサーの『カンタベリー物語』では、教区の若者たちが girles と呼ばれている
チョーサーの『カンタベリー物語』では、教区の若者たちが girles と呼ばれている

03boy は「男の召使い」だった

では、相方の boy はどうでしょう。

Oxford Learner's Dictionaries によると、boy は中英語では「男の召使い」の意味。アメリカの辞書『アメリカン・ヘリテージ英語辞典(AHD)』も、中英語の boi の意味として「男の召使い、身分の低い男、若い男」をあげています。

その名残は、いまの辞書にも残っています。AHD の boy の項目には、「男の召使い・使用人」という意味が「人を不快にさせる言い方(Offensive)」というラベルつきで載っています。girl にも同じように「女の召使い・使用人」という意味があり、こちらもOffensive です。

04子どもと召使いの言葉は、意味が動きやすい

girl と boy のほかにも、「子ども」と「召使い」のあいだで意味が動いた単語があります。どちらも AHD で確かめられます。

  • knave:古英語の cnafa は「男の子、男の召使い」。それがいまは「ずるいやつ、悪党」。トランプの J(ジャック)の別名でもある
  • wench:中英語の wenchel(子ども)を短くした形で、古英語では wencel。いまは古い言い方で「若い女性、女の子」や「女の召使い」

wench は「子ども」から「女の子」へ。girl と同じように、男女の区別のない「子ども」が、女の子だけを指す言葉に変わった例です。

05語源はいまも「不明」

では、girl はどこから来た言葉なのでしょうか。じつは、よくわかっていません。

  • AHD:中英語の girle(子ども、女の子)から。語源は不明
  • Oxford Learner's Dictionaries:低地ドイツ語の gör(子ども)と関係がある「かもしれない」
  • Dictionary.com:古英語の gyrela(衣服)との関係をあげている。若い人が着ていた服の名前が、それを着ている人そのものを指すようになったのでは、という考え方

boy も同じです。Oxford Learner's Dictionaries は boy を「語源不明」としています。AHD は、古フランス語で「足かせをはめられた人」を意味する語から来た「可能性がある」と書いていますが、断定はしていません。英語でいちばん基本的な「男の子」「女の子」の単語が、どちらもはっきりした出どころがわからないのです。

06どんでん返し:「girl=男の子」ではない

タイトルでは「男の子にも使えた」と書きましたが、昔の girl が「男の子」という意味だったわけではありません。正しくは、男の子も女の子もひっくるめた「子ども、若者」です。

また、girl がいつ「女の子」だけを指すようになったのかは、今回確かめた辞書(Oxford Learner's Dictionaries、AHD、Dictionary.com)には書かれていませんでした。中英語の用例を年代順に集めた大きな辞書(ミシガン大学の『中英語辞典』など)までは今回確かめていないので、「何年ごろに変わった」とは書かないでおきます。

チョーサーの girles を「若者たち」と読むのも、今回はハーバード大学のサイトの現代英語訳にしたがったものです。辞書の「男女どちらの子どもも指した」という説明とは合いますが、この一行だけで男の子が含まれていたと証明できるわけではありません。

07まとめ

girl は、中英語では男女を問わない「子ども、若者」の言葉でした。チョーサーも教区の若者たちを girles と呼んでいます。boy はもとは「男の召使い」。そして、どちらの語源もはっきりしません。

いちばん最初に習う単語ほど、じつは謎が深い。次に girls and boys と言うときは、700年ほど前の girl には男の子も入っていたことを思い出してみてください。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerEnglish learners meet "girl" and "boy" on the first day of class, but both words have surprising pasts. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

English learners meet "girl" and "boy" on the first day of class, but both words have surprising pasts. In Middle English, "girl" meant a child or young person of either sex. It first shows up in records from around 1250 to 1300, with spellings like "gurle" and "gerle."

In The Canterbury Tales, written between about 1385 and 1400, Geoffrey Chaucer describes a church officer who controlled "the yonge girles" of his area. A modern English version on Harvard University's Chaucer website gives this as "the young people."

Later, the word narrowed to mean a female child. Nobody is sure where "girl" came from. "Boy" has a story of its own. In Middle English, it was a word for a male servant.

121 words ・ CEFR B1

和訳を見る

英語学習者は授業の初日に「girl」と「boy」に出会うが、どちらの語にも意外な過去がある。中英語では、「girl」は男女どちらの子どもや若者も意味した。この語は1250年から1300年ごろの記録に初めて現れ、「gurle」や「gerle」のようなつづりがあった。

1385年ごろから1400年ごろに書かれた『カンタベリー物語』の中で、ジェフリー・チョーサーは、自分の地域の「yonge girles」を思いのままにしていた教会の役人を描いている。ハーバード大学のチョーサー・サイトにある現代英語訳は、これを「the young people(若者たち)」としている。

のちに、この語の意味は女の子へとせばまった。「girl」がどこから来たのかは、だれにもはっきりわからない。「boy」にも独自の歴史がある。中英語では、男の召使いを表す語だったのだ。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the main idea of the passage?

Q2. How does the Harvard website translate "the yonge girles"?

Q3. What can we infer from the passage?

重要単語

  • eitherB1
    形容詞(二つのうち)どちらの~でもYou can sit on either side of the table. of either sex で「男女どちらの」。either A or B(AかBのどちらか)も入試頻出
  • servantB1
    名詞召使いThe rich family had five servants. serve(仕える)+-ant(~する人)。civil servant は「公務員」
  • originB1
    名詞起源、由来Nobody knows the origin of the word "girl." 形容詞 original(もとの、独創的な)。of unknown origin で「起源不明の」
  • pilgrimB2
    名詞巡礼者The pilgrims told stories on their way to Canterbury. pilgrimage(巡礼の旅)とセットで覚える
  • offensiveB2
    形容詞失礼な、人を不快にさせるSome old words sound offensive today. 動詞 offend(感情を害する)。名詞では「攻撃」の意味もある
  • youngsterB2
    名詞子ども、若者The youngsters in the village helped with the harvest. 男女どちらにも使える。中英語の girl に近い意味
girl は昔「女の子」だけの言葉ではなかった。オックスフォードの学習辞典によると、中英語の girl は男女どちらの子どもや若者も指した。チョーサーも教区の若者を girles と呼んだ。boy はもと「男の召使い」。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. Oxford Learner's Dictionaries「girl」(Word Origin)oxfordlearnersdictionaries.com
  2. Dictionary.com(Random House Unabridged Dictionary)「girl」(Origin)dictionary.com
  3. The American Heritage Dictionary of the English Language, 5th ed.「girl」ahdictionary.com
  4. Chaucer, The Canterbury Tales, General Prologue(原文と現代英語訳), Harvard's Geoffrey Chaucer Website(ハーバード大学)chaucer.fas.harvard.edu
  5. Oxford Learner's Dictionaries「boy」(Word Origin)oxfordlearnersdictionaries.com

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