A Tiger Story(虎の話)の挿絵

A Tiger Story

虎の話

  • 377 words
  • 約5分
  • YL 0.5–0.9
  • 英検5〜4級目安
  • 全訳つき

あらすじ師走の夜、こたつの中で、五歳の男の子がお父さんに「虎のお話をして!」とせがみます。一つ話しても、また一つ。お父さんのお話は、どこまで続くのでしょう。

芥川龍之介『虎の話』(1926年)をもとに再話

ORIGINAL TEXT

まずは原文をチェック

この話は日本語の原文(青空文庫)でも読めます。青空文庫の本文を、そのまま載せています。やさしい版で筋をつかんでから原文へ進むと、作者の言葉をじっくり味わえます。

『虎の話』芥川龍之介の日本語の原文を読む →

青空文庫の本文(新字旧仮名・約1,400字)。

キーワード(9語)本文の点線の語はタップで意味が出ます
  • kotatsuこたつ(ふとんをかけた、下に火のある低い台)
  • Korea朝鮮
  • trumpetラッパ
  • prizeほうび
  • hunter猟師
  • valley谷
  • embarrassed恥ずかしそうな
  • arrow矢
  • caveほら穴

音声は準備中です。もうしばらくお待ちください。

日本語訳の一部には生成AIを使っており、AIによる3重のチェックと人の目で確かめています。まだ人の目を通っていない訳もあるため、ニュアンスがずれている所があるかもしれません。日本語訳について

It was a December night. A father was sitting at the kotatsu with his five-year-old son in his arms.

十二月のある夜のことです。お父さんは、五歳になる男の子をだいて、こたつに入っていました。

"Daddy, tell me a story!" "What kind of story?" "A tiger story!" "A tiger story? That's hard." "Please!"

「お父さん、何かお話しして!」「何の話?」「虎のお話!」「虎の話? 虎の話は困ったな」「ねえ、お願い!」

"All right. Long ago in Korea, a soldier with a trumpet drank too much and fell asleep on a mountain road. Then his face got wet, and he woke up. A big tiger was washing his face with its wet tail."

「よし。昔、朝鮮で、ラッパを持った兵隊さんが、お酒を飲みすぎて、山道で寝てしまったんだって。すると顔がぬれてきたので、目をさましたんだ。そうしたら、大きな虎が、ぬれたしっぽで兵隊さんの顔を洗っていたんだってさ」

"Why?" "The soldier smelled of wine. The tiger wanted to wash the smell off and then eat him." "And then?" "The soldier pushed his trumpet hard into the tiger's bottom. The tiger ran away to the town."

「どうして?」「兵隊さんがお酒くさかったからさ。虎は、そのにおいを落としてから食べようと思ったんだよ」「それから?」「兵隊さんは、持っていたラッパを、虎のおしりに力いっぱい突き立てたんだって。虎は町のほうへ逃げていったんだってさ」

"Did it die?" "Yes, in the middle of the town. But the trumpet in its bottom went toot, toot, toot until it died." The boy laughed. "And the soldier?" "He got a prize for killing the tiger. The end."

「死んじゃったの?」「うん、町のまん中でね。でも、おしりのラッパは、虎が死ぬまで、ぶう、ぶう、ぶうと鳴りつづけていたんだってさ」男の子は笑いました。「兵隊さんは?」「虎退治のごほうびをもらったんだって。はい、おしまい」

"One more!" "Not a tiger story this time." "No, a tiger story!" "Oh, well. A hunter in Korea saw a big tiger in a valley below him. He got his gun ready."

「もう一つ!」「今度は虎の話じゃないよ」「やだ、虎のお話!」「しかたがないな。朝鮮の猟師がね、下の谷に大きな虎がいるのを見つけたんだって。猟師は、さっそく鉄砲を構えたんだ」

"Did he shoot it?" "The tiger jumped at a big rock. But it could not reach the rock and fell down. It jumped again and fell again. Then it walked away with its tail down, looking embarrassed."

「撃ったの?」「虎は、大きな岩に飛びついたんだ。でも、岩までとどかないで、地面に落ちてしまった。もう一度飛んだけれど、また落ちた。すると虎は、しっぽをたらして、いかにも恥ずかしそうに行ってしまったんだってさ」

"So he didn't shoot it?" "No. The tiger looked so much like a person that he felt sorry for it." "That's boring. Another tiger story!" "How about Puss in Boots?" "No! A tiger story!"

「じゃあ、撃たなかったの?」「うん。そのようすが、あんまり人間みたいに見えたから、かわいそうになったんだって」「つまらないなあ。もう一つ虎のお話をして!」「長靴をはいた猫のお話はどうだい?」「やだ! 虎のお話!」

"Oh, all right. A big tiger had three babies. Every evening, it played with them, and at night they all slept in a cave. Hey, don't fall asleep." "Mm," said the boy sleepily.

「しかたがないな。大きな虎が、子虎を三匹持っていたんだって。虎は毎日夕方になると子虎たちと遊んで、夜はほら穴の中で一緒に寝たんだ。……おい、寝ちゃいけないよ」「うん」と、男の子はねむそうに言いました。

"One autumn evening, the tiger came home almost dead from a hunter's arrow. The babies knew nothing and jumped on it. Still, the tiger played with them as always. At night, they all slept together. But in the morning, the tiger was dead in the middle of the three babies. The babies were surprised, and... Hey, are you awake?"

「ある秋の夕方、虎は猟師の矢を受けて、死にそうになって帰ってきたんだって。何も知らない子虎たちは、虎にじゃれついた。それでも虎は、いつものように子虎たちと遊んでやったんだ。夜はみんなで一緒に寝たんだ。ところが朝になってみると、虎は三匹の子虎のまん中で死んでいたんだってさ。子虎たちはみんなおどろいて……おい、起きているかい?」

The boy did not answer. He was asleep. "Hey, is anyone there?" the father called. "He has fallen asleep." From far away came an answer: "Yes, I'm coming!"

男の子は答えません。もう眠っていたのです。「おい、誰かいないか?」とお父さんは呼びました。「こいつ、もう寝てしまったよ」すると遠くから、「はい、ただいま」という返事が聞こえてきました。

全訳をまとめて読む 読み終わってからの答え合わせに

十二月のある夜のことです。お父さんは、五歳になる男の子をだいて、こたつに入っていました。

「お父さん、何かお話しして!」「何の話?」「虎のお話!」「虎の話? 虎の話は困ったな」「ねえ、お願い!」

「よし。昔、朝鮮で、ラッパを持った兵隊さんが、お酒を飲みすぎて、山道で寝てしまったんだって。すると顔がぬれてきたので、目をさましたんだ。そうしたら、大きな虎が、ぬれたしっぽで兵隊さんの顔を洗っていたんだってさ」

「どうして?」「兵隊さんがお酒くさかったからさ。虎は、そのにおいを落としてから食べようと思ったんだよ」「それから?」「兵隊さんは、持っていたラッパを、虎のおしりに力いっぱい突き立てたんだって。虎は町のほうへ逃げていったんだってさ」

「死んじゃったの?」「うん、町のまん中でね。でも、おしりのラッパは、虎が死ぬまで、ぶう、ぶう、ぶうと鳴りつづけていたんだってさ」男の子は笑いました。「兵隊さんは?」「虎退治のごほうびをもらったんだって。はい、おしまい」

「もう一つ!」「今度は虎の話じゃないよ」「やだ、虎のお話!」「しかたがないな。朝鮮の猟師がね、下の谷に大きな虎がいるのを見つけたんだって。猟師は、さっそく鉄砲を構えたんだ」

「撃ったの?」「虎は、大きな岩に飛びついたんだ。でも、岩までとどかないで、地面に落ちてしまった。もう一度飛んだけれど、また落ちた。すると虎は、しっぽをたらして、いかにも恥ずかしそうに行ってしまったんだってさ」

「じゃあ、撃たなかったの?」「うん。そのようすが、あんまり人間みたいに見えたから、かわいそうになったんだって」「つまらないなあ。もう一つ虎のお話をして!」「長靴をはいた猫のお話はどうだい?」「やだ! 虎のお話!」

「しかたがないな。大きな虎が、子虎を三匹持っていたんだって。虎は毎日夕方になると子虎たちと遊んで、夜はほら穴の中で一緒に寝たんだ。……おい、寝ちゃいけないよ」「うん」と、男の子はねむそうに言いました。

「ある秋の夕方、虎は猟師の矢を受けて、死にそうになって帰ってきたんだって。何も知らない子虎たちは、虎にじゃれついた。それでも虎は、いつものように子虎たちと遊んでやったんだ。夜はみんなで一緒に寝たんだ。ところが朝になってみると、虎は三匹の子虎のまん中で死んでいたんだってさ。子虎たちはみんなおどろいて……おい、起きているかい?」

男の子は答えません。もう眠っていたのです。「おい、誰かいないか?」とお父さんは呼びました。「こいつ、もう寝てしまったよ」すると遠くから、「はい、ただいま」という返事が聞こえてきました。

日本語訳の一部には生成AIを使っており、AIによる3重のチェックと人の目で確かめています。まだ人の目を通っていない訳もあるため、ニュアンスがずれている所があるかもしれません。日本語訳について

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読み終わったら、3問だけ。間違えても大丈夫。多読は「だいたいわかる」で十分です。

Q1. Why did the first tiger wash the soldier's face?

Q2. Why didn't the hunter shoot the tiger?

Q3. What happened at the end?

この話の単語 CEFR-JA2・B1・B2の語 23語/タップで意味・単語帳へ
  • A1中学基礎 85.8%
  • A2高校入門 9.4%
  • B1受験コア 1.9%
  • B2難関大 0.5%
  • リストにない語 2.4%

本文の語の割合(人名などは数えていません)。「リストにない語」は固有名詞・古い言い方・やさしい複合語などです。

B2難関大の語 1語

B1受験コアの語 5語

A2高校入門の語 17語

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