英語の glamour(華やかさ)は、もとは grammar(文法)。昔は「魔法」の意味だった
読む前に予想してみよう!
英語の glamour(華やかな魅力)と grammar(文法)は、語源の上では関係がない
American Heritage・オックスフォード・Dictionary.com の辞書はどれも、glamour はスコットランドで「魔法」を表した語で、grammar の形が変わったものだと説明している。
- 対象
- 英語・日本語の辞書
- 規模
- 辞書 5種・7項目
- 研究の種類
- 辞書の語義・語源の比較
- 確かさ
- ★★★★☆
英語の glamour(華やかな魅力)は、grammar(文法)の形が変わった言葉。18世紀のスコットランドでは「魔法」という意味だった。文法が魔法になったのは、中世に学問が魔術と結びつけて見られていたため。
ひとことで言うと「グラマラス」の glamour は、もとは「文法」と同じ言葉で、意味は「魔法」だった!
もくじ
英語の授業の「グラマー(grammar=文法)」と、モデルや女優をほめる「グラマラス(glamorous=華やかな)」。グラマラスのもとになった名詞 glamour も、カタカナで書けば「グラマー」です。ただの空似だと思っていませんか?
じつはこの2つ、もとは同じ言葉です。
英語の辞書によると、glamour はもともと18世紀のスコットランドで「魔法」を意味した語で、grammar の形が変わったもの。「文法」が「魔法」になり、それが「華やかな魅力」になりました。昔は、学問と魔術が結びつけて考えられていたからです。
01glamour の語源は grammar だった
まず、いま glamour がどういう意味の語なのかを確かめましょう。
オックスフォードの学習辞典(Oxford Advanced Learner's Dictionary)では、glamour は「人・仕事・場所を特別に見せる、人を引きつけるわくわくするような性質(多くはお金や地位から生まれるもの)」。the glamour of Hollywood(ハリウッドの華やかさ)のように使います。
では、語源は? 3つの辞書を並べると、話がそろっています。
3つの辞書とも、「glamour は grammar から」「最初の意味は魔法」という点で一致しています。
02なぜ「文法」が「魔法」になったのか
ここで疑問がわきます。文法の勉強と魔法に、どんな関係があるのでしょう。
オックスフォードの学習辞典は、こう説明しています。英語の grammar そのものが「魔法」の意味で使われたわけではない。けれど、grammar のもとになったラテン語の grammatica は、中世ではよく「学識・学問」全体を指して使われた。そしてその中には、世間の人が学問と結びつけて考えていたオカルト(魔術)も含まれていた、と。
ラテン語の読み書きができる人がごく一部だった時代を想像してみてください。分厚い本を読み、聞いたこともない言葉を口にする学者。ふつうの人から見れば、何か不思議な力を持っているように見えたのかもしれません。オックスフォードの学習辞典が書くとおり、世間では「学問」と「魔術」が結びつけて考えられていたのです。
grammar という語のさらにもとをたどると、ギリシャ語の grammatikē(tekhnē)、つまり「文字の(技術)」に行き着きます。gramma は「アルファベットの文字、書かれたもの」という意味です(オックスフォードの学習辞典)。文字を使いこなす技術が、魔術と結びつけて見られていた。そう考えると、少しロマンがあります。
03兄弟はほかにもいる:gramarye と grimoire
grammar から「魔法」に化けた語は、glamour だけではありません。AHD で確かめられる兄弟を2つ紹介します。
- gramarye(グラマリー):「オカルトの学問、魔法」。中世英語の gramarie から来ていて、もとはおそらく古フランス語の gramaire。この gramaire には「文法」と「魔法の本」の両方の意味があった
- grimoire(グリムワール):「魔法の知識を書いた本、特に呪文の載った本」。つまり魔術書。古フランス語の gramaire(文法、ラテン文学の研究)が、おそらく grimace(しかめっつら)などの語の影響を受けて形を変えたもの
ゲームやファンタジー小説で「グリモワール」という言葉を見たことがある人もいるでしょう。あの魔術書の名前も、さかのぼれば「文法」です。
04r が l に変わったわけ
grammar が glamour になるとき、最初の r が l に変わっています。Dictionary.com はこれを「dissimilated variant」と説明しています。言語学で異化(いか)と呼ばれる変化によって、形が変わったものだというのです。
異化とは、AHD によると「1つの語の中に似た音や同じ音が2つあるとき、片方がもう片方と似ないように変わること」。grammar には r が2つあります。その片方が l に変わって glamar になった、というわけです。
AHD は異化の例として、英語の marble(大理石)を挙げています。フランス語では marbre と r が2つ。英語では片方が l になりました。glamour と同じ変化です。
05「呪文」の spell も grammar から?
「文法」と「魔法」がつながるなら、英語の spell も気になります。spell には「つづりを言う、つづる」という意味と、「呪文」という意味があるからです。How do you spell your name?(名前はどうつづりますか?)と The witch put a spell on the prince.(魔女は王子に呪文をかけた)。文字と魔法が、ここでも同じ形をしています。
でも、こちらは grammar とは関係がありません。AHD は2つを別々の単語として載せていて、「つづる」の spell は「1文字ずつ読む」という意味の中世英語から(もとは古フランス語)、「呪文」の spell は「話、語り」という意味の中世英語から(もとは古英語)来た、としています。
オックスフォードの学習辞典は、もう一歩さかのぼります。「つづる」の spell は古フランス語を通って英語に入ったけれど、そのもとをたどると「呪文」の spell と同じ、ゲルマン語(英語やドイツ語の祖先の言葉)の根っこに行き着く、というのです。「呪文」の spell は、古英語で「語り」という意味でした。つまり spell の2つの意味をつないでいるのは、「学問」ではなく、このゲルマン語の根っこです。
06日本語の「グラマー」とのちがい
日本語のカタカナ語「グラマー」は、英語の glamour とは意味がずれています。デジタル大辞泉では「グラマー(glamour)」は「女性のからだつきが、豊満で魅力的なさま」。日本国語大辞典は、英語のもとの意味は「魅力、魔力」だと注記しています。英語の glamour は、女性の体つきに限らず、the glamour of Hollywood のように場所や仕事にも使う語です。
07まとめ
grammar のもとになったラテン語 grammatica は、中世には学問全体を指し、学問は魔術と結びつけて見られていました。そこからスコットランドで「魔法」の glamour が生まれ、今では「華やかな魅力」の意味になりました。
次に英語の grammar の問題でうなったら、思い出してください。その勉強、昔は魔法と結びつけて見られていたのです。
よくある質問
glamour の語源は何ですか?
grammar(文法)です。英語の辞書によると、glamour はもともと18世紀のスコットランドで「魔法」を意味した語で、grammar の形が変わったものです。American Heritage・オックスフォード・Dictionary.com の3つの辞書が、この点で一致しています。
なぜ「文法」が「魔法」の意味になったのですか?
昔は、学問と魔術が結びつけて考えられていたからです。オックスフォードの学習辞典によると、grammar のもとのラテン語 grammatica は、中世では学問全体を指してよく使われ、世間の人が学問と結びつけていたオカルト(魔術)も含んでいました。
glamour はいつから使われている言葉ですか?
辞書によって幅があり、オックスフォードの学習辞典は18世紀初め、Dictionary.com は初めての記録を1710〜20年としています。どちらも、最初はスコットランドで「魔法」の意味でした。
grammar の r が l に変わったのはなぜですか?
言語学で異化と呼ばれる変化によるものです(Dictionary.com)。1つの語の中に似た音が2つあると、片方が変わることがあります。grammar には r が2つあり、その片方が l に変わって glamar になりました。英語の marble(大理石)も同じ変化の例です。
日本語の「グラマー」と英語の glamour は意味が違いますか?
はい、ずれています。デジタル大辞泉では、日本語の「グラマー」は女性のからだつきが豊満で魅力的なさま。英語の glamour は人・仕事・場所の華やかな魅力のことで、the glamour of Hollywood のように場所や仕事にも使います。
アメリカ英語でも glamour とつづるのですか?
はい。American Heritage によると、アメリカ英語でも名詞は glamour とつづるのがふつうで、honor・labor のような「アメリカでは -or」のルールの例外です。形容詞の glamorous は、イギリスでもアメリカでもこのつづりが多く使われます。
grimoire(グリモワール)も grammar と関係がありますか?
あります。American Heritage によると、魔術書の grimoire は古フランス語の gramaire(文法、ラテン文学の研究)が、おそらく grimace(しかめっつら)などの語の影響を受けて形を変えたものです。「オカルトの学問、魔法」を表す gramarye も同じ仲間です。
呪文の spell も grammar から来ていますか?
いいえ、grammar とは関係がありません。American Heritage は「つづる」の spell と「呪文」の spell を別々の単語として載せています。オックスフォードの学習辞典によると、2つの spell はもとをたどるとゲルマン語の同じ根っこに行き着きます。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerIf you study English, you know the word "grammar." You may also know "glamorous," as in a glamorous movie…
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4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
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The English words "grammar" and "glamour" look a little alike. That is not an accident. About 300 years ago in Scotland, people used "glamour" to mean "a magic spell."
The word grew out of "grammar." In the Middle Ages, many people linked learning with magic. Today the word "glamour" means an exciting and attractive quality, as in "the glamour of Hollywood."
61 words ・ CEFR A2
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英語の「grammar(文法)」と「glamour(華やかさ)」は少し似ています。これは偶然ではありません。約300年前のスコットランドで、人々は「glamour」を「魔法の呪文」という意味で使っていました。
この語は「grammar」から生まれました。中世には、多くの人が学問を魔法と結びつけていたのです。今日、「glamour」という語は「the glamour of Hollywood(ハリウッドの華やかさ)」のように、わくわくする魅力的な性質を意味します。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
glamour が grammar から生まれ、「魔法」から「華やかさ」に意味が変わった話なので B。
Q2. What did "glamour" mean in Scotland about 300 years ago?
people used "glamour" to mean "a magic spell" とあるので A。
Q3. In the passage, what does "attractive" mean?
an exciting and attractive quality の attractive は「人を引きつける、魅力的な」という意味なので C。
If you study English, you know the word "grammar." You may also know "glamorous," as in a glamorous movie star. These two words share a history. In the early 1700s, people in Scotland used "glamour" to mean "magic" or "a spell," and dictionaries say the word is a changed form of "grammar."
So how did grammar turn into magic? In the Middle Ages, the Latin word for grammar was often used for learning in general. Many ordinary people connected learning with magic. To people who could not read, a scholar with a thick Latin book may have seemed to have strange powers.
Later, "glamour" came to mean a magical kind of charm. Today it describes the exciting quality of famous people, jobs and places.
124 words ・ CEFR B1
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英語を勉強していれば「grammar(文法)」という語は知っているだろう。「glamorous な映画スター(華やかな映画スター)」のような言い方で、「glamorous」も知っているかもしれない。この2つの語には共通の歴史がある。1700年代初め、スコットランドの人々は「glamour」を「魔法」や「呪文」の意味で使っていて、辞書はこの語を「grammar」の形が変わったものだとしている。
では、文法はどうやって魔法になったのか。中世には、文法を表すラテン語がよく学問全般を指して使われた。多くのふつうの人々は、学問を魔法と結びつけていた。字の読めない人から見れば、分厚いラテン語の本を持つ学者は、不思議な力を持っているように見えたのかもしれない。
その後、「glamour」は魔法のような魅力を意味するようになった。今日では、有名な人や仕事、場所のわくわくするような魅力を表す。
4択リーディングクイズ
Q1. According to the passage, when did people in Scotland use "glamour" to mean "magic"?
In the early 1700s, people in Scotland used "glamour" to mean "magic" とあるので B。
Q2. What did the Latin word for grammar often mean in the Middle Ages?
the Latin word for grammar was often used for learning in general とあるので C。
Q3. Why did ordinary people probably connect learning with magic?
To people who could not read, a scholar with a thick Latin book may have seemed to have strange powers とあるので、ふつうの人には分からないことをしていたから、と考えられる。B。
The word "grammar" once had a link to magic. The American Heritage, Oxford and Dictionary.com dictionaries all say that "glamour" comes from a Scots word for magic and that it is an altered form of "grammar." Oxford and Dictionary.com date it to the early 18th century. The Oxford dictionary adds that "grammar" itself was not used to mean magic.
The connection came through the Latin "grammatica," which in the Middle Ages often meant scholarship in general, including the occult practices that people tied to learning. When a word contains two similar sounds, one of them may shift so that the two sound less alike. "Grammar" has two r sounds, and the first became an l. "Marble," from French "marbre," went through the same change.
Grammar has another magical relative in "grimoire," a book of spells, which goes back to an Old French word for grammar. Not every magic word comes from grammar, though. "Spell" can mean "to name the letters of a word" or "magic words," but neither meaning goes back to grammar. The Oxford dictionary traces both to the same Germanic root, and the magic sense comes from an Old English word for a story.
196 words ・ CEFR B2
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「grammar(文法)」という語は、かつて魔法とつながっていた。American Heritage、オックスフォード、Dictionary.com の辞書はどれも、「glamour」は「魔法」を表すスコットランド語から来ていて、「grammar」の形が変わった語だと書いている。オックスフォードと Dictionary.com は、その時期を18世紀初めとしている。オックスフォードの辞書は、「grammar」そのものは魔法の意味では使われなかったと付け加えている。
つながりはラテン語の「grammatica」を通してできた。この語は中世にはよく学問全般を意味し、そこには人々が学問と結びつけていたオカルトの行いも含まれていた。1つの語に似た音が2つあると、片方がもう片方と似ないように変わることがある。「grammar」には r の音が2つあり、最初のものが l になった。フランス語の「marbre」から来た「marble(大理石)」も同じ変化をたどった。
grammar には「grimoire(魔術書)」という魔法の親せきもいて、これも文法を表す古フランス語にさかのぼる。ただし、魔法の語がすべて文法から来たわけではない。「spell」には「語の文字を言う、つづる」と「呪文」の意味があるが、どちらも文法にはさかのぼらない。オックスフォードの辞書は両方を同じゲルマン語の語根にたどり、呪文の意味は「話、語り」を表す古英語から来ているとしている。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the main point of the passage?
glamour が grammar の変化形で、学問と魔術の結びつきを通して生まれたことが中心なので B。D は誤り(3つの辞書は一致している)。
Q2. Why did the first r in "grammar" become an l?
When a word contains two similar sounds, one of them may shift so that the two sound less alike とあるので C。marbre は同じ変化の別の例。
Q3. What does the passage say about "spell"?
neither meaning goes back to grammar と The Oxford dictionary traces both to the same Germanic root とあるので A。B は本文と逆。
重要単語
- glamourB2名詞華やかな魅力;(古い用法で)魔法Many young actors are drawn by the glamour of Hollywood.
アメリカ英語でも glamour とつづることが多い(color などの -or の例外)。add a touch of glamour「ちょっと華やかさを添える」。 - glamorousB2形容詞華やかで魅力的なShe has a glamorous job, but she works very long hours.
形容詞は u が落ちて glamorous。人だけでなく仕事・場所・生活にも使う。 - grammarA2名詞文法;文法書I need to check my grammar before I send this email.
-er ではなく -ar で終わるつづりに注意。もとはギリシャ語の「文字の(技術)」。 - spellB1名詞・動詞呪文、魔法;(動詞で)つづるThe witch put a spell on the prince.
put a spell on ~「~に魔法をかける」。オックスフォードの学習辞典では、「つづる」の spell と同じゲルマン語の語幹から。grammar とは関係ない。 - enchantmentC1名詞魔法にかけること;うっとりさせる魅力The garden was full of enchantment at night.
enchant(魔法をかける、うっとりさせる)+-ment。glamour の古い意味の説明によく使われる語。 - scholarB2名詞学者The scholar spent years reading old Latin books.
scholarship は「学識」と「奨学金」の2つの意味がある。発音は「スカラー」。 - grimoireC1名詞魔術書In the game, you can find an old grimoire in the tower.
フランス語から来た語で、発音は「グリムワール」に近い。これも語源は「文法」。
公式・一次情報をチェック
- glamour(Cambridge Dictionary)dictionary.cambridge.org
- grammar(Oxford Learner's Dictionaries)oxfordlearnersdictionaries.com
- dissimilation(American Heritage Dictionary)ahdictionary.com
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英語の glamour(華やかさ)は、もとは grammar(文法)。スコットランドで「魔法」を意味した語で、grammar の形が変わったものだと、英語の辞書3冊が書いています。文法が魔法になったのは、昔は学問が魔術と結びつけて見られていたから。
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出典・参考文献(4件)タップで表示
- The American Heritage Dictionary of the English Language, 5th ed., "glamour" "grammar" "gramarye" "grimoire" "dissimilation"(HarperCollins)ahdictionary.com
- Oxford Advanced Learner's Dictionary, "glamour" "grammar" "spell"(Oxford University Press)oxfordlearnersdictionaries.com
- Dictionary.com, "glamour"(Collins English Dictionary の語義を含む)dictionary.com
- デジタル大辞泉・精選版 日本国語大辞典「グラマー」(小学館、コトバンク掲載)kotobank.jp
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。
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