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英語のマジか!?ホント

「Xmas」の X はエックスじゃない。キリストを表すギリシャ文字 χ(カイ)

「Xmas」の X はエックスじゃない。キリストを表すギリシャ文字 χ(カイ)

読む前に予想してみよう!

Xmas の X は、「なんでもいい記号」として適当に入れた文字だ

研究カード(どんな研究?)
対象
英語・日本語の辞書の記述
規模
英語の辞書3種・日本語の辞書と事典3種
研究の種類
辞書の語源欄・使い方の注意書きの比較
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

Xmas の X はギリシャ文字の χ(カイ)。ギリシャ語で書いた「キリスト」の頭文字だ。略しても、キリストはちゃんと入っている。

ひとことで言うとXmas の X は「キリスト」の頭文字。ギリシャの文字だった!

もくじ
  1. X に見えるのは、ギリシャ文字の「カイ」
  2. Christmas は「キリストの祭り」
  3. 頭文字でキリストを表す習慣は、ほかにもある
  4. どんでん返し:「エクスマス」と読むのは、まちがい?
  5. 日本の「クリスマス」と「X'mas」
  6. まとめ
  7. よくある質問

12月になると、お店のポスターやケーキの箱に「Xmas」の文字が並びます。

この X、数学の x のような「なんでもいい記号」だと思っていませんか。あるいは、長い Christ(キリスト)を書くのが面倒で、適当に X にした手抜きの略だと。

じつは、この X はアルファベットの「エックス」ではありません。ギリシャ文字の χ(カイ)で、ギリシャ語で「キリスト」と書いたときの最初の1文字です。つまり Xmas は、略してもキリストがちゃんと入った書き方なのです。

01X に見えるのは、ギリシャ文字の「カイ」

英米の代表的な辞書3冊は、そろって同じことを書いています。

ギリシャ語の「キリスト」は、大文字で書くと ΧΡΙΣΤΟΣ。先頭の Χ は、英語の X とそっくりの形をしています。でも別の文字で、ローマ字に置きかえるときは kh や ch で書かれます。Khristos の Kh、Christ の Ch がそれです。

平凡社の『世界大百科事典』も、Xmas と書くときの X は、ギリシャ語のキリスト(ΧΡΙΣΤΟΣ)の第1字を使った書き方だ、と説明しています。

この文字の名前を、英語では chi と書きます。American Heritage Dictionary によると、ギリシャ文字の22番目の文字で、英語では「カイ」とも「キー」とも発音します。

02Christmas は「キリストの祭り」

では、X のあとに続く -mas は何でしょう。

Christmas は、古い英語(古英語)の Crīstes mæsse がもとになった言葉です。American Heritage Dictionary はこれを「キリストの祭り(Christ's festival)」と説明しています。mæsse はキリスト教の儀式「ミサ」を表す mass にあたる語です。

  • Christ(キリスト)+ mass(ミサ、祭り)→ Christmas
  • X(=ギリシャ文字でキリストの頭文字)+ -mas → Xmas

ですから Xmas は、Christ の部分を、その頭文字1つで表した形です。Christ をまるごと消してしまったわけではありません。

ちなみに、Christ という言葉そのものの意味も辞書に載っています。Oxford の学習辞典によると、ギリシャ語 Khristos は「油を注がれた(者)」という意味の形容詞から来た語で、ヘブライ語の māšīaḥ(メシア、救い主)を訳したものです。「キリスト」は名字ではなく、もとは「油を注がれた者」という称号でした。

お店でよく見る「Xmas」。X はギリシャ文字の χ(カイ)で、ギリシャ語の「キリスト」の頭文字
お店でよく見る「Xmas」。X はギリシャ文字の χ(カイ)で、ギリシャ語の「キリスト」の頭文字

03頭文字でキリストを表す習慣は、ほかにもある

ギリシャ語の頭文字でキリストを表すのは、Xmas だけではありません。

American Heritage Dictionary には Chi-Rho(カイ・ロー) という見出しがあります。ギリシャ文字の χ(カイ)と ρ(ロー)を重ねて1つにしたキリストの印で、教会の祭壇にかける布や、聖職者の服にしばしば刺しゅうされる、と説明されています。χ と ρ は、Khrīstos の最初の2文字です。

教会の中でも、ギリシャ語の頭文字は「キリスト」を表す印として使われてきたわけです。Xmas の X も、その仲間と考えると分かりやすいでしょう。

04どんでん返し:「エクスマス」と読むのは、まちがい?

では、Xmas は声に出すとどう読むのでしょう。

American Heritage Dictionary は、発音の欄に「クリスマス」と「エクスマス」の両方を載せています。そのうえで使い方の注意書きに、「エクスマス」という読み方は、X が実はギリシャ文字のカイだということを取りちがえて生まれた発音で、くだけた読み方だ、と書いています。

ところが、Merriam-Webster も Oxford の学習辞典も、発音として「クリスマス」と並べて「エクスマス」を載せています。もとは読みちがいから生まれた発音でも、辞書に載ることがあるのです。言葉は、正しい由来だけで決まるわけではありません。

もう一つ、Xmas という書き方そのものについても、辞書は使い方に注意をつけています。

  • Oxford:(informal=くだけた言い方)。ふつうは書き言葉で、Christmas の短い形として使う。例文は A merry Xmas to all our readers!(読者のみなさん、楽しいクリスマスを!)
  • Merriam-Webster:(informal)。今はおもに、広告や見出しなどで短く書くために使われる

つまり Xmas は「キリストを消した手抜き」ではないけれど、改まった手紙向きの書き方でもない。Oxford と Merriam-Webster は、そういう扱いをしています。

05日本の「クリスマス」と「X'mas」

日本語の辞書も見てみましょう。

小学館の『デジタル大辞泉』は、「クリスマス」の項目に「Xマス」とも書く、と補足しています。日本の店先では、アポストロフィ(')を入れた「X'mas」という書き方も見かけます。ただ、今回調べた英語の辞書3冊の見出しは、どれもアポストロフィのない Xmas でした。英語の文章では Xmas と書くのが辞書どおりの形です。

『日本国語大辞典』によると、英語から来た「クリスマス」という言葉が使われはじめたのは明治の初めごろ。それまでは、ポルトガル語から入った「ナタル」と呼ばれていました。辞書が挙げる「クリスマス」の古い例は、1878〜79年に出た翻訳小説『花柳春話』で、「耶蘇祭典」と書いて「クリスマス」と読ませています。

06まとめ

Xmas の X は、手抜きの記号ではなく、ギリシャ文字の χ(カイ)。ギリシャ語で「キリスト」と書いたときの頭文字です。Christmas は「キリストの祭り」、Xmas は「キリスト(の頭文字)の祭り」。どちらにもキリストはちゃんと入っています。

今年の12月、お店で「Xmas」を見かけたら、X を「カイ」と読みかえてみてください。ケーキの箱の上に、ギリシャ語で書いた「キリスト」の頭文字がのっていることになります。

よくある質問

Xmas の X はどういう意味ですか?

ギリシャ文字の χ(カイ)で、ギリシャ語 Khristos(キリスト)の最初の文字です。Oxford・American Heritage・Merriam-Webster の英米の辞書3冊が、そろってそう説明しています。

Xmas はキリストを消した手抜きの書き方ですか?

いいえ。X はキリストの頭文字なので、Xmas は Christ の部分を頭文字1つで表した形です。略しても、キリストはちゃんと入っています。

Xmas は何と読みますか?

「クリスマス」と読めば、どの辞書でも正解です。「エクスマス」という読み方も辞書に載っていますが、American Heritage Dictionary は、X(実はギリシャ文字のカイ)を英語の X と取りちがえて生まれた、くだけた発音だと注意しています。

X'mas と Xmas はどちらが正しいですか?

英語の文章では Xmas です。調べた英語の辞書3冊の見出しは、どれもアポストロフィのない Xmas でした。日本の店先では「X'mas」も見かけますが、英語の辞書どおりの形ではありません。

Christmas の語源は何ですか?

古英語の Crīstes mæsse で、American Heritage Dictionary は「キリストの祭り」と説明しています。mæsse は、キリスト教の儀式「ミサ」を表す mass にあたる語です。

Xmas という書き方はいつからありますか?

Merriam-Webster の辞書が挙げる、使われた最も古い例は1721年です。Oxford と American Heritage Dictionary は、最初の年を示していません。

クリスマスカードに Xmas と書いてもいいですか?

先生やホストファミリーへのカードには Merry Christmas! と書くのが無難です。Oxford と Merriam-Webster は Xmas を informal(くだけた言い方)とし、Merriam-Webster は、今はおもに広告や見出しで短く書くために使う、と説明しています。

「キリスト」とはどういう意味ですか?

もとは「油を注がれた者」という意味の称号です。Oxford の学習辞典によると、ギリシャ語 Khristos は「油を注がれた」という意味の語から来ていて、ヘブライ語の māšīaḥ(メシア、救い主)を訳したものです。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerIn December, posters for sales often shorten "Christmas" to "Xmas." It looks like a lazy way to drop the… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

In December, posters for sales often shorten "Christmas" to "Xmas." It looks like a lazy way to drop the name of Christ, but dictionaries tell a different story. The X is the Greek letter chi, which has the same shape as an English X. In Greek, "Christ" is written "Khristos," and chi is the first letter.

So the X stands for Christ. The second part, "-mas," is the same "-mas" as in "Christmas," a word that goes back to an Old English name meaning "Christ's festival." Merriam-Webster gives 1721 as the first known use of "Xmas." The Oxford learner's dictionary calls the word informal and says it is mostly used in writing. So "Merry Christmas" is the safer choice for a card to your teacher.

125 words ・ CEFR B1

和訳を見る

12月のセールのポスターでは、「Christmas」がよく「Xmas」と短く書かれる。キリストの名前を手抜きで落とした書き方に見えるが、辞書は別の話をしている。X は英語の X と同じ形をしたギリシャ文字のカイ(chi)だ。

ギリシャ語で「キリスト」は「Khristos」と書き、カイはその最初の文字である。つまり、X はキリストを表している。後ろの「-mas」は「Christmas」の「-mas」と同じで、Christmas は「キリストの祭り」を意味する古英語の名前にさかのぼる言葉だ。メリアム・ウェブスターは、「Xmas」が使われた最も古い記録を1721年としている。オックスフォードの学習辞典は、この語をくだけた言い方とし、主に書き言葉で使うと説明している。だから、先生へのカードには「Merry Christmas」と書くほうが無難だ。

4択リーディングクイズ

Q1. What does the X in "Xmas" stand for, according to the passage?

Q2. When was "Xmas" first used, according to Merriam-Webster?

Q3. Why does the writer suggest "Merry Christmas" for a card to a teacher?

重要単語

  • abbreviationB2
    名詞略語、短く書いた形"Xmas" is a short form, but it is not a careless abbreviation. abbreviate(短くする)+-ion。brief(短い)と同じ語源。"Dr." is an abbreviation for "Doctor." のように使う。
  • initialB1
    名詞頭文字Her initials are on the front of her bag. 名前の頭文字は複数形 initials がふつう。形容詞では「最初の」(the initial stage=初期段階)。
  • symbolB1
    名詞記号、しるしIn math class, x is a symbol for a number we don't know yet. a symbol of peace「平和の象徴」のように「象徴」の意味でもよく出る。
  • informalB1
    形容詞くだけた、略式の"Xmas" is fine on a sale sign, but it is too informal for a formal letter. 辞書の (informal) は「友だち同士や広告ならよいが、改まった文章には向かない」という印。反対は formal。
  • festivalA2
    名詞祭り、祝祭The town holds a winter festival every December. AHD は古英語の Crīstes mæsse(Christmas のもと)を Christ's festival と説明している。
  • pronounceB1
    動詞発音するYou can pronounce "Xmas" just like "Christmas." 名詞は pronunciation(つづりの o が消える点に注意。pronounciation は誤り)。
  • anointC1
    動詞(儀式で)油を注ぐIn old stories, a new king was anointed with oil. Christ のもとのギリシャ語 Khristos は「油を注がれた(者)」の意味。
Xmas の X はアルファベットの「エックス」ではなく、ギリシャ文字の χ(カイ)。ギリシャ語 Khristos(キリスト)の頭文字だと、英米の辞書3冊が説明している。略しても、キリストはちゃんと入っていた。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. Merriam-Webster Dictionary「Xmas」(Etymology・First Known Use)merriam-webster.com
  2. The American Heritage Dictionary of the English Language, 5th ed.「Xmas」「Christmas」「Christ」(HarperCollins, 2022)ahdictionary.com
  3. Oxford Advanced Learner's Dictionary「Xmas」(Oxford University Press)oxfordlearnersdictionaries.com
  4. Oxford Advanced Learner's Dictionary「Christ」(Oxford University Press)oxfordlearnersdictionaries.com
  5. 精選版 日本国語大辞典・デジタル大辞泉・改訂新版 世界大百科事典「クリスマス」(小学館・平凡社、コトバンク掲載)kotobank.jp

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