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英語のマジか!?ホント

雑誌も銃の弾倉も、英語では magazine。正体はアラビア語の「倉庫」だった

雑誌も銃の弾倉も、英語では magazine。正体はアラビア語の「倉庫」だった

読む前に予想してみよう!

英語の magazine(雑誌)は、もとは「倉庫」という意味だった

研究カード(どんな研究?)
対象
英語・仏語・西語の辞書の語源欄と1755年の英語辞書
規模
16〜18世紀の用例
研究の種類
語源調査(辞書・文献)
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

雑誌の magazine も銃の弾倉の magazine も、もとはアラビア語の「倉庫」。1731年にロンドンの雑誌が名前に使い、「読み物の倉庫」が雑誌の意味になった。フランス語の magasin は今は「お店」。

ひとことで言うと雑誌の「マガジン」は、もとは「倉庫」という意味の言葉だった!

もくじ
  1. magazine の語源は、アラビア語の「倉庫」
  2. 「知識の倉庫」が、雑誌の名前になった
  3. 銃の「マガジン」も、同じ倉庫から
  4. フランスでは「お店」、スペインでは「倉庫」。そして英語から“里帰り”
  5. おまけ:「アーセナル」も「関税」も、アラビア語から
  6. どんでん返し:アメリカの標語は、この雑誌から?
  7. まとめ

本屋さんに並ぶ「マガジン」と、映画やゲームで聞く銃の「マガジン(弾倉)」。英語ではどちらも magazine という、まったく同じ単語です。

なぜ、雑誌と弾倉が同じ名前なのか。答えは語源にあります。magazine のもとは、アラビア語で「倉庫」という意味の言葉です。

しかもこの単語、フランスに行くと magasin というつづりで、今は「お店」の意味で使われています。

01magazine の語源は、アラビア語の「倉庫」

アメリカの辞書 American Heritage Dictionary(AHD)の語源欄をまとめると、magazine は次の道をたどって英語に入りました。

  • アラビア語 makhzan(倉庫)。その複数形が makhāzin。もとは khazana(たくわえる)という動詞
  • → イタリア語 magazzino(AHD は「イタリア語を通った可能性がある」と書く)
  • → フランス語 magasin(倉庫)
  • → 英語 magazine

Dictionary.com によると、英語で記録に現れるのは1575〜85年ごろ。最初の意味は、雑誌ではなく「倉庫」でした。とくに、とりでや軍艦で弾薬をしまっておく部屋のことです。この意味は今も辞書に残っていて、Oxford Learner's Dictionaries には「武器・爆発物・弾丸をしまう部屋や建物」と載っています。

02「知識の倉庫」が、雑誌の名前になった

では、倉庫がどうして雑誌になったのでしょう。

Oxford Learner's Dictionaries の語源欄によると、magazine は17世紀の半ばから、ある分野の人に役立つ情報を集めた本の題名によく使われるようになりました。いわば「知識の倉庫」です。Dictionary.com も、本の題名に使われたのは1640年ごろから、と書いています。

そして1731年。ロンドンの印刷業者エドワード・ケイヴ(Edward Cave)が、定期的に出す読み物集に The Gentleman's Magazine という名前をつけました(Dictionary.com は、定期刊行物の題名に使われた例として、この1731年の雑誌を挙げています)。

ひとつの雑誌の名前が、そのまま「雑誌」という意味の普通の単語になったわけです。

03銃の「マガジン」も、同じ倉庫から

雑誌が「読み物の倉庫」なら、銃のマガジンは「弾の倉庫」です。

Oxford Learner's Dictionaries の語源欄では、「武器や弾薬をしまう部屋」という意味から、18世紀の半ばに「銃の弾を込めておく部分」の意味が生まれた、と説明しています。雑誌の意味が広まったのも、同じ18世紀の半ばです。雑誌と弾倉は、同じ「倉庫」から同じころに枝分かれした兄弟のような意味なのです。

AHD で magazine を引くと、今の意味がこれだけ並んでいます(かっこ内は使い方の例)。

  • 雑誌(a fashion magazine)
  • テレビの情報番組。いろいろな話題を扱う番組(a news magazine program)
  • 弾薬庫(a powder magazine)
  • 銃の弾倉(a spare magazine)
  • カメラのフィルムを入れておく部分

どれも「何かをためておく入れ物」と考えると、一本の線でつながります。

magazine の最初の意味は「倉庫」。とくに、とりでや軍艦で弾薬をしまう部屋のことだった
magazine の最初の意味は「倉庫」。とくに、とりでや軍艦で弾薬をしまう部屋のことだった

04フランスでは「お店」、スペインでは「倉庫」。そして英語から“里帰り”

同じアラビア語の「倉庫」は、ほかのヨーロッパの言葉にも入っています。

  • フランス語 magasin:今の意味は「お店」。grand magasin(大きな店)で「デパート」。Cambridge Dictionary(ウェブ版)に載っている仏英辞典は、magasin の訳に store・shop と並べて、銃の magazine(弾倉)も挙げている
  • スペイン語 almacén:スペイン王立アカデミーの辞書によると、品物をしまう「倉庫」。アラビア語の almakhzán から。複数形の grandes almacenes で「デパート」

フランス語にはもう一つ、おまけがあります。ケベック州の公的機関「フランス語局」によると、16世紀に英語がフランス語から magasin を借りて magazine に変え、およそ200年後、今度はフランス語が「雑誌」の意味の magazine を英語から借り直しました。フランス語では今、magasin は「お店」、magazine は「雑誌」。同じ言葉が、英語を回って意味を変えて戻ってきたのです。

05おまけ:「アーセナル」も「関税」も、アラビア語から

magazine のように、アラビア語がイタリア語などを通って英語に入った言葉は、身近なところにもあります。AHD の語源欄で確かめたものを3つ。

  • arsenal(兵器工場・兵器庫):イタリア語 arsenale から。もとはアラビア語の dār aṣ-ṣināʿa、「ものを作る家」。サッカーのアーセナルは、公式サイトによると、1886年の終わりにウリッジ(ロンドン南東部)の兵器工場の工員たちが作ったチーム。最初の名前は Dial Square で、まもなく Royal Arsenal と名乗った
  • tariff(関税):イタリア語 tariffa から。もとはアラビア語 taʿrīf、「知らせること」。動詞 ʿarafa(知る)につながる
  • admiral(海軍大将):アラビア語 amīr(司令官)から。「首長」を表す emir と同じ言葉。後ろの -al の部分の説明は、AHD でも2通りの説が並んでいる

06どんでん返し:アメリカの標語は、この雑誌から?

The Gentleman's Magazine には、もう一つ話があります。

アメリカの国章(Great Seal。国の公式の印)には、ラテン語の標語 E Pluribus Unum(多数から一つへ)が入っています。アメリカ国務省の冊子は、「最近の研究」が指摘する出どころとして The Gentleman's Magazine を挙げています。この雑誌はアメリカの植民地でも教養のある人たちによく読まれていて、その扉のページ(表紙をめくった最初のページ)に同じ標語が刷られていたからです。

ただし、国務省の書き方は「おそらく(probable)」「影響した可能性は十分ある(quite possible)」まで。国章を考えた人たちがこの雑誌から取ったという、はっきりした記録は示されていません。しかもこの冊子は、雑誌の刊行期間を「1732年から1922年」と書いていて、辞書の「1731年」とずれています。

語源の道すじにも、辞書によって書き方の差があります。AHD はイタリア語を通ったのは「可能性がある」とし、Dictionary.com と Oxford Learner's Dictionaries はイタリア語の magazzino を通ったと書いています。

07まとめ

アラビア語の「倉庫」は、イタリア語・フランス語を通って英語の magazine になりました。弾薬の倉庫からは銃の弾倉が、「読み物の倉庫」からは雑誌が生まれました。その「雑誌」の意味は、1755年の辞書では「最近の新しい使い方」でした。

次に雑誌を手に取ったら、表紙の向こうに「倉庫」の扉があると思ってみてください。フランスのお店(magasin)も、スペインのデパート(grandes almacenes)も、その倉庫の親せきです。

この研究を英語で読もう原田英語の English Corner"Magazine" came into English in the late 16th century from French "magasin," and before that from an Arabic… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

"Magazine" came into English in the late 16th century from French "magasin," and before that from an Arabic word for a storehouse. Its first meaning was a place where goods were kept, especially a room in a fort or on a warship where gunpowder and weapons were stored. From the middle of the 17th century, writers used the word in the titles of books that collected useful information.

Then, in 1731, a London printer named Edward Cave called his own collection of articles "The Gentleman's Magazine." When Samuel Johnson published his dictionary in 1755, he wrote that the word had "of late" come to mean this kind of publication. The weapons sense also grew, and it gave us the part of a gun that holds cartridges.

126 words ・ CEFR B1

和訳を見る

「magazine」は16世紀の終わりにフランス語の「magasin」から英語に入った。さらにさかのぼると、倉庫を表すアラビア語の言葉に行き着く。最初の意味は物をしまっておく場所で、とくにとりでや軍艦の中の、火薬や武器をしまう部屋だった。17世紀の半ばからは、役に立つ情報を集めた本の題名にこの語が使われるようになった。

そして1731年、ロンドンの印刷業者エドワード・ケイヴが、自分の読み物集を「The Gentleman's Magazine」と名づけた。1755年に辞書を出したサミュエル・ジョンソンは、この語が「最近」この種の出版物を意味するようになったと書いた。武器の意味も広がり、銃の弾薬を入れておく部分の意味が生まれた。

4択リーディングクイズ

Q1. What was the first meaning of "magazine" in English?

Q2. Who called his collection of articles "The Gentleman's Magazine"?

Q3. What can we learn from Johnson's dictionary of 1755?

重要単語

  • magazineA2
    名詞雑誌;(銃の)弾倉;弾薬庫I bought a magazine about soccer at the station. もとはアラビア語の「倉庫」。発音はアメリカ英語で「マガズィーン」と頭を強く言うことが多い。
  • storehouseB2
    名詞倉庫;(知識などの)宝庫The old library is a storehouse of local history. store(たくわえる)+house。a storehouse of knowledge「知識の宝庫」のようにたとえでも使う。
  • periodicalC1
    名詞定期刊行物(雑誌など)The library keeps many science periodicals. period(期間)+-ical。形容詞では「定期的な」。図書館の「定期刊行物コーナー」は periodicals section。
  • ammunitionB2
    名詞弾薬The soldiers kept their ammunition in a dry room. 数えられない名詞。たとえで「(議論の)材料、攻撃の種」の意味にもなる。
  • borrowA2
    動詞借りる;(言葉を)取り入れるEnglish borrowed many words from French. 言葉を借りることも borrow で言える。借りてきた語は loanword(借用語)。
  • tariffB2
    名詞関税The government put a new tariff on imported cars. もとはアラビア語の「知らせること」。put / impose a tariff on ~「~に関税をかける」。ニュースの頻出語。
  • arsenalC1
    名詞兵器庫、兵器工場;(たくわえの)数々She has an arsenal of tricks for remembering new words. もとはアラビア語の「ものを作る家」。たとえで「手持ちの武器、レパートリー」の意味でも使う。
雑誌も、銃の弾倉も、英語ではどちらも magazine。もとはアラビア語で「倉庫」。1731年にロンドンの雑誌がこの名前を使い、1755年の英語辞書には「最近は雑誌の意味にも使う」と書かれた。フランスで magasin と言えば今は「お店」。

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出典・参考文献(8件)タップで表示
  1. The American Heritage Dictionary「magazine」「arsenal」「tariff」「admiral」ahdictionary.com
  2. Dictionary.com「magazine」(Origin of magazine)dictionary.com
  3. Oxford Learner's Dictionaries「magazine」(Word Origin)oxfordlearnersdictionaries.com
  4. Johnson, Samuel (1755) A Dictionary of the English Language, Vol. 2「Magazine」(Wellcome Collection 所蔵本のスキャン)archive.org
  5. Office québécois de la langue française「Prononciation de magazine」Banque de dépannage linguistiquevitrinelinguistique.oqlf.gouv.qc.ca
  6. Cambridge Dictionary French–English「magasin」dictionary.cambridge.org
  7. Real Academia Española「almacén」Diccionario de la lengua españoladle.rae.es
  8. U.S. Department of State「The Great Seal of the United States」(冊子)diplomacy.state.gov

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