「生徒」も「瞳」も英語では pupil。瞳のほうは“小さなお人形”という意味だった

読む前に予想してみよう!
瞳を英語で pupil と言うのは、目に映る小さな人の姿を「人形」に見立てたことから
英語の辞書によると、瞳の pupil はラテン語 pūpilla(小さな人形)から。目に映る小さな像にちなむ。
- 対象
- 英語・日本語の辞書と百科事典
- 規模
- 英語の辞書3種+日本語の辞典
- 研究の種類
- 辞書の語源記述の照合
- 確かさ
- ★★★★☆
英語の pupil は「生徒」と「瞳」。瞳のほうはラテン語 pūpilla「小さな人形」から。人の目に小さな自分の姿が映るからだと辞書は説明する。
ひとことで言うと瞳を英語で pupil と言うのは、目に小さな人形みたいな自分が映るから!
もくじ
英語の pupil には、意味が2つあります。
1つは生徒。もう1つは瞳(目の真ん中の黒い部分)です。学校で習う単語なのに、目の話にも出てくる。不思議に思ったことはありませんか?
瞳のほうの pupil は、もとはラテン語で「小さなお人形」という意味でした。人の目をのぞき込むと、瞳の中に小さな自分の姿が映って見えます。それを人形に見立てた名前だと、英語の辞書は説明しています。
01瞳の pupil は「小さなお人形」
3つの辞書の、言葉の生い立ちを書いた欄(語源欄)を並べてみます。
- American Heritage Dictionary(アメリカ):ラテン語 pūpilla「小さな人形、瞳」から。瞳に映る小さな像にちなむ
- Oxford Learner's Dictionaries(イギリス):ラテン語 pupilla から。これは pupa「人形」に「小さい」の意味を足した形。目の中に見える、小さな映った像からそう呼ばれた
- Dictionary.com(ランダムハウス大辞典):ラテン語 pūpilla、文字どおりには「小さな人形」。瞳に見える小さな映りこみにちなむ
3つの辞書が、そろって同じ説明をしています。
これは今すぐ試せます。家族や友だちと向かい合って、相手の瞳をじっと見てみてください。黒い部分に、小さな小さな自分が映っているはずです。ラテン語では、瞳を「小さなお人形」と同じ言葉で呼んでいたのです。

02生徒の pupil は「小さな男の子・女の子」
では、生徒のほうの pupil は?
Dictionary.com によると、こちらはラテン語の pūpillus(男の子の場合)・pūpilla(女の子の場合)から来ています。意味は「孤児、親代わりの大人に世話をされる子」。親がいないなどの理由で、親代わりの大人(後見人)に世話をしてもらっている子どものことです。さらにさかのぼると、pūpus「男の子」、pūpa「女の子」に「小さい」の意味を足した形です。
American Heritage Dictionary も、英語に入ったときの意味を orphan(孤児) としています。Oxford Learner's も、生徒の pupil は最初「孤児、親代わりの大人に世話をされる子」の意味だった、と書いています。
この古い意味は、今も法律の言葉に残っています。
- American Heritage:法律で「後見人の監督を受ける未成年」
- Dictionary.com(ランダムハウス):民法で「後見人の世話を受ける、孤児などの未成年」
- Dictionary.com(コリンズ英語辞典):スコットランドの法律などで「後見人の世話を受ける、14歳未満の男の子、12歳未満の女の子」
「世話をされる子ども」から「先生に教わる子ども」へ。意味の移り方がよく分かります。
032つの pupil は「同じ根っこの別の単語」
ここで、ラテン語の形をもう一度見てください。
- 瞳:pūpilla(小さな人形)
- 生徒(女の子):pūpilla(小さな女の子、親代わりの大人に世話をされる子)
まったく同じ形です。American Heritage Dictionary によると、もとになった pūpa という語には「女の子」と「人形」の両方の意味がありました。だから「小さな pūpa」は、「小さな女の子」にも「小さなお人形」にもなったのです。
英語の辞書では、2つの pupil は語源が別々に書かれています。Dictionary.com は pupil1(生徒)と pupil2(瞳)の2つの見出しに分けていて、どちらも英語で最も古い記録は1350〜1400年の間です。同じ家族から出た2つの言葉が、それぞれ英語に入ってきた、という関係です。
04pupa(さなぎ)も「人形」の親せき。puppy(子犬)もおそらく
pūpa は、ほかの英単語にも顔を出しています。
- pupa(さなぎ):American Heritage によると、ラテン語の pūpa「女の子、人形」がそのまま英語になった語。幼虫と成虫の間の、えさを食べない時期の虫のことです
- puppy(子犬):American Heritage によると、中世の英語(中英語)の popi「小さなペットの犬」から。これはおそらくアングロ・ノルマン語(中世のイギリスで使われたフランス語)の poppe「人形」から来ていて、さらにさかのぼるとラテン語の pūpa「女の子、人形」に行き着きます
ほかの言語にも同じ発想があります。Dictionary.com によると、ギリシャ語の korē は「少女」「人形」「瞳」の3つの意味を持っています。
05どんでん返し:日本語の「瞳」にも“子ども”が入っている?
では日本語の「瞳」はどうでしょう。漢字をよく見ると、目へんに「童」(わらべ、子ども)が入っています。
小学館の『日本大百科全書(ニッポニカ)』は、瞳は「目童子(目の子供・小目)」という意味をもち、瞳孔も指す、と書いています。目の中に子どもがいる、という発想は、英語の「小さなお人形」とよく似ています。
ただし、漢字の成り立ちを説明する平凡社の『字通』は、瞳の「童」を音を表す部分(声符)としています。つまり、「童」はもともと読み方(ドウ)を示すために使われた、という見方です。日本語・中国語と英語・ラテン語が同じ発想で名づけた、とまで言い切ることはできません。
英語のほうでも、「目に映る小さな像を人形に見立てた」というのは、辞書がそろって書いている語源の説明です。ローマの人が実際にそう考えて名づけた記録があるかどうかまでは、今回調べた辞書には書かれていません。
06まとめ
生徒の pupil は「小さな男の子・女の子」、瞳の pupil は「小さなお人形」。どちらもラテン語の pūpus「男の子」・pūpa「女の子、人形」から出た、同じ一族の言葉でした。
次に誰かと目が合ったら、その瞳の中をそっとのぞいてみてください。そこに映っている小さなあなたが、pupil という名前のもとです。
よくある質問
pupil に「生徒」と「瞳」の意味があるのはなぜですか?
同じ一族のラテン語から出た、別々の2つの単語だからです。生徒は pūpillus・pūpilla「親代わりの大人に世話をされる子」、瞳は pūpilla「小さな人形」から来ました。もとになった pūpa には「女の子」と「人形」の両方の意味がありました。
瞳の pupil の語源は何ですか?
ラテン語の pūpilla「小さな人形」です。人の目をのぞき込むと、瞳に小さな自分の姿が映ります。それにちなむ名前だと、American Heritage・Oxford Learner's・Dictionary.com の3つの辞書がそろって説明しています。
生徒の pupil の語源は何ですか?
ラテン語の pūpillus(男の子)・pūpilla(女の子)で、意味は「孤児、親代わりの大人に世話をされる子」でした(Dictionary.com)。American Heritage Dictionary も、英語に入ったときの意味を orphan(孤児)としています。
pupil と student の違いは何ですか?
いまは student のほうがよく使われます。Oxford Learner's によると、生徒の意味の pupil はイギリス英語で少し古い言い方になりつつあります。pupil には a pupil of Rembrandt(レンブラントの弟子)のように「名人に技を教わる人」の意味もあります。
pupa(さなぎ)や puppy(子犬)は pupil と関係がありますか?
どちらもラテン語の pūpa「女の子、人形」につながります。American Heritage Dictionary によると、pupa はこの語がそのまま英語になったもの。puppy は、おそらくアングロ・ノルマン語の poppe「人形」を経て、同じ pūpa に行き着きます。
瞳は英語で何と言いますか?
pupil です。そのまわりの色のついた部分は iris(虹彩)と言います。「暗いところでは瞳が大きくなる」は Your pupils get bigger in the dark. と言えます。
漢字の「瞳」に「童」が入っているのは子どもの意味ですか?
説明が分かれます。『日本大百科全書(ニッポニカ)』は瞳を「目童子(目の子供・小目)」の意味としていますが、漢字の成り立ちを説明する『字通』は「童」を音を表す部分(声符)としています。英語と同じ発想だとまでは言い切れません。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerThe English word "pupil" has two very different meanings.
音声
4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
In English, "pupil" has two meanings. It can mean a student. It can also mean the black circle in the middle of your eye.
Why? Look into a friend's eye. You can see a very small picture of yourself there. In Latin, "pupilla" meant "little doll."
The tiny picture looks like a little doll, so the black part of the eye got this name. The word for a student comes from Latin words for a little boy or girl.
79 words ・ CEFR A2
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英語の「pupil」には2つの意味があります。生徒という意味になることがあります。目の真ん中の黒い丸(瞳)という意味にもなります。
なぜでしょう?友だちの目をのぞいてみてください。そこにとても小さな自分の姿が見えます。ラテン語で「pupilla」は「小さな人形」という意味でした。
その小さな姿が小さな人形のように見えるので、目の黒い部分にこの名前がつきました。生徒を表す語は、小さな男の子や女の子を表すラテン語から来ています。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
pupil の2つの意味(生徒と瞳)と、それぞれの語源の話なので C。
Q2. What did "pupilla" mean in Latin?
"pupilla" meant "little doll" とあるので A。
Q3. What can you see when you look into a friend's eye?
You can see a very small picture of yourself there. とあるので B。
The English word "pupil" has two very different meanings. It can be a student, or it can be the dark opening in the center of the eye. Both meanings come from Latin, but they took different paths. The eye sense comes from "pupilla," which meant "little doll."
If you look closely into someone's eyes, you can see a tiny image of yourself, and that small figure looks a bit like a doll. The student sense comes from "pupillus" and "pupilla," words for an orphan or a child in a guardian's care. Those words were based on "pupus," meaning boy, and "pupa," meaning girl. According to Dictionary.com, both meanings were first recorded in English between 1350 and 1400.
117 words ・ CEFR B1
和訳を見る
英語の「pupil」という語には、まったく違う2つの意味がある。生徒のこともあれば、目の中央にある黒い穴(瞳孔)のこともある。どちらの意味もラテン語から来ているが、たどった道は違う。目の意味は「小さな人形」を意味した「pupilla」から来ている。
だれかの目を近くでのぞき込むと、自分の小さな像が見え、その小さな姿は少し人形のように見える。生徒の意味は、孤児や後見人に世話をされる子どもを表す「pupillus」と「pupilla」から来ている。これらの語は、男の子を意味する「pupus」と女の子を意味する「pupa」をもとにしていた。Dictionary.com によると、どちらの意味も英語で最初に記録されたのは1350年から1400年の間だという。
4択リーディングクイズ
Q1. Why was the opening in the eye named after a doll?
you can see a tiny image of yourself, and that small figure looks a bit like a doll とあるので B。
Q2. What did the Latin words "pupillus" and "pupilla" mean in the student sense?
words for an orphan or a child in a guardian's care とあるので C。
Q3. What can we infer about the two meanings of "pupil"?
目の意味(pupilla=小さな人形)にも、生徒の意味(pupillus と pupilla)にも、同じラテン語の形 pupilla が出てくるので、つながりがあると推測できる。B は本文の「どちらも1350〜1400年」と合わない。C は、どちらもラテン語から来ているので誤り。A。
Look into a friend's eyes and you will see a tiny version of yourself looking back. That reflection explains why the opening in the center of the eye is called a pupil. The word comes from the Latin "pupilla," meaning "little doll," and three major dictionaries trace the name to the small image visible in the eye.
The other "pupil," meaning a student, has a separate history. It comes from Latin words for an orphan or ward, a child under a guardian's care, and some legal systems still use it that way. In Scots law, according to the Collins dictionary, a pupil is a boy under 14 or a girl under 12 in the care of a guardian. The two words meet at the Latin "pupa," which meant both "girl" and "doll."
The same root gave English "pupa," the stage between larva and adult in some insects, and perhaps "puppy" as well. Japanese has a similar idea. The kanji for the pupil contains the character for "child," and one Japanese encyclopedia links the word to a "child in the eye." A dictionary of kanji, though, treats that part as a marker of sound, so the match may be a coincidence.
200 words ・ CEFR B2
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友だちの目をのぞき込むと、小さな自分がこちらを見返しているのが見える。この映りこみこそ、目の中央の穴が pupil と呼ばれる理由だ。この語は「小さな人形」を意味するラテン語「pupilla」から来ていて、主な3つの辞書が、その名前を目の中に見える小さな像にちなむとしている。
もう1つの「pupil」、つまり生徒の意味は、別の歴史をもつ。これは孤児や被後見人、つまり後見人の世話を受ける子どもを表すラテン語から来ていて、今もその意味で使う法律がある。コリンズの辞書によると、スコットランドの法律では、pupil は後見人の世話を受ける14歳未満の男の子、または12歳未満の女の子のことだ。2つの語は、「女の子」と「人形」の両方を意味したラテン語「pupa」で出会う。
同じ語根から、英語の「pupa」(一部の昆虫の、幼虫と成虫の間の段階=さなぎ)が生まれ、おそらく「puppy」も生まれた。日本語にも似た発想がある。瞳を表す漢字には「子ども」を表す字が入っていて、ある日本の百科事典は、この語を「目の中の子ども」に結びつけている。ただし漢字の辞典は、その部分を音を表すしるしとしているので、この一致は偶然かもしれない。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
pupil の2つの意味が、関係のあるラテン語からどう生まれたかが中心なので B。
Q2. According to the passage, who is a "pupil" in Scots law?
a pupil is a boy under 14 or a girl under 12 in the care of a guardian とあるので D。
Q3. What does the writer suggest about the Japanese kanji?
漢字の辞典はその部分を音のしるしとしており、一致は偶然かもしれない、と書いているので C。
重要単語
- pupilB2名詞生徒;瞳(瞳孔)Your pupils get smaller in bright light.
生徒の意味はイギリス英語でやや古くなりつつあり、student がよく使われる。目の意味は今もふつうの語。 - reflectionC1名詞(鏡や水面などに)映った姿I saw my reflection in the shop window.
reflect(反射する、映す)の名詞。「よく考えること」という意味もある。 - orphanB2名詞孤児The orphan was raised by her aunt.
生徒の pupil は、もとは「孤児」の意味で英語に入った。 - guardianB2名詞保護者、後見人A guardian looks after a child when the parents cannot.
guard(守る)+-ian。学校の書類の parent or guardian「保護者」でよく見る。 - dollA2名詞人形My little sister carries her doll everywhere.
瞳の pupil のもとのラテン語 pupilla は「小さな人形」。 - pupaC1名詞さなぎA butterfly comes out of a pupa.
複数形は pupae または pupas。ラテン語 pupa「女の子、人形」から。
公式・一次情報をチェック
- pupil(Cambridge Dictionary)dictionary.cambridge.org
- puppy(American Heritage Dictionary)ahdictionary.com
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英語の pupil は「生徒」と「瞳」。瞳のほうはラテン語で“小さなお人形”という意味だった。相手の目をのぞくと、小さな自分の姿が映って見えるから。生徒の pupil は「小さな男の子・女の子」から来ている。
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出典・参考文献(5件)タップで表示
- The American Heritage Dictionary of the English Language, 5th ed.(HarperCollins)「pupil」ahdictionary.com
- The American Heritage Dictionary of the English Language, 5th ed.(HarperCollins)「pupa」「puppy」ahdictionary.com
- Oxford Learner's Dictionaries(Oxford University Press)「pupil」oxfordlearnersdictionaries.com
- Dictionary.com(Random House Unabridged Dictionary・Collins English Dictionary)「pupil」dictionary.com
- 日本大百科全書(ニッポニカ)・普及版 字通・デジタル大辞泉(小学館・平凡社、コトバンク掲載)「瞳」kotobank.jp
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。
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