カプチーノとオマキザルの英語名は、同じ「修道士のあだ名」から生まれた

読む前に予想してみよう!
カプチーノという名前は、白い泡がフードのように見えることから付いた
辞書が説明しているのは「色」。コーヒーの色がカプチン会の修道服の色に似ていると見られたことから。フードの形に似ているから名前をもらったのは、サルのほうだった。
- 対象
- 英語・イタリア語・ドイツ語の辞書の語源記述
- 規模
- 1590年代〜1950年ごろの初出
- 研究の種類
- 語源調査(辞書)
- 確かさ
- ★★★★☆
カプチーノも、サルの capuchin(オマキザル)も、もとはとがったフードの服を着た、カプチン会というキリスト教の修道会の修道士のこと。サルは頭の毛がフードに見えたから、コーヒーは色が修道服に似ていたから。アカペラやチャペルも、同じ「マント」という言葉から生まれた親戚。
ひとことで言うとカプチーノと、オマキザルの英語名 capuchin は、どっちも「修道士さん」のあだ名から生まれた名前なんだって!
もくじ
カフェで頼むカプチーノ。動物園や動物番組で見かける、小さくてかしこいサルのオマキザル。
この2つの英語名は、もとをたどると同じ言葉です。カプチーノは cappuccino、オマキザルは capuchin(カプチン)monkey。どちらも、もとはとがったフードのついた服を着た「カプチン会の修道士」のことでした。
しかも、英語に入ったのはサルのほうが先。コーヒーより150年ほど“先輩”です。
01「カプチーノ」は、もともと修道士のあだ名
話は16世紀のイタリアにさかのぼります。
アメリカの辞書『American Heritage Dictionary(AHD)』の語源コラムによると、1525年以降にイタリアで生まれたキリスト教の修道会(カプチン会)の修道士は、イタリア語のくだけた呼び名で cappuccino(カップッチーノ) と呼ばれました。
理由は、服についていた長くとがったフード。イタリア語でフードは cappuccio(カップッチョ)。そこに「小さい・〜のもの」を表す語尾 -ino がついて cappuccino。つまり「とんがりフードの人たち」くらいの、あだ名のような名前です。
02サルは「頭の毛がフードに見えた」から
多くのオマキザルは、頭のてっぺんに黒っぽい毛が帽子のように生えています。
AHD は、サルの capuchin を「フードのような黒い毛のふさがある」サルの名前として説明しています。Dictionary.com も「頭の毛がフード(cowl)に似ている」サル、と書いています。日本の『改訂新版 世界大百科事典』(平凡社)にも、英名は頭の毛がカプチン会の修道士のずきんにそっくりだから、とあります。
では、日本語の「オマキザル」は? 漢字で書くと尾巻猿。百科事典の説明では、しっぽの先を巻いていることや、体を支えられるほど器用なしっぽから来た名前です。
英語は「頭」を見て修道士を思い出し、日本語は「しっぽ」を見て名前をつけた。 同じサルでも、目をつけた場所が正反対です。ちなみに日本語には「カツラザル」という別名もあります(日本大百科全書)。

03コーヒーは「色が修道服に似ていた」から
では、コーヒーのほうは? 白いミルクの泡が、フードに見えたから……ではありません。
AHD によると、イタリア語の cappuccino は、のちに「スチームミルクを加えたエスプレッソ」という意味も持つようになりました。理由は、コーヒーの色が、カプチン会の修道服の色に似ていたから。Dictionary.com も、飲み物の色が修道服の色に「似ていると思われた」ことから、と説明しています。
つまり、
- サル=フードの形が似ている
- コーヒー=修道服の色が似ている
同じ修道士から、別々の理由で名前をもらった“いとこ”どうしなのです。
ドイツ語にも同じ仲間がいます。ドイツの辞書 DWDS によると、ドイツ語でフードは Kapuze(カプーツェ)。15世紀の終わりにイタリア語の cappuccio から借りた言葉です。カプチン会の修道士はドイツ語で Kapuziner(カプツィーナー)。そしてオーストリアでは、この Kapuziner が「ミルクを少し入れたコーヒー」の意味でも使われています。
04親戚は「アカペラ」と「チャペル」
フードの話には続きがあります。カプチーノの大もとのラテン語 cappa(フードつきのマント) からは、英語の身近な単語がいくつも生まれています。AHD で確かめると、
- cap(キャップ、ぼうし):古英語の cæppe から。もとは後期ラテン語の cappa
- cape(ケープ、肩にかけるマント):スペイン語の capa を経て
- chapel(チャペル、礼拝堂):中世ラテン語の capella(cappa に「小さい」の語尾がついた形)から。聖マルティヌスのマントを納めた祠(ほこら)から、という説が書かれている
- chaplain(チャプレン、施設つきの聖職者):capella から
- a cappella(アカペラ):イタリア語で「礼拝堂のやり方で」。楽器なしで声だけで歌うこと
カプチーノとアカペラは、同じ「マント」から生まれた親戚。喫茶店で流れるアカペラのBGMを聞きながらカプチーノを飲むと、ちょっとした“親戚の集まり”になります。
05どんでん返し:「似ている」は、昔の人にそう見えたという話
ここまで「色が似ていたから」と書いてきましたが、Dictionary.com の説明は fancied resemblance。「似ていると思われた」という言い方です。今のカフェのカプチーノと修道服を並べて、色見本のように一致するという意味ではありません。
だれが最初にコーヒーをこう呼んだのか、どこの店だったのかは、今回確かめた辞書には書かれていませんでした。オーストリアの Kapuziner とイタリアの cappuccino のどちらの呼び名が先だったのかも、辞書の記述だけでは分かりません。
チャペルの「聖マルティヌスのマント」も、AHD では perhaps(おそらく) つきの説明です。語源の本には、こうした「たぶん」がたくさんあります。
06まとめ
カプチーノとオマキザルは、16世紀イタリアの「とんがりフードの修道士」から名前をもらった“いとこ”でした。サルはフードの形、コーヒーは修道服の色。そして同じマントの cappa からは、cap、cape、chapel、a cappella まで生まれています。
次にカプチーノを頼むときは、カップの中にフードをかぶった修道士と、頭に黒い毛をのせた小さなサルを思い浮かべてみてください。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerOrder a cappuccino in a café, and you are using the nickname of a group of Italian friars.
音声
4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
A cappuccino is coffee with hot milk. A capuchin is a small, clever monkey from Central and South America. Their names come from the same Italian word. In Italy, people called a group of friars "cappuccino" because of the long, pointed hood on their robes.
The monkey has dark hair on top of its head, and it looks like a hood. The coffee got its name because its color looked like the color of the friars' robes.
77 words ・ CEFR A2
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カプチーノは、温かいミルクの入ったコーヒーです。capuchin(オマキザル)は、中南米にすむ小さくてかしこいサルです。2つの名前は、同じイタリア語から来ています。イタリアでは、ある修道士たちのグループが、服についた長くとがったフードのせいで「カップッチーノ」と呼ばれていました。
サルは頭のてっぺんに黒っぽい毛があり、それがフードのように見えます。コーヒーは、その色が修道士の服の色に似ていたので、この名前になりました。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
Their names come from the same Italian word とあり、コーヒーとサルの名前の由来の話なので B。
Q2. Why did people call the friars "cappuccino"?
because of the long, pointed hood on their robes とあるので C。
Q3. In this passage, what is a "hood"?
サルの頭の毛が hood に見える、修道服についている、という文脈から、頭をおおう服の一部(フード)なので A。
Order a cappuccino in a café, and you are using the nickname of a group of Italian friars. The Capuchin order started in Italy after 1525. Its members wore robes with a long, pointed hood, called a cappuccio in Italian, so each friar got the nickname cappuccino. English took the word as Capuchin.
By the late 1700s, it was also the name of a monkey from Central and South America with a patch of dark hair on its head that looks like a hood. The coffee came much later. Italians began to call espresso with steamed milk a cappuccino because its color reminded them of the friars' robes, and the word reached English around 1950. So the monkey had the name about 150 years before the drink did.
128 words ・ CEFR B1
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カフェでカプチーノを注文するとき、あなたはイタリアの修道士たちのあだ名を使っている。カプチン会は1525年以降にイタリアで始まった。会の修道士は、イタリア語でカップッチョと呼ばれる長くとがったフードのついた服を着ていたので、修道士はカップッチーノというあだ名で呼ばれた。英語はこの語を Capuchin として取り入れた。
1700年代の終わりまでには、頭にフードのように見える黒っぽい毛のある中南米のサルの名前にもなっていた。コーヒーはずっと後の話だ。イタリアの人々は、スチームミルクを入れたエスプレッソの色が修道士の服を思わせたので、それをカプチーノと呼ぶようになり、この語は1950年ごろに英語に入った。つまり、サルは飲み物より150年ほど前にこの名前を持っていたのだ。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the main point of the passage?
コーヒーもサルも、カプチン会の修道士のあだ名から名前をもらった話なので B。
Q2. When did the word "cappuccino" for the drink reach English?
the word reached English around 1950 とあるので C。1700年代の終わりはサルの名前。
Q3. What can we learn about the monkey and the drink?
サルは hair ... that looks like a hood、コーヒーは its color reminded them of the friars' robes なので C。
The Latin word cappa, a cloak with a hood, has given English more everyday words than most people would guess. In Italian it led to cappuccio, "hood," and then to cappuccino, a nickname for the Capuchin friars, an order founded after 1525 whose robes had a long, pointed hood. English borrowed the word for the friars in the 1590s.
In the late 1700s it was applied to a monkey of Central and South America, because the dark hair on its head looks like a hood. The coffee is a twentieth-century addition. Dictionaries say Italians named it after the color of the friars' robes, and Dictionary.com is careful to call this a "fancied" resemblance.
None of the dictionaries checked for this article say who first used the name, or in which café. Cappa also produced cap and cape, and through Medieval Latin capella it gave English chapel. The American Heritage Dictionary links that word, with a "perhaps," to a shrine that held the cloak of St. Martin. From capella, Italian made a cappella, "in the style of the chapel," which now means singing with no instruments.
185 words ・ CEFR B2
和訳を見る
フードつきのマントを指すラテン語 cappa は、たいていの人が思うより多くの日常語を英語にもたらしている。イタリア語ではそれが cappuccio(フード)になり、さらに cappuccino になった。これは、1525年以降に創設され、長くとがったフードのついた服を着ていたカプチン会の修道士のあだ名だ。
英語は1590年代に修道士を指すこの語を借りた。1700年代の終わりには、頭の黒っぽい毛がフードのように見えることから、中南米のサルの名前にも使われた。コーヒーは20世紀に加わったものだ。辞書によれば、イタリア人は修道士の服の色にちなんでそう名づけたが、Dictionary.com はこれを慎重に「似ていると思われた」ものと呼んでいる。
この記事で調べた辞書には、だれが最初にその名前を使ったのか、どのカフェだったのかは書かれていない。cappa からは cap や cape も生まれ、中世ラテン語の capella を通して英語の chapel も生まれた。アメリカン・ヘリテージ辞典は、この語を「おそらく」と断ったうえで、聖マルティヌスのマントを納めた祠と結びつけている。capella からイタリア語は a cappella(礼拝堂のやり方で)を作り、今では楽器なしで歌うことを意味する。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
第1文の cappa ... has given English more everyday words が主題で、cappuccino・capuchin・cap・cape・chapel・a cappella と続くので B。
Q2. According to the passage, what do the dictionaries NOT tell us?
None of the dictionaries ... say who first used the name, or in which café とあるので C。
Q3. Why does the writer mention the word "perhaps"?
辞書が with a "perhaps" と断っている、と書くことで、chapel と聖マルティヌスのマントの結びつきが確実ではないと示しているので A。
重要単語
- friarC1名詞修道士(托鉢修道会の)The friar wore a long robe with a hood.
フランス語 frère(兄弟)と同じ語源。monk とほぼ同じ意味で使われるが、町に出て説教する修道会の人を指すことが多い。 - hoodA2名詞(服の)フード、ずきんPut your hood up. It's starting to rain.
put up / pull up one's hood「フードをかぶる」。アメリカ英語では車のボンネットも hood。 - habitB1名詞修道服;習慣A monk's habit is usually long and plain.
「習慣」の意味がおなじみだが、修道士・修道女の服も habit。もとは「身につけているもの・ありさま」の意味。 - resembleB2動詞〜に似ているThe color of the coffee resembles the color of the robe.
他動詞なので resemble to としない。名詞は resemblance(類似)。入試頻出。 - a cappellaB2副詞・形容詞(楽器の伴奏なしで)声だけでThe choir sang the song a cappella.
イタリア語で「礼拝堂のやり方で」。つづりは p も l も2つ。chapel と同じ語源。 - borrowA2動詞借りる;(ほかの言語から語を)取り入れるEnglish borrowed the word "cappuccino" from Italian.
言語の話では「借用する」。借りてきた語は loanword(借用語)。 - cloakB2名詞マント、外套She wrapped her cloak around her shoulders.
袖のない、肩からはおる外套。cape もほぼ同じ意味。
公式・一次情報をチェック
- capuchin(American Heritage Dictionary)ahdictionary.com
- capuche(American Heritage Dictionary)ahdictionary.com
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カフェのカプチーノと、動物園のオマキザル(英語で capuchin)。実は同じ言葉。どちらも、とがったフードの服を着た「カプチン会の修道士」のこと。サルは頭の毛がフードに見えたから、コーヒーは色が修道服に似ていたから。しかも英語に入ったのは、サルのほうが150年ほど先。
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出典・参考文献(5件)タップで表示
- American Heritage Dictionary, 5th ed.「cappuccino」(Word History)ahdictionary.com
- American Heritage Dictionary, 5th ed.「chapel」「a cappella」「cape」「cap」ahdictionary.com
- Dictionary.com「cappuccino」「capuchin」(Origin)dictionary.com
- DWDS(ベルリン・ブランデンブルク科学アカデミー)「Kapuziner」「Kapuze」dwds.de
- 改訂新版 世界大百科事典・日本大百科全書ほか「オマキザル」(コトバンク掲載)kotobank.jp
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。
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