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英語のマジか!?ホント

悪役 villain は、もとは「農場で働く人」。別荘の villa や経済の economy と同じ祖先

悪役 villain は、もとは「農場で働く人」。別荘の villa や経済の economy と同じ祖先

読む前に予想してみよう!

悪役を表す villain は、もともと「田舎で農場の仕事をする人」を指す言葉だった

研究カード(どんな研究?)
対象
英語の辞書の語源欄
規模
13世紀〜現代の用例
研究の種類
歴史言語学(辞書の語源記述)
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

悪役の villain は、もとはラテン語の villa(農場のある屋敷)で働く人のこと。700年前は「田舎の農民」の意味だった。village も親戚。

ひとことで言うと悪役の「ヴィラン」は、もとは農場で働く人のことだった!

もくじ
  1. villain の語源は「農場の働き手」
  2. village(村)も villa(別荘)も同じ語源
  3. もっとさかのぼると economy(経済)の親戚
  4. 「農民」や「召使い」が悪い意味になった言葉は、ほかにもある
  5. どんでん返し:vile(下劣な)は、じつは別の言葉
  6. まとめ

映画やゲームでおなじみの「ヴィラン」。英語の villain は、物語の悪役や悪党のことです。

ところがこの単語、もとの意味は「農場で働く人」でした。悪いことは何もしていません。毎日畑を耕していた、ふつうの人たちの呼び名です。

しかも、つづりがそっくりな villa(ヴィラ、郊外の大きな屋敷)から生まれた言葉です。さらにずっとさかのぼると、economy(経済)とも同じ祖先にたどり着きます。

01villain の語源は「農場の働き手」

アメリカの辞書『アメリカン・ヘリテージ英語辞典(AHD)』と Dictionary.com の語源欄をあわせると、villain はこんな道をたどってきました。

つまり villain は、もともと身分を表す言葉でした。それがのちに、「悪党」や物語の「悪役」を指すようになりました。

なぜそうなったのかを、辞書ははっきり説明していません。ただ、AHD に残る昔の意味「下劣で粗野だと見なされた農民」からは、農民を見下す上の身分の人たちの目が、言葉にしみこんでいったことがうかがえます。

中世の身分を表す言葉としては、villein(ヴィレイン)という形も残っています。こちらは歴史の用語で、「ほかの人に対しては自由な身分なのに、自分の領主に対してだけは自由がない農民」のこと。AHD では villain と villein は、もとは同じ単語のつづり違いです。

02village(村)も villa(別荘)も同じ語源

villa から生まれた英単語は、villain だけではありません。

  • village(村):ラテン語 vīllāticum(農場の家)から。vīlla の仲間(AHD)
  • villa(郊外の大きな屋敷、別荘):イタリア語を通って、17世紀はじめに英語に入った(オックスフォード学習辞典)

日本のマンションやホテルの名前によく使われる「ヴィラ」と、映画の「ヴィラン」は、「屋敷」と「そこで働く人」という関係だったわけです。

ラテン語の villa(農場のある屋敷)から、village(村)と villain(もとは農場の働き手)が生まれた
ラテン語の villa(農場のある屋敷)から、village(村)と villain(もとは農場の働き手)が生まれた

03もっとさかのぼると economy(経済)の親戚

AHD の巻末には、英語の単語を「インド・ヨーロッパ祖語」までさかのぼる付録があります。インド・ヨーロッパ祖語は、英語・ラテン語・ギリシャ語・ヒンディー語などの共通の祖先と考えられている、大昔の言葉です。文字の記録はなく、学者が今の言葉から組み立て直したものです。

この付録で villa の祖先とされているのが、*weik-。意味は「一族(家族より大きなまとまり)」です。そして同じ *weik- から、ギリシャ語では oikos(家) が生まれました。

その oikos から来た英単語が、

  • economy(経済):もとはギリシャ語 oikonomia「家のやりくり」(オックスフォード学習辞典)
  • ecology(生態学):oikos + -logy(学問)。19世紀の終わりに生まれた語(同)

です。ヴィラン、ヴィラ、ビレッジ、エコノミー、エコロジー。カタカナで並べるとばらばらですが、AHD の付録ではみんな同じ根っこにぶら下がっています。

04「農民」や「召使い」が悪い意味になった言葉は、ほかにもある

身分の低い人や田舎の人を指す言葉が、悪い意味や見下した意味に変わった例は villain だけではありません。辞書で確かめた仲間を並べます。

  • churl(無礼な人):古英語の ceorl は「いちばん下の身分の自由民」。奴隷よりは上、貴族よりは下の人。今は「無礼な人」で、形容詞 churlish は「不機嫌な、無愛想な」(AHD)
  • boor(がさつな人):オランダ語の boer(農民)から(AHD)
  • knave(悪党):古英語の cnafa は「少年、男の召使い」。ドイツ語の Knabe(少年)の仲間(オックスフォード学習辞典)
  • pagan(異教徒):ラテン語の pāgānus は「村人、田舎の人」。「軍人ではない一般人」の意味もあり、キリスト教のラテン語で「異教徒」になった(オックスフォード学習辞典)

churl にはまだ続きがあります。AHD の解説によると、ceorl のもとになったゲルマン語の意味は「年寄りの男」。同じ語から、ドイツ語の名前 Karl と英語の Charles が生まれました。この名前を中世のラテン語で書いた形が Carolus です。カール大帝(シャルルマーニュ)が有名になったことで Carolus という名前に重みが加わり、ロシア語などのスラブ系の言葉は、のちにこの名前を「王」を表す言葉として借りました。ロシア語で「王」は korol'。「無礼な人」の churl と「王」の korol' は親戚なのです。

反対の方向に進んだ言葉もあります。urbane(洗練された、物腰が上品な)は、ラテン語の urbānus「都市の」から来ています(AHD)。都会の言葉はほめ言葉に、田舎の言葉は悪口に。言葉にも、昔の人の思い込みが残っています。

05どんでん返し:vile(下劣な)は、じつは別の言葉

villain とよく似た単語に、vile(下劣な、ひどくいやな)があります。意味もつづりも近いので、「villain は vile から来た」と思いたくなります。

ところが AHD によると、vile のもとはラテン語の vīlis「安い、値打ちのない」。villa とはまったく別の単語で、インド・ヨーロッパ祖語までさかのぼっても祖先が違います。見た目と意味が似ているのは、たまたまなのです。

逆に、「つながっているかもしれない」言葉もあります。nasty(いやな、意地の悪い)です。AHD は、古いフランス語の villenastre(vilein+悪口の語尾)が縮んだ形から来た「可能性がある」と書いています。一方、オックスフォード学習辞典は「語源不明」。辞書によって答えが違い、どちらとも決まっていません。

06まとめ

villain は、もとは「農場で働く人」。それが、農民を見下す目といっしょに「悪党」へ、そして映画の「ヴィラン」へと変わりました。

次に悪役が登場したら、思い出してみてください。700年前、その名前で呼ばれていたのは、畑で汗を流すふつうの人たちだったのです。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerIn superhero films, the villain is the one we love to hate. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

In superhero films, the villain is the one we love to hate. The word has a much humbler past, though. It goes back to the Latin "villa," a country house with farmland around it. A farmhand who worked there was called a "villanus" in medieval Latin. The word passed through French into English, where it first appeared around 1300 and meant a peasant or a serf.

The upper classes looked down on these people, and over time the word came to mean a wicked person. "Village" grew from the same Latin word. On the other hand, "vile," which looks and sounds so similar, comes from a different Latin word meaning "cheap" and has no link to farms at all.

119 words ・ CEFR B1

和訳を見る

スーパーヒーロー映画で、ヴィランは私たちが憎むのを楽しむ存在だ。けれどもこの単語には、ずっとつつましい過去がある。もとをたどると、まわりに農地のある田舎の屋敷を表すラテン語の「villa」に行き着く。そこで働く農場の働き手は、中世ラテン語で「villanus」と呼ばれた。この語はフランス語を通って英語に入り、1300年ごろに初めて現れ、農民や農奴を意味した。

上の身分の人々はこうした人たちを見下しており、やがてこの単語は悪人を意味するようになった。「village」も同じラテン語の単語から生まれた。一方、見た目も音もよく似た「vile」は「安い」を意味する別のラテン語から来ていて、農場とはまったく関係がない。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the main idea of the passage?

Q2. When did the word first appear in English, according to the passage?

Q3. Why does the writer mention the word "vile"?

重要単語

  • villainB2
    名詞悪党;(物語の)悪役The villain in this movie is more popular than the hero. 発音は「ヴィラン」。the villain of the piece は「騒ぎの張本人」(おどけた言い方)。反対語は hero。
  • villageA2
    名詞村My grandmother lives in a small village in the mountains. villain と同じくラテン語 villa から。villager は「村人」。
  • peasantB2
    名詞(昔の)農民、小作人Most people in the Middle Ages were peasants. 歴史の文脈でよく出る。今の「農家」は farmer。人を peasant と呼ぶと見下した響きになるので注意。
  • rudeA2
    形容詞無礼な、失礼なIt's rude to talk with your mouth full. churl(無礼な人)・boor(がさつな人)は、どちらも昔は「農民」を指した語。
  • vileC1
    形容詞下劣な、ひどくいやなWhat a vile smell! villain と見た目が似ているが、語源はラテン語 vīlis(安い)で別の言葉。
  • economyB1
    名詞経済The economy grew slowly last year. ギリシャ語 oikonomia(家のやりくり)から。ecology(生態学)も oikos(家)の仲間。
  • obsoleteC1
    形容詞廃れた、もう使われないThis meaning of the word is now obsolete. 辞書で古い意味に付くラベル。old-fashioned(古風な)より強く、今は使われないことを表す。
映画の悪役 villain の語源は、ラテン語 villa(農場のある屋敷)で働く人。700年前の英語では「田舎の農民」。village(村)も villa から生まれた言葉で、さかのぼると economy(経済)とも同じ祖先に。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. The American Heritage Dictionary of the English Language, 5th ed.「villain」ahdictionary.com
  2. Dictionary.com「villain」(Origin of villain)dictionary.com
  3. The American Heritage Dictionary「Indo-European Roots Appendix」(weik-1)ahdictionary.com
  4. The American Heritage Dictionary「churl」(Word History)ahdictionary.com
  5. The American Heritage Dictionary「village」「vile」ahdictionary.com

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