Gauche the Cellist(セロ弾きのゴーシュ)の挿絵
Level 3 Pre-Intermediate日本の昔話と名作

Gauche the Cellist

セロ弾きのゴーシュ

  • 737 words
  • 約7分
  • YL 1.5–2.4
  • 英検準2級目安
  • 全訳つき

あらすじ町の楽団でいちばん下手なチェロ弾きのゴーシュ。演奏会まであと十日、毎晩ひとりで練習していると、ネコ、カッコウ、タヌキの子、野ネズミの親子が次々にたずねてきます。

宮沢賢治『セロ弾きのゴーシュ』(1934年)をもとに再話

ORIGINAL TEXT

まずは原文をチェック

この話は日本語の原文(青空文庫)でも読めます。青空文庫の本文を、そのまま載せています。やさしい版で筋をつかんでから原文へ進むと、作者の言葉をじっくり味わえます。

『セロ弾きのゴーシュ』宮沢賢治の日本語の原文を読む →

青空文庫の本文(新字新仮名・約11,600字)。

キーワード(10語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • celloチェロ(セロ)
  • orchestra楽団・オーケストラ
  • conductor指揮者
  • ripe熟した
  • cuckooカッコウ
  • scale音階(ドレミ)
  • raccoon dogタヌキ
  • kept time拍子をとった
  • curing(病気を)なおしている
  • ashamed恥ずかしい

音声は準備中です。もうしばらくお待ちください。

日本語訳の一部には生成AIを使っており、AIによる3重のチェックと人の目で確かめています。まだ人の目を通っていない訳もあるため、ニュアンスがずれている所があるかもしれません。日本語訳について

Gauche played the cello in a small orchestra at a movie theater in a town. Everyone said he was the worst player in the orchestra. He was always a little late, and his sound was never quite right.

ゴーシュは、町の映画館の小さな楽団で、チェロを弾いていました。楽団でいちばん下手だと、みんなに言われていました。いつも少しずつ遅れるし、音もどこかずれていたのです。

One day, the orchestra was practicing the Sixth Symphony for a big concert in the town. It was only ten days away. The conductor stopped the music again and again. "Cello! You are late! From the beginning again!" At last he said, "Gauche, your music has no feeling. It isn't angry, and it isn't happy. Please do something about it." Gauche held his cello tightly and almost cried.

ある日、楽団は町の大きな演奏会に向けて、『第六交響曲』を練習していました。演奏会まで、あと十日しかありません。指揮者は、何度も何度も演奏を止めました。「チェロ!遅れているぞ!はじめから、もう一度!」とうとう指揮者は言いました。「ゴーシュくん、きみの音楽には気持ちがこもっていない。怒りもしなければ、喜びもしない。なんとかしてくれたまえ」ゴーシュはチェロをぎゅっと抱えて、泣きそうになりました。

That night, Gauche went home to his old mill house by the river, outside the town. He took out his cello and practiced as hard as he could until late at night.

その夜、ゴーシュは町はずれの川のそばにある、古い水車小屋の家に帰りました。そしてチェロを取り出し、夜遅くまで、力いっぱい練習しました。

Suddenly, someone knocked at the door. It was a big calico cat. It was carrying some green tomatoes from Gauche's own garden. "Mr. Gauche, you must be tired," said the cat. "Here is a present. Now, please play some Schumann for me. I will listen."

すると、突然誰かが戸をたたきました。大きな三毛ネコでした。ネコは、ゴーシュの畑でとれた青いトマトを抱えていました。「ゴーシュさん、お疲れでしょう」とネコは言いました。「おみやげです。さあ、シューマンを弾いてください。聞いてあげますから」

"Those are my tomatoes!" Gauche shouted. "And they aren't even ripe!" Then he said, "All right. I'll play." He closed all the windows and doors, and he played a wild, loud piece called "Hunting Tigers in India." The cat's eyes flashed. It ran around the room and hit the walls. "Stop! Please stop!" it cried. At last Gauche opened the door, and the cat ran out into the night.

「それはおれのトマトじゃないか!」とゴーシュはどなりました。「しかも、まだ青いじゃないか!」それからゴーシュは言いました。「よし、弾いてやろう」ゴーシュは窓も戸もすっかりしめると、「インドのとら狩り」という、激しくてやかましい曲を弾きはじめました。ネコの目がぎらりと光りました。ネコは部屋じゅうをかけまわり、壁にぶつかりました。「やめてください!どうか、やめて!」とネコは叫びました。ゴーシュがやっと戸を開けてやると、ネコは夜の中へ逃げていきました。

The next night, a cuckoo came down through a hole in the ceiling. "Please teach me music," it said. "I want to learn the scale." "But you only say 'cuckoo,'" said Gauche. "It's not that easy," said the bird. Gauche played do-re-mi, and the cuckoo sang "cuckoo, cuckoo" with him. They practiced for a long time. Slowly, Gauche began to feel that the bird's sound was more correct than his own.

次の晩には、天井の穴から、カッコウがおりてきました。「音楽を教えてください」とカッコウは言いました。「ドレミを習いたいんです」「でも、きみは『カッコウ』と鳴くだけだろう」とゴーシュが言うと、鳥は「それが、むずかしいんですよ」と答えました。ゴーシュがドレミを弾くと、カッコウはそれに合わせて「カッコウ、カッコウ」と鳴きました。二人は長いこと練習しました。そのうちにゴーシュは、カッコウの音のほうが、自分の音より正しいような気がしてきました。

Gauche suddenly stopped. "That's enough! Go home!" The surprised cuckoo flew up and hit the window glass again and again. Gauche tried to open the window, but it was stuck. Finally he kicked it, and the glass broke. The cuckoo flew straight out into the dark and did not look back.

ゴーシュは、いきなり弾くのをやめました。「もうたくさんだ!帰ってくれ!」びっくりしたカッコウは飛び上がり、何度も何度も窓ガラスにぶつかりました。ゴーシュは窓を開けてやろうとしましたが、窓はひっかかって開きません。とうとうゴーシュが窓をけとばすと、ガラスが割れました。カッコウは暗やみの中へまっすぐ飛んでいき、二度と振り返りませんでした。

On the third night, a young raccoon dog came with two drumsticks. "My father said you are a kind man, and told me to learn music from you," it said. "Please play 'The Happy Coachman.'" Gauche played, and the raccoon dog kept time by hitting the cello with its sticks. Then it said, "Mr. Gauche, when you play the second string, you are always a little late. It makes me trip." Gauche was surprised. "Yes, maybe you're right," he said sadly. "This cello is not very good."

三日めの晩には、タヌキの子が、太鼓のばちを二本持ってやってきました。「お父さんが、ゴーシュさんはとてもいい人だから、音楽を習ってこいと言いました」とタヌキの子は言いました。「『愉快な馬車屋』を弾いてください」ゴーシュが弾くと、タヌキの子はチェロの胴をばちでたたいて、拍子をとりました。それからタヌキの子は言いました。「ゴーシュさん、二番めの糸を弾くとき、いつも少し遅れますね。ぼく、つまずきそうになるんです」ゴーシュは、はっとしました。「うん、そうかもしれない」とゴーシュはさびしそうに言いました。「このチェロは、あんまりいい楽器じゃないんだ」

On the fourth night, a mother field mouse came with a tiny baby mouse. The baby was sick, and its eyes were closed. "Please, Mr. Gauche, make my child well," she said. "But I'm not a doctor," said Gauche. "Oh, but you are curing everyone!" said the mother. "When you play your cello, the animals under your floor listen, and they get well. The rabbit's grandmother got well. The raccoon dog's father got well. Even the mean old owl got well."

四日めの晩には、野ネズミのお母さんが、小さな赤ちゃんネズミをつれてきました。赤ちゃんは病気で、目をつぶったままでした。「ゴーシュさん、どうかこの子を治してください」とお母さんネズミは言いました。「でも、ぼくは医者じゃないよ」とゴーシュが言うと、お母さんネズミは言いました。「いいえ、あなたはみんなの病気を治しているじゃありませんか。あなたがチェロを弾くと、床下の動物たちがそれを聞いて、元気になるんです。ウサギのおばあさんも治りました。タヌキのお父さんも治りました。あのいじわるなミミズクまで、治ったんですよ」

"Really?" Gauche said. He had no idea. He put the baby mouse inside the cello through its hole, and he played a strong, loud song. When he stopped, the baby mouse ran out with its eyes open and shining. The mother mouse cried for joy, and Gauche gave them some bread.

「ほんとうかい?」とゴーシュは言いました。ゴーシュは、ちっとも知りませんでした。ゴーシュは赤ちゃんネズミを、チェロの穴から中へ入れてやり、力強く大きな音で一曲弾きました。弾きおわると、赤ちゃんネズミが目をぱっちりと開け、その目をきらきら輝かせながら飛び出してきました。お母さんネズミはうれし泣きしました。ゴーシュは親子に、パンを分けてやりました。

Ten days later, the concert was a great success. The people clapped and clapped and wanted one more song. The conductor turned to Gauche. "Gauche, go out and play something." "Me?" Gauche thought they wanted to laugh at him. He walked out angrily and played "Hunting Tigers in India," just as he did on the night of the cat.

十日後、演奏会は大成功でした。お客さんたちはいつまでも拍手をつづけ、もう一曲聞きたがりました。指揮者はゴーシュのほうを向きました。「ゴーシュくん、出ていって何か弾きたまえ」「ぼくがですか?」ゴーシュは、みんなが自分を笑いものにしたいのだと思いました。ゴーシュは怒って舞台へ出ていき、ネコが来た晩と同じように、「インドのとら狩り」を弾きました。

The hall was silent. Everyone was listening. When he finished, Gauche hurried back, feeling ashamed. But the conductor said, "Gauche, that was wonderful. Ten days ago, you played like a baby. Now you play like a soldier." The other players came and said, "Well done, Gauche."

会場はしんと静まりかえりました。誰もが聞き入っていたのです。弾きおわると、ゴーシュは恥ずかしくて、急いで引っこみました。ところが指揮者は言いました。「ゴーシュくん、すばらしかったよ。十日前は赤ん坊みたいだったが、今はまるで兵隊だ」ほかの楽団員たちもやってきて、「よくやったね、ゴーシュくん」と言いました。

Late that night, Gauche went home. He opened the window and looked far into the sky, in the direction where the cuckoo had flown. "Oh, cuckoo," he said. "I'm sorry about that night. I wasn't really angry at you."

その夜遅く、ゴーシュは家に帰りました。そして窓を開け、いつかカッコウが飛んでいった方角の空を、遠く眺めました。「ああ、カッコウ」とゴーシュは言いました。「あのときは、すまなかったなあ。おれは、ほんとうは怒ったんじゃなかったんだ」

全訳をまとめて読む 読み終わってからの答え合わせに

ゴーシュは、町の映画館の小さな楽団で、チェロを弾いていました。楽団でいちばん下手だと、みんなに言われていました。いつも少しずつ遅れるし、音もどこかずれていたのです。

ある日、楽団は町の大きな演奏会に向けて、『第六交響曲』を練習していました。演奏会まで、あと十日しかありません。指揮者は、何度も何度も演奏を止めました。「チェロ!遅れているぞ!はじめから、もう一度!」とうとう指揮者は言いました。「ゴーシュくん、きみの音楽には気持ちがこもっていない。怒りもしなければ、喜びもしない。なんとかしてくれたまえ」ゴーシュはチェロをぎゅっと抱えて、泣きそうになりました。

その夜、ゴーシュは町はずれの川のそばにある、古い水車小屋の家に帰りました。そしてチェロを取り出し、夜遅くまで、力いっぱい練習しました。

すると、突然誰かが戸をたたきました。大きな三毛ネコでした。ネコは、ゴーシュの畑でとれた青いトマトを抱えていました。「ゴーシュさん、お疲れでしょう」とネコは言いました。「おみやげです。さあ、シューマンを弾いてください。聞いてあげますから」

「それはおれのトマトじゃないか!」とゴーシュはどなりました。「しかも、まだ青いじゃないか!」それからゴーシュは言いました。「よし、弾いてやろう」ゴーシュは窓も戸もすっかりしめると、「インドのとら狩り」という、激しくてやかましい曲を弾きはじめました。ネコの目がぎらりと光りました。ネコは部屋じゅうをかけまわり、壁にぶつかりました。「やめてください!どうか、やめて!」とネコは叫びました。ゴーシュがやっと戸を開けてやると、ネコは夜の中へ逃げていきました。

次の晩には、天井の穴から、カッコウがおりてきました。「音楽を教えてください」とカッコウは言いました。「ドレミを習いたいんです」「でも、きみは『カッコウ』と鳴くだけだろう」とゴーシュが言うと、鳥は「それが、むずかしいんですよ」と答えました。ゴーシュがドレミを弾くと、カッコウはそれに合わせて「カッコウ、カッコウ」と鳴きました。二人は長いこと練習しました。そのうちにゴーシュは、カッコウの音のほうが、自分の音より正しいような気がしてきました。

ゴーシュは、いきなり弾くのをやめました。「もうたくさんだ!帰ってくれ!」びっくりしたカッコウは飛び上がり、何度も何度も窓ガラスにぶつかりました。ゴーシュは窓を開けてやろうとしましたが、窓はひっかかって開きません。とうとうゴーシュが窓をけとばすと、ガラスが割れました。カッコウは暗やみの中へまっすぐ飛んでいき、二度と振り返りませんでした。

三日めの晩には、タヌキの子が、太鼓のばちを二本持ってやってきました。「お父さんが、ゴーシュさんはとてもいい人だから、音楽を習ってこいと言いました」とタヌキの子は言いました。「『愉快な馬車屋』を弾いてください」ゴーシュが弾くと、タヌキの子はチェロの胴をばちでたたいて、拍子をとりました。それからタヌキの子は言いました。「ゴーシュさん、二番めの糸を弾くとき、いつも少し遅れますね。ぼく、つまずきそうになるんです」ゴーシュは、はっとしました。「うん、そうかもしれない」とゴーシュはさびしそうに言いました。「このチェロは、あんまりいい楽器じゃないんだ」

四日めの晩には、野ネズミのお母さんが、小さな赤ちゃんネズミをつれてきました。赤ちゃんは病気で、目をつぶったままでした。「ゴーシュさん、どうかこの子を治してください」とお母さんネズミは言いました。「でも、ぼくは医者じゃないよ」とゴーシュが言うと、お母さんネズミは言いました。「いいえ、あなたはみんなの病気を治しているじゃありませんか。あなたがチェロを弾くと、床下の動物たちがそれを聞いて、元気になるんです。ウサギのおばあさんも治りました。タヌキのお父さんも治りました。あのいじわるなミミズクまで、治ったんですよ」

「ほんとうかい?」とゴーシュは言いました。ゴーシュは、ちっとも知りませんでした。ゴーシュは赤ちゃんネズミを、チェロの穴から中へ入れてやり、力強く大きな音で一曲弾きました。弾きおわると、赤ちゃんネズミが目をぱっちりと開け、その目をきらきら輝かせながら飛び出してきました。お母さんネズミはうれし泣きしました。ゴーシュは親子に、パンを分けてやりました。

十日後、演奏会は大成功でした。お客さんたちはいつまでも拍手をつづけ、もう一曲聞きたがりました。指揮者はゴーシュのほうを向きました。「ゴーシュくん、出ていって何か弾きたまえ」「ぼくがですか?」ゴーシュは、みんなが自分を笑いものにしたいのだと思いました。ゴーシュは怒って舞台へ出ていき、ネコが来た晩と同じように、「インドのとら狩り」を弾きました。

会場はしんと静まりかえりました。誰もが聞き入っていたのです。弾きおわると、ゴーシュは恥ずかしくて、急いで引っこみました。ところが指揮者は言いました。「ゴーシュくん、すばらしかったよ。十日前は赤ん坊みたいだったが、今はまるで兵隊だ」ほかの楽団員たちもやってきて、「よくやったね、ゴーシュくん」と言いました。

その夜遅く、ゴーシュは家に帰りました。そして窓を開け、いつかカッコウが飛んでいった方角の空を、遠く眺めました。「ああ、カッコウ」とゴーシュは言いました。「あのときは、すまなかったなあ。おれは、ほんとうは怒ったんじゃなかったんだ」

日本語訳の一部には生成AIを使っており、AIによる3重のチェックと人の目で確かめています。まだ人の目を通っていない訳もあるため、ニュアンスがずれている所があるかもしれません。日本語訳について

日本語訳:多読ベスト

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理解度チェック Quick Quiz

読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. What did the raccoon dog tell Gauche?

Q2. Why did the field mouse bring her baby to Gauche?

Q3. How did the conductor feel about Gauche's music at the end?

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  1. 聞きながら読む 音声に合わせて光る文を目で追う(聞き読み)。わからない語は飛ばしてOK。
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