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日本語のマジか!?ホント

「かまぼこ」は最初、今の「ちくわ」の形だった。名前の由来は“ガマの穂”

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モーション・イメージ

読む前に予想してみよう!

板にのった今の形のかまぼこが先にあり、ちくわは後からできた

研究カード(どんな研究?)
対象
日本の古い料理書・記録と、国語辞典・百科事典の記述
規模
1275年〜明治の用例
研究の種類
文献にもとづく語源の記述(辞典・事典)
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

かまぼこは室町時代、すり身を竹に塗って焼いた筒形で、形がガマの穂に似ていたのが名の由来。板付きが広まり、元の形は「ちくわ」と呼ばれるようになった。

ひとことで言うと昔の「かまぼこ」は、竹にすり身をぬって焼いた、今のちくわの形だった!

もくじ
  1. 「蒲鉾」の語源は、水辺の草「ガマの穂」
  2. 室町時代の本では、正式な材料は「コイ」や「ナマズ」
  3. 板付きが広まり、元祖のほうが「ちくわ」に
  4. 漱石は「竹輪の出来損ない」と書いた
  5. 英語で「かまぼこ」は?
  6. どんでん返し:「いつ、どこで始まったか」は分からない
  7. まとめ
  8. よくある質問

おでんの鍋に、ちくわとかまぼこが並んでいます。穴のあいた筒形がちくわ、板にのった半月形がかまぼこ。だれでも見分けられますね。

ところが、最初に「かまぼこ」と呼ばれたのは、今のちくわの形のほうでした。

小学館の『日本国語大辞典』によると、かまぼこは室町時代に、魚のすり身を竹に塗りつけて焼いたのが始まりです。その形や色が「蒲(がま)の穂」に似ていたので、この名前がつきました。板にのったかまぼこは、あとから出てきた“新顔”だったのです。

01「蒲鉾」の語源は、水辺の草「ガマの穂」

「かまぼこ」を漢字で書くと「蒲鉾」。蒲(がま)は、池や沼のふちに生える背の高い草です。夏になると、茎の先にこげ茶色の細長い穂をつけます。

『日本国語大辞典』を引くと、「かまぼこ」の第一の意味は食べ物ではなく、このガマの穂そのものです。穂の形が武器の鉾(ほこ)に似ているので「蒲の鉾」。鎌倉時代の1275年にできた語源の本『名語記』に、この意味で出てきます。デジタル大辞泉にも、意味の一つとして「ガマの穂」が今も載っています。

竹の棒にすり身を塗って焼くと、こんがり茶色い筒ができます。それが水辺のガマの穂にそっくりでした。そこで食べ物のほうも「かまぼこ」と呼ばれるようになった、というわけです。

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奥がガマの穂、手前が竹に塗って焼いたすり身。辞典によると、この似た形が「蒲鉾」という名前の由来

02室町時代の本では、正式な材料は「コイ」や「ナマズ」

今のかまぼこの材料は、スケトウダラなどの海の魚が中心です。ところが室町時代の料理書や武家の作法の本では、コイやナマズといった川や沼の魚が「正式」とされていました。『世界大百科事典』は、海の魚が手に入りにくかった京都の土地柄の表れだろう、と説明しています。

03板付きが広まり、元祖のほうが「ちくわ」に

では、「ちくわ」という名前はいつ生まれたのでしょう。

『世界大百科事典』の「竹輪」の項目によると、板に塗りつけるかまぼこが多くなると、元の筒形のほうは「ちくわかまぼこ」と呼び分けられるようになりました。それがやがて略されて「ちくわ」になります。串を抜いて端から切ると、切り口が竹を輪切りにした形に見えるからです。この名前は、1674年刊の料理書『江戸料理集』あたりから見られるそうです。

流れをまとめると、こうなります。

  1. 竹にすり身を塗って焼いた筒形が「かまぼこ」(室町時代)
  2. 板にのせたかまぼこが現れ、こちらが主流になる
  3. 元の筒形は「ちくわかまぼこ」と呼び分けられる
  4. 略して「ちくわ」(江戸時代前期の料理書に名前が見える)

後から来た板付きが「かまぼこ」の名前を受け継ぎ、元祖の筒形が新しい名前をもらいました。名前の“本家”と“分家”が入れかわったのです。

『日本国語大辞典』の「竹輪」の項目には、別の言い方として「ちくわのかまぼこ」も載っています。百科事典マイペディアも、ちくわは「蒲鉾の原形をとどめている」と書いています。

04漱石は「竹輪の出来損ない」と書いた

明治の小説にも、この二つが一緒に出てきます。夏目漱石の『坊っちゃん』(1906年)で、主人公が送別会の料理に文句をつける場面です。

「口取に蒲鉾はついてるが、どす黒くて竹輪の出来損ないである」(夏目漱石『坊っちゃん』九)

かまぼこを「ちくわの出来損ない」と呼んでいます。でも歴史の順番では、ちくわの形のほうが元祖のかまぼこです。『日本国語大辞典』は、この一文を「竹輪」という言葉の使い方の例として載せています。

「かまぼこ」は形の名前にもなりました。『日本国語大辞典』には、板つきかまぼこのような半円筒の形を指す「かまぼこ形」や、宝石を入れずに真ん中を高く作った「かまぼこ形の指輪」も載っています。結婚指輪にはこの形を使うことが多い、という説明つきです(例として挙がっているのは1919年の辞書)。

05英語で「かまぼこ」は?

英語の辞書を引いても、かまぼこにぴったり合う単語はなかなか見つかりません。

  • fishcake(fish cake):Oxford の学習辞典では、魚をマッシュポテトと混ぜて平たい丸形にし、パン粉をつけて揚げたもの。かまぼことは別の料理です
  • surimi:日本語の「すり身」がそのまま英語になった語。ケンブリッジの辞書は、白身魚を練った食べ物で、高い海産物の代わりに使うもの、と説明しています。例文にはカニかまのような seafood sticks の主な材料だとあります
  • cattail:ガマ。cat(ネコ)と tail(しっぽ)を合わせた北米の言い方です。bulrush とも言います

日本ではガマの穂を武器の「鉾」に見立て、英語では「ネコのしっぽ」に見立てたわけです。

英語で説明するなら、たとえばこう言えます。

  • Kamaboko is a Japanese fish cake made from surimi.(かまぼこは、すり身で作る日本の練り物です)
  • The first kamaboko looked like chikuwa.(最初のかまぼこは、ちくわのような形でした)

06どんでん返し:「いつ、どこで始まったか」は分からない

「室町時代に始まった」というのは辞典の説明で、何年にだれが作ったかは分かっていません。食べ物の「かまぼこ」が出てくるいちばん古い記録も、『日本国語大辞典』は1399年の『鈴鹿家記』を挙げ、『世界大百科事典』は「かまぼこの名が見られるのは室町中期」として1489年の料理書から説明しています。辞典によって、挙げる資料がちがうのです。

『世界大百科事典』には、起源は東南アジアの海岸地域だとする説もある、と書かれています。名前の由来が「ガマの穂」であることは多くの辞典で一致していますが、魚のすり身を加熱して食べる工夫そのものがどこから来たのかは、また別の問題です。

板付きが現れた時期にも幅があります。講談社の『世界の料理がわかる辞典』は、安土桃山時代に板に盛って焼くものが現れたとしています。『世界大百科事典』は、室町末期の料理書に板つきの作り方が見えるとしつつ、今のような板つきの“蒸し”かまぼこが現れたのは江戸末期だと書いています。「板付き」といっても、最初から今と同じ姿だったわけではないのです。

07まとめ

かまぼこは、もとは竹に塗って焼いた筒形で、その姿が水辺のガマの穂に似ていたので「蒲鉾」と呼ばれました。板付きが広まると、筒形のほうは「ちくわかまぼこ」と呼び分けられ、やがて「ちくわ」になりました。

次におでんを食べるときは、ちくわを一本持ち上げてみてください。それが室町時代の「かまぼこ」の姿です。

よくある質問

かまぼこの語源は何ですか?

水辺の草「蒲(がま)の穂」です。『日本国語大辞典』によると、かまぼこは室町時代に、魚のすり身を竹に塗りつけて焼いたのが始まり。その形や色がガマの穂に似ていたので、この名前がつきました。

なぜ「蒲鉾」と書くのですか?

ガマの穂の形が武器の鉾(ほこ)に似ているので「蒲の鉾」と呼ばれたからです。『日本国語大辞典』では、「かまぼこ」の第一の意味は食べ物ではなくガマの穂そのもので、鎌倉時代の1275年にできた『名語記』に出てきます。

かまぼことちくわは、どちらが先ですか?

名前はかまぼこが先で、元祖の形はちくわです。もとは竹に塗って焼いた筒形が「かまぼこ」でした。板付きが広まると、筒形のほうは「ちくわかまぼこ」と呼び分けられ、やがて略して「ちくわ」になりました(世界大百科事典)。

ちくわの名前の由来は何ですか?

串を抜いて端から切ると、切り口が竹を輪切りにした形に見えるからです。「ちくわかまぼこ」を略した名前で、『世界大百科事典』によると、1674年刊の料理書『江戸料理集』あたりから見られるそうです。

かまぼこはいつからありますか?

辞典の説明では室町時代からです。『日本国語大辞典』は、食べ物の「かまぼこ」の最も古い例として、1399年の記録『鈴鹿家記』の「かまほこ」を挙げています。ただし、何年にだれが作ったかは分かっていません。

昔のかまぼこは何の魚で作っていましたか?

コイやナマズといった川や沼の魚です。1489年の料理書『四条流庖丁書』はコイで作るのが正式とし、1528年の『宗五大双紙』はナマズで作るのが本来としています。『世界大百科事典』は、海の魚が手に入りにくかった京都の土地柄の表れだろうと説明しています。

板付きのかまぼこはいつ現れましたか?

辞典によって幅があります。『世界の料理がわかる辞典』は安土桃山時代に板に盛って焼くものが現れたとし、『世界大百科事典』は室町末期の料理書に板つきの作り方が見えるとしています。今のような板つきの蒸しかまぼこが現れたのは、江戸末期だそうです(同事典)。

かまぼこは英語で何と言いますか?

ぴったりの単語はなく、a Japanese fish cake made from surimi のように説明します。surimi は日本語の「すり身」がそのまま英語になった語です。fishcake だけだと、イギリスの揚げ物を思い浮かべる人もいます。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerIn the Muromachi period, Japanese cooks made kamaboko by spreading fish paste on a bamboo stick and… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

In the Muromachi period, Japanese cooks made kamaboko by spreading fish paste on a bamboo stick and grilling it. The brown tube looked a lot like the head of a cattail, a plant that grows by ponds. The plant itself was already called "kamaboko," and that is how the food got its name.

Later, cooks began to shape the paste on small wooden boards, and this new style became the usual kamaboko. To tell the two apart, people called the old tube shape "chikuwa kamaboko." Over time this was shortened to "chikuwa," a name that comes from the cut end, which looks like a ring of bamboo. So the food we call chikuwa today has the older shape.

118 words ・ CEFR B1

和訳を見る

室町時代、日本の料理人は魚のすり身を竹の棒に塗って焼き、かまぼこを作った。その茶色い筒は、池のそばに生える植物、ガマの穂にとてもよく似ていた。その植物自体がすでに「かまぼこ」と呼ばれていて、それが食べ物の名前の由来になった。

のちに料理人はすり身を小さな木の板の上で形づくるようになり、この新しい作り方がふつうのかまぼこになった。二つを区別するため、人々は古い筒の形を「ちくわかまぼこ」と呼んだ。やがてこれが略されて「ちくわ」になった。この名前は、竹の輪のように見える切り口から来ている。つまり、今日ちくわと呼んでいる食べ物のほうが、古い形をしているのだ。

4択リーディングクイズ

Q1. Why was the food named "kamaboko"?

Q2. Where does the name "chikuwa" come from?

Q3. What does the writer want to say in the last sentence?

重要単語

  • cattailC1
    名詞ガマ(水辺の草)Cattails grow along the edge of the pond. cat(ネコ)+tail(しっぽ)。主に北米の言い方で、bulrush とも言う。日本語では穂を「鉾」に見立てた。
  • surimiC1
    名詞(魚の)すり身Crab sticks are made from surimi. 日本語の「すり身」がそのまま英語になった語。数えられない名詞なので a をつけない。
  • pasteB1
    名詞ペースト、練ったものGrind the fish into a smooth paste. fish paste「魚のすり身」、bean paste「あん」。toothpaste(歯みがき粉)も同じ paste。
  • grillA2
    動詞(直火で)焼くWe grilled the fish over charcoal. パンなどをオーブンで焼くのは bake。網や串で火にかざして焼くのが grill。
  • tubeB1
    名詞筒、管Chikuwa is shaped like a tube. イギリスでは the Tube でロンドンの地下鉄を指す。be shaped like ~「~の形をしている」とセットで覚えよう。
  • resembleB2
    動詞~に似ているThe grilled paste resembled the head of a cattail. 他動詞なので resemble to としない(入試頻出)。look like よりかたい言い方。
  • shortenB1
    動詞短くする、略す"Chikuwa kamaboko" was shortened to "chikuwa." short(短い)+-en(~にする)。同じ作りの語に widen(広げる)、soften(やわらかくする)。
「かまぼこ」は最初、竹にすり身を塗って焼いた筒形、つまり今のちくわの形だった。名前はその姿が水辺の草「ガマの穂」に似ていたから。板付きが広まると、元祖のほうが「ちくわ」と呼ばれるようになった。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. 精選版 日本国語大辞典・デジタル大辞泉・改訂新版 世界大百科事典(山口勝巳・鈴木晋一)・世界の料理がわかる辞典「蒲鉾」(コトバンク掲載)kotobank.jp
  2. 精選版 日本国語大辞典・改訂新版 世界大百科事典(鈴木晋一)・百科事典マイペディア「竹輪」(コトバンク掲載)kotobank.jp
  3. fishcake(Oxford Learner's Dictionaries)oxfordlearnersdictionaries.com
  4. surimi(Cambridge Dictionary)dictionary.cambridge.org

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