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日英くらべホント

(^_^) は目、:) は口で笑う。日米213人の実験で“表情を読む場所”の違いが出た

(^_^) は目、:) は口で笑う。日米213人の実験で“表情を読む場所”の違いが出た

読む前に予想してみよう!

「目は笑っているが口はへの字」の顔文字を、日本人はアメリカ人よりも「うれしそう」と判断した

研究カード(どんな研究?)
対象
日米の大学生
規模
213人(研究1)・176人(研究2)
研究の種類
質問紙実験(顔文字・合成した顔写真の評価)
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

日本の顔文字は目、アメリカの顔文字は口で気持ちを表す。日米の大学生の実験でも、日本人はアメリカ人より目を、アメリカ人は日本人より口を重く見て表情を読んでいた。

ひとことで言うと日本人はアメリカ人より「目」を、アメリカ人は日本人より「口」を重く見て、笑っているかどうかを決めているんだって!

もくじ
  1. 「目が笑って口がへの字」の顔文字はうれしい? 悲しい?
  2. 本物の顔写真でも同じだった
  3. なぜ日本人は「目」を重く見るのか
  4. どんでん返し:「目を見る」ことには弱点もあった
  5. まとめ

(^_^) と :)

どちらも「にっこり」の顔文字です。でも、よく見ると笑っている場所がちがいます。日本の (^_^) は目で笑い、アメリカの :) は口で笑っています。泣き顔も同じで、日本は (;_;) と目から涙を流し、アメリカは :( と口をへの字に曲げます。

ただの好みのちがいでしょうか。北海道大学の結城雅樹さんたちは、ここに「表情をどこで読むか」という文化のちがいが隠れていると考え、実験で確かめました。結果は、日本人はアメリカ人より目を、アメリカ人は日本人より口を重く見て、相手の気持ちを判断していたというものでした。

01「目が笑って口がへの字」の顔文字はうれしい? 悲しい?

結城さんたちは2007年、学術誌 Journal of Experimental Social Psychology に論文を出しました。最初の実験の材料は、まさに顔文字です。

注目は、目と口が逆の気持ちを示す顔文字です。「目は笑っているのに、口はへの字」。日本人はアメリカ人よりこれを「うれしそう」と答えました。反対に「目は悲しそうなのに、口は笑っている」顔は、アメリカ人のほうが「うれしそう」と答えました。

同じ記号を見ても、どこを見て気持ちを決めるかが国によってちがっていたのです。

目と口に別々の気持ちを持たせた顔で、日米の学生の判断がくいちがった(Yuki ら 2007 の実験の考え方をもとにしたイメージ)
目と口に別々の気持ちを持たせた顔で、日米の学生の判断がくいちがった(Yuki ら 2007 の実験の考え方をもとにしたイメージ)

02本物の顔写真でも同じだった

「アメリカ人は (^_^) を見慣れていないだけでは?」という疑問がわきます。論文の著者たちも、この点を自分で弱点として挙げています。

そこで2つ目の実験では、本物の人の顔写真を使いました。表情研究でよく使われる写真集から10人の顔を選び、画像ソフトで「うれしい顔の目」を「ふつうの顔」にはり合わせるなどして、目と口の気持ちを別々に変えた60枚を作りました。参加したのはアメリカの学生87人と、日本の学生89人です。

結果は1つ目の実験と同じ向きでした。笑いが目にある顔は日本人のほうが「うれしそう」と答え、笑いが口にある顔はアメリカ人のほうが「うれしそう」と答えました。顔文字だけの話ではなかったのです。

03なぜ日本人は「目」を重く見るのか

論文の説明はこうです。

笑顔には、口のまわりの筋肉と、目のまわりの筋肉の両方が働きます。論文が引くこれまでの研究によると、このうち目のまわりの筋肉は、自分の意思で動かしにくいとされます。本物の笑顔では目のまわりの筋肉も縮みますが、口のまわりだけで作った笑顔は「作り笑い」になりやすいのです。論文では、目のまわりも動く本物の笑顔を Duchenne smile(デュシェンヌ・スマイル)と呼んでいます。

著者たちは、気持ちをあまり表に出さないことがよしとされる日本では、ごまかしにくい目を見るほうが本音を読みやすい、と考えました。反対に、気持ちをはっきり出すことがよしとされるアメリカでは、いちばんよく動く口を見るほうが手っ取り早い、というわけです。

英語で言うと、こんな感じです。

  • She smiled, but her eyes didn't.(彼女は笑ったけれど、目は笑っていなかった)
  • a fake smile(作り笑い)
  • a real smile(本物の笑顔)

ちなみに英語の顔文字は、首をかたむけて横向きに読みます。: が目、) が口です。:) と :( のように、基本の形では目は「:」のままで、気持ちを変えるのは口の記号です。論文は、顔文字の形のちがいが、表情の読み方のちがいとつながっているのかもしれないと述べています。

04どんでん返し:「目を見る」ことには弱点もあった

では、目を見るほうがすぐれているのでしょうか。そう単純ではありません。

イギリスのグラスゴー大学のジャックさんたちは2009年、視線の動きを記録して、東アジアの人と西洋の人が顔のどこを見て表情を読むかを調べました。すると、西洋の人は顔全体にまんべんなく視線を向けるのに対し、東アジアの人は目のあたりをじっと見続ける傾向がありました。目のあたりから得られる情報はあいまいなため、東アジアの人は「恐れ」と「嫌悪」の表情を正しく見分けにくかったのです。

同じチームは2012年にも、東アジア(中国)出身の人は、思い浮かべる表情の中で、気持ちの「強さ」を目の動きで表していると報告しました。目に頼る読み方は、本音を読むのに役立つかもしれない一方で、読み取りにくくなる表情もある、ということです。ただし、2つの研究はどちらも日本人に絞ったものではなく、2012年の研究の東アジア側は中国出身の15人でした。

さらに結城さんたちの実験でも、すべての顔で差が出たわけではありません。「悲しい目+ふつうの口」の顔では、日米の差は顔文字ではわずか、写真ではほぼありませんでした。写真の実験では差そのものも小さくなっています。

しかも写真の実験では、日本人も「口のほうがうれしそうな顔」を「目のほうがうれしそうな顔」より、少しだけうれしそうと答えていました(平均4.85点と4.65点)。「日本人は目だけを見る」のではなく、「アメリカ人とくらべると目を重く見る」というのが、研究が示した範囲です。

05まとめ

(^_^) と :) のちがいは、ただのデザインのちがいではなかったのかもしれません。くらべると、日本人は目、アメリカ人は口。顔のどこを「気持ちの窓」として重く見るかが、文化によって少しずつちがっていました。

ただし、これは集団としての傾向です。日本人でも口を見る人はいるし、アメリカ人でも目を見る人はいます。英語で話すときは、目だけでなく口でもはっきり笑ってみると、気持ちが伝わりやすくなるかもしれません。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerJapanese emoticons show feelings with the eyes. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Japanese emoticons show feelings with the eyes. In a happy one, the eyes are two upside-down V shapes. American emoticons, made with a colon and a parenthesis, show feelings with the mouth.

A team of researchers in Japan and North America wondered whether this difference had anything to do with how people read real faces. In a study published in 2007, they showed six emoticons to students at Hokkaido University and Ohio State University.

Some had happy eyes and a sad mouth, and some had the opposite. Japanese students rated faces with happy eyes as happier than American students did. American students rated faces with a happy mouth as happier than Japanese students did. The same pattern appeared when the team used edited photos of real people.

127 words ・ CEFR B1

和訳を見る

日本の顔文字は目で気持ちを表す。うれしい顔文字では、目が2つの逆さのVの形になっている。コロンとかっこで作るアメリカの顔文字は、口で気持ちを表す。

日本と北米の研究チームは、このちがいが、人が本物の顔をどう読むかと関係しているのではないかと考えた。2007年に発表された研究で、チームは北海道大学とオハイオ州立大学の学生に6つの顔文字を見せた。

うれしそうな目と悲しそうな口を持つものもあれば、その逆のものもあった。日本の学生は、うれしそうな目の顔をアメリカの学生よりもうれしそうだと評価した。アメリカの学生は、うれしそうな口の顔を日本の学生よりもうれしそうだと評価した。チームが本物の人の顔写真を加工したものを使ったときも、同じ傾向が出た。

4択リーディングクイズ

Q1. What did the researchers want to find out?

Q2. Which faces did American students rate as happier than Japanese students did?

Q3. Why does the writer mention the edited photos?

重要単語

  • emoticonB1
    名詞顔文字My friend ends every message with an emoticon. emotion(感情)+icon(アイコン)を合わせた語。絵文字は emoji。
  • facial expressionB1
    名詞顔の表情Her facial expression changed when she heard the news. facial は face の形容詞形。expression は「表現」。心理学の英文で頻出。
  • cueB2
    名詞手がかり、合図The eyes can be a useful cue to how someone feels. queue(行列)と同じ発音。take a cue from ~「~を手本にする」。
  • rateB1
    動詞評価する、点数をつけるPlease rate each face from 1 to 9. 名詞では「割合、料金」。rate A as B「A を B と評価する」。
  • disgustB2
    名詞嫌悪、むかつきHe looked at the old food with disgust. 形容詞は disgusting(むかつくような)。fear・anger・sadness と並ぶ基本感情の1つ。
  • interpretB2
    動詞解釈する、読み取るPeople may interpret the same face in different ways. 名詞は interpretation。「通訳する」の意味もあり、interpreter は通訳者。
日本の顔文字 (^_^) は目で笑い、アメリカの :) は口で笑う。北大などの実験で日米の大学生213人に顔文字を見せると、日本人はアメリカ人より目を、アメリカ人は日本人より口を重く見て気持ちを判断していた。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Yuki, M., Maddux, W. W., & Masuda, T. (2007) Are the windows to the soul the same in the East and West? Cultural differences in using the eyes and mouth as cues to recognize emotions in Japan and the United States, Journal of Experimental Social Psychology 43(2)doi.org
  2. Jack, R. E., Blais, C., Scheepers, C., Schyns, P. G., & Caldara, R. (2009) Cultural Confusions Show that Facial Expressions Are Not Universal, Current Biology 19(18)doi.org
  3. Jack, R. E., Garrod, O. G. B., Yu, H., Caldara, R., & Schyns, P. G. (2012) Facial expressions of emotion are not culturally universal, PNAS 109(19)doi.org

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