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英語のマジか!?ホント

「taller than I」と習ったのに、ケンブリッジの文法解説は「than me がふつう」

「taller than I」と習ったのに、ケンブリッジの文法解説は「than me がふつう」

読む前に予想してみよう!

「あなたは私より強い」を英語で言うとき、Cambridge の文法解説は You're stronger than I. を正しい形として勧めている

研究カード(どんな研究?)
対象
英語の文法解説・辞書の使い方の注意書き
規模
3種(Cambridge の文法解説・Oxford Learner's・American Heritage)の8ページ
研究の種類
辞書の例文と注意書きの比較
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

「〜より」の than のあとに代名詞を1つだけ置くなら me がふつう。Cambridge の文法解説は than I で文を終える形を「こうは言わない」とし、改まった文なら than I am と be 動詞まで言う形を示す。

ひとことで言うと「私より背が高い」は英語で taller than me がふつうだった!

もくじ
  1. 「than I」は、1700年代から文法家が言ってきたルール
  2. 辞書の答え:than のあとは me でいい
  3. 「It is I」も同じ道をたどった
  4. どんでん返し:いつでも me でいいわけではない
  5. まとめ
  6. よくある質問

He is taller than I.(彼は私より背が高い)

比較の文を習うとき、「than のあとは主語の形の I。うしろに am が省略されているから」と教わった人もいるでしょう。

ところが、イギリスの Cambridge University Press の文法解説を開くと、例文はこうなっています。Could you carry this? You're stronger than me.(これ運んでくれる? あなたのほうが力持ちだし)。そしてその下に、はっきり「Not: You're stronger than I.」。学校で正解とされやすい than I に、Cambridge は「こうは言わない」と書いているのです。

01「than I」は、1700年代から文法家が言ってきたルール

なぜ学校では than I になるのでしょう。アメリカの大型辞書『American Heritage Dictionary』(AHD)の than の解説に、その理由が書いてあります。

1700年代から、文法家たちは than をいつも接続詞(文と文をつなぐ語)として扱うべきだと主張してきました。 この考え方では、Bill is taller than Tom. は Bill is taller than Tom is. の is が省略された文です。そうなると than のあとの代名詞は、省略された動詞の主語なので、主語の形にしなければいけない。だから Pat is taller than I.(I am の am が省略されている)が正しく、than me はだめ、というわけです。

このルールは、同じ理屈で次の文の me を認めます。

  • The news surprised Pat more than me.(その知らせは、私よりパットを驚かせた)
  • → The news surprised Pat more than it surprised me. の省略なので、me は目的語。だから me でよい

筋は通っています。でも AHD は、この分析を「いくぶん無理がある」と評価しています。

02辞書の答え:than のあとは me でいい

では、辞書は今の英語をどう説明しているでしょうか。

Cambridge が改まった場面の形として示しているのは、than I ではなく than I am です。than I で止めると不自然に聞こえることがあり、be 動詞まで言えば改まった言い方として使える。学校で習う「am が省略されている」という説明も、am を省略せずに書けば、そのまま改まった言い方として通ります。

03「It is I」も同じ道をたどった

同じことは、ドアの外から「私だよ」と言うときにも起こります。

Cambridge の代名詞の解説では、ふつうの言い方は It's me.。そして「It is I. はあまり使われない。とても改まった言い方」と注記しています。「だれがお菓子を全部食べたの?」と聞かれたときの短い答えも、くだけた会話なら Me.、改まるなら I did. です。

AHD も be の解説で、伝統的な文法は It is I(me ではなく)を求めてきたが、ごく改まった文体以外では It's me と言い、It's I とは言わない、と書いています。I の解説では、くだけた場面でこのルールを守ると大げさに、ばかばかしくさえ聞こえることがあるとして、「It's we なんて言う人がいるだろうか」と問いかけています。

ドアの外から「私だよ」は It's me. が今のふつうの言い方。It is I. は「とても改まった言い方」(Cambridge)
ドアの外から「私だよ」は It's me. が今のふつうの言い方。It is I. は「とても改まった言い方」(Cambridge)

04どんでん返し:いつでも me でいいわけではない

「じゃあ、いつでも me でいいの?」というと、そう単純でもありません。

1つ目は、意味が変わる文です。たとえば She loves the dog more than me. は、「彼女は私より犬のほうを愛している」と読めます。もし「私が犬を愛している以上に、彼女は犬を愛している」と言いたいなら、She loves the dog more than I do. と動詞まで言う必要があります。Oxford の学習辞典にも He loves me more than you do.(あなたが私を愛している以上に、彼は私を愛している)という例文があります。AHD も、比較の文で意味があいまいになるときは、動詞を足すよう勧めています。

2つ目は、改まった文章での受け止め方です。AHD は I の解説で、It is me のような形は長いあいだ教室や作文の手引きで責められてきたので、改まった書き言葉で完全に受け入れられる見込みは小さい、とも書いています。than me についても、Cambridge は改まった場面では than I am の形を示しています。

3つ目は、ルールの使いすぎとされる言い方です。between you and me(ここだけの話)を between you and I と言う人がいます。AHD によると、これを、It is I が正しいと教わった人が、ここでも I が正しいと思いこんだ結果(正しく言おうとしすぎて起こる「過剰修正」)とみる人たちがいます。ただ AHD は、それだけでは説明しきれないとも書いています。この言い方はシェイクスピアにもあり、禁じるルールが書かれる300年ほど前から使われていたからです。それでも、改まった場面では避けるのが無難だとしています。

05まとめ

「He is taller than I.」は、1700年代から文法家たちが than を接続詞とみなしてきたことによるルールでした。今の辞書は、than のあとに代名詞を1つ置くなら me がふつうで、than I で止めると不自然・気取って聞こえることがある、と説明しています。

改まった文では than I am と be 動詞まで書く。意味が変わりそうなら than I do と動詞を足す。この2つを押さえておけば、than のあとの I と me で迷わなくなります。

よくある質問

than me と than I はどちらが正しいですか?

代名詞を1つだけ置くなら than me がふつうです。Cambridge の文法解説は You're stronger than me. を例に挙げ、than I で終える形には「Not(こうは言わない)」と書いています。改まった文なら than I am と言います。

学校で than I と習ったのはなぜですか?

1700年代から文法家たちが、than を接続詞として扱うべきだと主張してきたからです。taller than I は than I am の am を省いた形なので I にする、という考え方です。アメリカン・ヘリテージ英語辞典(AHD)は、この分析を「いくぶん無理がある」としています。

than I と言うと間違いですか?

アメリカン・ヘリテージ英語辞典(AHD)は誤りとまでは言っていませんが、than I で止めると不自然に、さらには気取って聞こえることがあると書いています。Cambridge は than I に「Not」とはっきり書いていて、辞書によって強さに差があります。

英作文の試験ではどう書けばいいですか?

My sister is taller than I am. のように be 動詞まで書くと安心です。Cambridge が改まった場面の形として挙げている書き方で、学校で習う「am が省略されている」という説明とも合います。

than me と than I do で意味が変わることはありますか?

あります。She loves the dog more than me. は「彼女は私より犬のほうを愛している」と読めます。「私が犬を愛している以上に彼女は犬を愛している」と言いたいなら、She loves the dog more than I do. と動詞まで言います。

It's me と It is I はどちらが正しいですか?

ふつうは It's me. です。Cambridge は It is I. を「あまり使われない。とても改まった言い方」としています。アメリカン・ヘリテージ英語辞典も、ごく改まった文体以外では It's me と言い、It's I とは言わないと書いています。

between you and I は正しい英語ですか?

改まった場面では避けるのが無難です。ふつうは between you and me(ここだけの話)と言います。アメリカン・ヘリテージ英語辞典によると、between you and I はシェイクスピアにもある古い言い方ですが、正しく言おうとしすぎた過剰修正とみる人たちもいます。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerStudents in Japan often learn that "He is taller than I" is correct, because the word "am" is left out at… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Students in Japan often learn that "He is taller than I" is correct, because the word "am" is left out at the end. This idea goes back to the 1700s, when grammar writers said "than" must always join two clauses.

Modern dictionaries see it differently. Cambridge's grammar guide uses "You're stronger than me" as its example and says people don't say "You're stronger than I." Oxford's learner's dictionary starts its entry with "I'm older than her."

The American Heritage Dictionary says "than I" on its own can sound unnatural, or even a little pretentious. For formal writing, there is an easy fix. Add the verb and write "than I am." That form still sounds natural today.

116 words ・ CEFR B1

和訳を見る

日本の生徒は、最後の「am」が省略されているので「He is taller than I」が正しい、とよく習う。この考え方は1700年代にさかのぼる。

当時の文法家たちは、「than」は必ず2つの節をつなぐ語だと言った。今の辞書の見方はちがう。Cambridge の文法解説は「You're stronger than me」を例に使い、「You're stronger than I」とは言わないと書いている。Oxford の学習辞典は、than の項目を「I'm older than her(私は彼女より年上だ)」から始めている。

American Heritage Dictionary は、「than I」で止めると不自然に、あるいは少し気取って聞こえることがあると言う。改まった文章なら、簡単な解決法がある。動詞を足して「than I am」と書けばよい。この形なら、今でも自然に聞こえる。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the main idea of the passage?

Q2. When did the idea that "than" must join two clauses begin?

Q3. What would the writer most likely suggest for a formal essay?

重要単語

  • comparisonB1
    名詞比較We use "than" to make a comparison. 動詞は compare(比べる)。in comparison with ~「〜と比べると」も入試頻出。
  • pronounB1
    名詞代名詞"Me" is the object form of the pronoun "I." pro-(〜の代わり)+noun(名詞)。I / me / my / mine の変化を「格」という。
  • conjunctionC1
    名詞接続詞"And" and "but" are common conjunctions. con-(いっしょに)+ラテン語 jungere(つなぐ)から。junction(つなぎ目)と同じ仲間。than を接続詞とみるか前置詞とみるかで I / me が分かれる。
  • pretentiousC1
    形容詞気取った、もったいぶったHis speech sounded a little pretentious. pretend(ふりをする)と同じ仲間。「えらそうに見せようとしている」感じの悪口。
  • grammarianC1
    名詞文法家、文法学者Some grammarians say we should write "than I am." grammar(文法)+-ian(人)。librarian(図書館員)と同じ作り。
  • formalB1
    形容詞改まった、正式な"It is I" sounds very formal. 反対語は informal。辞書の very formal は「とても改まった=ふだんは使わない」のサイン。
taller than I と習ったのに、Cambridge の文法解説は You're stronger than me. が基本。than I で文を終える形は「こうは言わない」。改まった文なら than I am。

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出典・参考文献(8件)タップで表示
  1. Cambridge Dictionary, English Grammar Today "Comparison: adjectives"(Cambridge University Press)dictionary.cambridge.org
  2. Cambridge Dictionary, English Grammar Today "Pronouns: personal"(Cambridge University Press)dictionary.cambridge.org
  3. Oxford Advanced Learner's Dictionary(Oxford University Press)"than"oxfordlearnersdictionaries.com
  4. Oxford Advanced Learner's Dictionary(Oxford University Press)"me"oxfordlearnersdictionaries.com
  5. The American Heritage Dictionary of the English Language, 5th ed.(HarperCollins, 2022)"than"(Usage Note)ahdictionary.com
  6. The American Heritage Dictionary of the English Language, 5th ed.(HarperCollins, 2022)"be"(Usage Note)ahdictionary.com
  7. The American Heritage Dictionary of the English Language, 5th ed.(HarperCollins, 2022)"I"(Usage Note)ahdictionary.com
  8. The American Heritage Dictionary of the English Language "The Usage Panel"(HarperCollins)ahdictionary.com

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