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英語のマジか!?ホント

「バグ」の語源は1947年の“コンピューターの蛾”じゃない。1878年にエジソンが使っていた

「バグ」の語源は1947年の“コンピューターの蛾”じゃない。1878年にエジソンが使っていた

読む前に予想してみよう!

機械の不具合を「バグ」と呼ぶのは、1947年にコンピューターの中から蛾が見つかったのが始まりだ

研究カード(どんな研究?)
対象
19〜20世紀の手紙・新聞・辞書・博物館の所蔵記録
規模
1870年代〜1940年代の用例
研究の種類
歴史的な用例調査(文献・所蔵品の調査)
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

1947年、コンピューターに挟まった蛾が「最初のバグ」と記録された。でも不具合を bug と呼ぶ言い方は、1870年代のエジソンの手紙にもう出ていた。

ひとことで言うと「バグ」は蛾の事件より前、エジソンの時代から使われていたんだって!

もくじ
  1. 蛾の話は本当にあった
  2. 「本物の」の一言が、語源説をくつがえす
  3. エジソンの手紙に出てくる bug
  4. 英語の bug、いまはこう使う
  5. どんでん返し:じゃあ「エジソンが作った言葉」なのか?
  6. まとめ
  7. よくある質問

アプリが急に落ちる。ゲームのキャラが壁にめりこむ。そんなとき私たちは「バグった」と言います。

では、なぜ不具合が「バグ(bug=虫)」なのでしょう。バグの語源としてよく知られているのが、「1947年、コンピューターの中に本物の蛾が挟まっていた。これが“最初のバグ”で、言葉の始まり」という話です。

ところが、その蛾を貼った記録ノートには「本物のバグが見つかった最初の例」と書かれていました。わざわざ「本物の」と書いたのは、機械の不具合をもう「バグ」と呼んでいたから。じつは、蛾が見つかる70年近く前の1878年に、発明家のトーマス・エジソンが手紙でこの言葉を使っていたのです。

01蛾の話は本当にあった

まず、蛾の話そのものは作り話ではありません。

アメリカのコンピューター歴史博物館によると、1947年9月9日、ハーバード大学の計算機 Mark II(マークツー)で、継電器(リレー。電気で動くスイッチ)の接点のあいだに蛾が挟まっているのが見つかりました。チームは死んだ蛾を記録ノートにテープで貼り、メンバーの1人がこう書きこみました。

「First actual case of bug being found.」(本物のバグが見つかった最初の例)

このノートは今、ワシントンのスミソニアン国立アメリカ歴史博物館が所蔵しています。

02「本物の」の一言が、語源説をくつがえす

シャピロの論文は、「蛾のせいで不具合を bug と呼ぶようになった」という説は、簡単にくつがえせると書いています。

決め手の一つが、ノートの書きこみそのものです。もし bug という言葉がこの日に生まれたのなら、「本物の」と書く必要はありません。チームが蛾の発見を特別なことだと思ったのは、機械の不具合がすでに bug と呼ばれていたからだ、とシャピロは読んでいます。たとえとして使っていた「バグ」が、本物の虫として出てきたわけです。

シャピロは、もっと古い証拠も挙げています。

  • 1889年:イギリスの新聞が、エジソンが蓄音機の bug を探して2晩続けて徹夜した、と報じた。記事は、まるで想像上の虫が中にもぐりこんで悪さをしているような言い方だ、と説明している
  • 1934年:アメリカの辞書(Webster's New International Dictionary)が、bug を「装置やその動作の欠陥」と載せている(アメリカの俗語として)
  • debug(バグを取る)も、1945年にイギリスの航空学会の雑誌に例がある。蛾が見つかるより前だ
エジソンは1870年代から、発明の途中で出てくる小さな欠点を bug と呼んでいた
エジソンは1870年代から、発明の途中で出てくる小さな欠点を bug と呼んでいた

03エジソンの手紙に出てくる bug

では、エジソンはどう使っていたのでしょう。エジソン文書プロジェクトの所長らが IEEE(電気・電子の世界的な学会)のウェブ誌に書いた記事から、流れを追ってみます。

1873年、エジソンは1本の電線で4本の電報を同時に送る仕組みを作ろうとしていました。そこで信号が途中で切れたように見える厄介な問題が起き、エジソンはそれを防ぐ装置を作ります。のちに彼はこの問題を bug、装置を bug trap(バグ取り器)と呼びました。

bug という言葉は、1876年7月からエジソンの実験ノートに出てきます。電球の研究のノートには「まだ bug がたくさんある」という書きこみもあるそうです。

1878年には、研究室の外の人への手紙でも使っています。3月、電信会社ウエスタン・ユニオンの社長への手紙では、電話の呼び出しベルの部分に bug がいた、とわざと虫の学名のような言い方をして冗談を書きました。11月、仕事仲間のプスカシュへの手紙では、発明はひらめきで始まるが、そのあと小さな欠点や困難、いわゆる bug が次々に出てきて、何か月も苦労する、と書いています。

この言葉は電気の技術者のあいだにも広がりました。1892年の電気の専門辞典は、bug を「電気装置の接続や動作の不具合」と定義しています。

04英語の bug、いまはこう使う

オックスフォードの学習辞典では、bug は「機械、特にコンピューターのシステムやプログラムの不具合」。debug は「プログラムの不具合を探して取りのぞくこと」です。

  • There's a bug in this game.(このゲーム、バグがある)
  • We need to debug the program before Friday.(金曜までにプログラムのバグを取らないと)
  • The new update fixed a lot of bugs.(新しいアップデートでたくさんのバグが直った)

アメリカの辞書 American Heritage Dictionary(AHD)を見ると、bug には「ばい菌、病気」「熱中、マニア」「盗聴器」などの意味もあります。I caught a bug.(風邪か何かをもらっちゃった)、She's got the travel bug.(彼女は旅にハマってる)のように使います。動詞の bug は「うるさくする、いらいらさせる」。Stop bugging me!(じゃましないで!)は会話の定番です。

05どんでん返し:じゃあ「エジソンが作った言葉」なのか?

IEEE の記事の見出しは「エジソンが bug という言葉を作った」となっています。1888年には、電信の技術者が「最初にそう呼んだのはエジソンだ」と書いた記録もあるそうです。

でも、エジソンが最初の1人だったと確かめる方法はありません。手紙やノートは「エジソンが早くからよく使っていた」証拠で、「エジソンより前にだれも言っていない」証拠ではないからです。言えるのは、1870年代のエジソンの例が、今わかっている中で古いものだということまでです。

bug という語そのものは、もっと古くからあります。Dictionary.com に載る辞書によると、虫の意味の bug は17世紀前半から記録があります。不具合の意味の記録は1885〜90年ごろからとされていて、エジソンの手紙はそれより少し早い例です。1889年の新聞が説明したとおり、「見えない虫が機械の中にもぐりこんで悪さをしている」というたとえから生まれた言い方です。

そして、蛾の話は今も広まり続けています。同じ Dictionary.com の bug のページにも、「この言葉は1940年代、大きなコンピューターの回路に本物の虫が止まっていたことから生まれた」という解説が載っています(2026年10月に確認)。同じページの語源欄には、不具合の意味は1885〜90年ごろから、と書いてあるのに、です。

06まとめ

1947年の蛾は本物でした。でも、それは「バグという言葉の始まり」ではなく、すでにあった言葉に本物の虫がぴったり当てはまった、という記録でした。不具合を bug と呼ぶ言い方は、少なくとも1870年代のエジソンの手紙やノートまでさかのぼります。

次にアプリがバグったら、There's a bug! と言ってみてください。蓄音機の前で徹夜したエジソンも、同じ言葉をつぶやいていたかもしれません。

よくある質問

バグの語源は何ですか?

英語の bug(虫)です。機械の中に見えない虫がもぐりこんで悪さをしている、というたとえから、不具合を bug と呼ぶようになりました。この使い方は、少なくとも1870年代のエジソンの手紙やノートまでさかのぼります。

なぜ不具合を「虫」と呼ぶのですか?

1889年のイギリスの新聞は、エジソンが蓄音機の bug を探して徹夜した話を伝え、想像上の虫が中にもぐりこんで悪さをしているような言い方だと説明しています。目に見えない小さな原因を、虫にたとえたわけです。

コンピューターに挟まった蛾がバグの語源というのは本当ですか?

いいえ。蛾の話そのものは本当で、1947年9月9日にハーバード大学の計算機 Mark II で見つかりました。でもノートには「本物のバグが見つかった最初の例」とあり、それ以前から不具合を bug と呼んでいたことが分かります。

バグという言葉はエジソンが作ったのですか?

エジソンが最初の1人だったと確かめる方法はありません。言えるのは、1878年3月と11月の手紙など、1870年代のエジソンの例が今わかっている中で古いものだということまでです。

グレース・ホッパーが蛾を見つけて「バグ」と名づけたのですか?

いいえ。不具合を bug と呼ぶ言い方は、それより前からありました。ホッパーは Mark II のチームの一員で、のちに講演でこの話を何度もして有名にしました。でもスミソニアン博物館によると、あの記録ノートはおそらくホッパー本人のものではありません。

デバッグ(debug)とはどういう意味ですか?

プログラムの不具合を探して取りのぞくことです(オックスフォードの学習辞典)。debug という語も、1945年にイギリスの航空学会の雑誌に例があり、蛾が見つかるより前から使われていました。

「バグってる」は英語で何と言いますか?

It's buggy. や There's a bug. と言えます。「バグを直す」は fix a bug です。The new update fixed a lot of bugs.(新しいアップデートでたくさんのバグが直った)のように使います。

bug にはほかにどんな意味がありますか?

AHD には「ばい菌、病気」「熱中、マニア」「盗聴器」などの意味が載っています。I caught a bug.(何かの病気をもらった)、She's got the travel bug.(旅にハマってる)のように使い、動詞の Stop bugging me! は「じゃましないで!」です。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerOn September 9, 1947, a team working on the Mark II computer at Harvard University found a moth caught in… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

On September 9, 1947, a team working on the Mark II computer at Harvard University found a moth caught in one of its relays. They taped the insect into their logbook and wrote next to it, "First actual case of bug being found." This is often told as the story of how the word "bug" was born.

But look at the word "actual." The team thought the moth was worth writing down because problems in machines were already called bugs. Thomas Edison was using the word in the 1870s. In a letter from 1878, he used "bugs" for the little faults and difficulties that turn up while working on an invention. By 1934, an American dictionary listed "bug" as slang for a defect in a machine.

126 words ・ CEFR B1

和訳を見る

1947年9月9日、ハーバード大学でコンピューター Mark II を扱っていたチームが、継電器の1つに挟まった蛾を見つけた。彼らはその虫を記録ノートにテープで貼り、横に「本物のバグが見つかった最初の例」と書いた。これはよく、「バグ」という言葉が生まれた話として語られる。

しかし「本物の」という言葉に注意してほしい。チームが蛾を書きとめる価値があると考えたのは、機械の問題がすでにバグと呼ばれていたからだ。トーマス・エジソンは1870年代にこの言葉を使っていた。1878年の手紙で、彼は発明に取り組む中で出てくる小さな欠点や困難を「バグ」と呼んでいる。1934年までには、アメリカの辞書が「bug」を機械の欠陥を表す俗語として載せていた。

4択リーディングクイズ

Q1. What did the team at Harvard do with the moth?

Q2. According to the passage, what did Edison mean by "bugs" in his 1878 letter?

Q3. Why does the writer point out the word "actual" in the note?

重要単語

  • bugA2
    名詞・動詞虫;(機械・プログラムの)不具合;(動詞)いらいらさせるThere's a bug in this app, so it keeps closing. 不具合の意味は1880年代後半からの記録がある(Dictionary.com)。動詞では Stop bugging me!(じゃましないで)が会話の定番。
  • debugB2
    動詞(プログラムなどの)不具合を見つけて直すIt took us all night to debug the code. de-(取りのぞく)+bug。AHD には「盗聴器を取りのぞく」「害虫を駆除する」という意味も載っている。
  • glitchB2
    名詞ちょっとした不具合、一時的な故障A small glitch stopped the video for a few seconds. bug よりも「一時的・ちょっとした」感じが強い。a technical glitch はニュースでもよく聞く。
  • faultB1
    名詞欠陥、故障;(失敗の)責任The engineers found a fault in the wiring. It's my fault.(私のせいだ)の fault と同じ語。機械なら「故障・欠陥」。
  • defectB2
    名詞欠陥The company recalled the cars because of a defect in the brakes. 形容詞は defective(欠陥のある)。fault より少し改まった語。
  • logbookB2
    名詞記録ノート、作業日誌Every problem was written down in the logbook. もとは船の航海の様子を記録する帳面(Dictionary.com)。今は飛行機や作業の記録にも使う。
  • folk etymologyC1
    名詞民間語源(もっともらしいが根拠のない語源の話)The moth story is a famous piece of folk etymology. etymology は「語源」。folk は「民衆の」。話としておもしろいほど広まりやすい。
「最初のバグはコンピューターに挟まった本物の蛾」は有名な話。でも1947年のノートには「“本物の”バグの最初の例」とある。不具合をもう bug と呼んでいたからだ。エジソンは1878年の手紙で使っていた。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. Shapiro (1987) Etymology of the Computer Bug: History and Folklore, American Speech 62(4)doi.org
  2. Magoun & Israel (2013) Did You Know? Edison Coined the Term "Bug", IEEE Spectrumspectrum.ieee.org
  3. Smithsonian National Museum of American History「Log Book With Computer Bug」所蔵記録(Smithsonian Open Access)api.si.edu
  4. Computer History Museum「This Day in History: September 9」computerhistory.org
  5. Dictionary.com「bug」「debug」(Random House Unabridged Dictionary ほか)dictionary.com

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