The Yellow Millet Dream(黄粱夢)の挿絵

The Yellow Millet Dream

黄粱夢

  • 434 words
  • 約5分
  • YL 1.0–1.4
  • 英検3級目安
  • 全訳つき

あらすじひと眠りするあいだに、出世も苦しみも老いも、一生分の夢を見た若者・盧生。「人生も夢と同じ」と語る老人に、盧生が返したことばとは……。

芥川龍之介『黄粱夢』(1917年)をもとに再話

ORIGINAL TEXT

まずは原文をチェック

この話は日本語の原文(青空文庫)でも読めます。青空文庫の本文を、そのまま載せています。やさしい版で筋をつかんでから原文へ進むと、作者の言葉をじっくり味わえます。

『黄粱夢』芥川龍之介の日本語の原文を読む →

青空文庫の本文(新字新仮名・約1,000字)。

キーワード(7語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • Taoist道士(仙術を学ぶ人)
  • millet黍(きび)・粟などの穀物
  • innkeeper宿屋の主人
  • examination試験(役人になるための試験)
  • official役人
  • minister大臣
  • duke公爵(とても高い位)

音声は準備中です。もうしばらくお待ちください。

日本語訳の一部には生成AIを使っており、AIによる3重のチェックと人の目で確かめています。まだ人の目を通っていない訳もあるため、ニュアンスがずれている所があるかもしれません。日本語訳について

Rosei thought he was dying. Everything grew dark in front of his eyes. The sound of his children and grandchildren crying slowly faded away into the distance. His feet felt very heavy, and his body sank down and down. Then, suddenly, something surprised him, and he opened his eyes wide.

盧生は、自分は死ぬのだと思った。目の前が暗くなった。子や孫の泣く声が、だんだん遠くへ消えていった。足がひどく重くなり、体が下へ下へと沈んでいった。と、急に何かにはっと驚かされて、盧生は思わず目を大きく開いた。

The old Taoist named Roo was still sitting by his pillow. The innkeeper was cooking millet, and it was not ready yet. Rosei lifted his head from the blue-green pillow. He rubbed his eyes and gave a big yawn. It was an autumn afternoon in the town of Handan. The sun was shining on the trees without leaves, but the air was a little cold.

すると枕もとには、道士の呂翁が、前と同じように座っていた。宿の主人が炊いているきびも、まだ炊きあがっていなかった。盧生は青磁の枕から頭を上げ、目をこすりながら大きなあくびをした。邯鄲の町の、秋の午後だった。葉の落ちた木々を日の光が照らしていたが、それでも少し肌寒かった。

"You are awake," said Roo. He was biting his beard, and he was trying not to smile.

「目がさめましたね」と、呂翁は言った。ひげをかみながら、笑いをかみ殺したような顔をしていた。

"Yes."

「ええ。」

"You had a dream, didn't you?"

「夢を見たでしょう。」

"I did."

「見ました。」

"What kind of dream was it?"

「どんな夢でしたか。」

"It was a very long dream. First, I married a daughter of a good family. I think she was a beautiful and gentle woman. The next year, I passed the great examination and became an official. After that, everything went well, and I quickly became one of the most important men in the country."

「とても長い夢です。はじめに、家柄のよい娘と夫婦になりました。美しい、つつましい女だったような気がします。そうして次の年、大きな試験に受かって役人になりました。それからはとんとん拍子に出世して、たちまち国でも指折りの偉い人間になりました。」

"But someone told lies about me, and I nearly lost my life. I escaped death just in time, but the government sent me away to a faraway land. I stayed there for five or six years. Then people learned the truth and called me back. I became the top minister, and the emperor made me a duke. By that time, I was quite old, I think. I had five sons and dozens of grandchildren."

「ところが、だれかにうその告げ口をされて、あぶなく命を落とすところでした。やっとのことで死なずにすんだものの、お上は私を遠い土地へ流しました。そこに五、六年はいたでしょう。やがて人々が本当のことを知って、私を呼びもどしてくれました。私はいちばん上の大臣になり、天子さまから公爵の位もいただきました。そのときは、もうずいぶん年を取っていたと思います。子が五人に、孫が何十人とありましたから。」

"And then what happened?"

「それから、どうしました。」

"I died. I think I was over eighty."

「死にました。たしか八十を越していたと思います。」

Roo stroked his beard. He looked very pleased with himself.

呂翁は、ひげをなでた。いかにも得意そうな顔だった。

"So you have tasted both good times and bad times, both success and failure. That is very good. Living is not very different from the dream you had. Now your strong wish to live must be much weaker. When you understand gain and loss, life and death, you see that they are not worth much. Don't you think so?"

「では、よいときも悪いときも、成功も失敗も、ひととおりは味わってきたわけですね。それは結構なことでした。生きるということは、あなたの見た夢と、いくらも変わってはいません。これであなたの、生きたいという強い思いも、ずいぶん冷めたでしょう。得ることも失うことも、生きることも死ぬことも、わかってしまえば、つまらないものなのです。そうではありませんか。」

Rosei was listening to him impatiently. When the old man asked again, Rosei raised his young face. His eyes were shining.

盧生は、じれったそうに呂翁の言葉を聞いていた。呂翁がもう一度念を押すと、盧生は若々しい顔を上げた。その目はかがやいていた。

"It is a dream, and that is why I want to live even more. That dream ended, and this dream will end someday, too. Until that time comes, I want to live. I want to live so fully that I can say I truly lived. Don't you think so?"

「夢だから、なお生きたいのです。あの夢がさめたように、この夢もいつかさめるでしょう。その時が来るまで、私は生きたいのです。本当に生きたと言えるほど、生きたいのです。あなたはそう思いませんか。」

Roo frowned and said neither yes nor no.

呂翁は顔をしかめたまま、そうだとも、ちがうとも答えなかった。

全訳をまとめて読む 読み終わってからの答え合わせに

盧生は、自分は死ぬのだと思った。目の前が暗くなった。子や孫の泣く声が、だんだん遠くへ消えていった。足がひどく重くなり、体が下へ下へと沈んでいった。と、急に何かにはっと驚かされて、盧生は思わず目を大きく開いた。

すると枕もとには、道士の呂翁が、前と同じように座っていた。宿の主人が炊いているきびも、まだ炊きあがっていなかった。盧生は青磁の枕から頭を上げ、目をこすりながら大きなあくびをした。邯鄲の町の、秋の午後だった。葉の落ちた木々を日の光が照らしていたが、それでも少し肌寒かった。

「目がさめましたね」と、呂翁は言った。ひげをかみながら、笑いをかみ殺したような顔をしていた。

「ええ。」

「夢を見たでしょう。」

「見ました。」

「どんな夢でしたか。」

「とても長い夢です。はじめに、家柄のよい娘と夫婦になりました。美しい、つつましい女だったような気がします。そうして次の年、大きな試験に受かって役人になりました。それからはとんとん拍子に出世して、たちまち国でも指折りの偉い人間になりました。」

「ところが、だれかにうその告げ口をされて、あぶなく命を落とすところでした。やっとのことで死なずにすんだものの、お上は私を遠い土地へ流しました。そこに五、六年はいたでしょう。やがて人々が本当のことを知って、私を呼びもどしてくれました。私はいちばん上の大臣になり、天子さまから公爵の位もいただきました。そのときは、もうずいぶん年を取っていたと思います。子が五人に、孫が何十人とありましたから。」

「それから、どうしました。」

「死にました。たしか八十を越していたと思います。」

呂翁は、ひげをなでた。いかにも得意そうな顔だった。

「では、よいときも悪いときも、成功も失敗も、ひととおりは味わってきたわけですね。それは結構なことでした。生きるということは、あなたの見た夢と、いくらも変わってはいません。これであなたの、生きたいという強い思いも、ずいぶん冷めたでしょう。得ることも失うことも、生きることも死ぬことも、わかってしまえば、つまらないものなのです。そうではありませんか。」

盧生は、じれったそうに呂翁の言葉を聞いていた。呂翁がもう一度念を押すと、盧生は若々しい顔を上げた。その目はかがやいていた。

「夢だから、なお生きたいのです。あの夢がさめたように、この夢もいつかさめるでしょう。その時が来るまで、私は生きたいのです。本当に生きたと言えるほど、生きたいのです。あなたはそう思いませんか。」

呂翁は顔をしかめたまま、そうだとも、ちがうとも答えなかった。

日本語訳の一部には生成AIを使っており、AIによる3重のチェックと人の目で確かめています。まだ人の目を通っていない訳もあるため、ニュアンスがずれている所があるかもしれません。日本語訳について

日本語訳:多読ベスト

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理解度チェック Quick Quiz

読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. Was the millet ready when Rosei woke up?

Q2. How old was Rosei when he died in his dream?

Q3. What did Rosei want to do after the dream?

この話の単語 CEFR-JA2・B1・B2の語 58語/タップで意味・単語帳へ
  • A1中学基礎 81.9%
  • A2高校入門 8.6%
  • B1受験コア 4.4%
  • B2難関大 1.9%
  • リストにない語 3.3%

本文の語の割合(人名などは数えていません)。「リストにない語」は固有名詞・古い言い方・やさしい複合語などです。

B2難関大の語 7語

B1受験コアの語 17語

A2高校入門の語 34語

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この読み物の使い方 3ステップ

  1. 聞きながら読む 音声に合わせて光る文を目で追う(聞き読み)。わからない語は飛ばしてOK。
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  3. 耳だけで聞く 聞くだけモードで、文字を見ずに内容がわかるか試す。1文リピートで音読・シャドーイングも。

聞き読みの効果とやり方/多読三原則

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