次期学習指導要領 全教科まとめ【合本】中学校
中学校版
審議まとめ(2026年10月5日)を中学校の全教科で1冊に

中学校全教科まとめ【合本】

校種ガイド+全12教科等の冊子を、この1冊にまるごと

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次期学習指導要領 校種別ガイド中学校
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審議まとめ(2026年10月5日)を中学校の先生向けに

中学校の先生のための次期学習指導要領ガイド

「情報・技術科」が生まれ、時間割と評価の工夫の幅が広がる方向です。

たとえると

たとえるなら、一つの部屋を二人で使っていた兄弟が、それぞれ自分の部屋を持つようなものです。技術・家庭科が「家庭科」と「情報・技術科」に分かれ、それぞれの学びを深めやすくします。名前や中身は告示前の案です。

中学校はいつから?

全面実施2031年度(令和13年度)から(見込み)
移行期間2028〜2030年度
告示2026年度末の予定
教科書2031年度から新しい教科書(2029年度に検定)
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中学校の大きな変化

「情報・技術科」と家庭科の独立

いまの技術・家庭科は、免許も担当も別なのに、評定は一つの教科として書いています。この不便さも踏まえ、家庭科を独立した教科にする方向です。技術分野は時間をしっかり確保して「情報・技術科」にする案です。時間は1・2年が各学年最大70コマ程度、3年が最大35コマ程度とされています(今の技術分野の内容を含む時数)。 P72P74P78

いままで技術分野の一部「情報の技術」で情報を扱い、評定は1つの教科です。
→
これから(方向)家庭科を独立させ、技術分野を「情報・技術科」とする方向です。

授業時数を学校で調整できる

教科の内容はすべて扱う前提で、標準の授業時数より少なく計画できる仕組みの案です(調整授業時数制度)。生まれた時間は、ほかの教科への上乗せ、学校独自の教科、学び直しや先生の研修の時間に回せます。減らせる幅は教科ごとに最大15%程度が想定されています。すべての教科を上限まで減らした場合、2年生の試算で1年間に最大128コマ程度です。国への申請はいらない方向です。 P31P32P37P38

いままで年度の初めに、各教科の標準授業時数を必ず確保して時間割を組んでいます。
→
これから(方向)標準を下回って計画し、生まれた時間を学校の判断で使える方向です。

テストだけに頼らない評価

中学校では、成績が入試に使われることもあり、ペーパーテストだけで評価する意識が強いとされました。次期は、論述・レポート・口頭試問・発表・作品づくりなども大切にする方向です。「学びに向かう力」は教科ごとのABCをやめ、所見欄で一人一人の伸びを書く案です。良い姿が続けて見られたら、思考・判断・表現の評価に「◯」を添えます。 P62P63P64

いままで「主体的に学習に取り組む態度」を教科ごとにABCで評価しています。
→
これから(方向)所見での個人内評価と、思考・判断・表現への「◯」を組み合わせる方向です。

教科書と内容をしぼる

いまの教科書は情報を網羅しすぎていて、「全部教えなければ」という意識につながると指摘されました。次期は、単元の核になる理解をつかみやすい形に教科書をしぼる(精選する)方向です。時数を最大15%程度減らしても、内容をおおむね扱える分量を目指します。英語では、中学校の文法事項を使う頻度の高いものなどにしぼって示す案です。 P55P58P61

いままで厚い教科書を全部教えようとして、授業時間を多めに取りがちです。
→
これから(方向)教科書をしぼり、教科書以外の教材と役割を分ける方向です。

数学・理科に「ガイダンス」

調査では、数学や理科は社会や仕事とのつながりを感じにくいことが課題とされました。そこで、中学校と高校に「数学ガイダンス」「科学ガイダンス」という学習内容を新しく設ける方向です。数学の全体像や社会との関係、科学とは何かなどを学びます。学ぶ意味を実感しやすくし、「好き」や「得意」につなげるねらいです。 P10P171P187

いままで数学や理科を学ぶ意味や、社会とのつながりを実感しにくい面があります。
→
これから(方向)学ぶ意義を伝える「数学ガイダンス」「科学ガイダンス」を設ける方向です。

高校入試の見直し

高校入試の在り方は、中学校の教え方に大きく影響します。審議まとめは、個別の知識の暗記を単純に問う出題を改め、主な概念の深い理解や思考力を問う出題を充実させる方向を示しました。出題方針の公表や作問の解説、採点などでのAIを含むデジタル技術の活用も挙げられています。 P55P86

いままで個別の知識を単純に問う出題も残り、教科書を網羅して教える意識につながっています。
→
これから(方向)深い理解や思考力を問う出題を増やし、多様な選び方を広げる方向です。

週の時間割にゆとり

いまの「年間35週以上」という書き方から、週29コマにする習慣が根強いとされました。次期は「年間40週を標準」とする書き方に改める方向です。40週で計画すれば、週28コマにしやすくなります。さらに調整授業時数制度を使えば、週27コマの授業と研究・研修1コマ、という週の形も無理なくできるようにする方向です。 P36P39P55P57

いままで年間35週以上で計画し、週29コマにする学校が多い状態です。
→
これから(方向)年間40週を標準とし、週28コマや研修1コマ付きの週の形を広げる方向です。

総合の名前と探究の形

中学校の「総合的な学習の時間」は、高校と同じ「総合的な探究の時間」に名前をそろえる方向です。学級などで共通テーマに取り組む「テーマ探究」と、生徒が自分の「好き」から問いを立てる「マイ探究」をバランスよく組み合わせます。ネットやAIの要約を切り貼りするだけの「調べ学習」から抜け出すことも課題とされています。 P11P76P77

いままで名前は「総合的な学習の時間」で、調べ学習で終わる例もあります。
→
これから(方向)「総合的な探究の時間」になり、テーマ探究とマイ探究を組み合わせる方向です。

変わらないこと

3つの力の柱で育てる

知識・技能、思考力・判断力・表現力等、学びに向かう力・人間性等という3つの柱で力を育てる考え方は続きます。次期は、その示し方を、力のつながりが見えるように整理し直す方向です。 P7P13P16

主体的・対話的で深い学び

「主体的・対話的で深い学び」を目指す授業改善は、これからも中心です。次期は、とくに「深い学び」の姿を先生がつかみやすくし、どの学校でも実際に行えるようにすることを目指しています。 P7

1年間の授業時間の合計

1年間の授業時間の合計(標準総授業時数)は、いまより増やさない前提です。「情報・技術科」に必要な時間は、3年生以上の教科のうち、いま35コマ以下のものを除いた教科から、同じ割合で少しずつ(3〜4%程度)減らして生み出す考え方です。 P78P79

教える内容は全部扱う

調整授業時数制度で時間を減らす場合も、学習指導要領に示す内容はすべて扱うことが前提です。内容を省くための仕組みではなく、時間の使い方を工夫するための仕組みとされています。 P31

先生の毎日はどう変わりそう?

授業では、単元を通してどんな理解や力にたどり着くかから計画を立てる形が求められる方向です。評価では、ペーパーテストだけでなく論述や発表なども使い、態度のABCは所見と「◯」に変わる案です。時間割は、授業時数の調整や週28コマ化で、学び直しや研修の時間を作れる案です。ICTは、1人1台端末などが常に使える前提で考えます。どれも告示前の方向性です。

全教科10秒早見表(中学校)

教科等中学校で変わること(10秒)
国語3領域を「話や文章の機能」でつなぐ。知識は「運用しながら」「教養として」深める2面に
話す・書く・読むを「話や文章の機能」でつなぐ教科へ
社会3分野をつなぐ分野横断の単元A・Bを設け、Cをまとめ単元に位置付け直す。地域調査は単元Bで
覚える社会から、問いと確かな情報で探究する社会へ
数学数学の全体像や社会とのつながりを学ぶ「数学ガイダンス(仮称)」を新設する案。証明も充実
小中高を6つの分野でつなぎ、証明と批判的思考を育てる
理科「科学とは何か」や研究倫理を学ぶ「科学ガイダンス(仮称)」を新設する案
小中高を4分野でつなぎ、デマに流されない科学の目を育てる
音楽・美術美術は発想から工夫して表すまでを「思考・判断・表現」に。鑑賞にも「技能」を示す
思いをもつことから表すまでを、一続きの学びに
家庭技術・家庭科から「家庭科」が独立した教科に。金銭管理と消費者の権利を新B領域で統合
領域を5つに再編し、中学校では独立した教科に
情報・技術科(仮称)技術分野を新教科「情報・技術科(仮称)」に。1・2年は最大70、3年は最大35コマ程度
小は総合に「情報の領域」、中は新教科、高は情報科を充実
保健体育「体育理論」を「スポーツ理論」に改称。公正・協力などは「運動との関わり方」として学ぶ
身に付けたい「動き」と、運動の多様な楽しみ方を軸に
外国語(英語)文法事項は使用頻度の高いものに絞る。「社会的な話題」は「身近な社会的な話題」に
AI時代も人と伝え合う力を、段階を追って育てる英語へ
特別の教科 道徳複数時間での扱いと「深める教材」(13程度が目安)。教師が交代で学級を回る授業も可
1つの教材を複数時間で扱い、じっくり考え議論する道徳へ
総合的な学習の時間名称が「総合的な探究の時間」に。修学旅行・職場体験は探究として成り立つ部分だけ代替可
小中も「総合的な探究の時間」へ。一人一人の探究を深める方向
特別活動生徒会(小は児童会)が校則など学校運営に意見を出す活動に。評価は個人内評価へ
子供が学級・学校をよりよく創る「社会創造」の活動へ

いつから?(改訂スケジュール)

中学校の全面実施は2031年度(令和13年度)からの見込みです。調整授業時数制度は2028年度(令和10年度)から使えるようにする方向です。「情報・技術科」は2029年度(令和11年度)から段階的に先に始める方向です。どれも告示前の予定で、変わることがあります。
年度202620272028202920302031203220332034
幼稚園等審議・答申周知全面実施
小学校審議・答申・告示周知先行実施先行実施全面実施
小学校の教科書著作・編集検定採択・供給使用開始
中学校審議・答申・告示周知先行実施先行実施先行実施全面実施
中学校の教科書著作・編集検定採択・供給使用開始
高等学校審議・答申告示(年度末)周知先行実施先行実施先行実施入学生から2年生まで全学年
高校の教科書著作・編集検定採択・供給使用開始(学年ごと)

文部科学省「学習指導要領等の改訂に関するスケジュール(イメージ)」(令和8年10月5日 第136回教育課程部会 参考資料7。「今後変更の可能性がありうる」と注記)より。

よくある質問

技術の免許を持つ先生が足りないのでは?

審議まとめでも、技術科の免許を持つ先生の不足は課題とされています。そのため、全国規模の免許法認定講習や、すべての担当の先生への研修を行う方向です。中学校向けの研修コンテンツは、2028年度末(令和10年度末)までに国が作って提供するとされています。 P72P75P261

「◯」が付くと、評定は上がるのですか?

「◯」は思考・判断・表現の評価と一緒に考えられ、評定に影響し得るとされています。たとえば知識・技能がA、思考・判断・表現がBなら、評定は4か5が想定されます。そこに◯があれば、5と判断されることもあり得ます。ただし、自動的に上がるわけではありません。 P66P67

高校入試はどう変わりますか?

個別の知識を単純に問う出題を改め、深い理解や思考力を問う出題を充実させる方向です。また、学力検査を行わない選抜や、調査書を使わない選抜も必要に応じてできると分かるよう、規定の在り方を検討するとされています。 P86

週28コマにしないといけないのですか?

義務ではありません。ただ、「年間35週以上」という書き方が週29コマの習慣を生んでいるとして、年間40週を標準とする書き方に改める方向です。40週で計画すれば、週28コマにしやすくなります。研究・研修1コマを含む週の形も例として示されています。 P36P39P55

生徒会の役割は変わりますか?

校則など学校生活の課題について、生徒が提案や意見表明をし、先生との話し合いを通して学校運営に関わることが重視される方向です。対話を通して、納得できる答えや暫定的な答えを生み出す経験を大切にするとされています。 P10P11

不登校の生徒の評定はどうなりますか?

教育支援センター等に通う不登校の生徒のため、特別な教育課程を組める仕組みを新しく作る方向です。今は在籍学年の基準で評価するため「1」や「ー」になりやすい課題があります。態度の評価の見直しも、評定を付けにくい今の状況の改善につながると期待されています。 P54P64

全教科の先生の準備チェックリスト

  • 単元づくりの出発点が「教科書のどこまで進むか」から「どんな資質・能力をつけたいか(統合的な理解・総合的な発揮)」に変わる。今から、単元を通した本質的な問いや論述・レポートなどの課題を考える練習ができる。国は教科等ごとの単元構想の参考イメージを示す。 P13P22P28
  • 「統合的な理解・総合的な発揮」だけを取り出して評価規準を作る必要はない。ただし「A:十分満足」の判断などで踏まえるので、評価と無関係ではない。 P15P68
  • 学年は「◯学年相当」の示し方になり、「上の学年の内容は扱ってはいけない」「習っていない漢字は使ってはいけない」といった運用は見直しの方向。相当学年外で扱う際の留意点は総則に書かれる。 P18
  • 令和10年度からの先行実施期間に調整授業時数制度を使えるようにする方向。研究・研修等枠を使えば週1コマ程度、教育課程の時間を使って組織的な研究・研修ができる。活用する学校はウェブでの公表や教育課程編成届への記載が求められる。 P34P36P38P40
  • 改訂を待たずに、標準を大きく上回る予備時数の見直しや、40週を前提にした週28コマへの平準化が国から促されている。年度途中に時数を見直すことも想定されている。 P56P57
  • 「主体的に学習に取り組む態度」のABC評価のために、ノート提出回数などの材料を集める作業はなくなる方向。学びに向かう力は総合所見での個人内評価と、思・判・表への「◯」の付記に変わる。単元ごとの◯付けは求められない。 P62P63P65
  • 各学校で「内容のまとまりごとの評価規準」を作る作業は不要になる方向で、単元の目標をそのまま評価規準にできる。評定へのまとめは学年末だけでもよいことが明確にされ、学期中は形成的評価(途中でのフィードバック)に力を注げる。 P69P70
  • 思考・判断・表現の評価は、ペーパーテストや業者の単元テストに偏らず、論述・レポート・口頭試問・プレゼン・作品制作などを核にする方向。AIに頼った成果物への対策として、口頭試問やブラウザ閲覧を制限するソフトの活用例も示されている。 P26P63P64
  • 技術・家庭科が分かれ、家庭科は独立教科、技術分野は「情報・技術科」になる方向(審議まとめの提案)。令和11年度から段階的な先行実施が想定され、技術科の免許所有状況の改善(全国規模の免許法認定講習)や全担当教員への研修が予定されている。 P74P75P79
  • 学習の自己調整や学習方略の指導が重視され、一律の宿題から、子供が家庭学習の内容を自分で決められるよう段階的に指導する方向が示された。国が具体的な指導資料を出して支える。 P10P28
  • 特別活動では、校則を含む学校生活の課題を話し合い、納得解・暫定解をつくる活動や、児童会・生徒会の提案・意見表明、学校行事の企画・運営を子供が担うことが位置付けられる。キャリア・パスポートは例示資料が廃止され、学校による引継ぎは求められない。 P10P11P61
  • 総合では、テーマ探究とマイ探究をバランスよく組み合わせ、研究系・行動系に加え創作系の探究も認められる。小中の名称は「総合的な探究の時間」に。外部に協力を求めるときの留意事項も国が示す。 P11P77
  • カリキュラム・マネジメントは単元配列表づくりが目的ではなく、「ねらいの明確化→編成・実施・調整→評価・改善」の3ステップ。形骸化した取組を見直すことも重視され、そのための協議時間に裁量的な時間を使うこともできる。 P83P84P85
  • 道徳は一つの教材を複数コマで扱う教科書構成や、チームで行う道徳授業の推進が打ち出されている。読み物教材の数は精選され「深める教材」が展開される。 P11P61
  • 高校入試で、個別の知識の暗記ではなく概念の本質的理解や思考力を問う出題を充実させる方向。教科書を網羅的に教えなければという意識の背景の一つとされた入試の在り方が見直される。 P55P86
  • 教育支援センター等に通う不登校の子について、特別の教育課程を組める制度が新設され、令和10年度からの先行実施期間から取り組めるようにする方向。在籍学年の基準で「1」や「ー」がつきやすい現状の改善がねらい。 P38P54P64
  • 教科書は精選され、教科書「を」全部教える前提が見直される。調整授業時数で時数を減らしても内容をおおむね扱える分量を目指し、指導書でも問いや評価課題、学習過程の構造が示される方向。 P22P58P89
次期学習指導要領 教科別まとめ中学校No.01
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審議まとめ(2026年10月5日)を中学校の先生向けにまとめ直しました

国語次期学習指導要領で、どう変わる?

話す・書く・読むを「話や文章の機能」でつなぐ教科へ

10秒でいうと

3領域を「話や文章の機能」でつなぐ。知識は「運用しながら」「教養として」深める2面に

やさしく言うと

中学校も、話す・聞く、書く、読むを「話や文章の機能」(仮称)でつなぐ方向です。「思考力、判断力、表現力等」は、文章の種類と考え方をひとまとまりで示す案です。評価は、途中の見取り(形成的評価)を重くするとされています。教科書は、中心になる「基幹教材」と、調整できる「関連教材」を分けることが考えられています。

中学校はいつから?

全面実施2031年度(令和13年度)から(見込み)
移行期間2028〜2030年度
告示2026年度末の予定
教科書2031年度から新しい教科書(2029年度に検定)
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研修・会議・授業・保護者会での印刷・コピー・配布・投影はご自由にどうぞ。ご連絡は不要です。クレジットは残してください。審議まとめ(2026年10月5日)準拠・出典ページつき。告示前の方向性で、今後変わることがあります。2026年11月4日 版

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国語の3行要約(全校種)

  1. 話や文章が社会で果たす役割(「話や文章の機能」(仮称))を軸に、話す・聞く、書く、読むの学習を関連付けて計画できるよう内容を整理し直す方向。
  2. 「知識及び技能」は「運用しながら深める」面と「教養として深める」面の2つに分け、漢字などの事項もまとめ直して精選する案。
  3. 高校は必履修2科目の枠組みと単位数を保ったまま、選択科目を標準2科目(各8新単位)と発展4科目(各4新単位)に組み替える案(科目名は仮称)。

※高校の新科目名(現代の国語Ⅰ・Ⅱ、言語文化Ⅰ・Ⅱ、論説と批評ほか発展4科目)と「話や文章の機能」は仮称。

国語のポイント4つ

文章の種類と考え方をひとまとまりに

今は、学習の過程ごとの細かい事項と、言語活動例が別々に書かれています。次期は、機能を軸に、文章の種類と働かせる考え方をまとめて示す方向です。たとえば「意見を述べる文章」と「主張を明確にする」「根拠を検討する」などを一括りにします。 P134P138

授業では、たとえば意見文を書く単元で、主張・根拠・論理の展開をまとめて考えさせる。そうした単元づくりが、この方向に沿った例です。

学習の過程をそろえて、領域をつなぐ

今は、領域ごとに学習の過程の分け方が違います。次期は、話す・書くは「考えの形成/表現・推敲」にそろえる方向です。聞く・読むは「構造と内容の理解・解釈/考えの形成」にそろえます。過程が共通になり、領域をまたいで学んだことを使いやすくなります。 P134

授業では、たとえば読む単元で整理した「文章の構造の捉え方」を、次の書く単元の構成メモに生かす。こうした領域の往復が考えられます。

評価は途中の見取りを重く

短い単元ごとに最終評価まで行う実態が課題とされています。次期は、途中で学習の改善に生かす評価(形成的評価)を重くする考え方です。使いながら深める知識は、複数の単元を経てから総括する。教養として深める知識は、単元末や学期末にまとめて評価する例が示されています。 P129P142

授業では、たとえば単元の途中は付箋やコメントで声かけを中心にし、思考・判断・表現の成績は、単元の成果として表れた姿でまとめて評価する。そんな形が一例です。

「基幹教材」と「関連教材」

教科書の中で、力を育てる中心の「基幹教材」をはっきりさせることが考えられています。あわせて、学校の状況で使い方を変えられる「関連教材」を位置付けます。時数を増減する場合は、必要な内容を保障したうえで関連教材の扱いを調整できるとしています。 P139

授業では、たとえば論理の展開が分かりやすい論説を基幹教材にし、構成の違う論説を関連教材として読み比べる。そんな使い方が考えられます。

主な変更点9項目

「話や文章の機能」(仮称)で3つの領域の学習をつなぐ

これまでは「話すこと・聞くこと」「書くこと」「読むこと」の学習がばらばらに意識されがちでした。次期は、話や文章が社会の中で果たす主な役割を「話や文章の機能」として整理し、その機能ごとに指導事項を並べる方向です。機能は「事実や知識の整理と理解」「考えや主張の理由付けと吟味」「思いや経験の表出と想像」「協働による考えの深化や合意」(いずれも仮称)などです。たとえば「論説を読む」「意見文を書く」「提案のスピーチをする」を、同じ「考えや主張の理由付けと吟味」の学習としてつないだ年間計画が立てやすくなります。 P131P134P139

「思考力、判断力、表現力等」の示し方を、文章の種類と考える要素の「ひとまとまり」に

今は学習過程ごとに細かく分けた事項と、話や文章の種類ごとの言語活動例が別々に書かれています。次期は「話や文章の機能」を軸に、扱う文章の種類と、そこで働かせる考え方をまとめて一つの事項として示す方向です。例として「書くこと」では、「意見を述べる文章」と「主張を明確にする」「根拠を検討する」などを一括りにします。学習過程も簡単になり、話す・書くは「考えの形成/表現・推敲」、聞く・読むは「構造と内容の理解・解釈/考えの形成」にそろえる方向です。 P134P138

「知識及び技能」を「運用しながら深める」と「教養として深める」の2つに整理

言葉の知識を、使う場面がはっきりするよう2つの面に分ける案です。(1)運用しながら深める事項は、文章の構造や表現の仕方など、話す・書く・読む中で使って身に付けるものです。(2)教養として深める事項は、言葉のきまり、古典、書写、読書などを、その意味や価値と結び付けて理解するものです。事項は「事項のまとまり」に分けて示し、たとえば今は別々の「漢字の読みと書き」と「漢字の偏やつくり、由来や特質」を一つにまとめるとしています。 P131P135P138

評価のやり方の整理(形成的評価を重く、まとめの評価は後で)

短い単元ごとに最終評価まで行おうとして、途中の見取りや声かけがしにくい、単元後に知識だけのペーパーテストで評価する、といった実態が課題とされています。次期は、学習の途中では形成的評価(学習の改善に生かす評価)を行い、単元の成果として力が総合的に発揮されているかで総括的評価をする、という考え方を示します。運用しながら深める知識は複数の単元を経てから、教養として深める知識は単元末や学期末などにまとめて評価することが考えられるとしています。 P129P142

生成AIの使い方とローマ字入力の扱い

生成AIを含むICTは、授業のねらいに合うときに使うのが原則で、AIが出した答えも比べて吟味する対象とします。要約する、最初の考えを書く、文章の構成を考えるなど、その単元で育てたい力に直結する場面では、AIを不用意に使わないよう慎重になるべきだとしています。評価では、集めた情報の信頼性や妥当性を確かめて自分で考え表現できているかを、より重視します。ローマ字の学習は今どおり小学校3年の国語で行い、ローマ字入力のタイピングは「総合的な学習の時間・情報の領域」が中心に担う方向です。 P129P140

教科書の教材を「基幹教材」と「関連教材」に分ける

教科書の中で、力を育てる中心になる「基幹教材」と、学校や子どもの状況に合わせて使い方を変えられる「関連教材」をはっきりさせることが考えられています。同じ「話や文章の機能」に関わる教材をまとめて扱い、重なりを減らして教科書の内容を精選することが考えられています。調整授業時数で時数を増減する場合や高校で単位数を増減する場合は、必要な内容を保障したうえで関連教材の使い方を調整することで対応できるとしています。 P139

情報の扱い方・語彙・読書・古典の学習をさらに改善

情報の扱い方は、「情報どうしの関係を整理する力」と「情報の信頼性や妥当性を見極める力」という性質の違う2つの力を、学年に応じて系統的に示す方向です。語彙は、文脈の中で言葉を使って語感を磨く学習と、言葉の意味や関係を理解して語彙を増やす学習を両方進めます。読書は、きっかけづくりと、自分から読む読書へ移るための学習を充実させ、学校図書館との連携も進めます。高校の古典は、文語文法と口語訳に偏った指導を見直し、小中との接続や言語文化への理解を深める学習を重視するとしています。 P136

小中書写:手で書く指導を引き続き重視

タイピングなどで文字を入力する機会が増えても、小中学校での書写の指導は引き続き重視し、特に小学校では手書きの丁寧な指導を進めます。字を書くことに困難がある子には、デジタルの活用や代わりの方法を積極的に用意することを明確にします。評価では、書写で見る「文字を整えて書く力」と、ほかの学習で表現の手段として書く文字とを区別し、何を評価するのかをはっきりさせる方向です。 P141

小中柔軟な教育課程:調整授業時数・学年をまたぐ指導

国語も「調整授業時数制度」の対象教科です。生み出した「裁量的な時間」の例として、総合的な学習の時間での方言の探究、辞書を使った語彙の指導、ビブリオバトル(書評合戦)や読書会、演劇や文芸創作のプログラム、国語の単元づくりの研究・研修などが挙がっています。また学年ごとの区分は残しつつ、指導の時期を前倒し・後ろ倒しすることを認め、まとまった時間で学び直しをしやすくする方向です。 P141P142

現行と次期の比較(新旧対照)4項目

黄色のマーカー=次期で新しく入る・強く打ち出される言葉 取り消し線=現行から消える・言い方が変わる言葉

項目現行次期(審議まとめの方向)
国語の「見方・考え方」「言葉による見方・考え方」として、対象と言葉、言葉と言葉との関係を、言葉の意味・働き・使い方などに着目して捉えたり問い直したりして、言葉への自覚を高めること。「様々な事象を表す自他の言葉を」、その意味や働き、使い方に着目して吟味し、「多様な立場や考えを理解して、よりよく伝え合おうとすること」と、より短く示す(案)。 P132
「思考力、判断力、表現力等」の学習過程領域ごとに学習過程が違い、細かく分かれている(例:「読むこと」は「構造と内容の把握」「精査・解釈」「考えの形成」「共有」など)。領域どうしでそろえる。話す・書く=「考えの形成/表現・推敲」、聞く・読む=「構造と内容の理解・解釈/考えの形成」、話し合う=「考えの形成」。 P129P134
言語活動例・指導事項の示し方学習過程ごとに細分化した事項と、3領域別・話や文章の種類別の言語活動例を別々に示している。「話や文章の機能」(仮称)を軸に、扱う話や文章の種類と、思考・判断・表現の要素を一体にした「一括りの事項」として示す。 P129P134P138
「知識及び技能」の示し方個々の事項が独立して並ぶ(例:「漢字の読みと書き」と「漢字の偏やつくり、由来や特質」が別の内容)。どの知識を活用重視にし、どれを取り立てて学ぶのかが明確でない。「(1)運用しながら深める事項」と「(2)教養として深める事項」に分け、「事項のまとまり」で構造的に示す。漢字の読み書きと漢字の構成などは一つの事項に統合。 P129P135P138

授業時数

小中の国語の標準授業時数の具体的な数字は示されていない。総論では、新教科・領域の時数を確保するため、小学校3年以上で現在35コマ以下のものを除く教科等から一律3〜4%程度を「広く薄く」減らす考え方が示され、実数は今後検討とされている(P79)。国語の節でも内容の充実は「総授業時数を増加させないことが前提」(P134)。高校は必履修の単位数等に変化なし(現代の国語2単位→現代の国語Ⅰ4新単位、言語文化2単位→言語文化Ⅰ4新単位)。選択科目は現行各4単位から、標準科目各8新単位・発展科目各4新単位へ(P80・P82)。新単位は1単位の学習量を17コマとしたもの。

生成AI・ICTとの付き合い方6項目

生成AI時代に「人間ならではの言葉の力」を

AIが言葉を大量につくり、SNSで簡単に発信できる時代だからこそ、言葉の意味を理解し、自分の考えを形にして表現し、他の人の経験や気持ちを理解する「人間ならではの言語能力」を育てるとされています。 P128P130P140資料編(1)P46資料編(1)P139

AI要約をコピペする実態への対応

検索結果の一番上に出るAIの要約を、よく考えずにそのままコピーする実態が見られます。集めた情報が信頼できるか、妥当かを確かめたうえで、自分で考え・判断し・表現できるように指導することが重要とされています。 P129

生成AIを使う原則:ねらいに合うときに、出力も比べて吟味する

生成AIを含むICTは、発達段階をふまえ、授業のねらいに合うときに使うのが原則です。AIの出力も比べて吟味する対象であること、自分で考えた内容を自分の言葉で説明し責任を持つことを基本にします。 P140

AIの使用に特に慎重であるべき場面

文章の全体をつかむための要約、最初の考えを文章にする活動、書くための構成を考えたり情報を選んだりする活動など、その単元で育てたい力に直結する場面では、AIを不用意に使うことに慎重であるべきだとされています。子供自身が行うべき考える・判断する・表現する過程がAIに置きかわらないよう特に注意します。 P140

評価は「情報を確かめて自分で考えたか」を重視

評価では、集めた情報の信頼性や妥当性を確かめたうえで、それを使って自分で考え・判断し・表現できているかという観点を、当面の基本的な考え方としてより重視するとされています。技術の進展による変化にも対応が必要とされています。 P140

語彙:AIの時代こそ実感のある言葉を

生成AIが発展する中、人間ならではの実感を伴った理解・思考・表現を支える語感を磨き、語彙を豊かにする学習を充実させるとされています。 P136

今からできる準備チェックリスト7項目

  • 今すぐ今の年間指導計画の単元を、「話や文章の機能」(仮称)の4つ(事実や知識の整理と理解/考えや主張の理由付けと吟味/思いや経験の表出と想像/協働による考えの深化や合意)で色分けし、領域をまたいでつなげられる単元の組(例:論説を読む・意見文を書く・提案のスピーチをする)を1組見つけて、続けて教えてみます。 P131P134P139
  • 今すぐ要約する、最初の考えを書く、文章の構成を考えるなど、その単元で育てたい力に直結する場面では生成AIを使わせない、といった「使う場面・使わない場面」を教科会で話し合い、学年でそろえておきます。 P140
  • 今すぐ単元計画に、途中で学習状況を見取って声をかける場面(形成的評価)を書き込み、単元末の知識だけのペーパーテストで評価を済ませていないかを点検します。 P129P142
  • 告示まで「知識及び技能」を、話す・書く・読む中で使って深めるもの(文章の構成、表現の仕方など)と、教養として深めるもの(言葉のきまり、古典、書写、読書など)に仕分け、前者は複数の単元を経てから、後者は単元末や学期末にまとめて評価する計画を1学期分試します。 P131P135P142
  • 告示まで司書教諭・学校司書と相談し、読書のきっかけづくり(ブックトーク、読書会、ビブリオバトルなど)と、自分から読む読書へ移るための学習を年間計画に位置付けます。 P129P136P141
  • 告示まで書写で評価する「文字を整えて書く力」と、ほかの学習で表現の手段として書く文字とを分けて評価の対象を確かめ、書字に困難のある子供にはデジタルの活用や代わりの方法を用意しておきます。 P141
  • 全面実施まで教科書の「基幹教材」と「関連教材」の区別を見越し、同じ「話や文章の機能」の教材を束ねて、時数に応じて関連教材の扱いを増減できる単元計画の型を校内で作っておきます。 P139

次期を先取りする授業アイデア1本

中31単位時間(50分)

自分の要約と生成AIの要約、抜けたのはどこ?

要約はまず自分で。そのあと生成AIの要約を原文と照らして吟味し、確かめる目を育てます。

手順・ワークシート

ねらい

論説的な文章を自分で要約したうえで、生成AIの要約を原文と照らし合わせ、主張の取り違えや条件・根拠の抜け落ちを見つけて、情報の確かさを確かめる観点を自分の言葉で説明できる。

流れ

  1. 5分本時の流れと約束を確かめます。「今日は、要約は自分の頭でする。生成AIの要約は、あとで点検する相手として出てくる」と伝え、端末は閉じておきます。
  2. 15分生徒は原文を読み、段落ごとの役割(主張・根拠・具体例など)を余白にメモしてから、150字以内で要約します。先生は、主張と根拠、具体と抽象の関係に気を付けるよう声をかけて回ります。
  3. 5分ペアで要約を読み合い、主張の言い表し方のちがいと、残した根拠のちがいを確かめます。
  4. 12分先生がAIの要約2種類を配ります。生徒は「確かめる観点」カードを使って原文と照らし合わせ、ずれを見つけてワークシート右欄に段落番号と説明を書きます。最後に、自分の要約にも同じ観点を当てて直します。
  5. 8分全体で共有します。「条件が落ちると主張がどう変わるか」「短くするほど何が消えやすいか」を話し合い、先生は確かめる観点を板書で整理します。AIの要約のよくできている点も確認します。
  6. 5分振り返りとして、「検索結果の上にAIの要約が出たとき、自分はまず何を確かめるか」を2文で書きます。

評価

【知識・技能】情報の信頼性の確かめ方として、原文と照らし合わせる観点を使えているかを、ワークシート右欄で見取ります。【思考・判断・表現】自分の要約で、主張と根拠の関係を捉えられているかを見ます。この時間の要約は形成的評価に使い、つまずきに応じて次時に指導します。単元のまとめの評価は、端末を使わない場面で別の文章を要約・吟味させるなどして行います。

指導案(試案)1本

中学校第2学年国語全6時間(本時は第3時)

意見文を書く ~反対の立場を想定して、根拠を吟味しよう~

中教審の審議まとめ(2026年10月5日)で示された、話や文章を「話や文章の機能」(仮称)で捉え直し、「論説を読む」「意見文を書く」「提案のスピーチをする」を「考えや主張の理由付けと吟味」(仮称)の学習として関連付けるという方向性と、情報の信頼性や妥当性を見極める力を系統的に育てるという方向性を先取…

指導案の全文

本時のねらい

反対の立場の意見を想定し、自分の根拠が適切かどうかを吟味しながら、意見と根拠、予想される反論への答えの関係がはっきりした構成メモを作ることができる。

本時の流れ

  1. 5分導入 前時の材料カードを見返す。第1時の意見文の例で「反対の立場の人なら納得しない」と指摘した点を思い出し、本時のめあてを確かめる。
  2. 8分展開 自分の意見(賛成・反対など)を一文で書き、それを支える材料カードを2〜3枚選んで、なぜその材料が根拠になるのかを書き添える(個人)。
  3. 12分展開 【反論役ペア】ペアの相手に自分の意見と根拠を説明し、相手は反対の立場から質問や反論を二つ以上出す(3分ずつ交代)。出された質問や反論は、相手に付箋に書いてもらい、自分のワークシートに貼る。
  4. 12分展開 出された反論をもとに根拠を吟味する。①根拠を「事実か意見か」「出どころは確かか」「主張とつながっているか」の3点で確かめ、弱い根拠は差し替える。②反論の中から一つを選び、どう答えるか(一部を認めたうえで別の根拠を示す、条件を付ける など)を決める。③「意見→根拠→予想される反論と答え→まとめ」の順に、段落ごとの構成メモを作る。
  5. 6分展開 2〜3人の構成メモを大型提示装置で紹介し、反論への答え方の工夫を全体で確かめる。
  6. 7分まとめ 構成メモを見直して必要なら直す。振り返りシートに「反論を聞いて変えたところと、その理由」を書き、次時に意見文を書く見通しをもつ。

PDF版:shidoan-chu2-kokugo-hanron-iken.pdf(ダウンロードコーナー)

現行の学習指導要領・解説(中学校)

文部科学省の公式PDFです(クリックで開けます)。

次期学習指導要領 教科別まとめ中学校No.02
中学校版
審議まとめ(2026年10月5日)を中学校の先生向けにまとめ直しました

社会次期学習指導要領で、どう変わる?

覚える社会から、問いと確かな情報で探究する社会へ

10秒でいうと

3分野をつなぐ分野横断の単元A・Bを設け、Cをまとめ単元に位置付け直す。地域調査は単元Bで

やさしく言うと

中学校の社会は、地理・歴史・公民をつなぐ「分野横断」の単元を設ける方向です。単元A「社会へのまなざし」、B「私たちと社会」、C「よりよい社会を目指して」(いずれも仮称)です。地域調査は、主に単元Bでまとめて行う方向です。日本の諸地域の数を減らすなど、内容をしぼる例も示されています。調べる技能に情報の確かさを確かめる力を加え、AIに頼った成果物が通用しない評価の工夫も求められています。

中学校はいつから?

全面実施2031年度(令和13年度)から(見込み)
移行期間2028〜2030年度
告示2026年度末の予定
教科書2031年度から新しい教科書(2029年度に検定)
無料原田英語.com 次期学習指導要領ナビ

研修・会議・授業・保護者会での印刷・コピー・配布・投影はご自由にどうぞ。ご連絡は不要です。クレジットは残してください。審議まとめ(2026年10月5日)準拠・出典ページつき。告示前の方向性で、今後変わることがあります。2026年11月4日 版

サイトで見る

社会・地理歴史・公民の3行要約(全校種)

  1. 中学校社会に、地理・歴史・公民をつなぐ「分野横断」の単元として、A・Bを新たに設け、現行のまとめに当たるCを位置付け直す案。地域調査などの地域学習は単元B「私たちと社会(仮称)」でまとめて扱う方向。
  2. 学ぶ内容は増やさず、重なる事項や教科書の用語をしぼり込む方向。教科書「を」教えるから、教科書「で」教える授業への転換をめざす。
  3. ネットやAIの情報が正しいかを確かめる「情報の妥当性の確認」の技能を新たに位置付け、模擬選挙などの主権者教育や外部機関との連携を強める方向。

※中学校の単元A「社会へのまなざし」・B「私たちと社会」・C「よりよい社会を目指して」、地理総合の導入単元「地理と私たち」は仮称。

社会のポイント4つ

分野横断の単元A・B・C

Aは、小学校の学びをふまえて中学校社会への動機付けをする単元です。Bは、地理と歴史の学びをふまえて公民へつなぐ単元です。Cは、課題を探究して社会のまとめとする単元に位置付け直します。どれも仮称で、教科書での扱いは今後検討とされています。 P151

授業では、たとえば入学直後に、小学校で学んだ地図や年表を使って「中学校の社会で何を学ぶか」を見通す授業。そんな導入が単元Aの方向に沿う例です。

地域調査は単元Bで地理・歴史の両面から

中学校の地域調査は、小学校に比べて実施率が低いとされています。そこで、地域を題材とした学習を単元B「私たちと社会」(仮称)に位置付ける方向です。地理と歴史の両面から扱います。実施時期や方法は柔軟にできる方向です。 P153P160

授業では、たとえば学校の周りの土地利用と、その土地の昔の様子を両方調べ、地域の課題を考える。そんな地域調査が考えられます。

内容をしぼる具体例

地理の「日本の諸地域」は、考察の仕方が重なる2つの地域を関連させ、扱う地域の数を減らす方向です。歴史は、政治・文化・外交・社会を一体的に扱い、時代の特色をつかむよう整理します。公民の情報化の学習は、新しい「情報・技術科」(仮称)と役割を分けるとされています。 P153

授業では、たとえば「産業」の視点で2つの地方を続けて比べ、共通点と違いを考える。そうした組み合わせが、この方向の一例です。

AIに頼った成果物が通用しない評価

検索結果のAIの要約をそのまま写す実態が課題とされています。最終的な評価で、自分で考えていない成果物が通用しない工夫が急がれるとしています。例として、口頭試問(口頭での質問)を取り入れることなどがあげられています。 P146P159

授業では、たとえばレポート提出後に、根拠にした資料と自分の考えを1分で説明してもらう。そんな確認の場面を入れる工夫が考えられます。

主な変更点8項目

中中学校社会に「分野横断」の単元A・B・Cを位置付ける案

中学校社会科に、地理・歴史・公民の3分野をつなぐ単元を3つ位置付ける案です。A・Bは各分野の既存の内容を統合・整理して新たに設け、Cは現行のまとめの内容を分野横断の単元として位置付け直します。A「社会へのまなざし(仮称)」は小学校から中学校への入り口、B「私たちと社会(仮称)」は地理・歴史から公民への橋渡し、C「よりよい社会を目指して(仮称)」は3年間のまとめとして課題を探究する単元です。これに合わせて、今の各分野の内容の一部または全部がこれらの単元に移される方向です。今の教科書は分野別なので、分野横断の内容の扱い方は今後検討するとされています。 P151

中中学校の地域調査は単元B「私たちと社会(仮称)」でまとめて行う方向

今は地理的分野と歴史的分野にそれぞれある地域を題材にした学習(地域調査を含む)を、分野横断の単元Bの中で地理・歴史の両面から一体的に扱う案です。地域の課題やその解決を見通した学習課題を立て、地域の人材を積極的に活用します。実施の時期や方法は、学校行事との連携も含めて柔軟にできる方向です。国が指導事例を集めて周知するとされています。 P153P160

学習内容をしぼり込む(具体例が示された)

全体として学習内容は増やさず、重なっている事項などを整理する方向です。小学校4年「県内の特色ある地域の様子」は、3つの地域を同じように扱うのをやめ、2つを選ぶ方向です。中学校地理「日本の諸地域」は、考察の仕方が重なる2地域を関連させて扱い、地域の数を減らすとしています。中学校歴史は文化・政治・外交・社会を一体的に扱って時代の特色をつかむ形に整理し、高校「日本史探究」は近現代の項目を、より上位の考え方でまとめる方向です。 P153P154

小中他の新しい教科・領域と役割を分ける

新しく設ける案の「情報の領域」(小学校は「総合的な学習の時間」の中に設け、名称を「総合的な探究の時間」に改める案)や「情報・技術科」と役割を分けて、社会科の内容をしぼる方向です。小学校5年「我が国の産業と情報との関わり」は、情報を活用する産業の役割に重点を置きます。中学校公民「私たちと現代社会」の情報化の影響の学習は、それによる社会の変化や課題を考える学習に重点を置きます。 P153

「調べまとめる技能」に情報の正しさを確かめる力を加える

ネットなどで集めた情報の真偽や意図、背景をつかむことがより大切になったため、情報の信ぴょう性を確かめる新しい技能(「情報の妥当性の確認」に関する技能)を位置付ける方向です。目標では、小中学校は「確かな」情報に基づき「適切かつ」効果的に調べまとめる技能、高校は「その妥当性を吟味しながら」調べまとめる技能を身に付ける方向です。図書や新聞を使うことも大事だと注意されています。 P148P159

AIに頼った成果物が通用しない評価を工夫する

AIの要約をそのままコピーする児童生徒への指導が十分でない、という課題が示されました。最終的には児童生徒が自分で考え、自分の言葉で説明し、責任を持つという考え方を当面の基本とします。評価の例として、口頭試問の要素を入れることや、端末のテストモードでブラウザが使えない状態で根拠をもって記述させることが挙げられています。 P146P159

主権者教育を「深める」「広げる」

主権者教育を学校の年間指導計画に位置付ける方向です。模擬選挙・模擬投票・模擬議会・模擬請願など、子供が主体となって実感をもてる活動を重視し、形だけで終わらず合意形成を図る活動にするとしています。選挙管理委員会や議会事務局、NPO法人などとの連携や、特別活動・総合的な学習(探究)の時間との連携を強める方向です。政治的中立性の確保と、国の通知に沿った指導が重要とされています。 P157P158

社会の変化をふまえて扱う内容を充実する

国際情勢、自然災害・防災、海洋を含む環境、生成AIの影響、食料安全保障、金融経済、自衛隊、領土、経済安全保障、拉致問題、アイヌに関する理解などの視点で必要な見直しを行う方向です。こども基本法・障害者差別解消法・理解増進法などをふまえた人権の内容や、旧優生保護法やハンセン病の歴史と被害の実態も扱うとしています。研修などで教師の指導力を高めることも必要とされています。 P156

現行と次期の比較(新旧対照)3項目

黄色のマーカー=次期で新しく入る・強く打ち出される言葉 取り消し線=現行から消える・言い方が変わる言葉

項目現行次期(審議まとめの方向)
中学校社会の構成地理的分野・歴史的分野・公民的分野の分野別で、教科書も分野別。地域を題材にした学習(地域調査を含む)は地理・歴史それぞれにある。3分野をつなぐ分野横断の単元として、A「社会へのまなざし(仮称)」・B「私たちと社会(仮称)」を新たに設け、まとめの単元C「よりよい社会を目指して(仮称)」を位置付け直す案。地域学習は単元Bで地理・歴史の両面から一体的に扱う方向。 P151P153P160
教科目標の柱書「グローバル化する国際社会に主体的に生きる平和で民主的な国家及び社会の形成者」に必要な資質・能力の育成。骨格は小中高共通のまま、地域・国・世界を含めたよりよい社会の形成をふまえて「グローバル化する国際社会」の記載を見直す。「主体的に生きる」も、多様な他者と「協働的に」生きることをふまえて見直す。 P144P148
調べまとめる技能小中学校は「確かな」情報に基づき「適切かつ」効果的に調べまとめる技能、高校は「その妥当性を吟味しながら」調べまとめる技能。情報の信ぴょう性を確かめる「情報の妥当性の確認」に関する技能を新たに位置付ける。 P148P159

授業時数

小・中学校の社会の標準授業時数を変えるという記述は、この教科の節にはない。高校は標準単位数が新単位で示され、地理総合4・地理探究6・歴史総合4・日本史探究6・世界史探究6・公共4・倫理4・政治・経済4新単位(現行の2・3単位を新単位に直した値。現行1単位=新2単位、P81〜82)。内容の精選では調整授業時数制度で標準を下回る場合も考慮する(P153)。学年区分は示しつつ学年をこえた前倒し・後ろ倒しを認め、配当時数の目安の示し方は告示文で検討。高校は単位の細分化や増単・減単の仕組みの下で示し方を検討(P161)。

生成AI・ICTとの付き合い方7項目

生成AIやSNSの時代に、情報の真偽を見極める力

生成AIやSNSで大量の情報が簡単に手に入る一方、その真偽や信頼性を判断する力が求められています。資料や情報の真偽・意図・背景をつかみ、信ぴょう性を確かめ、根拠に基づいて自分の考えをつくる力を育てます。 P147

新しい技能「情報の妥当性の確認」

「社会的事象等について調べまとめる技能」の中に、集めた・読み取った・まとめた情報の信ぴょう性を確かめる新しい技能として「情報の妥当性の確認」を位置付ける方向です。総合の「情報の領域」などでの学習と関連させます。図書や新聞の活用も大切とされています。 P159

社会科のAI活用の基本的な考え方

最終的には子供が自分で考え、判断し、成果物の内容を自分の言葉で説明し、責任を持つという考え方のもとで、課題を追究・解決する学習とその評価方法を改善することが当面の基本とされています。 P159

AIに頼った成果物が通用しない評価

AI要約をそのままコピーする子供への指導が足りていない実態があり、最後の評価で自分で考えていない成果物が通用しない工夫が急ぎの課題とされています。例として、口頭試問の要素を入れる、端末のアンケートソフトのテストモードでブラウザを使えない状態にして、根拠を示して自分の考えを書かせる、が挙がっています。 P146P159

ICTを課題追究の学習の基盤に

社会科の教師の端末活用は「資料を大きく映す」「ネットで自由に調べる」が中心で、道具的な使い方にとどまっています。課題把握(統計資料の検索など)、課題追究(根拠資料・原典資料の収集・分析や共有)、課題解決(レポート作成・発表)の各場面で、学習の質を高める基盤としてICTを位置付け直すとされています。 P146P159

主権者教育:SNSや生成AIが判断に影響

社会参加にあたっては、SNSの影響や生成AIの普及が選択・判断に影響することをふまえる必要があり、情報モラルやメディアリテラシーの重要性がますます高まっているとされています。 P145

AI時代だからこそ地域を題材にした実感ある学習

AIなどの技術がさらに進む中で、身近な題材を扱い実感を持って学ぶことが重要とされ、中学校の新しい接続単元で地域調査を含む学習を進めます。訪問が難しい場合は、1人1台端末で博物館などのデジタルコンテンツを活用する例も示されています。 P160

今からできる準備チェックリスト7項目

  • 今すぐ調べ学習の手順に「情報の妥当性の確認」(だれが・いつ・何をもとに出した情報か、ほかの資料と合うか)を入れたチェック表を作り、ネットだけでなく図書・新聞・統計も使って確かめる習慣をつけます。 P148P159
  • 今すぐ単元末の評価に、口頭試問の要素や、端末のテストモードでブラウザを使えない状態で根拠を示して書かせる問題を1つ入れ、AIに頼って自分で考えていない成果物が通用しない評価を試します。 P146P159
  • 今すぐ地域学習で協力してもらった地域の方・施設や、博物館・資料館のデジタルコンテンツの情報を校内で一覧にし、人事異動があっても引き継げるようにします。 P146P160
  • 告示まで単元ごとに学習上の課題(問い)を1つ立て、その問いの解決に必要な用語にしぼって教える計画を試し、教科書「を」教える授業から教科書「で」教える授業への切りかえを始めます。 P147P151P155
  • 告示まで主権者教育を年間指導計画に位置付け、模擬選挙・模擬議会などの活動を選挙管理委員会や議会事務局と事前に打ち合わせて計画します。政治的中立性に関する国の通知を、連携先とも共有しておきます。 P157P158
  • 先行実施まで中学校では地理・歴史・公民の担当で話し合い、地域調査を地理と歴史の両面から一体的に扱う単元案(分野横断の単元B「私たちと社会(仮称)」の先取り)を作ります。 P151P153P160
  • 全面実施まで「統合的な理解・総合的な発揮」を使った単元づくりに備え、校内研修で1つの単元について「覚えさせたい個別の用語」と「到達させたい概念」を書き分ける練習をします。 P148P150

次期を先取りする授業アイデア1本

中21単位時間(50分)

新旧の地図で見つける わたしたちの町の「問い」

地理と歴史の両方の目で町の変化を読み、地域調査で確かめたい問いを生徒がつくります。

手順・ワークシート

ねらい

学校周辺の新旧の地図を比べて土地利用の変化を読み取り、その背景を歴史的に考えたうえで、地域の課題につながる調査の問いを立てることができる。

流れ

  1. 5分新旧の地図を大きく映し、「同じ場所なのに、何がいちばんちがう?」と問います。
  2. 12分班で新旧の地図を比べ、変わったもの(田畑が住宅地に、新しい道路や駅など)と変わらないもの(神社や寺、川筋、古い道など)を色分けした付箋に書いて地図に貼ります。
  3. 10分年表を配り、変化が「いつごろ・なぜ」起きたのかを予想して変化発見シートに書きます。地理の視点(地形・交通・人口)と歴史の視点(時代の出来事・人々の暮らし)の両方から理由を出すよう声をかけます。
  4. 13分班で、今の町の課題につながりそうな変化を1つ選び、「地域調査で確かめたい問い」をつくります(例:「田畑が住宅地に変わって、大雨への備えはどう変わったか」「古い道沿いの商店が減ったのはなぜか、これからどうなるか」)。問いには「だれに聞くか・何を見に行くか」も書き添えます。
  5. 7分各班の問いを黒板に並べ、似ている問いをまとめて、単元を通して追究する学習課題の候補を全体で選びます。
  6. 3分振り返りとして、「地理の目」と「歴史の目」で見たときに見えたものの違いを1文で書きます。

評価

【思考・判断・表現】土地利用の変化を地理的な視点と歴史的な視点の両方から説明し、地域の課題につながる問いを立てているかを、変化発見シートと問いで見取ります。【主体的に学習に取り組む態度】調査の方法(だれに聞くか、何を見るか)まで見通して問いを立てようとしているかを見ます。問いの質は、次時以降の調査を通して継続して見取ります。

指導案(試案)1本

中学校第1学年社会(歴史的分野)全6時間(本時は第3時)

身近な地域の歴史 ~地図と資料を見比べて、わたしたちの町の昔の姿を確かめよう~

中教審の審議まとめ(2026年10月5日)で示された、中学校社会科に分野横断の単元を設け、地理的分野・歴史的分野の地域を題材とした学習活動(地域調査を含む)を地理・歴史の両面から一体的に扱うという方向性と、「社会的事象等について調べまとめる技能」に「情報の妥当性の確認」に関する技能を位置付けるという…

指導案の全文

本時のねらい

町について語られている話が確かかどうかを、複数の資料の出典や作成目的を確かめながら比べ、どこまで確かめられるかを根拠をもって判断し、説明することができる。

本時の流れ

  1. 5分導入 前時に作った地図(古い道沿いに寺社や石碑が集まっている)を振り返る。地域で語られている話「この町は江戸時代、宿場町としてにぎわった」を示し、本時の問いを確かめる。
  2. 15分展開 4人グループで資料A〜Dを分担し、「情報の確かめチェック表」を使って読む。A:明治時代の地形図(旧版地図)の写し、B:市町村史の該当部分の抜粋、C:古い道沿いにある説明板の写真、D:観光を紹介する記事(教師が作った架空の記事。根拠を示さずに「1日に千人の旅人が泊まった」などと書いてある)。
  3. 15分展開 グループ内で読み取ったことを持ち寄り、話を「宿場があった」「にぎわった」「1日に千人が泊まった」などの部分に分ける。それぞれについて「確かめられた/一部確かめられた/確かめられない」を判断し、根拠とする資料を書く。
  4. 10分展開 各グループの判断を全体で共有し、判断が分かれた部分について理由を出し合う。確かめられない部分を、次時に郷土資料館の学芸員や地域の方にたずねる質問にまとめる。
  5. 5分まとめ 振り返りシートに、資料を確かめるときに大切だと思ったことと、町の歴史について新たにもった問いを書く。

PDF版:shidoan-chu1-shakai-chiiki-rekishi.pdf(ダウンロードコーナー)

現行の学習指導要領・解説(中学校)

文部科学省の公式PDFです(クリックで開けます)。

次期学習指導要領 教科別まとめ中学校No.03
中学校版
審議まとめ(2026年10月5日)を中学校の先生向けにまとめ直しました

数学次期学習指導要領で、どう変わる?

小中高を6つの分野でつなぎ、証明と批判的思考を育てる

10秒でいうと

数学の全体像や社会とのつながりを学ぶ「数学ガイダンス(仮称)」を新設する案。証明も充実

やさしく言うと

中学校の数学は、「数学ガイダンス」を新しく設ける方向です。数学の全体の見取り図や、数学と社会・職業のつながりを学ぶ内容です。論理的・批判的に考える力(クリティカル・シンキング)のため、証明などの学習も充実する方向です。内容は小学校から高校の数学Ⅰまで、共通の6つの分野で整理する案です。学年をこえた学び直しもしやすくする方向です。

中学校はいつから?

全面実施2031年度(令和13年度)から(見込み)
移行期間2028〜2030年度
告示2026年度末の予定
教科書2031年度から新しい教科書(2029年度に検定)
無料原田英語.com 次期学習指導要領ナビ

研修・会議・授業・保護者会での印刷・コピー・配布・投影はご自由にどうぞ。ご連絡は不要です。クレジットは残してください。審議まとめ(2026年10月5日)準拠・出典ページつき。告示前の方向性で、今後変わることがあります。2026年11月4日 版

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算数・数学の3行要約(全校種)

  1. 小・中・高で教科の目標と「見方・考え方」の言葉をそろえ、学習内容を共通の6つの「分野」で整理する方向です。批判的に考える力や、証明などの論理的な学習を重視するとしています。
  2. 中学校と高校に、数学の全体像や社会・仕事とのつながりを学ぶ「数学ガイダンス」を新しく設ける方向。高校では必履修の数学Ⅰに「社会を読み解く数学」を加え、数学A・B・Cを1つの新科目にまとめる案です。
  3. 割合・比・分数のつまずき対策、教科書内容の精選、学年をこえた学び直しなど、だれもが「わかる」「できる」と感じられるための工夫を進めるとしています。

※数学A・B・Cを統合した新選択科目の名称は「数理活用(仮称)」などの案で検討中。「数学ガイダンス」は仮称。いずれも2026年10月の審議まとめ段階の案で、今後変わり得る。

数学のポイント4つ

「数学ガイダンス」を新設

数学の学習内容のつながりや、社会・職業との関係が十分理解されていないとされています。そこで中学校と高校に「数学ガイダンス」を新しく設ける方向です。中学校では、小学校とのつながりや、数学が日常生活や社会を支えることなどを扱うとされています。 P167P171

授業では、たとえば入学後の「数学開き」で、小学校で学んだことが中学校の3年間でどう広がるかを地図のように示す。そんな授業が考えられます。

証明(論証)の学習を充実

推論や証明など、論理的に考えて説明する学習を苦手とする生徒が多い状況が続いているとされています。そこで、基本的な概念の理解や計算技能の習得を図りつつ、推論や証明に関わる学習を充実する方向です。「論証」は6つの分野の一つに位置付けられる案です。 P165P167P171

授業では、たとえば証明を書く前に、結論から逆にたどって「何が言えればよいか」を口頭で説明し合う。そんな段階を入れる授業が一例です。

読んで理解し、説明する学習

全国調査では、家庭の経済的な背景の影響が見られたとされています。一方、「文字式や証明を読んで理解する」「説明活動をする」の両方に取り組んだ生徒は正答率が高い結果も示されました。こうした学習の大切さを解説で示すべきとしています。 P176P177

授業では、たとえば教科書の証明を読み、根拠になっている性質に線を引いて、隣の人に説明する。そんな短い活動を毎時間入れる工夫が考えられます。

帰納と演繹をバランスよく

具体的な事象から問題を見つけさせる帰納的な指導があります。まず教師が原理を教える演繹的な指導もあります。実態に応じて使い分けることが必要とされています。「間違っても良い」と言える心理的安全性を確保することも有効とされています。 P174

授業では、たとえば新しい性質は教師が要点を示し、その後の問題では「なぜそう言えるか」を生徒が探る。そんな使い分けが考えられます。

主な変更点6項目

中高中学校・高校に「数学ガイダンス」を新設する方向

学習内容どうしのつながりや、数学と社会・仕事の関係が見えにくいという課題から、数学全体の「見取り図」と社会・職業とのつながりを学ぶ「数学ガイダンス」を中学校と高校(数学Ⅰの中)に新しく設ける方向です。中学校では小学校からの接続や数学が日常生活・社会を支えること、高校では中学校からの接続や数学が職業生活を支えることなどを扱うとしています。総授業時数を増やさないことが前提で、入学時の「数学開き」の実践も参考にし、体験的な活動で楽しさや好奇心を引き出す内容を検討します。 P167P171

証明・論理的な説明の学習を小中高で強化(「論証」分野)

変化が激しい社会では、筋道立てて批判的に考える力(クリティカル・シンキング)が欠かせないとして、中学・高校で数学的推論や証明に関する学習を充実する方向です。小学校でも、中・高の証明につながる「論理的に説明する活動」を各単元で充実するとしています。資料編では、これまで「数と式」「図形」に散らばっていた内容を「論証」という1つの分野として独立させると説明されています。 P164P165P167P171

目標・見方・考え方を小中高で統一し、学習内容を6つの「分野」で整理

小・中・高で教科の目標の言葉をそろえ、「見方・考え方」も統一する方向です。新しい見方・考え方は「事象や言説を数理の視点から捉え、論理的、統合的・発展的、批判的に考察すること」で、ニュースや意見などの「言説」と「批判的」(建設的な意味で)が加わる案です。小学校の算数から高校の数学Ⅰまでの内容を「数と式」「図形」「変化と関係」「データと確からしさ」「論証」「社会を読み解く数学」の6分野で整理し、各分野を1〜2の「区分」に分けて「統合的な理解・総合的な発揮」を示すとしています。教科名の統一は引き続き検討ですが、算数の英語表記は「Arithmetic」から「Mathematics」に改める案です。 P166P167P168P169P170

学年の区切りをこえた柔軟な指導と学び直し(調整授業時数の活用例も)

学年区分は示しつつ、学校の判断で指導時期を前倒し・後ろ倒しできるようにし、まとまった時間をつくって定着に課題のある単元の学び直しや、興味を引き出す探究的な学習に使えるようにする方向です。新しい調整授業時数の「裁量的な時間」では、下の学年の未習得事項を学び直すプログラムや、算数の単元構想の研究・研修などが例に挙がっています。ただし系統性が強い教科なので、安易な時数の調整で定着に影響が出ないよう注意が必要とされています。高校では科目の組み替えの仕組みで、いわゆる「理転」の壁を下げる効果も期待されています。 P174P175

定着を支える指導の工夫(認知心理学の知見・帰納と演繹のバランス・ICT)

基礎的な知識・技能を確実に身につけるため、分散学習・検索練習など認知心理学や学習科学の知見をふまえた指導や、学習前の「レディネス」(既習事項の習得状況)の確認が有効とされています。具体的な事象から考えさせる帰納的な指導と、先に教師が原理を教える演繹的な指導を、子どもの実態に合わせてバランスよく使い分けるとしています。「間違ってもよい」という心理的安全性も重視されます。1人1台端末やクラウドを前提とし、AIドリルは質や教師の指導などの条件のもとで計画的に使えば効果的とされています。 P164P174P177

内容の精選と、教科書で「必ず扱う内容」と「必要に応じて扱う内容」の区別

「統合的な理解・総合的な発揮」に欠かせない内容を中心に並べ、欠かせない内容でないものは精選するとしています。教科書を全部網羅して教える傾向があるとの指摘から、教科書の各内容が必ず扱うべきものか、必要に応じて扱うものかの区別(グラデーション)が分かるよう、教師用指導書での工夫を教科書会社に求めることも検討されています。資料編では、演習問題を基礎・習熟・発展に分ける、コラムなどには時数を配当しないといった例が挙がっています。 P173

現行と次期の比較(新旧対照)5項目

黄色のマーカー=次期で新しく入る・強く打ち出される言葉 取り消し線=現行から消える・言い方が変わる言葉

項目現行次期(審議まとめの方向)
学習内容の区分の仕方小学校算数・中学校数学は「領域」、高校数学は「項目」という名前で区分。小学校算数〜高校数学Ⅰまでを、共通の6つの「分野」(数と式、図形、変化と関係、データと確からしさ、論証、社会を読み解く数学)で整理し、さらに「区分」に分ける方向。 P167P170
見方・考え方事象を「数量や図形及びそれらの関係などに着目して捉え」、「論理的、統合的・発展的に考える」こと。「事象や言説を数理の視点から捉え、論理的、統合的・発展的、批判的に考察すること」。小・中・高で文言を統一する案。 P169
中学・高校の「数学ガイダンス」数学全体の見取り図と、数学と社会・職業との関係を学ぶ内容を中学校と高校(数学Ⅰ)に新設する方向。総授業時数は増やさないことが前提。 P167P171
数学的活動の位置付けこれまでの学習指導要領で、算数科・数学科の学習過程として位置付けられてきた。「数学的活動」を個々の学習内容として規定するのではなく、教科全体を通じて充実に取り組む旨を規定すべきとされた。 P178
評価規準づくり各学校が、内容のまとまりごとの評価規準、単元の目標、単元の評価規準を作成。「内容のまとまりごとの評価規準例」は国が示し、学校での作成は不要にする方向。算数・数学の「内容のまとまり」は「区分」ごと・学年ごとの「内容」とする方向。単元の目標がそのまま単元の評価規準になる考え方。 P179

授業時数

高校:数学Ⅰは現行3単位→最大8新単位程度、数学Ⅱは現行4単位→6新単位(3単位)、数学Ⅲは6新単位、新選択科目は2〜12新単位(現行は数学A・B・C各2単位)。1新単位は17コマ。「社会を読み解く数学」相当を新科目で学ぶ場合は数学Ⅰから減単可能(P81、P82)。小・中学校の算数・数学の具体的な時数は算数・数学の節には書かれていない(総論では、35コマを超える教科等から一律3-4%程度を「広く薄く」減じる考え方を示し、実数は今後示すとしている:P79)。

生成AI・ICTとの付き合い方4項目

生成AIの時代にこそ数学を学ぶ意味がある

数学の問題解決に生成AIが使われる場面が増え、数学を学ぶ意義を問い直す声もあります。しかし、生成AIで処理した結果が妥当かを確かめるにも、生成AIの仕組みを理解するにも、数学の素養は欠かせません。生成AIに振り回されない批判的思考力のためにも数学的な思考力が必要とされています。 P166

クリティカル・シンキングの強化

AI技術やデータサイエンスが急速に進む変化の激しい社会では、論理的・批判的に考え判断する力(クリティカル・シンキング)が一層重要なので、数学的推論や証明などの学習を中・高で充実させます。 P167P171

AIドリルの使い方の条件

AIドリルは、①教材として一定の質がある、②教師の適切な指導助言がある、③子供が自分で学びを調整しながら使える、の3つが前提です。そのうえで計画的に使えば、知識を効率よく身に付けられるとされています。家庭学習が難しい子供にAIドリルを配る自治体の例もあります。 P176P177

ICT活用の例と、AIの扱いの機動的な見直し

効果的なICT活用例として、AIによる自動採点やデジタル教材・AIドリルの活用などが挙がり、国が改訂を待たず広く知らせることが重要とされています。学習科学をふまえたAI学習アプリなど新しい動きにも注目し、算数・数学でのAIの扱いは技術の発展に合わせて機動的に見直すとされています。 P177

今からできる準備チェックリスト7項目

  • 今すぐ単元に入る前に、その単元に必要な既習事項(レディネス)を5分ほどの小テストで確かめ、つまずきのある子供への手立てを用意してから始めます。 P164P165P174
  • 今すぐ授業の冒頭や宿題に、前の単元の問題を少し混ぜて思い出させる時間(分散学習・検索練習)を入れ、全員にまったく同じ問題だけを出すやり方を見直します。 P164P174
  • 今すぐ割合や速さで「みはじ」「くもわ」を使っている場合は、数直線や図で意味を説明させる時間を必ず入れ、暗記だけで終わらせないようにします。 P164P171
  • 告示まで小中の先生で、6つの「分野」(数と式、図形、変化と関係、データと確からしさ、論証、社会を読み解く数学)をもとに単元の系統表を作り、学校段階のつながりを確かめます。 P167P170P175
  • 告示まで中学校・高校の入学時や学年初めの「数学開き」を、数学の全体像(見取り図)や、数学が日常生活・社会・職業を支えることを体験的に学ぶ時間として作り直し、「数学ガイダンス」を先取りします。 P167P171
  • 告示まで現行学習指導要領に示された内容を確実に扱うことを前提に、教科書内の練習・補充・発展的な内容の扱い方や時数配分を教科会で点検します。次期課程での「必ず扱う内容/必要に応じて扱う内容」の区分は、告示・解説や教師用指導書が示された後に確認します。 P173
  • 全面実施までAIドリルを使う場合は、①教材として一定の質がある ②教師が適切に指導助言する ③子供が自分で学びを調整しながら使う、の3つを満たす使い方を校内で決め、計画的に使います。 P177

次期を先取りする授業アイデア1本

中21単位時間(50分)

その“法則”本当? 反例さがしから証明へ

ネットで見かけた“数の法則”を確かめ、反例を見つけ、正しい形に直して文字で証明します。

手順・ワークシート

ねらい

整数の性質についての主張を具体例で確かめ、成り立たない場合は反例を示し、成り立つ形に直したうえで、文字式を用いて筋道立てて説明できる。

流れ

  1. 5分「ネットで見かけた“数の法則”」として2枚のカードを見せ、「どちらも本当?」と予想させます。
  2. 8分一人で、いくつかの具体例で確かめます。3つの和は1+2+3=6、4+5+6=15など。4つの和は1+2+3+4=10で4の倍数にならないことに気付いた生徒の考えを取り上げます。
  3. 5分全体で、「1つでも成り立たない例(反例)があれば、いつでも成り立つとは言えない」ことを確かめます。一方で「例をたくさん確かめても、すべての整数で成り立つとは言えない」ことも問いかけます。
  4. 12分「連続する3つの整数の和は3の倍数」を文字式で説明します。n、n+1、n+2と置くと和は3n+3=3(n+1)となり、n+1は整数なので3の倍数と言えることを書きます。ペアで、説明の手順カードに沿って読み合います。
  5. 15分「連続する4つの整数の和」について、正しく言えることを班で考えます。n+(n+1)+(n+2)+(n+3)=4n+6=2(2n+3)=4(n+1)+2 から、「偶数である」「4の倍数より2大きい」などを見つけ、そのうち1つを文字式で説明します。
  6. 5分振り返りとして、「主張が本当かを確かめるときの手順」を、今日の言葉(具体例・反例・文字での説明)を使って書きます。

評価

【知識・技能】連続する整数を文字で表し、式を変形して性質を説明しているかを見取ります。【思考・判断・表現】具体例で確かめることと文字で説明することのちがいを理解し、反例を示したり主張を直したりして筋道立てて説明しているかを、確かめメモと振り返りで見ます。

指導案(試案)1本

中学校第3学年数学全6時間(本時は第4時)

標本調査 ~その「調査によると」、信じていい?~

中教審の審議まとめ(2026年10月5日)で示された、数学の新しい見方・考え方(案)「事象や言説を数理の視点から捉え、論理的、統合的・発展的、批判的に考察すること」と、「データと確からしさ」の分野で、標本調査は全体の傾向を推測できる一方で予測や判断に誤りが生じる可能性があることを理解し、判断の妥当性…

指導案の全文

本時のねらい

「調査によると」という主張について、母集団、標本の選び方、標本の大きさに着目して批判的に考察し、主張が妥当かどうかを判断するとともに、よりよい調査の方法を表現することができる。

本時の流れ

  1. 5分導入 前時の共有シートの箱ひげ図を見て、標本の大きさが大きいほど標本平均のばらつきが小さかったことを振り返る。
  2. 5分導入 主張カードA〜D(教師が作った架空のもの)を読み、本時の課題を確かめる。A「本校の生徒は読書好き!9割が『本が好き』と回答」(昼休みに図書室にいた生徒と図書委員の計30人に聞いた)。B「市内の中学生の平均睡眠時間は8時間」(市内のある中学校の1学級から選んだ5人に聞いた)。C「利用者の95%が満足!」(店に置いたアンケート用紙に、自分から答えた20人の結果)。D「全校生徒480人から、生徒番号を表計算ソフトの乱数で選んだ60人に聞いた家庭学習の平均時間は約55分。全校の平均もおよそこのくらいと考えられる」。
  3. 12分展開 個人で考えた後、グループで各主張を表に整理する(母集団は何か/標本はどう選ばれたか/標本の大きさ/主張は言い過ぎか)。
  4. 12分展開 全体で共有し、偏りの原因を「選び方の偏り」「標本の大きさ」「自分から答えた人だけが集まる偏り」などに整理する。Dについて、適切な選び方でも推定には誤差があることを前時の結果から確かめ、「およそ」という言い方の意味を考える。
  5. 10分展開 主張Aの調査をよりよくする計画を書く(母集団、無作為に選ぶ方法、標本の大きさ、結果の伝え方)。
  6. 6分まとめ 「『調査によると』を見たら確かめること」を学級でまとめ、最初の直感と比べて振り返りを書く。次時は学校図書館の本で実際に標本調査をすることを知る。

PDF版:shidoan-chu3-sugaku-hyohon-gensetsu.pdf(ダウンロードコーナー)

現行の学習指導要領・解説(中学校)

文部科学省の公式PDFです(クリックで開けます)。

次期学習指導要領 教科別まとめ中学校No.04
中学校版
審議まとめ(2026年10月5日)を中学校の先生向けにまとめ直しました

理科次期学習指導要領で、どう変わる?

小中高を4分野でつなぎ、デマに流されない科学の目を育てる

10秒でいうと

「科学とは何か」や研究倫理を学ぶ「科学ガイダンス(仮称)」を新設する案

やさしく言うと

中学校の理科は、「科学ガイダンス」を新しく設ける方向です。科学とは何か、理科の全体像、研究倫理などを学ぶ内容です。内容は小中高共通の4分野(物理・化学・生物・地学)で整理する方向です。新しい見方・考え方には、社会の言説も科学の目で批判的に考えることが入る案です。SNSでデマが広がる時代への対応とされています。

中学校はいつから?

全面実施2031年度(令和13年度)から(見込み)
移行期間2028〜2030年度
告示2026年度末の予定
教科書2031年度から新しい教科書(2029年度に検定)
無料原田英語.com 次期学習指導要領ナビ

研修・会議・授業・保護者会での印刷・コピー・配布・投影はご自由にどうぞ。ご連絡は不要です。クレジットは残してください。審議まとめ(2026年10月5日)準拠・出典ページつき。告示前の方向性で、今後変わることがあります。2026年11月4日 版

サイトで見る

理科の3行要約(全校種)

  1. 小・中・高で理科の目標と「見方・考え方」の文言を統一し、学習内容を物理・化学・生物・地学の4分野で整理し直す方向。
  2. 中・高に「科学とは何か」や研究倫理を学ぶ「科学ガイダンス」、小学校に分野をまたぐ課題を学ぶ「理科と日常生活」を新しく設けることが適当とされた。
  3. 高校は「科学と人間生活(8新単位)」だけで必履修を満たす道を加える案。学習内容は「統合的な理解・総合的な発揮」に必要なものに精選する方向。

理科のポイント4つ

「科学ガイダンス」を新設

理科と社会・職業との関係が十分理解されていないことが課題とされています。そこで、科学とは何か、理科の全体像、研究倫理などを学ぶ「科学ガイダンス」を中学・高校に新しく設ける方向です。知識の暗記を求める指導にならないようにとしています。 P187

授業では、たとえば1年の最初に「科学的に確かめるとはどういうことか」を、身近なうわさ話を例に話し合う。そんな導入の授業が考えられます。

社会の言説も科学の目で

新しい見方・考え方の案は「自然や社会の事象・言説を」科学の視点で捉えるものです。実験の結果や科学的な知見に基づき、客観的・論理的・批判的に考えます。非科学的なデマがSNSで広がる時代に、科学的な素養をすべての人に身に付けることがねらいとされています。 P183

授業では、たとえば健康食品の広告の主張を読み、「どんな実験なら確かめられるか」を班で考える。そんな学習が方向に沿う例です。

小中高を4分野でつなぐ

今は校種によって分野・領域の分け方や用語が違うことが課題とされています。次期は、小中高共通で物理・化学・生物・地学の4分野で学習内容を整理する方向です。各分野はさらに3つ程度の「区分」に分け、中学校3年間で身に付けたい姿を示すとしています。 P183P186

授業では、たとえば単元の初めに、小学校で学んだ同じ分野の内容を振り返り、高校でどう発展するかも示す。そんなつなぎ方が考えられます。

学び直しや発展的な実験の時間

調整授業時数制度の対象に理科も入るとされています。「裁量的な時間」を使えば、理科の授業を発展させた観察・実験の体験プログラムなどが考えられるとしています。校内での単元構想の研究なども例としてあげられています。 P190

授業では、たとえば裁量的な時間を使い、授業で学んだ内容を発展させた野外観察を行う。そんな取組が一例として考えられます。

主な変更点6項目

中高中学校・高校に「科学ガイダンス」を新設する方向

各分野の学習に入る前に、「科学とは何か、科学的とは何か」、理科の全体像と分野どうしの関係、研究倫理、検証の方法、理科と研究・社会とのつながりを学ぶ内容を中・高に新たに設けることが適当とされた。理科を学ぶ意味を実感させ、知的好奇心を引き出す導入であり、知識の暗記を求める指導にしないよう注意されている。高校では各「○○基礎」に位置付け、最初に学ぶ基礎科目の冒頭である程度まとめて扱う案である。総授業時数を増やさないことが前提である。 P183P187

学習内容の見直し・精選で授業時間に「余白」をつくる

理科は実験のやり直しなどで時間を組み替えることが多いため、時間の余白が不可欠とされた。「統合的な理解」「総合的な発揮」に欠かせない内容を中心に並べ、必ずしも必要でない内容や、学年・学校種の間で重なりが大きい内容は整理する方向である。教科書についても、必ず扱う内容か必要に応じて扱う内容かが分かる工夫を教科書会社に求めることが考えられている。 P189

小・中・高の学習内容を4つの「分野」(物理・化学・生物・地学)で統一

学校段階のつながりや学問の筋道を分かりやすくするため、小・中・高で共通して4分野に分けて内容を整理することが適当とされた。さらに各分野を3つ程度の「区分」に分け、区分ごと・学校種ごとに「統合的な理解・総合的な発揮」を示す方向である。小学校の内容が難しくなるわけではないことは、国が丁寧に知らせるとしている。 P183P186

目標と「見方・考え方」を小中高で統一し、社会の情報も対象に

教科の目標の文言を小・中・高でそろえる方向である。「見方・考え方」は、デマやフェイクニュースが広がる時代を踏まえ、メディアリテラシーや批判的思考を意識したものにし、対象を「自然の事物・現象」から「自然や社会の事象・言説」へ広げる案である。また「科学的な視点」は「自然科学的な視点」と言い換え、人文・社会科学との違いをはっきりさせるとしている。 P183P185

「科学的な探究」の過程を教育課程全体に位置付け、用語もそろえる

今は学校種によって探究の過程の用語などが違い、教科として統一されていないという課題がある。そこで「科学的な探究」の過程を小中高を通して位置付け、解説などで具体的に示すべきとされた。資料編の案では、授業で「課題」を「問い」、「仮説」を「予想」などと言い換えることは妨げないとしている。 P182P183

表形式化は「並列パターン」、「統合的な理解」は平易に示す

理科は知識・技能の積み上がりがはっきりしているので、知識・技能と思考力などを並べて示す「並列パターン」で整理する方向である。「統合的な理解」は、個々の知識をどんな大きな理解に結び付けるかを先生がイメージできるよう、高校も含めできるだけ平易に示すとしている。「総合的な発揮」は、どの区分でも「特徴を見いだして表現する」ことを共通で示し、毎日の授業で科学の考え方を実践できるようにするとしている。 P186

現行と次期の比較(新旧対照)5項目

黄色のマーカー=次期で新しく入る・強く打ち出される言葉 取り消し線=現行から消える・言い方が変わる言葉

項目現行次期(審議まとめの方向)
教科の目標(柱書)小学校は「問題を科学的に解決するために必要な資質・能力」、中・高は「科学的に探究するために必要な資質・能力」など、学校段階ごとに文言が少しずつ違う。基本の方向は変えずに、小・中・高で同じ文言に統一する方向(到達の目安は解説で学校段階ごとに説明)。 P185
目標の「学びに向かう力」で育てたい心情「自然を愛する心情」などは小学校理科だけに書かれている。小・中・高共通で「生命を尊重する心情や人と自然環境の調和に寄与しようとする心情」と示す案。 P185
見方・考え方「(身近な)自然の事物・現象」を「科学的な視点」で捉え、比較したり関係付けたりする方法で考える(小は問題解決、中高は科学的に探究する方法)。「自然や社会の事象・言説」を「自然科学的な視点」から捉え、観察・実験の結果や科学的知見に基づいて客観的・論理的・批判的に考える、と小中高で統一する案。 P183P185
学習内容の分け方中学校は第1分野・第2分野、内容は「エネルギー」「粒子」「生命」「地球」の4領域で整理されている。小・中・高共通で4つの「分野」(物理・化学・生物・地学)に分け、各分野をさらに3つ程度の「区分」にする方向。4領域で育てていた中心の考えは「統合的な理解・総合的な発揮」で表す考え方。 P186
「科学と人間生活」の学び方物理・化学・生物・地学に関する各項目で、それぞれ2つのうち1つを選んで学ぶ。両方を学ぶことも可能にすることが適当とされた(その場合は4単位程度=8新単位)。内容も中学校とのつながりと身近さを重視して見直す方向。 P188

授業時数

高校:新しい単位計算(1新単位=50分×17コマ、P46)で、科学と人間生活4 or 8、各基礎4、各「○○」8新単位(現行は2・2・4単位、P82)。組替えのしくみで例:物理基礎+物理 現行6単位→5~6単位、基礎4科目 現行8単位→6~8単位(細分化しない場合、P190)。小・中:理科の節に具体的な時数の記載はない。総論では、情報の新教科・領域の時数を生むため、小学校3年以上の教科等(35コマ以下のものを除く)から一律3-4%程度を「広く薄く」減らす考え方を示し、実数は今後示すとしている(P79)。理科は調整授業時数の対象教科でもある(P190)。科学ガイダンスは総授業時数を増やさないことが前提(P187)。

生成AI・ICTとの付き合い方2項目

生成AIとデマ・フェイクニュースの時代の科学的な素養

生成AIの発展もあって、非科学的なデマやフェイクニュースがSNSなどで急速に広がっています。だからこそ全ての人に科学的な素養を身に付けさせる理科教育の重要性が高まっており、科学的に探究する従来の「見方・考え方」は引き続き適切だとされています。 P183P185

ICT活用例に「生成AIを適切かつ効果的に利用する」

理科のICT活用は学校や地域で差が大きいので、デジタルとアナログの適切な組み合わせを含む効果的な事例を、国が改訂を待たず広く知らせます。例として、データの記録・蓄積、シミュレーション、センサー、AR/VR、生成AIの適切かつ効果的な利用、ポートフォリオなどが挙がっています。 P191

今からできる準備チェックリスト6項目

  • 今すぐ小中(または中高)で、探究の過程を表す言葉(問題と課題、予想と仮説、計画、考察、結論など)の使い方の違いを一覧にし、ワークシートや掲示の言葉をそろえる準備をします。 P182P183
  • 今すぐデマや誇大広告、ニュースの中の科学的な主張など、「自然や社会の事象・言説」として授業で検証できる題材を集めておきます。実在の商品や個人を攻撃しない形に作り替えて使います。 P183P185
  • 今すぐ観察・実験の器具や実験計測用センサーの整備状況を点検し、理科教育設備整備費等補助金の対象を確かめて、更新の計画を立てます。 P182P192
  • 告示まで中学校・高校の年度初めの授業を、「科学とは何か」「検証の方法」「研究倫理」などを体験的に考える時間として作り直し、「科学ガイダンス」を先取りします。用語の暗記にならないよう、活動中心にします。 P184P187
  • 告示まで現行の学習指導要領・解説に照らして必須事項を確認したうえで、発展資料や例示の扱いを見直し、再実験などに使える時間の余白を単元計画の中で検討します。次期課程での正式な区分は、告示・解説・教師用指導書の公表後に反映します。 P189
  • 全面実施まで小中(または中高)の先生で合同の研究授業や教材研究を行い、学校種をまたいだ学習内容のつながりを確かめます。調整授業時数の「研究・研修等枠」の活用例にもあがっている取組です。 P182P190

次期を先取りする授業アイデア1本

中1(年度初め)1単位時間(50分)

その広告、科学的に確かめられる?

架空の広告の主張を、比べる・条件をそろえる・くり返すの視点で検証する計画を立てます。

手順・ワークシート

ねらい

身近な主張について、確かめられる形に言い換え、比べる対象・そろえる条件・回数を考えた検証の計画を立てることを通して、科学的に確かめるとはどういうことかを自分の言葉で説明できる。

流れ

  1. 5分広告カード①を見せ、「本当だと思う?」と聞きます。「愛用者の声」が根拠になっているかを問い、本時の問い「科学的に確かめるとはどういうことか」を示します。
  2. 10分班で①の主張を確かめられる形に言い換えます(例:「石を置いた鉢と置かない鉢で、2週間後の草たけを比べると差が出る」)。比べる相手、そろえる条件(植物の種類・土・水・日当たり)、数(それぞれ何鉢ずつか)を検証計画シートに書きます。
  3. 10分班ごとに計画を発表し、観点カードを使って「この計画なら、別の人がくり返しても同じ傾向が得られるか」「たまたまの差ではないと言えるか」を質問し合います。
  4. 10分②か③を選び、同じように計画を立てます。②は「頭がよくなる」があいまいで測り方を決めにくいことに気付かせ、「確かめられる主張」と「確かめにくい主張」があることを話し合います。
  5. 10分先生が「都合のよい結果だけを選んで発表したらどうなるか」と投げかけ、データを正直に扱うこと(研究倫理)がなぜ大切かを班で考えます。小学校で行った条件をそろえる実験(例:発芽の条件)を思い出させ、これからの理科の学習とつなげます。
  6. 5分振り返りとして、「科学的に確かめる」とはどういうことかを、今日の言葉を使って2〜3文で書きます。

評価

【思考・判断・表現】主張を確かめられる形に言い換え、比べる対象・そろえる条件・回数を考えた検証計画を立てているかを、検証計画シートで見取ります。【主体的に学習に取り組む態度】ほかの班の計画に観点をもって質問し、自分たちの計画を見直そうとしているかを見ます。用語を覚えたかどうかではなく、計画の中で考え方を使えているかを重く見ます。

指導案(試案)1本

中学校第1学年理科全6時間(本時は第4時)

身の回りの物質とその性質 ~白い粉の正体を、実験で確かめて見きわめよう~

中教審の審議まとめ(2026年10月5日)で示された、理科の見方・考え方(案)の対象を「自然や社会の事象・言説」に広げ、観察、実験の結果などに基づいて客観的、論理的、批判的に考察するという方向性と、「科学的な探究」の過程を小・中・高で位置付けて用語をそろえるという方向性を先取りした試案である。次期学…

指導案の全文

本時のねらい

3種類の白い粉の正体を見分けるために、これまでに学んだ物質の性質の調べ方を組み合わせて検証計画を立てて実験し、結果を根拠にして結論を表現することができる。

本時の流れ

  1. 5分導入 先生が教材として用意した容器A・B・C(中身は砂糖・食塩・デンプンのどれかであることを先生が確かめ済み)の正体を見分ける、という課題を知る。友達の「見た目と手ざわりで分かるよ」という言い分を聞き、本時の課題を確かめる。
  2. 10分展開 班で仮説(予想)と検証計画を立てる。まず見た目と手ざわり(ルーペで観察)で予想を書き、次に、どの方法(水にとかす・加熱する など)をどの順で行えば3つを区別できるか、結果がどうなればどの物質と言えるかを「予想の表」にまとめる。
  3. 25分展開 計画に沿って実験する。①ルーペで粒の形を観察し、手ざわりを記録する。②少量を水に入れてかき混ぜ、とけ方を調べる。③燃焼さじにのせてガスバーナーで加熱し、変化(とける・こげる・はじける など)を調べる。結果を表に記録する。最後の5分で、ガスバーナーの火を消し、燃焼さじが冷めてから集めて片付ける。
  4. 5分展開 記録した表をもとに、結論と根拠を書く(班の結果の共有表への入力と、他の班の結果との比較は第5時に行う)。
  5. 5分まとめ 友達の言い分「見た目と手ざわりで分かる」に、実験の結果を使って答える一文を書く。見分けるのに役立った性質を全体で確認する。

PDF版:shidoan-chu1-rika-shiroi-kona.pdf(ダウンロードコーナー)

現行の学習指導要領・解説(中学校)

文部科学省の公式PDFです(クリックで開けます)。

次期学習指導要領 教科別まとめ中学校No.05
中学校版
審議まとめ(2026年10月5日)を中学校の先生向けにまとめ直しました

音楽・美術次期学習指導要領で、どう変わる?

思いをもつことから表すまでを、一続きの学びに

10秒でいうと

美術は発想から工夫して表すまでを「思考・判断・表現」に。鑑賞にも「技能」を示す

やさしく言うと

中学校の音楽と美術でも、思いをもつことと表すことを一続きでとらえる方向です。美術は、発想から工夫して表すまでを「思考・判断・表現」として示し、鑑賞にも「技能」を示す方向です。音楽は、知識と技能を一文で示し、身体の使い方を重視する方向です。漫画やアニメーション、映像などの表現や鑑賞も、端末を使って充実させる方向です。

中学校はいつから?

全面実施2031年度(令和13年度)から(見込み)
移行期間2028〜2030年度
告示2026年度末の予定
教科書2031年度から新しい教科書(2029年度に検定)
無料原田英語.com 次期学習指導要領ナビ

研修・会議・授業・保護者会での印刷・コピー・配布・投影はご自由にどうぞ。ご連絡は不要です。クレジットは残してください。審議まとめ(2026年10月5日)準拠・出典ページつき。告示前の方向性で、今後変わることがあります。2026年11月4日 版

サイトで見る

芸術(音楽・図画工作・美術・書道等)の3行要約(全校種)

  1. 思いをもつ・発想する段階と、工夫して表す段階を切り分けず、一続きの「思考・判断・表現」として育てる形に整理する方向です。
  2. 小学校音楽の「歌唱」と「器楽」が「歌唱・器楽」にまとめる案など、区分の統合や具体的すぎる記述の見直しで、授業の組み立てが柔軟にする方向です。
  3. 高校芸術科では、どの科目を選んでも芸術の全体像や意味を考える時間を設け、評価は複数の題材をまとめて総括することもできると示されました。

音楽・美術のポイント4つ

美術は学びの向きが分かる区分に

美術では、活動そのものが目的になり、育てたい力があいまいな指導が見られるとされました。そこで「自分と美術」「生活や社会と美術」のように、学びの方向が分かる区分で整理する例が示されています。発想・構想から工夫して表すまでは、まとめて「思考・判断・表現」とする方向です。 P214P215P216

授業では、たとえば「生活や社会と美術」の視点で校内の案内表示をデザインし直し、使う人の声をもとに改善する、といった題材が考えられます。

鑑賞の技能と〔共通事項〕の見直し

美術作品から特徴を見付けたり、情報を読み取ったりする「鑑賞の技能」を示す方向です。〔共通事項〕(表現と鑑賞の両方で働く事項)には、造形の働きや美術文化などを示す方向です。中学校では、具体的すぎる記述を内容の取扱いに移すことも示されています。 P216P219

授業では、たとえば作品の構図や色の対比を手掛かりに作者の意図を読み取り、根拠を挙げて紹介文を書く、といった授業が考えられます。

音楽は知識と技能を一文で、身体の使い方を重視

音楽では、知識と技能の関係をはっきりさせ、一文で示す方向です。「自分でやってわかる」ことが前提とされています。歌唱や器楽では、いろいろな歌い方や楽器に対応できる技能として、身体の使い方を重視します。中学校の鑑賞は、内容の取扱いと重なる記述を整理するとされています。 P216P219

授業では、たとえば合唱の練習で息の使い方を変えて歌い比べ、響きの違いを言葉にしてから表現を工夫する、といった授業が考えられます。

漫画・アニメ・映像の学びと生成AIの扱い

漫画、アニメーション、映像などの多様なメディアによる表現と鑑賞を、端末を使って充実させる方向です。特別なソフトがなくても、撮影や描画などの基本機能で実践できることが望まれています。一方、表現の過程を安易に生成AIに任せるのは適切でないとされています。 P218P221

授業では、たとえば端末で描いた絵を何枚も撮影してつなぎ、短いアニメーションを作って発表し合う、といった授業が考えられます。

主な変更点7項目

小中高発想・構想から工夫して表すまでを、まるごと「思考・判断・表現」に

これまで図画工作・美術・工芸では、発想や構想は「思考・判断・表現」、材料や用具を使って工夫して表す段階は「技能」と分けていましたが、両者は続いていて違いが分かりにくいという課題がありました。次期では、発想・構想から工夫して表現するまでの流れ全体を「思考・判断・表現」として示す方向です。音楽(習得した技能を生かして工夫して表現する過程全体)や書道(構想・工夫して表現する過程全体)も同じ考え方です。 P212P214P216

評価:題材ごとに全観点を記録しなくてよい。複数題材でまとめて総括も可

短い題材でも3つの観点すべてを記録に残そうとして、総括的な評価ばかりになる実態が指摘されました。そこで、年間指導計画を踏まえ、複数の題材や単元、区分をまとめて総括的評価をしてもよいことが示されました。学習の途中で行う形成的評価(指導に生かす評価)を重視し、「思考・判断・表現」は完成作品だけでなく、歌ったり作ったりする過程の中での姿でとらえます。他者と比べるのではなく、一人一人のよさや成長を肯定的に評価することも重視するとされました。 P221

小中高図画工作・美術:学びの方向が分かる新しい区分と〔共通事項〕の見直し

活動そのものが目的になり、育てたい力があいまいな指導が見られるため、学びの方向性が分かる区分で整理する方向です。例として、小学校図画工作は「自分と材料や場所」「自分と表したいこと」、中学校美術は「自分と美術」「生活や社会と美術」が挙げられています。〔共通事項〕(表現と鑑賞の両方で働く事項)には、造形の働き、美術の働き、美術文化、工芸の伝統と文化に関する事項を示す方向です。技能は、材料や用具の特徴を生かして使うことや表現方法を追求することとして示す方向です。 P215P216P219

小中高鑑賞にも「技能」を示す(図画工作・美術・工芸・書道)

鑑賞の活動を充実させるため、作品から特徴を見付けたり情報を読み取ったりする「鑑賞の技能」を示す方向です。書道では、作品や書から読み取った情報を精査することなどが鑑賞の技能になります。鑑賞を通して育てる力をはっきりさせ、表現と鑑賞を行き来する学びにつなげるねらいです。 P216P219

小中高音楽:知識と技能を一文で示し、「身体の使い方」を重視

子供が技能の必要性を感じ、実感を伴って理解できるよう、知識と技能の関係をはっきりさせて一文で示す方向です(「自分でやってわかる」ことが前提)。歌唱や器楽では、いろいろな歌い方や楽器に対応できる技能として身体の使い方を重視する方向です。音楽づくり/創作は小・中・高のつながりを明確にし、中・高の鑑賞は内容の取扱いと重なる記述を整理する方向です。 P216P219

マンガ・アニメ・ゲーム・映像など、多様な芸術や文化の学びを充実

メディア芸術(映画、漫画、アニメーション、コンピュータ等を使った芸術)や舞台芸術など、多様な芸術や文化に触れる機会を、芸術系教科だけでなく教育課程全体で充実させる方向です。図画工作・美術・工芸では端末を使った漫画・アニメーション・映像などの表現や鑑賞、発表・展示を発達の段階に応じて充実させる方向です。特別なソフトウェアがなくても、端末の撮影・記録や描画・加工といった基本機能で実践できることが望まれています。 P218

生成AIは「ツール」として。表現の過程を安易に任せない

デジタル学習基盤の活用には生成AIも含まれますが、表現する過程を安易に生成AIに任せることは適切でないとされました。人間ならではの感性や身体性を土台にした創造的な表現を大切にし、ツールとして適切に使うことが求められます。また、子供が芸術に関する様々なコンテンツに触れる機会が多いことから、発達の段階に応じて知的財産の保護と活用に関する指導を充実させる方向です。 P221

現行と次期の比較(新旧対照)3項目

黄色のマーカー=次期で新しく入る・強く打ち出される言葉 取り消し線=現行から消える・言い方が変わる言葉

項目現行次期(審議まとめの方向)
図画工作・美術・工芸の「思考・判断・表現」と「技能」の線引き発想や構想をする段階は「思考・判断・表現」、材料や用具を使い工夫して表す段階は「技能」と位置付けている。発想や構想をし、工夫して表現するまでのつながり全体を「思考・判断・表現」として示す。 P212P214
書道の指導事項の示し方漢字仮名交じりの書・漢字の書・仮名の書と鑑賞のそれぞれの事項で、字形や全体の構成などを具体的に示している。〔共通事項〕で「書を構成する要素などの働き・関係」として整理し、学校の実態に応じて柔軟に指導できるようにする。 P219
学習評価(総括のしかた)短い題材でも3観点すべてを評価しようとして記録に残す評価だけになったり、完成作品だけで技能や思考・判断・表現を評価したりする実態がある。複数の題材・単元・区分でまとめて総括的評価をしてもよい。形成的評価を重視し、思考・判断・表現は学習の過程の中の姿でとらえる。 P221

授業時数

小・中学校の音楽・図画工作・美術の具体的な時数は本文に示されていない(総論では、新教科・領域の時数を確保するため小3以上の教科等から一律3〜4%程度を減じるが、現在35コマ以下の教科等からは減じないとし、具体の数値は今後示すとしている。P79)。高校は各科目4新単位とする案で、必履修教科ごとの合計が3新単位以下になる減単は不可のため、芸術(音楽Ⅰ・美術Ⅰ・工芸Ⅰ・書道Ⅰのいずれか)は減単不可とすべきとされた(P47)。

生成AI・ICTとの付き合い方3項目

AIの進化の中での芸術の意義

AIの進化などで正解のない問いに向き合う力が求められる中、人間の本来的な能力として芸術の学びの意義が改めて示されています。 P212

生成AIも使うが、表現する過程を安易に委ねない

デジタル学習基盤の活用には生成AIも含みますが、表現する過程などを安易に生成AIに任せることは適切ではないとされています。発達の段階を考え、人間ならではの感性や身体性をもとにした創造的な表現を大切にし、ツールとして適切に使うことが重要です。 P221

デジタルの効果的な活用

鑑賞での作品比較・意見共有・遠隔交流、表現での試行錯誤や記録・保存などに、デジタル学習基盤を生かします。漫画・アニメーション・映像などのメディアによる表現や鑑賞も充実させ、特別なソフトがなくても撮影・描画・加工などの基本機能で端末を活用することが望まれています。 P216P218P221

今からできる準備チェックリスト6項目

  • 今すぐ年間指導計画を見て、短い題材ごとに3観点すべてを記録している所を洗い出し、複数の題材・単元・区分をまとめて総括する組み合わせを検討します。 P221
  • 今すぐ歌ったり作ったりしている途中の姿を写真・録音・録画で残す仕組みをつくり、完成作品だけで技能や思考・判断・表現を評価しない形に近づけます。記録は学校・教育委員会の情報セキュリティ方針に従い、承認済みの学習用フォルダに閲覧者を限って保存し、顔や氏名は必要以上に記録せず、保存期間が過ぎたら削除します。校外に公開する場合は、本人・保護者への説明と同意、著作権・肖像への配慮を経て行います。 P221
  • 告示まで図画工作・美術・書道の鑑賞で、作品から特徴を見付ける・情報を読み取るといった「鑑賞の技能」を、どんな姿で見取るかを教科会で言葉にしておきます。 P216P219
  • 告示まで生成AIの扱いについて「表現する過程を安易に任せない」「使うならツールとして」という線引きを教科内でそろえ、他人の作品やキャラクターを扱うときの知的財産の指導も題材の中に位置付けます。 P221
  • 告示まで地域の文化施設や専門的な人材との連携を見直し、どの資質・能力を育てるための連携かを学校側で明確にしてから、年間計画に位置付けます。 P220
  • 先行実施まで端末の撮影・記録、描画・加工といった基本機能だけでできる漫画・アニメーション・映像の題材を1つ開発し、校内展示やオンラインでの発表の場もあわせて計画します。 P218

次期を先取りする授業アイデア1本

中21単位時間(50分)

粘土が動き出す!端末で10秒コマ撮りアニメ

学校端末の基本機能で、撮って・見て・撮り直す。動きの感じを試行錯誤で追いかけます。

手順・ワークシート

ねらい

伝えたい動きの感じを主題としてもち、粘土の形や動かす間隔を工夫してコマ撮りアニメーションに表すとともに、友達の作品から動きを感じさせる特徴を見付けて自分の表現に生かす。

流れ

  1. 5分先生が見本アニメ2本を続けて見せ、「どちらが弾んで見える?それはなぜ?」と問います。生徒の意見から、1コマごとに動かす間隔を変えると速さや重さの感じが変わることを確かめます。
  2. 8分一人一人が「ゆっくり伸びる」「重そうに転がる」「びっくりして跳ねる」など伝えたい動きの感じを決め、3コマのラフをアイデアスケッチにかきます。ペアでどちらの案を撮るか、または2つをつなげるかを決めます。
  3. 20分端末を固定し、粘土を少しずつ動かしながら連続して撮影します。数コマ撮るごとに再生して確かめ、思った感じにならないところは間隔や形を変えて撮り直します。先生は机間指導で「どこで重さを感じさせたい?」などと問いかけます。
  4. 10分2組で作品を見せ合う途中鑑賞をします。見る側は「どのコマで動きの感じが伝わったか」「もっと伝えるならどこを変えるか」を具体的に伝え、作り手はメモします。
  5. 7分もらった意見をもとに一部を撮り直し、振り返りシートに工夫したことと次に試したいことを書きます。完成途中の作品は学習用フォルダに保存します。

評価

思考・判断・表現は、アイデアスケッチから撮り直しまでの過程(途中の再生・修正の様子、振り返りシート)で見取り、完成作品だけで判断しません。鑑賞では、友達の作品から動きを感じさせる特徴を具体的に見付けて言葉にできているかを見ます。この時間は形成的評価を中心にし、題材の終わりやほかの題材とあわせて総括します。

現行の学習指導要領・解説(中学校)

文部科学省の公式PDFです(クリックで開けます)。

次期学習指導要領 教科別まとめ中学校No.06
中学校版
審議まとめ(2026年10月5日)を中学校の先生向けにまとめ直しました

家庭次期学習指導要領で、どう変わる?

領域を5つに再編し、中学校では独立した教科に

10秒でいうと

技術・家庭科から「家庭科」が独立した教科に。金銭管理と消費者の権利を新B領域で統合

やさしく言うと

中学校では、技術・家庭科が「情報・技術科」(仮称)と「家庭科」に分かれ、家庭科が独立した教科になる方向です。領域は小・高と同じ5つに再編する方向です。新しいB領域では、金銭の管理と消費者の権利をまとめて学ぶ方向です。住生活では、家全体の中で危険を見付けて対策を考える学習を丁寧に行う方向です。高齢者との関わり方なども充実させる方向です。

中学校はいつから?

全面実施2031年度(令和13年度)から(見込み)
移行期間2028〜2030年度
告示2026年度末の予定
教科書2031年度から新しい教科書(2029年度に検定)
無料原田英語.com 次期学習指導要領ナビ

研修・会議・授業・保護者会での印刷・コピー・配布・投影はご自由にどうぞ。ご連絡は不要です。クレジットは残してください。審議まとめ(2026年10月5日)準拠・出典ページつき。告示前の方向性で、今後変わることがあります。2026年11月4日 版

サイトで見る

家庭の3行要約(全校種)

  1. 中学校の技術・家庭科は「情報・技術科」と「家庭科」に分ける方向で、家庭科は独立した教科として新しい目標が検討されます。
  2. 小・中・高を通して、領域が「家族・家庭と生涯発達」「生活の経営と消費生活」「食生活」「衣生活」「住生活」(いずれも仮称)の5つに再編する案で、一部の内容は学校段階をまたいで移す方向です。
  3. 高校では、ホームプロジェクトと学校家庭クラブ活動が各領域の中の「生活の課題と実践」(仮称)とし、「家庭総合」には領域を貫く「総合生活実践」(仮称)を加える案です。

※5領域の名称、「生活の課題と実践」、家庭総合のF領域「総合生活実践」は仮称。

家庭のポイント4つ

家庭科が独立した教科に

今の技術・家庭科は、免許や担当教員は別なのに、評定は一つの教科として付けています。このデメリットが大きいとして、家庭科を独立の教科とする方向が示されました。そのため、家庭科として新しい目標を検討する必要があるとされています。 P74P223

授業では、たとえば技術分野の先生と、評定や年間計画の分け方を話し合い、家庭科だけの指導計画の案を作っておく準備が考えられます。

お金と消費を新しいB領域でまとめて学ぶ

今の「金銭の管理と購入」と「消費者の権利と責任」を、新しいB領域にまとめる方向です。消費と環境を一体的に学ぶねらいです。高校で扱っていた「生活の営みに必要な金銭」や「生活時間」も中学校に移す方向です。キャッシュレス化への対応なども、発達段階をふまえて扱います。 P227P231

授業では、たとえばスマートフォン決済の便利さとリスクを比べ、1か月のこづかい計画を立てて見直す、といった授業が考えられます。

住生活は家全体で危険を見付けて対策

中学校の住生活では、間取り図なども使って住まいの空間構成をとらえる方向です。そのうえで、家全体の中で危険を見付けて対策を考え、家庭で実践する一連の学習を丁寧に行います。「家庭内の事故の防ぎ方」は、高校で重点的に学ぶ方向です。 P232

授業では、たとえば教材用の間取り図を使って、つまずきや転倒の危険がある場所に印をつけて対策を考え、その考えを家庭で家族と話し合う、といった授業が考えられます。自分の家を扱うときは、間取りを提出・共有させない配慮が必要です。

社会の変化に合わせた内容の充実

地域の高齢者が増えていることをふまえ、認知機能などの低下や、状況に応じた関わり方を中学校・高校で扱う方向です。食文化など生活文化の継承を重視する学習も、中学校・高校で扱います。衣服の再利用は、衣服のライフサイクルを考えた選択・活用の一つとして扱う方向です。 P231P232

授業では、たとえば地域の高齢者の方の話を聞き、聞こえにくさなどに配慮した話し方を考えて交流する、といった授業が考えられます。

主な変更点6項目

中中学校:技術・家庭科から「家庭科」を独立させる方向

今の技術・家庭科は、免許や担当教員は別なのに評定は1つの教科として記載しているなどのデメリットが大きいとされました。そこで家庭科を独立の教科とし、技術分野は「情報・技術科」とする方向が示されました。家庭科として新たな目標を検討する必要があるとされています。 P74P223

小中高領域をA〜Eの5つに再編(「家庭総合」はFを加えて6つ)

「生活の基盤」に関する領域として「A 家族・家庭と生涯発達(仮称)」(人に関すること)と「B 生活の経営と消費生活(仮称)」(暮らしの営み方=マネジメント)を置く案です。「生活を構成する要素」に関する領域として「C 食生活(仮称)」「D 衣生活(仮称)」「E 住生活(仮称)」を置き、食育の重要性も踏まえて「食・衣・住」の順に並べる案です。生涯の生活設計と消費生活はB領域で関連付けて扱い、消費者教育や金融経済教育もBに明示する方向です。 P225P230P231

小中高内容の移管・統合:住まいの働きや家庭内事故は高校へ、金銭管理は中学校へ

小学校の「住まいの主な働き」と中学校の「家庭内事故の防ぎ方など」は、最も効果的に理解できる高校へ移す方向です。中学校の「金銭の管理と購入」と「消費者の権利と責任」は新しいB領域でまとめ、消費と環境を一体的に学ぶ方向です。高校「家庭総合」にあった「生活の営みに必要な金銭」と「生活時間などの生活資源」は、中学校のB領域「家庭生活と生活資源のマネジメント」に移す方向です。中学校の住生活では、間取り図などで家全体の危険を見付けて対策を考え、家庭で実践する流れを丁寧に行う方向です。 P226P227P232

小中高布を用いた製作・衣服の再利用の扱いを整理

小学校の「生活を豊かにするための布を用いた製作」は新しいD(2)「布を用いた製作の基礎」に、中学校の同じ項目はD(2)「生活を豊かにする布を用いた製作」に整理する案です。布を用いた製作は、小・中・高のつながりを踏まえ、知識・技能を段階的に身に付けて活用する内容とする方向です。中学校の「衣服等の再利用の方法」は、衣服のライフサイクルを意識した選択・活用の一つとして、必要に応じて製作の学習で取り入れる方向です。 P226P232

中高社会の変化に合わせて充実する内容(高齢者・健康・お金・生活文化)

地域の高齢者が増えていることを踏まえ、認知機能・身体機能・言語機能の低下や状況に応じた関わり方を中学校・高校で学ぶ方向です。高校のA領域を中心に、青年期から自分の健康状態や生活習慣を整える学習を行い、社会保障や奨学金などの社会制度の活用も高校で扱います。キャッシュレス化への対応やリスク管理を踏まえた家計管理など、自立した消費者を育てる学習も発達の段階に応じて扱う方向です。生活文化の継承の観点をより重視する学習は、食生活では中学校・高校で、衣生活・住生活では高校で扱う方向です。 P225P231P232

評価:「学びに向かう力」は「見取る姿」で個人内評価、「思・判・表」に「○」

「学びに向かう力」については、「初発の思考や行動・好奇心」「学びの主体的な調整」「対話や協働」の3要素からなる「見取る姿」を示す予定です。教師は思考・判断・表現の学習過程の中で、これらの姿が続けて発揮されているかを見取り、見取れた場合は「思・判・表」に「○」を付けて一体的に評価します。この部分は個人内評価(他者と比べない評価)として扱う方向です。 P233

現行と次期の比較(新旧対照)6項目

黄色のマーカー=次期で新しく入る・強く打ち出される言葉 取り消し線=現行から消える・言い方が変わる言葉

項目現行次期(審議まとめの方向)
中学校の教科の形技術・家庭科(家庭分野)。免許・担当教員は別だが、評定は1つの教科として記載。家庭科を独立の教科とし、技術分野は「情報・技術科」とすることが適当とされた。 P74P223
「家庭総合」の履修年次複数年次に分けて履修する場合は原則として連続する2か年。内容のCは原則として入学年次とその次の年次の2か年のうちに取り上げる。連続2か年の規定を見直し、隔年での実施なども可能に。2か年のうちに取り上げる規定はB領域(生活の経営と消費生活)として明記。 P224P228
「家庭基礎」と「家庭総合」の違い科目の目標や学習内容に明確な差異が見いだしにくく、教科書の記述にも大きな差がない。家庭基礎=生活を営み家庭や地域の生活を「支える」力、家庭総合=多面的に生活を捉え家庭や地域の生活を「向上させる」力を育てる科目として趣旨を明確化。 P224P227
見方・考え方「協力・協働」「健康・快適・安全」「生活文化の継承・創造」「持続可能な社会の構築」等の事項を示していた。家庭科の本質に焦点化して短く示し、小・中・高で統一。上記の要素は「統合的な理解・総合的な発揮」の中で内容に即して示す。 P229
中学校の消費生活の項目C(1)「金銭の管理と購入」とC(2)「消費者の権利と責任」に分かれている。新しいB領域で整理・統合し、消費と環境を一体的に学ぶ。思考・判断・表現の指導事項も統合。 P227
住まいの働き・家庭内事故の防ぎ方小学校B(6)ア(ア)「住まいの主な働き」、中学校B(6)ア(イ)「家庭内事故の防ぎ方など」で扱う。高校へ移管。家庭内の事故の防ぎ方は高校の「ライフステージに応じた住生活」で重点的に学ぶ。 P227P232

授業時数

中学校で独立させる方向の家庭科の時数は本文に示されていない(総論では、小3以上の教科等から一律3〜4%程度を減じるが現在35コマ以下の教科等からは減じず、具体の数値は今後示すとしている。P79)。高校の家庭基礎は、必履修教科ごとの合計が3新単位以下となる減単が不可のため減単不可とすべきとされた(P47)。家庭総合は「連続する2か年」の履修規定を見直す方向(P228)。

生成AI・ICTとの付き合い方3項目

生成AIなどの特性をふまえた情報収集・活用

集めた情報から考え、根拠を持って自分の考えを他の人に伝えるためには、生成AIなどの特性をふまえた適切で有効な情報収集・活用が求められるとされています。デジタル技術の操作そのものを目的にせず、実践的・体験的な活動を通して力を育てる観点で活用を考えます。 P225

家庭科のAI活用の基本的な考え方

子供が自分で考え、判断し、成果物を自分の言葉で説明し、最終的に自分で責任を持つという考えのもと、教師は問題解決的な学習を展開し、評価方法を改善することが当面の基本的な考え方とされています。 P233

1人1台端末を問題解決的な学習の基盤に

端末を問題解決的な学習に必要な学習基盤として位置付けるとされています。例として、調理や製作の様子を動画で撮って分析する、実践の前後を画像で比べる、3Dで住まいの間取りを計画する、が挙がっています。資料編には、AIを活用した情報の収集・整理や、AIを活用した客観的な評価の例も示されています。 P233資料編(2)P122

今からできる準備チェックリスト6項目

  • 今すぐ題材の課題設定が先生主導になっていないか点検し、子供が自分の生活を見つめて問題を見いだし、課題を設定する時間を各題材に入れます。 P223
  • 今すぐ調理や製作の様子を動画で撮って分析する、実践の前後を画像で比べる活動を1つの題材で試し、撮影範囲(手元だけなど)や撮ったデータの扱いのルールもあわせて決めます。 P233
  • 今すぐ生成AIを使う場面を設けるときは、子供が自分で考え判断し、成果物を自分の言葉で説明し、最後は自分で責任を持つことを条件にし、その説明を評価する方法も決めておきます。 P225P233
  • 告示まで今の年間指導計画の題材を、新しい5領域(家族・家庭と生涯発達/生活の経営と消費生活/食生活/衣生活/住生活、いずれも仮称)に振り分け直し、移される内容(小学校の「住まいの主な働き」と中学校の「家庭内事故の防ぎ方など」は高校へ、高校の金銭・生活時間などの生活資源は中学校へ)を確認します。 P225P227P230
  • 告示まで中学校では、家庭科が独立した教科になる方向をふまえ、これまで技術分野と合わせて1つにしていた評定の根拠を、家庭分野だけで説明できるよう評価の記録を分けて整理しておきます。 P74P223
  • 全面実施まで「学びに向かう力」の見取る姿の3要素(初発の思考や行動・好奇心/学びの主体的な調整/対話や協働)を手掛かりに、思考・判断・表現の過程で姿を記録する方法を試し、「○」を付ける評価に備えます。 P233

次期を先取りする授業アイデア1本

中11単位時間(50分)

間取り図で家じゅう点検!地震に備える住まい

架空の家の間取り図で、家族それぞれの立場から危険を探し、自分の家で1つ実践する計画を立てます。

手順・ワークシート

ねらい

間取り図から住まいの空間構成を読み取り、家族の立場や時間帯を変えながら地震のときに危険になる場所を見付け、優先順位を考えて対策を選び、自分の家で実践する計画を立てる。

流れ

  1. 5分架空の家の間取り図を配り、開き戸・引き戸・窓・階段などの記号と、部屋のつながり(玄関までの通り道)を全員で読み取ります。
  2. 12分個人で、地震が起きたときに危ないと思う場所に赤シールをはり、その理由をメモします。続けてグループで見比べ、家具の転倒、ガラスの飛散、避難する通路をふさぐ物などの観点で整理します。
  3. 10分先生が「夜、みんなが寝ているとき」「幼児が一人で遊んでいるとき」「祖母が台所にいるとき」と場面を変えて示し、グループで黄シールを追加します。同じ家でも、家族の立場や時間帯によって危険な場所が変わることを確かめます。
  4. 13分見付けた危険に対する対策を対策カードに書き、効果・手間・費用の3つの観点で優先順位を話し合います。先生は「寝ている場所に倒れてくる物がないか」を最優先に考えるよう助言します。
  5. 10分家庭実践計画シートに、自分の家で家族と相談して取り組む対策を1つ書きます。自分の家の間取りや家の中の写真は学校に出さなくてよいことを伝えます。数人が計画を紹介し、実践後に振り返る日を確かめます。

評価

思考・判断・表現は、家族の立場や場面を変えて危険を見付けているか、対策の優先順位に理由をもっているかを、シール図とカード、計画シートで見取ります。知識・技能は、間取り図から空間構成や避難の通り道を読み取れているかで見ます。家庭での実践後の振り返りで、家族との対話を通して自分の考えを捉え直している姿は「対話や協働」の手掛かりとして記録します。

現行の学習指導要領・解説(中学校)

文部科学省の公式PDFです(クリックで開けます)。

次期学習指導要領 教科別まとめ中学校No.07
中学校版
審議まとめ(2026年10月5日)を中学校の先生向けにまとめ直しました

情報・技術科(仮称)次期学習指導要領で、どう変わる?

小は総合に「情報の領域」、中は新教科、高は情報科を充実

10秒でいうと

技術分野を新教科「情報・技術科(仮称)」に。1・2年は最大70、3年は最大35コマ程度

やさしく言うと

中学校では、技術・家庭科の技術分野を、新しい教科「情報・技術科」(仮称)とする案です。「情報技術」と「情報を基盤とした生産技術」の2つの領域で構成する方向です。必要な時数は、1・2年が各学年最大70コマ程度、3年が最大35コマ程度の見込みです。中学校では令和11年度から段階的に先行実施する方向です。

中学校はいつから?

全面実施2031年度(令和13年度)から(見込み)
移行期間2028〜2030年度
告示2026年度末の予定
教科書2031年度から新しい教科書(2029年度に検定)
無料原田英語.com 次期学習指導要領ナビ

研修・会議・授業・保護者会での印刷・コピー・配布・投影はご自由にどうぞ。ご連絡は不要です。クレジットは残してください。審議まとめ(2026年10月5日)準拠・出典ページつき。告示前の方向性で、今後変わることがあります。2026年11月4日 版

サイトで見る

情報・技術、情報の3行要約(全校種)

  1. 中学校の技術・家庭科は「情報・技術科」と「家庭科」に分け、情報・技術科は「情報技術」と「情報を基盤とした生産技術」の2領域とする案が示された。
  2. 小学校の総合的な探究の時間に「情報の領域」を加え、3〜6年で情報技術の使い方・安全な扱い方・仕組みを順序立てて学ぶ方向。
  3. 新しい教科・領域の時数は、総時数を増やさず他教科から広く薄く確保する方向で、現時点の試算では一律3〜4%程度の減少が見込まれる(具体の時数は今後検討)。高校は情報Ⅰ・Ⅱを維持し、AI・データと探究(PBL)を強化する案。

※「情報・技術科」は資料編では仮称で、2領域で構成する案。小・中のコマ数は学習活動を積み上げた「各学年最大」の見込みで、標準授業時数の実数は今後示される。新教科・領域は小学校が令和10年度、中学校が令和11年度から段階的に先行実施。

情報・技術科(仮称)のポイント4つ

2つの領域と7つの内容項目

情報技術の領域は「情報の表現とデジタル化」「プログラミングと自動化」「情報基盤とシステム化」の3項目の案です。生産技術の領域は4項目の案です。「材料加工とデジタル製作」「生物育成とデータ活用」「エネルギー変換とスマート化」「技術の統合」です(いずれも仮称)。 P241P252

授業では、たとえば作物の栽培で土の水分をセンサーで測り、そのデータを見て水やりの時期を判断する、といった授業が考えられます。

新しく「技術の統合」を学ぶ

新しく「技術の統合」(仮称)を設け、複数の技術を組み合わせて課題を解決する学習を行う方向です。自動運転や介護ロボットのように、技術が組み合わさって働く仕組みを理解するねらいです。まとまった時間を確保できるよう、柔軟な指導計画を可能にすることが考えられています。 P252P254

授業では、たとえば以前作った木製の作品にセンサーと照明を付け、防災に役立つ機能を持たせる、といった題材が考えられます。

仕組みを知り、使って解決し、ふり返る

今の技術科では、多くの生徒が体験だけで終わり、深い理解に至っていないことが課題とされました。そこで、技術の原理や仕組みを知る、問題解決を実践する、技術を俯瞰・評価する、という流れを重視する方向です。学習の順序は、引き続き教師の裁量に委ねる考え方です。 P241P254P259

授業では、たとえば通信の仕組みを学んだあと、情報を伝えるアプリを作り、最後に便利さとリスクを話し合う、といった単元が考えられます。

過程を見る評価と、先生への支援

評価では、課題解決の過程や取組の様子を重視する方向です。端末で問題解決の過程を記録・共有したり、ルーブリック(到達の目安の表)を使ったりすることが示されています。国は研修や、オンラインの免許法認定講習の充実、遠隔授業などの実証を進めるとしています。 P261P262

授業では、たとえば製作の途中経過を毎時間、写真とメモで端末に残し、ルーブリックを見ながら自分で改善点を書く、といった進め方が考えられます。

主な変更点8項目

中中学校の技術・家庭科が分かれ、新教科「情報・技術科」とする案

今の技術・家庭科は、技術分野と家庭分野で免許も担当も別なのに、成績(評定)は1つの教科として付けている。そのデメリットが大きいため、家庭科を独立した教科にし、技術分野は時数を確保したうえで「情報・技術科」とすることが適当とされた。名前は「情報技術科」ではなく「情報・技術科」で、情報技術だけでなく、ものづくりなどの生産技術もいっしょに学ぶ教科だと周知していくとされている。 P74P241

新教科・領域の時数は、他の教科から「広く薄く」減らして生み出す方向

年間の総授業時数は増やさない前提のため、新教科・領域の時数を特定の教科から削るのではなく、小学校3年以上で今35コマを超える教科等から、同じ割合で時数を減らして確保する方向が示された。減らす幅は、現時点の試算で一律3〜4%程度と見込まれている。35コマ以下の教科等は「週1コマ程度は必要」として減らさない。具体的な数字は今後、教育課程企画特別部会で検討して示される。 P78P79

中情報・技術科は2領域・7つの内容項目で組み立て直す案

「情報技術」領域は「情報の表現とデジタル化」「プログラミングと自動化」「情報基盤とシステム化」の3項目(いずれも仮称)。「情報を基盤とした生産技術」領域は、今の材料と加工・生物育成・エネルギー変換を受けつぐ3項目に、それらを組み合わせて課題を解決する新項目「技術の統合」を加えた4項目とする案。生産技術でも3Dプリンター、センサーのデータ、シミュレータなど情報技術とのつながりを強める。「技術の統合」には、まとまった時間を取れるよう柔軟な指導計画を認める。 P241P252P254

タイピングや端末操作など、各教科で教えていた内容を新教科・領域へ移す方向

これまで各教科でばらばらに教えていたタイピング、映像の操作、グラフの作り方、データ分析の方法などは、新教科・領域で順序立てて学ぶ。プログラミングやデータ活用、産業と情報の関わり、情報機器と健康の関わりなども新教科・領域へ移す方向で、各教科はその分の内容を減らし、教科ならではの学びに時間を使えるようにする。メディアリテラシーはこれまで国語科や社会科でも扱ってきたが、新教科・領域で大きく強化する方向。どの内容を移すかは、教育課程全体を見ながら今後整理する。 P243P257

小中全面実施の前から段階的に先行実施する方向

全面実施は小学校が令和12年度、中学校が令和13年度と想定されているが、社会の変化に遅れないよう、新教科・領域を先行実施する経過措置を、小学校は令和10年度から、中学校は令和11年度から段階的に講ずることが適当とされた。具体的な中身は今後検討される。調整授業時数制度は小・中学校とも令和10年度から先行実施される予定で、それを使って早めに取り組むこともできる。 P79P262

教員不足への対策:研修・免許講習・遠隔授業など

令和7年度時点で、中学校の技術分野の担当教員のうち臨時免許状の人が543名、免許外で教えている人が1,863名、高校情報科でもそれぞれ47名・97名いて、「危機的な課題」とされている。国は、新課程の研修コンテンツを小学校向けは令和9年度末、中学校向けは令和10年度末までに作り、小・中・高のすべての担当教員に研修を行う。オンラインの免許法認定講習の充実、複数校をまとめて教える・遠隔授業の実証、企業などからの外部講師の活用、免許制度の検討も進める。 P239P261P262

国が授業でそのまま使える動画・教材を作り、年1回以上更新する

先生が過度な負担なく授業できるよう、国が授業動画を含む学習者用教材を作っており、技術の進歩で古くならないよう少なくとも年に1回程度アップデートする。公表時期は前もって学校に伝える。「技術の統合」については、教材だけでなく指導計画の例・参考資料・研修をセットで提供する。3Dプリンターなどの整備状況の見える化や、PC教室の維持・更新に向けた財政措置の整理も進める。 P240P251P254P262

メディアリテラシー・AI・プログラミング的思考を小中高でつなげて育てる

うその情報や偏った情報を見きわめる「メディアリテラシー」、AIを使いこなす力、「プログラミング的思考」を、情報活用能力の中心として小・中・高で系統的に育てる。プログラミング的思考は、AIに指示してプログラムを作らせる場合も含め、出てきたものを論理的・批判的に確かめて直し、責任を持って使うところまでを含む考え方に広げ、中学・高校でも育てる。AIの使い方のポイントは改訂を待たずガイドラインで示し、生成AIのガイドラインは令和8年度中に改定する。 P248P249P262

現行と次期の比較(新旧対照)5項目

黄色のマーカー=次期で新しく入る・強く打ち出される言葉 取り消し線=現行から消える・言い方が変わる言葉

項目現行次期(審議まとめの方向)
中学校での位置付け技術・家庭科の「技術分野」。A材料と加工、B生物育成、Cエネルギー変換、D情報の技術の4領域で、評定は家庭分野と合わせて1教科。家庭科と分けて独立させた新教科「情報・技術科」とする案。「情報技術」領域と「情報を基盤とした生産技術」領域の2領域。 P72P74P241
中学校での情報技術の学習デジタル技術の学習が「D情報の技術」に閉じ、コンピュータやネットワークの仕組み、データ活用が十分に扱われていない。他の3領域ではデジタル技術との関連が図られていない。「情報技術」領域を独立させ、デジタル化・自動化・システム化を段階的に学ぶ。生産技術でも3Dプリンターやセンサーのデータなどを活用し、両方を組み合わせる「技術の統合」を新設する案。 P239P241P252
情報活用能力のとらえ方「情報及び情報技術を活用する力」として、学習の基盤となる資質・能力に位置付け。情報活用能力は「情報技術の活用」に絞って整理し、「情報の活用」は各教科で育てる。「活用」「適切な取扱い」「特性の理解」の3要素で小中高を通して整理。 P238P239
プログラミング的思考前回改訂で小・中・高を通じたプログラミング教育を充実したが、内容や指導にばらつきがあり、問題解決にプログラミングを使う学習も十分でない。AIへの指示も含め、作ったものを論理的・批判的に評価・改善し、責任を持って使うまでを含む考え方に捉え直し、小学校だけでなく中学・高校でも育てる。 P249
中学校での学習の順序技術分野は第1学年の導入で各領域に触れることのほかは、学習の順序や学年の割り振りを定めていない。学習順序は引き続き先生の裁量にまかせる。調整授業時数制度の対象にもなる(35コマ以下になれば第3学年のみ対象外)。 P259

授業時数

必要な時数の目安(学習活動の積み上げによる最大値):小学校総合「情報の領域」は3・4年が各学年最大30コマ程度、5・6年が各学年最大35コマ程度。中学校「情報・技術科」は1・2年が各学年最大70コマ程度、3年が最大35コマ程度(現行の技術分野の内容を含む時数)。総合の「探究の領域」と「情報の領域」は別々に標準時数を設定。標準総授業時数は現行維持とし、小3以上で現在35コマを超える教科等から一律3〜4%程度を減じて確保する考え方(3〜4%は現時点の試算)。具体の時数は今後精査・検討(P78, P79, P257)。高校は情報Ⅰ・情報Ⅱともに4新単位(現行2単位。1新単位=17コマ)。必履修教科の合計が3新単位以下となる減単は不可(P80, P82, P259)。

生成AI・ICTとの付き合い方8項目

AIの可能性とリスクの両方を学ぶ

AIなどの情報技術は社会のあらゆる活動の基盤になる一方、偽・誤情報の拡散、フィルターバブル、AIが人の認知や判断に与える影響などのリスクもあります。かたより・依存・学習過程の省略(認知的オフロード)などの負の側面を理解し、情報を批判的にとらえて使うメディアリテラシーが不可欠とされています。 P235P236

今の課題:生成AIなど先端技術の内容が明確でない

現行の学習指導要領では、生成AIなどの先端技術に関わる内容がはっきり位置付けられておらず、情報モラルやメディアリテラシーも学校による差が大きいことが課題とされています。 P72P239

中核となる学習内容:メディアリテラシー・AIを使いこなす力・プログラミング的思考

情報の真偽やかたよりを見極めるメディアリテラシー、AIを使いこなす力、プログラミング的思考を、情報活用能力の中核として小・中・高で体系的に整理します。AIの学習は内容項目を横断し、発達段階に応じて扱うとされています。 P248P249

AIを使いこなす力の中身

「AIエージェント」や「フィジカルAI」などAIの進展が速く、子供は検索エンジンなどを通じてすでにAIに日常的に触れています。AIを使いこなす力を、単なる操作ではなく、AIを適切かつ効果的に使って問題を解決したり考えをつくったりする力と捉えます。 P248

中学校「情報・技術科」:AIと生産技術

AIやセンシングの発展で情報技術と生産技術を組み合わせた技術が社会に広がっていることから、新しい内容項目「技術の統合」を設ける方向です。データの構造やネットワーク、AI、メディアの特性など基本的な仕組みも学ぶとされています。資料編では、AIを補助として使いながら設計・製作・評価改善する活動例が示されています。 P252P253資料編(2)P154資料編(2)P172資料編(2)P174

資料編:校種別の「AI自体を学ぶ」内容の例

小学校では「AIの出力には誤りやかたよりがある」「AIに頼りすぎない」「最後は人間が判断する」など、中学校では「AIの出力には誤りやかたよりがあり人の判断を尊重する」「権利侵害や悪用のリスク」など、高校ではAIの分析結果がデータやモデルの選び方で変わることなどが例として整理されています。 資料編(2)P153

資料編:「AIを活用して学ぶ」考え方

小学校はミニ探究ユニットの中で体験的に使い、中学校はAIを補助的な役割として問題発見や設計・評価改善で使い、高校ではAIの出力を一つの情報として妥当性やかたよりを検討しながら使う、と段階的に整理されています。資質・能力の育成に効果的かどうかを吟味して使うことが前提です。 資料編(2)P154

授業での活用例

情報科の活用例として、生成AIとの対話でヒントを得て解決策を考えてプログラムにしたり、作ったプログラムをクラウドで共有して統合・テストしたりして、試行錯誤の回数を増やすことが挙がっています。 P260

今からできる準備チェックリスト6項目

  • 今すぐ各教科で教えているタイピング、写真・動画の操作、グラフの作り方、スライド作成、データ分析の方法などを学年別に棚卸しし、どの学年で何を教えているかを一覧にします。新教科・領域に移る可能性のある内容と、教科に残す内容を考える材料になります。 P243P257
  • 今すぐ生成AIの利活用に関するガイドラインは、学習指導要領の改訂を待たずに令和8年度中に改定される予定です。改定版が出たら内容を確認し、校内の生成AI利用ルールと授業での使い方を更新します。 P248P262
  • 告示まで中学校で免許外や臨時免許で技術分野を担当している先生は、オンラインで全国どこからでも受けられる免許法認定講習の情報を確認しておきます。 P239P262
  • 先行実施まで国が作る研修コンテンツ(小学校向けは令和9年度末、中学校向けは令和10年度末まで)や授業動画の公表時期を把握し、校内研修で事前に視聴する時間を確保します。新教科・領域は小学校が令和10年度、中学校が令和11年度から段階的に先行実施される予定です。 P79P261P262
  • 先行実施まで中学校では、3Dプリンター、センサー、計測・制御用の機器、PC教室などの整備状況を点検し、設置者の整備計画と照らし合わせておきます。 P254P262
  • 先行実施まで中学校の「技術の統合」に向けて、すでに製作した作品にセンサーなどの情報技術を付け加えて機能を高める題材を試作し、まとまった時間を取れる指導計画の組み方も試します。 P254

次期を先取りする授業アイデア1本

中21単位時間(50分)

AIが書いたプログラム、テストして直して使う

「このまま校舎に付けていい?」AIが作った自動点灯プログラムを、読んで試して責任をもって直します。

手順・ワークシート

ねらい

生成AIが作った計測・制御のプログラムを読み取って動作を予想し、テストで確かめて不具合を見付けて修正するとともに、AIの生成物を責任を持って使うために確かめるべきことを考える。

流れ

  1. 5分先生が「暗くなったら廊下のライトをつける」という課題と、生成AIへの指示文、AIが出したプログラムを示し、「このまま校舎に付けていい?」と問いかけます。
  2. 10分ペアでプログラムを読み、処理の流れをフローチャートに書き起こします。条件分岐と繰り返しの部分に印を付け、明るいとき・暗いときにどう動くかを予想します。
  3. 12分テスト表に「明るい」「暗い」「その間くらい」の3条件を書き、センサーを手でおおう、ライトを当てるなどして実際に動かします。予想と結果を記録し、合わないところに印を付けます。
  4. 13分合わなかった原因をプログラムの中から特定し、条件や数値を修正して再テストします。早く終わったペアは、同じ不具合が出ないようにするにはAIへの指示文をどう書き直せばよいかも考えます。
  5. 10分学級で、AIが作ったプログラムを責任を持って使うためのチェックリスト(例:処理の流れを自分で説明できるか、境目の条件を試したか、想定外の使われ方をしたらどうなるか)を共有ボードにまとめ、社会で使われている自動制御の例と結び付けて振り返ります。

評価

テスト表と修正したプログラムから、条件分岐などの仕組みを理解して動作を予想し、テストで不具合を見付けて改善できているかを見取ります(知識・技能/思考・判断・表現)。振り返りでは、AIの生成物を検証して使う理由を自分の言葉で説明できているかを見ます。端末で記録した修正の過程を、ルーブリックとあわせて形成的評価に使います。

指導案(試案)1本

中学校第3学年技術・家庭(技術分野)全8時間(本時は第4時)

計測・制御のプログラミング ~育てている植物の「水やり忘れ」を知らせる装置をつくろう~

中教審の審議まとめ(2026年10月5日)では、中学校の技術・家庭科の技術分野を適切な時数を確保したうえで「情報・技術科」とし、家庭科を独立した教科とすることが適当とされた。新教科は「情報技術」と「情報を基盤とした生産技術」の2領域で構成する方向である。本案は、その内容項目「プログラミングと自動化」…

指導案の全文

本時のねらい

計測したデータをもとに閾値を決めて理由を説明するとともに、生成AIが作ったプログラム例をフローチャートと照らして確かめ、実際に動かして不具合を見つけて修正することができる。

本時の流れ

  1. 5分導入 前時に計測した土壌水分センサの値(乾いた土・少し湿った土・十分に湿った土)を班の記録表で確かめ、本時のめあてを知る。
  2. 10分展開 班で閾値を決める。「この値をこえたら(または下回ったら)知らせる」という条件と、その値にした理由を、計測データをもとに書く。
  3. 15分展開 教師が事前に生成AIに「土が乾いたらLEDで知らせるプログラム」を作らせた例を示す。班で、前時のフローチャートと照らして動きを予想し、実機で試して、意図と違う動きを見つけて直す。
  4. 12分展開 自分たちの閾値を反映したプログラムを作り、乾いた土と湿った土を入れたカップで動作を確かめる。うまくいかない場合は、センサの値を画面に表示させて原因を探す。
  5. 8分まとめ 2班程度が、閾値の理由と修正した点を発表する。振り返りシートに「生成AIが作ったプログラムを使うときに確かめるべきこと」と、次時に工夫したいことを書く。

PDF版:shidoan-chu3-gijutsu-keisoku-seigyo.pdf(ダウンロードコーナー)

次期学習指導要領 教科別まとめ中学校No.08
中学校版
審議まとめ(2026年10月5日)を中学校の先生向けにまとめ直しました

保健体育次期学習指導要領で、どう変わる?

身に付けたい「動き」と、運動の多様な楽しみ方を軸に

10秒でいうと

「体育理論」を「スポーツ理論」に改称。公正・協力などは「運動との関わり方」として学ぶ

やさしく言うと

小5〜中2は「多くの領域の運動を経験し、スポーツの基礎に触れる時期」と整理し直す方向です。中3からは「卒業後も多様な楽しみ方で関わる時期」です。「体育理論」は「スポーツ理論」に名称を変える案です。保健は、個人生活を中心とした健康・安全を科学的に学びます。公正・協力などは「運動との関わり方」として教える方向です。

中学校はいつから?

全面実施2031年度(令和13年度)から(見込み)
移行期間2028〜2030年度
告示2026年度末の予定
教科書2031年度から新しい教科書(2029年度に検定)
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研修・会議・授業・保護者会での印刷・コピー・配布・投影はご自由にどうぞ。ご連絡は不要です。クレジットは残してください。審議まとめ(2026年10月5日)準拠・出典ページつき。告示前の方向性で、今後変わることがあります。2026年11月4日 版

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体育・保健体育の3行要約(全校種)

  1. 小1〜4は「遊び」の要素を取り入れた学習に整理し、具体的な運動名ではなく身に付けたい「動き」を軸に示す方向。
  2. 公正・協力・責任などの態度は「運動との関わり方」として知識・技能を中心に整理し直し、指導と評価をはっきりさせる方向。
  3. 「体育理論」は「スポーツ理論」に、高校専門学科「体育」は「スポーツ」に名前を変える案。保健は健康・安全の「概念」と「それに関わる原則」を軸にする方向。

保健体育のポイント4つ

中2まではルールを簡単にした運動で

小5〜中2は、ルールなどを簡単にした「運動」を通した学びを基本に整理する方向です。単に技能の水準を下げるのではなく、「好き」「楽しい」を育てながら楽しみ方を広げる趣旨です。中3からは、引き続き興味・関心に応じた選択制とする方向です。 P268P270

授業では、たとえば中1のバスケットボールで人数やコートを工夫した簡易ゲームにし、全員がボールに触れる機会を増やす授業が考えられます。

「体育理論」から「スポーツ理論」へ

「体育理論」の領域名を「スポーツ理論」に改める案です。運動やスポーツの多様な楽しみ方や、文化・経済・教育などの面からのとらえ方を学びます。改正スポーツ基本法の趣旨にも留意して内容を改善する方向です。実技や保健と関連させて理解を深めることが期待されています。 P267P270

授業では、たとえば地域のスポーツ大会を「する・みる・支える」の立場で調べ、自分に合う関わり方を考える、といった授業が考えられます。

「運動との関わり方」で思考力も育てる

公正・協力などの態度は、「運動との関わり方」として知識・技能を中心に整理し直す方向です。中学校・高校では、運動実践につながる態度に関する思考・判断・表現の指導がしにくいと指摘されていました。この整理は、その改善にも役立つと期待されています。 P268P269

授業では、たとえば審判やルール係を交代で担当し、公平な判定のために必要なことを話し合ってから試合を行う、といった授業が考えられます。

保健は個人生活を中心に科学的に

中学校の保健は、抽象的な概念も理解できる段階として、個人生活を中心に科学的に学ぶ方向です。体育と保健で重なる内容も見直します。中1保健「心の健康」と中2体育理論「運動やスポーツの効果」が、どちらもストレスと運動を扱う例として挙げられています。 P268P272

授業では、たとえば運動の前後で気分の変化を記録し、保健で学ぶストレスへの対処と結び付けて考える、といった授業が考えられます。

主な変更点8項目

態度(公正・協力・責任など)は「運動との関わり方」として知識・技能で教える

これまで「学びに向かう力」に入っていた公正、協力、責任、参画、共生、健康・安全は、「運動との関わり方」という名前で、主に「知識・技能」として整理し直す方向です。「なぜそうするのか」「どうやって行うのか」を理解させることで、形だけの指導や評価にならないようにするのがねらいです。評価では、態度だけを見る評価にならないよう注意しつつ、指導と評価のイメージを今後さらに検討します。また「愛好的な態度」は「運動やスポーツの多様な楽しみ方を目指す態度(仮称)」として「学びに向かう力」に残すとされています。 P268P269P274

各領域は2年間のまとまりで計画的に学ぶことを基本に

体育の各領域の学習は、2年間のまとまりで計画的に学ぶことを基本とし、2年間で学ぶ内容を分かりやすく示す方向です。運動の種類を毎年すべて行うという意味ではないことを明確にするねらいです。毎年同じ時期に入れがちな運動も見直し、生まれた「余白」で学びの質を高める活動をすることが期待されています。年間・複数年の指導計画の立て方を見直す必要があります。 P272P61

小中高求める技能の水準を下げすぎず高すぎず調整(高2以上は現行の中3〜高1程度)

指導内容が積み上がりすぎないよう、高2以上の最終段階で示す技能は、現行で中3〜高1程度として示している程度を置くことを基本に、全体の系統を整理する方向です。小5〜中2は、ルールなどを簡単にした「運動」を通した学びを基本にするとされています。これは技能の水準をただ下げるのではなく、「好き」「楽しい」を育てながら楽しみ方を広げる趣旨だとされています。子どもの状況に応じて発展的な学習に取り組む工夫の余地も示されます。 P270P272

保健は「概念」と「それに関わる原則」を軸に、演習的な学習で深める

保健では、知識をため込むだけでなく、まだ知らない健康課題にも対応できる力を育てるため、健康・安全の「概念」(どんな要素が関わって起きるのか)と「それに関わる原則」(どう働きかければ良い結果になるのか)を整理して示す方向です。小学校は身近な生活を中心に実践的に、中学校は個人生活を中心に科学的に、高校は個人と社会生活について総合的に学ぶ流れに整理し直すとされています。生活習慣や地域の事故情報のデータを使うなど、演習的な学習が例として挙げられています。評価も、暗記ではなく「概念」と「原則」に照らして見ることを充実させる方向です。 P267P268P271P274

中高「体育理論」を「スポーツ理論」に名称変更する案

中学校・高校の体育の領域「体育理論」の名前を「スポーツ理論」に改めるとされています。運動やスポーツの多様な楽しみ方、文化・経済・教育などの面からの見方、安全な行い方などを学ぶ領域で、改正されたスポーツ基本法の趣旨にも気を配って内容を改善する方向です。実際に体を動かす領域や保健と関連付けて学ぶことが期待されています。 P270

体育と保健の関連づけと、重なる内容の見直し

心と体を一体として捉えるため、体育と保健を関連付けた指導を充実させる方向です。例えば高校の体育「実生活に生かす運動の計画」と保健「健康に関する環境づくりと社会参加」のように、関連させやすい内容を整理して示すことも考えられています。一方、体育と保健で重なる内容(例:ストレスへの対処としての運動)や、教科書で何度も繰り返されている内容(例:健康には運動・食事・休養及び睡眠が関係すること)は、扱い方を見直すよう促すとされています。 P271P272

変化する健康課題・安全課題への対応と「生命(いのち)の安全教育」

メンタルヘルスの課題、自然災害、SNSや犯罪による被害、性犯罪・性暴力などを背景に、健康・安全の学習を学校全体で充実させることが求められています。国の教材がある「生命(いのち)の安全教育」は、教材の内容と学習指導要領との関係を分かりやすく示し、活用を進める方向です。一人一人の発達に応じた指導が必要な事柄は、保護者の理解を得て外部の専門家の協力も得ながら個別の指導などで扱い、学習指導要領は現場の指導をためらわせない書き方を検討します。 P265P271

水泳授業・暑さ対策など、授業の実施環境の見直し

水泳授業は、水に親しむ楽しさ、陸上と違う環境での動き、水の事故から身を守る力という意義を整理し、引き続き全員の学習機会を確保するとしています。プールは学校のものだけでなく、地域のプールの活用や民間への管理委託なども考えられるとされ、安全確保につながる指導は小学校だけでなく中学校以降の取組の整理も期待されています。暑さへの対応では、暑さに体を慣らす「暑熱順化」も含めた安全管理、実施内容・場所・時期の工夫、体育館などの計画的な空調整備を基本とします。 P273P274

現行と次期の比較(新旧対照)7項目

黄色のマーカー=次期で新しく入る・強く打ち出される言葉 取り消し線=現行から消える・言い方が変わる言葉

項目現行次期(審議まとめの方向)
公正・協力・責任などの態度の位置づけ「学びに向かう力、人間性等」の中に、愛好的な態度と並んで公正、協力、責任、参画、共生、健康・安全の態度が位置付けられている。これらは「運動との関わり方」として「知識及び技能」を中心に整理し直す方向。愛好的な態度は「運動やスポーツの多様な楽しみ方を目指す態度(仮称)」として「学びに向かう力」に残す。 P268P269
体育の12年間の時期の分け方小1〜4「各種の運動の基礎を培う時期」、小5〜中2「多くの領域の学習を経験する時期」、中3〜高3「卒業後も運動やスポーツに多様な形で関わることができるようにする時期」。4年ごとの区切りは保ちつつ、小5〜中2を「多くの領域の運動を経験しスポーツの基礎に触れる時期」、中3以降を「卒業後も運動やスポーツに多様な楽しみ方で豊かに関わることができるようにする時期」と再整理。小1〜4は「遊び」の要素を取り入れた学習に。 P265P268P270
体育の領域名「体育理論」中学校・高校に「体育理論」の領域がある(中学校:運動やスポーツの多様性など、高校:スポーツの文化的特性や現代のスポーツの発展など)。領域名を「スポーツ理論」に改め、改正スポーツ基本法の趣旨にも留意して内容を改善する案。 P270
高2以上で求める技能の水準学校段階が上がるにつれて技能の内容が積み上がっていく(例:ベースボール型で中3・高校の技能の記述が中1〜2より高度になる)。高2以上(最終段階)で示す技能は、現行の中3〜高1程度を置くことを基本に全体の系統を整理。発展的な学習の余地は示す。 P272
学習指導要領での運動の示し方「○○(運動)では、XXをする」のように、具体的な運動を限定して示していると読み取れる部分があり、教師・子ども双方の負担になる面がある。小4までは具体的な運動のやり方を示すのをやめ、身に付けたい「動き」を軸に示す方向。小5以降も運動や種目の示し方を柔軟にする方向で検討。各領域は2年間のまとまりで計画的に学ぶ。 P272P61
保健の学校段階ごとの学び方小学校「身近な生活における健康・安全に関する基礎的な内容」、中学校「個人生活における健康・安全に関する内容」、高校「個人及び社会生活における健康・安全に関する内容」のスパイラル構造。小学校は「身近な生活を中心とした」内容を実践的に、中学校は「個人生活を中心とした」内容を科学的に、高校は個人及び社会生活の内容を総合的に学ぶ系統に再整理。健康・安全の「概念」と「それに関わる原則」をスパイラルで深める。 P265P268
体育・保健の「見方・考え方」体育は、運動やスポーツを価値や特性に着目し、楽しさや喜びとともに体力の向上に果たす役割の視点から捉え、「する・みる・支える・知る」の多様な関わり方と関連付けること(92字)。体育は、運動やスポーツを心身の充実に果たす役割や多様な楽しみ方の視点から捉え、自他の豊かな生活と活力あふれる社会づくりにつなげること。全学校種で1つにそろえ、短く分かりやすく示す。 P267

授業時数

体育・保健体育の節そのものに授業時数の変更の記述はない。高校の標準単位数は、表で現行「体育7〜8単位・保健2単位」が次期「体育14〜16新単位・保健4新単位」と示されている(P82)。これは単位の数え方の変更(1新単位=50分×17コマ。現行の1単位は35コマ)によるもの(P81)。また、調整授業時数制度などを使って体育・保健の学びを深める取組の例が示されている(P274)。

生成AI・ICTとの付き合い方3項目

AI時代だからこそ体を通して学ぶ意味

社会の様々な場面でAIの活用が進む今、運動やスポーツで自分の体を通して学び、仲間と楽しさを味わうことは、自分を深く知ることや、体を使いこなして人生を切りひらく「人間ならではの力」を育てるうえで大きな意味があるとされています。 P266資料編(2)P201

ICT(生成AIを含む)で学習を見える化

体育・保健でICT(生成AIを含む)を使うと、学習の状況・考えの過程・感覚などを見える化でき、学ぶ機会や学習活動の充実を支えられる強みがあります。資料編では、生成AIとのやり取りによる対話型の振り返りなどが例に挙がっています。 P273資料編(2)P212

使うときの注意

自分や他人の体・健康・安全に関する情報を適切に取り扱うこと、実際に体を動かしたり仲間と関わったりする活動を支えるという視点を損なわないことに十分注意する必要があるとされています。 P273

今からできる準備チェックリスト8項目

  • 今すぐ年間指導計画で毎年同じ時期に入れている運動を洗い出し、各領域を2年間のまとまりで計画する案を作ります。生まれた時間を、学びの質を高める活動に回す使い道も考えておきます。 P272
  • 今すぐ小1〜4の単元のねらいを、運動名ではなく「投げる」「跳ぶ」「回る」など身に付けたい動きで書き直し、子供が思わずやってみたくなる場や用具の工夫を用意します。 P270P272資料編(2)P206
  • 今すぐ公正・協力・責任などは、「なぜそうするのか」(知識)と「どう行うのか」(技能)を教える場面を単元に入れ、態度だけを見る評価になっていないかを見直します。 P268P269P274
  • 今すぐ暑さ対策として、暑熱順化を取り入れた安全管理や、実施内容・場所・時期の工夫を年間計画に反映し、体育館の空調整備の計画も設置者と確認します。 P273
  • 告示まで保健の各単元について、健康・安全の「概念」(どんな要素が関わって起きるか)と「それに関わる原則」(どう働きかければよい結果になるか)を一文ずつ書き出し、暗記ではなく原則に照らして考える評価問題を作っておきます。 P267P268P274
  • 告示まで体育・保健でICTや生成AIを使うときのルール(自他の体・健康・安全に関する情報の扱い方、実際に体を動かす時間を削らないこと)を学年や教科会で決めておきます。 P273
  • 告示まで中学校・高校では、「体育理論」が「スポーツ理論」に変わる方向をふまえ、「する・みる・支える・知る」に「集う」「つながる」も含めた多様な楽しみ方を扱う単元案や、実技・保健と関連付ける計画を考えます。 P267P270
  • 先行実施まで水泳授業について、学校のプールだけでなく地域のプールの活用、民間事業者との連携、管理の委託などの選択肢を設置者と検討し、水の事故から身を守る学習を水に触れる機会の中で行う計画を整えます。 P274

次期を先取りする授業アイデア1本

中21単位時間(50分)

「なぜ守る?」から始める、みんなのルール会議

ルールの目的を言葉にし、審判と記録も体験。データを見て、全員が楽しめるルールに作り変えます。

手順・ワークシート

ねらい

ゲームのルールが何のためにあるかを理解して説明し、審判や記録の行い方を身に付けるとともに、記録をもとに全員が楽しめるルールを考えて提案する。

流れ

  1. 5分先生が前時のゲームで起きた場面(個人が特定されない形でまとめたもの)を示し、「このルールは何のためにあるのかな?」と問いかけます。
  2. 8分チームでルールカード1枚ずつについて「目的」を書き出します(例:接触禁止はけがを防ぎ、技能の差があっても安心してプレーするため)。先生は、ルールが公正さや安全、全員の参加を守るためにあることを整理します。
  3. 15分ゲームを行います(1試合5分を2試合)。チームの中で「プレーする」「記録する(誰がボールに触れたか)」「審判をする」の役割を交代し、本時は一人が審判か記録のどちらか一方を必ず担当します(もう一方の役割は次時に担当するよう、ローテーション表で管理します)。審判は、事前に確認した合図とコールで判定します。
  4. 10分ルール会議をします。記録を見て、ボールに触れた回数の偏りや、誰も触れていない時間に注目し、全員が楽しめるルールを1つ修正・提案します(例:シュートは3人以上がパスをつないでから)。提案にはそのルールの目的も書きます。
  5. 8分各チームの提案から学級で1つ選び、修正したルールで1試合行います。
  6. 4分振り返りシートに、ルールの目的を1つ選んで自分の言葉で説明し、今日「みる」「支える」の役割で気付いたことを書きます。

評価

運動との関わり方は、ルールの目的を自分の言葉で説明できるか(知識)と、本時に担当した役割(審判または記録)を正しく行えるか(技能。もう一方は次時に見取る)で見取り、「まじめにやっていたか」といった態度だけで評価しないようにします。思考・判断・表現は、記録をもとに偏りに気付き、目的に合ったルールを提案しているかを会議の様子とシートで見ます。

指導案(試案)1本

中学校第2学年保健体育(保健分野)全8時間(本時は第3時)

傷害の防止 ~地域の交通事故データから、事故が起きる理由と防ぎ方を考えよう~

中教審の審議まとめ(2026年10月5日)で示された、保健の学習で健康・安全に関する「概念」と「それに関わる原則」を軸にし、地域の事故情報などのデータを活用した演習的な学習を通して理解を深めるという方向性を先取りした試案である。次期学習指導要領はまだ告示前であり、本案は審議まとめの方向性をふまえた一…

指導案の全文

本時のねらい

地域の交通事故データから、事故が多い地点の要因を人的要因と環境要因に分けて考え、安全な行動と環境の改善の両面から防止の方法を考えて、自分の通学路にあてはめて表現することができる。

本時の流れ

  1. 5分導入 前時までに学んだ「交通事故は人的要因と環境要因が関わって起きる」を確かめ、本時の問いを知る。
  2. 12分展開 グループで地域の交通事故データ(発生地点・時間帯・事故の種類・天候など)を分担して読み取り、クラウド上の学区の共同地図に、事故の多い地点の印を付ける。
  3. 13分展開 事故が多い地点を一つ選び、教師が撮影した現地の写真(見通し・信号・歩道の幅など)とデータを合わせて、要因を「人の行動(人的要因)」と「環境(環境要因)」に分けて付箋に書き、整理する。
  4. 12分展開 防止策を「中学生ができる安全な行動」と「環境の改善(地域に提案できること)」に分けて考え、グループで一つにまとめて共同地図に書き添える。
  5. 8分まとめ 2グループが共同地図を使って発表する。各自、自分の通学路の中で危険だと思う場所を一つ挙げ、本時の「なぜ起きる(概念)」と「どうすれば防げる(原則)」を使って、危険の予測と回避の方法をワークシートに書く。

PDF版:shidoan-chu2-hoken-kotsu-jiko.pdf(ダウンロードコーナー)

現行の学習指導要領・解説(中学校)

文部科学省の公式PDFです(クリックで開けます)。

次期学習指導要領 教科別まとめ中学校No.09
中学校版
審議まとめ(2026年10月5日)を中学校の先生向けにまとめ直しました

外国語(英語)次期学習指導要領で、どう変わる?

AI時代も人と伝え合う力を、段階を追って育てる英語へ

10秒でいうと

文法事項は使用頻度の高いものに絞る。「社会的な話題」は「身近な社会的な話題」に

やさしく言うと

中学校では、教科書の語彙や文法が難しくなりすぎたという指摘を受け、負担を適正にする方向です。国が「基盤語彙リスト」を作り、文法事項は使う頻度の高いものなどに絞る案です。「社会的な話題」は「身近な社会的な話題」に改める方向です。中1の初めは小学校とつなぐため、音声中心の活動を重視します。授業を生徒の理解に応じた英語で行うことは続けるとされています。

中学校はいつから?

全面実施2031年度(令和13年度)から(見込み)
移行期間2028〜2030年度
告示2026年度末の予定
教科書2031年度から新しい教科書(2029年度に検定)
無料原田英語.com 次期学習指導要領ナビ

研修・会議・授業・保護者会での印刷・コピー・配布・投影はご自由にどうぞ。ご連絡は不要です。クレジットは残してください。審議まとめ(2026年10月5日)準拠・出典ページつき。告示前の方向性で、今後変わることがあります。2026年11月4日 版

サイトで見る

外国語の3行要約(全校種)

  1. 「言語活動」を「コミュニケーション活動」と「それを支える活動」に分け直し、英語の目標は「知・技」「思・判・表」「学びに向かう力」の3つの柱で示す方向。
  2. 国が基盤語彙リストを作り、中学校の文法は使用頻度の高いものに絞り、「社会的な話題」は「身近な社会的な話題」にするなど、難しくなりすぎた内容を適正化する方向。
  3. 高校の科目は「英語コミュニケーション(総合)」「同(発信)」(いずれも仮称)とする案。B2レベル相当以上などの要件を満たす場合の必履修科目の免除・振替や、AIの適切な活用の明記も提案された。

※高校の新科目名「英語コミュニケーション(総合)」「英語コミュニケーション(発信)」は仮称。単位数(学習量)は現行と同じ。外部試験でCEFR B2レベル相当以上の英語力を確認することなどを要件に、英語コミュニケーション(総合)Ⅰの免除・振替を学校の判断で可能とする案。対象試験・振替先・実施条件は今後、解説等で具体化(P48〜49、P284)。

外国語(英語)のポイント4つ

語彙と文法をしぼり、難しさを適正に

中学校では新しく学ぶ語彙も文法事項も増え、教科書が難しくなったと指摘されています。国が大量の英文データなどをもとに「基盤語彙リスト」を作り、教科書での使用を勧める方向です。文法事項も、よく使うものなどを本文で示し、指導の対象を絞る案です。 P277P283

授業では、たとえばたとえば、よく使う文法は場面を変えて何度も使わせます。使う機会の少ない用法は深追いしないなど、強弱を付けた計画が考えられます。

「身近な社会的な話題」で意見を言う

今の「社会的な話題」は、外国語の学習としては難しい例が多いとされています。そこで「身近な社会的な話題」とし、生徒が自分と結び付けて考えられるものを中心に例を示す方向です。話題は、身近なものから少しずつ抽象的なものへ進める考え方です。 P283資料編(3)P30(外㉚)

授業では、たとえばたとえば、健康的な食生活やスクリーンタイムなど、自分の生活から意見を言える話題で短い意見文を書くことが考えられます。

中1の初めは音声中心で、小学校とつなぐ

中1の初めは、小学校の指導と関連させて音声中心の活動を重視します。小学校で扱った話題や表現を繰り返し扱い、3年間を通して発音と綴りを結び付けて丁寧に指導することが示されています。小学校では書き写しや例を見て書くまでにとどめている点もふまえます。 P281資料編(3)P19(外⑲)

授業では、たとえばたとえば4月は、小学校で使った自己紹介の表現を声で十分にやり取りします。そのあと、語順を意識して書く活動へ進むことが考えられます。

授業は英語で。AIは吟味しながら使う

「授業を生徒の理解に応じた英語で行うこと」は続ける方針です。国が教室英語の表現集や動画を用意し、補助的な日本語の使い方も解説で示す方向です。AIは例文づくりなどに役立つ一方、出力をうのみにせず吟味し、人と人との伝え合いにつなげることが原則とされます。 P282P284

授業では、たとえばたとえば、生成AIに自分の好きなことを使った例文を出させます(先生が作った例文を示す形でもかまいません)。自然な英語かを友達と確かめてから、実際に伝え合う流れが考えられます。生徒が使うときは、学校が認めたサービスを、年齢制限や保護者の同意を確かめたうえで先生の指導の下で使い、名前や写真などの個人情報は入力させません(文部科学省の生成AIガイドラインP19)。

主な変更点34項目

中英語の目標を3つの柱で

英語の目標は「英語の特徴やきまりを理解し活用できる技能」「様々な話題について簡単な情報や考えを理解・表現・伝え合う力」「興味・関心を持ち、対話・協働で考えを広げ深め、学習を調整し、相互理解を深めようとする態度」の3つの柱で示すイメージ。 P279資料編(3)P39(外㊴)資料編(3)P44(外㊹)

中「内容」は第1~第3学年相当の目安つき

聞く・読む・話す(やり取り・発表)・書くの領域ごとに「話題」「条件」「できること」を並べ、学年相当の目安を付けて示す。例:話すこと(やり取り)は即興で伝え合う、整理して伝え合う、聞いたり読んだりしたことを基に考えや理由を伝え合う。 資料編(3)P8(外⑧)資料編(3)P44(外㊹)

中「身近な社会的な話題」に変更

「社会的な話題」を「身近な社会的な話題」にし、例として健康的な食生活、スクリーンタイム、皆が過ごしやすい学校づくりなどを挙げる。フェイクニュースや国際協力なども生徒が自分と関連付けられるよう工夫する。身近な社会的な話題は資料編の段階表で「後半以降」に扱うことが想定され(学年内の具体的な段階付けは告示・解説で別途検討)、即興のやり取り・発表の対象にはしない。 P283資料編(3)P30(外㉚)資料編(3)P44(外㊹)

中文法事項を絞る

前回改訂で文法事項が増え、教科書に難しい用法も入ったという指摘を受け、使用頻度の高いものなどを本文で具体的に示し、指導対象を絞り難しさを適正にする。 P277P283

中語彙の負担を適正に

中学校の教科書では難しい語彙が増え、語彙選定にばらつきがある。国の基盤語彙リストで教科書の語彙の難易度と選定をならし、負担を適正にして重要な語彙を身に付けられるようにする。 P277P283資料編(3)P29(外㉙)

中中1の初期は音声中心で

中1の初めは小学校の指導と関連させて音声中心の活動を重視し、小学校で扱った話題や語句・表現を繰り返す。小学校では書き写しや例を参照して書くまでにとどめていることを踏まえ、語順を意識して書くよう丁寧に指導する。3年間を通して発音と綴りを結び付ける。 P281資料編(3)P19(外⑲)資料編(3)P21(外㉑)

中授業は「生徒の理解に応じた英語」で

「授業を生徒の理解に応じた英語で行うこと」は堅持する。国がクラスルームイングリッシュなどの表現集や動画を提供し、補助的な日本語使用や母語使用の考え方を解説で示す。 P276P284

中単元づくりの例:My Favorite Food in 〇〇

資料編には中2相当の単元例がある。目的は「日本に来たことがない海外の生徒に『食べてみたい!』と思ってもらう」。接続詞(because, when, if, that)を学び、クラスメイトやALT、海外の生徒とオンラインで紹介し合い、パフォーマンステストを含めて9時間で構成する。 資料編(3)P12(外⑫)資料編(3)P13(外⑬)

中自分の意見・地域・日本を伝える話題

中学校の例として、校則など学校の課題への意見、健康的な食生活やスクリーンタイムについて意見を書く、ALTに日本の生活を説明する、留学生に地域のおすすめの場所を紹介する、姉妹都市の生徒に地域のつながりを発表する、などが示されている。 資料編(3)P25(外㉕)

中日本語と英語の違いに気付かせる

コミュニケーション活動と支える活動の中で、日本語と英語の音声・語彙・文構造・文法・論理の展開などの違いに気付かせる。相手の文化的背景に配慮したコミュニケーションの大切さも理解させる。 資料編(3)P27(外㉗)

中支える活動の具体例

特定の語彙や文法を簡単なやり取り・発表・書くことで使う、意味や使い方に気付く・理解する、語句や表現を覚える、流暢性を高める活動など。導入した語彙や文法をすぐ話せる・書けることを求めず、聞く・読むで理解する段階から話す・書く段階へ発展させる。 資料編(3)P31(外㉛)資料編(3)P34(外㉞)

中学年ごとの目標の作成義務をなくす方向

現行は3学年間を通じた学年ごとの目標を各校が定めるが、審議まとめでは一律の作成義務をなくし、任意とする方向が示された。 P280資料編(3)P19(外⑲)現行現行抜粋P25

中全面実施は令和13年度から(想定)

中学校の全面実施は令和13年度~が想定されている。 P38

英語の目標を「3つの柱」で示す

現行の英語の目標(高校は科目目標)は「聞くこと」など5つの領域別に書かれていた。次期は外国語の目標と同じように「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力、人間性等」の3つの柱で示す。領域ごとの細かい「できること」は「内容」の方へ移す。 P279P280資料編(3)P16(外⑯)

「内容」を学年段階の目安つきの表で示す

領域別の目標の要素を「内容」に移し、話題や活動がだんだん高度になる様子を、「〇学年相当」という目安とともに表形式で示す。学年ではっきり区切るのではなく、柔軟性を残した目安とする。表は「知・技」と「思・判・表」を並べる「並行」パターン。 P280資料編(3)P16(外⑯)資料編(3)P18(外⑱)

小中学年ごとの目標の一律の作成義務をなくす方向

学習指導要領自体が段階的な内容を示すようにするため、これまで各学校に求められていた「学年ごとの目標」の一律の作成義務はなくすべきとされた。必要な場合に学校が任意で作る位置付けになる見込み。 P280資料編(3)P19(外⑲)

「言語活動」から「コミュニケーション活動」へ

学習の中心を「コミュニケーション活動」(主に思・判・表を育てる)と「コミュニケーション活動を支える活動」(主に知・技を育てる)に分けて整理し、目標の柱書に書く。単元はコミュニケーション活動を中心にしながら、2つの活動を行き来して力を一体的に育てる。 P279P284資料編(3)P31(外㉛)

「言語の使用場面」「言語の働き」の名前と置き場所が変わる

現行で「内容」にある言語活動・言語の使用場面・言語の働きの例は、「指導計画の作成と内容の取扱い」に移し、「コミュニケーション活動」「コミュニケーションの場面」「コミュニケーションの意図(仮称)」と呼ぶ。「内容」は資質・能力だけに絞る。 P280資料編(3)P16(外⑯)資料編(3)P37(外㊲)

「統合的な理解」と「総合的な発揮」

知・技のゴールの姿を「統合的な理解」(英語のきまりを組み合わせて使うと理解や表現の質が高まると分かっている姿)として示す。思・判・表は「総合的な発揮」として、CEFRの分類を参考に「理解する」「表現する」「伝え合う」の3つに分けて書く。5領域をバランスよく育てる授業づくりをうながすねらい。 P280資料編(3)P8(外⑧)資料編(3)P9(外⑨)

外国語の「見方・考え方」を新しく

「外国語及び外国語によるコミュニケーションを、文化の違いや社会及び相手との関わりに着目して捉え、多様な他者の考えを受け止めるとともに、表現等を工夫して自分の考えを伝え、相互理解を図ること」と整理し直す(現行101字→91字)。AI時代に学ぶ意義と、人間ならではの非言語コミュニケーションも意識した表現。 P279資料編(3)P7(外⑦)

「学びに向かう力」を4つの要素に

①コミュニケーションへの興味・関心と伝えたい考えの形成、②対話・協働で考えを広げ深める態度、③自己イメージを持ち振り返りながら学習を調整する態度、④主体的に他者との相互理解を深めようとする心情、の4つに整理する。目標の文もこれに合わせて書き換える。 P279資料編(3)P4(外④)資料編(3)P5(外⑤)資料編(3)P6(外⑥)

「練習」という言葉を使わない

「練習」という言葉から思い浮かべるイメージが人によって違うことや、本文でこの語を使う教科がごく一部であることから、学習指導要領本文では「練習」を使わずに必要な活動を書く。 P284資料編(3)P27(外㉗)

中高「授業は英語で行うことを基本とする」考え方を維持

現行は「授業は英語で行うことを基本とする。その際、生徒の理解の程度に応じた英語を用いる」と定めている。審議まとめでは「授業を生徒の理解に応じた英語で行うこと」を堅持するとされた。そのうえで、国がクラスルームイングリッシュなどの表現集や動画を用意し、教師の補助的な日本語使用や、AI活用も含めた児童生徒の母語使用についての考え方を解説で示す。 P284

国が「基盤語彙リスト」を作る

複数のコーパスなどを参考に、国が語彙選定のための基盤語彙リストを作り、教科書会社にリストの語を使うよう推奨する。語の難しさや使用頻度などから、指導すべき語彙数も精選を含めて見直す。高校の教科書の多様性は守り、リストは研究を続けて更新する。 P283P61資料編(3)P29(外㉙)

中中学校の文法事項を絞り込む

中学校の文法事項のうち使用頻度の高いものなどを本文で具体的に示し、指導の対象を絞り、難しさを適正にする。教科書に難しい用法が含まれるなど内容が高度になりすぎたという指摘への対応。 P283P277P61

中「社会的な話題」→「身近な社会的な話題」

中学校の「社会的な話題」は、解説で難しいものが多く例示されているため、「身近な社会的な話題」とし、生徒が自分と関連付けて考えられるものを中心に例示する。話題は学年段階の目安を示し、身近なものから少しずつ抽象的なものへ進める。 P283資料編(3)P20(外⑳)資料編(3)P30(外㉚)

自分のこと・地域・日本・自分の意見を伝える

話題や活動の例を見直し、自分のことや日本のことに加えて、自分の意見を言える活動を充実させ、住んでいる地域の話題も明確に位置付ける。AIや学校内外の交流も使い、自分が伝えたいことを伝える活動を強める。 P281P10資料編(3)P25(外㉕)

CEFRに照らしてレベルを点検

現行では、各校種で想定したCEFRレベル(小~A1程度、中A1~A2程度、高A2~B1程度)より高い内容が書かれている場合がある。今後は「内容」や活動例をCEFRに照らして適切な文言にし、教師の足場かけが前提のものは解説で趣旨を示す。 P283

小中小中のつなぎ目を具体的に示す

各学校段階で身に付けさせること、前の校種からつなぐために重点を置くことを「指導計画の作成と内容の取扱い」で具体的に示す。例:小学校では日本語と英語の語順の違いに気付かせる、中1の初めは音声中心にし小学校の話題や表現を繰り返す、3年間を通じて発音と綴りを結び付ける。 P281資料編(3)P18(外⑱)資料編(3)P19(外⑲)

AIの適切な活用を学習指導要領に明記する方向

オンラインでの人との交流も含むデジタル学習基盤の活用を明記し、その一つとして発達の段階に応じたAIの適切な活用も書くべきとされた。目標はあくまで人間同士のコミュニケーションで、AIを使った会話練習などはそのための手段という原則をはっきりさせる。 P278P282P88

科学的知見にもとづく学び方の指導

第二言語習得や認知心理学、学習科学の知見を踏まえ、児童生徒が家庭学習も含めて自分で学習方略を使えるようにする。国が教師の指導や学習者に役立つ動画や資料を、学校の負担にも配慮して作る。 P278P281資料編(3)P15(外⑮)

文化理解と「多様な外国語」

多様性の包摂や多文化共生のための文化理解、母語や自国の文化を見つめ直すための言語の違いの理解を充実させる。帰国生徒や外国につながる生徒の外国語の力を生かす配慮を外国語の解説にも書く。英語以外の外国語については、開設状況の公表やオンライン講座などを検討する。 P282資料編(3)P26(外㉖)資料編(3)P27(外㉗)資料編(3)P28(外㉘)

評価規準の作り方が楽になる

「内容のまとまりごとの評価規準例」は国が示し、学校での作成は不要とする方向。外国語の「内容のまとまり」は5つの領域とする方向。学校が作る単元の目標はそのまま評価規準となるようにし、「内容」を基に作る。 P285資料編(3)P38(外㊳)資料編(3)P39(外㊴)

教師を支える国の研修と資料

文部科学省が全国の教師向けに大規模なオンライン研修を行う。国が作る動画や資料は自治体の研修でそのまま使えるように作り、小学校向けは学級担任と専科教員それぞれのニーズに配慮する。ALTとの連携についての動画・資料も出す。 P285

現行と次期の比較(新旧対照)17項目

黄色のマーカー=次期で新しく入る・強く打ち出される言葉 取り消し線=現行から消える・言い方が変わる言葉

項目現行次期(審議まとめの方向)
学年ごとの目標各学校が「学年ごとの目標を適切に定め」ることになっている(小:2学年間、中:3学年間を通じて目標の実現を図る)。学習指導要領が段階的な内容を示すので、学年ごとの目標の一律の作成義務はなくし、必要な場合に任意で作る方向(審議まとめの案)。 P280資料編(3)P19(外⑲)現行現行抜粋P6・P15・P25
見方・考え方外国語で表現し伝え合うため、外国語やその背景にある文化を、社会や世界、他者との関わりに着目して捉え、目的や場面、状況等に応じて、情報を整理しながら考えなどを形成し、再構築すること(101字)。外国語及び外国語によるコミュニケーションを、文化の違いや社会及び相手との関わりに着目して捉え、多様な他者の考えを受け止めるとともに、表現等を工夫して自らの考えを伝え、相互理解を図ること(91字)。 P279資料編(3)P7(外⑦)
学びに向かう力、人間性等(中学校の目標)外国語の背景にある文化に対する理解を深め、聞き手、読み手、話し手、書き手に配慮しながら、主体的に外国語を用いてコミュニケーションを図ろうとする態度を養う。コミュニケーションなどに興味・関心を持ち、他者との対話・協働を通して考えを広げたり深めたりするとともに、自らの学習を調整して、他者との相互理解を深めようとする態度を養う。 P279資料編(3)P6(外⑥)
学びに向かう力、人間性等(高校の目標)文化に対する理解を深め、聞き手等に配慮しながら、主体的、自律的に外国語を用いてコミュニケーションを図ろうとする態度。中学校の内容に加えて「外国語の習得に継続して取り組もうとする態度」を養う。 資料編(3)P6(外⑥)
知識及び技能の目標の書き方外国語の音声や語彙、表現、文法、言語の働きなどを理解し、聞く・読む・話す・書くことによる実際のコミュニケーションで活用できる技能(中)。「外国語の特徴やきまり」を理解し、実際のコミュニケーションで活用できる技能。各言語材料や領域の列挙は目標から省いて短くする。 資料編(3)P2(外②)
目標で扱う話題中・高の目標に「日常的な話題や社会的な話題について」と書く。小学校外国語活動は「身近で簡単な事柄」。目標では中学校「様々な話題」、高校「幅広い話題」とし、具体的な話題は「内容」で示す。小学校外国語活動は「ごく身近な事柄」、外国語は「身近な事柄」。 資料編(3)P3(外③)
中学校の話題「社会的な話題」(解説では、エネルギー問題、環境問題、世界情勢、科学技術、平和問題、人権問題など難しいものが多く例示)。学年別の区分がなく、難易度が混在。「身近な社会的な話題」(例:健康的な食生活、スクリーンタイム、皆が過ごしやすい学校づくり)。中1相当→中3相当と、身近なものから少しずつ抽象的なものへ。 P283資料編(3)P20(外⑳)資料編(3)P30(外㉚)現行現行抜粋P19
活動の名前言語活動コミュニケーション活動(主に思・判・表を育てる)とコミュニケーション活動を支える活動(主に知・技を育てる) P277P279P284資料編(3)P31(外㉛)
言語の使用場面「内容」の中に「言語の使用場面の例」として示す。「指導計画の作成と内容の取扱い」に移し、「コミュニケーションの場面」として例示する。 P280資料編(3)P16(外⑯)資料編(3)P37(外㊲)
言語の働き「内容」の中に「言語の働きの例」として示す。「コミュニケーションの意図(仮称)」として例示する(例:相手との関係を円滑にする・気持ちを伝える/事実・情報を共有する・相手の行動を促す/考えや意図を共有する)。知・技の指導での扱い方も示す。 P280資料編(3)P37(外㊲)
「内容」に入るもの知・技(言語材料)、思・判・表、言語活動及び言語の働きに関する事項(言語活動・使用場面・働きの例)。「内容」は資質・能力に限る。思・判・表は「総合的な発揮」と領域ごとの「話題・条件・できること」、知・技は「統合的な理解」と英語の特徴やきまりに関する事項。活動の例は「指導計画の作成と内容の取扱い」へ。 資料編(3)P16(外⑯)資料編(3)P44(外㊹)
思考力、判断力、表現力等の示し方5つの領域別の目標と、それを大まかにまとめた「内容」の思・判・表。重なりがあり、深まりが見えにくい。「総合的な発揮」をCEFRの分類(Reception・Production・Interaction)を参考に【理解する】【表現する】【伝え合う】に分け、領域ごとの内容は学年段階の目安つきで示す。 P280資料編(3)P8(外⑧)
語彙語数の目安だけ(小600~700語、中1,600~1,800語程度の新語、高1,800~2,500語程度、合計4,000~5,000語)。リストはない。国が基盤語彙リストを作り、教科書でリストの語を使うよう推奨。指導すべき語彙数も精選を含めて見直す(合計は「●語程度」とされ未定)。 P283資料編(3)P29(外㉙)現行現行抜粋P11・P21・P3
中学校の文法前回改訂で、感嘆文のうち基本的なもの、現在完了進行形、仮定法のうち基本的なものなどを追加。教科書に難しい用法も含まれる。使用頻度の高いものなどを本文で具体的に明示し、指導の対象を絞り、難易度を適正化する。 P277P283現行中学校解説外国語編P13
AIの扱い学習指導要領にAI活用の位置付けがない。デジタル学習基盤の活用を明記し、その一つとして発達の段階に応じたAIの適切な活用を書く。人間同士のコミュニケーションを充実させるという原則を明確に。 P277P278P282
評価規準の作り方各学校が①内容のまとまりごとの評価規準、②単元の目標、③単元の評価規準を作る。外国語は領域別目標が3つの柱で整理されておらず、作業が煩雑。内容のまとまりごとの評価規準例は国が示し、学校の作成は不要。外国語の「内容のまとまり」は5つの領域とする方向。単元の目標がそのまま評価規準になるようにし、「内容」を基に作る。 P285資料編(3)P38(外㊳)資料編(3)P39(外㊴)
教材に関する留意事項(文化)多様な考え方への理解、我が国の文化や英語の背景にある文化、国際理解の観点。これらに「多様性の包摂」「多文化共生に対する理解」を加え、話題・活動にも明示する。 P282資料編(3)P25(外㉕)資料編(3)P26(外㉖)資料編(3)P27(外㉗)

目標の新旧(現状→改善イメージ)

資料編の外①(柱書)、外②(知識及び技能)、外③(思考力、判断力、表現力等)、外⑥(学びに向かう力、人間性等)の「現状」と「改善イメージ」の対照表を要約した。いずれも外国語の目標で、「告示や解説を示すにあたり引き続き検討」と注記されている。英語の目標・高校の科目目標のイメージは外㊶~㊽にある。

校種・観点現行次期(改善イメージ)
中学校
柱書
言語活動を通して、簡単な情報や考えなどを理解したり表現したり伝え合ったりするコミュニケーションを図る資質・能力を育成。コミュニケーションを図る資質・能力を、コミュニケーション活動及びそれを支える活動などを通して育成(中・高共通の文)。 資料編(3)P1(外①)
中学校
知識及び技能
音声や語彙、表現、文法、言語の働きなどを理解し、4技能による実際のコミュニケーションで活用できる技能を身に付ける。外国語の特徴やきまりを理解し、実際のコミュニケーションで活用できる技能を身に付ける。 資料編(3)P2(外②)
中学校
思考力、判断力、表現力等
日常的な話題や社会的な話題について、簡単な情報や考えなどを理解したり表現したり伝え合ったりする力。様々な話題について、簡単な情報や考えなどを理解したり表現したり伝え合ったりする力。 資料編(3)P3(外③)
中学校
学びに向かう力、人間性等
文化への理解を深め、聞き手、読み手、話し手、書き手に配慮しながら主体的にコミュニケーションを図ろうとする態度。興味・関心を持ち、対話・協働で考えを広げ深め、自らの学習を調整して、他者との相互理解を深めようとする態度。 資料編(3)P6(外⑥)

語彙(単語の数)はどうなる?

現行の語数の目安

  • 中:小学校で学習した語に1,600~1,800語程度の新語を加えた語(前回の1,200語程度から増加。1,600は新たに指導する語数の下限、1,800は目安で上限ではない)
  • 小中高合計:4,000~5,000語(リストなし)

次期:国が「基盤語彙リスト」を作る方向

国が複数のコーパスを参照するなどして「基盤語彙リスト」を作り、教科書会社にリストの語を教科書で使うよう推奨する。語の難しさ(CEFRレベル等)や使用頻度にもとづく重要度(カタカナ語との対応なども含む)を考えて優先順位を付け、小・中・高への振り分けを検討する。その際、他のアジア諸国の状況も参考にする。指導すべき語彙数は、精選も含めて見直す(改善イメージでは合計「●語程度」とされ、数はまだ決まっていない)。ねらいは、教科書の語彙の難しさと選び方をならし、負担を適正にして、使用頻度の高い重要な語彙を様々な場面で繰り返し扱って身に付けさせること。高校は生徒の実態がさまざまなので教科書の多様性を守り、小中も難しくなりすぎないようにしながら多様な話題を扱えるよう配慮する。リストは必要に応じて更新できるよう継続的に調査研究する。入試や調査の作問に役立つよう、各教科書の新出語彙リストは電子データで提供されるべきとされた。

CEFRレベルの目安

中:A1~A2程度(同上)。R6調査でA1レベル相当以上の生徒は52.4%(H25は32.2%) P283P276

評価はどう変わる?

評価規準例は国が示し、学校での作成は不要にする方向

現行は各学校が①内容のまとまりごとの評価規準、②単元の目標、③単元の評価規準を作っている。審議まとめでは「内容のまとまりごとの評価規準例」を国が示し、学校の作成は不要にする方向が示された。 P285

外国語の「内容のまとまり」は5つの領域

外国語の特質から引き続き5つの領域(聞く・読む・話す[やり取り]・話す[発表]・書く)で評価することが重要とされ、国の評価規準例の「内容のまとまり」は「内容」に示す5つの領域とする方向で検討する。 P285資料編(3)P39(外㊴)

単元の目標=評価規準

学校が作る単元の目標はそのまま評価規準となるようにする。作るときは外国語の目標・英語の目標(高校は科目目標)を踏まえつつ「内容」を基にする。 P285資料編(3)P38(外㊳)

評価が煩雑だった理由が解消される

現行は領域別の目標が3つの柱で整理されておらず、「内容」も領域別でないため評価の手順が煩雑だったが、今回の構造化で改善されると考えられている。多くの教科と同じように「内容」から評価規準を作れるようになる。 P280P285

「統合的な理解」「総合的な発揮」は当面直接評価しない

当面は「統合的な理解」「総合的な発揮」の育成状況そのものを一律に直接評価することは求めず、単元構想を含む指導・評価の計画の質を支える役割とする。 資料編(3)P40(外㊵)

知・技と思・判・表を同じテストで評価できる

知・技と思・判・表を同じパフォーマンステストなどで評価することも引き続き可能(具体は評価参考資料の作成時に検討)。単元例でも同一のパフォーマンステストで評価する例が示されている。 資料編(3)P13(外⑬)資料編(3)P40(外㊵)

総括は頻度を抑え、形成的評価を充実

学習成果の観点別評価・評定への総括は、学年末に絞るなど頻度を抑え、学習途中で差分を見取ってフィードバックする形成的評価を充実する(全教科共通の再整理案)。 資料編(3)P38(外㊳)

学びに向かう力は「見取る姿」で長い期間に

学びに向かう力の「見取る姿」は単元ごとではなく、学年・学期などの長い期間を通じて見取る。「見取る姿」や運用方法は小中について令和10年度末までに周知するとされている。 資料編(3)P13(外⑬)P65

MEXCBTとAIパフォーマンステスト

各学校の定期テストやパフォーマンステストに使えるよう、MEXCBTにCEFRを参照した問題を充実させ、AIを使ったパフォーマンステストツールの可能性を検討する。 P285

全国学力・学習状況調査の作問

今後の全国学力・学習状況調査は、CEFRレベルを勘案しつつ、個別の資質・能力に基づいて作問する。 P283

デジタル学習指導要領で評価規準例を一括確認

資料編の単元づくりのイメージでは、デジタル学習指導要領で解説の記述や評価規準例、小学校を含む前後の学習内容も確認できる姿が描かれている。 資料編(3)P12(外⑫)

国が用意するもの(支援)

学習方略の動画・資料

第二言語習得・認知心理学・学習科学の知見を踏まえ、教師の指導や学習者の参考になる動画・資料を国が提供する。学校の負担軽減に留意し、教師の指導や自治体の研修でも使えるように作る。 P281

AI活用の留意点・動画・資料

適切でない使い方も含めた留意点、動画・資料を国が具体的に示し、技術の発展に応じて更新する。外国語でのAI活用の考え方や実践事例も示す。 P282P88

クラスルームイングリッシュ等の表現集・動画

生徒の理解に応じた英語で指導する際に使える表現集(クラスルームイングリッシュ等)や動画を提供する。 P284

全国の教師向け大規模オンライン研修

改訂で重視する点を伝え、英語力・指導力の向上と継続的な授業改善を図るため、文部科学省が大規模なオンライン研修を行う。 P285

研修にそのまま使える動画・資料

国が作る動画・資料は自治体の教員研修でそのまま使えるようにし、教職課程でも使われることを念頭に作る。小学校向けは学級担任と専科教員それぞれのニーズに配慮する。 P285

ALT等との連携の動画・資料

ALT等との効果的な連携のあり方について参考となる動画や資料を提供する。 P285

英語資格・検定試験の特別受験制度の周知

検定団体が教師や教職課程の学生向けに受験料を減額するなどの特別受験制度について、学生の活用が進むよう一層周知する。 P285

教員養成のコアカリキュラム改善

教員免許制度の見直しを踏まえた外国語(英語)コアカリキュラムの改善で、科学的知見や学習方略の指導方法を学べるようにする。 P285

MEXCBTの問題充実

定期テストやパフォーマンステストに使えるよう、MEXCBTにCEFRを参照した問題を充実させる。 P285

国の評価規準例

「内容のまとまりごとの評価規準例」を国が評価の参考資料で示す。 P285

基盤語彙リストと新出語彙リストの電子データ

国が基盤語彙リストを作る。各教科書の新出語彙リストは入試や調査の作問に役立つよう電子データで提供されるべきとされた。 P283資料編(3)P29(外㉙)

Let's Try!の見直し

国が作成・配布している外国語活動教材Let's Try!を、身近で楽しい内容、5・6年につながる段階的な活動に見直す。 資料編(3)P17(外⑰)

教育課程特例校の実践事例の提供

教育課程特例校1,915校(令和7年4月時点)のうち1,483校が外国語に関する内容。制度が調整授業時数制度に統合されることを踏まえ、参照できる実践事例を教育委員会等に積極的に提供する。 P284P36

多様な外国語の学びの支援

各校の開設状況の公表と共有、教師の指導力向上・学習者同士の交流・オンライン講座の開設などの可能性の検討、大学が公表している教材などの資料の収集・公表を行う。 P282

外国語を使う機会の充実

英語キャンプ、英語での探究、海外校との交流、海外留学、ALT等の配置拡充など、先行事例の成果を共有し各地方の取組を推進する。 P285資料編(3)P15(外⑮)

デジタル学習指導要領

資料編のイメージでは、デジタル学習指導要領で解説や評価規準例、他教科や小学校を含む前後の学習内容を確認できる。 資料編(3)P12(外⑫)

生成AI・ICTとの付き合い方13項目

AI活用を学習指導要領に明記

オンラインでの人との交流などを含むデジタル学習基盤の活用を外国語の学習指導要領等に明記し、その一つとして発達の段階に応じたAIの適切な活用も書く。指導の参考となる考え方や実践事例も具体的に示す。 P278P282P88

原則:目標は人間同士のコミュニケーション

最終目標は外国語による人間同士のコミュニケーションを図る資質・能力で、AIを使った会話練習などはそのための手段。児童生徒の学びを深め、人間同士のコミュニケーションの充実につなげるという原則をはっきりさせる。 P282

AIの出力を鵜呑みにさせない

自分の興味・関心に応じた例文をAIで作るなどは有効と考えられる。ただし、児童生徒がAIの生成物を鵜呑みにせず、出力を吟味しながら自分の学習に生かせるよう教師が支援することが重要。 P282

家庭学習の出し方に注意

単純な英作文など、単にAI翻訳を提出すれば済むような家庭学習の課題を出さないなどの注意が必要とされた。 P282

国が留意点・動画・資料を示し更新する

諸外国の例も参考に、授業内外でのAIの効果的な使い方について、適切でない使い方を含む留意点や動画・資料を国が具体的に示し、技術の発展に合わせて更新する。 P282

話す量を増やす道具として

AIの活用で、恥ずかしがらずに話すことなどの練習量を大幅に増やす。家庭学習と連携して発話時間を確保する。 資料編(3)P15(外⑮)

言いたいことを英語にする活動

AIで自分が言いたいこと(母語)を英語にする活動を強化することが、英語で伝えたい内容を整理・発信する活動の充実策の一つとして挙げられている。 資料編(3)P15(外⑮)

交流の機会をつくる

児童生徒が英語で伝えたいことのイメージを持てるよう、AIや学校内外での交流機会を使いながら、自分が伝えたいことを伝える活動を強める。 P281

母語使用の考え方にAIも含めて示す

教師の補助的な日本語使用や、発達の段階に応じたAIの活用も含めた児童生徒の母語使用について、参考となる考え方を解説で示す。 P284

発信科目のフィードバックにAI

英コミュ(発信)(仮称)では、個別のフィードバックが物理的に難しいという課題に対し、AIを含むデジタル学習基盤の活用も含めたフィードバックの工夫を解説等で示す。 資料編(3)P23(外㉓)

AIを使ったパフォーマンステストの検討

AIを活用したパフォーマンステストツールの可能性を検討すべきとされた。 P285

AI時代でも相応の英語力は必要

AIで手軽に翻訳・通訳できる中でも、出力の正確さ・適切さを批判的に検討したり、ツールも使いながらリアルなコミュニケーションをしたりするには相応の英語力が必要という視点、AIを効果的に使う力が必要という視点が示されている。 資料編(3)P14(外⑭)

AI時代の教師の役割

授業デザイン、児童生徒の学ぶ意欲の向上、自律的な学習者を育てる学び方の指導などがより重要になる。人間同士のリアルなコミュニケーションが大切になることも踏まえる。 P285

今からできる準備チェックリスト18項目

  • 今すぐ自分の単元を、「コミュニケーション活動」(目的・場面・状況に応じて理解・表現・伝え合う)と「それを支える活動」(語彙や文法を理解し使う)に分けて見直し、両者を行き来する流れになっているか確かめる。 P284資料編(3)P31(外㉛)資料編(3)P34(外㉞)
  • 今すぐ単元の初めに「コミュニケーションを行う目的・場面・状況」を具体的に設定して生徒と共有する(例:日本に来たことがない海外の生徒に、住んでいる町の食べ物を紹介する)。 資料編(3)P12(外⑫)資料編(3)P13(外⑬)資料編(3)P31(外㉛)
  • 今すぐ同じ表現でも場面によって意図が変わることを意識させる(例:Can you ~? が質問にも依頼にも誘いにもなる)。似た意味の既習表現を整理して使えるようにする。 資料編(3)P37(外㊲)
  • 今すぐ導入したばかりの語彙や文法をすぐ話せる・書けることを求めず、聞く・読むで理解する段階から話す・書く段階へ進める計画にする。 資料編(3)P34(外㉞)資料編(3)P35(外㉟)資料編(3)P36(外㊱)
  • 今すぐ自分のこと・地域のこと・日本のこと・自分の意見を伝える活動を単元に入れる(例:地域のおすすめの場所を留学生に紹介、校則について意見を発表)。 P281資料編(3)P25(外㉕)
  • 今すぐ家庭学習の課題を見直し、単純な英作文などAI翻訳を出せば済むような課題になっていないか確かめる。 P282
  • 今すぐ授業でAIを使う場合は、例文の生成などに使っても出力を鵜呑みにさせず吟味させ、最後は人間同士のやり取りにつなげる設計にする。使う前に、学校・教育委員会が認めた環境かどうか、利用規約・年齢制限・必要な保護者の同意を確かめ、氏名や写真などの個人情報は入力させない。 P282
  • 今すぐ英語の学び方(学習方略)を授業で指導し、生徒が家庭学習でも自分で学習を調整できるようにする。高3の6割が学習方法が分からないという調査結果がある。 P281資料編(3)P15(外⑮)
  • 今すぐ小学校で扱っている話題・表現・指導方法を確かめる(小学校の指導内容を把握していない中学校教師が多いという調査結果がある)。 P277資料編(3)P18(外⑱)
  • 今すぐ中1の初めは音声中心の活動を重視し、小学校で扱った話題や表現を繰り返す。語順を意識して書くこと、発音と綴りの結び付けを3年間丁寧に指導する。 P281資料編(3)P19(外⑲)資料編(3)P21(外㉑)
  • 今すぐ教科書の「社会的な話題」を扱うときは、健康的な食生活やスクリーンタイムなど、生徒が自分と関連付けられる身近な切り口を工夫する。 P283資料編(3)P30(外㉚)
  • 今すぐ授業は生徒の理解に応じた英語で行うことを続ける。補助的な日本語使用や母語使用の考え方は今後の解説で示されるので、それを確認する。 P284
  • 全面実施まで評価は5つの領域を「内容のまとまり」とし、単元の目標をそのまま評価規準にする形に移る方向なので、国の評価規準例が出たら単元計画の作り方を合わせる。 P285資料編(3)P38(外㊳)資料編(3)P39(外㊴)
  • 今すぐパフォーマンステストで知・技と思・判・表を同じ課題で見取る形を試す(引き続き可能とされている)。 資料編(3)P13(外⑬)資料編(3)P40(外㊵)
  • 今すぐALTやオンラインでの海外校との交流など、人間同士のリアルなコミュニケーションの機会を単元に組み込む。 P285資料編(3)P13(外⑬)資料編(3)P15(外⑮)
  • 今すぐ帰国生徒や外国につながる児童生徒の外国語の力を、授業で生かせるよう配慮する。 P282
  • 全面実施まで国が行う大規模オンライン研修や、動画・資料、表現集が出たら活用する。 P284P285
  • 全面実施まで学年ごとの目標は一律の作成義務をなくす方向なので、告示の内容を確かめたうえで、校種間の接続など必要がある場合に任意で作るかどうかを校内で決める。 P280資料編(3)P19(外⑲)

次期を先取りする授業アイデア13本

中1(4〜5月)10分(帯活動)

小学校で言えた単語、書けるかな?音と綴りの橋渡し

小学校で慣れ親しんだ語を使い、音と綴りのつながりを毎時間少しずつ確かめます。

手順・ワークシート

ねらい

小学校で慣れ親しんだ語について音と綴りの対応に気付き、聞いた語を、綴りの手がかりを使って書くことができる。

流れ

  1. 2分先生が語を3つ続けて言い、生徒は繰り返します。続けて「3つに共通する音は?」と問いかけます。
  2. 3分カードを見せて綴りを確かめ、「a_e」の形が同じ音になっていることに生徒自身が気付くよう促します。気付いたことをペアで話し、全体で共有します。
  3. 3分先生が同じまとまりの語(make, same, late など)を言い、生徒はミニホワイトボードに書いて見せます。意味を知らない語があってもよいことにし、音から綴りを考える体験を優先します。
  4. 2分書いた語を一つ使って、小学校でも言えた形の文(I like 〜. / I can 〜. など)を言い、ノートに書きます。今日のまとまりを、ノートの「音と綴りのページ」に記録します。

評価

【知識・技能】聞いた語を音と綴りの対応を手がかりに書けているかを、ミニホワイトボードで全体的に確かめます。つまずきの多いまとまりは次の時間以降に繰り返します(この帯活動自体は、記録に残す評価には用いません)。

中115分

語順ボックスで、小学校の「言えた」を「書けた」に

「だれが・する」を土台に、「何を・どこで・いつ」を必要に応じて箱に足していくと、文がぐっと書きやすくなります。

手順・ワークシート

ねらい

自分のことを伝える文を、語順を意識して「だれが・する」を土台に、必要に応じて「何を・どこで・いつ」を加えて組み立てて書くことができる。

流れ

  1. 3分先生が週末の過ごし方を話し、生徒は聞き取ったことを日本語で言います。
  2. 3分先生の文を語順ボックスに入れて示し、日本語の「日曜日に・公園で・テニスを・します」と順番を比べます。「英語は『する』が早く出てくる」「場所と時は後ろ」など、生徒の言葉で確かめます。I swim. / I go to the park. のように、「何を」の箱を使わない文もあることを示し、空いている箱があってもよいことを伝えます。
  3. 5分生徒は自分の休日の過ごし方について、まず口で言ってみてから、語順ボックスに語を入れて書きます。分からない語は先生に聞くか、辞書で調べます。
  4. 4分ペアで書いた文を読み合い、相手に一つ質問します(Do you play it every Sunday? / Who do you play with? など)。答えを聞いて、自分の文を一つ付け足します。

評価

【知識・技能】選んだ動詞に合う語順で文を組み立てて書いているか(「だれが+する」のあとに、必要な「何を・どこで・いつ」を英語の語順で加えているか)を、ワークシートで見取ります。すべての箱が埋まっているかどうかは問いません。誤りが多い場合は、全体で同じ枠を使ってもう一度確かめます。

中21単位時間(50分)※単元9時間程度のうちの1時間

相手に合わせて選ぶ!町のおすすめグルメ紹介

相手の好みを聞き出してからすすめる。目的・場面・状況がはっきりした紹介活動です。

手順・ワークシート

ねらい

相手の好みや食べられない物を聞き出し、それに合わせて地域の食べ物を選んで、理由とともにすすめることができる。

流れ

  1. 5分先生がALTと、相手の好みを聞いてからおすすめするやり取りを見せます。生徒は「どんな順番で話していたか」を聞き取ります。
  2. 7分やり取りの流れ(挨拶→質問→すすめる→理由→相手の反応を聞く)を全体で整理し、各段階で使える既習表現を出し合います。生徒の発言を中心に板書します。
  3. 10分コミュニケーション活動を支える活動として、because / if / I think (that) を使って理由を付ける言い方を、ペアで言い合います(例:If you like sweet things, you should try 〜.)。
  4. 15分プロフィールカードを持った相手役に対して、好みを聞き出してからおすすめする活動を、相手を替えて3回行います。相手役はカードに合わせて答え、最後に Thank you. I want to try it! / Hmm, I'm not sure. などで反応します。
  5. 8分「相手にうまく合わせられた例」を2組に見せてもらい、どこがよかったかを全体で話し合います。
  6. 5分次回のALTや海外の生徒との交流に向けて、改善したい点を振り返りに書きます。

評価

【思考・判断・表現】相手から聞き出した情報に合わせて食べ物を選び、理由とともにすすめているかを、3回目のやり取りや単元末のパフォーマンステストで見取ります。【知識・技能】接続詞などを使って理由を伝える技能を、同じパフォーマンステストの中で見取ることもできます。

中32単位時間(50分×2)

スクリーンタイム、わたしたちのルールは?

自分ごとの「身近な社会的な話題」で、読んで・話して・意見を書きます。

手順・ワークシート

ねらい

スクリーンタイムについての短い文章や友達の考えを踏まえ、自分の意見を理由とともにまとまりのある文章で書くことができる。

流れ

  1. 10分【1時間目】使用時間の記録をもとに、ペアでやり取りします。先生は数人の答えを聞き、クラスの傾向を簡単に共有します。
  2. 15分2つの短い英文を読み、それぞれの書き手の意見と理由を表に整理します。分からない語は前後から推測させ、必要な語だけを確かめます。
  3. 15分4人班で、どちらの考えに近いかを、自分の生活の例を挙げて話し合います。I agree with 〜 because 〜. / I see your point, but 〜. などの表現を使います。
  4. 10分自分の意見と理由を構成メモに整理します(意見→理由1と例→理由2と例→まとめ)。
  5. 35分【2時間目】構成メモをもとに意見文を書きます(目安60〜80語)。書き終えたらペアで読み合い、「理由が具体的か」「相手が納得しそうか」の観点でコメントし合います。
  6. 15分コメントをもとに書き直し、最後に「意見を書くときに役立った表現や工夫」を振り返ります。

評価

【思考・判断・表現】読んだ情報や友達の考えを踏まえ、自分の意見を理由や例とともにまとまりのある文章で書いているかを、意見文で見取ります。【知識・技能】意見や理由を表す表現、接続詞を正しく使っているかを、同じ意見文で見取ることができます。

中2・31単位時間(50分)

AIの例文をうのみにしない!「好き」で例文づくり

興味に合わせてAIに例文を作らせ、吟味して自分の文にし、友達との会話で使います。

手順・ワークシート

ねらい

生成AIが作った例文を、意味・正確さ・自分に当てはまるかの観点で吟味して自分の文に作り直し、友達とのやり取りで使うことができる。

流れ

  1. 5分本時で扱う文法(例:現在完了の経験用法)を、先生の体験を例に聞かせて確かめます。
  2. 7分先生が生成AIに「スキーが好きな中学生向けに、have been to を使った例文を3つ作って」と指示して出てきた例を大型画面で見せ、全体で吟味します。難しすぎる語や、自分には当てはまらない内容があることに気付かせます。
  3. 12分生徒は個人で、自分の興味(部活動、趣味、好きな音楽など)を条件に入れて例文を作らせます。入力に名前や学校名などの個人情報を入れないことを確認します。出てきた例文をチェックリストで吟味し、使いたい文を2つ選んで、自分の本当の経験に合うように書き直します。
  4. 15分書き直した文を使い、ペアで Have you ever 〜? のやり取りを、相手を替えて行います。メモを見ないで言うことに挑戦し、相手の答えに一言反応してから質問を続けます。
  5. 8分「AIの例文をそのまま使わなかった理由」を何人かに発表してもらい、AIを学習に使うときのコツを全体でまとめます。
  6. 3分自分が直した例文と、直した理由を振り返りに書きます。

評価

【知識・技能】書き直した例文で、現在完了の形と意味を正しく使っているかを見取ります。【思考・判断・表現】やり取りの中で、相手の答えを受けて反応したり質問を続けたりしているかを観察で見取ります。【主体的に学習に取り組む態度】AIの出力を吟味し、自分の学習に合うように調整しようとする姿を、ワークシートの記述で見取ります。

中1・220分

Can you〜?は質問?お願い?おさそい?

同じ表現でも場面で意図が変わる。ロールプレイで「ことばの働き」を体感します。

手順・ワークシート

ねらい

Can you 〜? が質問・依頼・誘いのどれとして使われているかを場面から判断し、場面に合わせて使ったり応じたりすることができる。

流れ

  1. 4分先生がALTまたは生徒と、3つの短いやり取りを見せます。生徒はそれぞれが「質問」「お願い」「おさそい」のどれかを考えます。
  2. 4分どこで判断したかを話し合います(please があるか、場面、相手との関係、声の調子など)。答え方の違い(Yes, I can. / Sure. / I'd love to! / Sorry, I can't. I have club practice.)も整理します。
  3. 8分場面カードを引き、ペアでロールプレイをします。言われた側は場面に合った答え方で応じ、断るときは理由を添えます。相手と場面を替えて繰り返します。
  4. 4分「お願い」をするとき、ほかにどんな言い方を知っているか(Could you 〜? / Will you 〜? など、既習の範囲で)を出し合い、相手によって使い分ける感覚に触れます。

評価

【知識・技能】場面に応じて Can you 〜? を使い分け、適切に応じているかを、ロールプレイの観察で見取ります。単元末のやり取りのパフォーマンステストに依頼や誘いの場面を入れ、記録に残す評価につなげます。

中215分(+家庭学習と1週間後の振り返り)

覚え方を変えれば忘れにくい!単語の学び方実験

「思い出す」「間をあける」「使う」を試し、自分に合う学び方を選ばせます。

手順・ワークシート

ねらい

語彙を覚えるいくつかの方法を試して比べ、自分に合う方法を選んで家庭学習の計画を立て、振り返ることができる。

流れ

  1. 3分先生が自分の単語学習の失敗談を英語で話し、生徒に理由を考えさせます。
  2. 4分重要語10語を、難しさや知っている度合いが同じくらいになるよう5語ずつ2組に分けておきます。方法A「見て書く」と方法B「カードを見ずに思い出してから確かめる」を、組を替えてそれぞれ2分間試します(列ごとにAとBに使う組を入れ替えると、語の難しさの差が結果に出にくくなります)。翌日の授業の始めに10語の小テストをして、どちらが思い出しやすかったかを各自で確かめることを予告します。
  3. 4分方法Bで覚えた5語のうち2語を選び、ペアで自分のことを1文ずつ言い合います(方法C「文の中で使う」)。翌日の小テストで、文で使った2語と使わなかった3語の思い出しやすさを比べます。結果は「今回の自分の結果」として受け止め、1週間後にもう一度確かめます。
  4. 4分学習記録表に、家庭学習で試す方法と、復習する日(例:今日・2日後・1週間後)を書き込みます。1週間後の授業で、結果と気付きを振り返る時間をとります。

評価

【主体的に学習に取り組む態度】学習方法を試して比べ、自分に合う方法を選んで計画を立てたり、結果を振り返って修正したりしようとする姿を、学習記録表の記述で学期を通して見取ります。小テストの点数そのものを態度の評価には使いません。

中2・31単位時間(50分)

「いただきます」を英語で説明できる?

ぴったりの訳がない日本の言葉を説明しながら、日本語と日本の文化を見つめ直します。

手順・ワークシート

ねらい

一語では訳しにくい日本の言葉について、使う場面や気持ちを説明し、相手の質問に答えながら伝えることができる。

流れ

  1. 5分ALTが「日本に来て不思議に思った言葉」を話します。生徒は聞いて、どの言葉のことかを当てます。
  2. 8分班で言葉カードを1枚選び、「いつ使う?」「どんな気持ち?」「ほかの国にも似た習慣はありそう?」を日本語で話し合います。ぴったりの英語がないことに気付かせ、「訳す」のではなく「説明する」ことを確かめます。
  3. 12分説明の型を参考に、班で英語の説明を作ります。先生は、難しい日本語を既習の英語に言い換えるよう助言します(例:「感謝」→ say thank you for the food and to the people who made it)。
  4. 15分班ごとにALTや他の班に説明し、聞き手は Do you say it at home, too? / Do you say it to your teacher? などと質問します。質問に答えながら説明を補います。
  5. 7分ALTから、出身地で似た場面に言う言葉や習慣を聞きます。日本語と英語それぞれの言葉の背景にある考え方の違いや共通点を話し合います。
  6. 3分「説明してみて初めて気付いた日本語のこと」を振り返りに書きます。

評価

【思考・判断・表現】相手に伝わるよう、使う場面や気持ちを既習の表現で説明し、質問に応じて補っているかを見取ります。【主体的に学習に取り組む態度】言い換えを工夫して、粘り強く伝えようとしている姿を見取ります。

中21単位時間(50分)生成AIの使い方つき

AIで練習、本番は友達と!週末トーク・リトライ

友達と話す→AIの会話アプリで言えなかったことを試す→相手を替えてもう一度話す。AIを人と話すための準備に使います。

手順・ワークシート

ねらい

週末の出来事について、過去形を使って話したり、相手に質問したり反応したりしながら、1分半以上やり取りを続けることができる。

流れ

  1. 5分【AIを使わない】先生が週末の出来事を話し、生徒に質問します。
  2. 7分【AIを使わない】ペアで1回目のトーク(1分)。終わったら、言いたかったのに言えなかったことを、日本語のままメモします。
  3. 12分【AIを使う】指示文カードを入力して、AIと同じ話題でやり取りします。目的は「言えなかったことを言ってみる」「AIに質問を1回返す」の2つです。本名・学校名・住所・家族の名前や、よく行く場所など個人が分かる情報は言わない・書かないことを確認します(必要なら架空の内容に変えてかまいません)。AIの返答で分からない表現や不自然だと思った表現はメモします。
  4. 8分【AIを使わない】全体で、AIとの練習で言えるようになった表現と、AIの返答で「長すぎる」「本当に正しい?」と思った表現を共有します。先生が正確さを確かめて板書します(例:I stayed home and played video games. / It was fun, but I was tired.)。
  5. 13分【AIを使わない】相手を替えて2回目(1分半)、さらに替えて3回目(1分半)のトークをします。メモは見ずに、相手の話に一言反応してから質問を続けます。
  6. 5分1回目と3回目を比べて言えるようになったことと、AIとの練習がどう役立ったか(または役立たなかったか)を振り返りに書きます。

評価

【知識・技能】過去形を使って出来事を正しく伝えているかを、3回目のトークの観察で見取ります。【思考・判断・表現】相手の話に反応したり質問したりして、やり取りを続けているかを見取ります。【主体的に学習に取り組む態度】言えなかったことを練習で解決し、次のやり取りで使おうとしている姿を、振り返りで見取ります。

中21単位時間(50分)生成AIの使い方つき

同じ話を3つのレベルで!自分に合う英文を選んで読もう

先生が書いた話を生成AIで3段階に書き換え、自分で選んで読み、違うレベルを読んだ友達と内容を伝え合います。

手順・ワークシート

ねらい

自分に合うレベルの英文を選んで読み、概要や要点を捉えて友達に伝えたり、内容について自分の考えを書いたりすることができる。

流れ

  1. 5分【AIを使わない】箱に入った本の写真を見せ、何のための箱かを予想させます。
  2. 5分【AIで作った教材の説明】「3つの英文は、先生が書いた1つの話を、生成AIで3つの難しさに書き換え、先生が確かめて直したものです」と伝えます。レベル選びの目安を示し、生徒は自分でレベルを選びます。
  3. 12分【AIを使わない】個人で読み、3つの質問(Who made the box? / What happens at the box now? / What can people put in the box?)に答えます。早く終わった生徒は1つ上のレベルにも挑戦します。
  4. 12分【AIを使わない】違うレベルを読んだ3人でグループになり、読んだ内容を英語で伝え合います。自分の版にしかない情報がないか探します。
  5. 10分全体で「やさしい版で消えた情報は何か」を確かめます。Level A には Mr. Sato の最後の言葉がないことに気付かせ、「やさしく書き換えると、大事な情報や気持ちが落ちることがある」「AIが書き換えた文章も確かめて読む必要がある」ことを話し合います。そのうえで、Mr. Sato の言葉の意味をみんなで考えます。
  6. 6分【AIを使わない】「自分の町にもブックボックスがあったら使いたいか」について、理由を付けて2〜3文で書きます。

評価

【思考・判断・表現】選んだ英文の概要や要点を捉え、違うレベルを読んだ友達に伝えているかを見取ります。また、内容について自分の考えを理由とともに書いているかを見取ります。【主体的に学習に取り組む態度】自分に合うレベルを選び、必要に応じて上のレベルに挑戦しようとする姿を見取ります。

中11単位時間(50分)生成AIの使い方つき

AIに伝わる?友達に伝わる?発音チャレンジ

端末の音声入力で発音を文字にして確かめ、友達にも伝わるかを試し、音と綴りのつながりに気付きます。

手順・ワークシート

ねらい

音の違いに気を付けて単語や文を発音し、綴りと音のつながりに気付きながら、相手に伝わるように話すことができる。

流れ

  1. 5分【AIを使わない】小学校で親しんだ動物や身の回りの物の単語を、絵カードで発音して確かめます。
  2. 8分【AIを使わない】先生が ship / sheep などを言い、生徒はどちらの絵かを指さします。違いの出る口の形や舌の位置、母音の質(必要に応じて長さも)を確かめます。
  3. 12分【AIを使う】ペアで端末の音声入力を使い、文カードを1枚ずつ読み上げます。文字になった英文が、言おうとした文と同じかを確かめ、違った場合は口の形を変えて3回まで挑戦します。うまくいかなかった語に印を付けます。
  4. 10分【AIを使わない】伝わったかゲーム。一人が絵シートの中から一つを選んで I can see a ___. と言い、相手がどの絵かを指さします。AIでうまくいかなかった語も、友達には伝わったかを確かめます。
  5. 10分全体で、AIでうまく文字にならなかった語と、友達に伝わった・伝わらなかった語を比べます。ship / sheep の母音(i と ee)、cap / cup の母音(a と u)、pen / pin の母音(e と i)、lock / rock の l と r など、綴りと音のつながりを整理し、「音声認識は練習の目安になるが、完ぺきな判定役ではない」「人は前後の文や表情からも理解してくれる」ことを確かめます。
  6. 5分次に練習したい音と、家でどう練習するかを振り返りに書きます。

評価

【知識・技能】音の違いに気を付けて、単語や文を発音しているかを、伝わったかゲームの観察で見取ります。また、綴りと音のつながりに気付いているかを振り返りで見取ります。【主体的に学習に取り組む態度】うまくいかなかった音を、口の形を変えながら繰り返し試そうとしている姿を見取ります。

中31単位時間(50分)生成AIの使い方つき

交流の前にAIとリハーサル!聞かれそうな質問・聞きたい質問

海外の中学生とのオンライン交流の前に、AIを相手役にして質問を予想し、自分の言葉で答えを準備します。

手順・ワークシート

ねらい

交流相手に伝えたい自分の町や学校のことを整理し、相手からの質問に答えたり、相手に失礼にならない質問をしたりする準備ができる。

流れ

  1. 5分交流の目的(自分の町や学校のことを伝え、相手の暮らしを知る)と日程を確かめます。先生が「沈黙が続いた交流」の場面を例に、準備の大切さを話します。
  2. 10分【AIを使う】班で指示文を入力し、AIが出した質問を仕分け表で「答えられる」「準備が必要」「失礼・不自然」に分けます。入力に自分たちの名前・学校名・町名を入れないことを確認します。
  3. 10分【AIを使わない】「準備が必要」に分けた質問への答えを、自分たちの言葉で準備します。AIに答えを作らせず、自分たちが本当に伝えたい町や学校のことを選びます(例:Our town is famous for pears. In summer, we have a big fireworks festival by the river.)。
  4. 8分【AIを使う→人が確かめる】相手に聞きたい質問を班で考え、AIに「この質問は自然な英語か、失礼にならないか」を尋ねます。AIの意見と自分たちの考えを比べ、迷う質問はALTに確かめます。AIが相手の国について「みんな〜だ」のような決めつけを言った場合は、なぜ注意が必要かを話し合います。
  5. 12分【AIを使わない】クラスメイトを相手役にしてリハーサルします(3分)。質問に答えたあと、一言付け加えたり、相手に質問を返したりします。
  6. 5分本番で一番伝えたいことと、相手に一番聞きたいことを一つずつ書きます。

評価

【思考・判断・表現】相手に伝えたい町や学校のことを選んで整理し、質問に答えたうえで情報を付け加えたり質問を返したりしているかを、リハーサルで見取ります。【主体的に学習に取り組む態度】相手のことを考えて質問の言い方を確かめようとしている姿を見取ります。本番の交流での姿も合わせて見取ります。

中31単位時間(50分)生成AIの使い方つき

AI面接官でリハーサル、友達面接官で本番形式!スピーキングテスト準備

ルーブリックを確かめ、AIの追加質問で練習し、最後は3人組で本番形式のテストを回します。

手順・ワークシート

ねらい

「町のおすすめの場所」について、理由や具体例を加えて話し、相手の追加の質問にその場で答えることができる。

流れ

  1. 5分【AIを使わない】ルーブリックを確かめ、先生とALTが「よい例」と「追加の質問で止まってしまう例」を短く見せます。
  2. 8分【AIを使わない】おすすめの場所について、英語のキーワードだけでマップを作ります(場所・理由・具体例・おすすめの時期)。文章で書かないことがポイントです。
  3. 12分【AIを使う】指示文を使ってAI面接官と練習します(約3分を2回)。可能なら自分の答えを録音して聞き返し、ルーブリックで自己評価します。AIに町名や学校名を伝えず、「my town」「a park near my house」のように話します。
  4. 5分全体で、AIの追加質問で困ったものを共有し、時間をかせぐ表現(Let me see. / That's a good question.)や、短く答えてから付け加える方法を確かめます。
  5. 15分【AIを使わない】3人組で面接官・受験者・評価係を交代しながら、本番形式で練習します(1人3分)。面接官役は追加の質問を必ず一つします。評価係は評価カードでよかった点と次の課題を一つずつ伝えます。
  6. 5分AIとの練習と友達との練習を比べて、本番までに練習したいことを一つ書きます。

評価

本時は練習の時間とし、成績に入れる評価は後日の本番のテストで先生が行います。本時は【主体的に学習に取り組む態度】として、ルーブリックに照らして自分の話し方を振り返り、次の練習の目標を立てようとしているかを、ワークシートで見取ります。

指導案(試案)2本

中学校第1学年外国語全6時間(本時は第3時)

Hello, New Friends! ~小学校で使った英語で、新しい仲間と知り合おう~

中教審の審議まとめ(2026年10月5日)で示された「中1の初期段階では小学校の指導と関連させ、音声を中心とした活動を重視する」「3年間を通して発音と綴りとを関連付けて丁寧に指導する」という方向性を先取りした、4〜5月向けの試案である。次期学習指導要領はまだ告示前であり、本案は審議まとめの方向性をふ…

指導案の全文

本時のねらい

新しい仲間との共通点を見つけるために、小学校で慣れ親しんだ表現を使って、好きなものを尋ねたり答えたりしながら伝え合うことができる。また、好きなものを表す語の発音と綴りの関係に気付くことができる。

本時の流れ

  1. 5分導入 挨拶をする。前時の誕生日の活動を思い出しながら、教師の問いかけ('When is your birthday?' など)に何人かが答える。ペアで1往復ずつ尋ね合う。
  2. 7分導入 教師の Small Talk(好きな食べ物について)を聞いて、内容についての質問に答える。何人かが教師から 'What food do you like?' と尋ねられて答える。本時のめあてを確かめる。
  3. 8分展開 【支える活動】「音と文字のたんてい」をする。①教師が好きなものを表す語(tennis、pizza、music など)を言い、生徒は最初の文字をミニホワイトボードに書く。②fish・English の最後の音、cheese・chocolate の最初の音を聞いて、それぞれ同じ音を探し、その音が2文字(sh・ch)で書かれることに気付く。③自分の好きなものを表す語をワードリストから探し、声に出しながら書き写す。
  4. 5分展開 教師とALT(または教師と生徒)のモデル会話を聞き、反応の言葉('Me, too!' 'Really?' 'Great!')と、'How about you?' で相手に聞き返す流れを確かめる。
  5. 13分展開 【コミュニケーション活動】「Find Your Match」をする。食べ物・スポーツ・教科・動物などから話題を選び、4人の仲間と好きなものを尋ね合う。共通点が見つかったら、ワークシートに名前と共通点をメモする。途中で一度活動を止め、うまく続いたやり取りを全体で紹介してから、相手を替えて続ける。
  6. 7分展開 見つけた共通点を、例を参考に1文で書く(例:'Kenta and I like basketball.')。書いた文を、語句の色分け(だれが・どうする・なにを)で確かめる。
  7. 5分まとめ 書いた文を何人かが発表する。振り返りシートに、使えた表現、音と綴りで気付いたこと、次に話してみたい仲間を書く。

PDF版:shidoan-chu1-hello-new-friends.pdf(ダウンロードコーナー)

中学校第3学年外国語全8時間(本時は第5時)

わたしたちとスクリーンタイム ~自分の意見を理由とともに伝え合おう~

中教審の審議まとめ(2026年10月5日)で示された、中学校の「社会的な話題」を生徒が自分と関連付けて捉えられる「身近な社会的な話題」とする方向性と、発達の段階に応じた「AIの適切な活用」を学習指導要領に位置付ける方向性を先取りした試案である。次期学習指導要領はまだ告示前であり、本案は審議まとめの方…

指導案の全文

本時のねらい

中学生のよいスクリーンタイムの使い方について、友達の考えを受け止めながら、自分の意見とその理由を整理して伝え合うことができる。また、生成AIが示した表現を吟味し、自分の伝えたいことに合うものを選ぶことができる。

本時の流れ

  1. 5分導入 挨拶をする。教師の Small Talk(昨夜のスクリーンタイムと、その結果どうなったか)を聞き、内容について簡単な質問に答える。
  2. 5分導入 本時のめあてと流れを確かめる。前時に書いた意見文の下書きと意見メモを読み直し、自分の意見を一文で言えるかペアで確かめる。
  3. 12分展開 【支える活動】生成AIで表現を見直す。①下書きから「うまく言えなかった一文」を選ぶ。②学校で利用を認めている生成AIに、その一文の別の言い方を、中学生が習った英語の範囲で二つ示すよう頼む。③示された表現を「意味が自分の言いたいことと同じか」「自分で説明できる表現か」「相手に伝わるか」の3観点で吟味し、採用・一部採用・不採用を理由とともに吟味シートに書く。
  4. 18分展開 【コミュニケーション活動】4人グループで意見を伝え合う。①一人ずつメモを見ながら意見と理由を伝える(1人1分程度)。②聞き手は 'That's a good point.' などで受け止め、'Why do you think so?' 'Do you have an example?' などで質問する。③全員が話した後、自分と違う意見に対して、賛成・反対・付け加えを伝え合う。途中で一度止めて中間指導を行い、メンバーを一部入れ替えて②③を続ける。
  5. 10分まとめ グループで出た意見を「賛成・条件付き賛成・反対」に分けて付箋で黒板に貼り、学年への提案に使えそうな意見を全体で確かめる。振り返りシートに、①友達の意見を聞いて考えが変わったか・広がったか、②AIの表現を使った・使わなかった理由を書く。家庭学習の課題を確認する。

PDF版:shidoan-chu23-screen-time-opinions.pdf(ダウンロードコーナー)

現行の学習指導要領・解説(中学校)

文部科学省の公式PDFです(クリックで開けます)。

次期学習指導要領 教科別まとめ中学校No.10
中学校版
審議まとめ(2026年10月5日)を中学校の先生向けにまとめ直しました

特別の教科 道徳次期学習指導要領で、どう変わる?

1つの教材を複数時間で扱い、じっくり考え議論する道徳へ

10秒でいうと

複数時間での扱いと「深める教材」(13程度が目安)。教師が交代で学級を回る授業も可

やさしく言うと

中学校でも、道徳科の目標は今の書き方を保ちつつ、1つの教材を複数時間で扱う授業を進める方向です。深める教材の目安は13とされ、読み物教材は精選されます。また、先生が交代で学級を回って授業する「チームで行う道徳授業」を、学校の実態に応じて導入できると明確にする方向です。情報モラルやAIをめぐる問いを扱うことも示されています。

中学校はいつから?

全面実施2031年度(令和13年度)から(見込み)
移行期間2028〜2030年度
告示2026年度末の予定
教科書2031年度から新しい教科書(2029年度に検定)
無料原田英語.com 次期学習指導要領ナビ

研修・会議・授業・保護者会での印刷・コピー・配布・投影はご自由にどうぞ。ご連絡は不要です。クレジットは残してください。審議まとめ(2026年10月5日)準拠・出典ページつき。告示前の方向性で、今後変わることがあります。2026年11月4日 版

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道徳の3行要約(全校種)

  1. 目標・評価・内容項目の枠組みは今のまま。次は「考え、議論する道徳」をすべての学校で実際に行う段階(「実装」)と位置付けられた。
  2. 1つの教材を翌週などにまたがって2コマ以上でじっくり扱う「複数時間」と、教科書に新しく入る「深める教材」が改善の柱。中学校は13コマ分程度が目安。
  3. 特別活動・社会科などとの連携、教師が交代で学級を回る「チームで行う道徳授業」、AIや情報モラルの扱い、デジタル活用の注意点も示された。

※「深める教材」の数は教科書のイメージとしての目安で、読み物教材と合わせて35コマ分。

特別の教科 道徳のポイント4つ

複数時間と「深める教材」(目安13)

1つの教材を翌週にまたいで複数時間で扱う授業を進める方向です。教科書の読み物教材を精選し、2コマ目などで使う「深める教材」を充実させます。中学校の深める教材の目安は13で、読み物教材と合わせて35コマ分とされています。 P309P312

授業では、たとえばたとえば1時間目で教材から問いを出し合います。翌週は別の資料も使い、その問いについて立場を変えながら議論することが考えられます。

先生が交代で回る「チームで行う道徳授業」

今の中学校の学習指導要領は、道徳科を学級担任が行うことを原則としています。次期は、先生が交代で学級を回る方法を導入できると明確にする方向です。同じ教材で授業を重ね、指導力を高められることなどが理由です。生徒の成長を見取りにくいといった留意点も示されています。 P315

授業では、たとえばたとえば学年の先生で教材を分担して各クラスを回り、生徒の発言や様子をメモで担任に伝える仕組みを作ることが考えられます。

葛藤を2つの型で考える

問題解決的な学習で扱う「問題」の例を、2つに整理して解説で示す方向です。「価値の実現をめぐる葛藤」は、よいと分かっていても行動が難しい場面です。「価値の対立をめぐる葛藤」は、一方を取ると他方が損なわれる場面です。 P311

授業では、たとえばたとえば「友達との関係を大切にするか、公平さを守るか」のように、2つの価値がぶつかる場面で話し合うことが考えられます。

情報モラルとAIをめぐる問い

誤った情報の拡散や闇バイトへの関与など、ネットのリスクが増えています。情報モラルは、してはいけないと分かっていても、なぜしてしまうのかを考え議論する扱いに見直す方向です。「何のために、どこまでAIを使うか」といった問いを扱えることも示されています。 P314

授業では、たとえばたとえば「宿題や作品づくりを、AIにどこまで手伝わせてよいか」を考え、その理由を出し合う授業が考えられます。

主な変更点10項目

小中1つの教材を「複数時間」でじっくり扱う授業を進める

今の道徳科は1時間に1つの読み物教材を扱うことが多く、登場人物の気持ちの読み取りで時間が終わり、考えを深めるところまで届かないという課題が指摘されています。そこで、発達の段階をふまえながら、1つの教材を複数のコマで扱い「じっくりと深く学ぶ」授業を進めるとされました。複数コマは連続2コマではなく、翌週に続けて扱うことを想定しています。同じ内容項目を深める形(パターン1)と、関連する別の内容項目も扱う形(パターン2)の両方があり得るとされています。 P301P309

小中教科書の読み物教材を減らし「深める教材」を入れる

今の教科書は各学年35コマ分の読み物教材が基本で、それが「1時間に1つの読み物教材」という授業につながっていると指摘されました。今後は読み物教材を精選し、2コマ目などで使う「深める教材」(読み物より簡素で、話し合いや体験的な学習につなげやすい教材)を教科書発行者が開発する方向です(教科書での示し方は今後検討)。深める教材の目安は中学校13、小学校高学年8、中学年4、低学年0で、読み物教材と合わせて35コマ分とされました。なお資料編(m4 P88)では、これは教科書のイメージであり、現場の実践を制限するものではないと注記されています。 P312P313

小中「問題解決的な学習」「体験的な学習」の趣旨と「葛藤」の例を分かりやすく示す

「問題解決的な学習」と「道徳的行為に関する体験的な学習」(役割演技、動作化、当事者に会う活動など)について、趣旨と具体例が示され、活動そのものが目的にならないよう注意することや、これら以外の方法も含めて多様な実践をすすめることを明確にするとされました。学習で扱う「問題」の例は、これまでの4項目から、「価値の実現をめぐる葛藤」(分かっているのに行動が難しい)と「価値の対立をめぐる葛藤」(一方を取ると他方が損なわれる)の2つに整理して解説で示すとされました。価値の対立を扱うときは、主題に関連して複数の内容項目を設定できることも解説で明確化するとされました。感情の認識や調整に関わる学びも、体験的な学習の一例として解説で示すとされました。 P310P311

小中道徳科の「深い学び」を2つの視点で示す

現行の解説をもとに、「多面化・多角化」(ものの見方が一面的から多面的・多角的に広がること)と「自我関与」(自分との関わりで道徳的価値の理解が深まること)を、道徳科の「深い学び」の2つの視点として、現場で使えるイメージを示すとされました。登場人物の心情理解や、分かりきった善悪を確認して終わる授業からの転換をねらいとしています。 P301P308

小中教師が交代で学級を回る「チームで行う道徳授業」を導入できると明確化

現行の中学校学習指導要領では道徳科の指導は「学級担任が行うことを原則」としつつ、解説で交代で回る取組も効果的としています。次期では、同じ教材で繰り返し授業をすることで経験の浅い教師も含めて指導力が上がることなどから、学校の実態に応じて教師が交代で学年・学級を回って授業する方策を導入できることを明確化するとされました。一方で、子供の成長を見取りにくい、低学年では同じ先生の方が安心して発言できる、といった留意点も示されています。負担軽減だけが目的にならないことも注意されています。 P315

各教科・特別活動・社会科と道徳科の連携をはっきりさせる

道徳科は「道徳教育の要」として、各教科等で行う道徳教育を補い、深め、まとめる役割を持ちます。各教科の「内容の取扱い」にある道徳教育の記載は維持したうえで、その趣旨を解説でより具体的に示すとされました。特に特別活動とは、道徳科で考え議論したことを学級のルールづくり(合意形成)や自分の行動選択(意思決定)に生かす関係を、参考資料で分かりやすく示すとしています。主権者教育を進める社会科・特別活動の方向性とも連携し、道徳的価値やその葛藤を扱うことを解説で示すとされました。 P302P303P304

全体計画・道徳教育推進教師・高校の「中核的な指導の場面」の見直し

総則の道徳教育の記載は現行を維持するのが基本です。そのうえで、高校の全体計画も小中と同じく「重点目標」を書くなど、小・中・高で書き方をそろえるとされました。「道徳教育推進教師」は役割の共通理解が十分でないため、国が役割や、過度な負担なく取り組める実践例の資料を提供するとされています。高校では「人間としての在り方生き方に関する中核的な指導の場面」に、公民科(公共、倫理)と特別活動に加えて総合的な探究の時間を新たに位置付けることが提案されています。ただし、総合で道徳教育のための時間を別にとる必要はないと注意されています。 P304P305P100

小中情報モラルの見直しとAIが生む道徳的な問題を扱う

AIによる大量の情報や誤情報、低年齢からの情報発信・拡散、デジタル・タトゥーや闇バイトへの関与などのリスクが増えたことを受け、情報モラルの扱いを解説で見直すとされました。「してはいけない」と分かっていることも、なぜしてしまうのかという心の弱さと関わらせて考え議論することや、炎上投稿のリポストのように単純な正誤では判断しにくい問いと向き合う機会を設けることが示されています。また「何のために、どこまでAIを使うか」などAIが生む道徳的な課題を、教材で扱えることを解説で示すとされました。 P314

小中デジタル・AI活用のイメージと、内容項目ごとの配慮

意見の可視化・共有、振り返りの蓄積、AIに異なる立場の意見を出させるなどの活用イメージと留意点を、解説等で示すとされました。AIの答えを正解として扱わず批判的に吟味すること、まず自分で考えてから補助的にAIを使うことが注意点です。また、意見の共有が「言いたくないことまで言わされる」圧力にならないよう、内容項目ごとの配慮例(家族愛では多様な家族構成、生命の尊さでは家族の病気などへの配慮等)も示すとされました。 P316P317

小中内容項目の一部の文言を見直す

4つの視点と内容項目の枠組みは維持し、個別に必要な見直しを行うとされました。中学校の[家族愛、家庭生活の充実]の「父母,祖父母を敬愛し」は、例えば「父母、祖父母等の家族」とするなど見直します。[友情、信頼]の「心から信頼できる友達をもち」は、例えば「友達と互いに信頼し合い」とするなど見直します。小学校低学年[節度、節制]の「わがままをしない」は、子供の主体性をおさえる趣旨ではないことを解説で明確にするとされました。内容は、4つの視点ごとに学年を分けた表の形で示す案です。 P306P307

現行と次期の比較(新旧対照)7項目

黄色のマーカー=次期で新しく入る・強く打ち出される言葉 取り消し線=現行から消える・言い方が変わる言葉

項目現行次期(審議まとめの方向)
授業の進め方1授業で1つの読み物教材を扱うことが多い。学習指導要領には「一つの内容項目を複数の時間で扱う指導」も例として書かれている。1つの教材を翌週にまたがるなど複数コマで扱い、2コマ目に「深める教材」や問題解決的・体験的な学習を組み合わせて「じっくりと深く学ぶ」。 P309P310
教科書の教材構成各学年の教科書に35コマ分のいわゆる「読み物教材」が載っているのが基本。読み物教材を精選し、「深める教材」と合わせて35コマ分に。深める教材の目安は中学校13、小学校高学年8、中学年4、低学年0。 P312
問題解決的な学習で扱う「問題」の例平成28年の報告で4項目(価値が実現されていない問題、理解不足や誤解の問題、分かっているのにできない葛藤、複数の価値の対立)を例示。「価値の実現をめぐる葛藤」「価値の対立をめぐる葛藤」の2項目に整理して解説で例示。価値の対立を扱う際は複数の内容項目を設定できると明確化。 P311
道徳科の授業者中学校は「学級担任が行うことを原則」。解説で、教師が交代で学年の全学級を回る取組も効果的と記載。学校の実態に応じ、教師が交代で学年・学級を回って授業する方策の導入が可能と明確化(導入時の留意点も示す)。 P315
全体計画の書き方(高校)小中は「重点目標」を設定、高校は「指導の方針や重点」を明らかにする。高校も全体計画に「重点目標」を書くなど、小・中・高で規定に連続性を持たせる。 P304P100
目標・見方考え方・評価目標は発達段階に応じて書き分け。見方・考え方は目標と別に示さない。評価は数値でなく記述式、大くくりのまとまりで、他者と比べない個人内評価。調査書に書かず入試に使わない。いずれも現行の考え方を維持。資質・能力を観点別に分けて扱わない整理も継続。 P306P308
内容項目の文言(中学校の例)[家族愛,家庭生活の充実]「父母,祖父母を敬愛し」、[友情,信頼]「心から信頼できる友達をもち」。例えば「父母、祖父母等の家族」、「友達と互いに信頼し合い」とするなど記載を見直す。 P307

授業時数

道徳科の授業時数を変えるという記述はない。本文では道徳科は「35単位時間の授業が行われることが前提」とされる(P304注、P309)。ただし現行の標準授業時数は小学校1年のみ34単位時間で、小学校2年以上と中学校が35単位時間。時数全体の見直しでは、現在35コマ以下の教科等からは時数を減らさない方針(P79)で、調整授業時数制度でも35コマ以下の教科等は減らせない(P32)。ソーシャルスキル育成などは道徳や特別活動(学級活動)への調整授業時数の上乗せで対応することも考えられるとされる(P33)。

生成AI・ICTとの付き合い方4項目

AIが新しい道徳的課題を生んでいる

AIなどの発展は、偽・誤情報やフィルターバブルによる価値観への影響だけでなく、AIへの過度の依存やELSI(倫理的・法的・社会的課題)など新しい道徳的課題も生んでいます。「AI時代の自らの人生の舵取り」の点からも、道徳教育の重要性が増しているとされています。 P301

道徳科でのAIとの向き合い方

AIをめぐる問いの例として、「何のために、どこまでAIを使うべきか、そもそも何のために学ぶのか」「AIの出力や、AIで個人向けに選ばれた情報をどう受け止め判断するか」が挙がっています。発達段階をふまえ、AIの道徳的課題を教材で扱えることを解説で示し、技術の変化に合わせて見直すとされています。 P314

道徳科でのAIの活用と留意点

AIに異なる立場の意見を出させる実践があり、考えを多面的・多角的にするうえで一定の効果が期待できるとされています。ただし、AIの回答を正解として扱わず道徳的価値との関わりで批判的に吟味すること、自分で考えた後に補助的にAIを使うなど、迷いや葛藤を含めて子供自身が考える機会を確保することが留意点です。 P316P317資料編(3)P90

情報モラルの変化

10年前と比べ、AIによる大量の情報生成を含めて、正しい情報と誤情報の見分けが難しくなっていることなどが指摘されています。 P314

今からできる準備チェックリスト8項目

  • 今すぐ年間指導計画の中から、1つの教材を翌週にまたいで2時間扱う授業を、まず1つ試行する箇所を選びます(頻度は審議まとめの目安ではなく、学校の実態に合わせて決めます)。中学校や小学校高学年から始め、低学年では慎重に考えます。 P309P312
  • 今すぐ発問を見直し、登場人物の気持ちの読み取りにかける時間を減らして、「多面化・多角化」と「自我関与」を促す問いを1つ入れます。 P308P309
  • 今すぐ教科書の教材を「価値の実現をめぐる葛藤」と「価値の対立をめぐる葛藤」の2つの葛藤の見方を手掛かりに点検し(2つは相互に関連し、はっきり分けにくい教材やどちらにも当てはまらない教材もあります)、子供の発達段階や実態もふまえて、問題解決的な学習に活用できそうな教材に印をつけておきます。 P311
  • 今すぐ端末で意見を共有するときの配慮を確認します。家族愛、生命の尊さ、友情・信頼などの内容項目では、言いたくないことまで言わされる圧力にならないよう、共有しない選択肢を用意します。 P316
  • 告示まで学年で「チームで行う道徳授業」(教師が交代で学級を回る授業)を試す場合は、子供の成長の見取りを担任へ伝える方法と、低学年での扱いを先に決めておきます。負担軽減だけが目的にならないようにします。 P315
  • 告示まで特別活動の年間計画と道徳科の年間計画を並べ、道徳科で考えたことを学級のルールづくり(合意形成)や行動の選択(意思決定)に生かせる時期に印をつけます。 P303P304
  • 先行実施まで情報モラルの教材を点検し、「してはいけないと分かっているのに、なぜしてしまうのか」を考える問いや、AIの使い方をめぐる問いを扱う授業を年間計画に位置付けます。 P314
  • 全面実施まで道徳教育推進教師を中心に、複数時間の授業や「深める教材」を使った実践の記録を校内で共有し、全体計画の重点目標と結び付けて見直します。 P304P317

次期を先取りする授業アイデア2本

中学2年2単位時間(50分×2、翌週にまたがって実施)

「友達か、公平か」を2週かけて考える

1つの教材を翌週にまたいで扱い、価値の対立を自分の問題として深めます

手順・ワークシート

ねらい

友達を大切にしたい気持ちと、公平でありたい気持ちがぶつかる場面について、さまざまな立場から考え、自分ならどう判断し行動するかを理由とともに深める。

流れ

  1. 5分【1コマ目】導入。「友達のためにしたことが、ほかの人にとって不公平になることはあるだろうか」と問い、数人に短く聞きます。自分の体験を話したくない人は話さなくてよいと最初に伝えます。
  2. 10分場面文を読み、「ここで何が問題になっているのか」を個人で書きます。登場人物の気持ちの読み取りに時間をかけず、問題を見いだすことに絞ります。
  3. 15分「見なかったことにする」「友達に直接言う」「先生に伝える」など取り得る行動を出し合い、それぞれの行動で大切にされるもの・損なわれるものを表に整理します。
  4. 15分数直線(友達を大切にしたい⇔公平でありたい)に自分の位置を置き、3〜4人で理由を交流します。少数の位置にいる人の理由を全体で取り上げます。
  5. 5分「今の時点の自分の考え」をワークシートに書いて保存し、「来週は条件が変わったらどうなるかを考えます」と予告します。
  6. 5分【2コマ目(翌週)】1コマ目の自分の考えを読み返し、学級全体の数直線の分布を再び示します。
  7. 15分条件カードをグループに1枚ずつ配り、「この条件なら判断は変わるか。変わらないなら、何が変わらないのか」を話し合います(深める教材としての活用)。
  8. 10分役割演技。友達に直接声をかける場面を2〜3通り即興で演じ、見ている人は「言われた側はどう受け取ったか」「公平さは守られたか」を観察して伝えます。
  9. 10分全体で「どの条件でも大切にしたいもの」を出し合います。教師は1つの結論にまとめず、出てきた考えを板書で並べて示します。
  10. 10分「1週目の自分の考えと比べて、変わったこと・変わらなかったこと」と「自分の生活で似た場面に出会ったら」を書きます。

評価

道徳科の評価は、数値ではなく記述で、他の生徒と比べない個人内評価とする現行の考え方を維持する方向です。1コマ目と2コマ目の記述を比べ、一面的な見方から多面的・多角的な見方へ広がっているか(多面化・多角化)、自分自身との関わりで考えているか(自我関与)に注目し、1回の授業だけでなく大くくりのまとまりの中で見取ります。どちらの結論を選んだかでは評価しません。

中学3年1単位時間(50分)

何のために、どこまでAIを使う?

AIをめぐる問いを道徳的な問題として考え、自分なりの線引きを言葉にします

手順・ワークシート

ねらい

学習や作品づくりでAIをどこまで使うかという問いについて、学ぶことの意味や自分の成長、誠実さとの関わりから考え、自分なりの判断とその理由を言葉にする(主な内容項目の例:自主、自律、自由と責任)。

流れ

  1. 5分「宿題や作品づくりでAIが使われそうな場面」を挙げてもらいます。自分が使ったことがあるかどうかは聞きません。
  2. 12分3枚の場面カードを読み、個人で「どこまでならよいか」線を引き、その理由を書きます。
  3. 13分4人班で線の位置と理由を交流します。同じ位置でも理由が違うことや、違う位置でも共通して大切にしていることを探します。
  4. 8分教師が授業前にAIに出させておいた異なる立場の意見を示し、「納得できる点・疑問に思う点」を班で吟味します。AIの意見は正解ではなく、考える材料の1つであることを確認します。
  5. 12分「そもそも何のために学ぶのか」を全体で考えた後、自分の線引きを見直し、理由とともに書きます(最初と変わらなくてもかまいません)。

評価

線をどこに引いたかではなく、理由の中で学ぶことの意味や自分の成長、誠実さなど複数の視点から考えているか(多面化・多角化)、自分の学び方の問題として考えているか(自我関与)を記述から見取ります。AIの意見をそのまま写していないか、自分の考えと比べて吟味しているかにも注目します。

現行の学習指導要領・解説(中学校)

文部科学省の公式PDFです(クリックで開けます)。

次期学習指導要領 教科別まとめ中学校No.11
中学校版
審議まとめ(2026年10月5日)を中学校の先生向けにまとめ直しました

総合的な学習の時間次期学習指導要領で、どう変わる?

小中も「総合的な探究の時間」へ。一人一人の探究を深める方向

10秒でいうと

名称が「総合的な探究の時間」に。修学旅行・職場体験は探究として成り立つ部分だけ代替可

やさしく言うと

中学校の「総合的な学習の時間」も、「総合的な探究の時間」という名前に変える方向です。学校行事を総合の時間で代わりに行えるかのルールを、より分かりやすくする案です。修学旅行や職場体験は、探究として成り立つ部分について代替できるとされています。探究の形として「研究系」「行動系」「創作系」を示す方向です。AIを使うときの注意点も示されています。

中学校はいつから?

全面実施2031年度(令和13年度)から(見込み)
移行期間2028〜2030年度
告示2026年度末の予定
教科書2031年度から新しい教科書(2029年度に検定)
無料原田英語.com 次期学習指導要領ナビ

研修・会議・授業・保護者会での印刷・コピー・配布・投影はご自由にどうぞ。ご連絡は不要です。クレジットは残してください。審議まとめ(2026年10月5日)準拠・出典ページつき。告示前の方向性で、今後変わることがあります。2026年11月4日 版

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総合的な学習の時間/総合的な探究の時間の3行要約(全校種)

  1. 小中学校の「総合的な学習の時間」も「総合的な探究の時間」に名前を変え、小学校から高校まで同じ名前・一貫した目標にすることが適当とされた。
  2. 小学校の総合は「探究の領域」と新しい「情報の領域」の2つで構成し、情報の領域はミニ探究ユニットと情報ブロックで学ぶ方向が示された。
  3. クラス共通の「テーマ探究」と一人一人の「マイ探究」を組み合わせ、学校行事との代替ルールや計画・評価の書き方もはっきり・シンプルにする方向。

総合的な学習の時間のポイント4つ

学校行事の代替ルールをはっきりさせる

総合で学校行事を代わりに行えるかは、総合と特別活動の両方の目標に照らして判断します。儀式的行事や、「文化的行事」「健康安全・体育的行事」の準備(学習発表会を除く)は、総合で代替しないことが原則です。修学旅行や職場体験などは、探究として成り立つ部分を代替できる方向です。 P336

授業では、たとえばたとえば修学旅行で、事前に自分で問いを立て、現地で調べ、帰ってから発表するまでを探究として組み立てることが考えられます。

「研究系」「行動系」「創作系」の探究

探究の課題に注目すると、「研究系」「行動系」「創作系」という形があると示す方向です。形によって探究の進め方は違います。決まった手順を順番に回すこと自体が目的にならないよう注意します。創作系は、アイデアを作品として形にする探究です。 P324

授業では、たとえばたとえば、地域の魅力を伝える動画やアプリを作るなど、創作系の探究を選べる形にしておくことが考えられます。

名前も「総合的な探究の時間」に

中学校でも、教育課程の基準上の名前を「総合的な探究の時間」に変える方向です。小中高で名前をそろえることで、総合の中心が「探究」だとはっきりさせるねらいがあります。目標も小中高を通じて一貫した形で整理されています。 P343

授業では、たとえばたとえば、今の総合の時間の使い方を見直し、探究とは言えない活動に時間を使っていないかを学年で確かめることが考えられます。

情報技術は積極的に。AIは「偽の熟達」に注意

総合では、体験を土台にしつつ、情報技術をとくに積極的に使うことを明確にする方向です。一方でAIを使うと、高度に見えても力が付いていない「偽の熟達」が起きるおそれが指摘されています。学習の過程を省くことによる学習効果の低下も心配されています。 P328P330

授業では、たとえばたとえば生成AIで情報を集めたあと、実際に人に話を聞いたり現地で確かめたりする時間を必ず入れることが考えられます。生徒が使うときは、学校が認めたサービスを、年齢制限や保護者の同意を確かめたうえで先生の指導の下で使い、名前や写真などの個人情報は入力させません(文部科学省の生成AIガイドラインP19)。

主な変更点9項目

学校行事を総合で代わりに行えるかのルールを明確にする方向

総合の時間を学校行事に充てられるかは、総合と特別活動の両方の目標・内容に照らして、実際の学習の中身で判断するとされました。「儀式的行事」と、「文化的行事」「健康安全・体育的行事」の準備(学習発表会を除く)は、原則として総合で代替しないとされています。修学旅行などの「旅行(遠足)・集団宿泊的行事」や職場体験などの「勤労生産・奉仕的行事」は、探究として成り立つ部分だけ代替できるとされています。総合の本来の趣旨と離れた活動に時数が使われている例があるため、とくに中学校向けに、修学旅行や職場体験を質の高い探究として行う事例を示すとされました。 P336

クラス共通の「テーマ探究」と一人一人の「マイ探究」を組み合わせる

先生が学年・学級で共通のテーマを決める「テーマ探究」と、子供一人一人の「好き」や「得意」を起点にする「マイ探究」をバランスよく組み合わせる方向です。目指すのは、高校段階で自分の在り方生き方に関わるマイ探究を自分で進められるようになることです。「1年間1テーマ」だけでなく、1年に複数テーマを時期を分けて行う、両方を並行して行うなど、年間指導計画の参考例を示すとされました。マイ探究は「子供に任せればよい」という意味ではなく、先生の見取りや指導の役割も解説で示すとされています。 P322P323

成果を「外化」する機会と、「節目としての探究」

テーマ探究・マイ探究のどちらでも、探究の成果を論述・レポート・プレゼン・作品制作などで表す(外化する)機会を適切に設けることが、学習指導要領で明確化する方向です。外化を通して言語能力や情報活用能力が育ち、各教科の学びにもつながるという考え方です。また、各学校段階の最終学年などで、学びの成果や自分の変化を実感する「節目としての探究」を位置付けることが望ましいとされます。細かな要件は国は求めず、幅広い事例を参考資料で示し、探究の成果物のアーカイブなど学校図書館との連携の仕方も示すとされています。 P323P325

全体計画・評価をシンプルにし、目標は学校の「基本的な方針」とも結ぶ

これまで例示されていた「3観点を10の要素に分けた評価規準を単元ごとに作る」やり方は負担が大きいとして見直し、目標に照らした評価の視点例を5要素程度で示す方向です。細かな評価場面の設定や評価材料の集めすぎは求めず、先生の形成的評価(その場でのフィードバックや支援)と、子供の自己評価(振り返り)・相互評価の機会を一層重視するとされました。全体計画には育てたい資質・能力を短く書き、「学習活動・指導方法・指導体制・評価」は単元計画に書けばよく、全体計画への記載は必須としない方向です。総合の目標・内容は、学校教育目標だけでなく校長が作る学校運営の「基本的な方針」とも関連を図り、学校の目標を決める視点として「重点化」(重視する要素をしぼる)と「付加」(指導要領にない要素を加える)を示すとされました。 P333P334P335

探究のとらえ方を整理し、「研究系・行動系・創作系」を示す方向

探究は「興味・関心や問題意識に基づき課題を設定し、知識や方略を使い、試行錯誤しながら新たな価値の創造を繰り返す学習のプロセス」と分かりやすく言い直すとされました。「課題の設定→情報の収集→整理・分析→まとめ・表現」の4つの流れは典型例であって、順に回すこと自体を目的にしないと明確化し、「振り返り」は各コマや一定のまとまりごとなど様々な場面で随時行うものとして、4つの流れに並ぶ独立した一段階には位置付けない方向です(振り返りを軽く見るという意味ではなく、自己評価としての振り返りは一層重視されます)。課題に注目した探究の形として「研究系」「行動系」「創作系」があり、形によって進め方が違うことを参考資料で示すとされました。AI時代に作品を作り上げる経験が大切だとして、「創作系」も推進するとされています。 P321P324P325

情報技術を積極的に使い、AIは「偽の熟達」に注意

総合では、体験が土台であることを前提に、小中高を通じて教育課程全体の中でもとくに積極的に情報技術を使うことが求められると明確化すべきとされました。そのため中学校の情報・技術科、高校の情報科など情報活用能力を育てる「要」の教科ととくに緊密に連携するとされています。AIを使う場合は、一見高度に見えても力が育っていない「偽の熟達」に注意し、元の情報を確かめること、試行錯誤の記録、その場で説明して質問に答えること、現場体験や実験などAIに代わりにくい経験を重視することが考えられるとされます。具体的な使い方はガイドライン等で示される予定です。 P328P330

各教科・道徳・特別活動との役割分担を整理する

総合は、各教科で得た学びを「道具」として使い、自分にとって切実な課題に挑む「試合」の場と位置付けるとされました。学習者が課題・プロセス・成果のすべてを自分で決められるもの(パターン4)を「探究」、一部を決められるものを「探究的な学び」と整理し、各教科は探究的な学び、総合は探究を担いつつ互いに行き来すると整理されています。道徳は「学びを方向付ける人間性」、総合は「初発の思考や行動を起こす力・好奇心」、特別活動は「他者との対話や協働」を育てることに向く、と整理されます。キャリア教育は特別活動が「要」、総合は実社会との関わりの中で探究を通して実践する場とされ、学校行事の「文化的行事」は学習発表会の要素を加えた「文化・学習発表的行事(仮称)」に改める案です。 P320P325P326P327P337

「社会との連携」を進める(総合は教育課程の「出島」)

総合は学校の裁量が大きく、教科や学校と社会の壁を越える教育課程上の「出島」として、地域・企業・大学などとの連携が期待されます。社会側の関わり方は「出会い」「伴走」「協働」の3段階程度のイメージで示すとされ、コーディネーターや社会教育士の活用、費用の工夫の事例も紹介するとされています。子供が外部に協力を頼むときは、事前に自分で下調べし、相手の時間や立場を尊重するといった注意点を指導することが必要とされます。また新しい「裁量的な時間」でマイ探究を深掘りする場合は、総合との役割分担や連携を図ることを明確化するとされました。 P335P338P339P340P342

小中小中学校も「総合的な探究の時間」に名称変更する方向

小中学校の「総合的な学習の時間」の名称を「総合的な探究の時間」に変え、小学校から高校まで同じ名前にすることが適当とされました。目標を小中高で一貫した形に整理してきたこと、前回の高校での名称変更が探究の推進に役立ったことが理由です。 P77P343

現行と次期の比較(新旧対照)7項目

黄色のマーカー=次期で新しく入る・強く打ち出される言葉 取り消し線=現行から消える・言い方が変わる言葉

項目現行次期(審議まとめの方向)
名称小中学校は「総合的な学習の時間」、高校は「総合的な探究の時間」小学校から高校まで一貫して「総合的な探究の時間」とすることが適当とされた P343
探究の質を考える視点「高度化」(整合性・効果性・鋭角性・広角性の4要素)と「自律化」(自己課題・運用・社会参画の3要素)で示され、分かりにくいとの指摘がある「課題の質」「プロセスの質」「成果の質」の3つの視点に整理して参考資料等で示す P321
探究のプロセス平成20年改訂の「課題の設定、情報の収集、整理・分析、まとめ・表現」の4つの流れ。順に回すこと自体が目的化している例がある4つの流れは典型的な姿の一例とし、課題の設定を強調。「振り返り」は様々な場面で随時行うものとし、プロセスの独立した一段階には位置付けない。課題によって「研究系」「行動系」「創作系」で進め方が違うことを示す P324
評価規準のつくり方3観点を10の要素(視点)に分けた詳しい評価規準を単元ごとに作る扱いが例示され、細かな評価場面や評価材料集めが必要になっている(指導要録には身に付いた力を文章で端的に記述)文章で記述する基本は維持しつつ、評価の視点例を5要素程度に絞る。細かな評価場面の設定は求めず、形成的評価と自己評価・相互評価を一層重視 P333P335
総合で学校行事を代替できる範囲代替できる例として修学旅行等の「旅行(遠足)・集団宿泊的行事」と職場体験等の「勤労生産・奉仕的行事」、できない例として「文化的行事」「健康安全・体育的行事」の準備が挙げられるが、解説に曖昧さが残る両方の目標・内容に照らした学習の実態で判断。「儀式的行事」と、文化的行事・健康安全・体育的行事の準備(学習発表会を除く)は原則代替しない。旅行・勤労生産の行事は探究として成り立つ部分だけ代替可能 P336
総合の目標を決めるよりどころ各学校の総合の目標は学校教育目標との関連を図る学校教育目標に加えて、校長が作る学校運営の「基本的な方針」とも関連を図る。目標を定める視点として「重点化」「付加」を示す P334
考えるための技法比較する・分類する・関連付けるなど10個の例が並べて示されているだけで、考えを広げる(発散)思考が含まれていない当面「発散」の観点を加え、「発散と収束」の観点から分類して示す。学習方略とともに使いやすく具体化 P337P338

授業時数

小学校の総合では「探究の領域」と「情報の領域」がそれぞれ別に標準授業時数を設定する方向。情報の領域に必要な時数は各学年最大で、小3・小4が30コマ程度、小5・小6が35コマ程度と見込まれている(P78)。この増えた分は年間の総授業時数を増やさずに、標準時数が35コマ以下の教科等を除いた教科等から一律3~4%程度を「広く薄く」減らして確保する考え方で、具体的な数は今後示される(P79)。情報の領域は全面実施(小学校は令和12年度)を待たず、令和10年度から段階的に先行実施する経過措置が適当とされている(P79)。また、新しい調整授業時数制度では総合も調整の対象になる(ただし35コマ未満に減らすことはできない)(P32)。高校は標準単位数3~6単位→6~12新単位(P82)。

生成AI・ICTとの付き合い方5項目

AIが答えを出す時代の「探究」の意義

AIは人間の知的活動のあり方を含め、社会を構造的に変えつつあります。AIが簡単に情報を示す時代に、判断や人生の主導権を持ち続けるためにも、批判的に情報と向き合い、真偽や意味を問い直す力が一層重要とされています。 P319

AIやネットの切り貼りで終わる「調べ学習」の課題

ネット上の情報やAI要約を切り貼りするだけの「調べ学習」に終わる例が見られることが課題とされています。 P76

「創作系」の探究:AIに操られずクリエイターに

AIなどデジタル技術で、だれでもアイデアを作品にできるようになりました(デジタル技術の民主化)。一方、おすすめされ続けるコンテンツを消費し続ける誘因も増えています。AIに操られず人生を舵取りするため、作品を作り上げる「創作者」としての経験を重ねる「創作系」の探究を進めます。 P324資料編(3)P103

総合におけるAIの取扱い

AIは効果的に使える一方、高度に見えても実際は力が育っていない「偽の熟達」のおそれや、認知的負荷の低下・記憶や理解の弱化・批判的思考の低下などの負の影響も議論されています。AIは「仮説を立てる」「論じる」など高度な認知も代わりにできる点が特徴だという指摘もあります。 P330資料編(3)P117

AIを使うときに重視すること

AIで得た情報の元になった一次情報(発信者・時期・妥当性)を確かめることに加え、試行錯誤の過程、口頭での説明(その場で説明し質問に答える)、AIに代わりにくい現場体験・協働・実験・観察、AIを使う中で自分の成長を自覚すること、を重視する対応が考えられています。発達段階に応じたAI活用のあり方は、ガイドライン等で示す必要があるとされています。 P330

今からできる準備チェックリスト7項目

  • 今すぐ年間指導計画で、学年共通の「テーマ探究」と一人一人の「マイ探究」がどう配置されているかを確かめ、「1年間1テーマ」以外の組み方(時期を分ける、両方を並行する)も検討します。 P322P323
  • 今すぐ探究でAIを使うときの約束を決めます。もとの一次情報(発信者・時期・妥当性)を確かめる、試行錯誤を記録する、その場で説明して質問に答える、AIに代わりにくい体験を大切にする、の4点が手がかりになります。あわせて安全面の約束として、学校・教育委員会が認めたサービスを使い、最新の年齢制限・利用規約と保護者同意の要否を確認する、氏名・写真などの個人情報を入力しない、教師の指導監督下で使う、の3点も必ず加えます。 P330
  • 今すぐ単元ごとに3観点を10要素に分けた評価規準を作るやり方を見直す方向をふまえ、細かな評価場面を増やすより、見取りにもとづく声かけ(形成的評価)と、子供の振り返り・相互評価の時間を確保します。 P333P335
  • 告示まで総合の時数を学校行事に充てている部分を洗い出します。儀式的行事や、文化的行事・健康安全・体育的行事の準備(学習発表会を除く)は原則として代替しない方向なので、修学旅行や職場体験は探究として成り立つ部分を明確にします。 P336
  • 告示まで全体計画を見直し、育成を目指す資質・能力を端的に書く形に整理します。学習活動・指導方法・指導体制・評価は単元計画に書く方向です。目標は学校教育目標に加え、校長が作る「基本的な方針」とも関連付け、「重点化」「付加」の視点で検討します。 P334P335
  • 先行実施まで地域・企業・大学などとの連携を「出会い」「伴走」「協働」の3段階で整理し、子供が外部に協力を頼むときの事前の下調べや、相手の時間・立場を尊重する指導を計画に入れます。 P339P342
  • 全面実施まで最終学年などで学びの成果や自分の変化を実感する「節目としての探究」をどう位置付けるかを検討し、成果物のアーカイブを含めて学校図書館との連携を相談します。 P325

次期を先取りする授業アイデア1本

中学2年1単位時間(50分)

修学旅行を「探究」にする事前計画

現地でしか確かめられない問いを立て、依頼のマナーまで含めて計画します

手順・ワークシート

ねらい

修学旅行先で、現地でしか確かめられないことを中心に探究の問いと確かめ方を計画し、協力をお願いする相手への配慮も含めて準備する。

流れ

  1. 5分「行かなくても調べられること」と「行かないと確かめられないこと」の違いを、例を示して説明します。
  2. 15分班で下調べをし、「事前に分かったこと」をシートに書きます。調べても分からないこと、本当かどうか確かめたいことに印をつけます。
  3. 12分印をつけたことから現地で確かめる問いを1〜2つにしぼり、観察・インタビュー・記録など確かめ方を決めます。
  4. 10分インタビューをお願いする場合の文面を考えます。相手の時間をどれだけいただくか、事前に調べて分かったことは質問しない、などを確認します。
  5. 8分他の班と計画を交換し、「現地でしか確かめられない問いになっているか」を質問し合って修正します。

評価

計画シートで、事前の下調べと現地で確かめることが区別されているか、問いが班の探究テーマとつながっているかを見取り、その場で助言します(形成的評価)。旅行後のレポートや発表など、探究の成果を表す(外化する)活動と合わせて成果を見取ります。

現行の学習指導要領・解説(中学校)

文部科学省の公式PDFです(クリックで開けます)。

次期学習指導要領 教科別まとめ中学校No.12
中学校版
審議まとめ(2026年10月5日)を中学校の先生向けにまとめ直しました

特別活動次期学習指導要領で、どう変わる?

子供が学級・学校をよりよく創る「社会創造」の活動へ

10秒でいうと

生徒会(小は児童会)が校則など学校運営に意見を出す活動に。評価は個人内評価へ

やさしく言うと

中学校でも、生徒が学級や学校という身近な社会をよりよく創る「社会創造」の視点で特別活動を見直す方向です。生徒会活動には、校則など学校運営への「意見表明」を書き込む案です。学級活動の項目数が多い点は、中・高を中心に精選する方向です。学校行事は、生徒たちが創造する活動だと明確にします。AIは役立つ場面がある一方、話し合って決める主体はあくまで生徒です。

中学校はいつから?

全面実施2031年度(令和13年度)から(見込み)
移行期間2028〜2030年度
告示2026年度末の予定
教科書2031年度から新しい教科書(2029年度に検定)
無料原田英語.com 次期学習指導要領ナビ

研修・会議・授業・保護者会での印刷・コピー・配布・投影はご自由にどうぞ。ご連絡は不要です。クレジットは残してください。審議まとめ(2026年10月5日)準拠・出典ページつき。告示前の方向性で、今後変わることがあります。2026年11月4日 版

サイトで見る

特別活動の3行要約(全校種)

  1. 特別活動を「確かな民主主義の担い手を育み、共生社会を実現する基盤」と位置付け、三つの視点の「社会参画」を「社会創造」に整理し直す方向が示された。
  2. 児童会・生徒会は校則など学校運営に意見を出す活動、学校行事は子供が創造する活動、学級活動は「学級経営の要」と明確化することが適当とされた。
  3. 学級活動の項目名と内容を整理し自殺予防等も明示する案。評価は「学びに向かう力」の個人内評価とすることが適当とされ、キャリア・パスポートの例示資料は廃止する方向。

特別活動のポイント4つ

生徒会が校則などに意見を出す

生徒会活動は、校則など学校のルールづくりをはじめ、学校運営に生徒が関わる仕組みだと明示する方向です。先生の適切な指導が前提です。生活上の課題について生徒が提案し、先生との話し合いを通して学校運営に関わる「意見表明」の記載を設ける案です。 P355

授業では、たとえばたとえば生徒会が服装や持ち物のきまりについて全校の意見を集め、根拠を添えて先生方と話し合う場をつくることが考えられます。

学級活動の内容を整理し、数をしぼる

学級活動(1)は、アで学級内の課題、イで学級内の組織や役割、ウで学級をこえた学校の課題を扱うと区別する案です。(2)(3)は、とくに中・高で項目数が多いとの指摘から精選する方向です。SOSの出し方に関する教育などへの対応もはっきりさせます。 P354

授業では、たとえばたとえば年間計画の学級活動の題材を一覧にし、重なっているものをまとめて、生徒が話し合う時間を確保することが考えられます。

学校行事は生徒が創る。「文化・学習発表的行事」

学校行事は、子供たちが創造する活動だと明確にする方向です。また「文化的行事」の名前に学習発表会の要素を加え、「文化・学習発表的行事(仮称)」とする案です。「好き」や「得意」を伸ばした成果を発表する場として位置付けます。 P355P357

授業では、たとえばたとえば文化祭で、総合や部活動で取り組んだ成果を発表する枠を設け、企画から生徒が担う形が考えられます。

AIは補助に。決めるのは生徒

中学校の生徒会で、総会の議事録をAIでまとめて運営を効率化するといった例が示されています。一方で、合意形成や意思決定の主体は、あくまで子供たちが担うことが留意点とされています。誤った情報への注意も必要です。 P362

授業では、たとえばたとえば生徒会の企画づくりで生成AIに案を出させ、それをたたき台に生徒どうしで話し合って決めることが考えられます。生徒が使うときは、学校が認めたサービスを、年齢制限や保護者の同意を確かめたうえで先生の指導の下で使い、名前や写真などの個人情報は入力させません(文部科学省の生成AIガイドラインP19)。

主な変更点9項目

学級活動(ホームルーム活動)の項目名と内容を整理し直す

学級活動の(1)〜(3)の項目名を見直し、小中高のつながりが分かるよう内容の構成も整理する案です。(1)アは「学級における生活づくりへの参画」とし、アは学級内の課題、イは学級内の組織や役割、ウは学級を越えた学校の課題を扱うと区別する案です。ウで学校の課題を扱うときも学級での話し合いを原則としつつ、学年や異学年で話し合う場合の扱いは、学級活動で育てたい力に照らして適切に判断すべきとされました。(2)(3)は特に中高で項目数が多いため精選し、SOSの出し方に関する教育や生命の安全教育など現代的な課題への対応をはっきりさせる方向です。 P353P354

学級活動を「学級経営の要」、生徒指導・特別支援の「要」と明確化

教育課程が柔軟になり学び方が多様になるほど、学級経営が欠かせなくなるとされました。標準授業時数の中に時間がある学級活動を、学びの土台となる人間関係や心理的安全性をつくる「学級経営の要」と明確化することが適当とされました。学級経営が目指すものは、一人一人の子供と学級全体のウェルビーイング(心身・社会的に良い状態)として広くとらえます。また、特別活動(特に学級活動)は、すべての子供を対象とする生徒指導の第1層(発達支持的生徒指導)の要とされ、学級活動(2)は第2層(課題未然防止教育)も担います。学級活動(2)で自殺予防等を扱うことを「内容の取扱い」に明示し、障害の有無を含む多様な個性や背景を尊重することも内容に明記する案です。 P349P350P95

評価を「学びに向かう力」の個人内評価とし、過度な評価材料集めを抑える案

現行は3観点それぞれで目標に準拠した評価を行い、各活動ごとに十分満足できる場合に「○」をつけていますが、国の示す評価と現場の実態にずれがあると指摘されました。次期は、資質・能力の3つの柱に分けた目標準拠の評価は行わず、話し合いなどの過程で表れる「学びに向かう力」を一体的に個人内評価することが適当とされました。総括的な評価は、成長が特に顕著な場合に「○」をつける形です。教師の声かけなどの形成的評価と、子供自身の振り返り(自己評価)や話し合い(相互評価)を一層重視し、過度な評価材料集めを抑えるとしています。 P361P346

児童会・生徒会活動に「学校運営への意見表明」を書き込む

児童会・生徒会活動は、教師の適切な指導のもと、校則など学校のルールづくりをはじめ学校運営に子供が関わる仕組みであることを明示するとされました。例えば、学校のきまりなど生活上の課題について子供が提案し、教師等との話し合いを通して学校運営に関わる、といった「意見表明」に関わる記載を設けることが適当とされています。現在の「学校行事への協力」は内容を見直し、教師等が子供の声を聴く要素を加える方向です。委員会からの改善提案、学校運営協議会への子供の参画、学校評価で子供の意見を聞く取組とも関連し得るとされ、詳しくは解説で示すことが適当とされています。 P355P363P364

学校行事は「子供たちが創造する活動」に。文化的行事は「文化・学習発表的行事(仮称)」へ

学校行事は子供たちが企画や運営も含めて主体的に役割を担い創造する活動だと明確にする方向です。ただし、安全の確保など教師の適切な指導、行事の目的や発達の段階、教師に過度な負担を生じさせないことに留意するとされました。「好き」や「得意」の成果を発表する場として、「文化的行事」の名称に学習発表会の要素を加え「文化・学習発表的行事(仮称)」とする案です。また、総合で学校行事を代替する扱いを整理し、儀式的行事や、文化的行事・健康安全・体育的行事の準備(学習発表会を除く)は総合で代替しないことを原則とする案です。修学旅行や職場体験などは、探究として成り立つ部分について代替を可能とする方向です。 P356P357

キャリア教育の役割分担と「キャリア・パスポート」の見直し

特別活動はキャリア教育の「要」として、学習の見通しと振り返りを通じて将来の生き方を考える役割を担い、各教科等はその実践の場とされました(例:総合は興味・関心にもとづく探究、家庭科はライフキャリア、社会科は主権者教育)。「キャリア・パスポート」は、例示資料にそったワークシート作りが目的化しているとの指摘から、事務連絡にもとづく「例示資料」を廃止し、見通し・振り返りのための多様な取組に変える方向で見直すべきとされました。記録の蓄積はクラウド上などでの個人管理を基本とし、学校による引継ぎは求めない方向です。 P358P359P95

「合意形成」「意思決定」の意味と進め方を示す

合意形成は、多様な意見や価値観、背景を認め合い、対立や葛藤と向き合いながら「納得解」(みんなが受け入れられる案)をつくっていくこと、意思決定は自分の価値観に照らして責任をもって行動を選ぶことと整理されました。合意形成の典型的な流れは「課題の設定→発散(意見表明・受容)→収束(吟味・創造)→実践・振り返り」、意思決定は「課題の設定→発散(情報収集・相互参照)→収束(自己理解・自己決定)→実践・振り返り」とされ、解説等で参考として示すことが適当とされています。安易な多数決や予定調和に流されず、納得解や暫定解をつくることが重視されています。ただし実践を特定の型にはめるものではないと注意されています。 P345P359P360

三つの視点と用語の見直し(「社会創造」「主体的」など)

前回整理された「人間関係形成」「社会参画」「自己実現」の三つの視点のうち、「社会参画」を、身近な社会をよりよく創ることを重視した「社会創造」に整理し直すべきとされました。目標と見方・考え方の記載も見直す方向です。また、同調圧力につながるとの指摘がある「集団」という語は、具体的な対象があるときは「学級」「学年」「学校」などと書き分ける方向です。「主体的」「自主的」「自発的」は原則として「主体的」にそろえ、「~に対応させる」という意味の「適応」は見直す方向です。特別活動の英語訳も「Tokkatsu(Student-Led Activities for Civic and Personal Development)」と定めることが適当とされました。 P351P352

デジタル・AIの活用と裁量的な時間との関係

意見や少数意見の可視化、活動記録や振り返りの蓄積、グループウェアでの連絡などの活用イメージを解説等で示す方向です。AIは生徒会の議事録まとめや企画づくりの補助などに役立つ場合がある一方、合意形成や意思決定の主体はあくまで子供であること、効率化が目的にならずリアルな体験や協働を重視することが留意点とされました。また、裁量的な時間でいじめ防止やソーシャルスキルなど特別活動に関わる活動をする場合は、特別活動との役割分担や連携を図ることを明確化する方向です。年度途中に子供の発議で決まった活動の時間を裁量的な時間で確保する在り方は今後検討とされています。 P362P363

現行と次期の比較(新旧対照)7項目

黄色のマーカー=次期で新しく入る・強く打ち出される言葉 取り消し線=現行から消える・言い方が変わる言葉

項目現行次期(審議まとめの方向)
学級活動(ホームルーム活動)の項目名(1)学級や学校における生活づくりへの参画、(2)日常の生活や学習への適応と自己の成長及び健康安全、(3)一人一人のキャリア形成と自己実現。(1)学級や学校における生活の創造、(2)日常生活における自己の成長と健康安全、(3)将来に向けた自己の成長とキャリア形成(いずれも案)。 P354
学級活動(1)ア学級や学校における生活上の諸問題の解決(否定的な状況の改善に限ってとらえられがちと指摘)。学級における生活づくりへの参画(アは学級内の課題、ウは学級を越えた学校の課題と区別。ウも学級での話合いが原則)とする案。 P354
学級活動(2)の項目(中学校)ア自他の個性の理解と尊重、よりよい人間関係の形成、イ男女相互の理解と協力、ウ思春期の不安や悩みの解決、性的な発達への対応、エ心身ともに健康で安全な生活態度や習慣の形成、オ食育の観点を踏まえた学校給食と望ましい食習慣の形成の5項目。ア相互の理解と尊重、よりよい人間関係、イ生命尊重と思春期の悩み、ウ心身の健康と安全、エ学校給食と食育の4項目(案)。アに「男女の性別や障害の有無、異なる文化を含む」多様な個性の尊重を含める。 P350P354
三つの視点人間関係形成・社会参画・自己実現。人間関係形成を基盤に、社会創造・自己実現が往還的に高まる関係として整理(「社会参画」を「社会創造」に)する方向。 P352
評価の仕方知識・技能、思考・判断・表現、主体的に学習に取り組む態度ごとに目標に準拠した評価を行い、各活動ごとに十分満足できる場合に「○」。3つの柱に分けた目標準拠の評価は行わず、「学びに向かう力」を一体的に個人内評価。成長が特に顕著な場合に「○」を付記。形成的評価・自己評価・相互評価を重視(案)。 P361
キャリア・パスポート事務連絡(H31)にもとづく様式例(例示資料)を参考に各学校が作成・蓄積。例示資料を廃止し、見通し・振り返りのための多様な取組へ見直す方向。蓄積はクラウド上などでの個人管理を基本とし、学校による引継ぎは求めない方向。 P359P95
学校行事の種類(文化的行事)「文化的行事」。学習発表会は解説で具体例として挙がっている。学習発表会の要素を名称に加え「文化・学習発表的行事(仮称)」とする案。 P357

授業時数

特別活動の時数を変えるという記述はない。学級活動は標準授業時数に含まれ、児童会・生徒会活動、クラブ活動、学校行事は標準授業時数に含まれず各学校が適切な時数を充てる(P349注)。調整授業時数は学校行事・クラブ活動・生徒会活動等の時数の上乗せには使えない(P32)。ソーシャルスキル育成などは特別活動(学級活動)への調整授業時数の上乗せで対応することも考えられる(P33)。クラブ活動の時間は全国的に減少傾向で、時数の確保を求めることも難しいとされる(P355)。

生成AI・ICTとの付き合い方3項目

「生成AI時代の主権者」を育てる

多様な他者との対話や協働で、ルールづくりや学校生活の改善、行事などに子供が主体となって参画することで、「生成AI時代の主権者」として確かな民主主義の担い手を育てる領域として位置付けを明確にするとされています。 P351P352

AIを含むデジタル学習基盤の活用のあり方を示す

合意形成や意思決定の考え方の整理、学習評価の改善とともに、AIを含むデジタル学習基盤の活用についても具体的なあり方を示すとされています。 P346

特別活動でのAIの活用例と留意点

中学校の生徒会で、総会の議事録をAIでまとめて運営を効率化した例や、いじめ防止月間の企画の練り上げ、ポスターや動画づくりに使った例があります。一方、合意形成や意思決定の主体はあくまで子供であること、誤情報などの負の側面をふまえること、効率化を目的にせずリアルな体験や協働を重視することが留意点とされています。 P362資料編(3)P186

今からできる準備チェックリスト8項目

  • 今すぐ学級会の進め方を「課題の設定→発散(意見表明・受容)→収束(吟味・創造)→実践・振り返り」の流れで見直し、すぐに多数決に頼らず、納得解や暫定解をつくる時間を確保します。 P345P360
  • 今すぐ観点ごとに「○」を記録する評価補助簿づくりを見直す方向をふまえ、話し合いの過程で見られた子供の姿をその場で認める声かけと、子供の振り返り・相互評価の時間を重視します。 P361
  • 今すぐ学級活動を「学級経営の要」として、一人一人が安心して意見を言える関係づくりを計画的に行います。学級活動(2)では、障害の有無を含む多様な個性や背景を尊重することを扱います。 P349P350
  • 告示まで児童会・生徒会が学校のきまりなどについて提案し、教師と話し合う手順(提案の受け付け方、回答の時期、回答の仕方)を校内で決めておきます。 P355
  • 告示までキャリア・パスポートの「例示資料」を廃止する方向をふまえ、何のために書くのか(見通しと振り返り)を校内で確認し、様式を簡素にします。蓄積はクラウド上などでの個人管理を基本とし、学校による引継ぎは求めない方向です。 P359
  • 先行実施まで学校行事ごとに、子供が企画・運営を担う部分を1つ決めます。安全の確保、行事の目的、教師に過度な負担を生じさせないことを前提にし、文化的行事を「好き」「得意」の成果を発表する場にすることも検討します。 P356P357
  • 先行実施まで学級活動(2)で自殺予防やSOSの出し方に関わる内容を扱う時期を年間計画に位置付けます。動画を見て終わりにせず、子供の主体的な活動と組み合わせます。 P350P354
  • 先行実施まで(小学校)クラブ活動の学年(主として4年生以上)の縛りや実施時期を柔軟にできる方向をふまえ、学校規模に合った運用や、地域の放課後の活動とのつなぎ方(関係する地域の活動を掲示して紹介するなど)を検討します。 P355P356

次期を先取りする授業アイデア1本

中学2・3年(生徒会の委員)50分(生徒会の委員会活動の時間)

生徒会で「きまり」の改善を提案しよう

学校のきまりについて根拠と全校の声を集めて提案し、先生との話し合いに備えます

手順・ワークシート

ねらい

学校のきまりについて、全校生徒の声と根拠をもとに改善案をつくり、教師との話し合いに向けて提案を準備する。

流れ

  1. 5分委員長が今日のゴール(提案書の骨子を完成させる)を示し、提案は「要望」ではなく、学校全体がよりよくなる案であることを確認します。
  2. 10分アンケート結果を読み、多い意見だけでなく、少数意見や「今のきまりのままがよい」という意見も確認します。
  3. 10分きまりができた理由(安全、学習環境など)を確かめ、その目的を守りながら変えられる部分はどこかを話し合います。
  4. 15分提案書を作ります。改善案に対して先生・保護者・地域の人が心配しそうなことを予想し、対策と試行期間を考えます。
  5. 10分先生役の委員を立てて模擬の話し合いをし、質問に答えられるかを確かめます。次回までに足りない情報を分担して調べることにします。

評価

自分たちの要望だけでなく、きまりの目的や異なる立場の声をふまえて案を考えているか、話し合いを通して案を修正しているかを見取ります。特別活動の評価は、話し合いの過程で表れる「学びに向かう力」を個人内評価し、成長が特に顕著な場合に「○」をつける形にする方向が示されています。

現行の学習指導要領・解説(中学校)

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