イギリス英語でボールペンは「Biro」、掃除機がけは「hoover」。どちらも元は人の名前

読む前に予想してみよう!
イギリス英語の hoover(掃除機をかける)は、アメリカのフーバー大統領の名前から来ている
オックスフォードの学習辞典によると、Hoover は1920年代、アメリカの実業家 W・H・フーバー(1849〜1932年)にちなんで名付けられた。大統領とは別人。
- 対象
- イギリス英語の Biro・hoover ほか
- 規模
- 英語辞典5種・日本の百科事典
- 研究の種類
- 辞書に載る意味・由来の照らし合わせ
- 確かさ
- ★★★★☆
イギリスではボールペンを Biro、掃除機をかけることを hoover と言う。どちらも商標で、ハンガリーの発明者ビーローとアメリカの実業家フーバーの名前から。
ひとことで言うとイギリスでは、ボールペンも掃除機も、人の名前で呼ばれているんだって!
もくじ
Can I borrow your Biro?
イギリスでこう言われたら、何を貸せばいいでしょう。答えはボールペンです。
I need to hoover the living room.
こちらは「リビングに掃除機をかけなきゃ」。イギリス英語では、ボールペンを Biro(バイロウ)、掃除機をかけることを hoover(フーヴァー) と言うことがよくあります。どちらも、もとは商標。しかも人の名前から来ています。
01Biro は「ボールペン」の商標。名前はハンガリーの発明者から
ケンブリッジ英語辞典を引くと、Biro は「UK trademark(イギリスの商標)」と書かれ、意味は「ボールペンの一種の商品名」。発音は /ˈbaɪ.rəʊ/(バイロウ)、複数形は Biros です。
由来は、オックスフォードの学習辞典の、言葉の由来を書いた欄にあります。1940年代、ボールペンを発明したハンガリーのラースロー・ヨージェフ・ビーロー(László József Bíró)にちなんで名付けられた。
日本の事典では「ビロ」と書かれる人の名前が、イギリスでは「バイロウ」と読まれて、ボールペンそのものを指すようになったわけです。
02hoover は「掃除機をかける」。名前はアメリカの実業家から
次は hoover。ケンブリッジ英語辞典には2つの使い方が載っています。
- Hoover(名詞):UK trademark。掃除機の商品名
- hoover(動詞):UK。掃除機を使って床などをきれいにすること。She hoovers the stairs every Sunday.(彼女は毎週日曜に階段に掃除機をかける)
オックスフォードの学習辞典も、動詞の hoover に「British English」と付けています。名詞の Hoover の由来の説明によると、1920年代、アメリカの実業家W・H・フーバー(1849〜1932年)にちなんで名付けられた。アメリカの人の名前が、イギリスで動詞になっているのです。

hoover には、くだけた言い方もあります。オックスフォードによると、hoover something up は「掃除機で吸い取る」のほかに、「何かを大量に手に入れる・集める」という意味でも使われます。Our school hoovered up most of the prizes.(うちの学校が賞をほとんど持っていった)のような使い方です。
03アメリカでは vacuum。逆のパターンもある
アメリカで同じことを言うなら、ふつうは vacuum です。ケンブリッジ英語辞典の動詞 vacuum には「(UK also hoover)」、つまり「イギリスでは hoover とも言う」と書かれています。
- (英)I'll hoover the carpet later.
- (米)I'll vacuum the carpet later.
逆に、アメリカで商標の名前がそのまま使われ、イギリスでは別の言葉を使う例もあります。ケンブリッジ英語辞典によると、ばんそうこうの Band-Aid はアメリカの商標(US trademark)で、イギリスでは plaster(sticking plaster)と言います。
- (米)I need a Band-Aid.
- (英)I need a plaster.
イギリスに行ったら Biro と hoover、アメリカでは Band-Aid。どちらの国でも、商品名がふつうの言葉のように使われています。
04どんでん返し:アメリカでも hoover は辞書に載っている
では、アメリカ人には hoover が通じないのかというと、そうとも言い切れません。
アメリカの辞書サイト Dictionary.com は、アメリカ英語の項目で hoover を「掃除機で掃除する」という動詞として載せ、「最初の文字を大文字で書くことが多い」と書き添えています。最初の記録は1925〜30年ごろで、掃除機メーカーの商標から、としています。ケンブリッジのアメリカ英語向けの辞書にも Hoover は動詞「to vacuum」として載っていますが、こちらには「Br(イギリス英語)」の印が付いています。
つまり、hoover は「イギリスでしか通じない言葉」ではなく、「おもにイギリスで使う言葉」と考えるのが正確です。辞書の UK や British English という表示は、「おもにその国で使われる」という目印です。
もう1つ。ボールペンを「発明した」のがだれかも、言い方に注意が必要です。オックスフォードはビーローを「ボールペンの発明者」としていますが、日本の百科事典は、原型は1888年のアメリカにあり、ビーローはそれを改良して完成させた人物、と書いています。
05まとめ
イギリスの Biro と hoover は、ハンガリーの発明者とアメリカの実業家の名前が、商品名を経てふつうの言葉になった例でした。アメリカでは vacuum や Band-Aid が使われます。
日本語の「セロテープ」や「宅急便」が会社の商品名であるのと同じように、英語にも「じつは商品名」の言葉がたくさん隠れています。辞書の trademark という表示を見つけたら、その単語の後ろにいる人や会社を調べてみてください。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerIf a British friend asks, "Can I borrow your Biro?" they want a pen.
音声
4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
In Britain, people often call a ballpoint pen a "Biro." They also say "hoover" when they clean the floor with a vacuum cleaner. Both words started as brand names. Biro comes from the name of László Bíró, a Hungarian inventor.
Hoover comes from W. H. Hoover, an American businessman. In the United States, people usually say "vacuum" for this job. So the same housework has a different word in each country.
71 words ・ CEFR A2
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イギリスでは、ボールペンをよく「Biro」と呼びます。また、掃除機で床をきれいにするときには「hoover」と言います。どちらの言葉も、商品名として始まりました。Biro はハンガリーの発明者、ラースロー・ビーローの名前から来ています。
Hoover はアメリカの実業家、W・H・フーバーの名前から来ています。アメリカでは、この作業にはふつう「vacuum」と言います。同じ家事でも、国ごとに言葉が違うのです。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
Biro と hoover がどちらも商品名から始まったイギリスの言葉だという話なので B。
Q2. Where was W. H. Hoover from?
W. H. Hoover, an American businessman とあるので D。ハンガリーは Bíró の出身。
Q3. In the passage, what does "hoover" mean?
say "hoover" when they clean the floor with a vacuum cleaner とあるので B。
If a British friend asks, "Can I borrow your Biro?" they want a pen. If they say they need to hoover, they are about to clean the floor. Both words began as trademarks, and both come from real people.
Oxford's learner's dictionary says Biro was named in the 1940s after László Bíró, a Hungarian who developed the ballpoint pen. Japanese encyclopedias add that he completed his pen in 1943.
Hoover was named in the 1920s after W. H. Hoover, an American businessman, so an American name turned into a British verb. In the United States, people usually say "vacuum." It can also work the other way. Americans put a "Band-Aid," another trademark, on a cut, while British people use a "plaster."
121 words ・ CEFR B1
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イギリスの友だちが「Biro を貸してくれる?」と聞いたら、ペンがほしいということだ。hoover しなきゃと言ったら、これから床を掃除するということだ。どちらの言葉も商標として始まり、どちらも実在の人物から来ている。
オックスフォードの学習辞典によると、Biro は1940年代、ボールペンを開発したハンガリー人ラースロー・ビーローにちなんで名付けられた。日本の百科事典によれば、彼は1943年にこのペンを完成させた。
Hoover は1920年代、アメリカの実業家W・H・フーバーにちなんで名付けられた。つまり、アメリカ人の名前がイギリスの動詞になったのだ。アメリカでは、ふつう「vacuum」と言う。逆の場合もある。切り傷に、アメリカ人はやはり商標である「Band-Aid」を貼り、イギリス人は「plaster」を使う。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the main idea of the passage?
Biro と hoover が人名から来た商標で、ふつうの言葉として使われている話なので B。
Q2. According to the passage, what happened in 1943?
Japanese encyclopedias add that he completed his pen in 1943. とあるので C。
Q3. Why does the writer say "an American name turned into a British verb"?
フーバーはアメリカ人だが、hoover は主にイギリスで動詞として使われるので A。アメリカではふつう vacuum と言う。
Ask to borrow a Biro in London and you will be handed a ballpoint pen. Say you need to hoover, and everyone knows you mean the vacuum cleaner. Both words began as trademarks, and dictionaries still mark them that way, but people use them every day as ordinary words.
Behind each one is a real person. Oxford's learner's dictionary traces Biro to László Bíró, a Hungarian who turned the ballpoint into a practical pen in 1943. Japanese encyclopedias point out that a basic version had been designed in the United States as early as 1888, so calling Bíró "the inventor" depends on what you count.
Hoover comes from W. H. Hoover, an American businessman who died in 1932. He is a different man from President Herbert Hoover. Cambridge and Oxford both label the verb British, and most Americans say "vacuum."
Even so, American dictionaries list "hoover" too, with records going back to the late 1920s. Trademark words also travel in the opposite direction. In the United States, you cover a cut with a "Band-Aid." In Britain, you reach for a "plaster."
181 words ・ CEFR B2
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ロンドンで Biro を貸してと頼めば、ボールペンを渡される。hoover しなきゃと言えば、掃除機のことだとだれにでも分かる。どちらの言葉も商標として始まり、辞書は今もそう表示しているが、人々は毎日ふつうの言葉として使っている。
それぞれの言葉の裏には、実在の人物がいる。オックスフォードの学習辞典は、Biro をハンガリー人ラースロー・ビーローにさかのぼらせている。彼は1943年にボールペンを実用的なペンに仕上げた。
日本の百科事典は、簡単な形のものが1888年にはすでにアメリカで考案されていたと指摘しており、ビーローを「発明者」と呼べるかどうかは、何を数えるかによる。Hoover は、1932年に亡くなったアメリカの実業家W・H・フーバーから来ている。ハーバート・フーバー大統領とは別人だ。ケンブリッジとオックスフォードはどちらもこの動詞にイギリス英語の印を付けており、たいていのアメリカ人は「vacuum」と言う。
それでも、アメリカの辞書にも「hoover」は載っていて、記録は1920年代後半にさかのぼる。商標の言葉は、逆の方向にも広がる。アメリカでは切り傷を「Band-Aid」でおおう。イギリスでは「plaster」に手をのばす。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
Biro と hoover が商標から始まった日常語で、それぞれの裏に人物がいるという話なので B。
Q2. Which statement about W. H. Hoover is true, according to the passage?
W. H. Hoover, an American businessman who died in 1932 とあり、大統領とは別人と書かれているので C。
Q3. What does the writer suggest by saying calling Bíró "the inventor" "depends on what you count"?
1888年にアメリカで基本的な形が考案されていたので、それを数えるかどうかで「発明者」と呼べるかが変わる、という意味。B。
重要単語
- ballpoint penA2名詞ボールペンCan I borrow your ballpoint pen for a minute?
日本語の「ボールペン」は ball-point pen から(日本国語大辞典)。英語では ballpoint だけでも通じる。 - vacuumB1動詞・名詞掃除機をかける;真空I vacuum my room every Saturday morning.
つづりは u が2つ。vacuum cleaner で「掃除機」。イギリスでは hoover とも言う。 - trademarkB2名詞商標Biro is a trademark in the UK.
辞書の UK trademark は「イギリスの商標」という表示。TM マークは trademark の略。 - inventorB1名詞発明者Who was the inventor of the ballpoint pen?
invent(発明する)+-or(人)。invention は「発明」。 - patentC1名詞特許The company bought the patent and started making the pens.
trademark(商標)は名前を守り、patent(特許)は発明を守る。 - plasterB2名詞(イギリス英語で)ばんそうこうPut a plaster on that cut.
アメリカでは Band-Aid(商標)。壁に塗る「しっくい」の意味もある。
公式・一次情報をチェック
- Band-Aid(Cambridge Dictionary)dictionary.cambridge.org
- Biro(Dictionary.com・Collins English Dictionary)dictionary.com
このネタ、誰かに教えたくなった?
イギリスではボールペンを Biro、掃除機をかけることを hoover と言う。どちらも元は商標で、Biro はハンガリーの発明者ビーロー、Hoover はアメリカの実業家W・H・フーバーの名前から(オックスフォードの辞書より)。
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出典・参考文献(8件)タップで表示
- Cambridge Dictionary「Biro」(Cambridge Advanced Learner's Dictionary)dictionary.cambridge.org
- Oxford Advanced Learner's Dictionary「Biro™」oxfordlearnersdictionaries.com
- Cambridge Dictionary「Hoover」「hoover」dictionary.cambridge.org
- Oxford Advanced Learner's Dictionary「Hoover™」oxfordlearnersdictionaries.com
- Oxford Advanced Learner's Dictionary「hoover」(動詞)・「hoover up」oxfordlearnersdictionaries.com
- Cambridge Dictionary「vacuum」dictionary.cambridge.org
- Dictionary.com「hoover」(アメリカ英語の項目・Collins English Dictionary)dictionary.com
- 日本大百科全書(ニッポニカ)・改訂新版 世界大百科事典・ブリタニカ国際大百科事典「ボールペン」(コトバンク)kotobank.jp
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。
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