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日英くらべホント

英語の jumper は、イギリスでは“セーター”、アメリカでは“袖なしワンピース”のこと

英語の jumper は、イギリスでは“セーター”、アメリカでは“袖なしワンピース”のこと

読む前に予想してみよう!

イギリス英語で jumper といえば、ふつうはセーターのことだ

研究カード(どんな研究?)
対象
英語・日本語の辞書と百科事典
規模
辞書・事典 7種
研究の種類
辞書の語義・語源の比較
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

英語の jumper は、イギリスではセーター、アメリカでは袖なしワンピース(ジャンパースカート)。日本の上着の「ジャンパー」は、19世紀の船乗りのゆったりした上着という古い意味に近い。

ひとことで言うとイギリスで「ジャンパー」といえば、セーターのことなんだって!

もくじ
  1. イギリスの jumper は「セーター」
  2. アメリカの jumper は「袖なしワンピース」
  3. 日本の「ジャンパー」は?
  4. 英語で日本の「ジャンパー」は何と言う?
  5. どんでん返し:古い意味は日本語のほうが近い
  6. まとめ
  7. よくある質問

イギリスに留学した友だちから、こんなメッセージが届いたとします。

「寒くなってきたから、ホストマザーが jumper を編んでくれた!」

ファスナーつきのジャンパーを手編み? と首をかしげたくなりますが、ちがいます。イギリスで jumper といえば、ふつうはセーターのことなのです。

しかも、海を渡ったアメリカでは、jumper は袖のないワンピース。日本でいう「ジャンパースカート」です。同じ jumper という一語が、イギリス、アメリカ、日本で、それぞれ別の服を指しています。

01イギリスの jumper は「セーター」

まず、イギリス英語から。辞書を2冊引いてみました。

ケンブリッジの辞書がこの意味に付けたレベルは A2。イギリス英語では、初級で覚えるくらい基本的な単語なのです。

イギリスには jumpers for goalposts という言い方まであります。ケンブリッジの辞書によると、ゴールポストの代わりに服を置いて、道ばたなどで気軽にサッカーをすること。子どものころの楽しい思い出を語るときに、ユーモアをこめて使われます。

02アメリカの jumper は「袖なしワンピース」

アメリカ英語に行くと、意味はがらりと変わります。

  • オックスフォードの学習辞典:(北米英語)ブラウスやセーターの上に着る、袖のないゆったりしたワンピース。イギリス英語では pinafore(pinafore dress)と言う
  • ケンブリッジの英語辞典:(アメリカ英語)腕をおおわない服で、ふつうは腕をおおう別の服の上に着るもの。イギリス英語では pinafore
  • AHD:意味の1番目が「ブラウスやセーターの上に着る、袖なしのワンピース、または胸当てのついたスカート」

つまり、アメリカで She wore a jumper to school. と言えば、「セーターを着て学校に行った」ではなく、「ジャンパースカートを着て行った」と受け取られやすいのです。

ちなみにイギリス英語の pinafore は、オックスフォードによると18世紀後半の言葉で、pin(ピンでとめる)+ afore(前に)から。もとは服の前にピンでとめる、胸当てつきのエプロンのことでした。

同じ jumper でも、イギリスではセーター、アメリカでは袖なしワンピース。日本の「ジャンパー」は上着
同じ jumper でも、イギリスではセーター、アメリカでは袖なしワンピース。日本の「ジャンパー」は上着

03日本の「ジャンパー」は?

では、日本語の「ジャンパー」はどうでしょう。小学館の『デジタル大辞泉』は、意味の1番目を「運動用・作業用の、ゆったりした上着。防寒・防水にも着用する。ジャンバー」としています。2番目は「ジャンパースカートの略」です。

『日本国語大辞典』は、上着の意味の例として、島木健作の小説『生活の探求』(1937〜38年)の「コール天のズボンにジャンパーを着た」を挙げています。それより前の1928年の新語辞典にも載っていたそうです。俳句では冬の季語にもなっています。

日本語の「ジャンパースカート」については、デジタル大辞泉が《〈和〉jumper+skirt》と書いています。英語の jumper に skirt を足して日本で組み立てた言葉だということです。アメリカ英語なら jumper の一語で、ほぼ同じ服を指せます。

04英語で日本の「ジャンパー」は何と言う?

日本でいうジャンパーを英語で言いたいときは、オックスフォードの学習辞典にある、次のような言葉が使えます。

  • jacket:シャツなどの上に着る、袖があって前をとめる上着。短くて軽いコート。いちばん広く使える
  • windbreaker(北米英語):風を防ぐための上着。イギリス英語では、古い言い方で windcheater
  • anorak(特にイギリス英語):フードのついた短いコートで、雨や風や寒さを防ぐもの。語源はグリーンランドの言葉 anoraq
  • bomber jacket:胴まわりがぴったりした、ファスナーでとめる短い上着

05どんでん返し:古い意味は日本語のほうが近い

ここまで読むと、日本の「ジャンパー」だけが英語とずれているように見えます。でも、語源をたどると話は逆になります。

オックスフォードの学習辞典によると、セーターとワンピースの jumper は19世紀半ばの言葉で、もとは「船乗りが着るゆったりした上着」のことでした。平凡社の『改訂新版 世界大百科事典』も、ジャンパーは19世紀半ばごろからあり、もともとは水夫や漁師などが着たゆるやかな作業着だったと書いています。

AHD は今でも、jumper の意味の一つに「ほかの服の上に着る、ゆったりした、服を守るための衣服」を載せています。運動用・作業用のゆったりした上着という日本語の「ジャンパー」は、英語の古い意味に近いのです。

語源はさらに遠くまでさかのぼります。オックスフォードによると、jumper はおそらく英語の方言の jump(短いコート)から来た語です(デジタル大辞泉も、ジャンパーの語源を方言の jump に -er がついたものとしています)。その jump は、スコットランドの言葉の jupe(ゆったりした上着)から来たのかもしれません。さらにフランス語を経て、アラビア語の jubbaにたどり着きます。AHD は jubba を「袖が大きく開いた、長い衣服」と説明しています。どれも「おそらく」「かもしれない」つきの説ですが、アラビアの長い服が、船乗りの上着になり、イギリスのセーターになり、アメリカのワンピースになり、日本の上着になった。辞書をつなぐと、そんな長い旅が見えてきます。

06まとめ

英語の jumper は、イギリスではセーター、アメリカでは袖なしワンピース。日本ではゆったりした上着。同じ一語なのに、国ごとに別の服です。

ただし、日本の「ジャンパー」は、まちがいではありません。19世紀の船乗りの上着という、英語の古い意味に近いのです。旅行や留学では、イギリスで jumper(セーター)、日本のジャンパーは jacket。この二つを押さえておけば、服の話で混乱せずにすみます。

よくある質問

イギリス英語の jumper は何のことですか?

セーターのことです。オックスフォードの学習辞典では、ウールや綿でできた、長袖でボタンのない、上半身に着る服。ケンブリッジの辞書はこの意味に初級の A2 レベルを付けています。どちらの国でも通じるセーターは sweater です。

アメリカ英語の jumper は何のことですか?

袖のないワンピースのことで、日本でいう「ジャンパースカート」です。オックスフォードの学習辞典は「ブラウスやセーターの上に着る、袖のないゆったりしたワンピース」と説明し、イギリス英語では pinafore と言うとしています。

日本の「ジャンパー」は英語で何と言いますか?

まずは jacket と言えば通じやすいです。風を防ぐための上着は、北米英語で windbreaker。フードのついた短いコートは anorak、胴まわりがぴったりした、ファスナーでとめる短い上着は bomber jacket です(オックスフォードの学習辞典)。

「ジャンパースカート」は英語ですか?

いいえ。英語の jumper に skirt を足して日本で組み立てた言葉です。デジタル大辞泉は《〈和〉jumper+skirt》と書いています。アメリカ英語なら jumper の一語で、ほぼ同じ服を指せます。

日本の「ジャンパー」はまちがった英語ですか?

まちがいではありません。オックスフォードの学習辞典によると、セーターとワンピースの jumper は19世紀半ばの言葉で、もとは「船乗りが着るゆったりした上着」のことでした。運動用・作業用の上着という日本語の意味は、英語の古い意味に近いのです。

jumper の語源は何ですか?

オックスフォードの学習辞典によると、おそらく英語の方言の jump(短いコート)から来た語で、その jump はスコットランドの言葉の jupe から来たのかもしれません。さらにフランス語を経て、アラビア語の jubba にたどり着きます。どれも「おそらく」「かもしれない」つきの説です。

「ジャンパー」はいつから日本語で使われていますか?

『日本国語大辞典』によると、1928年の新語辞典に載っていたそうです。上着の意味の例として、島木健作の小説『生活の探求』(1937〜38年)の「コール天のズボンにジャンパーを着た」が挙がっています。俳句では冬の季語です。

jumpers for goalposts とはどういう意味ですか?

ゴールポストの代わりに服を置いて、道ばたなどで気軽にサッカーをすることです。ケンブリッジの辞書によると、子どものころの楽しい思い出を語るときに、ユーモアをこめて使われるイギリスの言い方です。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerIf a friend in London says she is knitting a jumper, she is making a sweater. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

If a friend in London says she is knitting a jumper, she is making a sweater. Dictionaries from Oxford and Cambridge both say that in British English, a jumper is a long-sleeved top, often made of wool, with no buttons. In American English, the same word means a loose dress without sleeves, worn over a blouse or sweater.

British speakers usually call that dress a pinafore. Japanese uses the word in yet another way. A "janpā" is a loose jacket for sports or work. The Japanese word "janpā sukāto," made by adding "skirt," is close to the American jumper. If you want to talk about a Japanese "janpā" in English, "jacket" is the safest word.

115 words ・ CEFR B1

和訳を見る

ロンドンにいる友だちが jumper を編んでいると言ったら、彼女が作っているのはセーターだ。オックスフォードとケンブリッジの辞書はどちらも、イギリス英語で jumper は、長袖でボタンのない、たいていウールでできた上半身の服だとしている。アメリカ英語では、同じ語が、ブラウスやセーターの上に着る、袖のないゆったりしたワンピースを意味する。

イギリス英語を話す人は、ふつうその服を pinafore と呼ぶ。日本語は、この語をさらに別の形で使っている。「ジャンパー」は運動用や作業用のゆったりした上着だ。「skirt」を足して作った日本語の「ジャンパースカート」は、アメリカの jumper に近い。日本の「ジャンパー」のことを英語で話したいなら、「jacket」がいちばん無難な語だ。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the main point of the passage?

Q2. What do British speakers usually call the American "jumper"?

Q3. What does the writer suggest a Japanese learner should do?

重要単語

  • jumperA2
    名詞(英)セーター;(米)袖なしワンピースIt's cold outside, so put on a jumper. イギリスではセーター、アメリカではジャンパースカート。日本の「ジャンパー」は jacket で言うのが無難。
  • sweaterA2
    名詞セーターShe wore jeans and a thick sweater. イギリスでもアメリカでも通じる。発音は「スウェター」で、「スウィーター」ではない。
  • pinaforeC2
    名詞(英)袖なしワンピース;(子どもの)エプロンThe girl wore a blue pinafore over a white blouse. pin(ピンでとめる)+afore(前に)。もとはドレスの前にピンでとめた胸当てつきのエプロン。
  • jacketA1
    名詞上着、短いコートTake a jacket. It might get cold tonight. 日本の「ジャンパー」に当たるいちばん広い言い方。leather jacket「革の上着」。
  • windbreakerC1
    名詞(米)風よけの上着I always keep a windbreaker in my backpack. wind(風)+break(さえぎる)+-er。イギリス英語では古い言い方で windcheater。
  • sleevelessB2
    形容詞袖のないIt was hot, so I wore a sleeveless shirt. sleeve(袖)+-less(~のない)。アメリカの jumper は sleeveless dress。
英語の jumper は、イギリスではセーター、アメリカでは袖なしワンピース(日本でいうジャンパースカート)。オックスフォードとケンブリッジの辞書で確認。日本の上着の「ジャンパー」は、19世紀の船乗りの上着という古い意味に近いのです。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. Oxford Advanced Learner's Dictionary, "jumper" "sweater" "pinafore" "jacket" "windbreaker" "anorak"(Oxford University Press)oxfordlearnersdictionaries.com
  2. Cambridge Dictionary, "jumper"(Cambridge University Press)dictionary.cambridge.org
  3. The American Heritage Dictionary of the English Language, 5th ed., "jumper"(HarperCollins)ahdictionary.com
  4. デジタル大辞泉・精選版 日本国語大辞典・日本大百科全書(ニッポニカ)・改訂新版 世界大百科事典「ジャンパー」(コトバンク掲載)kotobank.jp
  5. デジタル大辞泉・精選版 日本国語大辞典「ジャンパースカート」(小学館、コトバンク掲載)kotobank.jp

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