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英語のマジか!?ホント

「特大」の jumbo を広めたのは1頭のゾウ。焼けたはく製の灰は今もピーナッツバターの瓶に

「特大」の jumbo を広めたのは1頭のゾウ。焼けたはく製の灰は今もピーナッツバターの瓶に

読む前に予想してみよう!

「特大の」という意味の jumbo を広めたのは、ロンドン動物園にいた1頭のゾウだった

研究カード(どんな研究?)
対象
アフリカゾウ「ジャンボ」の記録と骨格
規模
1861〜1885年の記録・骨と尾の毛の分析
研究の種類
文献調査+博物館標本の調査
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

jumbo(特大の)は、1865年にロンドン動物園で名づけられたアフリカゾウの人気から広まった。「不格好な人」を指す古い俗語の jumbo はあったが、「特大」の意味で広く使われたのはこのゾウから。名前の由来は分かっていない。

ひとことで言うと「ジャンボ」ということばを広めたのは、むかしロンドンの動物園にいた人気のゾウなんだって!

もくじ
  1. パリ経由でロンドンへ。名前はそこでついた
  2. 売られると決まると、イギリス中が大騒ぎ
  3. 1885年、貨物列車にはねられて死ぬ
  4. 焼けたはく製の灰は、ピーナッツバターの瓶の中
  5. おまけ:「大きい」を表す英単語は、名前だらけ
  6. どんでん返し:jumbo という言葉は、ゾウより先にあった
  7. まとめ

ジャンボジェット、ジャンボサイズ、ジャンボパフェ。「ジャンボ」と聞けば、だれでも「特大」を思い浮かべます。

でもこの言葉を「特大」の意味で広めたのは、1頭のゾウです。1865年にロンドンの動物園に来たアフリカゾウが「Jumbo(ジャンボ)」と名づけられ、イギリスでもアメリカでも大人気になりました。

そして、そのゾウのはく製が火事で焼けた灰は、今もアメリカの大学で、ピーナッツバターの空き瓶に入っています。

01パリ経由でロンドンへ。名前はそこでついた

ジャンボの一生は、1986年に学術誌『Elephant』に載った論文が細かくまとめています。

ノッティンガム大学が2017年に出した発表では、調査チームを率いたレスター大学の考古学者トーマス(Thomas)が、ジャンボを「ロンドン動物園で最初のアフリカゾウ」と紹介しています。ジャンボは動物園の自慢の人気者になりました。

02売られると決まると、イギリス中が大騒ぎ

1882年、ロンドン動物園はジャンボをバーナムのサーカスに売ると決めます。値段は2,000ポンド。タフツ大学の広報誌は2008年に、今のお金に直すとおよそ20万ドルではないか、と書いています。

ところが、これにイギリスの人々が猛反対しました。ノッティンガム大学の発表によると、抗議の声が上がり、反対の署名が集められ、「ジャンボ・マニア(Jumbo-mania)」と呼ばれるほどの騒ぎになりました。それでもジャンボは船で大西洋をわたり、1882年にニューヨークに着きます。

タフツ大学の広報誌によると、ジャンボ自身も嫌がり、木の箱に入れて船に乗せるまでに大変な苦労と、だまして入れる工夫が必要だったそうです。

アメリカでのジャンボは、サーカスの看板スターでした。ショシャニらの論文によると、宣伝では「ゾウの仲間の上にそびえ立つ王者(the towering monarch of his race)」とうたわれています。

1882年、ジャンボはイギリスの人々の反対をよそに、アメリカのサーカスへ売られていった
1882年、ジャンボはイギリスの人々の反対をよそに、アメリカのサーカスへ売られていった

031885年、貨物列車にはねられて死ぬ

アメリカでのサーカス生活は長く続きませんでした。1885年9月15日、カナダ・オンタリオ州のセント・トーマスで、ジャンボは機関車にはねられて死にます。

それでもバーナムは、ジャンボを手放しませんでした。皮ははく製に、骨は骨格標本に仕立てられ、しばらくはサーカスと一緒に巡業しています。

2011年の論文によると、ジャンボの皮と骨をめぐっては、3つの博物館の間で取り合いまで起きました。最終的に、骨格はニューヨークのアメリカ自然史博物館へ、はく製はボストン近郊のタフツ大学へ。バーナムはタフツ大学の創立時の理事で、大学に自分の名前をつけた博物館を建てていたのです。

04焼けたはく製の灰は、ピーナッツバターの瓶の中

ジャンボのはく製は、タフツ大学のマスコットになり、学生たちの幸運のお守りになりました。

ところが1975年、はく製を置いていた建物(バーナム・ホール)が火事で焼け落ちます。ジャンボも一緒に燃えてしまいました。

火事のあと、大学の職員が焼け跡から灰をすくい、ピーナッツバターの瓶に入れました。タフツ大学の広報誌は「職員の1人」、大学資料館の百科事典は「翌日、運動部の職員が」と書いています。マスコットだったことから瓶は運動部が受け持ち、体育局長が交代するたびに、次の局長へ引きつがれています。大学の入試課のブログにも、灰はピーナッツバターの空き瓶に入って体育局長の机の上にある、と書かれています。

尻尾は、焼けずに残りました。大学資料館の百科事典によると、学生たちは試験や試合の前に、幸運を願ってジャンボの尻尾を引っぱっていました。引っぱられすぎて傷んだ尻尾は、1952年の修理のときに取りかえられていたのです。外されたもとの尻尾は、今も大学の資料館に保管されています。

この尻尾は、130年以上たってから研究に使われました。ノッティンガム大学の研究者ミラー(Miller)は、尻尾の毛と骨や歯を化学的に分析し、飼育されていたころの食べ物の記録と合わせて、ジャンボの暮らしぶりを調べています。

同じ調査に加わった王立獣医大学(ロンドン)のハッチンソン(Hutchinson)教授が大学の広報誌に書いた報告によると、骨格には、歯にとても大きな異常があり、股関節には骨がひどくすり減ったあとが見つかりました。前脚の骨には、骨が伸びるための部分(成長板)がまだ閉じきらずに残っていて、24年の生涯を終えたジャンボはまだ成長の途中だったと考えられます。

05おまけ:「大きい」を表す英単語は、名前だらけ

jumbo のように、だれか(何か)の名前が「大きい」という意味の単語になった例は、ほかにもあります。アメリカの辞書 American Heritage Dictionary(AHD)の語源欄で確かめました。

  • gargantuan(ガーガンチュアン):「巨大な」。フランスの作家ラブレーの物語の主人公の巨人 Gargantua(ガルガンチュア) の名前から。a gargantuan meal(とんでもない量の食事)
  • Brobdingnagian(ブロブディンナギアン):「巨大な」。『ガリバー旅行記』で、何もかもが巨大な国 Brobdingnag の名前から
  • mammoth(マンモス):「マンモス」から「巨大な」の意味の形容詞に。AHD によると、もとはロシア語の mamont。さらにさかのぼると、おそらく西シベリアの少数民族の言葉(マンシ語)の「土」+「角」を組み合わせた古い語で、土の中から出てくるマンモスの牙の化石を指していた、とされます

jumbo は1頭のゾウ、mammoth は大昔のゾウの仲間。英語の「大きい」には、ゾウに縁のある語が2つもあります。

もう一つ。AHD で jumbo を引くと、例として jumbo shrimp(特大のエビ)が載っています。ところが shrimp には、俗語で「背の低い人、ちび」という意味もあります。jumbo shrimp は、言葉だけ見ると「特大のちび」。辞書の例文そのものが、ちょっとしたしゃれのようになっています。

06どんでん返し:jumbo という言葉は、ゾウより先にあった

ここまで「jumbo はゾウの名前から」と書いてきました。でも辞書をよく読むと、話はもう少しややこしくなります。

オックスフォードの学習辞典によると、jumbo は19世紀のはじめ、もともとは人について使われた言葉で、「大きくて不格好な人」を指していました。Dictionary.com も、最初の記録は1800〜1810年ごろとしています。ジャンボがロンドンに来た1865年より、半世紀以上も前です。

では、その jumbo はどこから? オックスフォードの学習辞典は、「mumbo jumbo(わけの分からない呪文、ちんぷんかんぷん)」の後ろ半分らしい、と書きます。AHD によると、mumbo jumbo のもとは、西アフリカのマンディンカ人の儀式で仮面をつけて踊る人のことでした。一方、ショシャニらの論文は、アンゴラの「ゾウ」onjamba 説が有力だとしています。

タフツ大学の広報誌は、ロンドンで名づけられたとき、この名前は「大きい」も「巨大な」も意味していなかった、と書いています。オックスフォードの学習辞典の「大きくて不格好な人」とは少し食い違いますが、どちらの資料も、jumbo を「特大」の言葉として広めたのはこのゾウの人気だったという点では一致します。タフツ大学の広報誌は、特大のイメージにはバーナムの宣伝の力が大きかった、と書いています。

ゾウ自身の大きさも、宣伝で盛られていました。ショシャニらによると、ジャンボはたしかに年のわりに大きかったものの、新聞などに書かれた大きさは誇張されていました。バーナムたちは、ジャンボの体を人に測らせなかったといいます。

07まとめ

「ジャンボ」は、1865年にロンドン動物園で名前をもらった1頭のアフリカゾウから広まった言葉でした。jumbo という俗語はそれより前からありましたが、「特大の」という意味で広めたのは、このゾウの人気とサーカスの宣伝です。名前の由来は、今も分かっていません。

次に jumbo jet や jumbo size という言葉を見たら、ボストン近郊の大学の運動部で引きつがれている、ピーナッツバターの瓶のことを思い出してみてください。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerIn 1865 a young African elephant arrived at London Zoo from a zoo in Paris. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

In 1865 a young African elephant arrived at London Zoo from a zoo in Paris. There he was given the name Jumbo, and he soon became the pride of the zoo. In 1882 the zoo sold him to the American showman P. T. Barnum for 2,000 pounds. British people protested and signed a petition, but Jumbo was shipped to New York anyway.

Barnum advertised him as the greatest elephant of all, though he never let anyone measure him. Jumbo was killed by a train in Ontario in 1885. His skeleton is now in a New York museum. Tufts University kept his stuffed body until a fire in 1975, and some of the ashes are still kept in a peanut butter jar.

121 words ・ CEFR B1

和訳を見る

1865年、若いアフリカゾウがパリの動物園からロンドン動物園にやって来た。そこで彼はジャンボという名前をもらい、彼はすぐに動物園の自慢になった。1882年、動物園は彼をアメリカの興行師P・T・バーナムに2,000ポンドで売った。イギリスの人々は抗議し、反対の署名をしたが、ジャンボはそれでもニューヨークへ船で送られた。

バーナムは彼を史上最高のゾウとして宣伝したが、だれにも体を測らせなかった。ジャンボは1885年、オンタリオ州で列車にはねられて死んだ。彼の骨格は今、ニューヨークの博物館にある。タフツ大学は1975年の火事まで彼のはく製を保管しており、その灰の一部は今もピーナッツバターの瓶に入れて保管されている。

4択リーディングクイズ

Q1. How did British people react when Jumbo was sold?

Q2. Where is Jumbo's skeleton now?

Q3. What can we guess from the fact that Barnum never let anyone measure Jumbo?

重要単語

  • jumboB1
    形容詞特大のI ordered a jumbo bag of popcorn for the movie. 1865年にロンドン動物園で名づけられたゾウの名前から広まった。名詞で「ジャンボジェット」の意味にもなる。
  • petitionB2
    名詞嘆願書、署名Thousands of people signed a petition to keep the elephant in London. sign a petition「署名する」。ジャンボを売るなという署名も集められた。
  • exaggerateB2
    動詞大げさに言う、誇張するAds often exaggerate how big things are. つづりの gg に注意。名詞は exaggeration。バーナムはジャンボの大きさを誇張した。
  • skeletonB1
    名詞骨格、がい骨The museum has the skeleton of a famous elephant. a skeleton in the closet「人に知られたくない秘密」というイディオムもある。
  • clumsyB2
    形容詞不器用な、不格好なI'm so clumsy that I dropped my phone twice today. jumbo はもともと「大きくて不格好な人」を指す俗語だった。
  • mascotB1
    名詞マスコット、守り神The elephant is still the school's mascot. タフツ大学のマスコットは今もジャンボ。英語に入ったのは1881年。もとはフランス語の mascotte(お守り)で、さらに古くは「魔女」を表す語にさかのぼる(AHD)。
  • gargantuanC1
    形容詞巨大な、とてつもないWe had a gargantuan lunch and couldn't move afterward. ラブレーの物語の巨人 Gargantua の名前から。少し大げさでユーモラスな響き。
「ジャンボジェット」の jumbo は、1865年にロンドン動物園で名づけられたアフリカゾウの名前から広まった。サーカスに売られて列車事故で死んだあと、はく製はアメリカの大学へ。そのはく製が火事で焼けた灰は、今もピーナッツバターの瓶に入っている。

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出典・参考文献(7件)タップで表示
  1. Shoshani, Shoshani & Dahlinger (1986) Jumbo: Origin of the Word and History of the Elephant, Elephant 2(2)doi.org
  2. McClellan (2011) P. T. Barnum, Jumbo the Elephant, and the Barnum Museum of Natural History at Tufts University, Journal of the History of Collections 24(1)doi.org
  3. McNeil (2008) The Book of Jumbo, Tufts Journal(タフツ大学)tuftsjournal.tufts.edu
  4. Tufts Archival Research Center「Jumbo, 1882-1885」Concise Encyclopedia of Tufts History(タフツ大学資料館)dl.tufts.edu
  5. University of Nottingham (2017) New insights into life and death of Jumbo the elephant revealed in BBC One documentarynottingham.ac.uk
  6. Hutchinson (2018) Jumbo documentary, eclipse Autumn 2018 pp.18–20(Royal Veterinary College)rvc-web-app01.live01.azure.rvc.ac.uk
  7. Oxford Learner's Dictionaries「jumbo」・Dictionary.com「jumbo」・American Heritage Dictionary「jumbo」「mumbo jumbo」「shrimp」「mammoth」「gargantua」「Brobdingnagian」oxfordlearnersdictionaries.com

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