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英語のマジか!?ホント

bonfire の bon は“よい”ではなく bone(骨)。1755年のジョンソン辞典も間違えていた

bonfire の bon は“よい”ではなく bone(骨)。1755年のジョンソン辞典も間違えていた

読む前に予想してみよう!

bonfire の bon は、フランス語の「よい(bon)」から来ている

研究カード(どんな研究?)
対象
中世〜18世紀の英語の辞書・説教集と現代の辞書
規模
1483年の英語・ラテン語辞書、中世の説教集、1755年のジョンソン辞典ほか
研究の種類
歴史言語学(文献調査)・辞書の語源記述
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

大きなたき火 bonfire は、もとは bone fire=骨を燃やす火。1483年の辞書は「骨の火」と訳し、1755年のジョンソン辞典は「よい火」と誤解していた。

ひとことで言うとbonfire(大きなたき火)は、もともと「骨を燃やす火」という意味だった!

もくじ
  1. bonfire の語源は? 3つの辞書が「骨」と書いている
  2. 1483年の辞書は「骨の火」と訳していた
  3. 中世の説教「骨の火は竜よけ」
  4. どんでん返し:あのジョンソン博士も間違えた
  5. 英語の bonfire、こう使う
  6. まとめ

キャンプやお祭りの夜に燃やす、大きなたき火。英語では bonfire(ボンファイア) と言います。

bon と聞くと、フランス語の「よい」を思い浮かべるかもしれません。bon voyage(よい旅を)の bon です。だとすると bonfire は「よい火」?

ところが、英語の辞書の語源の欄は、そろって別の答えを書いています。bonfire の bon は bone(骨)。もとは「骨を燃やす火」だったのです。

01bonfire の語源は? 3つの辞書が「骨」と書いている

アメリカの『アメリカン・ヘリテージ英語辞典』は、bonfire の語源を中英語の bonnefire とし、それを bon(骨)+ fir(火) と分けています。中英語とは、だいたい1100年から1500年ごろの英語のことです。同じ辞書の bone の項にも、中英語では bon とつづったと書かれています。つまり、昔の英語では「骨」がそのまま bon だったわけです。

イギリスのオックスフォードの学習辞典も、語源は「中英語の後期、bone + fire から」。さらに、この語はもともと骨を燃やす大きな屋外の火を指し、お祝いの一部として燃やすこともあった、と説明しています。

アメリカの辞書サイト Dictionary.com も、語源の欄で「骨を燃料にした火」と書いています。3つとも答えは同じです。

021483年の辞書は「骨の火」と訳していた

もっと古い証拠もあります。1483年の日付がある英語・ラテン語の単語集『カトリコン・アングリクム(Catholicon Anglicum)』です。英語の見出し語に、ラテン語の訳をつけた本です。

この本には Banefyre という見出しがあり、ラテン語で ignis ossium(イグニス・オッスィウム)と訳されています。ignis は「火」、ossium は「骨の」。そのまま 「骨の火」 です。すぐ上の行には Bane という見出しがあり、ラテン語の os(骨)が当てられています。

この写本を1881年に活字にした編者ハーテージは、ここに「英語の bonfire をきわめて文字どおりに訳したもの」という注をつけています。500年以上前にこの辞書を作った人は、bonfire をそのまま「骨の火」と受け取っていたわけです。

03中世の説教「骨の火は竜よけ」

では、なぜ骨を燃やしたのでしょうか。

中世のジョン・マーク(John Mirk)による説教集『フェスティアル(Festial)』に、くわしい説明があります。洗礼者ヨハネ(聖ヨハネ)の祝日の前の晩、人々は3種類の火をたいた、というのです。

  • 骨だけで、木を使わない火 → bonnefyre(bonfire)
  • 木だけで、骨を使わない火 → wakefyre(人がそばに座って、夜通し起きているから)
  • 骨と木の両方を使う火 → 聖ヨハネの火

骨の火のいわれも書かれています。話はこうです。

その土地はとても暑く、暑さで竜が集まって空を飛び回った。竜は水に落ちてきて水を毒でけがし、多くの人が死んだり、重い病気になったりした。物知りの学者たちは、竜は焼けた骨のにおいを何よりも嫌うと知っていた。そこで人々に骨を集めて燃やさせ、そのにおいで竜を追い払った。こうして人々の病気もおさまった――。

中世の説教集は、骨を燃やすにおいで竜を追い払ったという言い伝えを伝えている(『フェスティアル』)
中世の説教集は、骨を燃やすにおいで竜を追い払ったという言い伝えを伝えている(『フェスティアル』)

もちろん、竜の話は史実ではありません。中世の人々がこの行事をどう説明していたかを伝える「いわれ」です。それでも、「骨を燃やすから bonfire」という名前のつけ方は、この説教集からはっきり読み取れます。

04どんでん返し:あのジョンソン博士も間違えた

ここで意外な人物が登場します。1755年に『英語辞典(A Dictionary of the English Language)』を出した、サミュエル・ジョンソンです。

その辞書で、ジョンソンは bonfire の語源を 「フランス語の bon(よい)と fire から」 と書きました。意味は「勝利や喜びなど、おおやけのお祝いのためにたく火」。お祝いの火だから「よい火」――いかにもありそうな説明です。

しかしオックスフォードの学習辞典は、語源の欄で「ジョンソン博士は、この語がフランス語の bon(よい)から来たという誤った考えを受け入れた」とはっきり書いています。英語の大辞書を作った人でさえ、見た目にだまされたのです。

もう一つ、少し暗い話もあります。同じ辞書によると、bonfire は骨を燃やす火のほかに、異端とされた人や、禁止された本を焼く火を指すこともありました。「お祝いの楽しい火」だけの言葉ではなかったのです。

05英語の bonfire、こう使う

今の bonfire は、骨とは関係ありません。オックスフォードの学習辞典の定義は「ごみを燃やすため、またはお祝いのためにたく、大きな屋外の火」です。

  • bonfire:お祭りやごみ焼きの大きな火。The village lights a huge bonfire every autumn.(その村では毎年秋に大きなたき火をする)
  • campfire:キャンプのときのたき火。We sat around the campfire and sang songs.(キャンプファイアを囲んで歌った)
  • Bonfire Night:イギリスで11月5日の夜。1605年に議会の建物を爆薬で吹き飛ばそうとした計画が失敗したことを祝い、たき火をして花火を上げる習慣がある

発音にも注意です。bonfire は「ボンファイア」(アメリカ英語では「バーンファイア」に近い音)で、bone(ボウン)とは母音が違います。今の発音だけを聞くと、骨が隠れているとは気づきにくいのです。

06まとめ

bonfire は「よい火」ではなく「骨の火」。1483年の辞書は「骨の火」とラテン語に訳し、中世の説教集は骨の火を竜よけだと説明していました。そして1755年、あのジョンソン博士は見た目の bon にだまされていました。

次にキャンプで火を囲むときは、bon(e) + fire を思い出してください。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerThe "bon" in "bonfire" looks like the French word for "good," so you might guess that a bonfire is a "good… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

The "bon" in "bonfire" looks like the French word for "good," so you might guess that a bonfire is a "good fire." Samuel Johnson made the same guess in his famous dictionary of 1755. He was wrong.

Today's dictionaries agree that the word comes from the Middle English "bone fire," a large outdoor fire that burned bones. Old books back this up. A wordbook from 1483 translates the English word into Latin as "ignis ossium," or "fire of bones."

A medieval sermon describes three fires that people lit on the night before Saint John's Day. The one made only of bones, with no wood, was called a bonfire. Today people burn wood instead of bones, but the old name has stayed.

121 words ・ CEFR B1

和訳を見る

「bonfire」の「bon」はフランス語の「よい」という語に見えるので、ボンファイアは「よい火」だと思うかもしれない。サミュエル・ジョンソンも1755年の有名な辞書で同じ推測をした。それは間違いだった。

今日の辞書は、この語が中英語の「bone fire」、つまり骨を燃やす大きな屋外の火から来ているという点で一致している。古い本もこれを裏づけている。1483年の単語集は、この英語をラテン語で「ignis ossium」、つまり「骨の火」と訳している。

中世のある説教は、聖ヨハネの祝日の前の晩に人々がたいた3つの火について書いている。木を使わず骨だけで作った火が、bonfire と呼ばれた。今では骨の代わりに木を燃やすが、古い名前は残っている。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the main point of the passage?

Q2. What does "ignis ossium" mean?

Q3. What does Samuel Johnson's mistake show?

重要単語

  • bonfireB2
    名詞(屋外の)大きなたき火The whole village came out to watch the bonfire. bone(骨)+ fire(火)が語源。light a bonfire「たき火をする」。イギリスの Bonfire Night は11月5日。
  • campfireB1
    名詞キャンプのたき火We sat around the campfire and told ghost stories. キャンプで料理や暖をとるための火。お祭りやごみ焼きの大きな火は bonfire。
  • fuelB1
    名詞燃料Dry leaves make good fuel for a fire. 昔の bonfire は骨が燃料だった。fossil fuel「化石燃料」もよく出る。
  • legendB1
    名詞言い伝え、伝説According to legend, a dragon once lived in the hills. according to legend「言い伝えによれば」。中世の説教集の竜の話はこの類い。
  • sermonC1
    名詞説教The priest gave a short sermon on Sunday morning. 教会で聖職者が話す説教。give a sermon「説教をする」。
  • celebrateA2
    動詞祝うPeople in the UK celebrate Bonfire Night with fireworks. 名詞は celebration。ジョンソンは bonfire を「お祝いのための火」と定義した。
  • misunderstandingB2
    名詞誤解The story began with a simple misunderstanding. mis-(誤って)+ understand(理解する)。bonfire=「よい火」はその代表例。
英語の bonfire(大きなたき火)の bon は、フランス語の「よい」じゃなくて bone(骨)。もとは骨を燃やす火で、1483年の辞書は「骨の火」と訳していた。1755年のジョンソン辞典は「よい火」と誤解。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. The American Heritage Dictionary of the English Language, 5th ed.「bonfire」「bone」ahdictionary.com
  2. Oxford Advanced Learner's Dictionary「bonfire」(Word Origin)oxfordlearnersdictionaries.com
  3. Herrtage, S. J. H. (ed.) (1881) Catholicon Anglicum: An English-Latin Wordbook, Dated 1483, Early English Text Society(p.20 Banefyre)archive.org
  4. Erbe, T. (ed.) (1905) Mirk's Festial: A Collection of Homilies, Part I, Early English Text Society(pp.182–183)archive.org
  5. Johnson, S. (1755) A Dictionary of the English Language「bonfire」(Johnson's Dictionary Online, セントラルフロリダ大学)johnsonsdictionaryonline.com

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