literally で“盛る”のは誤用? 1769年から例があり、1909年の辞書にも載っていた

読む前に予想してみよう!
literally を誇張に使うのは、SNS時代に生まれた新しい誤用だ
メリアム・ウェブスターによると誇張の literally の用例は1769年までさかのぼり、ディケンズやジョイスも使っていた。
- 対象
- 英語の文学作品・辞書の記述
- 規模
- 1769年〜現代の用例
- 研究の種類
- 歴史的な用例調査・辞書編纂
- 確かさ
- ★★★★☆
I literally died. のような誇張の literally は1769年から例があり、ディケンズも使用。1909年の辞書にも載ったが、嫌う人も多い。
ひとことで言うと「文字どおり」で話を盛るのは、250年以上前からある英語だった!
I literally died.(文字どおり死んだ)
英語圏のSNSでよく見るこの一文。もちろん本当に死んだわけではなく、「笑いすぎて死ぬかと思った」「恥ずかしすぎて消えたかった」という意味です。
これに「literally は“文字どおり”って意味でしょ! 死んでないじゃん!」とツッコむ人は少なくありません。では、literally で話を盛るのは、最近の若者の誤用なのでしょうか。調べてみると、この“盛る literally”は250年以上前からあり、ディケンズも使っていたのです。
01本来の意味は「文字どおりに」
まずは基本から。literally は literal(文字どおりの)に -ly をつけた副詞です。オックスフォード英語辞典(OED)によると、最古の例は1429年ごろの文献にあります。
本来の使い方は、たとえばこうです。
- The term "Mardi Gras" literally means "Fat Tuesday" in French.(「マルディグラ」はフランス語で文字どおり「太った火曜日」という意味だ)
- He took the remark literally.(彼はその発言を真に受けた)
「たとえ話ではなく、ことばの意味そのまま」と念を押す働きです。ここまでは、だれも文句を言いません。
021769年からあった“盛る literally”
問題は、本当はありえないことに literally をつける使い方。アメリカの辞書メリアム・ウェブスターは、これを「in effect(事実上); virtually(ほとんど)」という意味として載せ、例文に I literally died of embarrassment.(恥ずかしくて死にそうだった)を挙げています。
19世紀の作家サッカレーは、1847年10月30日の雑誌『Punch』にこう書いています。
「I literally blazed with wit.」(私は文字どおり機知で燃えあがっていた)
もちろん本当に燃えていたわけではありません。「盛る literally」は、文豪たちのお墨付きの英語だったわけです。
メリアム・ウェブスターの解説動画によると、流れはもっと前から始まっていました。ディケンズより前の詩人ドライデンやポープは、もともと文字どおりの意味の表現を強めるために literally を使っていました。ディケンズは、その強調語を比喩の表現の前にそのまま置いたのです。

03辞書は1909年にもう載せていた
「最近、辞書が literally の意味を変えた!」という怒りの声に、メリアム・ウェブスターは記事で反論しています。同社の1909年の大辞典は、すでに literally について「しばしば誇張して使われる」と書き、例として he literally flew(彼は文字どおり飛んだ)を挙げていたのです。
ほかの辞書も同じです。
- OED:2011年9月に改訂された項目で、くだけた用法として「比喩や誇張の表現を、いちばん強い意味で受け取らせる」使い方を載せている
- ケンブリッジ英語辞典:「informal(くだけた言い方)」と注記したうえで、「言っていることを強調する」意味を載せ、He missed that kick literally by miles.(そのキックは文字どおり何マイルも外れた=大きく外れた)を例にあげている
OEDの推計では、書き言葉での literally の出現頻度は、1750年に100万語あたり約8回だったのが、2000年代には約20回。この250年で2.5倍に増えています(意味ごとの内訳ではなく、全体の数です)。
04どんでん返し:「誤用じゃない」は「どこでもOK」ではない
では、literally で盛るのは完全にセーフかというと、そうとも言い切れません。
メリアム・ウェブスターは、自社やOEDなど記事で取り上げた辞書はどれも、この使い方に「広く嫌われている」という注意書きをつけている、と認めています。同社の注記も、誇張で強調したいだけの使い方で、強調がいらない場面でも使われがちだと指摘しています。動画の解説でも、誇張は扱いに注意が必要で、聞き手が誇張だと気づかないこともある、と釘を刺しています。
一方で、反対派の「literally が正反対の figuratively(比喩的に)の意味になった」という言い分も、正確ではありません。メリアム・ウェブスターは、この意味は figuratively とまったく同じではないと説明しています。literally は「比喩的に」になったのではなく、「マジで・ほんとに」という強調語になったと考えるとわかりやすいでしょう。
実は、同じ道をたどった先輩がいます。very です。メリアム・ウェブスターの語源によると、very はラテン語の verus(本当の)にさかのぼる語で、形容詞として「本当の」、副詞として「本当に」の意味で使われていました。それが今では「とても」の代表選手です。
強調語の入れ替わりは、今も続いています。イトウ(Ito)とタリアモンテ(Tagliamonte)が2003年に発表した研究では、ある地域社会の話しことばのデータで、形容詞4,019例のうち24%に強調語がついていました。年配の人には very が多く、若い世代では really が急増。古い強調語も消えずに残っていました。
05まとめ
literally で話を盛るのは、SNSが生んだ新しい誤用ではなく、1769年から例がある英語でした。辞書は100年以上前から載せています。
ただし、嫌う人がいるのも事実。友だちとの会話では I literally died! と思いきり盛って、レポートや入試の英作文では really を選ぶ。そんな使い分けができれば、あなたの英語は一段上です。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerThe word "literally" first meant "in a literal way," and it still does, as in "Mardi Gras literally means…
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4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
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Some people say, "I literally died!" They did not really die. They mean that something was very funny or very embarrassing.
The word "literally" first meant "in a true and exact way." Many people think the new use is wrong.
But it is not new. A big American dictionary has found examples from 1769. Charles Dickens used it too. But some readers do not like it, so it is better for chats with friends than for school essays.
78 words ・ CEFR A2
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「I literally died!(文字どおり死んだ!)」と言う人がいます。
本当に死んだわけではありません。何かがとてもおかしかった、またはとても恥ずかしかったという意味です。「literally」という語はもともと「本当に、正確に(文字どおりに)」という意味でした。
多くの人はこの新しい使い方を間違いだと思っています。でも、それは新しくありません。アメリカの大きな辞書は1769年の例を見つけています。チャールズ・ディケンズも使いました。でも、嫌う読み手もいるので、学校の作文より友だちとのおしゃべりに向いています。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
literally を誇張に使う用法が実は古い、という話なので B。
Q2. When is the oldest example from the dictionary?
A big American dictionary has found examples from 1769. とあるので B。
Q3. In the passage, what does "embarrassing" mean?
funny と並んで「恥ずかしい」気持ちを表す語。shy or silly と感じさせる、の A が正解。
The word "literally" first meant "in a literal way," and it still does, as in "Mardi Gras literally means 'Fat Tuesday' in French." But people also use it to make a statement stronger, even when the statement cannot be true. "I literally died of embarrassment" is a common example. Critics call this a modern mistake, yet Merriam-Webster has found examples from 1769.
Charles Dickens, Charlotte Brontë and James Joyce all used it. The dictionary also points out that its own 1909 edition already said the word was "often used hyperbolically." Even so, several major dictionaries add a note that many people dislike this use. A good rule for learners is to enjoy it in casual talk and choose "really" in formal writing.
122 words ・ CEFR B1
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「literally」という語はもともと「文字どおりに」という意味で、「マルディグラはフランス語で文字どおり『太った火曜日』という意味だ」のように、今もその意味で使われる。しかし人々は、内容が本当ではありえないときでも、発言を強めるためにこの語を使う。「I literally died of embarrassment(恥ずかしくて文字どおり死んだ)」がよくある例だ。批判する人はこれを現代の誤りと呼ぶが、メリアム・ウェブスターは1769年の例を見つけている。
チャールズ・ディケンズ、シャーロット・ブロンテ、ジェイムズ・ジョイスはみな使っていた。この辞書はまた、自社の1909年版がすでにこの語は「しばしば誇張して使われる」と書いていたことも指摘している。それでも、いくつかの主要な辞書は、この使い方を嫌う人が多いという注記をつけている。学習者にとってよいルールは、くだけた会話では楽しんで使い、改まった文章では「really」を選ぶことだ。
4択リーディングクイズ
Q1. What do critics say about the exaggerated use of "literally"?
Critics call this a modern mistake とあるので A。
Q2. What did Merriam-Webster's 1909 edition say about "literally"?
its own 1909 edition already said the word was "often used hyperbolically" とあるので B。
Q3. What does the writer advise learners to do?
enjoy it in casual talk and choose "really" in formal writing とあるので C。
In 1847, the novelist W. M. Thackeray wrote in Punch magazine, "I literally blazed with wit." No reader thought the speaker had caught fire. This exaggerated "literally" annoys many modern readers, who say the word now means the opposite of its original sense.
The history does not support the claim that it is new. Merriam-Webster traces the use to 1769 and lists Dickens, Twain, Charlotte Brontë, Joyce and F. Scott Fitzgerald among its users. Its 1909 unabridged dictionary already noted the hyperbolic use, and the Oxford English Dictionary, in an entry revised in 2011, labels it colloquial.
The critics have half a point. Several major dictionaries attach usage notes saying the sense is widely disliked, and listeners may miss the exaggeration. But the word has not turned into "figuratively." It works as an intensifier, much like "very," which comes from the Latin word for "true."
Studies of everyday speech show how quickly the favorite intensifier can change. In one community studied by Rika Ito and Sali Tagliamonte, 24 percent of 4,019 adjectives carried an intensifier. "Very" was most common only among older speakers, while "really" rose sharply among the youngest.
190 words ・ CEFR B2
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1847年、小説家W・M・サッカレーは雑誌『パンチ』に「私は文字どおり機知で燃えあがっていた」と書いた。語り手が本当に燃えていると思った読者はいない。この誇張の「literally」は現代の多くの読み手をいらだたせ、彼らはこの語が今や元の意味と正反対の意味になっていると言う。
歴史は、それが新しいという主張を支持しない。メリアム・ウェブスターはこの用法を1769年までさかのぼり、使い手としてディケンズ、トウェイン、シャーロット・ブロンテ、ジョイス、F・スコット・フィッツジェラルドをあげている。同社の1909年の大辞典はすでに誇張の用法に言及しており、オックスフォード英語辞典も2011年に改訂された項目で、これを口語的な用法と表示している。
批判する側にも一理はある。いくつかの主要な辞書は、この意味が広く嫌われていると述べる語法注記をつけているし、聞き手が誇張に気づかないこともある。しかし、この語は「figuratively(比喩的に)」になったわけではない。「very」と同じように強調語として働いているのだ。very は「本当の」を意味するラテン語から来ている。
日常の話し言葉の研究は、よく使われる強調語がいかに速く入れ替わりうるかを示している。リカ・イトウとサリ・タリアモンテが調べたある地域社会では、形容詞4,019例の24%に強調語がついていた。「very」がいちばん多いのは年配の話し手に限られ、最も若い世代では「really」が急増していた。
4択リーディングクイズ
Q1. Why does the writer mention Thackeray's sentence from 1847?
1847年のサッカレーの例から始めて、The history does not support the claim that it is new. と続けているので A。
Q2. According to the passage, what did Ito and Tagliamonte find?
24 percent of 4,019 adjectives carried an intensifier とあるので B。この研究は literally を主題にしたものではない。
Q3. What does the writer mean by "The critics have half a point"?
直後に、辞書が「広く嫌われている」と注記していることや、聞き手が誇張に気づかないことがあると述べているので、「一部は正しい」の B。
重要単語
- literallyB2副詞文字どおりに;(くだけて)本当に、まさにDon't take his words literally.
take ~ literally は「〜を真に受ける」。誇張の用法はメリアム・ウェブスターによると1769年から例がある。 - figurativelyC1副詞比喩的にShe was speaking figuratively, not about a real fire.
figure(姿・形)から。literally と対で覚える。figurative language は「比喩表現」。 - exaggerateB2動詞大げさに言う、誇張するHe tends to exaggerate when he tells stories.
つづりは g が2つ。名詞は exaggeration。 - hyperboleC1名詞誇張法、大げさな表現"I've told you a million times" is an example of hyperbole.
発音は「ハイパーボリー」。末尾の -e も読む。形容詞は hyperbolic。 - intensifierC1名詞強調語(very, really など)"Really" is one of the most common intensifiers.
intensify(強める)+-er。very もラテン語の「本当の」から強調語になった。 - usageB2名詞語法、ことばの使い方Dictionaries add usage notes to tricky words.
use の名詞形のひとつ。usage note は辞書の「語法注記」。 - colloquialC1形容詞口語の、話し言葉のThis word is colloquial, so avoid it in formal essays.
col-(ともに)+loqui(話す)。辞書では colloq. と略される。
動画でもっと知る
動画は各チャンネルの公式埋め込みで表示しています(YouTube)。
公式・一次情報をチェック
- How 'Literally' is Used in Literature(Merriam-Webster の動画)merriam-webster.com
- 「very」の語源(Merriam-Webster)merriam-webster.com
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I literally died.(文字どおり死んだ)と話を盛るのは誤用? 米メリアム・ウェブスターによると用例は1769年からあり、ディケンズやジョイスも使用。1909年の辞書にも載っていた。
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出典・参考文献(5件)タップで表示
- Merriam-Webster「Did we change the definition of 'literally'?」merriam-webster.com
- Merriam-Webster「literally」(Usage Guide)merriam-webster.com
- Oxford English Dictionary (2023) literally, adv.(2011年9月改訂)doi.org
- Cambridge Dictionary「literally」dictionary.cambridge.org
- Ito & Tagliamonte (2003) Well weird, right dodgy, very strange, really cool: Layering and recycling in English intensifiers, Language in Society 32(2)doi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。
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