A Day Inside Your Day(一日の中のもう一つの一日)の挿絵

A Day Inside Your Day

一日の中のもう一つの一日

  • 📖 890 words
  • ⏱ 約8分
  • 🔊 4:43
  • YL 2.5–3.4
  • 英検2級目安
  • 📝 全訳つき

あらすじ仕事の8時間だけが「一日」だと思っていませんか? ベネットは、残りの16時間の中に「もう一つの一日」をつくろうと提案します。疲れているはずなのに、なぜ観劇の夜は元気なのでしょう?

アーノルド・ベネット『自分の時間』(How to Live on 24 Hours a Day, 1908年)第3〜6章をもとに

キーワード(10語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • enthusiasm熱意
  • glorious華々しい
  • typical典型的な
  • attitude考え方、態度
  • employee従業員
  • modestささやかな
  • proposal提案
  • sacred神聖な
  • rehearsalリハーサル
  • urgent急を要する
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Arnold Bennett's book How to Live on 24 Hours a Day does not promise an easy secret. In fact, he says clearly that there is no secret and no easy road. Before you begin, he warns, you must understand that using your time well is very difficult. It will take effort, sacrifice and patience, and you must be ready for disappointments.

アーノルド・ベネットの『一日二十四時間でいかに生きるか』は、楽な秘訣を約束してくれる本ではありません。それどころか、秘訣も楽な道もない、とはっきり言っています。始める前に、時間を上手に使うのはとても難しいことだと分かっておきなさい、とベネットは注意します。努力も、犠牲も、忍耐も要る。がっかりすることもあると覚悟しておきなさい、というのです。

So how do you begin? Bennett's answer is: you simply begin. If a man standing at the edge of a cold swimming pool asked you, "How do I begin to jump?" you would just say, "Jump." There is no magic method. And there is no point in waiting until next week. You may think the water will be warmer next week. It won't. It will be colder.

では、どうやって始めればいいのでしょう。ベネットの答えは、「とにかく始めなさい」です。冷たいプールのふちに立った人に「どうやって飛び込みはじめればいいんだ」と聞かれたら、あなたはただ「飛び込め」と言うでしょう。魔法のような方法などありません。来週まで待つ意味もありません。来週になれば水も少しは温かくなっているだろう、と思うかもしれません。そうはなりません。もっと冷たくなっているのです。

He also gives an unexpected warning: be careful of your own enthusiasm. When we decide to improve our lives, we often want to do everything at once. We plan to study for three hours every night, exercise every morning and read a book a week. This burning enthusiasm usually burns out in a few days, and then we feel like failures. Bennett says that most people who are ruined are ruined by attempting too much. He prefers a small success to a glorious failure, because a small success can lead to a bigger one, but a glorious failure leads nowhere.

ベネットは、意外な注意もしています。自分のやる気に用心しなさい、というのです。暮らしをよくしようと決めると、私たちはつい、何もかも一度にやりたくなります。毎晩三時間勉強しよう、毎朝運動しよう、本を週に一冊読もう、と計画を立てます。けれども、燃えあがったやる気は、たいてい数日で燃えつきてしまいます。そして、自分はだめな人間だと思ってしまうのです。身を持ちくずす人の多くは、手を広げすぎて失敗するのだ、とベネットは言います。はなばなしい失敗よりも、小さな成功のほうがいい。小さな成功は、もっと大きな成功につながることがある。けれども、はなばなしい失敗は、どこにもつながらないからです。

To show how to find time, Bennett looks at a typical London office worker of his day. This man works from ten in the morning to six in the evening, and spends about fifty minutes each way traveling between home and the office. He does not hate his job, but he does not love it either. He starts work as late as he can and finishes it as early as he can.

時間をどうやって見つけるかを示すために、ベネットは、当時のロンドンのよくある会社員を例に取ります。この人は朝十時から夕方六時まで働き、家と会社の行き帰りに、片道五十分ほどかかります。仕事が嫌いなわけではありませんが、好きなわけでもありません。仕事はできるだけ遅く始め、できるだけ早く切り上げます。

Here, Bennett says, is the man's great mistake. He thinks of his eight working hours as "the day," and of the other sixteen hours as just the time before and after it. Because of this way of thinking, he does not value those sixteen hours. He does not exactly waste them, but he does not count them either.

この人の大きな間違いはここにある、とベネットは言います。働いている八時間を「一日」だと思い、残りの十六時間は、その前後のおまけくらいに思っているのです。そう考えているので、その十六時間を大事にしません。まるっきり無駄にしているわけではありませんが、自分の時間として数に入れてもいないのです。

Bennett's solution is a change of attitude. Inside your normal day, he says, you must create a second day, like a small box inside a bigger box. This inner day begins at six in the evening and ends at ten the next morning. It is sixteen hours long. During those sixteen hours, you are not an employee. You are free, and you can use them to develop your body, your mind and your friendships.

ベネットが勧めるのは、心がまえを変えることです。ふだんの一日の中に、もう一つの「一日」を作りなさい、とベネットは言います。大きな箱の中に小さな箱を入れるようにです。この内側の一日は、夕方六時に始まって、翌朝十時に終わります。長さは十六時間です。この十六時間の間、あなたは雇われている身ではありません。自由の身です。この時間を、体をきたえ、心を育て、友だちとの絆を深めるために使えるのです。

But won't this make a person too tired to work well? No, says Bennett. The mind does not get tired the way an arm or a leg does. What it needs is not rest, except in sleep, but change. Using your free hours with energy will actually make your working hours better.

でも、そんなことをしたら疲れてしまって、仕事に差しつかえるのではないでしょうか。そんなことはない、とベネットは言います。心は、腕や脚と同じようには疲れません。眠りは別として、心に必要なのは休むことではなく、変化なのです。自由な時間を生き生きと使えば、仕事の時間もかえって充実してくるのです。

Then he follows the office worker through his sixteen free hours. In the morning, the man walks to the station with an empty mind. He waits for the train, losing minutes. On the train, he reads the newspaper for half an hour. In the evening, he comes home pale and tired, or at least he tells his wife that he is tired. After dinner, he smokes, talks with friends, plays cards, opens a book and closes it again, and at a quarter past eleven he spends forty minutes thinking about going to bed. Six hours since he left the office have disappeared like magic.

続いてベネットは、この会社員が自由な十六時間をどう過ごしているかを追っていきます。朝、この人は頭をからっぽにしたまま駅まで歩きます。電車を待つ間に、何分かが無駄に消えます。電車の中では、三十分ほど新聞を読みます。夕方には、青い顔をしてくたびれて帰ってきます。少なくとも、奥さんには「疲れた」と言います。夕食のあとは、たばこを吸い、友だちとおしゃべりをし、トランプをし、本を開いてはまた閉じます。そして十一時十五分になると、そろそろ寝ようかと考えながら四十分を過ごします。会社を出てからの六時間が、魔法のように消えてしまったのです。

Is he really too tired? Bennett asks us to remember what happens when this same man has tickets for the theater with someone he likes. He rushes home, puts on his best clothes, rushes back to the city, and stays bright and lively for four or five hours. When we have something we are excited about in the evening, we are not tired at all. In fact, the whole day feels more alive.

この人は、本当にそんなに疲れているのでしょうか。ベネットは、同じ人が好きな相手と芝居を見に行く約束をしているときのことを思い出してほしい、と言います。そういう日は、急いで家に帰り、一番いい服に着替え、また急いで街へ出て、四、五時間もの間、明るく生き生きとしているではありませんか。夜に何か楽しみがあるとき、私たちは少しも疲れていません。それどころか、一日全体がいつもより生き生きと感じられるのです。

So Bennett makes a modest proposal. Three evenings a week, spend ninety minutes on some serious activity that develops your mind. Add about half an hour on the way to work on six mornings a week. That makes about seven and a half hours a week. It may sound small, but Bennett believed that these hours, if used fully, would bring new energy into the whole week, just as ten minutes of exercise each morning and evening can change how your body feels all day.

そこでベネットは、ささやかな提案をします。週に三晩、九十分ずつ、心を育てるような何かまじめなことに打ち込む。それに加えて、週に六日、朝の通勤中の三十分ほどを使う。そうすると、一週間でおよそ七時間半になります。たいした時間ではないと思うかもしれません。けれどもベネットは、この時間を目いっぱい使えば、一週間全体に新しい活力がわいてくると考えていました。朝晩十分ずつ体を動かすだけで、一日じゅう体の調子が違ってくるのと同じです。

He adds two pieces of practical advice. First, these ninety minutes must be treated as sacred. You would not easily cancel a tennis match or a rehearsal, so do not easily cancel your study time either. As Bennett jokes, tennis always seems so much more urgent than the improvement of your soul. Second, because accidents happen and human nature is weak, give yourself plenty of room. For ninety minutes of work, set aside the time from nine until half past eleven.

ベネットは、実際に役立つ助言を二つ付け加えています。一つ目は、この九十分を神聖なものとして扱うことです。テニスの試合や芝居の稽古なら、そう簡単に取りやめたりはしないでしょう。それなら、勉強の時間も簡単に取りやめてはいけません。ベネットは冗談まじりに、テニスのほうがいつも、自分の心をみがくことよりずっと急ぎの用に思えるものだ、と書いています。二つ目は、時間にたっぷりゆとりを持たせることです。思いがけないことは起こるものですし、人間は弱いものだからです。九十分勉強するなら、九時から十一時半までを空けておきなさい、というのです。

Try this today. Look at your own twenty-four hours and draw your inner day: the time that belongs only to you, outside school or work. Then choose three evenings this week and protect thirty to ninety minutes in each of them for one thing you truly care about. Start small, keep your promise, and let a small success grow into a bigger one.

今日、試してみましょう。自分の二十四時間を眺めて、「内側の一日」を描き出してみてください。学校や仕事の外にある、あなただけの時間です。それから、今週の夜を三つ選び、それぞれ三十分から九十分を、本当に大切にしていることのために確保しましょう。小さく始めて、約束を守り、小さな成功を少しずつ大きな成功に育てていくのです。

📖 全訳をまとめて読む 読み終わってからの答え合わせに

アーノルド・ベネットの『一日二十四時間でいかに生きるか』は、楽な秘訣を約束してくれる本ではありません。それどころか、秘訣も楽な道もない、とはっきり言っています。始める前に、時間を上手に使うのはとても難しいことだと分かっておきなさい、とベネットは注意します。努力も、犠牲も、忍耐も要る。がっかりすることもあると覚悟しておきなさい、というのです。

では、どうやって始めればいいのでしょう。ベネットの答えは、「とにかく始めなさい」です。冷たいプールのふちに立った人に「どうやって飛び込みはじめればいいんだ」と聞かれたら、あなたはただ「飛び込め」と言うでしょう。魔法のような方法などありません。来週まで待つ意味もありません。来週になれば水も少しは温かくなっているだろう、と思うかもしれません。そうはなりません。もっと冷たくなっているのです。

ベネットは、意外な注意もしています。自分のやる気に用心しなさい、というのです。暮らしをよくしようと決めると、私たちはつい、何もかも一度にやりたくなります。毎晩三時間勉強しよう、毎朝運動しよう、本を週に一冊読もう、と計画を立てます。けれども、燃えあがったやる気は、たいてい数日で燃えつきてしまいます。そして、自分はだめな人間だと思ってしまうのです。身を持ちくずす人の多くは、手を広げすぎて失敗するのだ、とベネットは言います。はなばなしい失敗よりも、小さな成功のほうがいい。小さな成功は、もっと大きな成功につながることがある。けれども、はなばなしい失敗は、どこにもつながらないからです。

時間をどうやって見つけるかを示すために、ベネットは、当時のロンドンのよくある会社員を例に取ります。この人は朝十時から夕方六時まで働き、家と会社の行き帰りに、片道五十分ほどかかります。仕事が嫌いなわけではありませんが、好きなわけでもありません。仕事はできるだけ遅く始め、できるだけ早く切り上げます。

この人の大きな間違いはここにある、とベネットは言います。働いている八時間を「一日」だと思い、残りの十六時間は、その前後のおまけくらいに思っているのです。そう考えているので、その十六時間を大事にしません。まるっきり無駄にしているわけではありませんが、自分の時間として数に入れてもいないのです。

ベネットが勧めるのは、心がまえを変えることです。ふだんの一日の中に、もう一つの「一日」を作りなさい、とベネットは言います。大きな箱の中に小さな箱を入れるようにです。この内側の一日は、夕方六時に始まって、翌朝十時に終わります。長さは十六時間です。この十六時間の間、あなたは雇われている身ではありません。自由の身です。この時間を、体をきたえ、心を育て、友だちとの絆を深めるために使えるのです。

でも、そんなことをしたら疲れてしまって、仕事に差しつかえるのではないでしょうか。そんなことはない、とベネットは言います。心は、腕や脚と同じようには疲れません。眠りは別として、心に必要なのは休むことではなく、変化なのです。自由な時間を生き生きと使えば、仕事の時間もかえって充実してくるのです。

続いてベネットは、この会社員が自由な十六時間をどう過ごしているかを追っていきます。朝、この人は頭をからっぽにしたまま駅まで歩きます。電車を待つ間に、何分かが無駄に消えます。電車の中では、三十分ほど新聞を読みます。夕方には、青い顔をしてくたびれて帰ってきます。少なくとも、奥さんには「疲れた」と言います。夕食のあとは、たばこを吸い、友だちとおしゃべりをし、トランプをし、本を開いてはまた閉じます。そして十一時十五分になると、そろそろ寝ようかと考えながら四十分を過ごします。会社を出てからの六時間が、魔法のように消えてしまったのです。

この人は、本当にそんなに疲れているのでしょうか。ベネットは、同じ人が好きな相手と芝居を見に行く約束をしているときのことを思い出してほしい、と言います。そういう日は、急いで家に帰り、一番いい服に着替え、また急いで街へ出て、四、五時間もの間、明るく生き生きとしているではありませんか。夜に何か楽しみがあるとき、私たちは少しも疲れていません。それどころか、一日全体がいつもより生き生きと感じられるのです。

そこでベネットは、ささやかな提案をします。週に三晩、九十分ずつ、心を育てるような何かまじめなことに打ち込む。それに加えて、週に六日、朝の通勤中の三十分ほどを使う。そうすると、一週間でおよそ七時間半になります。たいした時間ではないと思うかもしれません。けれどもベネットは、この時間を目いっぱい使えば、一週間全体に新しい活力がわいてくると考えていました。朝晩十分ずつ体を動かすだけで、一日じゅう体の調子が違ってくるのと同じです。

ベネットは、実際に役立つ助言を二つ付け加えています。一つ目は、この九十分を神聖なものとして扱うことです。テニスの試合や芝居の稽古なら、そう簡単に取りやめたりはしないでしょう。それなら、勉強の時間も簡単に取りやめてはいけません。ベネットは冗談まじりに、テニスのほうがいつも、自分の心をみがくことよりずっと急ぎの用に思えるものだ、と書いています。二つ目は、時間にたっぷりゆとりを持たせることです。思いがけないことは起こるものですし、人間は弱いものだからです。九十分勉強するなら、九時から十一時半までを空けておきなさい、というのです。

今日、試してみましょう。自分の二十四時間を眺めて、「内側の一日」を描き出してみてください。学校や仕事の外にある、あなただけの時間です。それから、今週の夜を三つ選び、それぞれ三十分から九十分を、本当に大切にしていることのために確保しましょう。小さく始めて、約束を守り、小さな成功を少しずつ大きな成功に育てていくのです。

日本語訳:多読ベスト

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このお話の教訓 Moral

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Start small: a small success can lead to a bigger one.

小さく始めよう。小さな成功が、大きな成功につながる。

理解度チェック Quick Quiz

読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. Why do many people fail when they try to use their time better, according to Bennett?

Q2. When does Bennett's inner day begin and end?

Q3. How much time does Bennett suggest using on three evenings a week?

この読み物の使い方 3ステップ

  1. 聞きながら読む 音声に合わせて光る文を目で追う(聞き読み)。わからない語は飛ばしてOK。
  2. 音声なしで読む ⏱計測ボタンで読む速さ(WPM)を測ってみる。
  3. 耳だけで聞く 🎧聞くだけモードで、文字を見ずに内容がわかるか試す。🔁1文リピートで音読・シャドーイングも。

聞き読みの効果とやり方/多読三原則

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