Simeli Mountain(ジメリの山)の挿絵

Simeli Mountain

ジメリの山

  • 📖 851 words
  • ⏱ 約8分
  • YL 5.0+
  • 英検1級・ネイティブ目安
  • 📝 全訳つき

あらすじ麦を売って細々と暮らす貧しい男は、森で十二人の男たちが合い言葉でふしぎな山を開けるのを見てしまいました。山の中には、金銀や宝石がぎっしりつまっていました。

グリム兄弟『子どもと家庭のメルヒェン集(グリム童話)』マーガレット・ハント英訳(1884年)原文。底本: Project Gutenberg eBook #5314

キーワード(12語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • scanty乏しい
  • barrow手押し車
  • robbers盗賊
  • thicketしげみ
  • cavernほら穴
  • jewels宝石
  • uprightlyまっとうに
  • bushelブッシェル(穀物の量の単位)
  • enviousねたんで
  • pitchやに・ピッチ
  • court of justice裁判所
  • clutchつかむ

🔊 音声は準備中です。もうしばらくお待ちください。

There were once two brothers, the one rich, the other poor. The rich one, however, gave nothing to the poor one, and he gained a scanty living by trading in corn, and often did so badly that he had no bread for his wife and children. Once when he was wheeling a barrow through the forest he saw, on one side of him, a great, bare, naked-looking mountain, and as he had never seen it before, he stood still and stared at it with amazement.

むかし、二人の兄弟がいました。一人はお金持ちで、もう一人は貧乏でした。お金持ちのほうは、貧乏なほうに何一つ分けてやりませんでした。貧乏なほうは麦の商いをして、細々と暮らしていましたが、商売がうまくいかないことも多く、妻と子どもたちに食べさせるパンさえないことがよくありました。あるとき、手押し車を押して森を通っていくと、道のわきに、草木が一本も生えていない、大きなはげ山が見えました。それまで一度も見たことのない山だったので、男は立ちどまって、びっくりしてその山を見つめました。

While he was thus standing he saw twelve great, wild men coming towards him, and as he believed they were robbers he pushed his barrow into the thicket, climbed up a tree, and waited to see what would happen. The twelve men, however, went to the mountain and cried, "Semsi mountain, Semsi mountain, open," and immediately the barren mountain opened down the middle, and the twelve went into it, and as soon as they were within, it shut. After a short time, however, it opened again, and the men came forth carrying heavy sacks on their shoulders, and when they were all once more in the daylight they said, "Semsi mountain, Semsi mountain, shut thyself;" then the mountain closed together, and there was no longer any entrance to be seen to it, and the twelve went away.

そうして立っていると、十二人の大きな荒くれ男たちが、こちらへやって来るのが見えました。男は、あれは盗賊に違いないと思い、手押し車をしげみの中に押しこんで木に登り、どうなるかと待っていました。ところが十二人は山のところへ行って、叫びました。「ゼムジの山、ゼムジの山、開け」すると、たちまち、はだかの山が真ん中からぱっくり開きました。十二人が中へ入ると、すぐに山は閉じました。けれども、しばらくするとまた開いて、男たちが重い袋を肩にかついで出てきました。みんながまた日の光のもとへ出てくると、男たちは言いました。「ゼムジの山、ゼムジの山、閉じろ」すると山はぴたりと閉じて、入り口はどこにも見えなくなりました。そして十二人は去っていきました。

When they were quite out of sight the poor man got down from the tree, and was curious to know what really was secretly hidden in the mountain. So he went up to it and said, "Semsi mountain, Semsi mountain, open," and the mountain opened to him also. Then he went inside, and the whole mountain was a cavern full of silver and gold, and behind lay great piles of pearls and sparkling jewels, heaped up like corn. The poor man hardly knew what to do, and whether he might take any of these treasures for himself or not; but at last he filled his pockets with gold, but he left the pearls and precious stones where they were. When he came out again he also said, "Semsi mountain, Semsi mountain, shut thyself;" and the mountain closed itself, and he went home with his barrow.

十二人がすっかり見えなくなると、貧乏な男は木からおりてきました。山の中にいったい何がこっそり隠されているのか、知りたくなったのです。そこで山に近づいて言いました。「ゼムジの山、ゼムジの山、開け」すると山は、男にも開きました。中に入ってみると、山全体がほら穴になっていて、金や銀がぎっしりつまっていました。奥には、真珠やきらきら光る宝石が、麦のように山と積まれていました。男は、どうしたらいいのか分かりませんでした。この宝を自分のものにしてもいいのか、いけないのか、迷ったのです。けれども、とうとうポケットに金をつめこみました。ただし、真珠や宝石には手をつけずに、そのままにしておきました。外に出ると、男もまた言いました。「ゼムジの山、ゼムジの山、閉じろ」すると山は閉じました。男は手押し車を押して家に帰りました。

And now he had no more cause for anxiety, but could buy bread for his wife and children with his gold, and wine into the bargain. He lived joyously and uprightly, gave help to the poor, and did good to every one. When, however, the money came to an end he went to his brother, borrowed a measure that held a bushel, and brought himself some more, but did not touch any of the most valuable things. When for the third time he wanted to fetch something, he again borrowed the measure of his brother.

これでもう、男は何も心配することはなくなりました。その金で、妻と子どもたちにパンを買うことができ、そのうえぶどう酒まで買えたのです。男は楽しく、まっとうに暮らし、貧しい人たちを助け、誰にでも親切にしました。お金がなくなると、男はお金持ちのほうの兄弟から一ブッシェル入る升を借りて、また少し取ってきました。それでも、一番値打ちのあるものには手をつけませんでした。三度目に取りに行こうとしたときも、男はまたお金持ちの兄弟から升を借りました。

The rich man had, however, long been envious of his brother's possessions, and of the handsome way of living which he had set on foot, and could not understand from whence the riches came, and what his brother wanted with the measure. Then he thought of a cunning trick, and covered the bottom of the measure with pitch, and when he got the measure back a piece of money was sticking in it. He at once went to his brother and asked him, "What hast thou been measuring in the bushel measure?" "Corn and barley," said the other. Then he showed him the piece of money, and threatened that if he did not tell the truth he would accuse him before a court of justice. The poor man then told him everything, just as it happened. The rich man, however, ordered his carriage to be made ready, and drove away, resolved to use the opportunity better than his brother had done, and to bring back with him quite different treasures.

ところが、お金持ちの男は、貧乏な男が財産をたくわえ、羽ぶりのいい暮らしを始めたのを、ずっと前からねたんでいました。あの富がどこから来るのか、升を何に使っているのか、さっぱり分かりません。そこで、ずるい手を思いつきました。升の底にやにを塗っておいたのです。升が返ってくると、底に硬貨が一枚くっついていました。お金持ちの男はすぐに貧乏な男のところへ行って、尋ねました。「おまえ、あの升で何をはかったんだ」「小麦と大麦さ」と、貧乏な男は答えました。するとお金持ちの男は硬貨を見せて、本当のことを言わないなら裁判所に訴えるぞ、と脅しました。そこで貧乏な男は、何もかも、起こったとおりに話しました。けれどもお金持ちの男は、馬車の用意をさせて出かけていきました。相手よりもうまくこの機会を使って、まるで違う宝を持ち帰ってやろうと決めていたのです。

When he came to the mountain he cried, "Semsi mountain, Semsi mountain, open." The mountain opened, and he went inside it. There lay the treasures all before him, and for a long time he did not know which to clutch at first. At length he loaded himself with as many precious stones as he could carry. He wished to carry his burden outside, but, as his heart and soul were entirely full of the treasures, he had forgotten the name of the mountain, and cried, "Simeli mountain, Simeli mountain, open." That, however, was not the right name, and the mountain never stirred, but remained shut. Then he was alarmed, but the longer he thought about it the more his thoughts confused themselves, and his treasures were no more of any use to him. In the evening the mountain opened, and the twelve robbers came in, and when they saw him they laughed, and cried out, "Bird, have we caught thee at last! Didst thou think we had never noticed that thou hadst been in here twice? We could not catch thee then; this third time thou shalt not get out again!" Then he cried, "It was not I, it was my brother," but let him beg for his life and say what he would, they cut his head off.

山に着くと、お金持ちの男は叫びました。「ゼムジの山、ゼムジの山、開け」山は開き、男は中に入りました。目の前には、宝がずらりと並んでいます。どれから手をつけたらいいのか、男は長いあいだ迷っていました。とうとう、持てるだけたくさんの宝石を背負いこみました。男はその荷物を外へ運び出そうとしました。ところが、頭も心も宝のことでいっぱいだったので、山の名前を忘れてしまっていました。そして叫びました。「ジメリの山、ジメリの山、開け」けれども、それは正しい名前ではなかったので、山はぴくりとも動かず、閉じたままでした。男は怖くなりました。けれども、考えれば考えるほど頭がこんがらかってきて、宝はもう何の役にも立ちませんでした。夕方になると山が開き、十二人の盗賊が入ってきました。盗賊たちは男を見ると、笑って叫びました。「小鳥め、とうとう網にかかったな!おまえが二度もここへ入りこんだことに、おれたちが気づいていないとでも思ったか。あのときはつかまえられなかったが、三度目のこんどは、もう外へは出さないぞ!」すると男は叫びました。「わたしじゃない。あれはわたしの兄弟がやったんだ」けれども、男がどんなに命ごいをしても、何を言っても、盗賊たちは男の首を切り落としてしまいました。

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むかし、二人の兄弟がいました。一人はお金持ちで、もう一人は貧乏でした。お金持ちのほうは、貧乏なほうに何一つ分けてやりませんでした。貧乏なほうは麦の商いをして、細々と暮らしていましたが、商売がうまくいかないことも多く、妻と子どもたちに食べさせるパンさえないことがよくありました。あるとき、手押し車を押して森を通っていくと、道のわきに、草木が一本も生えていない、大きなはげ山が見えました。それまで一度も見たことのない山だったので、男は立ちどまって、びっくりしてその山を見つめました。

そうして立っていると、十二人の大きな荒くれ男たちが、こちらへやって来るのが見えました。男は、あれは盗賊に違いないと思い、手押し車をしげみの中に押しこんで木に登り、どうなるかと待っていました。ところが十二人は山のところへ行って、叫びました。「ゼムジの山、ゼムジの山、開け」すると、たちまち、はだかの山が真ん中からぱっくり開きました。十二人が中へ入ると、すぐに山は閉じました。けれども、しばらくするとまた開いて、男たちが重い袋を肩にかついで出てきました。みんながまた日の光のもとへ出てくると、男たちは言いました。「ゼムジの山、ゼムジの山、閉じろ」すると山はぴたりと閉じて、入り口はどこにも見えなくなりました。そして十二人は去っていきました。

十二人がすっかり見えなくなると、貧乏な男は木からおりてきました。山の中にいったい何がこっそり隠されているのか、知りたくなったのです。そこで山に近づいて言いました。「ゼムジの山、ゼムジの山、開け」すると山は、男にも開きました。中に入ってみると、山全体がほら穴になっていて、金や銀がぎっしりつまっていました。奥には、真珠やきらきら光る宝石が、麦のように山と積まれていました。男は、どうしたらいいのか分かりませんでした。この宝を自分のものにしてもいいのか、いけないのか、迷ったのです。けれども、とうとうポケットに金をつめこみました。ただし、真珠や宝石には手をつけずに、そのままにしておきました。外に出ると、男もまた言いました。「ゼムジの山、ゼムジの山、閉じろ」すると山は閉じました。男は手押し車を押して家に帰りました。

これでもう、男は何も心配することはなくなりました。その金で、妻と子どもたちにパンを買うことができ、そのうえぶどう酒まで買えたのです。男は楽しく、まっとうに暮らし、貧しい人たちを助け、誰にでも親切にしました。お金がなくなると、男はお金持ちのほうの兄弟から一ブッシェル入る升を借りて、また少し取ってきました。それでも、一番値打ちのあるものには手をつけませんでした。三度目に取りに行こうとしたときも、男はまたお金持ちの兄弟から升を借りました。

ところが、お金持ちの男は、貧乏な男が財産をたくわえ、羽ぶりのいい暮らしを始めたのを、ずっと前からねたんでいました。あの富がどこから来るのか、升を何に使っているのか、さっぱり分かりません。そこで、ずるい手を思いつきました。升の底にやにを塗っておいたのです。升が返ってくると、底に硬貨が一枚くっついていました。お金持ちの男はすぐに貧乏な男のところへ行って、尋ねました。「おまえ、あの升で何をはかったんだ」「小麦と大麦さ」と、貧乏な男は答えました。するとお金持ちの男は硬貨を見せて、本当のことを言わないなら裁判所に訴えるぞ、と脅しました。そこで貧乏な男は、何もかも、起こったとおりに話しました。けれどもお金持ちの男は、馬車の用意をさせて出かけていきました。相手よりもうまくこの機会を使って、まるで違う宝を持ち帰ってやろうと決めていたのです。

山に着くと、お金持ちの男は叫びました。「ゼムジの山、ゼムジの山、開け」山は開き、男は中に入りました。目の前には、宝がずらりと並んでいます。どれから手をつけたらいいのか、男は長いあいだ迷っていました。とうとう、持てるだけたくさんの宝石を背負いこみました。男はその荷物を外へ運び出そうとしました。ところが、頭も心も宝のことでいっぱいだったので、山の名前を忘れてしまっていました。そして叫びました。「ジメリの山、ジメリの山、開け」けれども、それは正しい名前ではなかったので、山はぴくりとも動かず、閉じたままでした。男は怖くなりました。けれども、考えれば考えるほど頭がこんがらかってきて、宝はもう何の役にも立ちませんでした。夕方になると山が開き、十二人の盗賊が入ってきました。盗賊たちは男を見ると、笑って叫びました。「小鳥め、とうとう網にかかったな!おまえが二度もここへ入りこんだことに、おれたちが気づいていないとでも思ったか。あのときはつかまえられなかったが、三度目のこんどは、もう外へは出さないぞ!」すると男は叫びました。「わたしじゃない。あれはわたしの兄弟がやったんだ」けれども、男がどんなに命ごいをしても、何を言っても、盗賊たちは男の首を切り落としてしまいました。

日本語訳:多読ベスト

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理解度チェック Quick Quiz

読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. What did the twelve men say to open the mountain?

Q2. How did the rich brother find out that his brother had money?

Q3. Why could the rich brother not get out of the mountain?

この読み物の使い方 3ステップ

  1. 聞きながら読む 音声に合わせて光る文を目で追う(聞き読み)。わからない語は飛ばしてOK。
  2. 音声なしで読む ⏱計測ボタンで読む速さ(WPM)を測ってみる。
  3. 耳だけで聞く 🎧聞くだけモードで、文字を見ずに内容がわかるか試す。🔁1文リピートで音読・シャドーイングも。

聞き読みの効果とやり方/多読三原則

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