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英語のマジか!?ホント

「バイト(byte)」は“ひとかじり”の bite から。うっかり bit に化けないよう、つづりを変えた

「バイト(byte)」は“ひとかじり”の bite から。うっかり bit に化けないよう、つづりを変えた

読む前に予想してみよう!

コンピューターの「byte(バイト)」は、bite(かじる)のつづりをわざと変えた言葉だ

研究カード(どんな研究?)
対象
命名者本人の手紙・1948〜1962年の技術論文と本・辞書・米国標準技術研究所
規模
1948〜1998年の文献
研究の種類
語源調査(文献)
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

ギガバイトの byte は、bite(かじる)をわざとつづり変えた造語。名づけた IBM の技術者が1977年に雑誌へ書いた手紙で、「うっかり bit に化けないよう、つづりを変えた」といういきさつを明かした。最初の byte は8ビットとは限らなかった。

ひとことで言うと「バイト」は、かみつく bite のつづりをわざと変えたことばだったんだって!

もくじ
  1. 雑誌『BYTE』も、自分の名前の由来はうろ覚えだった
  2. 名づけ親が名乗り出た:「この専門用語の犯人は私」
  3. bit のほうも「ひと口のかけら」だった
  4. 最初から「8ビット」ではなかった
  5. どんでん返し:「1キロバイト=1024バイト」は、国際規格では違う
  6. まとめ

スマホの「128GB」、写真1枚「3MB」。毎日のように見る B=byte(バイト)。

この byte、じつは bite(かじる、ひとかじり) のつづりを、わざと変えた言葉です。

しかも理由まで分かっています。名づけた本人が、「bite から作ったが、うっかり bit に化けないようにつづりを変えた」と書き残しているのです。

01雑誌『BYTE』も、自分の名前の由来はうろ覚えだった

1976年11月、アメリカのパソコン雑誌『BYTE』の読者欄に、コーネル大学のコンピューター科学科の人からの手紙が載りました。

「byte という語の本当の由来を何年も調べてきたが、分からない。教科書という教科書を見た。由来はもう失われたのかと思い始めている。同じ名前の雑誌なら知っているのでは?」

BYTE を創刊した編集者の答えは、こうでした。「IBM の Stretch というコンピューターの本で読んだ。Stretch では、記憶が正しければ、長さの決まっていないビットのまとまりを指すために勝手に作った言葉だった」。そして最後に「どなたか、もっと確かな答えを知りませんか」と読者に呼びかけました。

その答えを持っていたのが、名づけた本人でした。

02名づけ親が名乗り出た:「この専門用語の犯人は私」

翌1977年2月号に載ったのが、IBM で Stretch の開発に加わっていた W・ブーフホルツ(W. Buchholz)の手紙です。見出しは「The Word "Byte" Comes of Age...(“byte”という言葉、成人を迎える)」。

手紙によると、ブーフホルツは自分を、この専門用語を perpetrated(やらかした)人間だと書いています。出生証明書のようなものは見つからなかったが、byte は1977年に21歳、つまり成人を迎えるはずだ、と。

bite と書くと、最後の e が1文字抜けただけで bit になってしまいます。bit と byte が同じ文書に何度も出てくるのですから、混ざったら大変です。

1977年、byte の名づけ親が雑誌に手紙を書き、「bite のつづりを変えた」といういきさつを明かした
1977年、byte の名づけ親が雑誌に手紙を書き、「bite のつづりを変えた」といういきさつを明かした

03bit のほうも「ひと口のかけら」だった

では、byte の元になった bit はどこから来たのでしょう。

コンピューターの bit は binary digit(2進数の数字=0か1) を縮めた言葉です。数学者クロード・シャノンは、1948年の論文「A Mathematical Theory of Communication(通信の数学的理論)」で、情報の量を2進数(0と1)で測るときの単位は「binary digits、短くして bits と呼べる。J. W. テューキーが提案した語だ」と書いています。

ただ、英語にはもともと a bit(少し)という bit がありました。オックスフォードの学習辞典によると、この bit は古英語の bita「ひとかじり、ひと口」から来ていて、bite とも親戚です。

つまり、

  • bit:binary digit の略。でも同じ形の英語は、もとは「ひと口のかけら」
  • byte:そのかけらがいくつか集まった「ひとかじり」。bite をわざとつづり変えたもの

コンピューターの単位は、どちらも“食べる”言葉と同じ形をしているのです。

1976年11月号の『BYTE』には、本の広告に「You'll Want to Nybble at these Byte Books(このバイト本、ちびちびかじりたくなるはず)」というコピーまであります。nibble(少しずつかじる)を、byte に合わせて y でつづった、しゃれです。

04最初から「8ビット」ではなかった

いまは「1バイト=8ビット」が常識です。でも、ブーフホルツの手紙によると、最初の byte は1〜6ビットのどれでもよいものでした。

8ビットの byte は1956年8月に検討され、まもなく Stretch の設計に取り入れられました。それを「いつも8ビット」に固めたのが、1960年代半ばに広まった IBM の System/360 です。費用を抑えるために byte の大きさを最大の8ビットに固定し、このコンピューターが広く使われたことで「byte=8ビット」が世の中に定着しました。

そして byte はコンピューターの専門用語から、一般の辞書に載る言葉になりました。ブーフホルツは手紙の最後に、「コンピューターのために作られた言葉で、一般の英語辞典に入ったものはほかにありますか?」と問いかけています。

05どんでん返し:「1キロバイト=1024バイト」は、国際規格では違う

「1キロバイトは1024バイト」と習った人も多いはずです。2の10乗=1024が1000に近いので、コンピューターの世界では kilo を1024の意味で使ってきました。

ところが、アメリカの国立標準技術研究所(NIST)の説明によると、1998年12月、国際電気標準会議(IEC)が、kilo(キロ)のように単位の前につける言葉(接頭語)を2進数用に別に作り、国際規格にしました。

  • 1 kilobyte(kB。国際単位系 SI では、kilo の記号は小文字の k)= 1000 バイト
  • 1 kibibyte(KiB、キビバイト)= 1024 バイト
  • 1 megabyte(MB)= 1,000,000 バイト/1 mebibyte(MiB)= 1,048,576 バイト

kibi は kilo と binary(2進)を合わせた名前です。byte の“かじり”の数え方も、正式には2通りあるのです。

06まとめ

byte は「ひとかじり」の bite。bit と取り違えないように y にした、と名づけ親が自分で書いています。しかも同じ名前の雑誌さえ由来を知らず、読者の質問がきっかけで本人が名乗り出ました。

次にスマホの容量を見たら、その数字は「何十億回ぶんのひとかじり」だと思ってみてください。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerIn November 1976, a reader wrote to BYTE magazine with a simple question. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

In November 1976, a reader wrote to BYTE magazine with a simple question. Where did the word "byte" come from? He had searched every textbook he could find. The editors weren't sure either. A few months later, the answer came from the man who had made up the word.

W. Buchholz, who had worked on IBM's Stretch computer, wrote that the earliest example he could find was a company memo from June 1956. He had formed it from "bite" and then changed the spelling so it would not turn into "bit" by accident.

At first a byte could hold anywhere from one to six bits. The eight-bit byte came later and spread with IBM's System/360 in the mid-1960s.

118 words ・ CEFR B1

和訳を見る

1976年11月、ある読者が BYTE 誌に簡単な質問を送った。「byte」という言葉はどこから来たのか?彼は見つけられる限りの教科書を調べていた。編集者たちも確かなことは分からなかった。数か月後、答えはその言葉を作った本人から届いた。

IBM の Stretch というコンピューターの開発に携わった W・ブーフホルツは、見つかった最も古い例は1956年6月の社内メモだったと書いた。彼はこの語を「bite」から作り、うっかり「bit」に化けないようにつづりを変えたのだった。

最初、1バイトには1〜6ビットのどれでも入れることができた。8ビットのバイトは後になって生まれ、1960年代半ばに IBM の System/360 とともに広まった。

4択リーディングクイズ

Q1. Who answered the reader's question in the end?

Q2. How many bits could the first bytes hold?

Q3. What can we infer from the fact that the editors weren't sure?

重要単語

  • byteB1
    名詞バイト(データの単位。ふつう8ビット)My phone has 128 gigabytes of storage. bite(ひとかじり)のつづりを変えた造語。発音は bite と同じ「バイト」。kilobyte, megabyte, gigabyte。
  • bitA2
    名詞少し、かけら;(コンピューターの)ビットCan you wait a bit? I'm almost done. a bit「少し」は会話で頻出。コンピューターの bit は binary digit の略。日常語の bit は古英語の「ひと口」から。
  • biteA2
    動詞・名詞かむ;ひとかじりCan I have a bite of your sandwich? 活用は bite - bit - bitten。過去形が bit なのも、ことば遊びの種になる。
  • coinC1
    動詞(新しい語を)作るWho coined the word "byte"? 名詞は「硬貨」。硬貨を鋳造するように「言葉を鋳造する」。coin a phrase「うまいことを言えば」。
  • misspellB2
    動詞つづりを間違えるIt's easy to misspell "byte" as "bite." mis-(誤って)+ spell。過去形は misspelled(米)。名詞は misspelling。
  • storageB1
    名詞保存、記憶容量;物置This laptop has more storage than my old one. store(しまう)+ -age。cloud storage「クラウドの保存場所」。
  • unitB1
    名詞単位;ひとまとまりA byte is a unit of computer data. a unit of length「長さの単位」。unite(まとめる)と同じ仲間。
スマホの「128GB」の B=byte は、bite(ひとかじり)のつづりをわざと変えた造語。名づけた IBM の技術者が「うっかり bit に化けないよう、つづりを変えた」と1977年の手紙で明かした。しかも同じ名前の雑誌『BYTE』の編集者も、由来はうろ覚えだった。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. Buchholz (1977) The Word "Byte" Comes of Age..., BYTE 2(2), p.144(読者欄の手紙)archive.org
  2. Brooks, Blaauw & Buchholz (1959) Processing Data in Bits and Pieces, IRE Transactions on Electronic Computers EC-8(2)doi.org
  3. Shannon (1948) A Mathematical Theory of Communication, Bell System Technical Journal 27(3)doi.org
  4. National Institute of Standards and Technology「Prefixes for binary multiples」physics.nist.gov
  5. American Heritage Dictionary「byte」「bit」「nibble」/Oxford Learner's Dictionaries「byte」「bit」ahdictionary.com

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