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英語の rickshaw(リキシャ)は、日本の「人力車(じんりきしゃ)」を縮めた言葉

英語の rickshaw(リキシャ)は、日本の「人力車(じんりきしゃ)」を縮めた言葉

読む前に予想してみよう!

英語の rickshaw(リキシャ)は、日本語の「人力車」から来た言葉だ

研究カード(どんな研究?)
対象
英語の辞書・日本語の辞書と百科事典
規模
語源の記述と明治初期の記録
研究の種類
辞書・百科事典の記述の照合
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

アジアの乗り物を指す英語 rickshaw は、日本語「じんりきしゃ(人力車)」の短縮形。人力車は明治2年(1869)に東京で考案され、アジアなどに輸出された。

ひとことで言うと外国の乗り物「リキシャ」の名前は、日本の「人力車」から来ていた!

もくじ
  1. rickshaw は「じんりきしゃ」の頭の「じん」を落とした形
  2. 人力車は明治2年、東京生まれ
  3. 日本から海を渡った乗り物
  4. 英語で rickshaw を使ってみよう
  5. どんでん返し:「シャ」は英語の wheel と遠い親戚かもしれない
  6. まとめ
  7. よくある質問

rickshaw(リクショー)

英語の辞書をひくと、この単語は「アジアの国などで客を乗せて引く、軽い二輪の乗り物」と説明されています。日本では「リキシャ」と書かれることも多い言葉です。

この rickshaw、じつは日本語の「じんりきしゃ(人力車)」を短くした言葉です。jin(人)+ riki(力)+ sha(車)。明治の東京で生まれた乗り物の名前が、そのまま英語の辞書に載っているのです。

01rickshaw は「じんりきしゃ」の頭の「じん」を落とした形

アメリカの辞書『American Heritage Dictionary』(第5版)で rickshaw をひくと、説明はたったこれだけです。

  • rickshaw:jinriksha の短縮形

そこで jinriksha をひくと、言葉の生い立ちを書いた欄(語源欄)に日本語がそのまま出てきます。

  • jinriksha(つづりは jinricksha、jinrikisha も):日本語 jinrikisha から。jin=人、riki=力、sha=車

英語ではまず長い jinrikisha の形で入り、あとから前の jin が落ちて rickshaw になった、という順番です。Dictionary.com(ランダムハウス大辞典)によると、jinrikisha の最初の記録は1870〜75年、rickshaw は1875〜80年。人力車が生まれてわずか数年で英語に入り、そのすぐ後には短い形も使われ始めていたことになります。

イギリスの学習辞典『Oxford Learner's Dictionaries』も、rickshaw の語源を「19世紀後半、jinricksha の短縮形。日本語の jin(人)+ riki(力)+ sha(乗り物)から」と説明しています。

02人力車は明治2年、東京生まれ

では、もとの人力車はいつ生まれたのでしょう。

小学館の『デジタル大辞泉』によると、人力車は明治2年(1869)、和泉要助・高山幸助・鈴木徳次郎らが考案し、明治・大正にかけて盛んに使われました。平凡社の『世界大百科事典』によると、翌1870年3月に東京・日本橋のたもとで営業を始めています。

広まり方はとても速いものでした。同じ百科事典によると、東京府内の人力車は1872年2月に1万1040両。1876年には2万4470両と、4年で2倍以上になりました。

名前にも小さなドラマがあります。『日本国語大辞典』によると、3人が東京府に出した願書では、この乗り物は「人車(じんしゃ)」と書かれていました。ところが、許可を出した役所の文書で「人力車」という語が初めて使われ、それが定着していったのです。

東京府内の人力車は1872年2月に1万1040両、1876年には2万4470両に増えた(世界大百科事典)
東京府内の人力車は1872年2月に1万1040両、1876年には2万4470両に増えた(世界大百科事典)

03日本から海を渡った乗り物

人力車は日本の中だけで終わりませんでした。

『世界大百科事典』は、人力車が明治以来、中国や東南アジア、さらにヨーロッパにも輸出されたと書いています。中国では洋車(ヤンチョー)の名前で親しまれました。『日本大百科全書(ニッポニカ)』も、ヨーロッパやアジアの国々に輸出された人力車が「リキシャ」と呼ばれ、海外でも名を知られたと説明しています。

日本の外で使われるうちに、乗り物そのものも変わっていきました。いまの英語の辞書には、rickshaw の仲間がいくつも載っています。

  • cycle rickshaw:自転車のようにペダルでこぐ三輪のリキシャ。運転手の後ろに、屋根つきの客席がある
  • autorickshaw:エンジンで走る、屋根つきの三輪車。前に運転席、後ろに客席があり、とくにアジアやアフリカの多くの都市でタクシーとして使われる。同じ意味の語が tuk-tuk(トゥクトゥク)

(どちらも Oxford Learner's Dictionaries の説明)

エンジンで走るようになっても、名前には人力車の「りきしゃ(力の車)」が残っているわけです。

04英語で rickshaw を使ってみよう

旅行先で使えそうな例文を並べておきます。

  • We took a rickshaw to the night market.(リキシャで夜市に行った)
  • How much is it to the station by autorickshaw?(駅までオートリキシャでいくら?)
  • The rickshaw driver knew every shortcut in the old town.(リキシャの運転手は旧市街の近道をすべて知っていた)

ちなみに日本の観光地の人力車を英語で紹介するなら、a rickshaw ride in Asakusa(浅草で人力車に乗ること)のように rickshaw で通じます。jinrikisha の形も辞書に載っていますが、Dictionary.com では「rickshaw の別名」という扱いです。

05どんでん返し:「シャ」は英語の wheel と遠い親戚かもしれない

ここまでは「日本語が英語になった」話でした。ところが American Heritage Dictionary の語源欄は、その先まで書いています。

jinrikisha の sha(車) は、もともと中国語から日本語に入った漢字の読みです。辞書は、この「車」の古い中国語が、中央アジアのトカラ語の kukäl / kokale(荷車)とおそらくつながる、と説明しています。トカラ語は、かつて中央アジアで話されていた言葉で、英語と同じインド・ヨーロッパ語族(ヨーロッパからインドにかけて広がる言語の大きな家族)に入ります。

同じ辞書の付録「インド・ヨーロッパ語の語根」は、大昔の言葉のもとの形(語根)をまとめた一覧です。その「回る」を意味する kʷel- の項目に、英語の wheel(車輪)、bicycle の cycle、そして jinriksha が並んでいます。古い中国語の「車」は、中央アジアのインド・ヨーロッパ系の言葉から借りたものだろう、という見立てです。

もしこれが正しければ、rickshaw の最後の「シャ」は、英語の wheel や cycle と同じ根っこから出た、とても遠い親戚になります。ただし辞書の書き方は「おそらく(probably)」です。確定した事実ではなく、辞書が示す見立てとして読んでください。

もう一つ、発明の話にも異説があります。『日本国語大辞典』は、ポール・ブルムという人が、ロンドンの辻馬車や18世紀フランスの本の挿し絵などを根拠に「西洋にも似た乗り物があった」と述べていることを紹介しています。そのうえで、日本の人力車とは直接の関係はないと思われるとしています。

06まとめ

アジアの街を走る rickshaw、そして tuk-tuk の別名 autorickshaw。その名前は、明治2年の東京で考案された「じんりきしゃ」の後ろ半分でした。

次に rickshaw という単語を見かけたら、jin・riki・sha と3つに分けてみてください。最後の sha の奥には、英語の wheel につながるかもしれない、もっと古い旅の跡まで見えてきます。

よくある質問

リキシャ(rickshaw)の語源は何ですか?

日本語の「じんりきしゃ(人力車)」です。American Heritage Dictionary によると、rickshaw は jinriksha の短縮形で、jin=人、riki=力、sha=車。英語ではまず長い形で入り、あとから前の jin が落ちて rickshaw になりました。

rickshaw はいつから英語にあるのですか?

19世紀後半からです。Dictionary.com によると、長い形の jinrikisha の最初の記録は1870〜75年、短い rickshaw は1875〜80年。人力車が生まれてわずか数年で英語に入っています。

人力車はいつ、誰が考えたのですか?

明治2年(1869)に、和泉要助・高山幸助・鈴木徳次郎らが考案しました(デジタル大辞泉)。『世界大百科事典』によると、翌1870年3月に東京・日本橋のたもとで営業を始めています。

「人力車」という名前はどうやって決まったのですか?

役所の文書から定着した名前です。『日本国語大辞典』によると、考案した3人が東京府に出した願書では「人車(じんしゃ)」でした。許可を出した役所の文書で「人力車」という語が初めて使われ、それが広まりました。

人力車は英語で何と言いますか?

rickshaw で通じます。日本の観光地の人力車も、a rickshaw ride in Asakusa(浅草で人力車に乗ること)のように言えます。jinrikisha の形も辞書に載っていますが、Dictionary.com では「rickshaw の別名」という扱いです。

トゥクトゥクとリキシャの違いは何ですか?

トゥクトゥク(tuk-tuk)は、エンジンで走るオートリキシャ(autorickshaw)の別名です。人が引くのが rickshaw、ペダルでこぐのが cycle rickshaw、エンジンで走るのが autorickshaw です(Oxford Learner's Dictionaries)。

rickshaw は英語でどう発音しますか?

/ˈrɪkʃɔː/ で、「リクショー」に近い発音です。アメリカ式では「リクシャー」に近い発音もあります。日本では「リキシャ」と書かれることも多い言葉です。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerIn 1869, three men in Tokyo came up with a new kind of vehicle. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

In 1869, three men in Tokyo came up with a new kind of vehicle. It was a light cart with two wheels, and a runner pulled it along the street. They called it a jinrikisha, from the Japanese words for "person," "power," and "vehicle." It caught on fast.

By 1876, Tokyo had 24,470 of them, more than twice the number four years earlier. Japan also sent them to China, Southeast Asia, and Europe. English took in the word in the early 1870s, and within a few years people were also using a shorter form, "rickshaw."

The name has stayed even as the vehicle changed. A cycle rickshaw has pedals, and an autorickshaw, also called a tuk-tuk, runs on an engine.

120 words ・ CEFR B1

和訳を見る

1869年、東京の3人の男性が新しい種類の乗り物を考え出した。それは車輪が2つの軽い車で、走る人が通りで引いた。彼らはそれを、「人」「力」「車」を表す日本語から「じんりきしゃ」と名づけた。それはすぐに広まった。

1876年までに東京には2万4470台があり、4年前の2倍以上になっていた。日本はそれを中国、東南アジア、ヨーロッパにも送った。英語は1870年代の初めにこの語を取り入れ、数年のうちに、より短い形の「rickshaw」も使われるようになった。

乗り物が変わっても、名前は残った。サイクルリキシャにはペダルがあり、トゥクトゥクとも呼ばれるオートリキシャはエンジンで走る。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the main idea of the passage?

Q2. How many jinrikisha did Tokyo have by 1876?

Q3. What can we infer about the word "autorickshaw"?

重要単語

  • rickshawB2
    名詞リキシャ、人力車We took a rickshaw from the station to the old temple. 日本語「じんりきしゃ」の短縮形。発音は「リクショー」に近い。cycle rickshaw(ペダル式)、autorickshaw(エンジン式)も覚えておくと便利。
  • vehicleB1
    名詞乗り物、車両A bicycle is a vehicle with two wheels. h は発音しない(ヴィーイクル)。車・バス・自転車などをまとめて言う語。
  • passengerA2
    名詞乗客The rickshaw can carry two passengers. 運転する人は driver、乗せてもらう人が passenger。passenger seat は「助手席」。
  • inventB1
    動詞発明する、考え出すThree men in Tokyo invented the jinrikisha in 1869. 名詞は invention(発明)、inventor(発明者)。discover(もともとある物を見つける)との違いが入試で問われやすい。
  • exportB1
    動詞輸出するJapan exported rickshaws to China and other countries. ex-(外へ)+port(運ぶ)。反対は import(輸入する)。名詞のときは前にアクセント(エクスポート)。
  • wheelA2
    名詞車輪A rickshaw has two large wheels. steering wheel は「ハンドル」。AHD は wheel と cycle を同じ古い語根「回る」にさかのぼらせている。
  • abbreviationB2
    名詞短縮形、略語"Rickshaw" is an abbreviation of "jinrikisha." be short for ~ でも「~の短縮形だ」と言える:"Rickshaw" is short for "jinrikisha."
英語の rickshaw(リキシャ)は日本語「じんりきしゃ」の短縮形。jin(人)+riki(力)+sha(車)。人力車は明治2年に東京で考案され海外へ輸出された。エンジンの三輪タクシーは autorickshaw。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. The American Heritage Dictionary of the English Language, 5th ed.(HarperCollins, 2022)「rickshaw」ahdictionary.com
  2. The American Heritage Dictionary of the English Language, 5th ed.(HarperCollins, 2022)「jinriksha」・付録 Indo-European Roots「kʷel-1」ahdictionary.com
  3. Oxford Learner's Dictionaries(Oxford University Press)「rickshaw」「autorickshaw」oxfordlearnersdictionaries.com
  4. Dictionary.com(Random House Unabridged Dictionary)「jinrikisha」「rickshaw」dictionary.com
  5. デジタル大辞泉・精選版 日本国語大辞典(小学館)、改訂新版 世界大百科事典(平凡社)ほか、コトバンク掲載「人力車」kotobank.jp

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