「疑問文は語尾を上げる」は半分だけ。米国の会話で What などの疑問文は8割が下げ調子

読む前に予想してみよう!
英語の疑問文は、What や Where で始まるものも含めて、ふつう語尾を上げて言う
アメリカ英語の会話200例の研究では、What などで始まる疑問文の81%が下げ調子、上げ調子は18%だった。語尾を上げるのがふつうなのは Yes/No 疑問文のほう。
- 対象
- アメリカ英語の電話の会話
- 規模
- What などの疑問文200例・Yes/No 疑問文104例と410例
- 研究の種類
- 会話の録音の分析(コーパス研究)+文法辞典
- 確かさ
- ★★★☆☆
米国の電話の会話200例で、What・Where などの疑問文は81%が語尾を下げていた。Do you〜? のような Yes/No 疑問文は9割前後が上げ調子。下げて言われた Yes/No 疑問文は、頼みごと・お知らせなど、ふつうの質問ではないものだった。
ひとことで言うとWhat や Where の質問は、ふつう最後を下げて言うよ!
もくじ
What's your name? ↗
英語の授業で「疑問文は語尾を上げる」と習った記憶がある人は多いでしょう。音読のとき、文の最後の「?」を見て声を上げた(↗)人もいるはずです。
ところが、アメリカ英語のふだんの会話を録音して、疑問文の声の上がり下がり(イントネーション)を調べた研究では、What や Where などで始まる疑問文の81%が、最後を下げていました(↘)。 語尾を上げるのが基本なのは、Yes か No で答える疑問文のほうです。しかも、会話で下げて言われた Yes/No 疑問文は、多くがふつうの「質問」ではありませんでした。
01What で始まる質問、8割は下げていた
カナダのサイモン・フレーザー大学のヘドバーグらは2010年、アメリカ英語の電話の会話から、What・Where・How などの「疑問詞」で始まる疑問文を200例集めました(「疑問詞」は what・where・when・who・why・how のように、何を知りたいかを表す言葉です)。
使ったのは、知り合いどうしの電話の録音(87例)と、知らない人どうしが決められた話題で話した電話の録音(113例)です。
研究者たちは、それまでの「疑問詞の疑問文は下げる」という説明が、実際の会話でもおおむね正しいことを確かめた、と書いています。ケンブリッジ大学出版局の文法解説も、疑問詞で始まる疑問文(wh 疑問文)では下げ調子が「とてもよくある」としています。
- Where's the nearest post office? ↘(いちばん近い郵便局はどこですか)
- What time does the film finish? ↘(映画は何時に終わりますか)
02Yes/No 疑問文は、たしかに上げる
では、Do you ...? や Is it ...? のように、Yes か No で答える疑問文はどうでしょう。こちらは、学校で習ったとおりでした。
- ヘドバーグらの2006年の研究:知り合いどうしの電話の会話から集めた104例のうち、低いところから上がる形が60.5%。似た上げ方を合わせると71%、高いところからさらに上がる形が17%
- 下げ調子はわずか7.6%(104例中8例)
- 別の研究者が、別の電話の会話の録音で数えた Yes/No 疑問文3,789例でも、下げ調子は249例、6.6% だった(ヘドバーグらが紹介)
- 2017年に410例を調べた研究でも、低いところから上がる形が「とびぬけて多い」
03下げて言われた Yes/No 疑問文は、ほとんど“質問じゃない”
では、数少ない「下げ調子の Yes/No 疑問文」は、どんなときに使われていたのでしょうか。2006年の研究に出てくる例です。
- Can we talk about the job things now? ↘(そろそろ仕事の話をしようよ)……頼みごと
- Did I tell you that I have a new job? ↘(新しい仕事が決まったんだよ)……お知らせ
- Do you agree? ↘(で、賛成なの?)……答えを強く求める、圧のある問い
会話で下げて言われた Yes/No 疑問文は、ほとんどが「本当の質問」ではありませんでした。 104例のうち下げ調子だった8例には、圧のある問い(3例)、お知らせ(2例)、頼みごと(1例)、提案(1例)がありました。Did I tell you ...? の例は、相手の答えを知りたいのではなく、ニュースを伝えるために使われていました。2017年の研究も、下げ調子の Yes/No 疑問文は少なく、出てくるときは「本当の質問」とは言えないものに分類できる、とまとめています。

04おまけ1:同じ文でも、上げるか下げるかで意味が変わる
ケンブリッジ大学出版局の文法解説には、上げ下げで意味が変わる例がいくつも出てきます。
- 付加疑問(文の最後の isn't it? のような部分):答えにかなり自信があるなら下げ、あまり自信がないなら上げる。We've met before, haven't we? ↘(前に会いましたよね)/You were at Kim's party, weren't you? ↗(キムのパーティーにいたんじゃない?)
- ふつうの文の形の質問:You went to Northbridge High School? ↗ は「たぶんそうだと思うけど自信がない」、↘ なら「まちがいないよね」の確認
- ていねいな質問:Would you like another coffee? は、いったん下げてから上げるとていねいに聞こえる
05おまけ2:ふつうの文の最後を上げるオーストラリアの話し方
逆に、質問ではない文の最後を上げる話し方もあります。1986年に発表された研究で、オーストラリアのシドニーの話し言葉を調べた研究者たちは、ふつうの文の最後を高く上げる言い方を、多くの人がよく使っていると報告しました。
- 意味は「質問」ではなく、「ここまで分かってる?」と聞き手を確かめる はたらき
- よく使うのは、10代・女性・労働者階級の人。言葉の変化が進んでいるときの典型的な広がり方
- 20年ほど前の同じ地域のデータでは、この言い方は ほとんど見られなかった
06なぜ学校では「疑問文は上げる」と教えるのか
学校の教え方は、まちがいではありません。
- Yes/No 疑問文については、会話の9割前後が上げ調子。最初に覚えるルールとしてはよくできている
- 書き言葉の「?」と結びつけると、初めて習う人にも分かりやすい
足りないのは、「What などの疑問文は下げるのがふつう」という後半です。ここを知っているだけで、英語らしさがぐっと上がります。
07テストや英作文ではどうする?
08どんでん返し:数字は「アメリカの電話の会話」のもの
ここまでの81%や6.6%は、どれも アメリカ英語の電話の会話 から出た数字です。顔を合わせた会話や、イギリス英語・オーストラリア英語で同じ割合になるかは、今回見た研究からは分かりません。
Yes/No 疑問文の上げ方も、1種類ではありません。2006年の研究では、高いところからさらに上がる形が17%ありましたが、この形の意味は1つにしぼれなかった、と研究者たち自身が書いています。上げ下げの「ルール」は、研究者にとっても単純な話ではありません。
09まとめ
「疑問文は語尾を上げる」は、Yes/No 疑問文については正解です。アメリカ英語の会話でも、9割前後が上げ調子でした。でも What・Where などで始まる疑問文は、200例中81%が下げ調子。上げるのは、聞き返すときなどです。
会話で下げて言われた Yes/No 疑問文は、「お知らせ」や「頼みごと」など、ふつうの質問ではないものがほとんどでした。 上げるか下げるかで、同じ文でも相手に伝わることが変わります。
よくある質問
英語の疑問文は語尾を上げるのですか?
Yes/No 疑問文は上げ、What などの疑問文は下げるのがふつうです。アメリカ英語の電話の会話では、What・Where などの疑問文200例の81%が下げ調子でした。Yes/No 疑問文の下げ調子は1割もありませんでした。
What や Where で始まる疑問文は上げますか、下げますか?
下げるのがふつうです。2010年の研究では200例のうち81%が下げ調子、上げ調子は18%でした。ケンブリッジの文法解説も、疑問詞で始まる疑問文では下げ調子が「とてもよくある」としています。
Do you〜? などの Yes/No 疑問文は必ず上げるのですか?
ほとんどは上げます。2006年の研究では104例のうち下げ調子は7.6%、別の録音の3,789例でも6.6%でした。ただ、上げ方には低いところから上がる形や、高いところからさらに上がる形などがあります。
Yes/No 疑問文を下げて言うとどういう意味になりますか?
多くはふつうの質問ではなくなります。会話の例では、頼みごと(Can we talk about the job things now?)、お知らせ(Did I tell you that I have a new job?)、答えを強く求める問いなどでした。
What などの疑問文を上げて言うのはどんなときですか?
聞き返すときなどです。2010年の研究では、上げ調子は、相手の話を横取りせずに背景をたずねたり、聞き取れなかったところを確かめたりするときに使われていました。例:Sorry, what time? ↗(ごめん、何時って言った?)
付加疑問の isn't it? などは上げますか、下げますか?
答えへの自信で変わります。ケンブリッジの解説では、かなり自信があって確かめたいだけなら下げ(We've met before, haven't we? ↘)、あまり自信がないなら上げます(You were at Kim's party, weren't you? ↗)。
学校で習う「疑問文は上げる」はまちがいですか?
まちがいではありません。Yes/No 疑問文は会話でも9割前後が上げ調子なので、最初に覚えるルールとしてはよくできています。足りないのは、What などの疑問文は下げるのがふつう、という後半です。
音読やスピーキングのテストではどう読めばいいですか?
基本どおりに読みましょう。Yes/No 疑問文は上げ(Are you thirsty? ↗)、What・Where・How などの疑問文は下げます(Where do you live? ↘)。What などを上げるのは、聞き返すときなどです。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerMany learners are taught that English questions rise at the end.
音声
4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
In English class, many students learn that questions go up at the end. That is only half true. Researchers studied 200 questions with words like "what" and "where" from phone calls in American English.
The voice went down at the end 81 percent of the time. Yes-no questions, like "Are you hungry?", usually went up. So say "Where do you live?" with your voice going down.
66 words ・ CEFR A2
和訳を見る
英語の授業で、多くの生徒は「疑問文は最後が上がる」と習います。それは半分だけ正しいのです。研究者たちは、アメリカ英語の電話の会話から、「what」や「where」のような言葉がある疑問文を200集めて調べました。81%で、最後に声が下がっていました。「Are you hungry?
(おなかすいた?)」のような Yes/No 疑問文は、たいてい上がっていました。だから「Where do you live?」は、声を下げて言いましょう。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
疑問文の最後で声が上がるか下がるかの話なので B。
Q2. In questions with "what" and "where," how often did the voice go down?
the voice went down at the end 81 percent of the time とあるので C。
Q3. In the passage, what does "half true" mean?
Yes/No 疑問文には当てはまるが、what などの疑問文には当てはまらない、という意味なので B。
Many learners are taught that English questions rise at the end. A team at Simon Fraser University in Canada checked this against real phone conversations in American English. Of 200 questions that began with words like "what," "where," and "how," 81 percent ended with a fall.
Only 18 percent rose, and these were often used to ask about something they had missed or to get a little more detail without taking over the conversation. Yes-no questions worked the other way. In a set of 104 such questions, only eight ended with a fall. Those eight were not ordinary questions. One of them, "Did I tell you that I have a new job?", was a way of sharing news.
118 words ・ CEFR B1
和訳を見る
多くの学習者は、英語の疑問文は最後が上がると教わる。カナダのサイモン・フレーザー大学のチームは、これをアメリカ英語の実際の電話の会話で確かめた。「what」「where」「how」のような言葉で始まる200の疑問文のうち、81%は下がって終わった。上がったのは18%だけで、それらは、聞きのがしたことをたずねたり、会話を横取りせずにもう少しくわしく聞いたりするのに使われることが多かった。
Yes/No 疑問文は逆だった。104のそうした疑問文のうち、下がって終わったのは8つだけだった。その8つは、ふつうの質問ではなかった。その1つ「Did I tell you that I have a new job?(新しい仕事が決まったって言ったっけ?)」は、ニュースを伝える方法だった。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the main idea of the passage?
wh 疑問文は81%が下がり、Yes/No 疑問文はほとんどが上がる、という内容なので B。
Q2. How many of the 104 yes-no questions ended with a fall?
In a set of 104 such questions, only eight ended with a fall. とあるので A。
Q3. What can we guess about a speaker who says "Did I tell you that I have a new job?" with a falling voice?
was a way of sharing news とあるので、ニュースを伝えたいのだと分かる。B。
Most yes-no questions in English rise at the end, and most questions beginning with "what," "where," or "how" fall. This is sometimes shortened to one simple rule: questions go up. Linguists have checked the pattern against recordings of real talk. In 2010, a team at Simon Fraser University analyzed 200 wh-questions from American telephone calls and found that 81 percent fell.
The rising ones tended to come from listeners who wanted background or a repeat of something they had missed, but did not want to take over the conversation. An earlier study by the same group looked at 104 yes-no questions. About 71 percent ended in a low rise or a close variant, while only 7.6 percent fell, and the falling ones included requests, announcements, and pushy demands such as "Do you agree?"
Rising tones are not limited to questions, either. In 1986, researchers who studied speech in Sydney reported that many Australians, especially teenagers, women, and working-class speakers, ended ordinary statements with a high rise to check that the listener was following. All of the American figures come from phone calls, so the rates could be different in face-to-face talk or in British English.
195 words ・ CEFR B2
和訳を見る
英語の Yes/No 疑問文のほとんどは最後が上がり、「what」「where」「how」で始まる疑問文のほとんどは下がる。これは「疑問文は上がる」という1つの単純なルールに縮められることもある。言語学者たちは、実際の会話の録音でこの型を確かめてきた。2010年、サイモン・フレーザー大学のチームは、アメリカの電話の会話から200の wh 疑問文を分析し、81%が下がっていることを見つけた。上がるものは、背景をたずねたい、または聞きのがしたことをもう一度聞きたいが、会話を横取りはしたくない聞き手から出てくる傾向があった。
同じグループのそれより前の研究は、104の Yes/No 疑問文を調べた。約71%が低い上昇かそれに近い形で終わり、下がったのは7.6%だけで、下がったものには、頼みごと、お知らせ、「Do you agree?(で、賛成なの?)
」のような押しの強い要求があった。上がる調子は疑問文だけのものでもない。1986年、シドニーの話し言葉を調べた研究者たちは、多くのオーストラリア人、とくに10代・女性・労働者階級の話し手が、聞き手がついてきているか確かめるために、ふつうの文を高い上昇で終えていると報告した。アメリカの数字はどれも電話の会話から出たものなので、顔を合わせた会話やイギリス英語では割合が変わるかもしれない。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
実際の会話の録音から、どの疑問文が上がり、どれが下がるかを確かめた話なので A。
Q2. According to the passage, when did rising wh-questions tend to appear?
The rising ones tended to come from listeners who wanted background or a repeat of something they had missed, but did not want to take over the conversation. とあるので B。
Q3. Why does the writer mention that the American figures come from phone calls?
the rates could be different in face-to-face talk or in British English とあるので、ほかの場面では割合が変わりうると言いたい。C。
重要単語
- intonationB2名詞声の上がり下がり、抑揚Your intonation can change the meaning of a sentence.
rising intonation「上がり調子」、falling intonation「下がり調子」。アクセント(強く言う位置)とは別のもの。 - riseB1動詞上がるYour voice should rise at the end of "Are you ready?"
rise-rose-risen。自分で上がるのが rise、何かを上げるのは raise(raise your hand)。 - fallA2動詞下がる、落ちるIn "Where do you live?", the voice falls on "live."
fall-fell-fallen。名詞で a fall「下降」。音声学では fall と rise を組み合わせて fall-rise とも言う。 - question tagB1名詞付加疑問(文末の isn't it? など)"You're Ken's brother, aren't you?" ends with a question tag.
答えにかなり自信があれば下げ調子、あまり自信がなければ上げ調子。肯定文には否定の tag、否定文には肯定の tag をつける。 - politeA2形容詞ていねいなA fall-rise can make a question sound more polite.
反対は rude(失礼な)・impolite。sound polite で「ていねいに聞こえる」。fall-rise は、いったん下げてから上げる言い方。 - clarifyB2動詞はっきりさせるCould you clarify what you mean?
clear(はっきりした)と同じ語源。名詞は clarification。聞き返しの上げ調子は、この目的で使われることが多い。 - announcementB1名詞お知らせ、発表"Did I tell you I got a new job?" can be an announcement, not a real question.
announce(知らせる)+-ment。make an announcement「発表する」。
公式・一次情報をチェック
- Intonation(Cambridge Dictionary, English Grammar Today)dictionary.cambridge.org
- Questions: statement questions(Cambridge Dictionary, English Grammar Today)dictionary.cambridge.org
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「疑問文は語尾を上げる」は半分だけ。米国の電話の会話200例で、What や Where などの疑問文は81%が下げ調子。逆に、会話で下げて言われた Yes/No 疑問文は、「お知らせ」や「頼みごと」など、ふつうの質問ではないものだった。
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出典・参考文献(5件)タップで表示
- Hedberg, N., Sosa, J. M., Görgülü, E. & Mameni, M. (2010) The prosody and meaning of wh-questions in American English, Speech Prosody 2010doi.org
- Hedberg, N., Sosa, J. M. & Fadden, L. (2006) Tonal constituents and meanings of yes-no questions in American English, Speech Prosody 2006doi.org
- Hedberg, N., Sosa, J. M. & Görgülü, E. (2017) The meaning of intonation in yes-no questions in American English: A corpus study, Corpus Linguistics and Linguistic Theory 13(2)doi.org
- Cambridge Dictionary, English Grammar Today「Intonation」「Tags」(Cambridge University Press & Assessment)dictionary.cambridge.org
- Guy, G., Horvath, B., Vonwiller, J., Daisley, E. & Rogers, I. (1986) An intonational change in progress in Australian English, Language in Society 15(1)doi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。
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