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英語のマジか!?ホント

nostril(鼻の穴)は「鼻+穴」。後ろ半分は thrill(スリル)と同じ語から来ていた

nostril(鼻の穴)は「鼻+穴」。後ろ半分は thrill(スリル)と同じ語から来ていた

読む前に予想してみよう!

英語の thrill(スリル、ぞくぞくさせる)は、nostril(鼻の穴)と語源がつながっている

研究カード(どんな研究?)
対象
英語の歴史
規模
辞書の語源欄(9語)
研究の種類
歴史言語学(辞書の語源記述にもとづく)
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

nostril は古英語の「鼻+穴」。この「穴」の語から生まれた動詞が thrill になった。nightingale や garlic にも、今は単独で使われない古い部品が残る。

ひとことで言うと鼻の穴 nostril の後ろ半分は「穴」。thrill も同じ「穴」生まれ!

もくじ
  1. nostril の語源は「鼻+穴」
  2. 片方が“消えた”言葉の組み合わせは、ほかにもある
  3. 日本語にもある:「まぶた」の「ま」は目
  4. どんでん返し:語源の「確かさ」には差がある
  5. まとめ

鼻の穴は、英語で nostril(ノストリル)。

前半の nos- が nose(鼻)なのは、なんとなく分かりますよね。では、後ろの -tril は何でしょう。

答えは「穴」です。そして、この「穴」を表す古い英語の単語は、遊園地でおなじみの thrill(スリル) の語源でもありました。鼻の穴とスリルが、じつは親戚だったのです。

01nostril の語源は「鼻+穴」

アメリカの『アメリカン・ヘリテージ英語辞典(AHD)』と、イギリスの『オックスフォード学習辞典(Oxford Learner's Dictionaries)』の語源欄を引くと、どちらも同じことが書いてあります。

つまり、こういう流れです。

  • thyrel(穴) → nosu と合わさって nosthyrl(鼻の穴) → nostril
  • thyrel(穴) → 動詞 thyrlian(穴をあける、突き通す) → thirlen → thrill

オックスフォードは、thrill のもとになった thirl を「方言」の語としています。AHD には、thirl は見出し語として載っていません。ふつうの英語ではもう使われない部品なので、nostril を見ても「穴」がかくれていることに気づきにくいのです。

thrill がどうして「突き通す」から「ぞくっとさせる」に変わったのかは、今回引いた辞書には説明がありません。覚え方としては、「体を突き抜けるような感覚」と考えると忘れにくいはずです。

02片方が“消えた”言葉の組み合わせは、ほかにもある

nostril のように、2つの語を組み合わせた言葉(複合語)のうち、片方の部品が今ではその意味で使われないために、もとの意味が見えなくなった英単語はほかにもあります。AHD とオックスフォードの語源欄で確かめた例を並べます。

world に「人」がかくれているのは意外ですよね。AHD の語源コラムによると、world は古英語で832年の文書に記録されているのが最初です。「人間の時代」から「人間の住む場所」へと意味が移った、と説明されています。

nightingale は古英語の niht(夜)+ galan(歌う)からできた語(AHD)
nightingale は古英語の niht(夜)+ galan(歌う)からできた語(AHD)

03日本語にもある:「まぶた」の「ま」は目

日本語にも、同じしくみの言葉があります。

『日本国語大辞典』によると、「ま」は「め(目)」の古い形で、多くはほかの語と組み合わさって使われます。例として挙げられているのは、まつ毛・まなこ・まなじり・まぶた・まもる・まばゆしなど。

たとえば「まぶた」は「目の蓋(ふた)」の意味です。ふだん「ま」を「目」の意味で単独で使うことはないので、私たちも nostril の英語話者と同じように、言われるまで気づきません。

04どんでん返し:語源の「確かさ」には差がある

ここで紹介した語源は、どれも辞書に載っているものです。ただし、辞書の書き方には差があります。

  • werewolf:AHD は「wer=人」と言い切っています。一方オックスフォードは、前半は「ふつうは」古英語の wer(人)だとされてきた、と書き、少し慎重です
  • garlic:AHD は「やり」の理由を、ひとかけの形か、葉の形のどちらかだろう、と「おそらく」つきで書いています
  • earwig:名前のもとになった「耳にもぐりこんで脳を食べる」という言い伝えについて、AHD はまったくの誤りだとしています。ごくまれに耳に入ることはあっても、鼓膜を食い破ることはないそうです。名前は残りましたが、言い伝えのほうは事実ではありません

bridegroom(花婿)の語源も見ておきましょう。古英語では brȳdguma=bride(花嫁)+ guma(男)でした。この後ろ半分は、のちに groom という語に引き寄せられて形が変わりました(オックスフォード、AHD)。groom には「馬の世話係」のほか、古い意味として「男、男の召使い」もあります(AHD)。今の groom の「花婿」の意味は、逆に bridegroom を短くしたものです。意味が見えにくくなった部品を、人は知っている単語に置きかえてしまうことがあるのです。

05まとめ

nostril は「鼻」と「穴」をくっつけた言葉でした。その「穴」thyrel から「突き通す」という動詞が生まれ、今の thrill になりました。

nightingale(夜+歌う)、garlic(やり+ネギ)、world(人+時代)のように、片方の部品が単独で使われなくなると、言葉の意味は見えなくなります。日本語の「まぶた」の「ま」も同じです。ふだん使う単語の中に、千年ほど前の言葉の部品が残っているのです。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerSome English words hide parts that people stopped using long ago. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Some English words hide parts that people stopped using long ago. Take "nostril." In Old English it was "nosthyrl," from "nosu" (nose) and "thyrel" (hole). The word for "hole" also produced a verb meaning "to pierce," and in Middle English that verb turned into "thrill."

So the holes in your nose and the excitement of a roller coaster share an ancestor. Other words work the same way. A "nightingale" is a bird that sings at night, and its name comes from "niht" (night) and "galan" (to sing). "Garlic" combines "gar" (spear) and "leac" (leek), probably because a piece of garlic looks like the tip of a spear.

107 words ・ CEFR B1

和訳を見る

英語の単語の中には、人々がずっと昔に使わなくなった部品をかくしているものがある。たとえば「nostril」。古英語では「nosthyrl」で、「nosu(鼻)」と「thyrel(穴)」からできていた。この「穴」という語からは「突き通す」という意味の動詞も生まれ、中英語でその動詞が「thrill」になった。

つまり、鼻の穴とジェットコースターのわくわく感は、同じ祖先をもっているのだ。ほかの単語も同じしくみだ。「nightingale」は夜に歌う鳥で、その名前は「niht(夜)」と「galan(歌う)」から来ている。「garlic」は「gar(やり)」と「leac(リーキ、ネギの仲間)」の組み合わせで、おそらくニンニクのひとかけがやりの先に似ているからだ。

4択リーディングクイズ

Q1. Which two words share an ancestor, according to the passage?

Q2. What did "galan" mean?

Q3. Why does the writer mention "nightingale" and "garlic"?

重要単語

  • nostrilC1
    名詞鼻の穴Breathe in slowly through your left nostril. 古英語 nosu(鼻)+ thyrel(穴)。左右あるので、両方なら nostrils。
  • thrillB2
    名詞・動詞わくわく(ぞくぞく)する気持ち;わくわくさせるRiding a roller coaster gives me a thrill. もとは「突き通す」という動詞。be thrilled「大喜びする」、thrilling「わくわくさせる」。thriller は「スリラー(小説・映画)」。
  • pierceC1
    動詞突き刺す、穴をあけるShe had her ears pierced last summer. 日本語の「ピアス」は pierced earrings の略(デジタル大辞泉)。英語で耳飾りそのものは earrings と言う。
  • compoundC1
    名詞複合語(2つ以上の語を組み合わせた語);化合物"Toothbrush" is a compound of "tooth" and "brush." 化学では「化合物」。a compound word「複合語」の形でも使う。
  • nightingaleC1
    名詞ナイチンゲール(サヨナキドリ)A nightingale was singing in the garden at night. night(夜)+ 古英語 galan(歌う)。夜に美しく鳴く鳥。
  • garlicB1
    名詞ニンニクAdd a clove of garlic to the soup. 古英語 gār(やり)+ lēac(リーキ)。a clove of garlic「ニンニク1かけ」。
  • mermaidB2
    名詞人魚The story is about a mermaid who lives under the sea. mere(海。今は使われない意味)+ maid(娘)。男の人魚は merman。
nostril(鼻の穴)は古英語の nosu(鼻)+thyrel(穴)。この「穴」から「突き通す」の動詞ができ、今の thrill(スリル)に。nightingale は「夜+歌う」、garlic は「やり+ネギ」。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. The American Heritage Dictionary of the English Language, 5th ed.「nostril」ahdictionary.com
  2. The American Heritage Dictionary of the English Language, 5th ed.「thrill」ahdictionary.com
  3. Oxford Learner's Dictionaries「nostril」(Word Origin)oxfordlearnersdictionaries.com
  4. The American Heritage Dictionary of the English Language, 5th ed.「nightingale」「garlic」「mermaid」「earwig」「bridegroom」ほかahdictionary.com
  5. 精選版 日本国語大辞典「目」「瞼」(小学館、コトバンク掲載)kotobank.jp

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