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七面鳥は英語で「トルコ」、トルコ語で「インド」。本当はアメリカ大陸の鳥だった

七面鳥は英語で「トルコ」、トルコ語で「インド」。本当はアメリカ大陸の鳥だった

読む前に予想してみよう!

英語の turkey という名前は、最初から七面鳥を指していた

研究カード(どんな研究?)
対象
英語・トルコ語・フランス語・日本語の辞書
規模
辞書7種+辞書出版社の解説記事1本
研究の種類
辞書の語源欄の比較
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

英語の turkey は、もとはトルコ経由で来たと思われたアフリカの鳥ホロホロチョウの名前で、それが七面鳥に移った。トルコ語では hindi(インドの)、フランス語では dinde(西インドのめんどり)。

ひとことで言うと七面鳥は英語で「トルコ」、トルコ語で「インド」。生まれはアメリカなんだって!

もくじ
  1. turkey は、もとは「ホロホロチョウ」の名前だった
  2. メキシコからスペイン経由でイギリスへ
  3. トルコ語では「インド」、フランス語では「西インド」
  4. 日本語だけは「見た目」で名づけた
  5. どんでん返し:「ホロホロチョウとの混同」だけが理由ではないかも
  6. まとめ
  7. よくある質問

クリスマスや感謝祭のごちそう、七面鳥の丸焼き。英語では turkey。国の名前のトルコ(Turkey)と、まったく同じつづりです。

では、トルコの人はこの鳥をトルコ語で何と呼ぶのでしょう。答えは hindi(ヒンディ)。「インド」に結びつく名前です。

ところが七面鳥の生まれは、トルコでもインドでもなくアメリカ大陸。英語は「トルコの鳥」、トルコ語は「インドの鳥」。クリスマスの鳥の名前は、国から国へと出身地を押しつけ合っているようなものです。

01turkey は、もとは「ホロホロチョウ」の名前だった

まず英語から。オックスフォード大学出版局の学習辞典(Oxford Learner's Dictionaries)は、turkey の語源をこう書いています。

ホロホロチョウ(guinea fowl)は、AHD によるとアフリカ原産のキジに似た鳥で、黒っぽい羽に小さな白い斑点がたくさんあります。名前の guinea も、アフリカのギニア海岸から来ています。

つまり、こういう順番です。

  1. アフリカの鳥(ホロホロチョウ)が、トルコを通ってヨーロッパに入ってくる
  2. イギリス人はこれを「ターキー(トルコの鳥)」と呼ぶ
  3. アメリカ大陸の別の鳥(七面鳥)が入ってきて、その名前を横取りする

アフリカの鳥に付いた「トルコ」の名前が、さらにアメリカの鳥に移った。こうして、アメリカの鳥が「トルコ」になりました。

02メキシコからスペイン経由でイギリスへ

では、七面鳥はどうやってヨーロッパに来たのでしょう。アメリカの辞書出版社メリアム・ウェブスター(Merriam-Webster)の解説記事によると、流れは次のとおりです。

  • 16世紀、スペイン人がメキシコで、すでに飼いならされていた七面鳥に出会う
  • 1519年ごろ、スペインへ持ち帰る
  • 1541年までに、イギリスに届く

同じ記事によると、このころはオスマン帝国(トルコ)がいちばん勢いのあった時代で、イギリス人は新しく入ってきた珍しい物を、よく「トルコの」と呼んでいました。トウモロコシは Turkish wheat(トルコの小麦)、カボチャは Turkish cucumbers(トルコのキュウリ)。どちらもアメリカ大陸の植物です。

トウモロコシもカボチャも、16世紀のイギリスでは「トルコの」と呼ばれた(Merriam-Webster の解説記事による)
トウモロコシもカボチャも、16世紀のイギリスでは「トルコの」と呼ばれた(Merriam-Webster の解説記事による)

03トルコ語では「インド」、フランス語では「西インド」

トルコ語の七面鳥は hindi です。トルコ語協会(Türk Dil Kurumu)の辞書では、hindi はアラビア語の hindī から来た語で、「アメリカから世界中に広まった、首と頭に羽がない、家禽(かきん。家で飼う鳥)の中でいちばん大きい鳥」と説明されています。

同じ辞書で Hint は「インド(Hindistan)に住む人々」。英語の AHD でも、言語名の Hindi(ヒンディー語)は Hind(インド)から来た語とされています。hindi という鳥の名前は、「インドの」という形をした言葉なのです。

ただし、トルコ語協会の辞書は、なぜこの鳥にインドの名前が付いたのかまでは書いていません。

フランス語はどうでしょう。フランスの辞書ラルース(Larousse)によると、七面鳥(めす)の dinde は、poule des Indes occidentales(西インドのめんどり)から来ています。ラルースはこの「西インド」に〔アメリカ〕と書き添えています。「西インド諸島」は、1492年にカリブ海の島に着いたコロンブスがインドだと思いこんだことから付いた名前です(デジタル大辞泉)。フランス語の名前にも「インド」が入っていますが、指している場所は実はアメリカ。結果として、いちばん正解に近い名前です。

04日本語だけは「見た目」で名づけた

日本語の「七面鳥」は、産地ではなく見た目から来ています。小学館の『日本国語大辞典』によると、興奮すると頭から首にかけての羽のない皮膚が、青や赤などに色を変えることから、この名前が付きました。原種は北アメリカの草原にいた鳥です。

「カラクン」「カラクン鳥」という呼び名もあります。カラクンはオランダ語の kalkoen から来た言葉で、1750年の本(『紅毛訳問答』)に例があります。1876年の訳書には「火雞 原名『トルキー』 邦名『カラクンテフ』又七面鳥」とあり、turkey を写した「トルキー」、オランダ語から来た「カラクン」、そして「七面鳥」が並んでいます。

  • 英語 turkey → トルコ
  • トルコ語 hindi → インド
  • フランス語 dinde → 西インド(=アメリカ)
  • 日本語 七面鳥 → 色が変わる頭と首(見た目)

05どんでん返し:「ホロホロチョウとの混同」だけが理由ではないかも

Oxford・AHD・Merriam-Webster の辞書は、そろって「ホロホロチョウと混同したから」と説明しています。

ところが Merriam-Webster の解説記事は、ホロホロチョウには触れていません。説明しているのは、珍しい輸入品をよく「トルコの」と呼んだ、当時のイギリス人のくせです。七面鳥も「トルコのおんどり(turkey-cock)」と呼ばれ、やがて turkey に縮んだ、という書き方です。

2つの説明は、まったく別の話というわけではありません。どちらも「16世紀のイギリス人にとって、遠くから来る珍しい物の入り口がトルコだった」という点では同じです。ただ、ホロホロチョウとの取り違えが決め手だったのか、「珍しい物=トルコ」というくせのほうが大きかったのかは、辞書と解説記事で、どちらを重く見るかが違っています。

もう一つ。英語の turkey、トルコ語の hindi、フランス語の dinde には、どれも人をからかう意味もあります。Oxford の辞書の turkey には「役に立たないまぬけな人」(北米・くだけた言い方)、トルコ語協会の辞書の hindi には「ばかな、ぼうっとした」、ラルースの dinde には「(くだけて)まぬけで気取った女性」。日本語の「七面鳥」にも、『日本国語大辞典』に「心の変わりやすい人のたとえ」という意味が載っています。

06まとめ

アメリカ大陸の鳥なのに、英語では「トルコ」、トルコ語では「インド」、フランス語では「西インド(=アメリカ)」。英語の turkey は、アフリカのホロホロチョウにトルコ経由と思って付けた名前を、あとから来た七面鳥が引きついだものでした。

日本語の「七面鳥」だけが、どこの国のせいにもせず、頭から首の皮膚の色が変わるという見た目で名づけています。次に七面鳥を食べるときは、その名前の旅の話をしてみてください。

よくある質問

七面鳥はなぜ英語で turkey(トルコ)なのですか?

もとはホロホロチョウの名前だったからです。Oxford などの辞書によると、turkey はトルコを通って輸入されていたアフリカの鳥ホロホロチョウの呼び名で、それが誤って七面鳥に移りました。珍しい輸入品をよく「トルコの」と呼んだ当時のくせも、理由に挙げられています。

七面鳥の原産地はどこですか?

アメリカ大陸です。Merriam-Webster の解説記事によると、16世紀にスペイン人がメキシコで、すでに飼いならされていた七面鳥に出会い、1519年ごろスペインへ持ち帰りました。1541年までには、イギリスに届いています。

トルコ語で七面鳥は何と言いますか?

hindi(ヒンディ)です。トルコ語協会の辞書によると、アラビア語の hindī から来た語で、「インドの」という形をした言葉です。ただし、なぜこの鳥にインドの名前が付いたのかは、その辞書には書かれていません。

フランス語で七面鳥は何と言いますか?

dinde(めす)です。フランスの辞書ラルースによると、poule des Indes occidentales(西インドのめんどり)から来ていて、この「西インド」はアメリカを指します。名前に「インド」が入っていますが、指している場所は実際の産地のアメリカです。

日本語の「七面鳥」の名前の由来は何ですか?

見た目から来ています。小学館の『日本国語大辞典』によると、興奮すると頭から首にかけての羽のない皮膚が、青や赤などに色を変えることから、この名前が付きました。

七面鳥は昔、日本で何と呼ばれていましたか?

「カラクン」「カラクン鳥」という呼び名がありました。オランダ語の kalkoen から来た言葉で、1750年の本(『紅毛訳問答』)に例があります。1876年の訳書には、turkey を写した「トルキー」という書き方も見えます。

ホロホロチョウとはどんな鳥ですか?

アフリカ原産の、キジに似た鳥です。アメリカの辞書『American Heritage Dictionary』によると、黒っぽい羽に小さな白い斑点がたくさんあります。英語では guinea fowl といい、guinea はアフリカのギニア海岸から来ています。

英語の turkey には七面鳥以外の意味がありますか?

あります。Oxford の辞書には「(くだけて)大失敗の映画や劇」の意味があり、His new movie was a real turkey.(彼の新作映画は大コケだった)のように使います。cold turkey は、たばこなどを「いきなりきっぱりやめること」です。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerThe Spanish found tame turkeys in Mexico and took some back to Spain around 1519. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

The Spanish found tame turkeys in Mexico and took some back to Spain around 1519. By 1541, the birds had reached England.

So why did the English call them turkeys? According to Oxford, the name first belonged to the guinea fowl, an African bird that came into Europe through Turkey. People later used it for the American bird by mistake. A Merriam-Webster article adds that English people at the time called many new and unusual things "Turkish."

Corn, for example, was "Turkish wheat." Other languages point somewhere else. In Turkish the bird is "hindi," from an Arabic word that points to India, and the French "dinde" comes from "hen of the West Indies." The West Indies, of course, are in the Americas.

122 words ・ CEFR B1

和訳を見る

スペイン人はメキシコで飼いならされた七面鳥を見つけ、1519年ごろに何羽かをスペインに持ち帰った。1541年までに、この鳥はイギリスに届いていた。

では、なぜイギリス人はそれを turkey と呼んだのか。オックスフォードの辞書によると、この名前は最初、トルコを通ってヨーロッパに入ってきたアフリカの鳥、ホロホロチョウのものだった。人々はのちに、間違えてそれをアメリカの鳥に使った。メリアム・ウェブスターの記事は、当時のイギリス人が新しく珍しい物の多くを「トルコの」と呼んでいたと付け加えている。

たとえばトウモロコシは「トルコの小麦」だった。ほかの言語は別の場所を指している。トルコ語ではこの鳥は、インドを指すアラビア語から来た「hindi」で、フランス語の「dinde」は「西インドのめんどり」から来ている。西インド諸島は、もちろんアメリカ大陸にある。

4択リーディングクイズ

Q1. When had turkeys reached England?

Q2. What does the Merriam-Webster article add?

Q3. Why does the writer mention that the West Indies are in the Americas?

重要単語

  • turkeyB1
    名詞七面鳥(の肉);(くだけて)大失敗作We had roast turkey for Thanksgiving dinner. 国名の Turkey は大文字で始める。鳥は小文字。くだけた言い方では「大コケした映画や劇」の意味もある。
  • guinea fowlC2
    名詞ホロホロチョウA guinea fowl has dark feathers with small white spots. アフリカ原産。複数形も guinea fowl のままでよい。guinea はアフリカのギニア海岸から。
  • importB1
    動詞・名詞輸入する;輸入品Many fruits are imported from other countries. 動詞はアクセントが後ろ(im-PORT)、名詞は前(IM-port)。反対語は export。
  • confusionB2
    名詞混同、取り違えThe two birds got mixed up, and the confusion lasted for centuries. 動詞は confuse A with B「A を B と混同する」。辞書の語源欄によく出る語。
  • domesticatedC1
    形容詞(動物が)飼いならされた、家畜化されたDogs were domesticated thousands of years ago. domestic(家庭の、国内の)と同じ仲間。wild(野生の)の反対。
  • cold turkeyC2
    副詞・名詞(たばこなどを)いきなりきっぱりと(やめること)My uncle gave up coffee cold turkey and felt awful for days. quit / stop ... cold turkey の形で使う。やめた直後のつらさを含む言い方。
七面鳥は英語で turkey=国名トルコと同じ。トルコ語では hindi=「インドの」。でも生まれはアメリカ大陸。英語の turkey は、アフリカのホロホロチョウの名前を取り違えて付けたものだった。

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出典・参考文献(7件)タップで表示
  1. Oxford Advanced Learner's Dictionary, "turkey" "guinea fowl" "cold turkey"(Oxford University Press)oxfordlearnersdictionaries.com
  2. The American Heritage Dictionary of the English Language, 5th ed., "turkey" "guinea fowl" "Hindi"(HarperCollins)ahdictionary.com
  3. Merriam-Webster Dictionary, "turkey"(Etymology / First Known Use)merriam-webster.com
  4. Merriam-Webster, "How the Turkey Got Its Name"(Wordplay)merriam-webster.com
  5. Türk Dil Kurumu, Güncel Türkçe Sözlük "hindi" "Hint"(トルコ語協会)sozluk.gov.tr
  6. Dictionnaire Larousse, "dinde"(Éditions Larousse)larousse.fr
  7. 精選版 日本国語大辞典・デジタル大辞泉「七面鳥」「カラクン」「西インド諸島」(小学館、コトバンク掲載)kotobank.jp

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