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英語のマジか!?

「irregardless」は“間違い英語”なのに辞書に載っている。最古の例は1795年の新聞

「irregardless」は“間違い英語”なのに辞書に載っている。最古の例は1795年の新聞

読む前に予想してみよう!

irregardless は、最近インターネットで生まれた新しい言葉だ

研究カード(どんな研究?)
対象
英語の辞書の記述と語法調査
規模
OEDの用例(1795年〜)、AHD語法パネル調査(2012年)
研究の種類
辞書の用例・頻度調査+専門家の容認度調査
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

否定が2回重なる irregardless。米国の辞書に「非標準」として載り、OEDの最古の例は1795年。でも2012年の調査では、言葉の使い方を判定する専門家の90%が、この語を使った例文を「認められない」と答えた。

ひとことで言うと「まちがい英語」と言われる単語も、辞書にはちゃんと載っているんだって!

もくじ
  1. irregardless の意味は? regardless と同じ
  2. 辞書に載っている=「正しい」ではない
  3. いつからある? 辞書によって答えがちがう
  4. ir- が「否定」になっていない?
  5. 日本語にもある「馬から落馬」
  6. どんでん返し:200年たっても「合格」にはならない
  7. まとめ

Irregardless of the weather, we're going to the beach.

「天気がどうであれ、海に行くよ」。この文の irregardless は、英語の原稿を直すプロ(校正係)が、ほぼ必ず赤ペンを入れる単語です。「そんな単語はない!」と言う人までいます。

ところが、アメリカのメリアム・ウェブスター辞典を引くと、irregardless はちゃんと見出し語として載っています。オックスフォード英語辞典(OED)によると、いちばん古い例は1795年のアメリカの新聞。200年以上前からある言葉なのです。

01irregardless の意味は? regardless と同じ

まず意味から。メリアム・ウェブスター辞典は、irregardless の意味を「regardless」と一言で説明し、「nonstandard(非標準)」という印をつけています。ケンブリッジ辞典も、アメリカ英語で「not standard(標準的でない)」としています。

意味は regardless と同じ「〜にかかわらず、〜に関係なく」です。

  • Regardless of the weather, the game will go on.(天気に関係なく、試合は行われる)
  • Irregardless of what you think, I'm going.(君がどう思おうと、ぼくは行く)※非標準

では、なぜ嫌われるのでしょう。分解してみると分かります。

  • ir-:「〜でない」(irregular=不規則な、のような否定の接頭辞)
  • regard:「注意、考慮」
  • -less:「〜がない」(careless=不注意な)

regardless だけで「考慮がない=関係なく」。そこにさらに否定の ir- をつけると、否定が2回になります。アメリカン・ヘリテージ英語辞典(AHD)も、多くの批評家が「ir- が -less の否定をくり返している、むだな重複だ」と文句を言ってきたと書いています。

02辞書に載っている=「正しい」ではない

メリアム・ウェブスター辞典は、「irregardless は単語なのか?」という質問に、こう答えています。

答えは「イエス」。好きな言葉ではないかもしれないし、レポートには使わないかもしれない。それでも irregardless は、200年近く使われ、広い地域の大勢の人が、いつも同じ意味で使ってきた。だから自社も、ほかのほとんどの現代英語の辞書も、この語を定義している――という説明です。

そして、こう付け加えています。「定義することは、使ってよいと勧めることではない」。

ちなみに、同辞典がつけている印は「slang(俗語)」ではなく「nonstandard(非標準)」。教育を受けたネイティブスピーカーがふつう使う言い方に合っていない、という意味です。

メリアム・ウェブスター辞典は irregardless を「非標準」の印つきで載せている。「定義は推薦ではない」というのが辞書の立場だ
メリアム・ウェブスター辞典は irregardless を「非標準」の印つきで載せている。「定義は推薦ではない」というのが辞書の立場だ

03いつからある? 辞書によって答えがちがう

「irregardless はいつ生まれたか」は、辞書によって答えがばらばらです。

つまり、irregardless は「最近の若者の言い間違い」ではありません。少なくとも18世紀の終わりから使われてきた言葉なのです。

04ir- が「否定」になっていない?

メリアム・ウェブスター辞典は、irregardless の ir- は否定ではなく、意味を強める働きをしているようだ、と説明しています。そして、同じような ir- つきの珍しい語として、irremediless(=remediless、救いようのない)、irresistless(=resistless、抵抗できない)などをあげています。

「否定に見えて否定でない接頭辞」は、ほかにもあります。

  • inflammable(燃えやすい):AHD によると、意味は flammable と同じ。この in- は否定ではなく、ラテン語の前置詞 in(中に)から来ている。inflame(火をつける)の in- と同じ
  • ところが「燃えない」と勘違いする人がいるので、AHD は flammable を使うのがいちばん安全だとしています

Flammable と inflammable は同じ意味。英語の接頭辞は、見た目だけでは判断できないのです。

05日本語にもある「馬から落馬」

同じ意味の言葉を重ねてしまうのは、英語だけではありません。日本語では、これを「重言(じゅうごん・じゅうげん)」と呼びます。

『日本国語大辞典』は重言の例として、「後の後悔」「被害を被る」「犯罪を犯す」などをあげています。デジタル大辞泉には「馬から落馬する」も出てきます。irregardless は、英語版の「馬から落馬」と考えると分かりやすいかもしれません。

06どんでん返し:200年たっても「合格」にはならない

では、200年以上の歴史があるなら、もう使ってもいいのでしょうか。答えは「まだダメ」です。

AHD には「語法パネル」と呼ぶ、約200人の専門家(学者・作家・ジャーナリストなど)のグループがあり、言葉の使い方を毎年のアンケートでたずねてきました。調査が始まって以来、irregardless はずっと強く嫌われてきました。2012年には、irregardless を使った例文を、専門家の90%が「認められない」と答えています。

AHD は、irregardless を使う人がいる以上、広い意味では「単語」であることは疑いないとしつつも、標準英語として認められたことは一度もなく、原稿の校正係はほぼ必ず regardless に直すと書いています。メリアム・ウェブスター辞典も、批判されたくなければ regardless を使うように勧めています。

辞書に載ることと、「正しい英語」として認められることは、まったく別の話なのです。

07まとめ

irregardless は、否定が2回重なった「間違い英語」の代表です。それでも、OED によれば1795年から使われ、メリアム・ウェブスター辞典などにも「非標準」として載っています。

ただし、辞書に載っていることは「使ってよい」という意味ではありません。2012年の調査でも、専門家の9割が認めませんでした。テストやメールでは regardless を。そして、誰かが irregardless と言ったら、「それ、1795年からある言葉だよ」と教えてあげられます。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerMany people get annoyed when they hear "irregardless." The word means the same as "regardless," but it has… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Many people get annoyed when they hear "irregardless." The word means the same as "regardless," but it has two negative parts, "ir-" at the front and "-less" at the end.

Because of this, critics often say it isn't a real word. Dictionaries see it differently. Merriam-Webster lists it with the label "nonstandard" and explains that defining a word is not the same as approving of it. The word is also older than most people think.

The Oxford English Dictionary's earliest example comes from a newspaper in Charleston, South Carolina, in 1795. Even so, it has never been accepted in standard English. In tests, essays, and work emails, it is safer to write "regardless."

113 words ・ CEFR B1

和訳を見る

多くの人は「irregardless」を聞くといらっとする。この語は「regardless」と同じ意味だが、前に「ir-」、後ろに「-less」と、否定の部分が2つある。

そのため、批判する人はよく「本当の単語ではない」と言う。辞書の見方は違う。メリアム・ウェブスター辞典はこの語を「非標準」という表示つきで載せ、単語を定義することは、それを認めることと同じではないと説明している。この語はまた、多くの人が思うより古い。

オックスフォード英語辞典の最古の例は、1795年のサウスカロライナ州チャールストンの新聞から来ている。それでも、この語は標準英語として認められたことは一度もない。テストや作文、仕事のメールでは「regardless」と書くほうが安全だ。

4択リーディングクイズ

Q1. Why do critics say "irregardless" is not a real word?

Q2. What does Merriam-Webster say about defining a word?

Q3. What is the writer's advice?

重要単語

  • regardlessB2
    副詞(〜に)かかわらず、関係なくRegardless of the weather, the game will go on. regardless of +名詞 の形が基本。regard(考慮)+-less(〜がない)。irregardless ではなくこちらを使う。
  • nonstandardC1
    形容詞標準的でない、規範から外れたSome dictionaries mark "irregardless" as nonstandard. 辞書の語法ラベル。slang(俗語)とは別で、「教育を受けた話し手がふつう使う形に合わない」という意味。
  • prefixB1
    名詞接頭辞"Un-" and "ir-" are prefixes that often mean "not." pre-(前に)+fix(つける)。ir- は r で始まる語につく否定の形(irregular, irresponsible)。
  • suffixB1
    名詞接尾辞The suffix "-less" means "without." -less の例:careless(不注意な)、homeless(家のない)、endless(終わりのない)。
  • redundantC1
    形容詞余分な、重複した"Free gift" sounds a little redundant. 同じ意味を重ねる「馬から落馬」のような言い方を指す。イギリス英語では「(人員整理で)解雇された」の意味もある。
  • irrespective ofC1
    熟語〜に関係なくThe prize is open to everyone, irrespective of age. regardless of より改まった言い方。irregardless の材料になったとされる語の1つ。
  • flammableB2
    形容詞燃えやすい、可燃性のKeep flammable liquids away from the stove. inflammable も同じ意味(in- は否定ではない)。誤解を避けるため、表示には flammable を使うのが安全。
irregardless(〜にかかわらず)は否定の ir- と -less が両方つく“間違い英語”。でも米国の辞書は「非標準」として載せていて、OEDの最古の例は1795年の新聞。それでも2012年、米国の辞書の専門家パネルの90%が「認められない」と答えた。

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出典・参考文献(7件)タップで表示
  1. Merriam-Webster.com Dictionary「irregardless」(2026年1月11日の保存版)web.archive.org
  2. The American Heritage Dictionary of the English Language, 5th ed.「irregardless」(Usage Note)ahdictionary.com
  3. Oxford English Dictionary (2023) irregardless, adj. & adv.doi.org
  4. Cambridge Dictionary「irregardless」dictionary.cambridge.org
  5. The American Heritage Dictionary of the English Language, 5th ed.「flammable」(Usage Note)ahdictionary.com
  6. The American Heritage Dictionary「The Usage Panel」ahdictionary.com
  7. 精選版 日本国語大辞典「重言(じゅうごん)」(小学館、コトバンク掲載)kotobank.jp

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