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英語のマジか!?ホント

ワニの英語「alligator」も「crocodile」も、もとは“トカゲ”という意味だった

ワニの英語「alligator」も「crocodile」も、もとは“トカゲ”という意味だった

読む前に予想してみよう!

英語の alligator(アリゲーター)の語源は、スペイン語で「そのトカゲ」という意味の言葉だ

研究カード(どんな研究?)
対象
英語・スペイン語・ギリシャ語の語源記録
規模
紀元前5世紀〜1910年の文献と現代の辞書
研究の種類
語源調査(文献)
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

alligator はスペイン語 el lagarto(そのトカゲ)が1語になった言葉。crocodile もギリシャでは石垣のトカゲの名前。どちらも元はトカゲ。

ひとことで言うと英語のワニの名前は、2つとも「トカゲ」という意味の言葉から来ているんだ!

もくじ
  1. alligator の語源は「el lagarto(そのトカゲ)」
  2. lizard(トカゲ)と alligator は親戚
  3. crocodile は「石垣のトカゲ」だった
  4. 「その」がくっついた英単語はほかにも
  5. 日本語の「ワニ」は、昔はサメのことだったらしい
  6. どんでん返し:トカゲの語源は、まだ分からない
  7. まとめ

動物園や図鑑でおなじみの「アリゲーター」。英語の alligator は、スペイン語の el lagarto(エル・ラガルト)=「そのトカゲ」 が、冠詞の「その」ごと1語になってできた言葉です。

ワニのもう一つの英語、crocodile(クロコダイル) もさかのぼると、古代ギリシャ人が石垣にいるトカゲを呼んだ名前でした。

つまり、英語のワニの名前は、2つとももとは「トカゲ」なのです。

01alligator の語源は「el lagarto(そのトカゲ)」

アメリカの辞書『American Heritage Dictionary』(以下 AHD)によると、alligator はスペイン語の el lagarto が形を変えたもの。el は英語の the にあたる冠詞で、ラテン語の ille(あれ)から来ています。lagarto は「トカゲ」で、ラテン語の lacertus から来ています。

スペイン語では、el は「その」という別の単語です。ところが英語に入るときには、el の部分まで単語の頭に取りこまれ、al-li-ga-tor という1語になりました。オックスフォードの学習辞典は、英語に入った時期を16世紀後半としています。

シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』にも、この単語は出てきます。5幕1場で、ロミオは毒薬を売ってくれそうな貧しい薬屋を思い出します。その店にはカメがつるされ、An alligator stuff'd(剥製のワニ) もありました。

『ロミオとジュリエット』の貧しい薬屋の店には「剥製のワニ(An alligator stuff'd)」がある
『ロミオとジュリエット』の貧しい薬屋の店には「剥製のワニ(An alligator stuff'd)」がある

02lizard(トカゲ)と alligator は親戚

では、英語でふつうに「トカゲ」を表す lizard はどうでしょう。AHD によると、lizard は中世の英語の lesarde・lisarde から。古いフランス語を通って、ラテン語の lacerta(トカゲ) にたどりつきます。

alligator の後ろ半分 -gator のもとの lagarto も、ラテン語の lacertus から来ていました。lacerta と lacertus は、どちらもラテン語で「トカゲ」。lizard と alligator は、同じラテン語から枝分かれした親戚なのです。

オックスフォードの学習辞典は、ラテン語の lacertus には「トカゲ」「海の魚」のほかに「筋肉」の意味もあったと書いています(ラテン語の辞書には、「二の腕の筋肉」の lacertus を別の単語として立てるものもあります)。英語の muscle(筋肉)のもとのラテン語 musculus は、AHD によると「ネズミ(mūs)」に「小さい」をつけた形です。ラテン語では、筋肉を表す言葉に、トカゲと同じ形の語とネズミから来た語の両方が顔を出すことになります。

03crocodile は「石垣のトカゲ」だった

もう一つのワニ、crocodile の話は、2,400年以上前の本に書かれています。

古代ギリシャの歴史家ヘロドトスの『歴史』第2巻69節によると、エジプトの人たちはワニを champsai(カンプサイ) と呼んでいました。ところがエジプトに来たイオニア人(ギリシャ人の一派)は、自分たちの土地の石垣にいるトカゲ(krokodeilos)に形が似ているので、その名前で呼んだのです。

同じ節には、テーベやモイリス湖のあたりではワニが神聖な動物とされ、耳に金などの飾り、前足に足輪をつけて大事に飼われていた、という話も出てきます。

04「その」がくっついた英単語はほかにも

冠詞ごと英語に入った言葉は、alligator だけではありません。

  • lariat(ラリアット):カウボーイの投げ縄。AHD によると、スペイン語の la reata(la=その、reata は「もう一度しばる」という意味の動詞 reatar から)
  • アラビア語の冠詞 al- がついたまま入った alcohol や algebra の話は、別の記事「アルコール」で紹介しています

逆に、英語の中で冠詞と単語の切れ目がずれた例もあります。apron(エプロン)はもともと napron で、a napron が an apron と聞き分けられて n が消えました(こちらも別の記事で紹介しています)。

投げ縄の lariat も、スペイン語の la reata(その縄)が1語になった言葉
投げ縄の lariat も、スペイン語の la reata(その縄)が1語になった言葉

05日本語の「ワニ」は、昔はサメのことだったらしい

ワニの名前がトカゲから借りものだったのは英語だけではありません。日本語の「ワニ」にも、ずれがあります。

小学館の『日本国語大辞典』によると、古い日本語の「わに」は、サメ、またはその大きな種類のフカを指していたとされます。『古事記』(712年)の「因幡の白ウサギ」で、ウサギがだまして背中を渡る「和邇(わに)」がそれです。爬虫類のワニは日本の近海にはいないので、大昔の「わに」は、のちのワニザメ・ワニブカのような呼び名から、サメのなかまと考えられている、と辞典は説明しています。

漢字の「鰐」にも話があります。平凡社の漢字辞典『字通』によると、中国の古い字書『説文解字』は、この動物を「トカゲ(蜥易)に似ている」と説明しています。ギリシャでも中国でも、ワニはまず「大きなトカゲ」として説明されたわけです。

06どんでん返し:トカゲの語源は、まだ分からない

ワニの名前がトカゲから来たことは、辞書の説明がそろっています。ところが、その先は霧の中です。

AHD は、lizard のもとのラテン語 lacerta を「語源不明」としています。crocodile の「小石のミミズ」も、AHD は「可能性がある(possibly)」という書き方で、スキートの1910年の辞書は「語源不明」としていました。ワニはトカゲにたどりつくけれど、そのトカゲがどこから来たのかは分かっていないのです。

また、スペイン人が lagarto と呼んだのは、いま私たちが「アリゲーター」と呼ぶ種類だけではありませんでした。スキートは、この呼び名がとくにアメリカ大陸のワニ(カイマンなど)に使われたと書いています。動物学の分け方と、言葉の名前は、ぴったり重なっていないのです。

07まとめ

アリゲーターは「そのトカゲ」、クロコダイルは「石垣のトカゲ」。16世紀のスペイン人も、2,400年以上前のギリシャ人も、見なれない巨大な生き物を、手もちの「トカゲ」という言葉で呼びました。

知らないものに出会ったとき、人はまず知っている言葉を当てはめる。次に動物園でワニを見たら、el lagarto(そのトカゲ) とつぶやいてみてください。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerEnglish borrowed the word "alligator" from Spanish in the late 1500s. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

English borrowed the word "alligator" from Spanish in the late 1500s. Spanish speakers called the big reptiles of the Americas "el lagarto," which simply means "the lizard." When the phrase came into English, the article "el" was swallowed up by the noun, and the two words became one.

An English gunner writing in 1591 still used a Spanish form, calling the animal "a monstrous legarto." The other English name, "crocodile," is much older. The Greek writer Herodotus explained that Greeks who visited Egypt named the animal after the lizards they knew from the stone walls at home. So both English names for these animals began as names for lizards.

109 words ・ CEFR B1

和訳を見る

英語は16世紀後半に「alligator」という語をスペイン語から借りた。スペイン語の話し手はアメリカ大陸の大きな爬虫類を「el lagarto」と呼んだが、これは単に「そのトカゲ」という意味だ。この言い回しが英語に入ったとき、冠詞の「el」が名詞にのみこまれ、2つの語が1つになった。

1591年に記録を書いたイギリスの砲手は、まだスペイン語の形を使い、その動物を「化け物のような legarto」と呼んでいた。もう一つの英語の名前「crocodile」は、ずっと古い。ギリシャの著述家ヘロドトスは、エジプトを訪れたギリシャ人が、故郷の石垣で見慣れたトカゲにちなんでその動物に名前をつけたと説明している。つまり、この動物の英語の名前は2つとも、トカゲの名前として始まったのだ。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the main point of the passage?

Q2. What did the English gunner call the animal in 1591?

Q3. What can we infer from the passage?

重要単語

  • alligatorB1
    名詞アリゲーター(ワニの一種)We saw an alligator sleeping by the river. スペイン語 el lagarto(そのトカゲ)から。くだけた言い方は gator。
  • crocodileB1
    名詞クロコダイル(ワニ)The crocodile slid quietly into the water. ギリシャ語で石垣のトカゲの名前から。crocodile tears は「うそ泣き」。
  • lizardB1
    名詞トカゲA small lizard ran up the wall. alligator の -gator と同じラテン語にさかのぼる親戚の語。
  • reptileB1
    名詞爬虫類Snakes, lizards and turtles are all reptiles. ラテン語の「はう」から。mammal(哺乳類)、amphibian(両生類)とセットで覚えよう。
  • articleB1
    名詞冠詞(a, an, the など);記事In Spanish, "el" is an article that means "the." 文法では「冠詞」、新聞なら「記事」。the definite article は「定冠詞」。
  • borrowA2
    動詞借りる;(言葉を)取り入れるEnglish borrowed many words from Spanish. 言語学では「借用する」。借りた語は loanword(借用語)。
  • lariatC1
    名詞投げ縄The cowboy threw his lariat over the calf's head. スペイン語 la reata(その縄)から。alligator と同じく冠詞がくっついた語。
ワニの alligator は、スペイン語 el lagarto「そのトカゲ」が“その”ごと1語になった言葉。crocodile も、古代ギリシャ人が石垣のトカゲの名で呼んだのが始まり。ワニの英語は2つとも元はトカゲ。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. American Heritage Dictionary of the English Language, 5th ed.「alligator」「lizard」「crocodile」「lariat」ahdictionary.com
  2. Oxford Learner's Dictionaries「alligator」「crocodile」「lizard」(Word Origin)oxfordlearnersdictionaries.com
  3. Skeat (1910) An Etymological Dictionary of the English Language, 4th ed., Clarendon Press(Internet Archive 収録)「ALLIGATOR」「CROCODILE」「LIZARD」archive.org
  4. Herodotus『歴史』第2巻69節(G. C. Macaulay 英訳, Project Gutenberg 版)gutenberg.org
  5. 精選版 日本国語大辞典「鰐」・字通「鰐」(コトバンク掲載)kotobank.jp

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