Thursday は雷神ソーの日。たどると「木曜日」と同じ木星(ジュピター)の日だった

読む前に予想してみよう!
英語の Thursday と日本語の「木曜日」は、語源をたどると何の関係もない
Thursday はラテン語「ジュピターの日」を「ソー(雷神)の日」と訳した名前。日本語の木曜日の「木」も木星(ジュピター)で、どちらも同じ木星の日にあたる。
- 対象
- 曜日の名前(英語・フランス語・日本語)
- 規模
- 英語辞典3種・フランス語辞典・国語辞典と百科事典
- 研究の種類
- 辞書の語源欄と百科事典の照合
- 確かさ
- ★★★★☆
Thursday は「雷神ソーの日」で、ラテン語「ジュピター(木星)の日」の訳。日本語の木曜日も木星。英語は火〜金を北欧の神に置きかえた。
ひとことで言うと木曜日も Thursday も、もとは同じ「木星の日」だった!
もくじ
Thursday は、雷の神ソー(Thor)の日です。
映画でハンマーをふり回すあの神様の名前が、毎週やってくる木曜日に入っています。しかも話はここで終わりません。Thursday のもとは、ラテン語(古代ローマの言葉)の「ジュピターの日」。ジュピター(Jupiter)はローマの神様の名前で、英語では木星のことも指します。
つまり、英語の Thursday と日本語の「木曜日」は、どちらも同じ木星の日にあたる曜日なのです。
この記事では、英語・フランス語・日本語の曜日の名前を、辞書と百科事典でたどります。ただし、細かいところは資料によって説明が分かれる点もあります。
01Thursday は「雷の神の日」だった
アメリカの辞書 American Heritage Dictionary(AHD)によると、Thursday は古英語(昔の英語)の thunres dæg(ソーの日)から来ています。thunres は thunor(雷、そして雷の神)に「〜の」がついた形です。dæg は今の day です。北欧の古い言葉(古ノルド語)の thōrsdagr(ソーの日)の影響も受けて、今の形になりました。
では、なぜ雷の神なのか。AHD によると、thunres dæg は、ラテン語の Iovis diēs(ジュピターの日)を訳した名前です。ローマ時代の終わりごろのラテン語(後期ラテン語)の言い方です。よその言葉の意味を、自分の言葉に置きかえて作った名前、ということです。オックスフォードの学習辞典も、Thursday は「雷の日」を表す古英語から来ていて、ラテン語の Jovis dies(ジュピターの日)の訳だと説明しています。ジュピターは雷と結びついた神だったからです。
ローマの「空と天気の神」ジュピターを、ゲルマンの人びと(英語やドイツ語のもとになる言葉を話した人びと)は、自分たちの雷の神に置きかえた。それが Thursday=ソーの日 です。
02火曜から金曜は、北欧の神に入れかわった
じつは、置きかえられたのは木曜日だけではありません。AHD の語源の解説(Word History)によると、4世紀(西暦321年)、ローマのコンスタンティヌス帝が新しいしくみをローマの暦に組みこみました。7つの天体の名前で、1週間の7日を呼ぶしくみです。それが西ヨーロッパに広まりました。そして英語などのゲルマン系の言葉(英語やドイツ語の仲間)では、4つの神の名前が自分たちの神に変わったのです。
ただし、年代には別の説明もあります。『世界大百科事典』は、7日の週がローマの暦の中で定着したのは、もっと早い紀元前2世紀か1世紀ごろだとしています。
神どうしの組み合わせには理由があります。役目の似た神を選んで当てはめたのです。AHD によると、オーディンもメルクリウスも魔術と結びつけられ、死者の魂をあの世へ送る役目を持っていました。ティウとマルスはどちらも戦いの神、フリッグとウェヌスは愛の女神です。
Wednesday の読まない d も、ここから説明できます。古英語では Wōdnesdæg(ウォーデンの日)。発音は /ˈwenzdeɪ/(ウェンズデイ)に縮まりました。それでも、つづりには神様の名前の d が残っているのです。

03フランス語は、日本語とそっくり
英語を少し離れて、フランス語の曜日を見てみましょう。フランス語の辞書ラルースの語源欄を並べると、こうなります。
- lundi(月曜):ラテン語 lunae dies「月の日」
- mardi(火曜):Martis dies「マルス(火星)の日」
- mercredi(水曜):Mercuri dies「メルクリウス(水星)の日」
- jeudi(木曜):Jovis dies「ジュピター(木星)の日」
- vendredi(金曜):Veneris dies「ウェヌス(金星)の日」
月曜から金曜まで、日本語とまったく同じ星が並んでいます。スペイン語の martes・miércoles・jueves・viernes も同じ流れです(Merriam-Webster)。
ただし土日はずれます。ラルースによると、samedi(土曜)は「安息日(サバト)」から来ています。安息日は、仕事を休む決まりの日のことです。dimanche(日曜)は「主(神)の日」から来ています。どちらも、土星や太陽の名前ではありません。英語は日・月・土が星のまま、フランス語は月〜金が星のまま。この3つの言葉の中では、日本語だけが7日全部を星の名前でそろえています。
04曜日の並び順は「時間の当番」で決まった
では、なぜ「日・月・火・水・木・金・土」という順番なのでしょう。
平凡社の『世界大百科事典』と小学館の『日本大百科全書』によると、当時は太陽と月も惑星に数えていました。7つは、地球から遠い順に土星・木星・火星・太陽・金星・水星・月と並んでいると考えられていました。そして、この7つが1時間ずつ順番に「当番」をすると考えたのです。学校の日直が順番に回ってくるのと似ています。
1日目の1時間目を土星にします。2時間目は木星、3時間目は火星……と進むと、24時間目は火星になります。すると2日目の1時間目は、火星の次の太陽。同じように数えると、3日目の1時間目は月です。各日の1時間目の当番を並べると、土・日・月・火・水・木・金。これが今の曜日の順番です。AHD も、7つの天体がそれぞれ「自分の名前の日の最初の1時間」を支配すると考えられていた、と書いています。
05日本へは平安時代、「占い」としてやってきた
日本の曜日も、この同じ7つの天体の名前です。『デジタル大辞泉』は七曜を「日・月と、火星・水星・木星・金星・土星の七つの天体」と説明しています。
『世界大百科事典』によると、七曜は9世紀、弘法大師(空海)によって持ちこまれました。ただし、今のような週のためではありません。暦注(その日の吉凶を判断するための暦の書きこみ)として、つまり占いのためでした。『日本大百科全書』も、空海が中国から伝えたといわれる『宿曜暦』による、と書いています。藤原道長の日記には、毎日の曜日が書かれています。『世界大百科事典』はこれを、週が続けて使われた最古の記録としています。
曜日で仕事や休みを決めるようになったのは、ずっと後です。『日本国語大辞典』によると、日本で七曜が役所の仕事に取り入れられたのは明治9年(1876年)4月でした。
06どんでん返し:「ソー=ジュピター」ではない
ここまで読むと、ソーとジュピターは同じ神様のように思えるかもしれません。でもそうではありません。
ローマの神と北欧の神は、もともと別々の神話の神です。ローマ神話とゲルマン神話(北欧などに伝わる古い神話)は、別の物語です。ゲルマンの人びとが、性格の似た自分たちの神を当てはめただけ。AHD によると、ソーもジュピターも「空の王」とされ、オックスフォードの辞典はジュピターを雷と結びついた神としています。役目が似ていたから「対応する」とされたのです。
辞書や百科事典の間でも、細かいところは分かれています。金曜日の女神を、AHD と Merriam-Webster はフリッグとしていますが、『世界大百科事典』はフレイヤと書いています。土曜日だけがローマの神の名前のまま残った理由も、はっきりしません。Merriam-Webster は2つの可能性を挙げるだけで、決めていません。対応するゲルマンの神がいなかったからかもしれない。ローマ支配のなごりかもしれない。
07まとめ
Thursday は「ソーの日」で、もとは「ジュピターの日」。日本語の「木曜日」も木星の日です。英語は火曜から金曜を北欧の神に置きかえ、フランス語は月曜から金曜まで星の名前を守り、日本語は7日すべてが星の名前です。
カレンダーの「木」と Thursday の間には、ローマの空の神と北欧の雷の神が並んでいます。次の木曜日、英語の予定表を書くときに思い出してみてください。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerThe English names for the days of the week come from seven objects in the sky that people once counted as…
音声
4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
Thursday is "Thor's day." Thor is the god of thunder in old Norse stories. But the name has an older story. The Romans called this day "Jupiter's day," and English speakers changed Jupiter to their own god of thunder.
Jupiter is also the name of a planet. In Japanese, the planet is "mokusei," and Thursday is "mokuyobi." So, in the end, the English word and the Japanese word point to the same planet.
73 words ・ CEFR A2
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Thursday は「ソーの日」です。ソーは北欧の古い物語に出てくる雷の神です。でも、この名前にはもっと古い話があります。ローマ人はこの日を「ジュピターの日」と呼び、英語を話す人たちはジュピターを自分たちの雷の神に変えました。
ジュピターは惑星の名前でもあります。日本語ではその惑星は「木星」で、Thursday は「木曜日」です。だから、たどっていくと、英語の言葉と日本語の言葉は同じ惑星を指しているのです。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
Thursday という名前が「ソーの日」で、もとは「ジュピターの日」だったという話なので B。
Q2. What did the Romans call this day?
The Romans called this day "Jupiter's day" とあるので C。
Q3. In the passage, what does "point to" mean?
英語と日本語の語が同じ惑星を point to する、つまり「指す、表す」なので B。
The English names for the days of the week come from seven objects in the sky that people once counted as planets. They were the sun, the moon, Mars, Mercury, Jupiter, Venus and Saturn.
When the Roman system reached Germanic peoples, they replaced four Roman gods with their own. Mars became Tiw, a god of war, so we got Tuesday. Mercury became Woden, known as Odin in the north, and that gave us Wednesday.
Jupiter became Thor, the god of thunder, which is why we say Thursday. Venus became the goddess Frigg, giving us Friday. Japanese uses the planet names. That is why Thursday and "mokuyobi" both go back to Jupiter, and Wednesday and "suiyobi" both go back to Mercury.
120 words ・ CEFR B1
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英語の曜日の名前は、かつて人々が惑星に数えていた空の7つの天体から来ている。それは太陽・月・火星・水星・木星・金星・土星だった。
ローマの仕組みがゲルマンの人々に伝わると、彼らは4つのローマの神を自分たちの神に置きかえた。マルスは戦いの神ティウになり、それで Tuesday ができた。メルクリウスは北方ではオーディンとして知られるウォーデンになり、それが Wednesday になった。
ジュピターは雷の神ソーになり、だから Thursday と言う。ウェヌスは女神フリッグになり、Friday ができた。日本語は惑星の名前を使っている。だから Thursday と「木曜日」はどちらも木星に、Wednesday と「水曜日」はどちらも水星にさかのぼるのだ。
4択リーディングクイズ
Q1. According to the passage, what did Germanic peoples do with the Roman day names?
they replaced four Roman gods with their own とあるので B。
Q2. Which god gave English the word "Tuesday"?
Mars became Tiw, a god of war, so we got Tuesday とあるので D。
Q3. Why does the writer mention "suiyobi" at the end?
Wednesday と「水曜日」がどちらも水星にさかのぼる、と日英の共通点を示すための例なので A。
Every Thursday, English speakers say the name of a thunder god without noticing. The Old English name meant "Thor's day," and it was a translation of the Latin for "Jupiter's day." Since the Japanese word "mokuyobi" is named after the planet Jupiter, the two weekdays sit in the same place. The pattern goes back to an old belief that seven heavenly bodies took turns ruling the hours.
Listed from farthest to nearest as people imagined them, they were Saturn, Jupiter, Mars, the sun, Venus, Mercury and the moon. If each ruled one hour in that order, the body ruling the first hour of each day gives the order we still use. The Romans used these names, and the system spread across Europe.
Germanic peoples later swapped four of the gods for similar figures of their own, including Woden, whose name explains the silent "d" in Wednesday. Thor and Jupiter were never the same god, though. They were matched because they ruled similar things, and reference books sometimes disagree on the details. One encyclopedia names Freya for Friday, while two English dictionaries name Frigg.
183 words ・ CEFR B2
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毎週木曜日、英語を話す人は気づかないうちに雷の神の名前を口にしている。古英語の名前は「ソーの日」という意味で、ラテン語の「ジュピターの日」を訳したものだった。日本語の「木曜日」は惑星の木星にちなんだ名前なので、2つの曜日は同じ位置にある。この型は、7つの天体が交代で時間を支配するという古い考えにさかのぼる。
当時の人が思い描いた遠い順に並べると、土星・木星・火星・太陽・金星・水星・月だった。それぞれがその順で1時間ずつ支配したとすると、各日の最初の1時間を支配する天体が、今も使っている順番になる。ローマ人はこれらの名前を使い、その仕組みはヨーロッパに広まった。のちにゲルマンの人々は、そのうち4つの神を自分たちの似た神に入れかえた。
その中にはウォーデンもいて、その名前が Wednesday の読まない「d」の理由になっている。ただし、ソーとジュピターが同じ神だったことは一度もない。似たものを支配していたから組み合わされたのであり、細かい点では参考書どうしで意見が違うこともある。ある百科事典は金曜日をフレイヤとしているが、2つの英語辞書はフリッグとしている。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the main idea of the passage?
Thursday と木曜日が同じ位置にあり、7つの天体の考えにさかのぼるという話なので B。
Q2. According to the passage, what decides the order of the days?
the body ruling the first hour of each day gives the order we still use とあるので B。
Q3. What does the writer suggest by saying that Thor and Jupiter "were never the same god"?
They were matched because they ruled similar things とあり、役割が似ているから当てはめた対応だと言いたいので B。
重要単語
- ThursdayA2名詞木曜日We have English class on Thursday.
古英語で「ソー(雷神)の日」。th は舌先を歯に当てる音。略は Thur. / Thurs.。 - WednesdayA2名詞水曜日The museum is closed on Wednesday.
最初の d は発音しない(/ˈwenzdeɪ/)。もとは Woden(オーディン)の日。 - thunderB1名詞雷(の音)The thunder woke me up last night.
稲妻(光)は lightning。thunderstorm で「雷雨」。 - planetA2名詞惑星Jupiter is the largest planet in our solar system.
木星 Jupiter、水星 Mercury、金星 Venus、火星 Mars、土星 Saturn。 - translationB1名詞翻訳、訳"Thursday" began as a translation of a Latin name.
動詞は translate。loan translation で「なぞり訳(翻訳借用)」。 - mythB2名詞神話;作り話、俗説Thor is a god of thunder in Norse myth.
形容詞は mythical。mythology は「神話(全体)、神話学」。 - silentB1形容詞(文字が)発音されない;静かなThe "d" in "Wednesday" is silent.
a silent letter で「黙字(読まない文字)」。knife の k、listen の t も silent。
公式・一次情報をチェック
- Thursday(Oxford Learner's Dictionaries)oxfordlearnersdictionaries.com
- Wednesday(Oxford Learner's Dictionaries)oxfordlearnersdictionaries.com
- 木星(デジタル大辞泉、コトバンク)kotobank.jp
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Thursday は「雷神ソーの日」。ラテン語の「ジュピターの日」を、北欧の雷の神に置きかえた名前だった。日本語の「木曜日」の木も木星=ジュピター。フランス語の jeudi も「ジュピターの日」。
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出典・参考文献(5件)タップで表示
- The American Heritage Dictionary of the English Language, 5th ed.「Thursday」「Wednesday」(Word History)「Tuesday」「Saturday」「Monday」ahdictionary.com
- Merriam-Webster「Etymologies for Every Day of the Week」merriam-webster.com
- Larousse「lundi」「mardi」「mercredi」「jeudi」「vendredi」「samedi」「dimanche」larousse.fr
- デジタル大辞泉・精選版 日本国語大辞典・改訂新版 世界大百科事典・日本大百科全書「七曜」(コトバンク掲載)kotobank.jp
- 改訂新版 世界大百科事典・日本大百科全書「週」(コトバンク掲載)kotobank.jp
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。
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