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「ie か ei か」の覚え歌、英政府は2009年に「教える価値なし」→2013年に条件つき必修

「ie か ei か」の覚え歌、英政府は2009年に「教える価値なし」→2013年に条件つき必修

読む前に予想してみよう!

「i before e except after c」は、イギリスの学校ではもう教えていない

研究カード(どんな研究?)
対象
英国の政府資料・用法辞典と、アメリカの映画・テレビの字幕から作った単語の頻度表
規模
字幕の頻度表で上位5,000語(ie・ei を含む語144語)を記者が分類
研究の種類
公文書の確認+記者による単語の集計
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

つづりの覚え歌「i before e except after c」(i は e の前。ただし c の後ろは別)は2009年、英国の指導資料で「教える価値なし」とされた。でも「イー」と読む語に限ればよく当たり、2013年の全国カリキュラムでは条件つきで必修の項目に入った。

ひとことで言うと「i before e」は「イーと読むとき」だけ使えば、よく当たるルール!

もくじ
  1. 2009年、政府の資料が「教える価値なし」
  2. 映画・テレビの字幕によく出る5,000語で数えてみた
  3. 100年前の英語の辞典は「とても役に立つ」
  4. except after c の正体は、ラテン語の「つかむ」
  5. どんでん返し:2013年、条件つきで全国カリキュラムに入った
  6. なぜ学校ではこのルールを教えるのか
  7. テストや英作文ではどうする?
  8. まとめ
  9. よくある質問

receive? recieve?

英単語テストで、手が止まった人は多いはずです。「受け取る」は ei なのか ie なのか。believe(信じる)は ie なのに。

英語には、ここで使う有名な覚え歌があります。i before e, except after c(i は e の前。ただし c の後ろは別)。だから believe は ie、receive は c の後ろなので ei。

ところが2009年、イギリスの教育担当の省が小学校向けに出した指導資料に、こう書かれていました。「i before e except after c のルールは、教える価値がない」。

012009年、政府の資料が「教える価値なし」

資料の名前は『Support for Spelling(つづり指導の手引き)』。当時の子ども・学校・家庭省が、小学校の2〜6年生(Year 2〜6)のつづりの教え方をまとめた冊子です。その巻末の付録に、短い注があります。

ところが同じ冊子の79ページ、5年生向けの「発展の活動」には、「i before e except after c のルールを、子どもたちが調べる」 という項目が入っています。付録では「教える価値なし」、本文では「調べてみよう」。同じ冊子の中でも、このルールの扱いは「教えない」の一言ではありません。

当時は「政府がルールを捨てた」という話題が広まりました。言語学者ジェフリー・プラムは、言語学者たちのブログ「Language Log」(ペンシルベニア大学)で、資料を読む前にラジオの議論にあきれた記事を書きます。そこへ読者が106ページの原文を貼ると、プラムは、資料の中身は基本的にどの点も正しい、と書き足しました。

02映画・テレビの字幕によく出る5,000語で数えてみた

では、このルールはどれくらい当たるのでしょう。アメリカの映画やテレビの字幕(約5,100万語)から、ゲント大学などの研究者が作った単語の頻度表(SUBTLEX-US)があります。記者がその よく出る上位5,000語 を調べると、ie か ei を含む語は144語ありました。人名などを除き、believe と believed のような形の違いは別々の語として、2通りに分けて数えます。

① 条件なしの「i は e の前、c の後ろは ei」で見ると、合わない語が次々に出てきます。

  • c 以外の後ろなのに ei:their, eight, weight, height, neighbor, foreign, weird, either など 12語
  • c の後ろなのに ie:science, ancient, society, species, conscience など 8語

② 「ie・ei の2文字で、強く読む『イー』の音を表すとき」に限ると、話はがらりと変わります(species のように c と i で「シ」の音になる語や、movie・ladies のような語の終わりの ie は数えていません)。

  • ie で「イー」:believe, piece, field, chief, priest, thief, niece, shield など 20語。すべてルールどおり
  • c の後ろの ei で「イー」:receive, received, ceiling の 3語。これもルールどおり
  • ルールに合わないのは、either と neither の 2語だけ(アメリカ式に「イーザー」と読む場合)

記者が数えた上位5,000語では、「イーと読むとき」という条件をつけると、このルールは25語中23語で当たりました。 条件を外すと、例外だらけに見える。2009年の資料が言っていたのは、まさにこのことでした。

「イーと読むとき」だけに分けると、i before e はよく当たるルールになる
「イーと読むとき」だけに分けると、i before e はよく当たるルールになる

03100年前の英語の辞典は「とても役に立つ」

この条件は、昔から知られていました。1926年、イギリスの H・W・ファウラーは『現代英語用法辞典』(英語の正しい使い方を項目ごとに説明した辞典)の「つづりの要点」の項で、こう書いています。

  • i before e except after c のルールは 「とても役に立つ」
  • ただし当てはまるのは、「イー」と読む音節(音のひとまとまり)だけ。either・neither のように読み方が一定しない語は入らない
  • seize(つかむ)は大事な例外
  • 人名には使えない(Leigh, Leith など)

04except after c の正体は、ラテン語の「つかむ」

c の後ろの ei には、もう一つ秘密があります。アメリカン・ヘリテージ英語辞典の語源を見ると、

  • receive(受け取る):ラテン語 re-(再び)+ capere(取る)
  • perceive(気づく):per- + capere(つかむ)
  • conceive(思いつく):com- + capere(取る)
  • deceive(だます):dē- + capere(つかむ)

4つとも、ラテン語の capere(取る・つかむ)の仲間 です。ファウラーも、c の例外は「capio(つかむ)から来た多くの語」をカバーするためのもの、と書いています。つまり except after c は、ほぼ -ceive で終わる語のための注意書き なのです。

ただし ceiling(天井)だけは、語源が違います。同じ辞書によると、ceil(天井を張る)は、おそらくラテン語の caelāre(彫る)から来ています。

05どんでん返し:2013年、条件つきで全国カリキュラムに入った

2009年の「教える価値なし」から4年。2013年9月にイギリスの教育省が公表した、イングランドの新しい全国カリキュラム(国が定めた教育課程)の「つづり」の付録を開くと、5・6年生の項目にこうあります。

  • 必修(必ず教える項目):c の後ろで ei を「イー」と読む語(deceive, conceive, receive, perceive, ceiling)
  • 解説(必修ではない説明の欄):i before e except after c のルールは、ei が「イー」の音を表す語に当てはまる
  • 例外:protein(たんぱく質)、caffeine(カフェイン)、seize(つかむ)。either と neither も「イー」で始めて読むなら例外

2009年の資料が「知らないと例外だらけに見える」と書いた条件を、最初からルールに組みこんだ形です。覚え歌は消えたのではなく、正しい条件つきで国の資料に戻ってきた のです。

06なぜ学校ではこのルールを教えるのか

単純な覚え歌には、ちゃんと役目があります。

  • believe・piece・field のように、よく使う「イー」の語の大半を、1行で正しく書ける
  • receive と believe のような、いちばん迷いやすい組み合わせを区別できる
  • 覚えやすい。リズムがあるので、テストの最中でも思い出せる

困るのは、「イーと読むとき」という条件が抜け落ちたまま広まったときです。それでは their も eight も science も「例外」になり、ルールが信用できなくなってしまいます。

07テストや英作文ではどうする?

08まとめ

「i before e except after c」は、2009年にイギリス政府の資料で「教える価値なし」と書かれました。でもそれは、「イーと読むとき」という条件を知らずに使うと、例外だらけに見えるからでした。条件をつければ、よく使う語ではほとんど外れません。2013年の全国カリキュラムは、その条件つきの形を必修の項目にしています。

覚え歌は、「イーと読むときだけ」 と一言足せば、今でも頼れる道具です。c の後ろの ei は、ほぼ -ceive で終わる語です。テストで迷ったら、receive の仲間かどうかを思い出してください。

よくある質問

「i before e except after c」とはどういう意味ですか?

英語のつづりの覚え歌で、「i は e の前。ただし c の後ろは別」という意味です。believe は ie、receive は c の後ろなので ei、というように、ie と ei のどちらで書くか迷ったときに使います。

i before e except after c は正しいルールですか?

「イー」と読む語に限れば、よく当たります。映画・テレビの字幕によく出る上位5,000語を記者が数えると、この条件をつけたとき25語中23語で当たりました。条件を外すと、their や science などが例外に見えてしまいます。

イギリス政府が「教える価値なし」としたのは本当ですか?

本当です。2009年の指導資料『Support for Spelling』の106ページの注が、このルールは教える価値がないと書きました。当てはまるのは「イー」の音の語だけで、c の後ろで ei を「イー」と読む語はとても少ないので、語そのものを覚えたほうが簡単だという理由です。

イギリスの学校ではもう教えていないのですか?

いいえ。2013年に公表されたイングランドの全国カリキュラムは、5・6年生のつづりに「c の後ろで ei を『イー』と読む語」を必修の項目として入れました。i before e のルールは、ei が「イー」の音を表す語に当てはまる、と説明されています。

i before e の例外にはどんな単語がありますか?

2013年の全国カリキュラムが挙げる例外は、protein、caffeine、seize です。either と neither も、「イー」で始めて読むなら例外です。their、eight、science のように「イー」と読まない語は、もともとルールの外です。

なぜ c の後ろだけ ei になるのですか?

c の後ろの ei は、ほぼ -ceive で終わる語のためのものです。receive、perceive、conceive、deceive は、どれもラテン語の capere(取る・つかむ)の仲間です。ceiling だけは語源が違い、おそらくラテン語の caelāre(彫る)から来ています。

receive と recieve、正しいつづりはどちらですか?

receive です。c の後ろで「イー」と読むので ei になります。receipt(レシート)も receive の仲間なので ei です。-ceive で終わる語は ei、と覚えると早く書けます。

この研究を英語で読もう原田英語の English Corner"I before e, except after c" is a familiar spelling rhyme in English. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

"I before e, except after c" is a familiar spelling rhyme in English. In 2009, a UK government guide for primary schools called Support for Spelling said the rule was not worth teaching. It explained that the rule only works when "ie" or "ei" makes a clear "ee" sound. Without that condition, words like "sufficient," "veil" and "their" look like exceptions.

Our writer checked the 5,000 most common words in a list based on American film and TV subtitles. Without the sound condition, 20 of them broke the rule, including "weight" and "science." With it, the rule worked for 23 out of 25 words. England's national curriculum, published in 2013, now includes the rule with the "ee" condition built in.

120 words ・ CEFR B1

和訳を見る

「i before e, except after c」は、英語でおなじみのつづりの覚え歌だ。2009年、小学校向けのイギリス政府の手引き『Support for Spelling』は、このルールは教える価値がないと書いた。手引きは、このルールが当てはまるのは「ie」や「ei」がはっきりした「イー」の音を表すときだけだと説明した。その条件がなければ、「sufficient」「veil」「their」のような語は例外に見えてしまう。

この記事の記者は、アメリカの映画やテレビの字幕をもとにした単語表で、最もよく使われる5,000語を調べた。音の条件なしでは、「weight」や「science」を含む20語がルールに合わなかった。条件をつけると、ルールは25語中23語で当たった。2013年に公表されたイングランドの全国カリキュラムは、「イー」の条件を組みこんだ形でこのルールを入れている。

4択リーディングクイズ

Q1. Why did the 2009 guide say the rule was not worth teaching?

Q2. With the sound condition, how well did the rule work in the writer's count?

Q3. What can we infer about the rule from the passage?

重要単語

  • spellingA2
    名詞つづりCheck your spelling before you hand in the test. 動詞 spell(つづる)の名詞形。spelling test「つづりのテスト」。How do you spell it?「どうつづるの?」
  • rule of thumbC1
    名詞大まかな目安、経験則"I before e" is only a rule of thumb, so expect a few exceptions. 厳密な規則ではないが、たいてい当たる目安。ファウラーもこのルールの説明で a simple rule of thumb という言い方を使っている。
  • exceptionB1
    名詞例外"Seize" is an exception to the rule. except(〜を除いて)の名詞形。with the exception of ...「〜を除いて」。
  • receiveA2
    動詞受け取るDid you receive my email? c の後ろなので ei。名詞は receipt(レシート、受け取り)で、p は発音しない。
  • seizeB2
    動詞つかむ、奪うThe police seized the stolen car. c の後ろではないのに、「イー」の音を ei とつづる。i before e ルールの代表的な例外。
  • weirdB1
    形容詞奇妙な、変なThat's a weird way to spell it. 発音は「ウィアド」。ie ではなく ei とつづるが、「イー」の音ではないので、i before e の例外に数えない考え方もある。会話でよく使う。
  • curriculumB2
    名詞教育課程、カリキュラムSpelling is part of the national curriculum. ラテン語由来で、複数形は curricula または curriculums。the national curriculum「(国の)全国共通の教育課程」。
つづりの覚え歌「i before e except after c」。英政府の2009年の資料は「教える価値なし」と書いた。でも2013年の全国カリキュラムでは、「イーと読むとき」の条件つきで必修の項目に。例外は seize、protein など。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. Department for Children, Schools and Families (2009) Support for Spelling, The National Strategies: Primary, Ref 00171-2009DOM-EN(Appendix 1 p.106・Year 5 p.79, Digital Education Resource Archive)dera.ioe.ac.uk
  2. Department for Education (2013) English Appendix 1: Spelling, National curriculum in England(Years 5 and 6)assets.publishing.service.gov.uk
  3. Fowler, H. W. (1926) A Dictionary of Modern English Usage, Oxford: Clarendon Press「SPELLING POINTS」4(Internet Archive)archive.org
  4. The American Heritage Dictionary of the English Language, 5th ed.「receive」「perceive」「conceive」「deceive」「ceil」(語源)ahdictionary.com
  5. Brysbaert, M. & New, B. (2009) Moving beyond Kučera and Francis: A critical evaluation of current word frequency norms and the introduction of a new and improved word frequency measure for American English, Behavior Research Methods 41(4): 977–990doi.org

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