ゴルフの「バーディー」の語源は「最高!」という俗語。「ボギー」はお化けの呼び名から来たらしい

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ゴルフのボギー(bogey)は、もともと「お化け・悪魔」を指す言葉だった
オックスフォードの学習辞典によると、ゴルフの bogey は19世紀後半、悪魔を指す Bogey を「想像上の対戦相手」に見立てたものらしい。
- 対象
- ゴルフ用語の語源
- 規模
- 英語の辞書2種・スペイン語の辞書+USGA・ゴルフクラブ・米連邦刑務所局の資料
- 研究の種類
- 歴史言語学(文献調査)
- 確かさ
- ★★★☆☆
birdie は「最高のもの」を表したアメリカの俗語 bird から。1899年のゴルフ場の一言が始まりとされる。bogey は、お化け・悪魔の呼び名から来たらしい。
ひとことで言うとバーディーの「バード」は、昔のアメリカのことばで「最高!」だった!
もくじ
ゴルフで1打少なく上がると「バーディー」。birdie は英語で「小鳥ちゃん」です。なぜ鳥なのでしょう。
答えは、19世紀アメリカの俗語。当時 bird は「最高のもの、すごいもの」という意味でも使われていました。
USGA(全米ゴルフ協会)によると、始まりは1899年、アトランティックシティのゴルフ場での一言。「今のは bird な一打だ(すげえショットだ)!」。そして1打多い「ボギー」の bogey は、お化け・悪魔の呼び名から来たらしいのです。
011899年、カップから15センチ以内に止まった一打
USGA が2019年に公開した記事は、USGA ゴルフ博物館が根拠にしている H・B・マーチンの本『アメリカのゴルフ50年』(1936年)を引いて、こう説明しています。
オックスフォードの学習辞典も、birdie は bird に「小さい・かわいい」を表す -ie がついた形で、ゴルフの意味は「すばらしいものを指すアメリカの俗語 bird から」と説明しています。字面だけなら、バーディーは「最高ちゃん」とでも訳せる言葉です。
02イーグル、アルバトロスは「鳥つながり」
USGA は、2打少ない eagle(イーグル=ワシ)、3打少ない albatross(アルバトロス=アホウドリ)も、birdie にならってつけた呼び名だとしています。小鳥、ワシ、アホウドリと、スコアがよくなるほど大きな鳥の名前になっています。
この albatross の語源も、たどると遠くまで行きます。オックスフォードの学習辞典と AHD(『American Heritage Dictionary』)によると、albatross は16世紀の alcatras という語が、ラテン語の albus(白い)につられて形を変えたもの。alcatras はペリカンなどの海鳥を指した言葉で、スペイン語・ポルトガル語の alcatraz から、さらにアラビア語の 「潜るもの」 にさかのぼります。ただし、スペインの王立アカデミーの辞書は alcatraz のもとを別のアラビア語としていて、ここは説が分かれます。
alcatraz と聞いて、サンフランシスコ湾の監獄島「アルカトラズ」を思い出した人もいるでしょう。米連邦刑務所局によると、島の名前は1775年にスペインの探検家フアン・マヌエル・デ・アヤラの一行が名づけた Alcatraces から来ています。意味ははっきりしないものの、ふつうは「ペリカン」または「奇妙な鳥」と説明されるそうです。アルバトロスとアルカトラズは、海鳥を表す同じ言葉の親せきなのです。

03ボギーの正体は「お化け」
では、1打多い bogey(ボギー) は?
英語の bogey には、ゴルフの意味のほかに「お化け、悪い霊」という意味があります。オックスフォードの学習辞典では、子どもをこわがらせる「おばけ」の bogeyman(ボギーマン) と同じ意味とされています。
オックスフォードの学習辞典によると、ゴルフの bogey は19世紀後半から。悪魔を指す呼び名の Bogey を、「想像上の対戦相手」に見立てたものらしい、と説明しています。悪魔を表す Bogey 自体の語源は、同じ辞書で「不明」とされています。
しかも、この bogey はもとは「1打多い」ではありませんでした。AHD には今の「パーより1打多いスコア」と並んで、主にイギリスでの意味として「上手な人ならこの打数で回れる、という打数」が載っています。今の par(基準打数)とよく似た意味です。
04「ボギー大佐」が生まれた日
イギリス南部ゴスポートのゴルフクラブは、自分たちのクラブの歴史として、この言葉の誕生を次のように伝えています(あくまでクラブ自身の言い伝えです)。
- 1890年、コベントリーのゴルフクラブのロザラムが、ホールごとに「腕のいい人が必要とする打数」を決めて、それと勝負する「グラウンドスコア」を考えた
- 1892年、グレート・ヤーマスのゴルフクラブの幹事がゴスポートのクラブでプレーし、「ボギーマン」と戦うという考えがさらに練られた。この呼び名は、当時はやった歌から来たと考えられている
- このクラブは陸海軍の将校のためにつくられたクラブ。ティーの上での会話で、ミスをしないこの見えない名手に「大佐」の位を与えようという話になり、Colonel Bogey(ボギー大佐)と呼ぶようになった
このクラブの話のとおりなら、1890年代のイギリスのゴルファーは、ミスをしない見えない名人「ボギー大佐」を相手に、ホールごとに勝負していたことになります。
ついでに、AHD によるとイギリスの俗語では bogey に「鼻くそ」という意味もあります。英国人のゴルファーに話すときは、場面に気をつけましょう。
05おまけ:ゴルフのティーを広めたのは歯医者さん
同じ USGA の記事には、もう一つの「ゴルフ用語の始まり」が出てきます。ボールをのせる tee(ティー) です。
ゴルファーは1920年代に入っても、ぬれた砂を盛った上にボールをのせて打っていました。1899年、バーディーの話と同じ年に、ボストンの歯医者ジョージ・グラントが最初のティーの特許をとりましたが、広くは使われませんでした。ティーを広めたのは、ニュージャージーの別の歯医者ウィリアム・ローウェル。木の棒で作った赤い「レディ・ティー(Reddy Tee)」は、1922年に名選手ウォルター・ヘーゲンが1,500ドルで宣伝役を引き受けたことで一気に広まりました。
06どんでん返し:話の出どころは37年後の本
ここまで「1899年の一言」と書いてきましたが、USGA が根拠にしているのは、37年後の1936年に出た本です。その場で書かれた記録ではない、という点は割り引いて読む必要があります。
ゴルフ用語の由来には、こうした「言い伝え」が多くあります。USGA 自身、打ち直しを意味する mulligan(マリガン) については、由来の話がいくつもあって、どれが正しいか意見は一致していない、と書いています。bogey についても、辞書は「悪魔の名前から来たらしい」、クラブの歴史は「歌から来たと考えられている」と、慎重な言い方をしています。
ただし、バーディーの bird が「一流のもの」を指すアメリカの俗語だったことは、オックスフォードの学習辞典も書いています。バーディーの「鳥」は、空を飛ぶ鳥ではなく、ほめ言葉の bird でした。
07まとめ
バーディーの bird は「最高!」の俗語、イーグルとアルバトロスはその鳥つながり、ボギーはお化けの名人「ボギー大佐」。ゴルフのスコア表は、19世紀のゴルファーたちの遊び心でできた言葉のコレクションです。
次にテレビでゴルフ中継を見たら、「今のは bird な一打だ!」と言ってみてください。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerGolfers call a score of one under par a "birdie," but the word has little to do with real birds.
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原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
In golf, a "birdie" means one shot under par on a hole. Why a bird? In old American slang, "bird" meant something really great. One story says that in 1899, a golfer in Atlantic City hit a great shot. He said, "That was a bird of a shot!"
His friends started to call one under par a "birdie." Later came "eagle" and "albatross," which are bigger birds. And "bogey" was once the name of an evil spirit.
77 words ・ CEFR A2
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ゴルフでは、「バーディー」は1つのホールでパーより1打少ないことを意味します。なぜ鳥なのでしょう。昔のアメリカの俗語では、「bird」は本当にすごいものを意味しました。ある話によると、1899年、アトランティックシティのゴルファーがすばらしい一打を打ちました。彼は「今のは bird な一打だ!」
と言いました。仲間たちは、パーより1打少ないことを「バーディー」と呼び始めました。その後、もっと大きな鳥である「イーグル」と「アルバトロス」が加わりました。そして「ボギー」は、かつて悪い霊の名前でした。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
birdie・eagle・albatross・bogey などゴルフ用語の由来の話なので B。
Q2. What did "bird" mean in old American slang?
In old American slang, "bird" meant something really great. とあるので A。
Q3. In the passage, what does "evil" mean in "an evil spirit"?
evil は「邪悪な、悪い」。an evil spirit は「悪い霊」なので C。
Golfers call a score of one under par a "birdie," but the word has little to do with real birds. According to the USGA, it began during a match in Atlantic City in 1899. One player, Ab Smith, hit the ball to within six inches of the hole and called it "a bird of a shot."
In the slang of the time, "bird" meant anything excellent. His group agreed to use "birdie" for one under par, and later "eagle" and "albatross" were added for even better scores. "Bogey" has a different story. It may have come from a name for the Devil. Some early golfers in Britain imagined they were playing against a perfect, invisible player called Bogey.
118 words ・ CEFR B1
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ゴルファーはパーより1打少ないスコアを「バーディー」と呼ぶが、この言葉は本物の鳥とはほとんど関係がない。USGA(全米ゴルフ協会)によると、それは1899年のアトランティックシティでの試合中に始まった。アブ・スミスという選手が、ボールをカップから6インチ以内に寄せ、それを「bird な一打」と呼んだ。
当時の俗語では、「bird」はすばらしいもの全般を意味した。彼の仲間たちはパーより1打少ないことに「バーディー」を使うことにし、のちにさらによいスコアのために「イーグル」と「アルバトロス」が加えられた。「ボギー」には別の話がある。この語は、悪魔の呼び名から来たのかもしれない。イギリスの初期のゴルファーの中には、、ボギーという名の、完璧で目に見えない選手と対戦していると想像する人たちがいた。
4択リーディングクイズ
Q1. Which of these is the best title for the passage?
鳥の名前の用語、俗語の bird、悪魔の Bogey とゴルフ用語の由来を説明しているので C。
Q2. How close to the hole did Ab Smith hit the ball?
hit the ball to within six inches of the hole とあるので B。
Q3. What can be inferred about the word "birdie"?
bird が「すばらしいもの」を意味した俗語で、よい一打をほめて birdie と呼んだので B。
Golf scorecards are full of words that started as jokes or slang. The USGA traces "birdie" to an 1899 match at Atlantic City Country Club, where Ab Smith knocked his shot to within six inches of the hole and called it "a bird of a shot."
In nineteenth-century American slang, "bird" could mean anything first-rate, so his group began calling one under par a birdie. "Eagle" and "albatross" followed as bigger birds for better scores. The word "albatross" itself goes back to "alcatraz," a Spanish and Portuguese name for seabirds, and the island prison in San Francisco Bay got its name from the same word.
"Bogey" started on the darker side. It seems to have come from a name for the Devil, pictured as an unseen opponent. In Britain it first meant the score a good player should make, and one club gave this imaginary expert the rank of colonel. The birdie story deserves a little caution, though. The USGA's source is a book published in 1936, thirty-seven years after the match.
172 words ・ CEFR B2
和訳を見る
ゴルフのスコアカードは、冗談や俗語から始まった言葉でいっぱいだ。USGA は「バーディー」の起源を、1899年のアトランティックシティ・カントリークラブでの試合にさかのぼらせる。
そこでアブ・スミスがボールをカップから6インチ以内に寄せ、「bird な一打」と呼んだ。19世紀のアメリカの俗語では、「bird」は一流のもの何でもを意味しえたので、彼の仲間はパーより1打少ないことをバーディーと呼び始めた。「イーグル」と「アルバトロス」は、よりよいスコアのためのより大きな鳥として後に続いた。「albatross」という語自体は、海鳥を表すスペイン語・ポルトガル語の「alcatraz」にさかのぼり、サンフランシスコ湾の監獄島も同じ言葉から名前がついた。
「ボギー」は暗い側から始まった。悪魔の呼び名から来たらしく、目に見えない対戦相手として思い描かれた。イギリスでは最初、上手な人が出すはずのスコアを意味し、あるクラブはこの想像上の名手に大佐の位を与えた。ただし、バーディーの話は少し注意して聞く必要がある。USGA の典拠は、試合から37年後の1936年に出版された本なのだ。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the main point of the passage?
俗語の bird、鳥の名前、想像上の相手 Bogey など、ゴルフ用語の由来を説明しているので A。
Q2. According to the passage, what did "bogey" first mean in Britain?
In Britain it first meant the score a good player should make とあるので C。
Q3. Why does the writer say the birdie story "deserves a little caution"?
The USGA's source is a book published in 1936, thirty-seven years after the match. とあり、出来事から何年もたって書かれた資料だからなので B。
重要単語
- slangB2名詞俗語、スラングIn old American slang, "bird" meant something excellent.
仲間うちのくだけた言葉。in slang「俗語では」。 - parC1名詞(ゴルフの)基準打数;標準I'm feeling a bit below par today.
ラテン語で「等しい」。below/under par「調子がいまいち」、par for the course「(よくないことが)いつものこと」。 - imaginaryB1形容詞想像上の、架空のMy little sister has an imaginary friend.
imagine(想像する)から。imaginative「想像力豊かな」と混同しないこと。 - opponentB2名詞(試合・議論の)相手She shook hands with her opponent after the match.
oppose(反対する)と同じ仲間。昔のゴルファーの相手は見えない「ボギー大佐」だった。 - spiritB1名詞霊;気分、元気The story is about a spirit that lives in an old house.
an evil spirit「悪霊」。team spirit「団結心」の意味でもよく使う。 - burdenB2名詞重荷The loan became a heavy burden for the family.
an albatross around one's neck も「重荷」の意味の熟語。 - patentC1名詞特許The dentist got a patent for his new golf tee.
get/obtain a patent「特許をとる」。動詞では「特許をとる」。
公式・一次情報をチェック
- birdie(Oxford Learner's Dictionaries)oxfordlearnersdictionaries.com
- Alcatraz(Federal Bureau of Prisons)bop.gov
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ゴルフの「バーディー」は19世紀アメリカの俗語 bird(最高のもの)から。1899年「今のは bird な一打だ!」の一言が始まりとされる。イーグル、アルバトロスはその鳥つながり。ボギーの bogey は、お化け・悪魔の呼び名から来たらしい。
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出典・参考文献(6件)タップで表示
- Flyntz (2019) 125 Years of Golf in America: New Jersey(USGA)usga.org
- Oxford Learner's Dictionaries「birdie」「bogey」「albatross」「par」(Word Origin)oxfordlearnersdictionaries.com
- American Heritage Dictionary of the English Language, 5th ed.「bogey」「albatross」ahdictionary.com
- Gosport & Stokes Bay Golf Club「History - A brief timeline of our club (including the origin of the term 'Bogey')」gosportandstokesbaygolfclub.co.uk
- Federal Bureau of Prisons「Alcatraz」bop.gov
- Real Academia Española, Diccionario de la lengua española「alcatraz」dle.rae.es
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。
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