サラダもソースもソーセージも、語源はぜんぶ「塩」。カップの受け皿ソーサーまで

読む前に予想してみよう!
料理の「ソテー(sauté)」も、サラダやソースと同じく「塩」が語源だ
sauté はフランス語の sauter(跳ぶ)から。サラダ・ソース・ソーセージはラテン語の sāl(塩)から来ている。
- 対象
- 英語の辞書の語源欄
- 規模
- 辞書2種(AHD・Oxford Learner's)+印欧語根の付録
- 研究の種類
- 語源調査(辞書)
- 確かさ
- ★★★★☆
salad・sauce・sausage はラテン語の sāl(塩)から。サルサ、サラミ、受け皿の saucer も塩の一族。ただし sauté は「跳ぶ」。
ひとことで言うとサラダもソースもソーセージも、もとは「塩」という意味の言葉なんだって!
「サラダ」「ソース」「ソーセージ」。洋食屋のメニューにふつうに並んでいるカタカナ語です。
この3つ、英語の辞書で語源をたどると、行き着く先は同じ1語。ラテン語の sāl(サール)=「塩」です。
サラダは「塩をされたもの」。ソースは「塩をした」。ソーセージは「塩漬けにしてつくった」。それだけではありません。サルサもサラミも、コーヒーカップの受け皿の「ソーサー」も、同じ「塩」の一族でした。
01サラダは「塩をされたもの」
アメリカの代表的な辞書、アメリカン・ヘリテージ英語辞典(AHD)は、salad の項にわざわざ「語の歴史」というコラムをつけています。
それによると、ローマ時代の話し言葉のラテン語に *salāre(塩をする)という動詞がありました。その変化形 salāta は「塩をされた」という意味で、これが「サラダ」を指すようになります。(「」は、文書には残っていないけれど、学者が推定した形という印です)
理由について、AHD は「塩はサラダのドレッシングに欠かせない材料だったし、今もそうだ。だから salad という語そのものが、ラテン語の『塩』をもとにしている」と説明しています。
この語はポルトガル語の salada、南フランスの古いプロバンス語の salada などに受けつがれ、フランス語の salade を通って英語に入りました。英語で salad が最初に記録されているのは、1399年より前に書かれた料理書だそうです。

02ソース、サルサ、ソーセージ、サラミも同じ一族
サラダ以外の料理の言葉も、辞書を引くと次々に「塩」が出てきます。
サルサは、音楽や踊りの名前にもなっています。オックスフォードの学習辞典によると、スペイン語で文字どおり「ソース」の salsa が、アメリカ大陸のスペイン語で踊りの名前にも広がりました。AHD も salsa の意味として、トマトなどのソースのほかに、ラテンアメリカの音楽のジャンルと、それに合わせて2人で踊るダンスを載せています。
ソーサーは、もとは「ソース皿」。いまはカップの受け皿の意味ですが、中世の英語では調味料を入れる小皿のことでした。ということは、UFO を指す flying saucer(空飛ぶ円盤)も、語源までさかのぼると「空飛ぶソース皿」です。
03「塩入れ」は「塩・塩入れ」だった
食卓の塩入れは、英語で saltcellar(ソルトセラー)といいます。cellar は「地下の貯蔵室」のこと。「塩の地下室」? と思いますが、じつは違います。
AHD によると、もとの形は salt-saler。後ろの saler は、古フランス語から入った「塩入れ」という語で、さかのぼるとラテン語の salārius「塩の」にたどり着きます。この saler が、のちに cellar という形に変わりました。
一方、本物の cellar(地下室)は、ラテン語の cella「物置」から来た別の語です。つまり saltcellar は、英語の salt(塩)+もとはラテン語の「塩」から来た saler(塩入れ)。「塩」が2回入った「塩・塩入れ」だったのです。
04ハロゲンランプの「ハロ」も塩
塩の一族は、台所の外にもいます。
ハロゲンランプやハロゲンヒーターの halogen(ハロゲン)。オックスフォードの学習辞典によると、英語では19世紀半ばからある語で、ギリシャ語の hals(塩)と -gen(〜を生むもの)からできています。AHD は、スウェーデン語でつくられた語としています。文字どおりには「塩を生むもの」。ハロゲンの仲間の塩素は、ナトリウムと結びつくと食塩(塩化ナトリウム)になります。
AHD には、ヨーロッパの多くの言葉の大昔の共通の祖先をまとめた付録があります。それによると、ギリシャ語の hals、ラテン語の sāl、英語の salt は、どれも同じ大昔の言葉 *sal-(塩)から来ています。英語の salt は、もともと英語の祖先にあった語。salad や sauce は、ラテン語からフランス語などを通って入ってきた語。遠い親戚どうしが、同じ食卓に並んでいるわけです。
05どんでん返し:「サ」で始まっても、塩とは限らない
ここまで読むと、sal- や sau- で始まる語はみんな塩の仲間に見えてきます。でも、辞書を引くと違う語がまぎれています。
- sauté(ソテー):フランス語の sauter「跳ぶ」が「〜した」の形になったものから(AHD)。ソースと響きは似ていても、塩ではなく「跳ぶ」の仲間
- salmon(サーモン):ラテン語の salmō から。AHD はこれを、ガリア語(古代ガリアのケルト系の言葉)から入った語で、「跳ねる魚」の意味だったらしい、としている(「おそらく」付き)。はっきりしない語源だが、少なくとも塩の一族には数えられていない
- salon(サロン):イタリア語 sala(広間)から。塩とは無関係
もう1つ、有名な話にも注意が必要です。salary(給料)もラテン語の「塩」とつながっていて、「ローマの兵士は給料を塩でもらっていた」とよく言われます。でも、AHD に書いてあるのは「もとは、塩などを買うために兵士に渡したお金だったと思われる」まで。それも「おそらく」付きです。オックスフォードの学習辞典は「塩を買うための手当」と言い切っていますが、「塩そのもので払った」と書いた辞書は、今回調べた中にはありません。
06まとめ
サラダ、ソース、ソーセージ、サルサ、サラミ、ソーサー。カタカナで見るとばらばらの言葉が、英語の辞書の上では「塩」の一族でした。
次にソーセージにソースをかけるときは、思い出してください。「塩漬けでつくったもの」に「塩をしたもの」をかけているのです。ただしソテーだけは、塩ではなく「跳ぶ」の仲間です。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerLook up "salad," "sauce," and "sausage" in a good dictionary, and you will find the same Latin word behind…
音声
4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
Salad, sauce, and sausage are common food words. They all come from one old Latin word, "sal." It means salt. "Salad" first meant "something with salt on it."
A sausage was meat made with salt. The small plate under a cup is called a "saucer." Long ago, it was a little dish for sauce.
But be careful. "Sauté" looks like "sauce," but it comes from a French word that means "to jump."
72 words ・ CEFR A2
和訳を見る
サラダ、ソース、ソーセージはよく使う食べ物の言葉です。どれも「sal」という1つの古いラテン語から来ています。それは「塩」という意味です。「salad」はもともと「塩をかけたもの」という意味でした。
ソーセージは塩を使ってつくった肉でした。カップの下の小さな皿は「saucer(ソーサー)」と呼ばれます。昔、それはソースを入れる小さな皿でした。
でも気をつけてください。「sauté(ソテー)」は「sauce」に似ていますが、「跳ぶ」という意味のフランス語から来ています。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
salad・sauce・sausage が「塩」を意味する sal から来ている話なので B。
Q2. What was a saucer long ago?
Long ago, it was a little dish for sauce とあるので C。
Q3. In the passage, what does "jump" mean?
jump は「跳ぶ」。地面をけって空中に上がること、なので A。sauté はこの意味のフランス語から来ている。
Look up "salad," "sauce," and "sausage" in a good dictionary, and you will find the same Latin word behind all three. It is "sal," which means salt. The American Heritage Dictionary says salt was so important in salad dressing that the dish was named after it.
"Salsa" is simply the Spanish word for sauce, and it later became the name of a dance as well. Even "saucer" belongs to the family. In the Middle Ages, it meant a small dish for sauce, not a plate for a cup.
The word "halogen," as in halogen lamps, comes from the Greek word for salt. Not every word that starts with "sa" is related, though. "Sauté" comes from a French verb meaning "to jump."
121 words ・ CEFR B1
和訳を見る
「salad」「sauce」「sausage」をきちんとした辞書で引くと、3つすべての背後に同じラテン語が見つかる。それは塩を意味する「sal」だ。アメリカン・ヘリテージ英語辞典によると、塩はサラダのドレッシングでとても大切だったので、この料理は塩にちなんで名づけられた。
「salsa」はスペイン語でただ「ソース」という意味で、のちに踊りの名前にもなった。「saucer」でさえこの一族に入る。中世には、カップをのせる皿ではなく、ソースを入れる小皿を意味していた。
ハロゲンランプの「halogen」という語は、ギリシャ語で塩を意味する語から来ている。とはいえ、「sa」で始まる語がすべて仲間というわけではない。「sauté」は「跳ぶ」という意味のフランス語の動詞から来ている。
4択リーディングクイズ
Q1. Why, according to the dictionary, was salad named after salt?
salt was so important in salad dressing that the dish was named after it とあるので B。
Q2. What did "saucer" mean in the Middle Ages?
In the Middle Ages, it meant a small dish for sauce とあるので C。
Q3. What does the writer suggest in the last two sentences?
Not every word that starts with "sa" is related と述べ、sauté は「跳ぶ」から来た例を挙げているので D。
The Latin word "sal," meaning salt, sits behind a long list of English food words. According to the American Heritage Dictionary, spoken Latin had a verb meaning "to salt," and a form meaning "salted" came to mean "salad." The word reached English through French and first shows up in a cookbook written before 1399. "Sauce," "salsa," and "sausage" grew from a related Latin word for "salted," and "salami" is an Italian plural formed from the same verb.
A saucer was once a dish for sauce. The table "saltcellar" has nothing to do with a cellar. It began as "salt-saler," and "saler" was already an old word for a salt dish, so the name says "salt" twice. Some famous stories go further than the evidence. People often say Roman soldiers were paid in salt, and "salary" does come from the Latin word for salt.
But the dictionary only says the money was probably meant for buying salt and other things, and it says nothing about paying anyone in salt. Look-alikes can fool you too. "Sauté" comes from a French verb meaning "to jump," and "salmon" may have meant "the leaping fish."
190 words ・ CEFR B2
和訳を見る
塩を意味するラテン語の「sal」は、英語の食べ物の言葉のずらりと長いリストの背後にある。アメリカン・ヘリテージ英語辞典によると、話し言葉のラテン語に「塩をする」という意味の動詞があり、その「塩をされた」という意味の形が「サラダ」を意味するようになった。この語はフランス語を通って英語に入り、1399年より前に書かれた料理書に初めて登場する。「sauce」「salsa」「sausage」は「塩をした」という意味の関連するラテン語から生まれ、「salami」は同じ動詞からできたイタリア語の複数形だ。
saucer はかつてソースを入れる皿だった。食卓の「saltcellar(塩入れ)」は cellar(地下室)とは何の関係もない。始まりは「salt-saler」で、「saler」はそれ自体が塩入れを表す古い語だったので、この名前は「塩」を2回言っていることになる。有名な話の中には、証拠より先に行ってしまうものもある。ローマの兵士は塩で給料をもらっていたとよく言われ、「salary」がラテン語の塩から来ているのは確かだ。
しかし辞書が言っているのは、そのお金がおそらく塩などを買うためのものだったということだけで、塩で支払ったことについては何も書いていない。似た語にもだまされることがある。「sauté」は「跳ぶ」という意味のフランス語の動詞から来ており、「salmon」は「跳ねる魚」という意味だったのかもしれない。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the main point of the passage?
前半で sal から来た食べ物の語を並べ、後半で salary の話や sauté・salmon のような「似ているが違う語」に注意をうながしているので B。
Q2. Why does the writer say "saltcellar" says "salt" twice?
It began as "salt-saler," and "saler" was already an old word for a salt dish とあるので C。
Q3. What can be inferred about the story that Roman soldiers were paid in salt?
the dictionary only says the money was probably meant for buying salt, and it says nothing about paying anyone in salt とあり、この話は辞書の記述より先に行っていると読めるので D。
重要単語
- saltyA2形容詞塩からいThis soup is a little too salty for me.
salt(塩)+-y。sweet(甘い)・sour(すっぱい)・bitter(苦い)とセットで覚える。 - saucerB1名詞(カップの)受け皿She put her cup back on the saucer.
中世の英語では「ソース皿」。a cup and saucer で「受け皿つきのカップ」。flying saucer は「空飛ぶ円盤」。 - seasonB2動詞(塩・こしょうなどで)味をつけるSeason the meat with salt and pepper.
名詞の season(季節)と同じつづり。seasoning は「調味料」。season A with B の形でよく使う。 - dressingB1名詞(サラダの)ドレッシングI'd like my salad with the dressing on the side.
on the side は「別の器で」。レストランでそのまま使える言い方。 - pluralB2名詞複数形"Salami" is an Italian plural, but English uses it as a singular word.
反対は singular(単数形)。spaghetti や panini も、もとはイタリア語の複数形。 - originB1名詞起源、由来The origin of the word "salad" is the Latin word for salt.
word origin で「語源」。形容詞は original(もとの)。 - look-alikeC1名詞よく似たもの、そっくりさん"Sauté" looks like "sauce," but it's only a look-alike.
look alike(似て見える)からできた名詞。人にも物にも使う。
公式・一次情報をチェック
- salt(Oxford Learner's Dictionaries)oxfordlearnersdictionaries.com
- saucer(Oxford Learner's Dictionaries)oxfordlearnersdictionaries.com
このネタ、誰かに教えたくなった?
サラダ、ソース、ソーセージ。英語の辞書で語源をたどると、ぜんぶラテン語の sāl=「塩」に行き着く。サルサ、サラミ、カップの受け皿ソーサー(もとは「ソース皿」)も同じ一族。ただしソテーは「跳ぶ」で、塩とは無関係。
押すと「マジかリスト」に保存されます
出典・参考文献(5件)タップで表示
- American Heritage Dictionary, 5th ed.「salad」(Word History)ahdictionary.com
- American Heritage Dictionary, 5th ed.「sauce」「salsa」「sausage」「salami」「saucer」「sauté」ahdictionary.com
- American Heritage Dictionary, 5th ed.「saltcellar」「cellar」「salary」「halogen」「halo-」ahdictionary.com
- American Heritage Dictionary, Appendix I: Indo-European Roots「sal-」「sel-」ahdictionary.com
- Oxford Learner's Dictionaries「salad」「sauce」「sausage」「salsa」「halogen」(Word Origin)oxfordlearnersdictionaries.com
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。
本館
マジカ!?サイエンスで読む、ことばの研究
論文でウラ取りした科学の「マジか!?」。言語・脳・学習の研究も





